JPH0898823A - 微弱磁界測定装置および方法 - Google Patents

微弱磁界測定装置および方法

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JPH0898823A
JPH0898823A JP6242014A JP24201494A JPH0898823A JP H0898823 A JPH0898823 A JP H0898823A JP 6242014 A JP6242014 A JP 6242014A JP 24201494 A JP24201494 A JP 24201494A JP H0898823 A JPH0898823 A JP H0898823A
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noise
biomagnetic
coil
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JP6242014A
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Barba Youri
バーバ ユーリ
F Fyffe Alister
エー.ファイフ アリスター
B Barbank Max
ビー.バーバンク マックス
J Hyde Gordon
ジェイ.ハイド ゴードン
Lee Shikusutasu
リー シクスタス
R Taylor Brent
アール.テイラー ブレント
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  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体磁界検出感度を低下することなく、外部
環境による磁界雑音を充分に除去してSN比の向上を図
ること。 【構成】 脳の微弱磁界を検出するために生体磁界検出
のための1次微分形グラジオメータを用い、その頭部か
らたとえば30cm程度充分に離れた位置で磁界雑音だ
けを検出するために0次微分形マグネトメータと1次微
分形グラジオメータとを設け、このような磁界雑音検出
のためのコイルの出力によって、2次微分形グラジオメ
ータに相当する出力を求めて、生体磁界検出の1次微分
形グラジオメータが配置されている位置における磁界雑
音強度とその向きとを演算して求めて補正を行い、磁界
雑音の除去を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体である被検体の脳
などの生体から発生される微弱な磁界を測定するための
装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】このような微弱磁界測定装置では、超伝
導量子干渉(略称SQUID)素子を用いた磁束計で生
体から発生される磁界の強さを測定するにあたっては、
外部からの磁気雑音が大きな問題となる。図51に示さ
れるように、脳からの磁界は、数100fT(=10
-13T)であって微弱であるのに対し、自動車、電車お
よびエレベータなどから発生される都市の磁気雑音は、
数100nT(=10-7T)であり、このような都市の
磁気雑音は、脳磁界の100万倍から1億倍もの大きさ
がある。
【0003】従来では、このような磁気雑音を除去する
ために、検出コイルに工夫をしたグラディオメータを用
いる。このグラディオメータでは、軸線方向に間隔をあ
けた一対のコイルを逆相に接続して、1次微分形グラデ
ィオメータを構成し、またこの1次微分形グラディオメ
ータを一対設けて相互に逆相に接続して2次微分形グラ
ディオメータを構成し、こうして勾配の次数を上げる。
1次微分形グラディオメータでは、均等な磁界が打消さ
れ、また2次微分形グラディオメータでは、均等な磁界
だけでなく、均等な磁界勾配も打消される。したがって
このようにグラディオメータの次数を増やすことによっ
て、ノイズ除去性能が向上し、SN比を上げることがで
きる。
【0004】この反面、このようにグラディオメータの
次数を上げることによって、検出すべき生体からの微弱
な磁界が部分的に打消されることになり、その次数を上
げることによって感度が低下してしまうという問題があ
る。またこのようなグラディオメータは、その原理上、
一様な平行磁場に対しては優れたノイズ除去性能を有し
ているけれども、勾配をもつノイズ、すなわち数10m
離れた場所の自動車および電車などのノイズに対して
は、充分なノイズ除去性能を発揮できず、したがってこ
のことは微弱な生体磁界の測定時には大きな問題とな
る。
【0005】他の先行技術では、磁界測定装置を磁気シ
ールドルーム内に配置する。この磁気シールドルームの
遮蔽能、すなわち磁気シールドルームの室内の磁界強度
に対する室外の磁界強度の比を向上するには強磁性材料
であるパーマロイの層を多層として厚くすればよいけれ
ども、そのようにするとコストが高くなり、現実的では
ない。
【0006】もっと悪いことは磁気シールドルームの遮
蔽能は、周波数依存性を有し、周波数が低くなるにつれ
て、遮蔽能が低下することである。たとえば磁界が0.
1Hzで遮蔽能は102であり、1Hzでは遮蔽能は1
3であり、10Hzでは遮蔽能は104であるのが一般
的である。生体磁界、たとえば脳磁界は、約10Hz前
後であって低い周波数範囲であり、したがってこのよう
な低い周波数範囲で、自動車や電車などの低周波磁界雑
音を充分に除去することは、磁気シールドルームでは、
不可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、外部
環境の磁界雑音を充分に抑制して、しかも脳などの生体
からの微弱磁界を高感度で検出し、しかも周波数特性を
もたずに低い周波数範囲においても磁界雑音を充分に低
減することができるようにした微弱磁界測定装置および
方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、生体の検出す
べき部位の近傍に配置され、微弱磁界を検出する生体磁
界検出手段と、生体磁界検出手段から離れた位置に配置
され、外部環境からの磁界雑音である微弱磁界を検出す
る磁界雑音検出手段と、生体磁界検出手段の出力と、磁
界雑音検出手段の出力とを演算処理して、外部環境磁界
雑音を除いた生体磁界を求める演算手段とを含むことを
特徴とする微弱磁界測定装置である。また本発明は、磁
界雑音検出手段は、磁界の検出の方向性を有する磁界検
出素子を、複数個、磁界検出方向が相互に異なるように
配置されて構成され、これによって外部からの雑音であ
る磁界の分布を求めることができ、演算手段は、磁界雑
音検出手段の出力に応答して、生体磁界検出手段の位置
にある磁界雑音の強度を求めて前記演算をすることを特
徴とする。また本発明は、生体の近傍に配置される1次
微分形グラジオメータである生体磁界検出コイルと、生
体磁界検出コイルから離れた位置に配置される0次微分
形マグネトメータである第1参照コイルと、第1参照コ
イルの近傍に配置され、1次微分形グラジオメータであ
る第2参照コイルと、第1および第2参照コイルの出力
に応答して、生体磁界検出コイルの近傍の位置に仮想上
配置された微分形コイルの出力を演算することにより、
生体磁界検出コイルの位置における外部環境からの磁界
雑音を求める第1演算手段と、生体磁界検出コイルおよ
び第1演算手段の各出力に応答して、生体磁界検出コイ
ルの出力と第1演算手段の出力とを演算処理して、外部
環境磁界雑音を除いた生体磁界強度を求める第2演算手
段とを含むことを特徴とする微弱磁界測定装置である。
また本発明は、生体磁界検出コイルは、生体の近傍に分
散して配置され、第1および第2参照コイルは、その磁
界検出方向が直交3軸X−Y−Zの各軸X,Y,Zにそ
れぞれ平行であり、第1演算手段は、各生体磁界検出コ
イル毎の微分形グラジオメータの出力を演算して求め、
各生体磁界検出コイル毎の各位置における外部磁界を演
算して求め、第2演算手段は、各生体磁界検出コイルの
出力と、対応する演算して求められた第1演算手段の出
力とを演算処理し、外部環境磁界雑音を除いた生体磁界
を求めることを特徴とする。また本発明は、生体の近傍
に配置されるi次(iは、零または正の整数)微分形の
生体磁界検出コイルと、生体磁界検出コイルから離れた
位置に配置され、i次微分形コイルの出力を演算して求
めるためのi次以下の微分形の複数の参照コイルと、前
記複数の参照コイルの出力に応答して、各生体磁界検出
コイルの位置における仮想上のi次微分形コイルの外部
環境雑音出力を演算して求める第1演算手段と、生体磁
界検出コイルおよび第1演算手段の出力に応答して、生
体磁界検出コイルの出力から第1演算手段の出力を演算
処理する第2演算手段とを含むことを特徴とする微弱磁
界測定装置である。また本発明は、生体の磁界を検出す
べき部位の近傍の位置でi次(iは零または正の整数)
微分形の生体磁界を測定し、生体磁界から離れた生体磁
界の影響のない位置で、i次微分形の外部環境からの磁
界雑音を測定し、前記生体磁界の測定位置における仮想
上のi次微分形の外部環境磁界雑音を演算して求め、前
記測定された生体磁界から、前記演算して求めた外部環
境の磁界雑音を演算処理することを特徴とする微弱磁界
測定方法である。
【0009】
【作用】本発明に従えば、生体磁界検出手段は、脳など
の生体の微弱磁界を検出するとともに、外部環境からの
磁界雑音もまた同時に検出し、これに対して生体磁界検
出手段から離れた位置に設けられた外部磁界雑音検出手
段は、磁界強度が信号源からの距離の2乗に反比例して
小さくなるので、生体磁界を検出することなく、外部環
境からの磁界雑音だけを検出し、したがってこの生体磁
界検出出力と磁界雑音検出出力とを演算処理することに
よって、磁界雑音に悪影響なしに、外部環境磁界雑音を
除いた生体磁界を高精度で検出することが可能になる。
【0010】本発明に従えば、外部環境からの磁界雑音
を検出する磁界雑音検出手段は、複数の磁界検出素子、
たとえば0次微分形マグネトメータである第1参照コイ
ルと、1次微分形グラジオメータである第2参照コイル
との組合せを設け、このような第1および第2参照コイ
ルは、磁界の強度の検出が可能なだけでなく、その磁界
の検出の方向性を有しており、すなわち磁界の方向が第
1および第2の参照コイルの軸線に一致したとき、鎖交
磁束が大きくなって誘起起電力が大きくなる特性を有し
ており、したがってこれらに基づいて、外部環境からの
磁界雑音の分布、すなわち強度および方向を求めること
ができる。このような磁界分布に基づいて、演算手段に
よって、生体磁界検出手段の位置におけるその生体磁界
検出手段の磁界検出方向に沿う磁界の強度を求めること
ができる。これによって生体磁界検出手段の出力に含ま
れている磁界雑音を除去することができる。
【0011】生体磁界検出手段は、たとえば1次微分形
グラジオメータである生体磁界検出コイルであってもよ
い。さらにコイルに代えて、その他の構成によって実現
されてもよく、たとえばホール素子が用いられてもよ
い。
【0012】特に本発明に従えば、生体磁界検出のため
に前述のように1次微分形コイルを、測定対象物である
被検体のたとえば頭蓋、したがって脳に充分に近づくよ
うにして配置し、さらに外部環境からの磁界雑音を検出
するために、被検体からたとえば30cm以上離れた位
置に、非微分形、すなわち0次微分形のコイルであるマ
グネトメータと1次微分形のグラジオメータとを配置
し、これらの各コイルは全て、同一の極低温断熱容器に
収納され、個別的に各SQUID素子に磁気結合されて
磁界が検出される。このような構成によれば、生体磁界
検出用の1次微分形コイルでは、生体磁界の外部環境磁
界雑音とが検出され、また外部環境の磁界雑音を検出す
るマグネトメータとグラジオメータとは、測定対象物で
ある被検体の頭蓋から充分離れているので、そのような
生体磁界は、減衰してしまい、検出不可能であり、磁界
雑音だけが検出される。したがってこれらの各コイルの
データをマイクロコンピュータなどの信号処理手段で演
算処理を施すことによって、外部環境からの磁界雑音が
除去された生体磁界を高精度に測定することができる。
【0013】さらに本発明に従えば、生体磁界の検出の
ためにi次(iは、零または正の整数)微分形の生体磁
界検出コイルとし、一方、外部環境の磁界雑音の検出の
ために、複数の参照コイルを用い、この参照コイルは、
i次微分形コイルとそれ以下の次数を有する微分形のコ
イルとを含み、これらの参照コイルの出力によって、各
生体磁界検出コイルの位置における仮想上のi次微分形
コイルの外部環境雑音出力を演算して求めることが可能
となり、これによって生体磁界検出コイルの出力から、
高次の微分形コイルの出力を減算して、SN比を著しく
向上することができる。これらのi次以下の複数の参照
コイルは、たとえば直交3軸X−Y−Zの各軸毎に設け
て、生体磁界検出コイルの配置された位置における生体
磁界検出コイルの軸線に沿う方向の磁界雑音の成分を演
算して求めることができ、このことによって、磁界雑音
の悪影響を充分に除去することができる。
【0014】さらに本発明に従えば、磁気雑音だけを検
出する参照コイルを用いてその参照コイルの出力を演算
することによって、参照コイルの次数よりも高い次数の
仮想上の高次の微分形グラジオメータの出力を求めるこ
とができ、磁界雑音除去性能を向上することができる。
たとえば上述のように本発明に従い、参照コイルとして
マグネトメータと1次微分形グラジオメータとの組合せ
を用いたとき、たとえば重み付け関数を用いて、2次微
分または3次微分などに相当する特性を演算して求める
ことができ、しかも生体磁界の信号検出感度は、その生
体磁界検出コイルの次数に対応した特性が維持され、た
とえば生体磁界検出コイルが1次微分形グラジオメータ
であるときには、その1次微分形のグラジオメータの感
度が維持される。
【0015】さらに本発明に従えば、参照コイルを用い
て実際の磁界雑音を、生体磁界の検出と同時に計測して
いるので、磁界雑音の除去特性に周波数特性がなく、た
とえば自動車および電車などのような外部環境からの磁
界雑音のような低周波数の磁界雑音であっても、充分に
除去可能である。したがって高価な遮蔽能が優れた磁気
シールドルームは必要ではなく、さらには磁気シールド
ルームを省略することも可能であり、あるいはSQUI
D素子の同期検波のために用いられるMHzのオーダの
高周波帯域の磁界雑音を遮断する高周波磁気シールドル
ーム内で本発明を実施することもまた可能である。
【0016】
【実施例】図1は本発明の一実施例の微弱磁界測定装置
1の側方から見た全体の構成を簡略化して示す断面図で
あり、図2はその微弱磁界測定装置1の使用状態を示す
斜視図である。人体である被検体2はベッド3に着座し
た状態で、その頭部4の脳磁界が、本件微弱磁界測定装
置1によって測定される。この微弱磁界測定装置1は、
磁気遮蔽材料から成る側壁43,44と、底の磁気遮蔽
板61と、天井の磁気遮蔽板62とによって、さらに図
1の手前と背後の磁気遮蔽材料から成る側壁によって囲
まれた磁気遮蔽室6内に配置される。このような磁気遮
蔽のための材料としては、強磁性材料、たとえばパーマ
ロイなどがある。磁気遮蔽室6を形成する強磁性材料で
ある磁気遮蔽材料の板の間には、接地された導電性板を
介在し、この導電性板は、たとえばステンレス鋼または
アルミニウムなどから成り、これによって電界遮蔽室
を、同様に形成することができる。磁気遮蔽室6は、磁
気シールドルームと呼ぶことができ、電界遮蔽室は、電
界シールドルームと呼ぶことができる。このような導電
性板は、薄板であればよく、したがって磁気遮室6を構
成する磁気遮蔽材料の板の間にサンドイッチされて介在
されていればよく、また常温で超伝導である高温超伝導
材料製であってもよい。
【0017】磁界測定アセンブリ5は、デュワ容器また
はクライオスタットと呼ばれる極低温断熱容器12内に
貯留された低温液体、たとえば液体ヘリウム17に、超
伝導量子干渉(略称SQUID)磁束計9(後述の図2
9参照)などが浸漬して構成され、この磁界測定アセン
ブリ5は、たとえば200kgfの大重量を有する。
【0018】図3は磁界測定アセンブリ5の側面図であ
り、図4はそのアセンブリ5の簡略化した構成を示す断
面図である。極低温断熱容器12は、外槽13と、その
外槽13の内方に間隔をあけて設けられる内槽15とを
備え、両槽13,15間には、真空断熱層16が形成さ
れる。真空断熱層16の側部には、アルミニウム蒸着さ
れたポリエステルフィルムが、たとえば30〜40層に
わたって巻回されて収納されており、その下部の参照符
16aで示す空間には、脳磁界測定に支障を来さないよ
うに、そのようなフィルムは収納されていない。内槽1
5内には、液体ヘリウム17が貯留される。この内槽1
5内には、大略的に直円筒状の支持体18が収納されて
おり、スリット27を介して支持体18内にも液体ヘリ
ウム17が貯留される。
【0019】磁界測定アセンブリ5の天板22には、下
向きにコネクタ229が取付けられており、これにライ
ン157(後述の図30参照)などが接続される。コネ
クタ229が、天板22の下部に下に延びて設けられる
ことによって、磁界測定アセンブリの軸線30に沿う長
さを小さくすることができ、可及的に小形化を図ること
ができるようになる。
【0020】図5は、磁界測定アセンブリ5の上部の一
部の断面図である。内槽15の上部には、外向きフラン
ジ19が形成され、そのフランジ19の下面は、外槽1
3の上端部と、パッキン20を介して真空断熱層16が
気密に保たれる。内槽15には、真空断熱層16が真空
であることによって、外槽13がパッキン20を介して
支持されて固定される。フランジ19には、ボルト21
によって着脱可能に天板22が取付けられる。Oリング
23は、内槽15の頂部と天板22の下面とを気密に封
止する。ボルト21はフランジ19の上部のねじ孔24
に着脱可能に螺着される。
【0021】外槽13には、その重心位置25,26付
近で図1および図2に示す支持リング60が固定され、
揺動を容易にしている。重心25は、内槽15内に液体
ヘリウム17が充填されていない空の状態の重心位置で
あり、重心26は、重心25よりも下方であり、この重
心26は液体ヘリウム17が充填されたときの重心位置
である。
【0022】支持体18の上部は、天板22に固定され
る。外槽13、内槽15および支持体18などは繊維強
化プラスチックスなどの材料から成り、非磁性、かつ電
気絶縁性材料である。
【0023】図6は磁界測定アセンブリ5の下部付近の
側方から見た縦断面図であり、図7はその正面から見た
縦断面図である。外槽13は、その下部に、頭部4の少
なくとも頭蓋を覆う頭部被覆具28を有する。この頭部
被覆具28の前部分29は、本件磁界測定アセンブリ5
の軸線30に対して半径方向外方になるにつれて下方に
傾斜した傾斜部31に連なる。頭部被覆具28の後部分
32は、軸線30に対して半径方向外方になるにつれて
下方に傾斜した傾斜部33に連なり、この傾斜部33
は、軸線30に対して半径方向外方になるにつれて立上
がるように傾斜した傾斜部34に連なる。
【0024】頭部被覆具28の後部分32に連なる左右
両側部分35は、前述の傾斜部33,34に連なる傾斜
部36,37に順次的に連なる。傾斜部31,34,3
7は、軸線30を有する外槽13の大略的に直円筒状の
筒部38に連なる。
【0025】内槽15は、外槽13の筒部38と同軸の
筒部39から内被覆部材40に、外槽13の傾斜部3
1,33,34,36,37に対応して同一の数字に添
え字aを付して示す各部分を介して連なる。頭部被覆具
28は、全体にわたって同一の厚みを有し、内被覆部材
40もまた全体にわたって同一の厚みを有し、この頭部
被覆具28と内被覆部材40との間の距離d1は、全体
にわたって一様な予め定める一定の値に保たれている。
【0026】図8は磁界測定アセンブリ5の下部付近の
正面図であり、頭部被覆具28に被検体2の頭部4が装
着された状態を示す。頭部被覆具28の前部分29は、
目226の眼窩147(後述の図19参照)の近傍でそ
の上方まで延びており、側部分35が、顔の両側部を覆
い、こうして上方に立上がった凹所45を形成する。こ
れによって目226の前方が開放され、前方およびその
付近が視野に入り、これによって視覚の刺激を与えるこ
とができ、また被検体2が不安感を抱くことが防がれ
る。
【0027】再び図6および図7を参照して、前述のよ
うに直円筒状の支持体18の下部には、さらに支持体4
6が、連結部材86を介して連結される。この支持体4
6は、頭部被覆具28に対応する部分を、内槽15の内
被覆部材40から間隔d2をあけて覆う。支持体46に
は、複数(この実施例ではたとえば64個)の取付け孔
87が形成され、その取付け孔87を挿通して筒体12
8の長手方向途中位置で固定される。頭部被覆具28、
内被覆部材40、支持体46および筒体128もまた、
非磁性、かつ電気絶縁性の材料、たとえば繊維強化プラ
スチックスなどから成る。この支持体46にはまた、液
体ヘリウム17が供給されることを可能にするための透
孔129が形成される。
【0028】筒体128と内槽15、したがって内被覆
部材40側の一端部は、内被覆部材40の図6および図
7における上方の表面に、本発明の一実施例では、わず
かな間隙をあけて近接しており、他の実施例では、間隙
なしに当接している。したがって前記他の実施例では、
すなわち筒体128と内被覆部材40とが当接している
構成では、両部材128,40相互に前後左右に変位す
ることはなく、またこの内被覆部材40を有する内槽1
5と外槽13とは、図5を参照して前述したとおり、相
互に固定されている。したがって筒体128は、頭部被
覆具28と一体的であって、相互に変位することはな
い。
【0029】図9は、支持体46が連結部材86を介し
て筒状支持体18に固定された状態を示す下方から見た
斜視図である。支持体46は、頭部被覆具28を、ほぼ
一定間隔で覆う構成を有しており、頭部被覆具28の内
被覆部材40に対向する部分は、各部分の参照番号に添
字bを付して示す。
【0030】図10は、筒体128の配置を示す簡略化
した斜視図である。頭部4には、筒体128が等間隔で
左右対称に32個ずつ配置され、一側半球には、32個
の筒体128がほぼ等しい密度で分散して配置されてい
る。したがって換言すると、この筒体128は、少なく
とも前後および左右にそれぞれ配置されていることにな
る。
【0031】図11〜図18は、頭部被覆具28のもっ
と詳細な構成を示している。すなわち図11は頭部被覆
具28の正面図であり、図12はその側面図であり、図
13はその平面図であり、図14はその背面図であり、
図15はその底面図であり、図16は図11の切断面線
XVI−XVIから見た断面図であり、図17は図12
の切断面線XVII−XVIIから見た断面図であり、
図18は図12の切断面線XVIII−XVIIIから
見た断面図である。これらの図面を参照して、頭部被覆
具28は、たとえば日本人の成人の平均的な頭蓋をぴっ
たりと覆うことができる寸法、形状に選ばれており、そ
の両側部分35は、頭部4の耳介214,215を大き
く変形させない程度、したがってその耳介214,21
5の変形によって脳磁界を誘発しないように、その耳介
214,215に対応して、左右の外方に隆起し、下方
に延在している。これによって頭部被覆具28を頭部4
に上方からすっぽりと、かつ、ぴったりと嵌め込んで装
着することが可能となる。
【0032】図11において頭部被覆具28の幅L1=
205mmであり、凹所45の下部の幅L2=150m
mであり、隆起した側部分35の高さL3=90mmで
あり、頭部被覆具28の全高さL4=190mmであ
る。また図13から明らかなように、前後の長さL5=
200mmであり、側部分35の前部分29からの距離
L6=50mmである。図12における前部分29の凹
所45の高さL7=70mmであり、隆起部分35の幅
L8=50mmである。この頭部被覆具28の厚みは、
約5mm程度である。
【0033】頭部被覆具28が覆う領域は、図19およ
び図20にさらに詳細に示される。この頭部被覆具28
は、頭蓋131を少なくとも、覆う。この頭蓋131
は、頭蓋冠132と頭蓋底135とから成る。頭蓋冠1
32は、前頭骨136、頭部中央の左右の頭頂骨13
7、後方部の後頭骨138への少なくとも一部を含む。
頭蓋底135は、頭部の中央より少し前方に位置する蝶
形骨139、その周囲に位置する前頭骨136の一部、
左右の側頭骨140、および後頭骨138の一部を含
む。このような頭蓋131によって、図21に示される
大脳141と小脳142とが包囲される。大脳141
は、左右の大脳半球で、前頭葉143、後頭葉144、
側頭葉145および頭頂葉146を含む。頭部被覆具2
8の後部分32は、小脳142を覆う後頭骨138より
も、もっと下方にまで延びて覆うように構成され、これ
によって小脳142から発生される微弱磁界の分布を広
範囲に正確に測定することが可能となる。
【0034】図19において眼窩147が示され、これ
は凹所45から露出する。さらに側部35は、外耳道1
48を覆い、さらに顎骨149の下部の角150付近ま
で延び、これによって小脳142および大脳141の下
部付近から発生される微弱磁界の分布を高精度に検出す
ることができるようになる。
【0035】頭部被覆具28は、たとえば日本人以外の
東洋人、西洋人、およびアメリカ人などの欧米人、なら
びにアフリカ人、さらにはその他の人種などの頭蓋13
1の平均的な各形状に応じて、それぞれ構成されること
ができ、また成人だけでなく、子供などの頭蓋131の
形状に応じて、寸法、形状が変更される。
【0036】本発明の他の考え方によれば、頭部被覆具
28は、人の頭蓋131の人類学的な特徴に沿った緩や
かな曲面で少なくとも頭蓋部を3次元的にほぼ均一の間
隔をもって覆う弯曲部241と、磁界を大きく変形させ
ない程度に外方に隆起して2つの磁界部が弯曲部241
とは別の平面上に形成された平面部242とを含む。平
面部242は、前述の側部分に対応している。
【0037】図22は頭蓋131の正面図であり、図2
3はその頭蓋131の側面図である。これらの図面を参
照して、頭部被覆具28の弯曲部241および平面部2
42は、その前面でナジオン(鼻根)n付近まで延び、
側面はフロントマラーレテムポラーレfmtより後ろを
多い、側面下部はゴニオンgo付近まで延びて、後頭部
においてイニオンより少なくとも10cm以上下方まで
覆う。頭蓋131の上述の、およびその他の位置を表1
および表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】本件発明者らの調査によれば、日本人の頭
蓋131の外形の人類学的計数値は、表3のとおりであ
ることが判明した。表3では、日本人男性および女性の
成人の計測項目毎に、最小値と最大値が記載されてお
り、本発明の一実施例によれば、頭部被覆具28の内周
面は、男女共通値に示される仮想上の頭蓋131を、そ
の頭蓋131の外周面からほぼ同一距離、たとえば1〜
3cm程度をあけて、内周面が形成される。また他の実
施例では、日本人男性成人に最適な頭部被覆具の内周面
が、表3の男性値を用いて得られる。また同様にして、
日本人女性成人に最適な頭部被覆具の内周面は、表3に
基づき、定められる。本発明において特に重要な値は、
頭蓋最大長、頭蓋最大幅、バジオン・ブレグマ高、頭蓋
底長、最小前頭幅、最大前頭幅、最大後頭幅であり、さ
らに両耳幅、頬骨弓幅が重要であり、これらの値に基づ
き、頭部被覆具28の内周面が決定される。
【0041】
【表3】
【0042】表3における計測項目の定義は、表4に示
すとおりである。
【0043】
【表4】
【0044】さらに本発明の他の実施例として、被覆さ
れるべき頭蓋131の表5に示される各実測値である計
測項目X1〜X18などと、それらに個別的に対応する
予め定める計数とを用いて得られる判別式Yの値が、予
め定める値の範囲にあるように、頭部被覆具28の内周
面の形状が選ばれる。ここで判別式Yは、 Y=−20.9254+0.0280X1+0.0197X2 +0.0013X3+0.0292X4−0.0189X5 −0.0619X6+0.0912X7−0.0019X8 −0.0021X9+0.0048X10+0.0382X11 +0.0562X12−0.0148X13−0.1181X14 +0.0482X15+0.0306X16−0.0212X17 −0.0205X18 …(1)
【0045】
【表5】
【0046】前記判別式Yの値が、判別限界値を超える
とき、日本人男性に適した頭部被覆具の内周面の形状が
達成されているものと判定することができ、また判別式
Yは前記判別限界値未満であるときには、その頭部被覆
具は日本人女性成人に適したものであると判定すること
ができる。特に本発明では、実測値としては、頭蓋最大
長X1、頭蓋最大幅X2、バジオン・ブレグマ高X3お
よび頭蓋底長X4を用いて、前述の式1以外の式を用い
て、演算を行うようにしてもよく、上述の少なくとも4
つの実測値X1〜X4を用いることが重要である。
【0047】頭部4の外形形状、したがって頭蓋の形状
の計測をするにあたっては、図24に示されるように、
計測用被覆具243を用いる。この計測用被覆具243
は、頭部4、したがって頭蓋131を緩やかに覆い、参
照符244で示される間隔を有する。この計測用被覆具
243を、頭部4と相対的に変位しないように設けた状
態で、多数の計測棒245を用いて頭蓋の形状の計測を
行う。
【0048】図25は計測用被覆具243の平面図であ
り、図26はその計測用被覆具243の側面図であり、
図27は計測用被覆具243の正面図である。計測用被
覆具243には、表6に示されるように多数の計測用の
挿通孔H01〜H07,L13〜L42,R13〜R4
2が形成され、これらの挿通孔には個別的に計測棒24
5が一斉に、または順次的に挿入され、この挿入量によ
って頭蓋の表面形状を計測することができる。計測用被
覆具243は、予め定めた寸法を有し、厚みは4mmで
ある。日本人男性成人の計測用被覆具243を用いたと
きの計測棒の一端部を頭部および/または下方の表面に
当接し、計測用被覆具243の外表面までの距離を測定
した累積%を表6に示す。
【0049】
【表6】
【0050】頭部4の表皮までの距離を測って、得られ
た表5のデータに基づき、頭部4、したがって頭蓋13
1の形状を前述のようにして人類学的に得ることが可能
である。後述のようにして頭蓋131に本件頭部被覆具
28を装着して脳磁界検出をしたときに、その頭部被覆
具28に関する座標系と、頭蓋131の座標系との間の
座標変換を行う操作について説明する。
【0051】図28は、頭蓋131の平面図である。こ
の頭蓋131のナジオンnからは、左右の基準位置24
6を結ぶ一直線247への垂線248との交点249を
原点とし、直線247をたとえばX軸方向、垂線248
をY軸方向とし、これらの各線247,248を含む平
面に垂直な方向を、原点249を通るZ軸方向に定め、
これによって頭蓋131の座標系が決定される。基準位
置246は、左右2つの各アオリクラーレauの近傍で
あってわずかに前方の位置であり、図23にもまた、同
一の参照符246で示されている。
【0052】本発明では、このナジオンnと2つの基準
位置246とに、予め定める周波数を有する小形の電磁
波信号源をそれぞれ設け、頭部被覆具に関連して設けら
れる電磁波検出手段によって、その各電磁波信号源の3
次元位置を検出し、こうして電磁波検出手段の座標系に
おける各電磁波信号源の位置を求め、こうして頭部被覆
具に関連する座標系と頭蓋131の座標系との座標変換
の演算式を得ることができる。したがって、その後にお
いては、頭部被覆具を頭蓋131に装着して信号源を検
出した後に、頭蓋131の座標系に変換して、その信号
源の3次元の位置を補正演算することによって、複数回
の脳磁界検出の比較などを高精度で行うことができ、頭
蓋131と頭部被覆具28とのわずかなずれによる誤差
をなくことができる。前記電磁波信号源は、各取付け位
置毎に、周波数が異なっていてもよく、これによって各
電磁波信号源の個別的な位置を容易に検出することがで
き、あるいはまた各取付け位置に順次的に電磁波信号源
を単一個、取付けて磁界測定を行い、このような操作を
合計3回行うようにしてもよい。
【0053】図29は磁界測定アセンブリ5に内蔵され
る電気的構成を示す簡略化した電気回路図であり、図3
0は全体の電気的構成を示す電気回路図である。前述の
各筒体128内には、生体磁界を検出するための検出コ
イルである1次微分形のグラジオメータ151が固定さ
れて収納される。このグラジオメータ151には、結合
コイル152が接続され、各結合コイル152にはSQ
UID素子153が磁気結合される。SQUID素子1
53は、いわゆる直流形であり、超伝導リング154に
2つのジョセフソン接合155を有する構成を有する。
ジョセフソン接合155はニオブなどの超伝導体による
トンネル接合において、絶縁膜を、たとえば2nm程度
まで薄くすることによって、零電圧のまま電流が流れ、
電子対のままトンネルリングを起こすジョセフソン効果
を生じる。SQUID素子153は、トンネル接合に限
定されず、点接触形、ブリッジ形などであってもよい。
SQUID素子153には、直流定電流源156が接続
され、その定電流源156からの電流は、SQUID素
子153に供給される。SQUID素子153の出力電
圧V1は、ライン157を介して増幅器158で増幅さ
れ、磁気遮蔽室6の外部に、ライン159を介して導出
される。ライン159の出力は、同期検波回路161を
介してアナログ/デジタル変換回路162でデジタル値
に変換され、微弱磁界に対応したデジタル信号がマイク
ロコンピュータなどによって実現される処理回路163
に入力される。他の実施例として、直流形SQUID素
子153に代えて、1つのジョセフソン接合を有する超
伝導リングに関連して、共振コイルとコンデンサとの並
列共振回路を設け、高周波電流を与えて共振回路からの
外部検出磁界に対応した電圧を得る構成とした交流形S
QUID素子を用いてもよい。
【0054】1次微分形グラジオメータ151の具体的
な構成は、図31(2)に示されている。この1次微分
形グラジオメータ151は、一対のコイル164,16
5が相互に逆相となるように接続され、その取出しライ
ン166は、前述の結合コイル152に接続される。
【0055】前述のおよび後述のマグネトメータおよび
グラジオメータは、超伝導材料から成る。
【0056】本発明の他の実施例として、1次微分形グ
ラジオメータ151に代えて、図31(1)に示される
0次微分形(すなわち非微分形)マグネトメータ167
であってもよいし、また図31(3)に示されるように
2次微分形グラジオメータ168であってもよく、もっ
と高次微分形のグラジオメータであってもよい。2次微
分形グラジオメータ168は、一対の1次微分形グラジ
オメータ169,170を相互に逆相に接続した構成を
有しており、各1次微分形グラジオメータ169,17
0は、一対の逆相に接続されたコイル171,172;
173,174をそれぞれ有する。取出しライン175
は、結合コイル152に接続される。
【0057】さらに本発明の他の実施例として、図32
(1)に示される0次微分形グラジオメータとしてホー
ル素子176を用い、演算増幅器177に接続するよう
に構成してもよく、また図32(2)のように1次微分
形グラジオメータとして一対の逆方向性に接続されたホ
ール素子178,179を演算増幅器180に接続する
ように構成してもよく、さらに図32(3)のように2
次微分形グラジオメータとして一対の逆相に接続された
ホール素子181,182;183,184を、演算増
幅器185に接続するように構成してもよい。ホール素
子の他に、さらに他の構成を有する方向性検出が可能な
素子を用いてもよい。後述の実施例では、図31(2)
で示されるコイルによって実現される1次微分形グラジ
オメータ151を用いるものとする。
【0058】外部環境からの磁界雑音を、1次微分形グ
ラジオメータ151の出力から除去するために、図29
のように磁界雑音検出手段186が、生体磁界検出手段
としての1次微分形グラジオメータ151から、上方に
たとえば30cm離れた位置で液体ヘリウム17に浸漬
されて設けられる。この磁界雑音検出手段186は、図
33に示されるように、各組合せ187,188,18
9が、磁界検出方向190,191,192を有し、そ
れらが直交3軸X−Y−Zの各軸X,Y,Zにそれぞれ
平行になるように設けられている。X軸に平行な磁界検
出方向190を有する組合せ187は、0次微分形マグ
ネトメータ193と、1次微分形グラジオメータ194
とを有する。1次微分形グラジオメータ194は、一対
の逆相接続されたコイル195,196を有する。残余
のY軸に平行した磁界検出方向191を有する組合せ1
88、およびZ軸に平行した磁界検出方向192を有す
る組合せ189もまた同様な構成を有し、対応する部分
には添え字a,bをそれぞれ付して示す。
【0059】再び図30を参照して、マグネトメータ1
93は結合コイル197に接続され、また1次微分形グ
ラジオメータ194は結合コイル198に接続され、さ
らに直流形SQUID素子199,200に接続され、
このような構成は、前述のグラジオメータ151と同様
であり、ライン235,236を介して増幅回路20
1,202を介してさらにライン237,238を介し
て同期検波回路203,204を経て、アナログ/デジ
タル変換回路205,206を経て、処理回路163に
与えられる。残余の組合せ188,189もまた同様な
電気回路に関連して接続され、対応する部分には添え字
a,bを付して示す。処理回路163の出力によって表
示手段237には、等磁界分布図、電流源、MRI画像
などが目視表示される。
【0060】図34は、処理回路163の動作を説明す
るためのフローチャートである。ステップa1からステ
ップa2に移り、脳磁界検出のために1次微分形グラジ
オメータ151の出力を受信する。これと同時にステッ
プa3では、磁界雑音検出手段186の各組合せ18
7,188,189の出力を受信する。
【0061】ステップa4では、磁界雑音検出手段18
6の出力に基づき、仮想上の微分形グラジオメータの出
力の演算を行う。
【0062】生体、すなわちこの実施例では脳の信号源
である電流源に近い位置にある1次微分形グラジオメー
タ151を検出コイルと呼び、その脳磁界信号が充分に
減衰して検出されない位置にある1次微分形グラジオメ
ータ194,194a,194bを、参照コイルと呼ぶ
ことにする。検出コイル151は、前述のようにたとえ
ば64個のチャネル分だけあり、参照コイル194,1
94a,194bは、前述の図33に示されるように3
個ある。或るチャネルの検出コイルの出力をSk、参照
コイルの出力をSj、減算の重みをζとすると、演算に
よって仮想上の微分形グラジオメータを構成するように
補正された検出コイルの出力Skpは、次式で示され
る。
【0063】
【数1】
【0064】すなわち適当な減算の重みζkjを決定す
ることによって、検出コイル151と同じ位置での参照
コイルをソフトウエアで構成し、検出コイル151との
減算を行う。この操作によって、非常に優れた環境雑音
除去効果を持つ仮想上の微分形グラジオメータが得ら
れ、その効果は、3次微分形グラジオメータに匹敵する
ことが、本件発明者の実験によって確認された。
【0065】参照コイルは、図33に示されるように、
3つの組合せ187,188,189だけ設けられ、さ
らにマグネトメータ193,193a,193bが設け
られているので、3次元空間の磁界雑音の強さと方向と
が求められ、各検出コイル151の軸線方向の磁界雑音
の強さを求めることができる。こうして、全ての検出コ
イルである1次微分形グラジオメータ151の各位置に
おけるその1次微分形グラジオメータ151の軸線に沿
う方向の磁界成分を演算して求めることができ、したが
って各1次微分形グラジオメータ151の出力の補正を
行うことができる。こうして1次微分形グラジオメータ
151を用いることによって、脳磁界検出感度の低下を
来すことなく、しかも外部環境による雑音を充分に除去
することが可能となる。
【0066】本件発明者の実験結果を述べると、1次微
分形グラジオメータ151および参照コイルによって検
出されたホワイトノイズは、図35に示されるとおりで
あり、他の位置に設けられている或る1次微分形グラジ
オメータ151および参照コイルのホワイトノイズ出力
は図36で示されるとおりであった。
【0067】図37を参照して、大脳皮質のほぼ全域に
分散して、前述のような1次微分形グラジオメータ15
1を配置し、被検体2の脳の聴覚誘発磁界測定を行った
結果を説明する。参照符207で示されるように、音波
を被検体2に与えたとき、1次微分形グラジオメータ1
51の出力は参照符208で示されるとおりであり、S
N比は0.05である。図37の波形208は、1次微
分形グラジオメータ151で検出された聴覚誘発反応の
脳磁界波形であり、このような波形は、外部環境の磁気
雑音によって隠れてしまい、脳磁界だけを判別すること
は不可能である。1次微分形グラジオメータ151に代
えて、2次微分形グラジオメータを実際に配置したとき
の脳磁界波形は参照符209で示されるとおりである。
この2次微分形グラジオメータの出力波形209では、
SN比は0.5であったが、脳磁界だけを判別するには
不充分である。
【0068】本件発明者の実験結果によれば、1次微分
形グラジオメータ151の出力を、磁界雑音検出手段1
86の出力に基づいて補正して外部環境の磁界雑音を除
去した後の波形は、参照符210で示されるとおりとな
り、SN比が5.0に向上されたことが確認された。す
なわち波形210に示されるように、磁界雑音を除去す
る効果が3次微分形グラジオメータに相当する演算を行
って、前述の磁界雑音の除去を行うことによって、1次
微分形グラジオメータ151のみに比べてSN比で約1
00倍改善され、これによって脳磁界だけの解析が充分
に可能となった。このことから、本発明によれば、外部
環境の磁界雑音が著しく低減され、微弱な脳磁界を高精
度に検出することができることが理解される。
【0069】このような磁界雑音検出手段186を用い
て外部環境からの磁界雑音を除去することによって、図
45に示されるように脳からの数百fT=10-13Tで
ある微弱な磁界を、数百nT=10-7Tである自動車、
電車およびエレベータなどから発生される都市の磁気雑
音から遮蔽して、高精度に検出することが可能となる。
さらにまたこのような外部環境からの磁界雑音を除去す
る構成は、周波数依存性を有さず、したがってこの点
で、周波数依存性の遮蔽能を有する磁気シールドルーム
に比べて、優れている。
【0070】また、磁気遮蔽室6を構成する磁気遮蔽板
61、両側壁43,44および天井板62、さらに図1
の手前と背後の側壁は、前述のパーマロイによって構成
されるけれども、磁界雑音検出手段186を用いること
によって、高精度の脳磁界分布を検出するために、たと
えば図44の特性223の遮蔽能を有する磁性材料を用
いればよい。これに対して磁界雑音検出手段186が用
いられていない従来の微弱磁界測定装置を用いるときに
は、特性222またはそれよりももっと優れた遮蔽能を
有する磁性材料を、磁気遮蔽室6の形成のために、用い
る必要がある。本発明によれば、磁気遮蔽室6は、省略
されることもあり得る。
【0071】図38は、筒体128にそれぞれ設けられ
た1次微分形グラジオメータ151および参照コイルに
よって検出された立体的な頭磁界分布を示す斜視図であ
る。前述の図36に関連して示す音の信号207を被検
体2に与えたとき、図38に示されるような聴覚誘発磁
界分布が、本件発明者の実験によって得られた。参照符
212の位置から、脳磁気が沸き出し、参照符213の
位置で沈み込む。こうして左脳側に電流源があることが
判る。
【0072】図39は、前述の図38で得られる3次元
の立体的な頭磁界線図をその頭部4の上方から見た頭磁
界分布の平面図である。図39の上方が頭部4の前方で
あり、この図38では参照符214,215は左右の耳
介を示している。右脳にもまた参照符216で示される
脳磁気の沸き出し位置があり、その脳磁気は沈み込み位
置217に入り込む。これによって左右の脳には、電流
源218,219が存在することが明瞭に判る。
【0073】図40は、図38および図39に示される
本件発明者の実験結果を、脳断面画像220とともに立
体的に示す図である。電流源218または219が存在
する3次元の位置が測定された後には、頭部被覆具28
の座標系から頭蓋131の座標系に変換され、その各位
置218,219を通る脳の断面画像を、頭蓋131の
座標系で、磁気共鳴映像法MRIを用いて得る。これに
よって電流源218,219の立体的な位置を、観察者
が視覚上、把握しやすい。
【0074】特に本発明の実験によれば、頭部4のほぼ
全域を覆う頭部被覆具28を用い、多数の脳磁界検出用
グラジオメータ151を用いて、頭部4全体の脳磁界を
測定することができるようにしたので、聴覚誘発脳磁界
のように、両側頭葉145(図21参照)に1つずつの
電流源218,219が存在することが、本発明によっ
て初めて明らかとなった。本発明に従えば、このように
複数の電流源218,219の3次元位置を演算によっ
て算出することができる。従来では、脳磁界の測定範囲
が狭く、そのため電流源の数は1個だけあるものとし
て、その電流源の位置を演算して求めていたので、本発
明に従う電流源の位置と比較して、たとえば約10mm
以上の誤差が生じていたけれども、本発明によれば、複
数の電流源を高精度で検出することができるようにな
る。
【0075】図41は、このような電流源218,21
9の位置を検出するための処理回路163の動作を説明
するためのフローチャートである。たとえば聴覚誘発磁
界の測定においては、一側半球のみの測定データの中に
も、反対側の電流源の電流ダイポールからの磁界寄与は
含まれている。この磁界寄与の電流源推定に与える影響
について、磁界B、電流源J、その位置r、導体表面で
の電位V、導電率σ、真空の比透磁率μoとするとき、
次の式3および式4が成立する。
【0076】
【数2】
【0077】式3中には、各導体の表面の電位Vが右辺
第2項に含まれており、この電位Vの算出のためには式
4が必要となる。
【0078】式3の電位Vに関する積分方程式は自己無
頓着である。これらの積分方程式は、生体モデルが球や
回転楕円体のような対称な形状の場合のみ解析解を得る
ことができる。一般的な形状の場合、境界要素法などの
数値計算によって磁界は算出される。正確な磁界算出の
ためには、各導体の境界面を数万個に分割する必要があ
る。
【0079】このように順問題でさえ複雑な記述、取扱
を必要とする理由は、体積電流の存在にある。この体積
電流が無視できる場合、式3の右辺第2項は零となり、
右辺第1項のみの簡単な記述となる。この右辺第1項は
いわゆるビオ・サバールの定理である。この場合、当然
式4の表面電位計算の必要も全くなくなる。しかし体積
電流を無視できるような状態は、実際の生体にはありえ
ない。
【0080】そこで逆問題解析について述べる。式3,
4において、磁界Bが測定されており、電流源J、その
位置rを求めることが(特にr)、SQUID素子を用
いた生体機能診断の目的である。この解析解が得られな
いことは容易に推定できる。電流源推定は、一般的に測
定された磁界データと、仮説された電流源から算出され
る磁界との比較により、評価関数を予め定めた範囲にす
ることによって行われる。つまり順問題の回帰計算に帰
着される。具体的には、測定データをSi(i=1,
2,…,n)、仮説された電流源から算出されるデータ
をCi(i=1,2,…,n)とすると、前記比較に伴
う評価関数δは、最小2乗誤差として次式5で与えられ
る。
【0081】
【数3】
【0082】評価関数δが設定した値、たとえば0.9
7より小さくなるまで、電流源のパラメータを変化させ
る。
【0083】このようにして、脳磁界測定データから電
流源の推定を行う場合には、観察したい電流ダイポール
と、その他の電流ダイポールを全て仮定して行うとすれ
ば、電磁気学的には誤差を生じる結果になり、本発明で
はこの問題を解決するために、電流源の位置の推定前
に、大脳皮質のほぼ全域から発生する磁界を計測し、こ
れによって上述のように電流源の位置を正確に検出する
ことを可能にしている。
【0084】図41のステップb2では、電流源の位置
の仮設を行って電流源のパラメータを定め、次のステッ
プb3では、検出位置iにおける磁界強度の演算を行
い、その後、ステップb4では、前述の評価関数δの演
算を行う。ステップb5では、この評価関数δの値が設
定した値δ1(たとえば0.97)未満であるかどうか
が判断され、そうであれば、ステップb7に移り、その
電流源の位置を含む磁気共鳴映像法MRIによるたとえ
ば図39に示される脳断面画像220上に電流源の位置
を表示する。
【0085】ステップb5において評価関数δの値が、
予め設定した値δ1を超えるときにには、上述のように
電流源の位置、方向、大きさのうち少なくとも1つ、し
たがってパラメータを変更して仮設し、ステップb3に
戻り、このようにして評価関数δが予め定める値δ1以
下になるまで、電流源のパラメータを変化して演算を繰
返す。
【0086】評価関数δは、前述の式5は分母で規格化
されているけれども、本発明において重要なことは、式
6で示されるように、(Si−Ci)の絶対値の和が重
要であり、その和を得ることができる評価関数δと等価
な評価関数であればよい。
【0087】
【数4】
【0088】また評価関数δは、内積を利用して、下式
の式であってもよい。下式の式を用いると、δは1に近
い方がよく、|δ−1|が設定した値より小さくなるま
で、電流源のパラメータを変化して演算を繰返す。
【0089】
【数5】
【0090】図42は、本件発明者の実験結果を示す磁
気共鳴映像法MRIによる頭部4の背後から見た縦断面
画面上に電流源218,219を表した図である。また
図43は、同様な磁気共鳴映像法MRIによる頭部4の
水平断面画像上に、電流源218,219を描いた画像
である。このように電流源218,219が、存在する
3次元の位置を通る磁気共鳴映像法MRIによる脳断面
画像上に、電流源218,219の位置を高精度に表示
することによって、その聴覚誘発磁界の検出、したがっ
て脳の機能情報の診断を、高精度で行うことができるよ
うになる。
【0091】このような画像に電流源の位置を3次元的
に重ねて表示を行うにあたっては、前述の図28に関連
して説明したように、頭蓋131の座標系に変換して、
電流源の位置を求め、これによって、磁気共鳴映像法M
RIによる脳断面画像に、正確に表示を行うことが可能
となる。
【0092】本発明の他の実施例として、磁気共鳴映像
法MRIのほかに、X線CT(computed tomograph
y)、PET(position emission tomography)、SP
ECT(single position emission computed tomograp
hy)または超音波画像診断装置などによって脳などの生
体の断面画像、さらには3次元画像図として表示を行
い、そのような各画像上に、本発明によって求めた電流
源の位置、方向、および大なきさなどを判りやすく表示
することができる。
【0093】図42および図43における参照符22
4,225は、外部環境の磁界雑音を検出する手段18
6が設けられないときにおける先行技術における電流源
の推定位置であり、しかもその先行技術では、脳磁界の
検出は、頭部4のきわめて限られた範囲だけしか検出さ
れず、1つの電流源だけを推定する構成となっている。
このような先行技術では、電流源の位置219が、実際
よりも10mm以上、浅く求められてしまい、誤差が大
きいという問題がある。上述の実施例では、この問題を
解決している。
【0094】本発明は、次のような構成に関連して、実
施することができる。
【0095】(1)日本人などの東洋人、および欧米人
などの人種および/または性別に、頭蓋の人類学的計数
値に基づいて、頭蓋から全周にわたってほぼ同一距離を
あけた内周面を有する頭部被覆具。
【0096】(2)人の頭蓋の人類学的な特徴に沿った
緩やかな曲面で少なくとも頭蓋部を3次元的にほぼ均一
の間隔をもって覆い、その前面はナジオン(鼻根)付近
まで延び、側面はフロントマラーレテムポラーレより後
ろを覆い、側面下部はゴニオン付近まで延びて、後頭部
においてイニオンより少なくとも10cm以上、下方ま
で覆う弯曲部を形成し、耳介部は耳介を大きく変形させ
ない程度に外方に隆起し、2つの耳介部がそれぞれ隆起
したかつ前記弯曲部とは別の平面部を形成し、非磁性か
つ電気絶縁性の材料から成る頭部被覆具。
【0097】(3)頭蓋最大長169.3〜183.0
mm、頭蓋最大幅133.6〜145.3mm、バジオ
ン・ブレグマ高127.5〜140.6、頭蓋底長9
3.8〜103.1、最小前頭幅89.8〜95.4、
最大前頭幅109.1〜119.9、最大後頭幅10
3.6〜110.3、両耳幅110.5〜128.8、
頬骨弓幅123.6〜136.2の仮想上の頭蓋幅の頭
蓋の外周面からほぼ同一距離をあけて、内周面が形成さ
れる頭部被覆具。
【0098】(4)頭蓋最大長178.3〜183.0
mm、頭蓋最大幅139.8〜145.3mm、バジオ
ン・ブレグマ高134.5〜140.6、頭蓋底長10
0.9〜103.1、最小前頭幅93.0〜95.4、
最大前頭幅113.8〜119.9、最大後頭幅10
7.5〜110.3、両耳幅118.4〜128.8、
頬骨弓幅133.5〜136.2の仮想上の頭蓋幅の頭
蓋の外周面からほぼ同一距離をあけて、内周面が形成さ
れる頭部被覆具。
【0099】(5)頭蓋最大長169.3〜174.1
mm、頭蓋最大幅133.6〜139.7mm、バジオ
ン・ブレグマ高127.5〜136.2、頭蓋底長9
3.8〜98.2、最小前頭幅89.8〜91.2、最
大前頭幅109.1〜113.8、最大後頭幅103.
6〜106.2、両耳幅110.5〜122.7、頬骨
弓幅123.6〜128.3の仮想上の頭蓋幅の頭蓋の
外周面からほぼ同一距離をあけて、内周面が形成される
頭部被覆具。
【0100】(6)被覆される頭蓋の少なくとも頭蓋最
大長、頭蓋最大幅、バジオン・ブレグマ高、頭蓋底長の
各実測値と、それらに個別的に対応する予め定める係数
との積の加算および/または減算によって得られる判別
式Yの値が、予め定める値の範囲にあるように、内周面
の形状が選ばれる頭部被覆具。
【0101】(7)少なくとも頭蓋を覆い、非磁性、か
つ電気絶縁性の材料から成り、ほぼ均一な厚みを有し、
耳介を大きく変形させない程度に耳介に対応する部分が
外方に隆起して下方に延在している頭部被覆具。
【0102】(8)前部分は、眼窩の近傍でその上方ま
で延びる頭部被覆具。
【0103】(9)後部分は、後頭骨の下部付近まで延
び、側部分は、顎骨付近まで延びる頭部被覆具。
【0104】(10)頭蓋を緩やかに覆い、多数の挿通孔
が形成される剛性の計測用被覆具の前記各挿通孔に計測
棒をそれぞれ挿入し、計測棒の一端部を、頭および/ま
たは顔の表面に当接し、計測用被覆具からの計測棒の挿
入量によって、頭蓋の表面形状を計測する頭蓋形状の計
測方法。
【0105】(11)頭蓋のナジオンnと、左右2つのア
ウリクラーレauの近傍であってわずかに前方の基準位
置とに、予め定める周波数を有する小形の電磁波信号源
をそれぞれ取付け、頭部被覆具に関連して設けられた電
磁波検出手段によって、各電磁波信号源の位置を検出
し、その検出結果に基づいて頭部被覆具の座標系と、頭
蓋の座標系との座標変換をする座標系の変換方法。
【0106】(12)頭蓋の座標系は、前記2つの基準位
置を結ぶ直線とナジオンnを通る垂線との交点を原点と
し、前記直線と前記垂線とを座標軸とする直交座標系で
ある座標系の変換方法。
【0107】本件頭部被覆具は、少なくとも頭蓋を覆
う。この頭蓋は、頭蓋冠と頭蓋底とから成り、頭蓋冠
は、前頭骨、頭部中央の左右の頭頂骨、後方部の後頭骨
の一部を含み、頭蓋底は、頭部の中央より少し前方に位
置する蝶形骨、その周囲に位置する前頭骨の一部、左右
の側頭骨および後頭骨の一部を含む。このような頭蓋に
よって、大脳と小脳を包囲することができる。この大脳
は、左右の大脳半球、前頭葉、後頭葉、側頭葉および頭
頂葉を含む。これによって脳から発生される微弱な磁界
を、その脳の全体にわたって測定して採取することが可
能となる。
【0108】すなわち頭部被覆具は、湾曲部と平面部と
を有し、弯曲部は、その前面がナジオン付近まで延び、
側面は、フロントマラーレテムポラーレより後ろを覆
い、側面下部はゴニオン付近まで延びて後頭部において
イニオンより少なくとも10cm以上、下方まで覆い、
平面部は、耳介に対応しており、耳介を大きく変形させ
ない程度に外方に隆起している。
【0109】また頭蓋の形状を、日本人の男女共通用、
日本人男性用、日本人女性用などに分けて、ぴったりと
頭部に装着することができる頭部被覆具を実現すること
ができる。前述の第2の先行技術に関連して述べた単純
なヘルメット状の構造では、頭蓋底付近、すなわち側頭
部および後頭部を被覆することは不充分であり、そのよ
うな部位の信号源推定は誤差が大きく、支障を来す。
【0110】この頭部被覆具は、非磁性、かつ電気絶縁
性の材料から成り、たとえば繊維強化プラスティック
ス、合成樹脂などの材料から成り、したがって脳から発
生される磁界などの物理量が変化してその測定値に誤差
を生じるおそれはない。
【0111】さらに厚みはほぼ均一であり、したがって
その頭部被覆具に近接して検出コイルなどの磁界検出手
段を配置したとき、頭蓋からほぼ等距離で磁界などの検
出が可能となり、その強度を高精度に測定することが可
能である。
【0112】さらに頭部被覆具には耳介を大きく変化さ
せない程度に、耳介に対応する部分が、外方に隆起して
下方に延在しているので、本件頭部被覆具を、被検体の
頭部にぴったりと上方からかぶせることができ、このと
き耳介が大きく変形されないので、耳介の変形に対応す
る脳からの不所望な磁界などの発生を防ぐことができ
る。
【0113】さらに頭部被覆具の前部分は、眼窩の近傍
でその上方まで延びる。したがって被検体が前方を直視
することができ、さらには或る範囲にわたって視野が存
在し、したがって視覚誘発磁界の測定が可能である。ま
た人体の目を覆うことがなくなるので、人体に不安感を
与えることがない。
【0114】さらに頭部被覆具の後部分は、後頭骨の下
部付近まで延び、また側部分は顎骨付近まで延びるの
で、小脳付近および顎骨付近での磁界の分布を測定する
ことができ、このような磁界分布の測定のための検出コ
イルなどの磁界測定手段は、信号源である電流源推定の
ために、それから広く分布して配置されることが必要で
あり、本発明はこのことを可能にしている。
【0115】本発明は、脳から発生される磁界を検出す
るためだけでなく、その他の物理量を測定するために広
範囲に実施することができる。
【0116】頭蓋の表面形状を計測するにあたっては、
頭蓋を緩やかに覆う剛性の計測用被覆具を用い、その計
測用被覆具の挿通孔に、容易に安価に計測棒をそれぞれ
挿入して、その軽装棒の計測用被覆具内方の一端部を、
頭および/または顔の表面に当接し、その計測用被覆具
のたとえば外表面からの計測棒の挿入量を測定すること
によって頭蓋の表面形状を計測することができる。
【0117】さらにこのような頭部被覆具を用いて、脳
などの物理量を3次元空間で計測したとき、その頭部被
覆具に関連する座標系と実際の頭蓋の座標系との座標変
換を行うことによって、頭蓋の座標系での3次元の物理
量の分布を得ることができる。
【0118】特にこの頭蓋の座標系を設定するにあた
り、頭蓋のナジオンnと、左右2つのアウリクラーレa
uの近傍であってわずかに前方の基準位置とに、予め定
める周波数を有する小形の電磁波信号源をそれぞれ取付
けて、頭部被覆具に関連して設けられた電磁波検出手段
によって、その各電磁波信号源の位置を検出し、この検
出結果に基づいて、座標系の変換を行うことができるよ
うになる。
【0119】本発明は、次の構成に関連して実施するこ
とができる。
【0120】(13)生体の検出すべき部位の近傍に配置
され、微弱磁界を検出する生体磁界検出手段と、生体磁
界検出手段から離れた位置に配置され、外部環境からの
磁界雑音である微弱磁界を検出する磁界雑音検出手段
と、生体磁界検出手段の出力と、磁界雑音検出手段の出
力とを演算処理して、外部環境磁界雑音を除いた生体磁
界を求める演算手段とを含む微弱磁界測定装置。
【0121】(14)磁界雑音検出手段は、磁界の検出の
方向性を有する磁界検出素子を、複数個、磁界検出方向
が相互に異なるように配置されて構成され、これによっ
て外部からの雑音である磁界の分布を求めることがで
き、演算手段は、磁界雑音検出手段の出力に応答して、
生体磁界検出手段の位置にある磁界雑音の強度を求めて
前記演算をする微弱磁界測定装置。
【0122】(15)生体の近傍に配置される1次微分形
グラジオメータである生体磁界検出コイルと、生体磁界
検出コイルから離れた位置に配置される0次微分形マグ
ネトメータである第1参照コイルと、第1参照コイルの
近傍に配置され、1次微分形グラジオメータである第2
参照コイルと、第1および第2参照コイルの出力に応答
して、生体磁界検出コイルの近傍の位置に仮想上配置さ
れた微分形コイルの出力を演算することにより、生体磁
界検出コイルの位置における外部環境からの磁界雑音を
求める第1演算手段と、生体磁界検出コイルおよび第1
演算手段の各出力に応答して、生体磁界検出コイルの出
力と第1演算手段の出力とを演算処理して、外部環境磁
界雑音を除いた生体磁界強度を求める第2演算手段とを
含む微弱磁界測定装置。
【0123】(16)生体磁界検出コイルは、生体の近傍
に分散して配置され、第1および第2参照コイルはその
磁界検出方向が直交3軸X−Y−Zの各軸X,Y,Zに
それぞれ平行であり一致し、第1演算手段は、各生体磁
界検出コイル毎の微分形グラジオメータの出力を演算し
て求め、各生体磁界検出コイル毎の各位置における外部
磁界を演算して求め、第2演算手段は、各生体磁界検出
コイルの出力と、対応する演算して求められた第1演算
手段の出力とを演算処理し、外部環境磁界雑音を除いた
生体磁界を求める微弱磁界検出装置。
【0124】(17)生体の近傍に配置されるi次(i
は、零または正の整数)微分形の生体磁界検出コイル
と、生体磁界検出コイルから離れた位置に配置され、i
次微分形コイルの出力を演算して求めるためのi次以下
の微分形の複数の参照コイルと、前記複数の参照コイル
の出力に応答して、各生体磁界検出コイルの位置におけ
る仮想上のi次微分形コイルの外部環境雑音出力を演算
して求める第1演算手段と、生体磁界検出コイルおよび
第1演算手段の出力に応答して、生体磁界検出コイルの
出力から第1演算手段の出力を演算処理する第2演算手
段とを含む微弱磁界測定装置。
【0125】(18)生体の磁界を検出すべき部位の近傍
の位置でi次(iは零または正の整数)微分形の生体磁
界を測定し、生体磁界から離れた生体磁界の影響のない
位置で、i次微分形の外部環境からの磁界雑音を測定
し、前記生体磁界の測定位置における仮想上のi次微分
形の外部環境磁界雑音を演算して求め、前記測定された
生体磁界から、前記演算して求めた外部環境の磁界雑音
を演算処理する微弱磁界測定方法。
【0126】本件生体磁界検出手段は、脳などの生体の
微弱磁界を検出するとともに、外部環境からの磁界雑音
もまた同時に検出し、これに対して生体磁界検出手段か
ら離れた位置に設けられた外部磁界雑音検出手段は、磁
界強度が信号源からの距離の2乗に反比例して小さくな
るので、生体磁界を検出することなく、外部環境からの
磁界雑音だけを検出し、したがってこの生体磁界検出出
力と磁界雑音検出出力とを演算処理することによって、
磁界雑音に悪影響なしに、外部環境磁界雑音を除いた生
体磁界を高精度で検出することが可能になる。
【0127】外部環境からの磁界雑音を検出する磁界雑
音検出手段は、複数の磁界検出素子、たとえば0次微分
形マグネトメータである第1参照コイルと、1次微分形
グラジオメータである第2参照コイルとの組合せを設
け、このような第1および第2参照コイルは、磁界の強
度の検出が可能なだけでなく、その磁界の検出の方向性
を有しており、すなわち磁界の方向が第1および第2の
参照コイルの軸線に一致したとき、鎖交磁束が大きくな
って誘起起電力が大きくなる特性を有しており、したが
ってこれらに基づいて、外部環境からの磁界雑音の分
布、すなわち強度および方向を求めることができる。こ
のような磁界分布に基づいて、演算手段によって、生体
磁界検出手段の位置におけるその生体磁界検出手段の磁
界検出方向に沿う磁界の強度を求めることができる。こ
れによって生体磁界検出手段の出力に含まれている磁界
雑音を除去することができる。
【0128】生体磁界検出手段は、たとえば1次微分形
グラジオメータである生体磁界検出コイルであってもよ
い。さらにコイルに代えて、その他の構成によって実現
されてもよく、たとえばホール素子が用いられてもよ
い。
【0129】特に生体磁界検出のために前述のように1
次微分形コイルを、測定対象物である被検体のたとえば
頭蓋、したがって脳に充分に近づくようにして配置し、
さらに外部環境からの磁界雑音を検出するために、被検
体からたとえば30cm以上離れた位置に、非微分形、
すなわち0次微分形のコイルであるマグネトメータと1
次微分形のグラジオメータとを配置し、これらの各コイ
ルは全て、同一の極低温断熱容器に収納され、個別的に
各SQUID素子に磁気結合されて磁界が検出される。
このような構成によれば、生体磁界検出用の1次微分形
コイルでは、生体磁界の外部環境磁界雑音とが検出さ
れ、また外部環境の磁界雑音を検出するマグネトメータ
とグラジオメータとは、測定対象物である被検体の頭蓋
から充分離れているので、そのような生体磁界は、減衰
してしまい、検出不可能であり、磁界雑音だけが検出さ
れる。したがってこれらの各コイルのデータをマイクロ
コンピュータなどの信号処理手段で演算処理を施すこと
によって、外部環境からの磁界雑音が除去された生体磁
界を高精度に測定することができる。
【0130】さらに生体磁界の検出のためにi次(i
は、零または正の整数)微分形の生体磁界検出コイルと
し、一方、外部環境の磁界雑音の検出のために、複数の
参照コイルを用い、この参照コイルは、i次微分形コイ
ルとそれ以下の次数を有する微分形のコイルとを含み、
これらの参照コイルの出力によって、各生体磁界検出コ
イルの位置における仮想上のi次微分形コイルの外部環
境雑音出力を演算して求めることが可能となり、これに
よって生体磁界検出コイルの出力から、高次の微分形コ
イルの出力を減算して、SN比を著しく向上することが
できる。これらのi次以下の複数の参照コイルは、たと
えば直交3軸X−Y−Zの各軸毎に設けて、生体磁界検
出コイルの配置された位置における生体磁界検出コイル
の軸線に沿う方向の磁界雑音の成分を演算して求めるこ
とができ、このことによって、磁界雑音の悪影響を充分
に除去することができる。
【0131】さらに磁気雑音だけを検出する参照コイル
を用いてその参照コイルの出力を演算することによっ
て、参照コイルの次数よりも高い次数の仮想上の高次の
微分形グラジオメータの出力を求めることができ、磁界
雑音除去性能を向上することができる。たとえば上述の
ように本発明に従い、参照コイルとしてマグネトメータ
と1次微分形グラジオメータとの組合せを用いたとき、
たとえば重み付け関数を用いて、2次微分または3次微
分などに相当する特性を演算して求めることができ、し
かも生体磁界の信号検出感度は、その生体磁界検出コイ
ルの次数に対応した特性が維持され、たとえば生体磁界
検出コイルが1次微分形グラジオメータであるときに
は、その1次微分形のグラジオメータの感度が維持され
る。
【0132】さらに参照コイルを用いて実際の磁界雑音
を、生体磁界の検出と同時に計測しているので、磁界雑
音の除去特性に周波数特性がなく、たとえば自動車およ
び電車などのような外部環境からの磁界雑音のような低
周波数の磁界雑音であっても、充分に除去可能である。
したがって高価な遮蔽能が優れた磁気シールドルームは
必要ではなく、さらには磁気シールドルームを省略する
ことも可能であり、あるいはSQUID素子の同期検波
のために用いられるMHzのオーダの高周波帯域の磁界
雑音を遮断する高周波磁気シールドルーム内で本発明を
実施することもまた可能である。
【0133】さらに本発明は、次のような構成に関連し
て実施することができる。
【0134】(19)(a)少なくとも頭蓋を覆う頭部被
覆具を有する外槽と、その外槽を、真空断熱層を介して
囲む内槽とを備え、内槽内に、極低温液体が貯留される
極低温容器と、(b)内槽に収納され、内槽の頭部被覆
具に対応する部分を、その内槽から間隔をあけて覆う支
持体と、(c)支持体を挿通して支持体に固定され、内
槽側の一端部が、その内槽の表面に当接し、少なくとも
前後左右に配置される筒体と、(d)筒体内に収納さ
れ、脳からの微弱な磁界を検出するコイルとを含み、
(e)外槽、内槽、支持体および筒体は、非磁性かつ電
気絶縁性の材料から成る微弱磁界測定装置。
【0135】極低温液体、たとえば液体ヘリウムなどを
貯留した内槽は、真空断熱層を介して外槽によって囲ま
れており、この外槽は、被検体の少なくとも頭蓋を覆う
頭部被覆具を有しており、これによって頭部に外槽がい
わばヘルメット状にぴったりと装着されることができ
る。極低温容器の内槽には、支持体が固定されており、
この支持体には、被検体の少なくとも前後左右に、した
がって少なくとも4つの筒体が配置されてその筒体が支
持体に固定されており、この筒体内に、脳からの微弱な
磁界を検出するコイルが収納され、特にこの筒体の内槽
側、すなわち頭蓋側の一端部が、内槽の表面に当接して
おり、これによって筒体と内槽、したがって極低温容器
との相対的な変位が阻止される。したがってこの筒体内
に収納されたコイルは、頭蓋から予め定める正確な距離
に位置して微弱磁界を検出することが可能である。
【0136】さらに外槽、内槽、支持体および筒体は、
非磁性かつ電気絶縁性の材料、たとえば繊維強化プラス
ティックス、合成樹脂などからなり、したがって検出す
べき微弱磁界が減衰されたり不所望に変化されたりする
ことはなく、磁界の検出を高精度に行うことができる。
【0137】さらに本発明は、次の構成に関連して実施
することができる。
【0138】(20)生体の検出すべき複数の部位の近傍
にそれぞれ配置され、生体の微弱磁界を検出する複数の
生体磁界検出手段と、生体磁界検出手段の出力データ
と、仮設された位置にある1または複数の電流源から算
出される磁界分布データとの比較を行い、生体磁界検出
手段の出力データと、前記算出した磁界分布データとの
適合度を評価する関数値が予め定める範囲になるまで、
電流源の位置、方向および大きさを変化して演算する手
段とを含む磁界を発生する電流源の位置検出装置。
【0139】(21)前記演算手段は、前記比較に伴う評
価関数δ、
【0140】
【数6】
【0141】あるいは
【0142】
【数7】
【0143】またはこれらと等価な評価関数であり、こ
こで生体磁界検出手段によって検出される各位置i(i
=1,2,…,n)毎の測定値をSiとし、仮設された
1または複数の電流源による各位置i毎の磁界をCiと
し、評価関数δが予め定める範囲になるまで電流源の位
置、方向、大きさを変化して演算する磁界を発生する電
流源の位置検出装置。
【0144】(22)生体磁界検出手段は、少なくとも頭
蓋を覆う頭部被覆具に分散して設けられる磁界を発生す
る電流源の位置検出装置。
【0145】(23)前記検出された電流源の位置を、磁
気共鳴映像法MRI、X線CT、PET、SPECTな
どの画像診断装置による脳断層画像上に表す表示手段を
さらに含む磁界を発生する電流源の位置検出装置。
【0146】たとえば脳磁界を検出するにあたっては、
少なくとも頭蓋を覆う頭部被覆具に、生体磁界検出手段
を分散して複数個設け、これによって大脳および小脳を
覆う脳磁界を頭部の広い範囲にわたって検出が可能であ
り、こうして計測結果である磁界分布データを得るとと
もに、仮設された位置にある電流源から算出される磁界
分布データを求めてパターンマッチングを行い、予め定
める評価関数の演算によって、実際の生体磁界の検出デ
ータと、仮設された位置にある電流源から算出される磁
界分布データとが近似する値になるように、電流源の位
置、方向、大きさを変化して演算を繰返し行い、これに
よって電流源の1または複数の位置を正確に検出するこ
とが可能となる。
【0147】こうしてたとえば脳の全体の磁界分布を同
時に計測することによって、電流源が複数個ある複雑な
磁界分布を観測することができ、そのような複数の電流
源の位置、方向、大きさを高精度に検出することができ
る。こうして複数の信号源を推定可能にすることによっ
て、複雑な磁界分布にも対応可能となる。このように複
雑の電流源の位置、方向、大きさの推定が可能となるの
で、その各電流源の位置、方向、大きさの検出精度を向
上することができる。もしも仮に、生体の微弱磁界の測
定範囲が狭く、たとえば2個の電流源が存在するにもか
かわらず、狭い測定範囲の磁界分布データだけに基づい
て、1個の電流源の位置、方向、大きさを推定しようと
すると、もう1つの他方の電流源によって形成される磁
界が演算時に磁界雑音として扱われてしまい、一方の電
流源の位置、方向、大きさの推定精度が低下してしま
う。本発明では、このような問題が解決される。
【0148】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、生体磁界
検出手段と外部環境の磁界雑音を検出する磁界雑音検出
手段との次数を低減した構成として、たとえばせいぜい
1次微分形グラジオメータを用いることによって、生体
磁界検出感度を低下させることなく、SN比の向上を図
ることができるようになる。しかも生体磁界の検出と同
時に磁界雑音を計測して除去するようにしたので、磁界
雑音除去特性に周波数特性がなく、低周波の磁界雑音で
あっても充分に除去することができ、これによって磁界
シールドルームを、低周波磁界雑音の除去が可能のよう
にコスト上昇となる要因をなくすことができ、その磁界
シールドルームの省略もまた可能であり、あるいはSQ
UID素子を用いる構成としたときには、そのSQUI
D素子に関連して用いられる高周波の周波数領域の磁界
雑音を除去することができる高周波磁界シールドルーム
内で本発明を実施することが可能となり、コスト低減が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微弱磁界測定装置1の側方から見た全
体の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】微弱磁界測定装置1の使用状態を示す斜視図で
ある。
【図3】磁界測定アセンブリ5の側面図である。
【図4】磁界測定アセンブリ5の簡略化した構成を示す
断面図である。
【図5】磁界測定アセンブリ5の上部の一部の断面図で
ある。
【図6】磁界測定アセンブリ5の下部付近の側方から見
た縦断面図である。
【図7】磁界測定アセンブリ5の下部付近の正面から見
た縦断面図である。
【図8】磁界測定アセンブリ5の下部付近の正面図であ
る。
【図9】支持体46が連結部材86を介して筒状の支持
体18に固定された状態を示す下方から見た斜視図であ
る。
【図10】筒体128の配置を示す簡略化した斜視図で
ある。
【図11】頭部被覆具28の正面図である。
【図12】頭部被覆具28の側面図である。
【図13】頭部被覆具28の平面図である。
【図14】頭部被覆具28の背面図である。
【図15】頭部被覆具28の底面図である。
【図16】図11の切断面線XVI−XVIから見た断
面図である。
【図17】図12の切断面線XVII−XVIIから見
た断面図である。
【図18】図12の切断面線XVIII−XVIIIか
ら見た断面図である。
【図19】頭蓋131に頭部被覆具28を装着した状態
を示す正面図である。
【図20】頭蓋131に頭部被覆具28を装着した状態
を示す側面図である。
【図21】頭蓋131に頭部被覆具28が装着された状
態における脳の位置を示す断面図である。
【図22】頭蓋131の正面図である。
【図23】頭蓋131の側面図である。
【図24】頭部4、したがって頭蓋131の外形の形状
を測定するための手法を説明するための断面図である。
【図25】計測用被覆具243の計測位置を説明するた
めの簡略化した平面図である。
【図26】計測用被覆具243の計測位置を説明するた
めの簡略化した側面図である。
【図27】計測用被覆具243の計測位置を簡略化して
示す正面図である。
【図28】頭蓋131の座標系を説明するめたの簡略化
した平面図である。
【図29】磁界測定アセンブリ5に内蔵される電気的構
成を示す簡略化した電気回路図である。
【図30】全体の電気的構成を示す電気回路図である。
【図31】0次微分形マグネトメータ167、1次微分
形グラジオメータ151および2次微分形グラジオメー
タ168の構成を示す斜視図である。
【図32】本発明の他の実施例のホール素子を用いた磁
界検出手段の構成を示す電気回路図である。
【図33】磁界雑音検出手段186の構成を示す斜視図
である。
【図34】処理回路163の動作を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図35】1次微分形グラジオメータ151の本件発明
者による実験結果の周波数スペクトルを示す図である。
【図36】他の1次微分形グラジオメータ151の本件
発明者による実験結果を示す周波数スペクトルである。
【図37】本件発明者の実験結果を示すグラフである。
【図38】筒体128にそれぞれ設けられた1次微分形
グラジオメータ151によって検出された立体的な頭磁
界分布を示す斜視図である。
【図39】図30で得られる3次元の立体的な頭磁界線
図をその頭部4の上方から見た頭磁界分布の平面図であ
る。
【図40】図37および図38に示される本件発明者の
実験結果を、脳断面画像220とともに立体的に示す図
である。
【図41】電流源の位置を検出するための処理回路16
3の動作を説明するためのフローチャートである。
【図42】本件発明者の実験結果を示す磁気共鳴映像法
MRIによる頭部4の背後から見た縦断面上に電流源2
18,219を表した図である。
【図43】磁気共鳴映像法MRIによる頭部4の水平断
面画像上に、電流源218,219を描いた画像であ
る。
【図44】磁気遮蔽室6を形成するための磁気遮蔽板6
1,62および側壁43,44などの磁気遮蔽能の周波
数特性を示すグラフである。
【図45】脳からの磁界および都市雑音などの磁界強度
を示す図である。
【符号の説明】 1 微弱磁界測定装置 2 被検体 3 ベッド 4 頭部 5 磁界測定アセンブリ 6 磁気遮蔽室 9 SQUID素子 12 極低断熱温容器 13 外槽 15 内槽 16 真空断熱層 17 液体ヘリウム 18 支持体 22 天板 28 頭部被覆具 29 前部分 32 後部分 35 側部分 40 内被覆部材 43,44 側壁 45 凹所 46 支持体 61,62 磁気遮蔽板 128 筒体 131 頭蓋 132 頭蓋冠 135 頭蓋底 136 前頭骨 137 頭頂骨 138 後頭骨 139 蝶形骨 140 側頭骨 141 大脳 142 小脳 143 前頭葉 144 後頭葉 145 側頭葉 146 頭頂葉 147 眼窩 149 顎骨 150 角 151 1次微分形グラジオメータ 152 結合コイル 153 SQUID素子 154 超伝導リング 186 磁界雑音検出手段 187,188,189 組合せ 190,191,192 磁界検出方向 193,193a,193b 0次微分形マグネトメー
タ 194,194a,194b 1次微分形グラジオメー
タ 212,213,218,219 電流源 214,215 耳介 220 磁気共鳴映像法MRIによる脳断面画像 224,225 電流源 226 目 241 弯曲部 242 平面部 243 計測用被覆具 245 計測棒 246 基準位置 247 直線 248 垂線 249 交点すなわち原点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ユーリ バーバ カナダ国 ブリティッシュ コロンビア ポート コキットラム ヴィー3シー 1 エム9 マクリーン アヴェニュー 15− 1750 シー ティー エフ システムズ インコーポレーテッド内 (72)発明者 アリスター エー.ファイフ カナダ国 ブリティッシュ コロンビア ポート コキットラム ヴィー3シー 1 エム9 マクリーン アヴェニュー 15− 1750 シー ティー エフ システムズ インコーポレーテッド内 (72)発明者 マックス ビー.バーバンク カナダ国 ブリティッシュ コロンビア ポート コキットラム ヴィー3シー 1 エム9 マクリーン アヴェニュー 15− 1750 シー ティー エフ システムズ インコーポレーテッド内 (72)発明者 ゴードン ジェイ.ハイド カナダ国 ブリティッシュ コロンビア ポート コキットラム ヴィー3シー 1 エム9 マクリーン アヴェニュー 15− 1750 シー ティー エフ システムズ インコーポレーテッド内 (72)発明者 シクスタス リー カナダ国 ブリティッシュ コロンビア ポート コキットラム ヴィー3シー 1 エム9 マクリーン アヴェニュー 15− 1750 シー ティー エフ システムズ インコーポレーテッド内 (72)発明者 ブレント アール.テイラー カナダ国 ブリティッシュ コロンビア ポート コキットラム ヴィー3シー 1 エム9 マクリーン アヴェニュー 15− 1750 シー ティー エフ システムズ インコーポレーテッド内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の検出すべき部位の近傍に配置さ
    れ、微弱磁界を検出する生体磁界検出手段と、 生体磁界検出手段から離れた位置に配置され、外部環境
    からの磁界雑音である微弱磁界を検出する磁界雑音検出
    手段と、 生体磁界検出手段の出力と、磁界雑音検出手段の出力と
    を演算処理して、外部環境磁界雑音を除いた生体磁界を
    求める演算手段とを含むことを特徴とする微弱磁界測定
    装置。
  2. 【請求項2】 磁界雑音検出手段は、磁界の検出の方向
    性を有する磁界検出素子を、複数個、磁界検出方向が相
    互に異なるように配置されて構成され、これによって外
    部からの雑音である磁界の分布を求めることができ、 演算手段は、磁界雑音検出手段の出力に応答して、生体
    磁界検出手段の位置にある磁界雑音の強度を求めて前記
    演算をすることを特徴とする請求項1記載の微弱磁界測
    定装置。
  3. 【請求項3】 生体の近傍に配置される1次微分形グラ
    ジオメータである生体磁界検出コイルと、 生体磁界検出コイルから離れた位置に配置される0次微
    分形マグネトメータである第1参照コイルと、 第1参照コイルの近傍に配置され、1次微分形グラジオ
    メータである第2参照コイルと、 第1および第2参照コイルの出力に応答して、生体磁界
    検出コイルの近傍の位置に仮想上配置された微分形コイ
    ルの出力を演算することにより、生体磁界検出コイルの
    位置における外部環境からの磁界雑音を求める第1演算
    手段と、 生体磁界検出コイルおよび第1演算手段の各出力に応答
    して、生体磁界検出コイルの出力と第1演算手段の出力
    とを演算処理して、外部環境磁界雑音を除いた生体磁界
    強度を求める第2演算手段とを含むことを特徴とする微
    弱磁界測定装置。
  4. 【請求項4】 生体磁界検出コイルは、生体の近傍に分
    散して配置され、 第1および第2参照コイルは、その磁界検出方向が直交
    3軸X−Y−Zの各軸X,Y,Zにそれぞれ平行であ
    り、 第1演算手段は、各生体磁界検出コイル毎の微分形グラ
    ジオメータの出力を演算して求め、各生体磁界検出コイ
    ル毎の各位置における外部磁界を演算して求め、 第2演算手段は、各生体磁界検出コイルの出力と、対応
    する演算して求められた第1演算手段の出力とを演算処
    理し、外部環境磁界雑音を除いた生体磁界を求めること
    を特徴とする請求項3記載の微弱磁界検出装置。
  5. 【請求項5】 生体の近傍に配置されるi次(iは、零
    または正の整数)微分形の生体磁界検出コイルと、 生体磁界検出コイルから離れた位置に配置され、i次微
    分形コイルの出力を演算して求めるためのi次以下の微
    分形の複数の参照コイルと、 前記複数の参照コイルの出力に応答して、各生体磁界検
    出コイルの位置における仮想上のi次微分形コイルの外
    部環境雑音出力を演算して求める第1演算手段と、 生体磁界検出コイルおよび第1演算手段の出力に応答し
    て、生体磁界検出コイルの出力から第1演算手段の出力
    を演算処理する第2演算手段とを含むことを特徴とする
    微弱磁界測定装置。
  6. 【請求項6】 生体の磁界を検出すべき部位の近傍の位
    置でi次(iは零または正の整数)微分形の生体磁界を
    測定し、 生体磁界から離れた生体磁界の影響のない位置で、i次
    微分形の外部環境からの磁界雑音を測定し、 前記生体磁界の測定位置における仮想上のi次微分形の
    外部環境磁界雑音を演算して求め、 前記測定された生体磁界から、前記演算して求めた外部
    環境の磁界雑音を演算処理することを特徴とする微弱磁
    界測定方法。
JP6242014A 1994-09-09 1994-09-09 微弱磁界測定装置および方法 Pending JPH0898823A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9903837B2 (en) 2011-12-15 2018-02-27 Koninklijke Philips N.V. Removal of background in MPI

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Effective date: 20040323