JPH0867887A - 摺動部材 - Google Patents
摺動部材Info
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- JPH0867887A JPH0867887A JP6207449A JP20744994A JPH0867887A JP H0867887 A JPH0867887 A JP H0867887A JP 6207449 A JP6207449 A JP 6207449A JP 20744994 A JP20744994 A JP 20744994A JP H0867887 A JPH0867887 A JP H0867887A
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- JP
- Japan
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- sliding
- sliding member
- lubricant
- free carbon
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- Sliding-Contact Bearings (AREA)
- Ceramic Products (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】炭化珪素および窒化珪素からなる基材に、固体
潤滑剤として遊離炭素を2〜20重量%の範囲で分散含
有した複合セラミックスを形成するとともに、該複合セ
ラミックスの開放気孔率を10%以下で、かつベアリン
グ・サーフェス率を40〜95%とし、摺接面に存在す
る気孔部および表面脱落部に潤滑剤を含浸保持する。 【効果】高負荷荷重下および高速度摺動下においても摩
擦係数が小さく、しかも相手部材を摩耗させ難く、長期
間にわたり使用することができる。
潤滑剤として遊離炭素を2〜20重量%の範囲で分散含
有した複合セラミックスを形成するとともに、該複合セ
ラミックスの開放気孔率を10%以下で、かつベアリン
グ・サーフェス率を40〜95%とし、摺接面に存在す
る気孔部および表面脱落部に潤滑剤を含浸保持する。 【効果】高負荷荷重下および高速度摺動下においても摩
擦係数が小さく、しかも相手部材を摩耗させ難く、長期
間にわたり使用することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォーセットバルブや
薬液用バルブなどのディスクバルブ、メカニカルシール
部品、軸受、ベーンポンプ等に好適な摺動部材であっ
て、特に高負荷荷重下や高速度摺動下において相手部材
を摩耗させ難く、しかも、優れた摺動特性と耐摩耗性を
備える摺動部材に関するものである。
薬液用バルブなどのディスクバルブ、メカニカルシール
部品、軸受、ベーンポンプ等に好適な摺動部材であっ
て、特に高負荷荷重下や高速度摺動下において相手部材
を摩耗させ難く、しかも、優れた摺動特性と耐摩耗性を
備える摺動部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、摺動特性を向上させるべく様々な
摺動部材が提案されており、その中でも次のような自己
潤滑性を備える摺動部材が既に開示されている。
摺動部材が提案されており、その中でも次のような自己
潤滑性を備える摺動部材が既に開示されている。
【0003】例えば、特開昭63−92874号公報に
は、自己潤滑性を有する樹脂などの固体被膜を弁体に被
覆したバルブ弁体が開示されている。
は、自己潤滑性を有する樹脂などの固体被膜を弁体に被
覆したバルブ弁体が開示されている。
【0004】また、特開昭60−141689号公報に
は、多孔質の炭化珪素質セラミックスの気孔部にFe,
Cr,Co,Zn,Pb,Zr,Ti,B,Bi,S
n,Al,Cuなどの金属、あるいは上記金属の炭化
物、酸化物、硫化物、窒化物を固体潤滑材として含浸し
た摺動部材が、特開昭60−235767号公報には、
三次元網目構造をした炭化珪素質セラミックスの気孔に
エンジン油,スピンドル油,ダイナモ油,ディーゼルエ
ンジン油,タービン油を含浸した摺動部材が、特開昭6
1−132575号公報には、三次元網目構造をした炭
化珪素質セラミックスの気孔に合成樹脂を含浸させた摺
動部材がそれぞれ開示されている。
は、多孔質の炭化珪素質セラミックスの気孔部にFe,
Cr,Co,Zn,Pb,Zr,Ti,B,Bi,S
n,Al,Cuなどの金属、あるいは上記金属の炭化
物、酸化物、硫化物、窒化物を固体潤滑材として含浸し
た摺動部材が、特開昭60−235767号公報には、
三次元網目構造をした炭化珪素質セラミックスの気孔に
エンジン油,スピンドル油,ダイナモ油,ディーゼルエ
ンジン油,タービン油を含浸した摺動部材が、特開昭6
1−132575号公報には、三次元網目構造をした炭
化珪素質セラミックスの気孔に合成樹脂を含浸させた摺
動部材がそれぞれ開示されている。
【0005】さらに、特開昭61−127664号公報
には、SiC原料に炭素質物質を0.3〜10重量%の
範囲で含有して焼成した炭化珪素質セラミック製の摺動
部材が開示されている。
には、SiC原料に炭素質物質を0.3〜10重量%の
範囲で含有して焼成した炭化珪素質セラミック製の摺動
部材が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、弁体表面に
自己潤滑性を有する固体被膜を形成した摺動部材では、
使用中に固体被膜が剥がれてしまうという課題があっ
た。
自己潤滑性を有する固体被膜を形成した摺動部材では、
使用中に固体被膜が剥がれてしまうという課題があっ
た。
【0007】また、多孔質セラミックスの気孔部に樹脂
や潤滑油などの液体潤滑剤や固体潤滑剤を含浸した摺動
部材では、潤滑剤の充填を容易にするために多孔質セラ
ミックスの開放気孔率を20〜50%としたものが殆ど
であり、その結果、セラミックス自体の強度が大幅に低
下し、欠けや割れを生じていた。また、気孔部のエッジ
が刃物として作用するために、硬度の低い摺動部材との
摺動においては相手部材を大きく摩耗させてしまうとい
う課題もあった。
や潤滑油などの液体潤滑剤や固体潤滑剤を含浸した摺動
部材では、潤滑剤の充填を容易にするために多孔質セラ
ミックスの開放気孔率を20〜50%としたものが殆ど
であり、その結果、セラミックス自体の強度が大幅に低
下し、欠けや割れを生じていた。また、気孔部のエッジ
が刃物として作用するために、硬度の低い摺動部材との
摺動においては相手部材を大きく摩耗させてしまうとい
う課題もあった。
【0008】さらに、多孔質セラミックスの気孔部に潤
滑剤を含浸した摺動部材を、高負荷荷重下や高速度摺動
下、あるいは摺動部分が高温となる条件で摺動させる
と、上記潤滑剤の大幅な粘度低下により充分な潤滑作用
が得られなかった。その為、摺接面間では境界潤滑状態
となり、さらには摺動部材同士が直接接触して摺動する
ために、両部材とも大きく摩耗していた。しかも、多孔
質セラミックスに含浸する樹脂の量が多い場合には互い
の熱膨張差により破損する恐れもあった。
滑剤を含浸した摺動部材を、高負荷荷重下や高速度摺動
下、あるいは摺動部分が高温となる条件で摺動させる
と、上記潤滑剤の大幅な粘度低下により充分な潤滑作用
が得られなかった。その為、摺接面間では境界潤滑状態
となり、さらには摺動部材同士が直接接触して摺動する
ために、両部材とも大きく摩耗していた。しかも、多孔
質セラミックスに含浸する樹脂の量が多い場合には互い
の熱膨張差により破損する恐れもあった。
【0009】本発明の目的は、摺動部材自体の強度およ
び硬度を低下させることなく摺動特性および耐摩耗性に
優れ、しかも、相手部材を摩耗させ難くするとともに、
上記特性が高負荷荷重下や高速度摺動下においても維持
することができる摺動部材を提供することにある。
び硬度を低下させることなく摺動特性および耐摩耗性に
優れ、しかも、相手部材を摩耗させ難くするとともに、
上記特性が高負荷荷重下や高速度摺動下においても維持
することができる摺動部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、摺動部材を炭化珪素、窒化珪素、および2〜
20重量%の範囲で分散含有した遊離炭素からなる複合
セラミックスにより形成し、該摺動部材の摺接面に存在
する気孔部および表面脱落部に潤滑剤を含浸したことを
特徴とするものである。
題に鑑み、摺動部材を炭化珪素、窒化珪素、および2〜
20重量%の範囲で分散含有した遊離炭素からなる複合
セラミックスにより形成し、該摺動部材の摺接面に存在
する気孔部および表面脱落部に潤滑剤を含浸したことを
特徴とするものである。
【0011】また、本発明は上記摺動部材の開放気孔率
を10%以下とし、かつ摺接面を40〜95%のベアリ
ング・サーフェス率を有する面としたものである。
を10%以下とし、かつ摺接面を40〜95%のベアリ
ング・サーフェス率を有する面としたものである。
【0012】まず、本発明は、複合セラミックスの基材
を炭化珪素と窒化珪素との複合体により形成してある。
これらのセラミックスは、それ自体強度および硬度が高
く、摺動特性の点においても他のセラミックスに比べ優
れた性質を有している。その為、摺動部材を構成するセ
ラミックス材料として最適である。
を炭化珪素と窒化珪素との複合体により形成してある。
これらのセラミックスは、それ自体強度および硬度が高
く、摺動特性の点においても他のセラミックスに比べ優
れた性質を有している。その為、摺動部材を構成するセ
ラミックス材料として最適である。
【0013】また、本発明は、上記炭化珪素と窒化珪素
とからなる基材に遊離炭素を分散含有してある。その
為、摺動時の摩擦係数を低減し、摺動特性を向上させる
ことができる。
とからなる基材に遊離炭素を分散含有してある。その
為、摺動時の摩擦係数を低減し、摺動特性を向上させる
ことができる。
【0014】ただし、上記炭化珪素と窒化珪素とからな
る基材に分散含有する遊離炭素の最適な範囲としては2
〜20重量%とすることが重要である。
る基材に分散含有する遊離炭素の最適な範囲としては2
〜20重量%とすることが重要である。
【0015】即ち、遊離炭素の含有量が2重量%より少
ないと、摺接面に存在する遊離炭素の量が少な過ぎるた
めに、遊離炭素の持つ潤滑作用が充分に得られず、その
結果、摺動時の摩擦係数を低減することができないから
であり、逆に、遊離炭素の含有量が20重量%より多い
と、他の成分である炭化珪素および窒化珪素の含有量が
少なくなり過ぎるために、複合セラミックス全体の強度
および硬度が大幅に低下し、摩耗を促進させてしまうと
ともに、欠けや割れを生じてしまうからである。
ないと、摺接面に存在する遊離炭素の量が少な過ぎるた
めに、遊離炭素の持つ潤滑作用が充分に得られず、その
結果、摺動時の摩擦係数を低減することができないから
であり、逆に、遊離炭素の含有量が20重量%より多い
と、他の成分である炭化珪素および窒化珪素の含有量が
少なくなり過ぎるために、複合セラミックス全体の強度
および硬度が大幅に低下し、摩耗を促進させてしまうと
ともに、欠けや割れを生じてしまうからである。
【0016】さらに、上記遊離炭素は、上記炭化珪素と
窒化珪素とからなる基材に均一に分散含有することが好
ましく、遊離炭素を均一に分散した本発明に係る摺動部
材では、摺接面間全体に一様な潤滑膜を得ることができ
るため、摩擦係数および両部材の摩耗量を低減すること
ができる。
窒化珪素とからなる基材に均一に分散含有することが好
ましく、遊離炭素を均一に分散した本発明に係る摺動部
材では、摺接面間全体に一様な潤滑膜を得ることができ
るため、摩擦係数および両部材の摩耗量を低減すること
ができる。
【0017】また、低摩擦係数を維持したまま、相手部
材の摩耗を極力低減するためには、複合セラミックスを
構成する遊離炭素、炭化珪素、窒化珪素の各成分の平均
結晶粒子径を20μm以下、好ましくは2μm以下とす
ることが重要である。
材の摩耗を極力低減するためには、複合セラミックスを
構成する遊離炭素、炭化珪素、窒化珪素の各成分の平均
結晶粒子径を20μm以下、好ましくは2μm以下とす
ることが重要である。
【0018】つまり、いずれか一つの成分でも平均結晶
粒子径が20μm以下より大きいと、粒子の脱粒が生じ
易くなり、摺接面に多数の表面脱落部を形成してしまう
ことから摺接面が凹凸面となる。その為、相手部材を短
期間で摩耗させてしまうとともに、自分自身も摩耗して
しまうからである。
粒子径が20μm以下より大きいと、粒子の脱粒が生じ
易くなり、摺接面に多数の表面脱落部を形成してしまう
ことから摺接面が凹凸面となる。その為、相手部材を短
期間で摩耗させてしまうとともに、自分自身も摩耗して
しまうからである。
【0019】さらに、摺動部材を構成する上記複合セラ
ミックスの開放気孔率は10%以下、好ましくは0.5
%以下とすることが良い。
ミックスの開放気孔率は10%以下、好ましくは0.5
%以下とすることが良い。
【0020】これは、複合セラミックスの開放気孔率が
10%より大きいと、複合セラミックスの機械的強度お
よび硬度が低下するため、相手部材に押し付けた時に破
損する恐れがあるとともに、気孔部のエッジが刃物とし
て作用するため、硬度の低い相手部材と摺動すると、相
手部材を短期間で摩耗させてしまうからである。しか
も、開放気孔率が大きいと脱粒を生じて自分自身も摩耗
してしまう。
10%より大きいと、複合セラミックスの機械的強度お
よび硬度が低下するため、相手部材に押し付けた時に破
損する恐れがあるとともに、気孔部のエッジが刃物とし
て作用するため、硬度の低い相手部材と摺動すると、相
手部材を短期間で摩耗させてしまうからである。しか
も、開放気孔率が大きいと脱粒を生じて自分自身も摩耗
してしまう。
【0021】一方、本発明は、上記複合セラミックスか
らなる摺動部材のうち、少なくとも摺接面のベアリング
・サーフェス率を40〜95%とすることを特徴とす
る。
らなる摺動部材のうち、少なくとも摺接面のベアリング
・サーフェス率を40〜95%とすることを特徴とす
る。
【0022】ベアリング・サーフェス率とは、単位面積
当たりに占める平坦部の面積の割合のことであり、平坦
部以外は気孔部および表面脱落部から構成されているこ
とになる。なお、ここで表面脱落部とは、摺接面に存在
する閉気孔部、スクラッチ部、および粒子の脱粒部のこ
とである。
当たりに占める平坦部の面積の割合のことであり、平坦
部以外は気孔部および表面脱落部から構成されているこ
とになる。なお、ここで表面脱落部とは、摺接面に存在
する閉気孔部、スクラッチ部、および粒子の脱粒部のこ
とである。
【0023】そして、このベアリング・サーフェス率が
40%より小さいと、摺接面に存在する気孔部および表
面脱落部の割合が多くなり過ぎるために摺接面の硬度が
低下し、相手部材との摺動により摩耗したり、欠けを生
じる恐れがあるとともに、上記気孔部および表面脱落部
に潤滑剤を保持させることができず、逆に、ベアリング
・サーフェス率が95%より大きいと、摺接面に存在す
る気孔部および表面脱落部の割合が少な過ぎ、上記気孔
部および表面脱落部に充分な量の潤滑剤を含浸すること
ができない。
40%より小さいと、摺接面に存在する気孔部および表
面脱落部の割合が多くなり過ぎるために摺接面の硬度が
低下し、相手部材との摺動により摩耗したり、欠けを生
じる恐れがあるとともに、上記気孔部および表面脱落部
に潤滑剤を保持させることができず、逆に、ベアリング
・サーフェス率が95%より大きいと、摺接面に存在す
る気孔部および表面脱落部の割合が少な過ぎ、上記気孔
部および表面脱落部に充分な量の潤滑剤を含浸すること
ができない。
【0024】また、本発明は、上述したように複合セラ
ミックスからなる摺動部材の摺接面に存在する気孔部お
よび表面脱落部に潤滑剤を含浸させて保持することを特
徴とする。
ミックスからなる摺動部材の摺接面に存在する気孔部お
よび表面脱落部に潤滑剤を含浸させて保持することを特
徴とする。
【0025】即ち、本発明は、摺接面に存在する気孔部
および表面脱落部に潤滑剤を含浸したことで、摺接面に
存在する遊離炭素と、気孔部および表面脱落部に含浸し
た潤滑剤とにより、充分な潤滑作用が得られる。その
為、摺動時においては、優れた摺動特性を得ることがで
きる。しかも、高負荷荷重下や高速度摺動下においても
常に摺接面間に潤滑膜を形成することができるため、優
れた摺動特性を維持することができるとともに、自他と
もに殆ど摩耗することがない。
および表面脱落部に潤滑剤を含浸したことで、摺接面に
存在する遊離炭素と、気孔部および表面脱落部に含浸し
た潤滑剤とにより、充分な潤滑作用が得られる。その
為、摺動時においては、優れた摺動特性を得ることがで
きる。しかも、高負荷荷重下や高速度摺動下においても
常に摺接面間に潤滑膜を形成することができるため、優
れた摺動特性を維持することができるとともに、自他と
もに殆ど摩耗することがない。
【0026】ところで、上記潤滑剤としては液体潤滑剤
または半固体潤滑剤が良く、液体潤滑剤としては、パラ
フィン系、ナフタレン系、芳香族などからなる石油系潤
滑油や合成炭化水素、ポリアルキレングリコール、ジエ
ステル、ポリオールエステル、リン酸エステル、珪素化
合物、ポリフェニールエーテル、フッ素化合物などから
なる合成潤滑油などが良く、半固体潤滑剤としては、L
i−石鹸、Ca−石鹸、Na−石鹸、Ba−石鹸などが
良い。また、これら液体潤滑剤と半固体潤滑剤とを所定
の範囲で混合した潤滑剤を用いれば高温条件での摺動に
おいても優れた摺動特性を備える摺動部材を得ることが
できる。
または半固体潤滑剤が良く、液体潤滑剤としては、パラ
フィン系、ナフタレン系、芳香族などからなる石油系潤
滑油や合成炭化水素、ポリアルキレングリコール、ジエ
ステル、ポリオールエステル、リン酸エステル、珪素化
合物、ポリフェニールエーテル、フッ素化合物などから
なる合成潤滑油などが良く、半固体潤滑剤としては、L
i−石鹸、Ca−石鹸、Na−石鹸、Ba−石鹸などが
良い。また、これら液体潤滑剤と半固体潤滑剤とを所定
の範囲で混合した潤滑剤を用いれば高温条件での摺動に
おいても優れた摺動特性を備える摺動部材を得ることが
できる。
【0027】なお、本発明に係る複合セラミックスに分
散含有する遊離炭素には、炭化水素を吸着するという特
性がある。その為、複合セラミックスに含浸する潤滑剤
として炭化水素成分を含む石油系潤滑油を用いれば、遊
離炭素による吸着作用により石油系潤滑油を複合セラミ
ックスの気孔部および表面脱落部に長く保持しておくこ
とができる。
散含有する遊離炭素には、炭化水素を吸着するという特
性がある。その為、複合セラミックスに含浸する潤滑剤
として炭化水素成分を含む石油系潤滑油を用いれば、遊
離炭素による吸着作用により石油系潤滑油を複合セラミ
ックスの気孔部および表面脱落部に長く保持しておくこ
とができる。
【0028】このように、本発明は、摺動部材を炭化珪
素と窒化珪素とからなる基材に遊離炭素を分散含有した
複合セラミックスにより構成してあるため、摩耗し難
く、摩耗する場合には摺接面が均一に削られるため、常
に遊離炭素による潤滑作用を得ることができる。しか
も、摺接面に存在する遊離炭素と、摺接面の気孔部およ
び表面脱落部に含浸した潤滑剤との組み合わせにより、
充分な潤滑作用が得られるとともに、複合セラミックス
の開放気孔率を小さくすることができるため、摺動部材
の強度および硬度低下を生じることがない。その為、高
負荷での摺動条件や熱発生のある摺動条件でも摺接面間
に潤滑膜を得ることができるため、優れた摺動特性が得
られるとともに、自他共に摩耗することがない。
素と窒化珪素とからなる基材に遊離炭素を分散含有した
複合セラミックスにより構成してあるため、摩耗し難
く、摩耗する場合には摺接面が均一に削られるため、常
に遊離炭素による潤滑作用を得ることができる。しか
も、摺接面に存在する遊離炭素と、摺接面の気孔部およ
び表面脱落部に含浸した潤滑剤との組み合わせにより、
充分な潤滑作用が得られるとともに、複合セラミックス
の開放気孔率を小さくすることができるため、摺動部材
の強度および硬度低下を生じることがない。その為、高
負荷での摺動条件や熱発生のある摺動条件でも摺接面間
に潤滑膜を得ることができるため、優れた摺動特性が得
られるとともに、自他共に摩耗することがない。
【0029】次に、本発明に係る摺動部材を得るための
方法について説明する。
方法について説明する。
【0030】まず、α−炭化珪素またはβ−炭化珪素粉
末のいずれか、あるいはこれらを混合した炭化珪素粉末
を主原料とし、この炭化珪素粉末に添加物としてカーボ
ンブラックやグラファイト等の炭素粉末、あるいは熱分
解時に炭素を生成しうるレゾール型フェノール樹脂、コ
ールタールピッチ、ショ糖などの粉末やB4 C糖の硼素
含有化合物を10重量%以下の割合で含有して混練乾燥
することにより顆粒を製作する。また、得られた顆粒は
金型成形、ラバープレス成形、鋳込成形、押出成形、ホ
ットアイソスタチック成形(CIP)、ホットプレス成
形などの常法の成形手段により成形する。
末のいずれか、あるいはこれらを混合した炭化珪素粉末
を主原料とし、この炭化珪素粉末に添加物としてカーボ
ンブラックやグラファイト等の炭素粉末、あるいは熱分
解時に炭素を生成しうるレゾール型フェノール樹脂、コ
ールタールピッチ、ショ糖などの粉末やB4 C糖の硼素
含有化合物を10重量%以下の割合で含有して混練乾燥
することにより顆粒を製作する。また、得られた顆粒は
金型成形、ラバープレス成形、鋳込成形、押出成形、ホ
ットアイソスタチック成形(CIP)、ホットプレス成
形などの常法の成形手段により成形する。
【0031】そして、窒素雰囲気中にて仮焼すること
で、レゾール型フェノール樹脂などの炭素生成物から遊
離炭素を生成させ、さらに、仮焼を終えたものを下記化
1で示されるように炭化珪素と窒素との反応により、窒
化珪素と遊離炭素とが生成される雰囲気にて焼成する。
で、レゾール型フェノール樹脂などの炭素生成物から遊
離炭素を生成させ、さらに、仮焼を終えたものを下記化
1で示されるように炭化珪素と窒素との反応により、窒
化珪素と遊離炭素とが生成される雰囲気にて焼成する。
【0032】
【化1】
【0033】具体的には、真空の窒素雰囲気中で焼成温
度1000℃、特に1500℃以上の温度で、かつガス
圧が50気圧以上、好ましくは1000気圧以上の高温
高圧下で焼成することにより遊離炭素、窒化珪素、およ
び炭化珪素の3相がそれぞれ互いに連続相を形成した複
合セラミックスを得ることができる。
度1000℃、特に1500℃以上の温度で、かつガス
圧が50気圧以上、好ましくは1000気圧以上の高温
高圧下で焼成することにより遊離炭素、窒化珪素、およ
び炭化珪素の3相がそれぞれ互いに連続相を形成した複
合セラミックスを得ることができる。
【0034】このようにして得た複合セラミックスは、
内部および表層部ともに遊離炭素、窒化珪素、および炭
化珪素の3相が存在しており、しかも、遊離炭素が均一
に分散している。
内部および表層部ともに遊離炭素、窒化珪素、および炭
化珪素の3相が存在しており、しかも、遊離炭素が均一
に分散している。
【0035】なお、遊離炭素の含有率、複合セラミック
スを構成する各成分の平均結晶粒子径、複合セラミック
スの開放気孔率、およびベアリング・サーフェス率は、
焼成条件に左右されるため、遊離炭素含有率については
2〜20重量%、各成分の平均結晶粒子径については3
0μm以下、開放気孔率については10%以下、ベアリ
ング・サーフェス率については40〜95%の範囲とな
るように適宜焼成条件を設定すれば良い。
スを構成する各成分の平均結晶粒子径、複合セラミック
スの開放気孔率、およびベアリング・サーフェス率は、
焼成条件に左右されるため、遊離炭素含有率については
2〜20重量%、各成分の平均結晶粒子径については3
0μm以下、開放気孔率については10%以下、ベアリ
ング・サーフェス率については40〜95%の範囲とな
るように適宜焼成条件を設定すれば良い。
【0036】次に、上記方法により得た複合セラミック
スの気孔部および表面脱落部に液体潤滑剤および/また
は半固体潤滑剤を含浸させることにより本発明に係る摺
動部材を得ることができる。
スの気孔部および表面脱落部に液体潤滑剤および/また
は半固体潤滑剤を含浸させることにより本発明に係る摺
動部材を得ることができる。
【0037】含浸させる方法としては、20〜120℃
程度に潤滑剤を加熱することで、液体潤滑剤においては
粘度を下げ、半固体潤滑剤においては液化させてそれぞ
れ潤滑剤浴を作り、この中に上記複合セラミックスを浸
漬して真空脱気を行い、そのあと潤滑剤浴より取り出す
ことにより潤滑剤は複合セラミックスの気孔部および表
面脱落部に含浸されることになる。
程度に潤滑剤を加熱することで、液体潤滑剤においては
粘度を下げ、半固体潤滑剤においては液化させてそれぞ
れ潤滑剤浴を作り、この中に上記複合セラミックスを浸
漬して真空脱気を行い、そのあと潤滑剤浴より取り出す
ことにより潤滑剤は複合セラミックスの気孔部および表
面脱落部に含浸されることになる。
【0038】
【実施例】本発明に係る摺動部材の具体的な実施例を説
明する。
明する。
【0039】純度が99.7%、平均結晶粒径が0.4
μmの炭化珪素粉末に、成形用バインダーとして熱分解
によって炭素を生じ得るレゾール型フェノール樹脂溶液
と溶媒としてのアセトンを適当量添加して混練乾燥した
あと、金型プレスを用いて、成形圧1000Kg/cm
2 で所定形状に成形する。その成形体を窒素(N2 )雰
囲気中550℃で仮焼し、フェノール樹脂より遊離炭素
を生成させた後、焼成温度1800℃で、かつ2000
気圧の条件で1時間程度焼成することにより、炭化珪素
(SiC)、窒化珪素(Si3 N4 )、遊離炭素(C)
よりなる複合セラミックスを得た。
μmの炭化珪素粉末に、成形用バインダーとして熱分解
によって炭素を生じ得るレゾール型フェノール樹脂溶液
と溶媒としてのアセトンを適当量添加して混練乾燥した
あと、金型プレスを用いて、成形圧1000Kg/cm
2 で所定形状に成形する。その成形体を窒素(N2 )雰
囲気中550℃で仮焼し、フェノール樹脂より遊離炭素
を生成させた後、焼成温度1800℃で、かつ2000
気圧の条件で1時間程度焼成することにより、炭化珪素
(SiC)、窒化珪素(Si3 N4 )、遊離炭素(C)
よりなる複合セラミックスを得た。
【0040】この複合セラミックスを炭化珪素質研削材
の化学分析法(JISR6124参照)に基づき全珪素
量と全遊離炭素量を測定すると、珪素量は50.7重量
%、遊離炭素量は19.4重量%であった。またLEC
O法により全窒素量を測定すると28.6重量%であっ
た。
の化学分析法(JISR6124参照)に基づき全珪素
量と全遊離炭素量を測定すると、珪素量は50.7重量
%、遊離炭素量は19.4重量%であった。またLEC
O法により全窒素量を測定すると28.6重量%であっ
た。
【0041】従って、前記化1に示す化学反応式を基に
計算すると、この複合セラミックスの再終組成は、炭化
珪素(SiC)11.3重量%、窒化珪素(Si
3 N4 )72.4重量%、遊離炭素(C)16.3重量
%であった。
計算すると、この複合セラミックスの再終組成は、炭化
珪素(SiC)11.3重量%、窒化珪素(Si
3 N4 )72.4重量%、遊離炭素(C)16.3重量
%であった。
【0042】また、この複合セラミックスの特性を測定
したところ、かさ比重は2.95、ビッカース硬度は1
0GPa、開放気孔率0.2%であった。
したところ、かさ比重は2.95、ビッカース硬度は1
0GPa、開放気孔率0.2%であった。
【0043】次に、この複合セラミックスの表面を3μ
mのダイヤモンド砥粒を用いて銅定板でラッピングし
た。そして、アセトン溶液中で超音波洗浄し、室温で乾
燥した後、乾燥機中60℃の温度で2時間程度乾燥させ
て重量を測定し、さらにマシン油中(JIS K 22
38)に浸漬し、30℃の温度雰囲気中で真空脱気を行
うことにより、複合セラミックスの気孔部および表面脱
落部にマシン油を含浸した摺動部材を得た。
mのダイヤモンド砥粒を用いて銅定板でラッピングし
た。そして、アセトン溶液中で超音波洗浄し、室温で乾
燥した後、乾燥機中60℃の温度で2時間程度乾燥させ
て重量を測定し、さらにマシン油中(JIS K 22
38)に浸漬し、30℃の温度雰囲気中で真空脱気を行
うことにより、複合セラミックスの気孔部および表面脱
落部にマシン油を含浸した摺動部材を得た。
【0044】また、マシン油を含浸した複合セラミック
スの重量を測定すると、0.2gの重量増加が確認され
た。
スの重量を測定すると、0.2gの重量増加が確認され
た。
【0045】
【実験例1】次に、上記実施例で得た摺動部材を円盤状
体に加工し、相手部材としてアルミニウムを選定して、
ボール・オン・ディスク(BOD)試験機にて摺動試験
を行った。
体に加工し、相手部材としてアルミニウムを選定して、
ボール・オン・ディスク(BOD)試験機にて摺動試験
を行った。
【0046】具体的にはアルミニウム製ボールを試料と
なる円盤状体に50Kg/mm2 の負荷荷重で押し付
け、円盤状体を0.2m/sの摺動速度で回転させて一
定時間摺動させた時のボールおよび円盤状体の摩耗量を
測定した。
なる円盤状体に50Kg/mm2 の負荷荷重で押し付
け、円盤状体を0.2m/sの摺動速度で回転させて一
定時間摺動させた時のボールおよび円盤状体の摩耗量を
測定した。
【0047】さらに、高負荷荷重・高速度摺動下での摺
動試験として、上記BOD試験機において、円盤状体に
ボールを押し付ける負荷荷重を100Kg/mm2 とす
るとともに、円盤状体の摺動速度を1.0m/sとして
一定時間摺動させ、ボールおよび円盤状体の摩耗量を測
定した。
動試験として、上記BOD試験機において、円盤状体に
ボールを押し付ける負荷荷重を100Kg/mm2 とす
るとともに、円盤状体の摺動速度を1.0m/sとして
一定時間摺動させ、ボールおよび円盤状体の摩耗量を測
定した。
【0048】なお、比較例として炭化珪素からなる開放
気孔率15%の多孔質体にマシン油を含浸した円盤状体
および窒化珪素からなる開放気孔率15%の多孔質体に
マシン油を含浸した円盤状体をそれぞれ試作し、同様に
摺動試験を行った。
気孔率15%の多孔質体にマシン油を含浸した円盤状体
および窒化珪素からなる開放気孔率15%の多孔質体に
マシン油を含浸した円盤状体をそれぞれ試作し、同様に
摺動試験を行った。
【0049】それぞれの結果は表1および表2に示す通
りである。
りである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】まず、低負荷荷重下での摺動試験において
は、表1より判るように、本発明に係る摺動部材が比較
例であるそれぞれの摺動部材に比べ、相手部材であるア
ルミニウム製ボールを摩耗させ難い点で若干優れている
ものの、殆ど差は見られなかった。
は、表1より判るように、本発明に係る摺動部材が比較
例であるそれぞれの摺動部材に比べ、相手部材であるア
ルミニウム製ボールを摩耗させ難い点で若干優れている
ものの、殆ど差は見られなかった。
【0053】しかし、高負荷荷重・高速度摺動下での摺
動試験においては、表2より判るように、比較例である
それぞれの摺動部材では、相手部材であるアルミニウム
製ボールの摩耗量が大幅に増加した。また、この摺動部
材を取り出して光学顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡で
観察すると、摺接面にアルミニウムの付着が見られた。
そして、このアルミニウムの付着について調べたとこ
ろ、摺接面に存在する気孔部のエッジと関係しており、
負荷荷重や摺動速度を大きくした時に、摺接面間で液体
潤滑状態から境界潤滑状態さらには部分的なボールと円
盤状体との接触が発生し、円盤状体に存在する気孔部の
エッジが刃物として作用して、硬度の低いアルミニウム
を削り取ったものであった。
動試験においては、表2より判るように、比較例である
それぞれの摺動部材では、相手部材であるアルミニウム
製ボールの摩耗量が大幅に増加した。また、この摺動部
材を取り出して光学顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡で
観察すると、摺接面にアルミニウムの付着が見られた。
そして、このアルミニウムの付着について調べたとこ
ろ、摺接面に存在する気孔部のエッジと関係しており、
負荷荷重や摺動速度を大きくした時に、摺接面間で液体
潤滑状態から境界潤滑状態さらには部分的なボールと円
盤状体との接触が発生し、円盤状体に存在する気孔部の
エッジが刃物として作用して、硬度の低いアルミニウム
を削り取ったものであった。
【0054】これに対し、本発明に係る摺動部材では、
相手部材であるアルミニウム製ボールの摩耗量が若干増
加したものの、比較例のものと比べて摩耗が非常に小さ
かった。
相手部材であるアルミニウム製ボールの摩耗量が若干増
加したものの、比較例のものと比べて摩耗が非常に小さ
かった。
【0055】これは、本発明に係る摺動部材が、摺接面
に遊離炭素と液体潤滑剤であるマシン油を存在させてあ
るために充分な潤滑作用が得られるとともに、開放気孔
率を小さくしてあるため、気孔部のエッジによりアルミ
ニウムを削る量が少なかったためであった。
に遊離炭素と液体潤滑剤であるマシン油を存在させてあ
るために充分な潤滑作用が得られるとともに、開放気孔
率を小さくしてあるため、気孔部のエッジによりアルミ
ニウムを削る量が少なかったためであった。
【0056】このように本発明に係る摺動部材は、高負
荷荷重下、高速度摺動下などの過酷な摺動条件において
も相手部材を摩耗させ難く、良好な摺動特性を維持する
ことができることが判った。
荷荷重下、高速度摺動下などの過酷な摺動条件において
も相手部材を摩耗させ難く、良好な摺動特性を維持する
ことができることが判った。
【0057】また、上記実験結果より、複合セラミック
スの開放気孔率を0.2%、5%、10%、15%、2
0%と変えた摺動部材からなる円盤状体を用意し、同様
な摺動試験を行ったところ、開放気孔率の増加とともに
気孔部の刃物作用が顕著となることが判った。しかも、
開放気孔率が15%の複合セラミックスとの摺動におい
て最も気孔部の刃物作用が顕著となった。
スの開放気孔率を0.2%、5%、10%、15%、2
0%と変えた摺動部材からなる円盤状体を用意し、同様
な摺動試験を行ったところ、開放気孔率の増加とともに
気孔部の刃物作用が顕著となることが判った。しかも、
開放気孔率が15%の複合セラミックスとの摺動におい
て最も気孔部の刃物作用が顕著となった。
【0058】その為、摺動部材の開放気孔率は10%以
下とすることが重要であることが判った。
下とすることが重要であることが判った。
【0059】
【実験例2】次に、ベアリング・サーフェス率を変化さ
せた上記遊離炭素、炭化珪素、および窒化珪素からなる
複合セラミック製の摺動部材を用意し、実験例1の高負
荷荷重・高速度摺動の条件下で摺動試験を行った。
せた上記遊離炭素、炭化珪素、および窒化珪素からなる
複合セラミック製の摺動部材を用意し、実験例1の高負
荷荷重・高速度摺動の条件下で摺動試験を行った。
【0060】なお、評価基準として、複合セラミックか
らなる円盤状体の摩耗量が10mm3 /kg/km以下
で、かつアルミニウム製ボールの摩耗量が200mm3
/kg/km以下であるものを良好とした。また、各摺
動部材のベアリング・サーフェス率については、各々を
画像解析にかけて測定した。
らなる円盤状体の摩耗量が10mm3 /kg/km以下
で、かつアルミニウム製ボールの摩耗量が200mm3
/kg/km以下であるものを良好とした。また、各摺
動部材のベアリング・サーフェス率については、各々を
画像解析にかけて測定した。
【0061】それぞれの結果は表3に示す通りである。
【0062】
【表3】
【0063】表3より判るように、比較例である試料N
o. 1では、ベアリング・サーフェス率が40%未満で
あるため、複合セラミックからなる円盤状体の摩耗量が
30mm3 /kg/kmで、しかも、アルミニウム製ボ
ールの摩耗量も218mm3 /kg/kmと自他共に摩
耗が激しかった。
o. 1では、ベアリング・サーフェス率が40%未満で
あるため、複合セラミックからなる円盤状体の摩耗量が
30mm3 /kg/kmで、しかも、アルミニウム製ボ
ールの摩耗量も218mm3 /kg/kmと自他共に摩
耗が激しかった。
【0064】これに対し、本発明に係る試料No. 2〜6
では、ベアリング・サーフェス率が40〜95%の範囲
にあるため、複合セラミックからなる円盤状体の摩耗量
は全て0mm3 /kg/kmで、しかも、アルミニウム
製ボールの摩耗量は全て100mm3 /kg/km以下
と、評価基準を満足していた。特に、ベアリング・サー
フェス率が50〜90%のものでは相手部材を殆ど摩耗
させなかった。
では、ベアリング・サーフェス率が40〜95%の範囲
にあるため、複合セラミックからなる円盤状体の摩耗量
は全て0mm3 /kg/kmで、しかも、アルミニウム
製ボールの摩耗量は全て100mm3 /kg/km以下
と、評価基準を満足していた。特に、ベアリング・サー
フェス率が50〜90%のものでは相手部材を殆ど摩耗
させなかった。
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明は、摺動部材を炭
化珪素、窒化珪素、および2〜20重量%の範囲で分散
含有した遊離炭素とからなる複合セラミックスにより形
成し、該摺動部材の摺接面に存在する気孔部および表面
脱落部に潤滑剤を含浸保持したことにより、複合セラミ
ックスの開放気孔率を小さくすることができる。その
為、複合セラミックスの機械的強度および硬度を低下さ
せることがないため、長期使用が可能である。しかも、
開放気孔率を小さくしたことにより、気孔部のエッジに
よる刃物作用が小さいため、相手部材を摩耗させること
がない。
化珪素、窒化珪素、および2〜20重量%の範囲で分散
含有した遊離炭素とからなる複合セラミックスにより形
成し、該摺動部材の摺接面に存在する気孔部および表面
脱落部に潤滑剤を含浸保持したことにより、複合セラミ
ックスの開放気孔率を小さくすることができる。その
為、複合セラミックスの機械的強度および硬度を低下さ
せることがないため、長期使用が可能である。しかも、
開放気孔率を小さくしたことにより、気孔部のエッジに
よる刃物作用が小さいため、相手部材を摩耗させること
がない。
【0066】また、本発明に係る摺動部材は、摺接面に
遊離炭素と潤滑剤を存在させてあるため、優れた摺動特
性が得られるとともに、特に高負荷荷重下や高速度摺動
下での使用条件においても潤滑膜が得られるため優れた
摺動特性を備えている。
遊離炭素と潤滑剤を存在させてあるため、優れた摺動特
性が得られるとともに、特に高負荷荷重下や高速度摺動
下での使用条件においても潤滑膜が得られるため優れた
摺動特性を備えている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 33/24 A 7123−3J // C10N 30:06 40:02
Claims (1)
- 【請求項1】炭化珪素、窒化珪素、および2〜20重量
%の範囲で分散した遊離炭素からなる複合セラミック製
の摺動部材であって、該摺動部材の開放気孔率が10%
以下で、かつ40〜95%のベアリング・サーフェス率
を有する摺接面の気孔部および表面脱落部に潤滑剤を保
持してなる摺動部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6207449A JPH0867887A (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 摺動部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6207449A JPH0867887A (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 摺動部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0867887A true JPH0867887A (ja) | 1996-03-12 |
Family
ID=16539962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6207449A Pending JPH0867887A (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 摺動部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0867887A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103978186A (zh) * | 2014-05-28 | 2014-08-13 | 西安交通大学 | 一种SiCp/ZL104复合轴瓦的半固态制备工艺 |
-
1994
- 1994-08-31 JP JP6207449A patent/JPH0867887A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103978186A (zh) * | 2014-05-28 | 2014-08-13 | 西安交通大学 | 一种SiCp/ZL104复合轴瓦的半固态制备工艺 |
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