JPH085715Y2 - 注射器用吸引力増強具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、使い捨て用プラスチック製注射器を利用
して、胸水や腹水の吸い出し、排膿、脊髄液の採取など
が簡単にできるようにした、注射器用吸引力増強具に関
する。

（従来の技術） 人間や動物の体内から液状物を吸出するには、強い吸
引力が必要である。今まで、各種の医療用吸引器が工夫
されてきたが、吸出液の多くは臭く汚いものであるか
ら、使用した器具の洗浄・消毒は、余り好まれる作業で
なかった。

そのため、手数のかかる吸引専用器が敬遠され、なる
べくなら使い捨て用の注射器で済ませたいと考えるの
は、人情として当然のことである。

（考案が解決しようとする課題） 従来市販のプラスチック製使い捨て注射器は、液体を
体内に注入するためのもので、体液吸出を目的として作
られていない。そのため、第２図に示すように、プラン
ジャーとも呼ばれる内筒（５）の後端には、親指の腹で
押すための小さな円盤状の指当て用つば（６）がついて
いるだけである。

注射器（４）内に薬液を吸引するとき、つば（６）の
縁に２〜３本の指先を引っ掛け、つば（６）を摘むよう
にして内筒（５）を引き出すのであるが、アンプルやバ
イアル瓶から吸液する場合、液面に気圧がかかるので、
指先の力だけでも楽に内筒（５）を引くことができる。
ところが、体腔内は陰圧であり、ここからの吸液には強
い吸引力が必要になる。そのため、片手で注射器（４）
の外筒を握りしめ、別の手の指先をつば（６）に引っ掛
けて、力一杯、内筒（５）を引かねばならない。

しかし、指先で引く力は弱いし、つば（６）の縁に押
しつけた指先がすぐ痛くなることもあって、吸液の途中
で吸引を断念しなければならないことがしばしばあっ
た。

この考案が解決しようとする課題は、従来市販の使い
捨て用注射器をそのまま利用し、なおかつその吸引力を
格段に増強するためには、どのような手段を講ずればよ
いかという点にある。

（課題を解決するための手段） 以上に説明した課題を解決するために、この考案は次
のような構成とした。すなわち、注射器に取りつけるア
タッチメントとして、片手で把握することのできる形状
と大きさとをした把手（１）に、指当て用つばを係止す
るための係止部（２）を設けたものである。

さらに詳しく、第１図に基づいて説明する。第１図
は、この考案の一実施例を示す斜視図である。把手
（１）は、片手の５本指でしっかりと握れるものなら何
でもよく、形状や大きさ、材質などを特に限定するもの
ではない。

係止部（２）は、円盤状のつば（６）をしっかりと係
止するためのものであり、第１図ではその一例として、
Ｔ字溝（３）を図示している。ただし、係止部（２）の
形状やつば（６）の係止手段については特に限定するも
のでなく、バネ式フックでつばを挟んで固定するなど任
意である。

（作用） 第１図に示した注射器用吸引力増強具は、第２図のよ
うにして使用する。すなわち、係止部（２）として把手
（１）の中央に設けられたＴ字溝（３）に、注射器
（４）の内筒（５）の後部と、その後端に備わる指当て
用つば（６）とを嵌め込む。すると、つば（６）の出っ
張った縁がＴ字溝（３）に引っ掛かり、把手（１）と内
筒（５）とが連動して抽送自在になる。

つまり、薬液注入用の注射器にアタッチメントとして
把手を取りつけることにより、これを簡単に吸引器とし
て利用できるようにしたわけである。

（考案の効果） この考案に係わる注射器用吸引力増強具を使用する
と、片手の５本の指でがっちりと把手を把握することが
できる。このため、吸引中に指や手が痛くならないし、
力一杯、把手を引くことができるから、手動式吸引器と
しては最大限の吸引力を発揮することができる。従っ
て、胸水や腹水の排出、膿汁の吸い出し、脊髄液採取な
ど、たいていの場合、使い捨て用注射器で用を足すこと
ができる。それゆえ、従来の吸引専用器を使用したとき
に伴う厄介な後始末をしないで済む。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案注射器用吸引力増強具の一実施例を示す斜
視図、第２図は本案の使用状態を示す側面図。 （１）……把手、（２）……係止部 （３）……Ｔ字溝、（４）……注射器 （５）……内筒、（６）……つば

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】片手で把握することのできる形状と大きさ
   とをした把手（１）に、注射器後端の指当て用つばを係
   止するための係止部（２）を設けた、注射器用吸引力増
   強具。