JPH0854497A - 二結晶モノクロメータ - Google Patents

二結晶モノクロメータ

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JPH0854497A
JPH0854497A JP28472694A JP28472694A JPH0854497A JP H0854497 A JPH0854497 A JP H0854497A JP 28472694 A JP28472694 A JP 28472694A JP 28472694 A JP28472694 A JP 28472694A JP H0854497 A JPH0854497 A JP H0854497A
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JP
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crystal
monochromator
ray
rays
dispersive
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JP28472694A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Ogata
潔 尾形
Asao Nakano
朝雄 中野
Kazufumi Suenaga
和史 末永
Takuo Tamura
太久夫 田村
Tatsumi Hirano
辰巳 平野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 【構成】二結晶X線モノクロメータにおいて、第一及び
第二分光結晶をθステージ上に設置して回折角を設定可
能とし、さらに二枚の分光結晶の相対位置を、第一結晶
あるいは第二結晶の直線移動により調整できるようにし
たことにより、単色化したX線の出射位置を不変にす
る。モノクロメータを複数台連結し、使用するエネルギ
帯域に応じて切替使用する。 【効果】広いエネルギ走査範囲において、従来より短時
間で測定可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX線をプローブとして材
料の評価を行うためのX線分析装置に係り、特に放射光
を利用した高分解能のX線吸収スペクトル、X線回折等
を測定するために好適な小型で高速な波長設定を可能と
する高精度な二結晶モノクロメータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術では、例えば、特開昭61−
117436号公報に記載されている二結晶モノクロメ
ータでは、完全性の高い結晶を二枚平行に配置し、入射
した白色X線は第一結晶で回折して単色化され、さらに
第二結晶で入射ビームと平行な方向に回折され出射する
ようになっていた。第一結晶で回折したX線が第二結晶
の中央に入射するように第二結晶の位置を直線上で移動
させていた。第一結晶及び第二結晶の回折角、第二結晶
の位置及びあおり角を高精度に調整することにより、モ
ノクロメータから出射するX線の位置を一定としてい
た。
【0003】また、例えばフォトン・ファクトリー・ア
クティビティ・レポート1989#7(Photon
Factory Activity Report 1
989 #7、KEK Progress Repor
t 89−3 A/M、文部省高エネルギ物理学研究
所、1990年)I−4頁に記述されている二結晶モノ
クロメータでは、回転テーブル上に第二結晶及びX−Y
ステージを設置し、第一結晶はX−Yステージ上に取付
けてある。二枚の結晶は平行に配置され、入射した白色
X線は第一結晶で回折して単色化され、さらに第二結晶
で入射ビームと平行な方向に回折され出射するようにな
っていた。出射ビームの高さはX−ステージにより調整
し、第一結晶への入射位置はY−ステージで調整するよ
うになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記第一従来技術で
は、高いエネルギ分解能の二結晶モノクロメータを得る
ためには、完全性の高い結晶を分光結晶に用い、X線反
射角度幅の小さい結晶面を使用する必要がある。その際
入射X線ビームの位置及び方向の精度、分光結晶の結晶
面方位の精度、分光結晶の回転及び移動機構の精度、モ
ノクロメータ及びX線光学系全体の設置精度等が十分で
ない場合には、広いエネルギ範囲を走査した際に出射ビ
ームの位置が変動し、試料に入射するX線の強度が大き
く変化するため、XAFS等の測定精度が低下するとい
う問題があった。
【0005】また、第一及び第二分光結晶の回折角に応
じて、第二結晶の位置を直線的に移動するため、特に3
0゜以下の低角度において移動距離が増大するため、モ
ノクロメータが大型になるという欠点があった。
【0006】また、第一及び第二分光結晶の回折角を独
立に動かすため、第一結晶で回折されたX線を、第二結
晶に入射し、該X線を第二結晶でも回折し入射X線に平
行な出射X線を得るためには、第二結晶の回折角を分光
結晶の回折の半値幅に相当する非常に高精度の角度幅で
制御する必要があった。
【0007】一方、第二の上記従来技術では、1台の回
転テーブル上に第一結晶及び第二結晶を設置する。X線
は回転テーブルの回転軸上に中央に取り付けた第一結晶
の中央に入射する。第二結晶はX−Yテーブル上に取り
付けられ、第一結晶で回折され単色化したX線が、第二
結晶中央に入射するようにX−Yテーブルで調整する。
X−Yテーブルの駆動の際、ヨーイング等により第二結
晶の角度が変化し、回折強度が低下するという懸念があ
った。また大型のX−Yテーブルを載せるために、回転
テーブルが大型化するという懸念があった。
【0008】本発明の目的は、高いエネルギ分解能を持
ち広いエネルギ帯域を持つにもかかわらず、小型で高速
なエネルギ走査を可能とする二結晶モノクロメータを提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は少なくとも第一及び第二分光結晶を単一の
θステージ上に設置して回折角を設定する手段と、二枚
の分光結晶の結晶の相対位置を、第一結晶あるいは第二
結晶の直線移動により調整する手段を備えてなる二結晶
X線モノクロメータにおいて、第一結晶あるいは第二結
晶の位置を調整することにより、単色化したX線の出射
位置を不変にする。
【0010】さらに、X線モノクロメータにおいて、第
二分光結晶の直線移動軸を入射X線及び回折X線を含む
面内に設置し、移動軸と第一結晶表面のなす角を90゜
から50゜の範囲にする。
【0011】さらに、X線モノクロメータにおいて、第
一分光結晶の直線移動軸を入射X線及び回折X線を含む
面内に設置し、移動軸と第二結晶表面のなす角を90゜
から50゜の範囲にする。
【0012】さらに二結晶X線モノクロメータにおい
て、第一分光結晶をX線行路に対して垂直方向に移動さ
せる機構を設置し、第一分光結晶のX線行路へ挿入及び
退避を可能にする。
【0013】さらに二結晶X線モノクロメータにおい
て、冷媒を循環させることにより第一結晶を冷却する機
構を設け、また第二結晶の直線移動により二枚の分光結
晶の相対位置を調整できる機構を設け、単色化したX線
の出射位置を不変する。
【0014】さらに複数の二結晶モノクロメータをX線
行路に対して並列に設置したタンデム型二結晶モノクロ
メーにおいて、各モノクロメータの第一結晶をX線行路
に対して垂直方向に移動させる機構を設置し、使用する
モノクロメータの第一結晶にのみX線が入射するように
することにより、高速なモノクロメータ切り替えを可能
とする。
【0015】さらに二枚の分光結晶の結晶表面間の、少
なくとも距離を調整することにより、単色化したX線の
出射位置を不変にしたことを特徴とする二結晶X線モノ
クロメータ複数をX線行路に対して並列に設置したタン
デム型二結晶モノクロメーにおいて、第一のモノクロメ
ータにおいては第一結晶の直線移動により、第二のモノ
クロメータにおいては第二結晶の直線移動により二枚の
分光結晶の結晶表面間の距離を調整できるようにしたこ
とにより、モノクロメータの第一結晶をX線行路に対し
て垂直方向に並進させる機構を設置しなくても、使用す
るモノクロメータの第一結晶にのみX線が入射可能とす
る。
【0016】さらに上記目的を達成するために、第二結
晶のあおり角駆動機構を設け、第一結晶の回折角に応じ
て第二結晶のあおり角を自動調整する機構を設ける。
【0017】さらに、二結晶モノクロメータより出射す
るX線の強度を計測するためのX線計数器を設け、出射
X線強度が最大になる位置に第二結晶のあおり角を自動
調整する機構を設ける。
【0018】さらに、二結晶モノクロメータより出射す
るX線の強度を計測するためのX線計数器を設け、出射
X線強度が最大になる位置に第一結晶ないし第二結晶の
移動量を自動調整する機構を設ける。
【0019】さらに、希望のエネルギを得るための回折
角設定値に対して、最高の出射X線強度を与えるための
第二結晶のあおり角の補正値に自動的に設定する機構を
設けるようにする。
【0020】さらに、X線モノクロメータにおいて、希
望のエネルギを得るための第一結晶回折角設定値に対し
て、最高の出射X線強度を与えるための第一結晶ないし
第二結晶の移動量の補正値に自動的に設定する機構を設
けるようにする。
【0021】さらにX線モノクロメータにおいて、希望
のエネルギを得るための第一結晶回折角設定値に対し
て、最高の出射X線強度を与えるための第二結晶回折角
の補正値に自動的に設定する機構を設けるようにする。
【0022】さらに、X線モノクロメータの制御装置に
おいて、上記補正値を不揮発メモリに記憶することによ
り、希望のエネルギ値に対する最適位置に、自動的にモ
ノクロメータを駆動する機構を設けるようにする。
【0023】本発明の目的は、分光結晶の代わりに回折
格子を用いても達成される。また二枚の分光結晶の代わ
りに多層膜反射鏡を用いるか、あるいは多層膜反射鏡と
分光結晶の組み合わせを用いても達成される。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて具体的
に説明する。
【0025】図1は本発明装置の一実施例となる放射光
用タンデム型二結晶モノクロメータの概要を示す側面図
である。全てのX線光学系は高真空容器に収納し、低エ
ネルギ領域まで単色化可能としてある。シンクロトロン
より発生する放射光X線1は、図中でパイプ状に示した
ビームライン40の中を通過する。ビームラインの途中
には真空を遮断するためのバルブ、ビーム位置モニタ等
を設置してある。スリット2により整形されたX線はタ
ンデム型二結晶モノクロメータに入射する。本実施例の
タンデム型二結晶モノクロメータでは、モノクロメータ
6及びモノクロメータ7の計2台のモノクロメータを直
列に並べ、使用するエネルギ帯域に応じて切り替え可能
としてある。
【0026】本モノクロメータは上下及び左右調整機構
を付けた架台8上に設置し、X線ビームとの相対位置を
調整可能である。本実施例の場合は、手動ジャッキ式の
上下機構を持ち、X線ビームの高さに対して+10、−
190mmの範囲で移動できる。本実施例のようにシン
クロトロン放射光を用いた場合、各ビームラインの間隔
が狭いため、保守、修理時に作業スペースが足りないこ
とが問題であるが、本実施例では架台を下げることによ
り、保守を容易にしてある。またモノクロメータの水平
方向で、角度及び位置も調整可能としてある。
【0027】次にモノクロメータの構造について、図2
を用いて説明する。θステージ上には、第一結晶ホルダ
及び第二結晶ホルダを設置し、第一結晶及び第二結晶は
それぞれのホルダに取付けられる。入射X線1は結晶3
に入射する。本実施例では、結晶3の表面上をθステー
ジの回転軸(θ軸)が通る配置としてある。hは入射X
線と単色X線間の距離を表し、ここでは20mmとして
ある。zは結晶3と結晶4の表面間の距離14を表す。
回折角θはθステージの回転により設定し、−1゜<θ<
80゜の範囲で0.36”の精度で設定可能である。θ
ステージの回転速度>1゜/secである。結晶3のあ
おり角A1は手動により調節可能である。結晶3により
回折されたX線は結晶4により再び回折され、入射X線
1とほぼ平行になる。結晶4は、回折角微調整Δθ2及
びあおり角A2を調節可能である。Δθ2は±1゜の範
囲で0.1”の精度で駆動可能である。あおりA2は±
1゜の範囲で1”の精度で駆動可能である。
【0028】結晶3と結晶4には、通常ほぼ同一の格子
面方位及び格子面間隔を持つ結晶を用いる。結晶間距離
zはzステージ15により調整可能になっている。zス
テージ15はストローク50mm、精度1μmで駆動で
き、移動時のピッチング、ヨーイング゛は1”以下であ
る。結晶4により回折された出射X線5はモノクロメー
タより出射する。出射位置を観察するため、X線ビーム
位置に出し入れ可能な蛍光板及び出射X線強度を測定す
るためのX線検出器41を備えている。本実施例ではX
線検出器41として金属メッシュ及び電流計を用いてい
る。Δθ2、A2、zの各軸は真空容器中に設置した高
真空用ステッピングモータにより駆動した。回折角θ軸
の駆動は真空容器に設置したACサーボモータによって
行った。回折角θはモノクロメータのエネルギ分解能に
相当する精度を持てば良く、本実施例では0.36”と
している。しかし走査を繰り返した時の角度のずれは、
エネルギのずれとなるため、エンコーダを内蔵したAC
サーボモータにより駆動し、角度ずれが発生しないよう
にした。
【0029】結晶3及び結晶4は、金属製の結晶ホルダ
28、29の表面に取り付けてある。結晶3は高輝度の
入射X線1により加熱されるため、結晶ホルダ24を水
冷し結晶3の温度上昇を防いである。真空容器内におけ
る漏水事故を防止するため、継ぎ目、溶接箇所の無いC
uパイプで配管し真空容器外のコネクタにより冷却水循
環装置と配管してある。
【0030】本実施例のモノクロメータは磁気浮上式タ
ーボ分子ポンプ及びロータリーポンプで排気し、到達真
空度は1×10−5Pa程度である。
【0031】広いエネルギ成分を持つ入射X線1の中か
ら、特定の波長λ(nm)あるいはエネルギE(eV)
の光子のみを選択し単色化するためには、θステージ1
9により回折角10(θ)をBraggの法則として知
られる数1または数2に従って設定する。ここでは研磨
した結晶の表面と結晶格子面は平行であるとしている。
【0032】
【数1】 λ=2・d1・sinθ ・・・・(数1)
【0033】
【数2】 E=12398/d1/sinθ ・・・・(数2) ここで、d1は結晶3の回折面の面間隔(nm)であ
る。
【0034】結晶3の表面で回折し、単色化されたX線
は結晶4に入射する。回折角θの変化にともない、結晶
4へのX線入射位置が変化する。しかし出射X線5の位
置が変化しないように、結晶間距離zを制御する。
【0035】回折角θと結晶間距離zとの基本的な関係
は数3で表わされる。
【0036】
【数3】 z=h・sinθ/cos2θ ・・・・(数3) 理想的な場合には、数3にしたがってθ及びzを設定す
れば良いが、実際には結晶3と結晶4の温度差及び結晶
面方位の誤差、zステージ15のピッチング、ヨーイン
グ、架台8の設置誤差、入射X線1の位置及び方向の誤
差等がある。そのため出射X線5の強度が減少すること
があり、また位置が変動することがある。高輝度の入射
X線1の直射により結晶3は結晶4より温度が高くな
り、熱膨張により結晶面間隔がΔdだけ大きくなる。結
晶4は結晶3で単色化されたX線ビームのみが照射され
るので、結晶3のような温度上昇はない。例えば、In
Sb単結晶を分光結晶に用いた場合、InSbの線膨張
係数はおよそ5×10−6であり、InSbの融点が約
500℃であることを考慮するとΔd/dは2.5×1
0−3以下である。
【0037】以上の誤差がある時に、結晶4を最適な角
度にするためには、結晶回折角微調Δθ2、あおりA
2、結晶距離zを調整する必要がある。鉛直方向の調整
は結晶間距離zで、水平方向の調整は結晶のあおり角A
2で行う。出射X線5を入射X線1の延長線に対し平行
にするためには、A1とA2の両方を制御する必要があ
るが、本実施例ではモノクロメータを複数台連結してあ
るため、各モノクロメータに対し分光結晶の方位をを調
整の上固定しておくことが可能である。そのためA2に
よる制御のみでも平行からのずれ約0.3角度分程度に
抑えることが可能である。
【0038】各回折角θに対して最大のX線強度が検出
器41で得られる(Δθ2、A2、z)のデータの組を数
多く測定し、θに対する近似相関関数を求める方法を取
った。このデータの組を測定するにあたり、次のような
手順を踏んだ。
【0039】(a)設定したθに対してzを理論値に設
定し、Δθ2=0、A2=0とする。
【0040】(b)A2、zを固定しΔθ2のみを微小
角度走査してX線検出器の強度が最大になる位置にθ2
を設定する。
【0041】(c)Δθ2、A2を固定しzのみを微小
距離走査してX線検出器の強度が最大になる位置にzを
設定する。
【0042】(d)Δθ2、zを固定しA2のみを微小
角度走査してX線検出器の強度が最大になる位置にA2
を設定する。
【0043】(e)A2、zを固定しΔθ2のみを微小
角度走査してX線検出器の強度が最大になる位置にΔθ
2を設定する。
【0044】この手順のうち(b)〜(d)を繰返し実行す
ることにより収束させることになるが、実際には繰返し
は不要であった。これら(a)〜(e)の手順は全てコンピ
ュータで自動的に行なう。
【0045】測定された較正データは各パラメータがθ
を変数とするような関数として、最小自乗法により多項
式近似を行なう。このとき、基本的なパラメータ間の関
係からの差分を次のように7次の多項式近似し、相関関
数を求めた。
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】
【数6】
【0049】本実施例では、コンピュータよりモータコ
ントローラを制御し、上記手順を実行している。上記手
順をROM化しモータコントローラ内に組込んでも良
い。得られたパラメータをEPROM、FRAM等の不
揮発メモリに記憶させるようにすれば、小型のモータコ
ントローラのみでも、エネルギ設定を行なうことが可能
である。
【0050】図2では、結晶ホルダ20はθ軸に平行な
方向の移動機構を持ち、X線行路から退避することがで
きる。図3は、モノクロメータの切り替え方法を模式的
に表す図である。図3(a)ではモノクロメータ6を使
用している。モノクロメータ7はθ=0゜に設定し、結
晶4はzステージ15の移動により、X線行路から退避
させてある。モノクロメータ切り替えのみを考えれば、
モノクロメータ7の結晶ホルダ21の退避機構は不要で
あるが、入射X線1をそのまま透過させ白色X線を使用
する場合には、モノクロメータ7の結晶3を退避させる
必要がある。
【0051】図3(b)はモノクロメータ7を使用した
場合であり、結晶ホルダ20をθ軸に平行な方向に退避
させ、入射X線1がそのままモノクロメータ7まで入射
するようにしてある。
【0052】本実施例では2台のモノクロメータを直列
に配置した2連タンデム型であるが、目的のエネルギ帯
域に応じて2台以上複数台のモノクロメータを連結可能
である。本実施例ではInSbとSi分光結晶を使用し
ているが、目的のエネルギ帯域、分解能に応じて他の分
光結晶、あるいは回折格子、多層反射膜等を使用しても
良い。
【0053】本実施例では結晶移動機構を真空容器中に
収納したが、θステージ9自体が真空容器に対し移動可
能としても良い。例えば、θステージ9をベローあるい
はO−リングを用いて真空容器に取付け、X線行路への
挿入、退避を可能としても良い。
【0054】図4は、結晶3の退避機構を不要とした第
二の実施例である。本実施例のモノクロメータ7は第一
の実施例と同構造であるが、モノクロメータ6の構造が
異なる。結晶ホルダ3をzステージ15上に設置し、θ
軸上に結晶4の表面が位置す。この配置は、第一の実施
例の入射X線1と反射X線5の方向を逆にした配置であ
るが、第一の実施例と同様の方法により、エネルギ設定
を行うことができる。図4(a)はモノクロメータ6を
使用する場合である。モノクロメータ7は結晶ホルダ4
をzの移動によりX線行路から退避させている。
【0055】図5は本実施例と従来技術のモノクロメー
タによるエネルギ走査時間の比較の一例である。第一及
び第二分光結晶を単一のθステージ上に設置したため、
各軸の誤差が小さくなり、また分光結晶ごとにモノクロ
メータを用意し、結晶方位の調整を固定することを可能
としたため、エネルギ走査時間を約1/4に短縮可能で
あった。
【0056】図6は本実施例のモノクロメータにおけ
る、第二結晶表面へのX線入射位置を示す図である。た
だし本実施例では、回折面と結晶表面が平行になるよう
に結晶を切り出してある。また実際のX線ビームはある
断面積と角度の発散を持つが、ここでは単純化し線で表
してある。図61に示すように、結晶表面に水平と垂直
な方向にそれぞれy軸とz軸をとる。第一結晶にX線が
入射する点を原点(0、0)とし、第二結晶にX線が入
射する点の座標を(y、z)とする。この時、回折角1
0(θ)と(y、z)との関係は数7で表わされる。
【0057】
【数7】 (y、z)=(cosθ、sinθ)・h/cos2θ ・・・・(数7) 図7は、回折角10(θ)を10゜から80゜まで変化
させたときの、(y、z)の値の変化を示す図である。
図8はyとzの関係を示す図であり、θステージ9上に
おける結晶4の表面のX線入射位置の軌跡を示す。回折
角10(θ)を変化させたとき、この軌跡上に結晶4の
表面が存在することが必要である。図2に示した実施例
ではz軸方向のみに結晶を移動させ、y軸方向には移動
しない。本実施例ではh=20mmとしているため、回
折角10(θ)を10゜から80゜まで変化させた時、
yは57.6mmから10.2mmまで移動する。した
がって分光結晶サイズとしては、y軸方向に約50mm
以上の長さが必要である。図9は回折角10(θ)に対
する結晶4及びその表面におけるX線入射位置を示す図
である。
【0058】図10に示す実施例では、結晶表面から6
0゜の方向に分光結晶移動軸(c軸)を設置した。図1
0には、回折角10(θ)を10゜から70゜まで変化
させた場合の、結晶4及びX線入射位置の変化を示して
いる。c軸と結晶面のなす角をαとすると、α<90゜
とすることにより、分光結晶の長さを小さくすることが
可能である。図11は、回折角10(θ)を10゜から
70゜まで変化させた場合の、結晶4の表面におけるX
線入射位置の移動を示している。(a)(α=90゜)
の場合、結晶4の表面におけるX線入射点の移動距離は
47.4mmであるが、(b)(α=60゜)の場合3
7mmに短縮される。
【0059】
【発明の効果】本発明の二結晶モノクロメータを用いれ
ば、第一及び第二の分光結晶を単一の回転ステージ上に
設置し、調整すべきパラメータを減らした事により、エ
ネルギ走査時間を短縮可能である。また複数のモノクロ
メータを連結し、分光結晶の交換にともなう調整を不用
としたことにより、広帯域、高分解能であるにもかかわ
らず高速なエネルギ走査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二結晶モノクロメータを、シンクロト
ロン放射光に応用した実施例の概要を示す側面図。
【図2】本実施例の二結晶モノクロメータの構造を示す
説明図。
【図3】本発明の実施例であるタンデム型モノクロメー
タのモノクロメータ切り替え方法を示す説明図。
【図4】本発明の第二の実施例であるタンデム型モノク
ロメータのモノクロメータ切り替え方法を示す説明図。
【図5】本実施例と従来技術のモノクロメータによるエ
ネルギ走査時間の比較図。
【図6】本実施例のモノクロメータにおける、第二結晶
表面へのX線入射位置の変化の説明図。
【図7】本実施例の第二結晶表面におけるX線入射位置
(y、z)と回折角(θ)の関係を示す説明図。
【図8】本実施例の第二結晶表面におけるX線入射位置
(y、z)の軌跡を示す説明図。
【図9】回折角(θ)に対する第二結晶及びその表面に
おけるX線入射位置を示す説明図。
【図10】結晶表面から60゜の方向に分光結晶移動軸
(c軸)を設置した時、回折角(θ)と、第二結晶4及
びX線入射位置の変化の関係を示す説明図。
【図11】(a)α=90゜、(b)α=60゜の場合
の第二結晶表面におけるX線入射位置の移動を示す特性
図。
【符号の説明】
1…入射X線、 2…入射スリット、 3…結晶、 4…結晶、 5…出射X線、 6…モノクロメータ、 7…モノクロメータ、 8…架台、 40…ビームライン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 太久夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 平野 辰巳 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号株式 会社日立製作所日立研究所内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二枚の分光結晶によりX線を回折させ、前
    記X線を単色化する二結晶X線モノクロメータにおい
    て、第一及び第二分光結晶をθステージ上に設置して回
    折角を設定可能とし、さらに二枚の分光結晶の相対位置
    を、第一結晶あるいは第二結晶の直線移動により調整で
    きるようにし、単色化したX線の出射位置を不変にした
    ことを特徴とする二結晶X線モノクロメータ。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記第二分光結晶の直
    線移動軸が入射X線及び回折X線を含む面内にあり、移
    動軸と前記第一結晶の表面のなす角が、90゜から50
    ゜の範囲にある二結晶X線モノクロメータ。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記第一分光結晶の直
    線移動軸が入射X線及び回折X線を含む面内にあり、移
    動軸と前記第二結晶表面のなす角が、90゜から50゜
    の範囲にある二結晶X線モノクロメータ。
  4. 【請求項4】二枚の分光結晶によりX線を回折させ、前
    記X線を単色化する二結晶X線モノクロメータにおい
    て、第一分光結晶を入射X線及び回折X線を含む面に対
    して垂直方向に移動させる機構を設置し、前記第一分光
    結晶のX線行路への挿入及び退避を可能にした二結晶X
    線モノクロメータ。
  5. 【請求項5】請求項1、2または3において、前記第一
    分光結晶を入射X線及び回折X線を含む面に対して垂直
    方向に移動させる機構を設置し、前記第一分光結晶のX
    線行路への設置及び退避を可能にした二結晶X線モノク
    ロメータ。
  6. 【請求項6】請求項1、2または3において、冷媒を循
    環させることにより前記第一結晶を冷却する機構を設け
    た二結晶X線モノクロメータ。
  7. 【請求項7】複数の二結晶モノクロメータをX線行路に
    対して直列に配置したタンデム型二結晶モノクロメータ
    において、前記各モノクロメータの第一結晶ステージを
    入射X線及び回折X線を含む面に対して垂直方向に移動
    させる機構を設置し、X線行路への挿入・退避を可能に
    し、使用するモノクロメータの前記第一結晶にのみX線
    が入射するようにしたことを特徴とするタンデム型二結
    晶モノクロメータ。
  8. 【請求項8】二枚の分光結晶の結晶表面間の、少なくと
    も距離を調整することにより、単色化したX線の出射位
    置を不変にした二結晶X線モノクロメータの複数台をX
    線行路に対して直列に配置したタンデム型二結晶モノク
    ロメータにおいて、X線入射側の第一のモノクロメータ
    では第一結晶の直線移動により、他のモノクロメータで
    は第二結晶の直線移動により二枚の分光結晶の結晶表面
    間の距離を調整できるようにし、前記モノクロメータの
    前記第一結晶を回折角設定軸に対して平行な方向に移動
    させる機構を設置しなくても、モノクロメータの切り替
    え可能としたことを特徴とするタンデム型二結晶モノク
    ロメータ。
  9. 【請求項9】請求項1、2、3、4、5、6、7、また
    は8において、前記分光結晶の代わりに回折格子を用い
    たモノクロメータ。
  10. 【請求項10】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、前記二枚の分光結晶の代わりに多層膜反
    射鏡を用いるか、あるいは多層膜反射鏡と分光結晶の組
    み合わせを用いたモノクロメータ。
  11. 【請求項11】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、前記第二結晶のあおり角駆動機構を設
    け、回折角に応じて前記第二結晶のあおり角を自動調整
    する機構を設けた二結晶モノクロメータ。
  12. 【請求項12】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、前記二結晶モノクロメータより出射する
    X線の強度を計測するためのX線計数器を設け、出射X
    線強度が最大になる位置に第二結晶のあおり角を自動調
    整する機構を設けた二結晶モノクロメータ。
  13. 【請求項13】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、前記二結晶モノクロメータより出射する
    X線の強度を計測するためのX線計数器を設け、出射X
    線強度が最大になる位置に第一結晶ないし第二結晶の移
    動量を自動調整する機構を設けた二結晶モノクロメー
    タ。
  14. 【請求項14】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、希望のエネルギを得るための回折角設定
    値に対して、最高の出射X線強度を与えるための第二結
    晶のあおり角の補正値に自動的に設定する機構を設けた
    二結晶モノクロメータ。
  15. 【請求項15】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、希望のエネルギを得るための第一結晶回
    折角設定値に対して、最高の出射X線強度を与えるため
    の第一結晶ないし第二結晶の移動量の補正値に自動的に
    設定する機構を設けた二結晶モノクロメータ。
  16. 【請求項16】請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8において、希望のエネルギを得るための第一結晶回
    折角設定値に対して、最高の出射X線強度を与えるため
    の第二結晶回折角の補正値に自動的に設定する機構を設
    けた二結晶モノクロメータ。
  17. 【請求項17】請求項14、15または16において、
    希望のエネルギを得るための第一結晶回折角設定値に対
    して、最高の出射X線強度を与えるための第二結晶のあ
    おり角、第一結晶ないし第二結晶の移動量あるいは第二
    結晶回折角の補正値を不揮発メモリに記憶することによ
    り、希望のエネルギ値に対する最適位置にモノクロメー
    タを駆動可能とした二結晶モノクロメータ制御装置。
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