JPH08510745A - 骨髄前駆体細胞増殖および敗血症ショックの処置のためのペプチド - Google Patents

骨髄前駆体細胞増殖および敗血症ショックの処置のためのペプチド

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JPH08510745A JP7500866A JP50086694A JPH08510745A JP H08510745 A JPH08510745 A JP H08510745A JP 7500866 A JP7500866 A JP 7500866A JP 50086694 A JP50086694 A JP 50086694A JP H08510745 A JPH08510745 A JP H08510745A
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クーパー、スコット
ル、リー
ムーア、ロバート・エヌ
クライスバーグ、ロバート
クライスバーグ、メリンダ・デトリック
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Abstract

(57)【要約】 配列Ala−Lys−Pro−Argを有するペプチドは、広範囲の骨髄造血前駆体細胞の増殖に対して抑制効果を有する。好ましい実施態様では、ペプチドは配列Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有する。本発明のペプチドは、骨髄造血過増殖障害の処置に、また、化学療法および放射線照射により誘発される障害から骨髄細胞を保護するのに有用である。配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチドも、エンドトキシン誘発敗血症性ショックの処置に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 骨髄前駆体細胞増殖および敗血症ショックの処置のためのペプチド 造血前駆体細胞の増殖および分化は、促進性および阻害性分子の相互作用ネッ トワークにより制御される。生体分子は前駆体細胞の増殖および/または分化を 直接促進するかまたは他のサイトカインの生成または作用を増強または抑制する ことにより間接的に作用する能力を有する。多くのサイトカインは、多官能であ り、標的細胞またはアッセイ系に依存する促進または抑制活性を示しうる。 骨髄造血に対する促進効果を有する、多くのよく特徴付けられたサイトカイン が確認されて来た。エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球−コロニー促進因子 (G−CSF)、および顆粒球マクロファージ−コロニー促進因子(GM−CS F)は、骨髄細胞の生成を促進することが知られており、又、化学療法誘発骨髄 抑制の処置において臨床上の有用性を有する。 又、骨髄造血を抑制するのに作用する分子も知られており、ブロックスマイヤ ー(1992)アメリカン・ジャーナル・オブ・ペディアトリック・ヘマトロジーオ ンコロジィ、14:22に概括されている。精製された天然および組替え分子は 、いずれも生理的に活性なサプレッサー分子として関係づけられて来た。これら の分子のあるものは、前駆体細胞レベルで直接に作用して、そのような細胞の増 殖能力を減少させ、一方、他のものは、間接的に作用して促進性サイトカインの 生成および/または放出を減少させる。 例えば、精製および組替え形のHフェリチンはインビトロで骨髄前駆体の成長 因子誘発クローン増殖を抑制し、Hフェリチンは、マウスに投与すると、抑制活 性を有する。未成熟およびより成熟した前駆体細胞は、いずれもHフェリチンに よる阻害に対して反応する。マクロファージ炎症蛋白(MIP)−1αは、ヒト およびマウスコロニー形成単位の顆粒球、赤血球、マクロファージおよび巨核球 (CFU−GEMM)並びにマウスCFU−Aを含む、より未成熟な前駆体細胞 に対し抑制活性を有する。また、インターフェロン(IFNs)、腫瘍壊死因子 (TNFs)、プロスタグランジンPGE1およびPGE2、インヒビン、および 形質転換成長因子(TGF)−βも、骨髄前駆体細胞に関する制御因子として関 係づけられて来た。鉄結合蛋白ラクトフェリンは、単核球およびマクロファージ からコロニー促進因子またはIL−1の生成または放出を減少させることにより 間接的抑制活性を発揮する。 ラクトフェリン、HフェリチンまたはPGEで処理したマウス由来の骨髄およ び脾臓細胞は、いずれもインビトロで初期骨髄前駆体に対し抑制活性を有する分 子を放出する(ジェンタイル等、1989、ブラッド74:228a;ジェンタイル 等に対する米国特許第5,149,544号)。サプレッサー分子は、8kbの見か け分子量を有し、それはMIP−Iαと似ているが、MIP−Iαとは生化学的 ならびに免疫学的に明らかに異なる。 骨髄造血のペプチドサプレッサーも報告されている。米国特許第4,384,9 91号は、顆粒球から精製された、正常および白血病の骨髄細胞の増殖を阻害す るインヒビターを記載する。インヒビターは、アミノ酸組成、Tau1Asx1Ser2T hr1Glx3Gly2Ala1(PO4-を有すると報告されている。ル等(1989)エクス ペリメンタル・ヘマトロジィ,17:935は、合成ペンタペプチドGlu−Glu −Asp−Cys−Lysの抑制活性を報告している。ムーア等(1988)ジャーナル・ オブ・イムノロジィ,141:2699は、タフトシンアナログ、(ALA1)−タ フトシンがマクロファージコロニー促進因子(M−CSFまたはCSF−1)お よびリポポリサッカリド(LPS)に反応性の前駆体細胞の限られた群に対し阻 害効果を有すると報告している。 骨髄造血に対し促進効果を有するサイトカインは、化学療法誘発骨髄抑制の処 置において臨床的有用性を有する。負の調節剤(regulator)は、過増殖状態で の血液細胞生成を鈍らせることによる造血障害の処置に、また、サイクル外、従 ってS−相特異的化学療法薬物の影響から可逆的に保護された状態に、正常な前 駆体を選択的に配置するために、潜在的に有用である。従って、骨髄造血の臨床 上 有用なサプレッサーがこの分野で必要とされる。 グラム陰性敗血症は、細菌エンドトキシンが重大な合併症、例えばショック、 成人呼吸性困難症候群および播種性血管内凝固などをもたらす生化学的現象を誘 発する感染に反応する進行性の有害全身性炎症である。敗血症および敗血症性シ ョックに対する新しい治療法の継続的な開発にもかかわらず、死亡率は依然とし て容認できないほど高い。従って、この分野では敗血症および敗血症性ショック の処置および予防に関する有効な治療法が依然として必要である。 本発明によって、骨髄前駆体細胞の増殖を抑制することが可能である新規なペ プチドが判明した。本発明のペプチドは、骨髄増殖障害、例えば白血病の処置に 、また、骨髄造血を抑制することによる化学療法に先立ち造血細胞を保護するの に有用である。また、本発明のペプチドは、敗血症性ショックの処置および予防 に有用である。 本発明は、一実施態様において少なくとも5つのアミノ酸を含み、さらに配列 Ala−Lys−Pro−Argを含む生物学的に活性なペプチドに関する。好ましい実 施態様では、ペプチドは配列Lys−Ala−Lys−Pro−Argを含む。他の実施態 様では、ペプチドは配列Ala−Lys−Pro−Arg−Alaを含む。好ましい実施態 様では、生物学的に活性なペプチドはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−A la−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proである。さらに他の実施態様で は、ペプチドはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg である。もっと別の実施態様では、ペプチドはAla−Lys−Pro−Arg−Ala− Asn−Phe−Proである。また、本発明は、配列Ala−Lys−Pro−Argを含む ペプチドを含む医薬組成物、および配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチド の、骨髄前駆体細胞の増殖抑制および敗血症性ショックの予防および処置におけ る使用を包含する。他の実施態様では、本発明は骨髄造血過増殖障害の処置方法 を提供する。さらに本発明は、化学療法誘発骨髄抑制の緩解方法を提供する。本 発明のさらに別の態様は、エンドトキシン誘発敗血症性ショックの予防方法を提 供する。 図1は抗−ペプチドIgGと固定化ペプチド抗原との結合を妨げる可溶性フェ リチンと14−量体ペプチドの能力を比較する競合的ELISAの結果を示すグ ラフである。 本発明は、骨髄前駆体細胞の増殖を抑制する生物学的に活性なペプチドに関す る。本発明のペプチドは、5ないし20またはそれ以上のアミノ酸を含み、隣接 のアミノ酸Ala−Lys−Pro−Arg(配列番号:1)を含む。残基Ala−Lys− Pro−Argは本明細書ではテトラマーと称する。当業者にとっては明らかである ように、テトラマーはペプチドが骨髄抑制活性を維持するようにペプチドの如何 なる位置であってもよい。同様に、ペプチドの付加的残基は、骨髄抑制活性を維 持する限り如何なるアミノ酸でもよい。本発明のペプチドの骨髄抑制活性は、以 下に記載のように測定できる。好ましい実施態様では、ペプチドは配列Lys-Al a−Lys−Pro−Arg(配列番号:2)を含む。他の実施態様では、ペプチドは 配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala(配列番号:3)を含む。さらに他の実施態 様では、ペプチドは配列Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−P ro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro(配列番号:4)を含む。好ましい実施態様 では、生物学的に活性なペプチドはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala −Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proである。他の好ましい実施態様で は、ペプチドは、Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−A rg(配列番号:5)である。さらに他の好ましい実施態様では、ペプチドはAla −Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro(配列番号:6)である。 本発明のペプチドは、この分野で既知の方法により合成しうる。例えば、ペプ チドは課題のペプチドを含む蛋白またはポリペプチドから化学的または酵素的切 断により誘導しうる。好ましくは、ペプチドは、メリフィールド合成のような溶 液または固相合成手段を含む既知方法により化学的に合成され、そこで保護アミ ノ酸はエステル結合として樹脂粒子に結合する。固相合成は、通常、長いペプチ ドの合成に好ましく、短いペプチドは、溶液合成により効果的に作ることができ る。合成後、ペプチドは、ゲル電気泳動、シリカゲルまたはアルミナクロマトグ ラフィー、および高圧液体クロマトグラフィーのような技術的に知られた方法に よって精製できる。 本発明のペプチドの骨髄抑制活性は、骨髄前駆体細胞の増殖を測定する標準的 アッセイによって測定できる。そのようなアッセイは当業者にとって既知である 。本発明のペプチドは、顆粒球−マクロファージ前駆体細胞(CFU−GM)マ クロファージ前駆体(CFU−M)、および顆粒球前駆体(CFU−G)の成熟 サブセット、並びにCFU−GM、赤芽球(BFU−E)および多能性(CFU −GEMM)前駆体の初期サブセットを含む、広範囲の前駆体細胞サブセットの 増殖を抑制する。従って、かかる前駆体細胞の増殖を測定する種々の既知アッセ イの如何なるものも、本ペプチドの抑制活性を測定するのに適する。さらに、こ のペプチドの活性は種特異性ではなく、従って、活性は、例えば、ヒトまたはマ ウス骨髄前駆体細胞を含む哺乳動物細胞を用いるアッセイで測定できる。 典型的アッセイは、顆粒球−マクロファージコロニーおよびクラスター形成を 測定し、米国特許第5,149,544号に記載されている。簡単に述べると、正 常なエンドトキシン耐性マウス由来の骨髄細胞の単一細胞懸濁液を調製して軟寒 天培地に培養する。アッセイ当りの細胞の濃度は、典型的には1×105細胞/m lである。CFU−GMの増殖は、各培養物へのマウスGM−CSFの添加によ って促進される。各培養物は、さらに本発明のペプチドまたはコントロール培地 を含む。培養物を十分に湿ったCO2環境でインキュベートし、全コロニー(5 0細胞以上)およびクラスター(4ないし50細胞)を5ないし8日後に計数す る。ペプチドの阻害活性は、CSF−促進コロニーおよびクラスター形成がコン トロール培地によるアッセイに比べて減少している量として測定する。 上記アッセイの適当な変法としては、適当な成長因子または興奮剤により剌激 されたマウスまたはヒト前駆体細胞の他のサブセットのコロニー形成の抑制の測 定を含む。かかる変更は、組換えマウスGM−CSF単独または組換えマウスG M−CSFと組換えマウススチール因子(肥満細胞成長因子および幹細胞成長因 子としても知られている)との組合せにより刺激されたマウスCFU−GMの未 成熟サブセットによるコロニー形成の抑制の測定を含む。マウスCSF−1によ って刺激された成熟マクロファージ前駆体(CFU−M)、或は組換えヒトEP Oにより剌激された未成熟赤芽球(BFU−E)または多能性(CFU−GEM M)前駆体のコロニー形成の抑制の測定も、本発明のペプチドの活性を測定する のに用いることができる。他の適切なアッセイは、組換えヒトGM−CSFと組 換えヒトスチール因子の組合せにより刺激されたヒトCFU−GM、または組換 えヒトGM−CSFにより刺激された成熟CFU−GM、または組換えヒトG− CSFにより剌激された成熟顆粒球前駆体細胞(CFU−G)、または組換えヒ トEPOと組換えヒトIL−3または組換えヒトスチール因子のいずれかとの組 合せで剌激された未成熟BFU−E、または組換えヒトEPOと組換えヒトスチ ール因子により剌激された未成熟CFU−GEMMの未成熟サブセットによるコ ロニー形成の抑制の測定を含むが、これに限定されない。 以上で検討したように、ペプチドの阻害活性は、サイトカイン−促進コロニー およびクラスター形成が減少する量として測定され、そしてコントロール培地か らコロニー形成のパーセント変化として表すことができる。本発明によれば、ペ プチドは、それが上記の、または類似のアッセイのいずれかでコントロール培地 に比べてコロニー形成を有意に阻害する(p<0.05)ことができるならば、 サプレッサー活性を有すると考えられる。 また、本発明のペプチドの骨髄抑制活性は、実験動物、例えばマウスにペプチ ドを注射すること、そして大腿骨および脾臓の前駆体細胞の増殖および絶対数に 対する、並びに骨髄、脾臓および血液の有核細胞性に対する影響を測定すること によって評価することもできる。例えば、骨髄造血前駆体細胞の増殖に対する本 発明のペプチドの影響は、メイズ等(1992)、ジャーナル・オブ・イムノロジィ ,149:1004に記載されるようにして測定できる。 簡単に述べると、マウスに無菌のパイロジェン−フリーの食塩水または無菌の パイロジェン−フリーの食塩水に希釈した本発明のペプチドのいずれかを静脈注 射(i.v.)する。単一用量i.v.注射の24時間後に、マウスは大腿骨骨髄および 脾臓CFU−GM、BFU−E並びにCFU−GEMMの環流速度(細胞周期の S−期中の細胞のパーセント)に対するペプチドの作用、そして、また、骨髄お よび脾臓の前駆体細胞および有核細胞の絶対数に対するペプチドの作用を評価す る。前駆体細胞の絶対数および環流状態を評価する方法は、当業者にとって既知 であり、例えばブロックスマイヤー等、(1987)ジャーナル・オブ・クリニカル ・インベスティゲイション79:721に記載されている。本発明によれば、ペ プチドが上記の、または類似のアッセイで、食塩水対照に対してS−期の前駆体 の絶対数または前駆体のパーセントを有意に阻害する(p<0.05)ことがで きるならば、ペプチドは前駆体細胞増殖の抑制効果を有するとみなされる。 さらに本発明は、このペプチドの製薬上許容されうる塩に関する。塩は、製薬 上許容されうる無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸、並びに製薬 上許容されうる有機酸、例えばクエン酸、酒石酸、フマール酸、メタンスルホン 酸およびエタンスルホン酸を用いる標準的方法により調製されるものを含む。好 ましい塩は塩酸塩である。 本発明によって、配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチドが、骨髄抑制を 誘導すること、即ち、インビトロおよびインビボのいずれにおいても、骨髄前駆 体細胞の増殖を抑制することができることが判明した。従って、本発明は、増殖 過程が制御を消失した過増殖疾患状態、例えば真性白血病および赤血球増加症に おいて骨髄細胞の増殖を減少させるのに有効である。 従って、本発明の他の態様は、治療有効量の配列Ala−Lys−Pro−Argを含 む少なくとも一つのペプチドを患者に投与することを特徴とする治療有効量の本 発明のペプチドに応答する骨髄造血過増殖障害の処置方法を提供する。処置方法 の好ましい実施態様では、ペプチドは式Ala−Lys−Pro−Argを有する。他の 好ましい実施態様では、ペプチドは式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−A la−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有する。他の実施態様では、 ペプチドは配列Ala−Lys−Pro−Arg−AlaまたはLys−Ala−Lys−Pro− Argを含む。さらに他の実施態様では、ペプチドは配列Glu−Thr−Val−Ile −Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを含む。他の 実施態様では、ペプチドは式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys −Pro−Argを有する。さらに他の実施態様では、ペプチドは式Ala−Lys−P ro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有する。本発明によれば、治療有効量は、 骨髄前駆体細胞の増殖の抑制もたらす量と定義される。処置の有効性は、末梢血 液数の、または骨髄の造血前駆体(CFU−GEMM、BFU−E、CFU−G M)の頻度(コロニー/プレートされた細胞)の分析、或は処置の前後における 末梢血液の上記細胞の絶対数(コロニー/血液のml)により評価され得る。増殖 に対する影響は、又、骨髄吸引でのS−期の細胞(即ち環流前駆体)の細胞のパ ーセントを測定することにより評価することもできる。前駆体細胞の絶対数また はS−期の細胞のパーセントの減少は処置の効果と相関関係にある。好ましい実 施態様では、過増殖障害は白血病である。さらに好ましい実施態様では、白血病 は急性または慢性骨髄白血病である。他の好ましい実施態様では、過増殖障害は 真性赤血球増加症である。 化学療法剤および放射線照射は、急速に増殖している細胞に対する作用により 重篤な骨髄抑制(myelosuppression)を起こすことが知られている。化学療法誘 発骨髄抑制は、癌処置の最も一般的な投与量制限および死に致る可能性のある合 併症である。現在、EPO、G−CSFおよびGM−CSFを含む造血成長因子 は、化学療法誘発骨髄抑制を伴う患者の骨髄造血を促進するのに用いられている 。化学療法または放射線照射前、および治療中の本発明のペプチドによる患者へ の処置は、骨髄前駆体の細胞周期速度を逆に抑制し、従って化学療法誘発障害に さらされる細胞数を減少させることができる。本発明のペプチドによる処置は、 細胞周期の非S−期部分に前駆体を置くことにより化学療法および放射線の影響 から骨髄細胞を保護する。好ましい実施態様では、化学療法前、少なくとも一つ の、配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチドによる処置が、化学療法に続く コロニー剌激因子による処置と組合せて用いられる。 従って、本発明の他の局面は、治療有効量の配列Ala−Lys−Pro−Argを含 む少なくとも一つのペプチドを、化学療法前、患者に投与することを含む化学療 法誘発骨髄抑制の減少方法を提供する。処置方法の好ましい実施態様では、ペプ チドは式Ala−Lys−Pro−Argを有する。他の好ましい実施態様では、ペプチ ドは式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala− Asn−Phe−Proを有する。式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−L ys−Pro−ArgおよびAla−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有す るペプチドも考慮される。他の実施態様では、ペプチドは配列Ala−Lys−Pro −Arg−AlaまたはLys−Ala−Lys−Pro−Argを含む。さらに他の実施態様 では、ペプチドは、配列Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−P ro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを含む。本発明によれば、治療有効量は、結 果として骨髄前駆体細胞の増殖の抑制をもたらす量と定義される。処置の有効性 は、末梢血液数の、または骨髄の造血前駆体(CFU−GEMM、BFU−E、 CFU−GM)の頻度(コロニー/プレートされた細胞)の分析、或は主題のペ プチドによる処置の前後の末梢血液中のかかる細胞の絶対数(コロニー/血液の ml)により評価できる。また、増殖に対する作用も骨髄吸引液でのS−期の前駆 体細胞のパーセントを測定することにより評価できる。 また、本ペプチドはエンドトキシン誘発敗血症性ショックの処置および予防に 有用である。エンドトキシン誘発敗血症性ショックは、循環器系変化、例えば低 血症および多重器管不全となる播種性血管内凝固を伴うグラム陰性菌血症および 敗血症によって特徴づけられる障害である。敗血症性ショックは、低血症および 血管収縮剤抵抗性をもたらす生理学的障害のカスケードにより特徴づけられる。 エンドトキシンおよびサイトカインによる血管壁酸化窒素シンターゼ(NOS) の誘発は、強い血管拡張神経状態と内皮障害を伝達する。開発中の最近の治療剤 は、カスケードの特定の現象を標的とし、抗エンドトキシン生成物、酸化窒素イ ンヒビターおよびサイトカインインヒビターを含む。 本発明によれば、配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチドが、敗血症性シ ョックの危険にさらされている哺乳動物のエンドトキシン誘発敗血症性ショック に 対する羅病性を減少させ得ることが判明した。ペプチドは、5ないし20のアミ ノ酸を含み、上記したように、この分野で知られた方法により合成できる。当業 者にとって明らかなように、テトラマーは、ペプチドが毒素ショックに対する羅 病性を減少する活性を有するよう、ペプチドの如何なる位置にあってもよい。同 様に、ペプチドの付加的残基は、生物学的活性(即ち、敗血症性ショックに対す る羅病性の減少)を維持する限り、如何なるアミノ酸であってもよい。好ましい 実施態様では、ペプチドは配列Ala−Lys−Pro−Arg−Alaを含む。他の実施 態様では、ペプチドは配列Lys−Ala−Lys−Pro−Argを含む。さらに他の実 施態様では、ペプチドは配列Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys −Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを含む。好ましい実施態様では、ペプチ ドは式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala− Asn−Phe−Proを有する。式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−L ys−Pro−ArgおよびAla−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有す るペプチドも考慮され得る。 本発明のペプチドの敗血症性ショックに対する羅病性減少効果は、致命的エン ドトキシン誘発敗血症性ショックの危険にさらされている患者に似せたインビボ モデルで評価できる。簡単に述べると、実験動物、例えばマウスはグラム陰性細 菌エンドトキシンの主要毒素成分である、E.コリリポポリサッカリド(LPS )の腹腔内(i.p.)注射の直前に本発明のペプチドを静脈内に(i.v.)投与する 。このモデルで、LPSの投与量は、約2LD50である、800μg/マウス( 40mg/kg)であり、大多数の死亡はLPSの注射後、24と48時間の間に起 きる。本発明のペプチドの好ましい投与量は、本モデルでは約10μgである。 食塩水対照に対する、本モデルでの死亡率を統計的に有意に減少するペプチドは 、本発明による、敗血症性ショックの予防方法に有効であると考えられる。 従って、本発明は、治療有効量の配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチド の少なくとも一つを敗血症性ショックの危険にさらされている患者に投与するこ とを含む、エンドトキシン誘発敗血症性ショックの予防方法を提供する。敗血症 性ショックの予防の好ましい実施態様では、ペプチドは式Ala−Lys−Pro−A rgを有する。他の好ましい実施態様では、ペプチドは式Glu−Thr−Val−Ile −Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有する。他 の実施態様では、ペプチドは配列Ala−Lys−Pro−Arg−AlaまたはLys−A la−Lys−Pro−Argを含む。さらに他の実施態様では、ペプチドは配列Glu− Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe− Proを含む。式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Ala−Lys −Pro−ArgおよびAla−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有する ペプチドも考慮され得る。 敗血症では、エンドトキシンおよびサイトカインが内皮および血管平滑筋に、 および他の細胞並びに組織で酸化窒素(NO)シンターゼの誘発を起こす。増強 されたNO合成は、血管拡張、内皮障害および他の細胞に対する障害の増加によ り特徴づけられる細胞毒効果を有し(例えばポーマー(1993)アーカイブス・オ ブ・サージェリィ,128:396参照)、従って、敗血症性ショックの致死段 階と関連している心血管崩壊の原因となる。上記したように、本発明のペプチド はエンドトキシン誘発敗血症性ショックに対する羅病性を減少することができる 。特に、表6、7および8に示すように、本発明のペプチドはLPSの作用を妨 害し、細菌エンドトキシンLPSの主要毒素成分は、強力な硝酸シンターゼ(N OS)誘導可能な刺激剤である、NOの合成を触媒する酵素であることが知られ ている。従って、本発明のペプチドは、細胞傷害性ショックのNO−誘発病理学 的作用、即ちNO−誘発低血圧を減少させる。 本ペプチドは、医薬組成物として治療有効量を宿主に投与しうる。医薬組成物 は、治療有効用量の本発明によるペプチドを、製薬上許容されうる基剤とともに 含みうる。 当業者は、本治療用ペプチドの用量および最も適切であろう組成物を決定する ことができ、そしてそれは投与の形態および選択した特定のペプチドによって変 わるであろうし、さらにまた、それは処置される特定の患者によって変わるであ ろう。一般に、処置は、少用量で、次いで化合物の至適用量以下で開始し、そし て用量は、現状で至適効果に達するまで少しづつ増加させて行く。組成物を経口 投与する場合、より少量の非経口的に与えられる量と同じ効果を生じさせるため に、大量の活性物質を要することが一般的に理解される。ペプチドは、比較され 得る治療剤と同様に有効であり、投与量は、一般に他の治療剤に用いられる量と 同じオーダーである。 経口投与される場合、本発明のペプチドの治療用量は、たとえナノモル範囲で も一般に有効であり、これらの化合物は、マイクロモル量で、処置哺乳動物の約 10ないし約500mg/kg体重の範囲のマイクロモル当量で有効である。非経口 的に投与される場合、化合物は、宿主および所望する効果にもよるが、一般に、 例えば0.01mg/kg〜約200mg/kgの用量で投与される。好ましい用量は0. 5〜10mg/kg処置哺乳動物の体重の範囲である。 組成物は、経口、静脈内(溶解性なら)、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、皮下、非 経口、腸管経由などを含むよく知られた経路により投与できる。投与の経路によ って、医薬組成物は保護コーチングを必要としうる。 注射用に適した医薬形態は、無菌の水性溶液または分散液並びに無菌の注射用 溶液または分散液用の用時(extemporaneous)調製製剤用の無菌粉末を含む。全 ての場合に、最終溶液形は無菌且つ液状でなければならない。典型的な基剤は、 例えば、緩衝化水性溶液水(即ち、生体適合性緩衝液)、エタノール、グリセロ ール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールのようなポリオール、そ れらの適当な混合物、界面活性剤または植物油を含む溶媒または分散媒体を含む 。滅菌は、抗菌または抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノー ル、ソルビン酸またはチメロサールの添加を含む当分野で知られた技術により行 い得るが、これに限定されない。さらに、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウ ムを当該組成物に取り込みうる。 当該のペプチドを含む無菌の注射用溶液の製造は、これらのペプチドの必要量 を適当な溶媒に上記の種々の成分と共に処方し、必要ならば、次いで滅菌、好ま しくは滅菌濾過により行う。無菌粉末を得るために、上記溶液は、必要な場合、 真空乾燥または凍結乾燥する。 ペプチドを経口投与する場合、有効用量のペプチドを含むその医薬組成物は、 不活性希釈剤、吸収されうる可食性基剤等を含み得、硬または軟殻ゼラチンカプ セルであり得、錠剤に打錠し得、またはエリキシル、懸濁液、シッロップ等であ り得る。 以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するものである。 実施例1 抗−フェリチンと抗−14−量体ペプチド間の交差反応性の欠如 14−量体ペプチドGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−A1a−Lys−Pro −Arg−Ala−Asn−Phe−Proは、ザ・デパートメント・オブ・メディシン、 ベテランズ・アドミニストレイション・メディカル・センター、ユニバーシティ ー・オブ・テネシー、メンフィス、TNのペプチド機関で固相合成により合成し た。ペプチドはG−10セファデックスクロマトグラフィにより精製し、ザ・モ レキュラー・バイオロジィ・リソース・ファシリティ、ユニバーシティー・オブ ・テネシー、ノックスビルによって実施されたアミノ酸分析は、ペプチドのモル 比が一致した。これはインディアナ・ユニバーシティー・スクール・オブ・メデ ィシンで確認した。 14−量体ペプチドおよびラット肝臓フェリチンに対する抗体は、マートルス ・ラビトリィ、トンプソン・ステイション、TNから購入した雌ニュージーラン ド白ウサギを用いて産生させた。0.01Mリン酸緩衝食塩水、pH7.2(PB S)中1mgの抗原を等容量のフロインド完全アジュバンドに乳化した。4つの皮 下(s.c.)注射(各0.25ml)を上記各付属体に与え、そしてその後各30日 間隔で、続く、PBS中の同一抗原注射を行った。第二および続く注射後7日目 に血清を得た。18%Na2SO4による二回沈殿により免疫グロブリンGを調製 した。固定化14−量体ペプチドについてのアフィニティ精製によりペプチド特 異的IgGを調製した。無水シトラコン酸でブロックした遊離アミノ基を有する 7mgのペプチドを、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ イミド塩酸塩を用い、ジアミノジプロピルアミンゲル2mlと結合させた。ペプチ ドーゲルを0.5M酢酸アンモニウム、pH4.0で処理して結合ペプチドのアミ ン基から無水物を分離させた。0.5M酢酸アンモニウムpH4.0でペプチドー ゲルから溶出したペプチド特異的IgGをPBSに対して透析し、滅菌濾過して −20℃で貯蔵した。 2つのIgG調製物についての交差反応性を検定するための競合ELISAを 96−ウエルイムロン2プレートで実施した。0.01M炭酸緩衝液、pH9.6 中フェリチンまたはペプチド1.0μg/50μlを各ウエルに加えて、5℃で一 夜、吸着させた。0.05%トウーン20を含む50μlのPBS中の抗体を、可 溶性フェリチンまたはペプチドの存在または不存在下に洗浄したウエルに加え、 シェーカー上で37℃、60分間インキュベートした。PBS−トウーンで洗浄 後、結合IgGを、基質として2,2’−アジノ−ジ[3−エチル−ベンズチアゾ リン−6−スルホン酸]を用い、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合 組換えプロテインGで検出した。個々のウエルの吸光度を、自動ミクロプレート 読取器を用い403nmで測定した。ウエスタンイムノブロットを、ミニ・プロテ アンIIゲル装置を用い、プレカスト4−15%勾配ゲルでフェリチンのSDS− PAGEから作成した。試料を14mAの一定アンペア数で90分間、電気泳動 した。バイオトランス半乾燥電気泳動トラスファーユニットを用い、0.19M グリシンおよび0.1MSDSを含む0.025Mトリス緩衝液、pH8.5で蛋白 をイムノグロブリン−P PVDF膜に移した。トリス緩衝化食塩水(TBS) 、pH7.5中、15分間洗浄後、膜はTBS中3%脱脂乾燥ミルクで37℃、3 0分間ブロックし、0.05トウィーン20を含むTBS(TBS−トウーン) で再び洗浄した。膜をTBS−トウィーン中、適当な抗体と室温で一晩インキュ ベートし、洗浄し、そしてHRP−プロテインGと室温で3時間インキュベート した。結合プロテインGをIBIエンザイグラフィック・ウェブで検出した。 すべてのアッセイは、容易に再現でき、アッセイは3回実施した。得られた値 は平均±標準誤差の平均である。統計的分析をスチューデントT検定試験により 行った。 フェリチンおよび14−量体ペプチドで免疫したウサギの血清から免疫グロブ リンG抗体を調製した。抗−ペプチドIgGは固定化ペプチドを用いるアフィニ ティ精製によりさらに精製した。抗体は、ELISAで評価すると、フェリチン と14−量体ペプチド間で最小交差反応性を示し、従って、14−量体とフェリ チンの免疫関連性の欠如を示した。図1に示されるように、可溶性ペプチドは抗 体に有効に競合するけれども、可溶性フェリチンは、ELISAのウエルに固定 されたペプチドへの抗−ペプチドの結合を減少させない。同様の結果が、フェリ チンと14−量体ペプチドをフェリチン/抗フェリチンELISAで競合体(co mpetition)として用いた場合に得られた。即ち、ペプチドは競合しなかったが 、一方、フェリチンは固定抗原への抗体結合を著しく減じた。図1に示したEL ISAについては、抗ペプチドを600mg/ml最終濃度で、所与の濃度の可溶性 フェリチンおよびペプチドと同時にペプチド被覆ウエルに添加した。示した値は 、HRP結合プロテインGとの結合ウサギIgG検出後の403nmでの吸光度で ある。 実施例2 本実施例は、マウスCFU−GMの増殖に対する14−量体ペプチドの抑制効 果を示す。 マウスCFU−GMによるコロニー形成に対する14−量体ペプチドとコント ロール寄せ集め(scrambled)ペプチドの効果を評価した。7.5×104マウス BDF2骨髄細胞/プレート/mlを、100μ/ml rmuGM−CSFプラス50n g/ml rmuスチール因子および14−量体ペプチド、寄せ集めペプチドまたはコ ントロール媒体のいずれかの存在下で塗布した。5%CO2および5%O2でイン キュベーションの7日後、コロニーを計数した。 表1および2に示すように、14−量体ペプチドは、実施例1に記載と同様に 合成し、また、ジ・インディアナ・ユニバーシティー・スクール・オブ・メディ シンでも合成し、組換え(r)マウス(mu)顆粒球−マクロファージコロニー剌 激因子(GM−CSF)(イムネックス・コーポレイション)とrmuスチール因 子(SLF、イムネックス・コーポレイション;c−キットリガンド、幹細胞因 子および肥満細胞成長因子とも呼ばれる)の組合せにより剌激されたマウスBD F1骨髄顆粒球−マクロファージ前駆体細胞(CFU−GM)の未成熟サブセッ トによるコロニー形成を抑制した。14−量体ペプチドの抑制活性の特異性は表 1に示したように立証されており、抑制ペプチドと同一のアミノ酸を含む混合( ラ ンダム)配列:NH2−Glu(E)−Ala(A)−Thr(T)−Lys(K)−Val(V)− Pro(P)−Ile(I)−Arg(R)−Met(M)−Lys(K)−Phe(F)−Ala(A)−A sn(N)−Pro(P)−COOH(ジ・インディアナ・ユニバーシティー・スクール ・オブ・メディシンで合成された)の14−量体ペプチドは抑制しなかった。 実施例3 表2および3に示すように、14−量体ペプチド(NH2−ETVIMKAK PRANFP−COOH)は骨髄前駆体細胞の異なるサブセットに対し広範囲の 活性を有し、本活性はマウス(表2)およびヒト(表3)両前駆体について明ら かである。表2に見られるように、14−量体ペプチド(14マーペプチド)は rmuGM−CSFで剌激されたマウス骨髄未成熟CFU−GM、muCSF−1で 剌激された成熟マクロファージ前駆体(CFU−M)並びにIU/ml rhuエリス ロポイエチン(アムゲン)で刺激された未成熟赤芽球(BFU−E)および多能 性(CFU−GEMM)前駆体の増殖を抑制した。 興味あることに、未成熟CFU−GM、BFU−EおよびCFU−GEMMに 対し抑制活性を有するrmuマクロファージ炎症蛋白(MIP)−10α(Rアン ドDシステムズ)(ブロックスマイヤー等、ブラッド76:1100,1990;ジャー ナル・オブ・イムノロジィ,147:2586,1990;マンテル等、プロシーディン グス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンシズUSA,90: 2232,1993)は、成熟CFU−Mに対し活性を有しない、即ち、14−量体ペプ チドはMIP−10αとは区別される(表2)。 表3に見られるように、14−量体ペプチド(14マーペプチド)は、rhuG M−CSF(イムネックス・コーポレイション)とrhuGM−CSFで刺激され たrhuSLF(イムネックス・コーポレイション)成熟CFU−GMで剌激され たヒト骨髄未成熟CFU−GM、rhu顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF、イ ムネックス・コーポレイション)により刺激された成熟顆粒球前駆体細胞(CF U−G)、rhuEpoとrhuインターロイキン(IL)−3(イムネックス・コーポ レイション)またはrhuSLFのいずれかとで剌激された未成熟BFU−Eおよ びrhuEPOとrhuSLFにより剌激された未成熟CFU−GEMMに対する抑制 活性を有する。 実施例4 高精製正常ヒト骨髄前駆体細胞に対する14−量体ペプチドの影響を試験した 。500非粘着性低密度T−リンパ球減少CD34+++区分骨髄細胞/ml/プレー トを、5%CO2に調製し、低(5%)O2張力の湿潤大気中、IU/ml rhuEP O、50ng/ml rhuスチール因子、200U/ml rhu GM−CSFおよび20 0U/ml rhuIL−3の存在下に14日間インキュベートした。表4の結果は、 個体数の50%以上の細胞が前駆体細胞であるので、14−量体ペプチドは抑制 的に働き、骨髄前駆体細胞に直接作用することを示す。本抑制は、個体数の1/ 1000以下の細胞が前駆体細胞である場合に見られたものと同じである(例え ば表3および4参照)。 実施例5 マウスに0.2mlの無菌パイロージェン−フリーの食塩水、或は0.2ml(2ng 含有)の14−量体ペプチドまたは寄せ集め14−量体ペプチドを静脈内注射し た。マウスを24時間後に屠殺した。rmuMIP−1αのインビボ作用について 報告された通りにこれらの研究を行った(メイズ等、ジャーナル・オブ・イムノ ロジィ,149:1004,1992)。示される結果は、1群当りの4匹のマウス全部 を個々に評価一つの代表的実験についての平均±ISEMである。14−量体ペ プチドの配列は、NH2−Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys− Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro−COOHである。寄せ集めの14−量体 ペプチドの配列は、NH2−Glu−Ala−Thr−Lys−Val−Pro−Ile−Arg −Met−Lys−Phe−Ala−Asn−Pro−COOH(配列番号7)である。 14−量体ペプチド(14−マーペプチド)のインビボ活性は表5の結果によ り示され、それは、2ng14−量体ペプチドの静脈内注射後24時間で、大腿部 骨髄並びに脾臓顆粒球−マクロファージ(CFU−GM)、赤芽球(BFU−E )および多機能(CFU−GEMM)前駆体細胞の絶対数に、並びにこれらの細 胞の循環速度(細胞サイクルのS−相での前駆体のパーセント)に、有意な減少 があることを示す。14−量体ペプチドの特異性は、寄せ集めの14−量体ペプ チドのインビボで骨髄前駆体を抑制する無能力(インビトロでも不活性、表1参 照)により示される(表5)。 実施例6 5週令雌Balb/cマウスに、800μgE.コリLPS(フェノール−水抽出、 シグマ)の腹腔内注射直前に、0.1mlのpH7.0PBS中、1μg〜1.0mg/ マウスに及ぶ用量で、14−量体ペプチドGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys −Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proの単一用量を静脈内注射し た。生存に対するペプチドの影響は表6に示される。致死率は、72時間以内に 起きる死亡を示す。有効用量(10μg)は、コントロールの80〜100%を 殺すのに十分なLPSを与えたマウスの50%を救った。 実施例7 5過令Balb/c雌マウスに、100〜800μgE.コリLPSの腹腔内注射直 前、14−量体ペプチドの10μg単一用量または担体緩衝液を静脈内注射した 。生存に対するペプチドの影響を表7に示す。致死率は72時間以内に起きる死 亡を示す。表7のデータにより示されるように、14−量体ペプチドは致死エン ドトキシンショックに対する耐性を増強する。 実施例8 14−量体ペプチド(Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−P ro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro)、10−量体ペプチド(Glu−Thr−Val −Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg)および8−量体ペプチド(Ala −Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro)の、マウス骨髄前駆体によるコ ロニー形成に対する影響を試験した。5×104粘着性細胞減少有核骨髄細胞を 含む軟寒天培養を、750U/mlのM−CSFおよび0.1ng/ml LPSまたは 0.6mMニトロプルシドナトリウム(SNP)のいずれかの添加により促進して 、S−期陽性転換(transitional)前駆体による付加的コロニー形成を促進した 。5%CO2中37℃でインキュベーション6日後、形成したコロニーを数えた 。表8の結果は、8−量体、10−量体および14−量体ペプチドがS−期陽性 転換前駆体によるコロニー形成を同等に阻害することを示した。ペプチドはM− CSFによってのみ剌激された基本コロニー反応を阻害しなかった。 表8に示される結果により示されるように、水性溶液中のNOのジェネレータ ー、ニトロプルシドナトリウム(SNP)は、転換細胞刺激剤としてLPSと同 じ性質を有する。本発明のペプチドは、LPSまたはSNPにより刺激された転 換前駆体によるコロニー形成の剌激を阻止し、LPSに反応して生成したNOが S−期陽性転換前駆体の剌激に反応性があること、および本ペプチドがNOの効 果を妨害することを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クーパー、スコット アメリカ合衆国46240インディアナ州、イ ンディアナポリス、ノース・チェスター・ アベニュー7536番 (72)発明者 ル、リー アメリカ合衆国46260インディアナ州、イ ンディアナポリス、バジャー・コート7359 番 (72)発明者 ムーア、ロバート・エヌ アメリカ合衆国37931テネシー州、ノック スビル、フォークストーン・プレイス1200 番 (72)発明者 クライスバーグ、ロバート アメリカ合衆国33024フロリダ州、ハリウ ッド、ブライアーウッド・サークル488番 (72)発明者 クライスバーグ、メリンダ・デトリック アメリカ合衆国45506オハイオ州、スプリ ングフィールド、アバーディーン・ドライ ブ2710番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも5つのアミノ酸を含むペプチドであって、上記ペプチドが配列 Ala−Lys−Pro−Argを含むことを特徴とするペプチド。 2.配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala、Lys−Ala−Lys−Pro−Arg、ま たはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−A sn−Phe−Proを含む、請求項1記載のペプチド。 3.式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala −Asn−Phe−Proを有するペプチド。 4.式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Argを有す るペプチド。 5.式Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有するペプチド。 6.骨髄前駆体細胞の増殖を抑制し得るペプチドであって、上記ペプチドが少 なくとも5つのアミノ酸を含み、かつ、上記ペプチドが配列Ala−Lys−Pro− Argを含むことを特徴とするペプチド。 7.配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala、Lys−Ala−Lys−Pro−Argまた はGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn −Phe−Proを含む、請求項6記載のペプチド。 8.敗血症性ショックに対する哺乳動物の羅病性を減少させ得るペプチドであ って、上記ペプチドが少なくとも5つのアミノ酸を含み、かつ、上記ペプチドが 配列Ala−Lys−Pro−Argを含むことを特徴とするペプチド。 9.配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala、Lys−Ala−Lys−Pro−Arg、ま たはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−A sn−Phe−Proを含む、請求項8記載のペプチド。 10.配列Ala−Lys−Pro−Argを含むペプチドおよび医薬上許容されうる 担体を含む医薬組成物。 11.請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチドを含む医薬組成物。 12.配列Ala−Lys−Pro−Argを含む治療的有効量のペプチドを投与する ことを含む、骨髄造血過増殖障害の処置方法。 13.上記骨髄造血過増殖障害が急性または慢性の骨髄性白血病または赤血球 増加症である請求項12記載の方法。 14.上記ペプチドが配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala、Lys−Ala−Lys −Pro−Arg、またはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Cys−Ala−Lys−Pro −Arg−Ala−Asn−Phe−Proを有する、請求項12または13記載の方法。 15.上記ペプチドが式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Cys−Ala−Lys− Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro、Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys− Ala−Lys−Pro−Arg、Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Proま たはAla−Lys−Pro−Argを有する、請求項12または13記載の方法。 16.上記治療的有効量が0.01mg/kg〜約200mg/kg体重である、請求 項12または13記載の方法。 17.配列Ala−Lys−Pro−Argを含む治療的有効量のペプチドを化学療法 または放射線照射前に投与することを含む、化学療法誘発または放射線照射誘発 骨髄抑制の減少方法。 18.上記ペプチドが配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala、Lys−Ala−Lys −Pro−Arg、またはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro −Arg−Ala−Asn−Phe−Proを含む、請求項17記載の方法。 19.上記ペプチドが式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys −Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro、Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys −Ala−Lys−Pro−Arg、Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro またはAla−Lys−Pro−Argを有する、請求項17記載の方法。 20.上記治療的有効量が約0.01mg/kg〜約200mg/kg体重である、請 求項17〜19のいずれか1項記載の方法。 21.配列Ala−Lys−Pro−Argを含む治療的有効量のペプチドを、敗血症 性ショックの危険にさらされている患者に投与することを含む、敗血症性ショッ クの予防方法。 22.上記ペプチドが配列Ala−Lys−Pro−Arg−Ala、Lys−Ala−Lys −Pro−ArgまたはGlu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys−Pro− Arg−Ala−Asn−Phe−Proを含む、請求項21記載の方法 23.上記ペプチドが、式Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys−Ala−Lys −Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro、Glu−Thr−Val−Ile−Met−Lys −Ala−Lys−Pro−Arg、Ala−Lys−Pro−Arg−Ala−Asn−Phe−Pro またはAla−Lys−Pro−Argを有する、請求項21記載の方法。 24.上記治療的有効量が約0.01mg/kg〜約200mg/kg体重である、請 求項21〜23のいずれか1項記載の方法。 25.配列Ala−Lys−Pro−Argを含む治療的有効量のペプチドを、敗血症 性ショックの危険にさらされている患者に投与することを含む、酸化窒素誘発低 血症の減少方法。
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