JPH08509870A - 特定のcd45イソ型タンパク質の発現を遮断するトランスジェニック哺乳動物 - Google Patents

特定のcd45イソ型タンパク質の発現を遮断するトランスジェニック哺乳動物

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JPH08509870A JP7500454A JP50045495A JPH08509870A JP H08509870 A JPH08509870 A JP H08509870A JP 7500454 A JP7500454 A JP 7500454A JP 50045495 A JP50045495 A JP 50045495A JP H08509870 A JPH08509870 A JP H08509870A
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Abstract

(57)【要約】 免疫系のある種の細胞における特定のCD45イソ型タンパタ質の発現を欠く哺乳動物を提供する。該哺乳動物は、所望により、CD45ROイソ型タンパク質をコードするトランスジーンを含有していてもよい。また、これらの哺乳動物を使用する方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 特定のCD45イソ型タンパク質の発現を遮断するトランスジェニック哺乳 動物 本出願は1993年5月26日付け出願の米国特許出願第08/067,76 7号の一部継続出願である。 発明の分野 本発明は1以上の遺伝子の発現が抑制され、および/または1以上の遺伝子が 挿入された哺乳動物に関する。さらに詳しくは、本発明は、外来性DNA構築体 を哺乳動物のゲノムDNAに挿入し、それにより、内因性遺伝子もしくは遺伝子 類の発現が低下もしくは完全に抑制され、および/または新規な遺伝子もしくは 遺伝子類が発現されるトランスジェニック哺乳動物を作出することに関する。 先行技術の記載 哺乳動物の免疫系は、高度に複雑でかつ調和して作用して、侵入する病原体、 トキシン、および他の外来性物質から当該哺乳動物を保護する多くの特別化され た細胞よりなる。 免疫系の特異性を担う細胞をリンパ球という。リンパ球は白血球細胞の1つの タラスである。リンパ球の2つ の重要なクラスはT細胞およびB細胞である。T細胞は胸腺で発生分化し、細胞 媒介免疫を担う。例えば、(他のタイプの白血球細胞の活性を増強する)ヘルパ ーT細胞、(他の白血球細胞の活性を抑制する)サプレッサーT細胞、および( 細胞を殺す)細胞障害性T細胞のごとき多くのタイプの特異化されたT細胞があ る。B細胞は骨髄で発生分化し、抗体を産生し分泌することによってその効果を 発揮する。 多くの免疫系障害が存在し、新しい障害が継続的に同定されている。通常起こ る免疫障害の1つのタイプは免疫系の過剰活性化である。ここに、ある種の因子 が免疫系で特定の細胞型を誘導して、それが活性化されるべきでない場合に活性 化状態となる。 もう1つのタイプの免疫障害は自己免疫である。この障害は、哺乳動物自身の 組織に対する免疫応答を増大させる免疫によって特徴付けられる。 哺乳動物の免疫系の応答を調節する鍵となる機能を有するものとして、いくつ かの蛋白質および他の分子が同定されている。2つのかかる蛋白質はCD28お よびCD45である。 CD28としても知られているCD28受容体は分子量約44キロダルトン( kD)のホモダイマーである。CD28は種々のT細胞の細胞表面で異なるレベ ルで発現され、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの受容体に類似した分 子構造を有する。CD28はT細胞活 性化の調節に関与するらしく、結局、ある種のホスホリパーゼのごときある種の 細胞内基質のチロシンリン酸化を介してT細胞サイトカイン遺伝子の発現を調節 することによってこの効果を発揮するようである(Linsley etal.,Ann.Rev.I mmunol.,11:191-211[1993]参照)。 免疫系の調節で重要なもう1つの蛋白質はCD45受容体またはCD45とし て知られている細胞表面受容体分子である。この分子は、例えば、B細胞および ある種のT細胞を含めた多くのタイプの造血細胞の表面で発現されている。CD 45をコードする遺伝子は別のスプライシングを受ける。CD45は34のエク ソンを有する(Johnson et al.,J.Biol.Chem.,264:6220-6229[1989])。 その結果、エクソン4、5および6の別々のスプライシングに主として起因して 、CD45の多重のイソ型タンパク質がある(Trowbridge et al.,Biochem.Bi ophys.Acta.1095:46-56[1991])。異なるイソ型タンパク質は異なる細胞で 発現されるが、1つの細胞型は1を超えるイソ型タンパタ質を発現し得る(Thom as,Ann.Rev.Immunol.,7:339-369[1989];Trowbridge et al.,前掲)。C D45は、イソ型タンパク質に応じて、約180kDと235kDの間の分子量 を有する。CD45ROとして知られているほぼ180kDのイソ型タンパク質 はエクソン4、5および6を発現しない。CD45は蛋白質チロシンホスファタ ーゼであって、細胞の信号伝達に関与している(Charbonneau et al.,Proc.Na tl. Acad.Sci.USA 85:7182-7186[1988];Tonks et al.,Biochem.,27:8695-870 1[1988])。CD45は、細胞表面で発現される抗原受容体に関連する蛋白質 とで複合体を形成することができ、また、これらの受容体のリン酸化を調節する ことによって信号の変換を調節できることが示唆されている(Justement et al. ,Science,252:1839-1842[1991])。 CD45の発現を欠くマウスT細胞クローンが化学的突然変異誘発によって創 製されている(Pingel et al.,Cell,58:1055-1065[1989];Weaver et al., Mol.Cell.Biol.,11:4415-4422[1991])。これらの細胞は、通常は活性化信 号として働くある種の化合物に応答して活性化された状態(すなわち、増殖する 状態)とはならない。該細胞はサイトカイン産生の低下のごとき他の損なわれた 機能も同様に有していた。 CD45発現が抑制された突然変異ヒトT細胞白血病細胞系が、ガンマ線の照 射によって創製されている(Koretzky et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,8 8:2037-2041[1991];Koretzky et al.,Nature,346:66-68[1990])。他の 損なわれた機能の中では、この細胞系がチロシンキナーゼが結合したT細胞受容 体関連を活性化する能力を欠くことが示されている。 単離された細胞系の使用は免疫系調節についての種々の蛋白質の役割を理解す るのに助けとなるが、哺乳動物において(すなわち、in vivo系において)直接 的にこれ らの蛋白質の効果を研究することによってより完全な情報が得られる。この目的 で、ある種の遺伝子の発現レベルを改変した種々の哺乳動物が作出されている。 これらの哺乳動物の1のクラスは、いわゆるトランスジェニック哺乳動物である 。これらの哺乳動物はそのゲノムに導入された新規な遺伝子または遺伝子類を有 する。これらの哺乳動物のもう1つのクラスはいわゆるノックアウト哺乳動物で あり、ここでは、内因性遺伝子の発現が遺伝子操作によって抑制されている。 種々のトランスジェニック哺乳動物が開発されている。例えば、1988年4 月12日に発行された米国特許第4,736,866号は、オンコジーンをコード するトランスジーンを含有するマウスを記載している。 1992年12月29日に発行された米国特許第5,175,384号は、成熟 T細胞を欠くトランスジェニックマウスを記載している。 1992年12月29日に発行された米国特許第5,175,383号は、int- 2/FGFファミリーにおける遺伝子をコードするトランスジーンを持つマウス を記載している。 1992年12月29日に発行された米国特許第5,175,385号は、ある 種のウイルスに対する耐性が増強されたトランスジェニックマウスを記載してい る。 1992年12月23日に国際公開されたPCT出願(WO92/22645 )はある種のリンパ系細胞型を欠 くトランスジェニックマウスを記載している。 ノックアウト哺乳動物を作出するには、まず、特定の遺伝子の発現を抑制する のに用いられる核酸構築体を、胚性幹細胞と呼ばれる未分化細胞型に導入するこ とが必要である。次いで、この細胞を哺乳動物の胚に注入し、そこで発生分化す る胚に取り込まれることが希望される。次いで、妊娠の持続のために、該胚を仮 親に移植する。 Pfefferら(Cell,73:457-467[1993])は、腫瘍壊死因子受容体p55をコ ードする遺伝子が抑制されているマウスを記載している。該マウスは腫瘍壊死因 子信号伝達に対する応答の低下を示した。 Fung-Leungら(Cell,65:443-449[1991]);J.Exp.Med.,174:1425-1429 [1991])は、CD8をコードする遺伝子の発現を欠くノッタアウトマウスを記 載している。これらのマウスは、種々の抗原に対する、およびリンパ球性脈絡髄 膜炎ウイルスのごときある種のウイルス病原体に対する細胞障害性T細胞の応答 レベルが低下していることが判明している。 Kishiharaら(Cell,74:143-156[1993])は、CD45のエクソン6に突然 変異を持つマウスの創製を記載している。報告されているところによると、この マウスはほとんどのBおよびT細胞でCD45を発現しない。 免疫障害に起因し得る被害効果に鑑みると、これらの障害の治療に有用な薬物 をスクリーニングし評価するためのin vivo系を提供する必要が当該分野に存在 する。 従って、本発明の目的は、免疫系の調節に関与する遺伝子がノックアウト技術 の使用により抑制されており、および/または哺乳動物がノックアウトトランス ジェニック哺乳動物となり得るように、新規な遺伝子が該哺乳動物で発現される 当該哺乳動物を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、かかるノックアウト哺乳動物およびノックアウトト ランスジェニック哺乳動物の作出方法を提供することにある。 これらの目的および他の目的は当業者に容易に理解されるであろう。 発明の概要 1の態様において、本発明は、T細胞上のCD28をコードする遺伝子の発現 のレベルが抑制されたマウスおよびその後代を提供する。該遺伝子は、マーカー 配列に連結したCD28暗号配列のエクソンの少なくとも一部よりなる核酸配列 をマウスのゲノムに挿入することによって抑制することができ;該マーカー配列 はネオマイシン耐性遺伝子であり得る。 もう1つの態様において、本発明は、CD45をコードする遺伝子の発現がB 細胞にて抑制されているマウスおよびその後代を提供する。さらに、本発明は、 胸腺細胞および末梢T細胞でのCD45発現のレベルが低下したマウスを提供す る。CD45遺伝子の発現は、ネオマイシン耐性遺伝子配列のごときマーカー配 列に連結され たCD45の1のエクソンの少なくとも一部よりなる核酸配列をマウスのゲノム に挿入することによって抑制もしくは低下させることができる。 好ましい具体例において、抑制もしくは低下されたCD45遺伝子はCD45 エクソン6イソ型タンパタ質である。 さらにもう1つの態様において、本発明は、CD45イソ型タンパク質6をコ ードする内因性遺伝子の発現が抑制されたマウスおよびその後代を提供し、ここ に、該マウスは新規なヌタレオチド配列またはトランスジーンを発現できる。 もう1つの態様において、本発明は、CD28またはCD45エクソン6イソ 型タンパタ質のノックアウト構築体を含有する胚性幹細胞系を提供する。 さらにもう1つの態様において、本発明は、免疫刺激効果用薬物を、CD28 もしくはCD45発現のレベルが抑制されたマウスに投与し、次いで、免疫刺激 のためのマウスをアッセイすることを特徴とする該薬物をスクリーニングする方 法を提供する。 図面の簡単な記載 図1は、CD28の発現を抑制するのに用いるノックアウト構築体を示す。1 Aは、ネイティブCD28遺伝子の一部の構造を示す。1Bは、創製されたCD 28ノ ッタアウト構築体を示し、1Cは、相同遺伝子組換えの後、ネイティブCD28 遺伝子に挿入されたこのノックアウト構築体を示す。用いる制限酵素は1文字省 略によって示す。S=SalI;X=XbaI;E=EcoRI;およびB=B amHI 図2は、1)PMAと組み合わせたカルシウムイオノフォア、および2)(I L−2の存在下または不存在下における)コンカナバリンAの脾細胞増殖に与え るCD28ノックアウト構築体の効果を示す。塗り潰した黒色の棒線は野生型マ ウスからの脾細胞を表し、水平方向にハッチングを施した棒線はヘテロ接合ノッ クアウトマウスからの脾細胞を表し、また、交差するハッチングを施した棒線は ホモ接合ノッタアウトマウスからの脾細胞を表す。これらの結果は細胞を培養し た2日後に得られたものである。 図3は、水疱性口炎ウイルスで免疫化した野生型(塗り潰した棒線)およびホ モ接合CD28ノックアウトマウス(交差したハッチングを施した)における中 和IgMおよびIgG抗体のレベルを表す。データは免疫化の後に(示した)種 々の時間に採取した。「n.d.」は、検出不可能なレベルを示す。 図4は、CD45エクソン6イソ型タンパク質の発現を抑制するのに用いるD NAノックアウト構築体を示す。4Aは、ネイティブCD45遺伝子の一部を示 す。4Bは、エクソン6〜8をneo配列で置き換えたノックア ウト構築体を示す。4Cは、ノックアウト構築体の制限部位を示す。 図5は、1)リポ多糖(LPS)、または2)精製された抗−μ抗体(B−7 −6)いずれかに応答しての、野生型(塗り潰した棒線)、ヘテロ接合CD45 ノックアウト(単一ハッチングを施した棒線)またはホモ接合CD45ノックア ウト(二重ハッチングを施した棒線)マウスからの脾細胞の増殖を示す。これら のデータは培地に刺激因予を添加した後3、4または5日に得られたものであっ た。「N.S.」は刺激因子を添加しなかったことを示す。 図6は、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス株Armstrong)に暴露した 場合の野生型およびCD45エクソン6イソ型タンパク質ホモ接合ノックアウト マウスの細胞障害性T細胞の応答を示す。6Aは、足蹠腫大反応を示し、6Bは 、LCMV感染細胞の特異的溶解を示す。中抜きの三角形はホモ接合CD45エ クソン6イソ型タンパク質ノックアウトマウスを示し、塗り潰した三角形は野生 型マウスを示す。 発明の詳細な記載 本発明は、部分的には、哺乳動物における特定の遺伝子の発現レベルは、抑制 すべき遺伝子のDNA配列のある部分を妨害するように働く新しいDNA配列を 、当該 哺乳動物のゲノムDNAに導入することによって低下させ、もしくは完全に抑制 することさえできるという発見に基づくものである。 「ノックアウト」なる語は、細胞における内因性DNA配列によってコードさ れた蛋白質の少なくとも一部の発現を部分的にもしくは完全に抑制することをい う。 「ノックアウト構築体」なる語は、細胞における内因性DNA配列によってコ ードされた蛋白質の発現を低下させもしくは抑制するように設計された核酸配列 をいう。ノックアウト構築体として用いる核酸配列は、典型的には、(1)抑制 すべき遺伝子のいくつかの部分からのDNA(エクソン配列、イントロン配列、 および/またはプロモーター配列)および(2)該細胞においてノックアウト構 築体の存在を検出するのに用いられるマーカー配列よりなる。該ノックアウト構 築体は細胞に挿入され、ネイティブDNA配列の転写を妨げもしくは干渉するよ うな位置にて、細胞のゲノムDNAに組み込まれる。かかる挿入は、通常、相同 遺伝子組換えによって起こる(すなわち、ノックアウト構築体が細胞に挿入され 、該ノッタアウト構築体が内因性DNAの対応する位置に組み込まれるように組 換えられた場合、内因性DNA配列に相同なノックアウト構築体の領域は相互に ハイブリダイズする)。ノックアウト構築体核酸配列は、1)抑制すべき遺伝子 の1以上のエクソンおよび/またはイントロンの全長もしくは部分的配列、2) 抑制すべき遺伝子 の全長もしくは部分的プロモーター配列、または3)それらの組合せよりなるも のであってよい。 典型的には、ノックアウト構築体を胚性幹細胞(ES細胞)に挿入し、通常相 同遺伝子組換えプロセスによって、該ES細胞のゲノムDNAに組み込まれる。 次いで、このES細胞を発生分化中の胚に注入し、その胚と一体化させる。 「遺伝子の破壊」および「遺伝子破壊」なる語句は、ネイティブDNA配列の 1の領域(通常、1以上のエクソン)および/または遺伝子のプロモーター領域 に核酸配列を挿入して、該遺伝子の野生型もしくは自然に生じる配列と比較して 、細胞中でその遺伝子の発現を低下させもしくは妨げることをいう。例えば、破 壊すべきDNA配列(プロモーターおよび/または暗号領域)に相補的なDNA 配列に挿入された抗生物質耐性遺伝子をコードするDNA配列を含有する核酸構 築体を調製することができる。次いで、この核酸構築体を細胞にトランスフェク トすると、該構築体はゲノムDNAに組み込まれるであろう。かくして、当該D NAは今や抗生物質耐性遺伝子によって破壊されたので、該細胞の多くの後代は 少なくともいくつかの細胞において当該遺伝子をもはや発現しないか、あるいは 低レベルでしか発現しないであろう。 「トランスジーン」なる語は、哺乳動物または哺乳動物胚の1以上の細胞に挿 入することができる単離された ヌクレオチド配列をいう。該トランスジーンは、所望により、細胞装置と協同し て直接的にまたは間接的に当該トランスジーンの転写および/または発現を変調 するよう働くことができる(プロモーター、ポリA配列等のごとき)他の遺伝エ レメントに作動可能に連結していてもよい。別法としてまたはさらに、該トラン スジーンは、哺乳動物の細胞もしくは胚の核の染色体DNAに当該トランスジー ンを(例えば、相同遺伝子組換えによって)組み込むのを助けるヌクレオチド配 列に連結されていてもよい。該トランスジーンは、哺乳動物の内因性遺伝物質中 の特定のヌクレオチド配列に対して相同もしくは非相同であるヌクレオチド配列 よりなるものであってよく、あるいはハイブリッド配列であってもよい(すなわ ち、該トランスジーンの1以上の部分が当該哺乳動物の遺伝物質に対して相同で あるか、あるいは1以上の部分が非相同である)。該トランスジーンヌクレオチ ド配列は当該哺乳動物に本来見い出されるポリペプチドまたはポリペプチドの変 異体をコードするものであってよく、それは、当該哺乳動物において自然には生 じないポリペプチド(すなわち、外来性ポリペプチド)をコードするか、あるい はそれは、内因性もしくは外来性ポリペプチドのハイブリッドをコードするもの であってもよい。該トランスジーンがプロモーターに作動可能に連結している場 合、該プロモーターは当該哺乳動物および/またはトランスジーンに対して同種 または異種であってよい。別法 として、プロモーターは内因性および外来性プロモーターエレメント(エンハン サー、サイレンサー、サプレッサー等)のハイブリッドあってもよい。 「CD28」および「CD28受容体」なる語は、免疫系のある種の細胞、特 にT細胞で発現される細胞表面受容体蛋白質をいう。CD28とそのリガンドB 7/BB1との結合は、T細胞の活性化に必要な本質的共同剌激性シグナルであ ると信じられている。 「CD45」、「CD45受容体」および「L−CA」なる語は、多くのタイ プの造血細胞の表面で発現される細胞表面受容体糖蛋白質をいう。CD45は、 分子量が約180kDないし約235kDの範囲の多重のイソ型タンパク質を有 する。異なる造血細胞系はCD45の異なるイソ型タンパタ質を発現し、いくつ かの細胞は1を超えるイソ型タンパク質を発現し得る。本明細書中で用いるごと く、CD45とは、これらのイソ型タンパタ質のいずれかまたは全てをいう。 「CD45エクソン6イソ型タンパク質」なる語は、CD45遺伝予のエクソ ン6(ならびに他のエクソン)を発現するCD45イソ型タンパク質をいう。「 CD45エクソン6イソ型タンパク質ノックアウト構築体」とは、エクソン6( ならびに他のエクソン)を発現するCD45イソ型タンパク質の発現を抑制する ように設計されたノックアウト構築体をいう。 「CD45RO」なる語は、CD45遺伝子のエクソ ン4、5および6が発現されないCD45イソ型タンパク質をいう。 「マーカー配列」なる語は、(1)(例えば、CD28またはCD45のごと き)注目する遺伝子(類)の発現を破壊するために核酸構築体(すなわち、「ノ ックアウト構築体」)の一部として用いられる、および(2)ノックアウト構築 体をゲノムに組み込んだ細胞を同定する手段として用いられる核酸配列をいう。 マーカー配列は、典型的には、抗生物質耐性遺伝子のごとき当該細胞に検出可能 な特性を付与する蛋白質または当該細胞で典型的には見い出されないアッセイ可 能な酵素をコードする配列ということになろうが、これらの目的を達成するいず れの配列であってもよい。マーカー配列が蛋白質をコードする場合、該マーカー 配列は、典型的には、その発現を調節するプロモーターも含有するであろう。 「齧歯動物」および「齧歯動物類」なる語は、そこから由来する全ての将来の 世代の何れかのおよび全ての後代を含めた、系統発生の目である齧歯目の全ての メンバーをいう。 「ネズミ」なる語は、ラットおよびマウスを含めた、ネズミ科の何れかのおよ び全てのメンバーをいう。 「後代」なる語は、特定の哺乳動物、すなわちそのゲノムDNAに挿入された ノックアウト構築体を含有する哺乳動物に由来するおよびその子孫である何れか のおよび全ての将来の世代をいう。かくして、本明細書中にお いては、後代であるF1、F2、F3世代等がこの定義に限りなく包含されるよ うに、何れかの続く世代の後代をも含む。 「免疫調節する」および「免疫調節」なる語は、特定の種についての免疫系の 成分の平均活性と比較して、何れかのその成分の活性のレベルの変化をいう。か くして、本明細書中で用いるごとく、免疫調節とは、活性の増大もしくは低下を いう。免疫調節は、B細胞、何れかのもしくは全てのタイプのT細胞、抗原提示 細胞、その他免疫機能に関与すると信じられている全ての細胞のレベルをアッセ イすることによって検出することができる。加えてあるいは別法として、免疫調 節は、1)免疫系で役割を有すると信じられている特定の遺伝子の発現レベル、 2)サイトカイン(インターロイキン等)のごとき特定の化合物または免疫系で 役割を有する他の分子のレベル、および/または、3)免疫系の機能発揮に関与 する特定の酵素、蛋白質等のレベルを評価することによって検出することができ る。 「作動可能に連結した」なる語は、エレメントが機能的に結合し、かつ相互に 作用できるような、相互に対する種々のヌクレオチド配列の配置をいう。かかる エレメントは、1種以上のプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化配列、 およびトランスジーンを包含するが、限定されるものではない。適当な向きであ る場合、すなわち作動可能に連結した場合、ヌクレオチド配列エレメ ントは一緒に相互の活性を変調するよう作用し、結局は、トランスジーン(類) の発現レベルに影響し得る。変調とは、特定のエレメントの活性レベルの増大、 低下、または維持を意味する。他のエレメントに対する各エレメントの位置は、 各エレメントの5’末端および3’末端の表現で表すことができ、また、何れか の特定のエレメント間の距離は当該エレメント間に介在するヌクレオチド、もし くは塩基対の数によって参照することができる。 「生物学的に活性な断片」なる語は、遺伝子もしくはトランスジーンの全長の ゲノムもしくはcDNAヌクレオチド配列より短いが、生物学的に活性な断片の 遺伝子(もしくはトランスジーン)産物が全長配列の遺伝子産物によって保有さ れる生物学的活性の少なくとも一部を保有するように、全長ヌタレオチド配列の 十分な部分を含有するヌタレオチド配列をいう。 ノックアウト技術 1.ノックアウト遺伝子(類)の選択 ノックアウトすべき遺伝子は何れの遺伝子であってもよいが、破壊すべきDN A上の少なくともいくらかの配列情報がノックアウト構築体およびスクリーニン グプローブ双方の調製で利用可能であることを条件とする。通常、ノックアウト 構築体で使用すべきDNAは1以上のエクソンおよび/またはイントロン領域、 および/また はプロモーター領域となろうが、cDNAが十分に大きいことを条件にcDNA 配列であってもよい。一般に、DNAは少なくとも約1キロベース(kb)長、 好ましくは3〜4kb長であり、それにより、ノックアウト構築体を(後記する )ES細胞のゲノムDNAに挿入した場合、ハイブリダイゼーションに十分な相 補的配列が供される。典型的には、ノックアウトすべき遺伝子は、1)成熟およ び/または未成熟T細胞および/またはB細胞で発現され、2)免疫系による炎 症または免疫抑制反応の間に活性化経路に直接または間接的に関与し、かつ3) ノックアウトされた場合に致死とはならない遺伝子ということになろう。ノック アウトすべき好ましい遺伝子はCD28およびCD45遺伝子である。 本発明の範囲内には、2以上の遺伝子がノックアウトされた哺乳動物が含まれ る。かかる哺乳動物は、各ノックアウト構築体を創製するために本明細書中に記 載する手法を繰り返すことによって、あるいは各々がノックアウトされた単一の 遺伝子を持つ哺乳動物を相互に交配させ、次いで、二重ノックアウト遺伝子型を 持つものをスクリーニングすることによって作出することができる。 選択した遺伝子をノックアウトするのに用いるDNA配列は、Sambrookら(Mo lecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pres s,Cold Spring Harbor,NY[1989])によって記載されているもののごとき当 該分野でよく知られた方法を用いて得ら れる。かかる方法は、例えば、ゲノム配列の少なくとも一部を得るための、同一 遺伝子の少なくとも一部をコードするcDNAプローブを用いてのゲノムライブ ラリーのスクリーニングを含む。別法として、cDNA配列をノックアウト構築 体で用いるべき場合、該cDNAは、オリゴヌクレオチドプローブまたは抗体を 用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができ る(該ライブラリーは発現ベクターにクローン化されている)。プロモーター配 列をノックアウト構築体で用いるべき場合、該プロモーター配列を含有するゲノ ムライブラリーをスクリーニングするために合成DNAプローブを設計すること ができる。 ノックアウト構築体で用いるべきDNAを得るための別の方法は、DNA合成 器を用いてDNA配列を合成により作製することである。 ノックアウト構築体をコードするDNA配列は遺伝子操作およびES細胞への 挿入のために十分な量を作製しなければならない。増幅は、1)当該配列を適当 なベクターに入れ、次いで、容易に該ベクターを増幅できる細菌もしくは他の細 胞を形質転換することによって、2)PCR増幅によって、または3)DNA合 成器での合成によって行うことができる。 2.ノックアウト構築体の作製 ノックアウト構築体を産生するのに用いるべきDNA配列を、特定の位置で切 断するように選択した特定の制限酵素で消化して、マーカー遺伝子をコードする 新しいDNA配列がこのDNA配列内の適当な位置に挿入されるようにする。マ ーカー遺伝子挿入のための適当な位置は、ネイティブな遺伝子の発現を妨げるよ うに働く位置であり;この位置は、切断すべき配列中の制限部位のごとき種々の 因子、およびエクソン配列かまたはプロモーター配列か、あるいは双方が妨げら れるか否か(すなわち、プロモーター機能を阻害する、またはネイティブエクソ ンの合成を阻害するのに必要な挿入の正確な位置)に依存するであろう。好まし くは、DNAを切断するのに選択した酵素により、より長いアームとより短いア ームとが生じ、ここに、より短いアームは少なくとも約300塩基対(bp)で ある。ある場合には、抑制すべき遺伝子の1以上のエクソンの一部または全てさ えを現実に除去して、マーカー遺伝子がノックアウト構築体に挿入された場合に 元のゲノム配列に匹敵するノックアウト構築体長を維持するのが望ましいであろ う。これらの場合、ゲノムDNAは、適当なサイズの断片が除去できるように、 適当な制限エンドヌクレアーゼで切断する。 マーカー遺伝子は検出可能なおよび/またはアッセイ可能な何れの核酸配列で あってもよいが、典型的には、抗生物質耐性遺伝子、あるいはその発現または当 該ゲノムにおける存在が容易に検出できる他の遺伝子である。 通常、マーカー遺伝子は、それ自身のプロモーターに、あるいはそれが挿入され た細胞で活性であるかまたは容易に活性化できる何れかの入手源からの他の強力 なプロモーターに作動可能に連結されている;しかしながら、マーカー遺伝子は 抑制すべき遺伝子のプロモーターを用いて転写できるので、連結されたそれ自身 のプロモーターを有する必要はない。加えて、マーカー遺伝子は、通常、当該遺 伝子の3’末端に結合したポリA配列を有し;この配列は当該遺伝子の転写を終 結させるよう働く。好ましいマーカー遺伝予はneo(ネオマイシン耐性遺伝子 )およびβ−gal(ベーターガラクトシダーゼ)のごとき何れかの抗生物質耐 性遺伝子である。 ゲノムDNA配列を適当な制限酵素で消化した後、当業者によく知られ、また 、Sambrookら(前掲)に記載されている方法を用いてマーカー遺伝子配列をゲノ ムDNA配列に連結する。連結すべきDNA断片の末端は適合すべきものでなけ ればならず;これは、適合末端を生じる酵素で全ての断片を切断するか、あるい は連結に先立って末端を平滑にすることによって達成される。平滑化は、例えば 粘着末端を満たすためのクレノウ断片(DNAポリメラーゼI)の使用のごとき 、当該分野でよく知られた方法を用いてなされる。 連結したノックアウト構築体は(後記する)胚性幹細胞に直接挿入できるか、 あるいは挿入に先立って増幅用の適当なベクターにまず入れることができる。好 ましい ベクターは、pBluescript II SKベタター(Stratagene,San Diego,CA)また はpGEM7(Promega Corp,Madison,WI)のごとき細菌細胞で容易に増幅さ れるものである。 3.胚性細胞のトランスフェクション 本発明は、限定されるものではないが、ウサギ、ラット、ハムスターおよびマ ウスを含めた齧歯類の何れかの種からノックアウト哺乳動物を作出することに関 する。好ましい齧歯類は、ラットおよびマウスを含めたネズミ科のメンバーを含 む。一般に、ノックアウト哺乳動物を作出するのに用いる胚性幹細胞(ES細胞) は、創製すべきノックアウト哺乳動物と同一の種となろう。かくして、例えば、 マウス胚性幹細胞をノックアウトマウスの創製で通常使用することとなろう。 典型的には、胚性幹細胞は、発生分化中の胚の生殖系に取り込まれその一部と なって、ノックアウト構築体の生殖系伝達を生じるその能力について選択される 。かくして、この能力を有すると考えられる何れのES細胞も本発明で適する。 ES細胞の産生で典型的に用いられる1のマウス株は129J株である。好まし いES細胞系はネズミ細胞系D3である(American Type Culture Collectionカ タログ番号CRL1934)。Robertson(Teratocarcinomas and Embryonic St em Cells:A Practi cal Approach,E.J.Robertson編、IRL Press、Washington,D.C.[1987])お よびBradleyら(Current Topics in Devel.Biol.,20:357-371[1986])およ びHoganら(Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spri ng Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,NY[1986])によって記 載されているごとき当業者によく知られた方法を用いて、細胞を培養し、調製す る。 ノックアウト構築体のES細胞への挿入は、例えば、エレクトロポレーション 、マイクロインジェクション、およびリン酸カルシウム処理(Lovell-Badge,in Robertson編,前掲参照)を含めた当該分野でよく知られた種々の方法を用いて 達成できる。好ましい挿入方法はエレクトロポレーションである。ノックアウト 構築体が既にベクターに挿入されているならば、細胞に挿入すべき各ノックアウ ト構築体DNAはまず線状化しなければならない。線状化は、ベクター配列内で のみ切断し、かつノックアウト構築体配列内では切断しないように選択された適 当な制限エンドヌクレアーゼでDNAを消化することによって達成される。 DNA配列の挿入には、選択した挿入方法に適した条件下でノッタアウト構築 体DNAをES細胞に添加する。1を超える構築体をES細胞に挿入すべき場合 、各構築体をコードするDNAを同時あるいは一度に挿入することができる。 細胞をエレクトロポレーションに付すべきならば、エレクトロポレーション機 器を用い、かつ製造業者の使用ガイドラインに従って、ES細胞およびノックア ウト構築体DNAを電気パルスに暴露する。エレクトロポレーションの後、適当 なインキュベーション条件下で細胞を回収する。次いで、該細胞をノックアウト 構築体の存在につきスクリーニングする。 スクリーニングは、種々の方法を用いて行うことができる。マーカー遺伝子が 抗生物質耐性遺伝子である場合、致死濃度の抗生物質の存在下で細胞を培養する 。生き残った細胞は恐らくはノックアウト構築体を取り込んだものである。マー カー遺伝子が抗生物質耐性遺伝子以外である場合、ES細胞ゲノムDNAのサザ ンブロットを、マーカー配列に対してのみハイブリダイズするように設計された DNA配列でプローブすることができる。最後に、マーカー遺伝子が、その活性 が検出できる酵素(例えば、ベーターガラクトシダーゼ)をコードする遺伝子で ある場合、適当な条件下で酵素基質を細胞に添加し、酵素活性を分析することが できる。 ノックアウト構築体はES細胞ゲノムのいくつかの位置で取り込まれ、ランダ ム挿入事象の発生のため、各細胞ゲノムの異なる位置に取り込まれる;所望の挿 入位置はノックアウトすべきDNA配列に対して相補的位置である。典型的には 、ノックアウト構築体を取り込むES細胞の約1〜5パーセント未満が実際には ノックアウト 構築体を所望の位置に取り込む。ノックアウト構築体を適切に取り込んだ細胞を 同定するには、Sambrookら(前掲)によって記載されているもののごとき標準的 な方法を用いてDNAを細胞から抽出することができる。次いで、該DNAを、 特定の制限酵素(類)で消化したゲノムDNAに対して特異的パターンでハイブ リダイズするように設計されたプローブもしくはプローブ類を用いてサザンブロ ットにプローブできる。別法として、または加えて、ゲノムDNAは、特定のサ イズおよび配列のDNA断片を増幅するように特別に設計されたプローブを用い るPCRによって増幅することができる(すなわち、適当な位置にノックアウト 構築体を含有する細胞のみが適当なサイズのDNA断片を生じるであろう)。 4.胚の注入/移植 適当な位置にノックアウト構築体を含有する適当なES細胞を同定した後、該 細胞を胚に挿入する。挿入は種々の方法で達成できるが、好ましい方法はマイク ロインジェクションによるものである。マイクロインジェクションでは、約10 〜30個の細胞をマイクロピペットに収集し、適当な発生分化の段階にある胚に 注入して、ES細胞を発生分化中の胚に取り込ませる。 胚の適当な発生分化段階は非常に種依存的であるが、マウスでは、それは約3 .5日齢である。該胚は妊娠した 雌の子宮を潅流することによって得られる。これを達成するための適当な方法は 当業者に知られており、また、Bradley(Robertson編、前掲)によって記載され ている。 正しい年齢/発生分化の段階の何れの胚も使用するのに適するが、好ましい胚 は雄であって、ES細胞遺伝子によってコードされた体毛色とは異なる体毛色に ついてコードする遺伝子を有する。このようにして、子孫は、(ES細胞が発生 分化中の胚に取り込まれたことを示す)モザイク体毛色を探すことによって、ノ ックアウト構築体の存在につき容易にスクリーニングすることができる。かくし て、例えば、ES細胞系が白色体毛についての遺伝子を担持すれば、選択される 胚は黒色体毛または茶色体毛についての遺伝子を担持するであろう。 ES細胞を胚に導入した後、該胚を偽妊娠仮親の子宮に移植する。何れの仮親 を用いることもできるが、それらは、典型的には、交配し十分に再生するその能 力、およびその子供を世話する能力について選択される。かかる仮親は、典型的 には、同一種の精管切除した雄と交配させることによって作製される。偽妊娠仮 親の段階は移植が成功するために重要であり、それは種依存的である。マウスに ついては、この段階は偽妊娠約2〜3日である。 5.ノックアウト遺伝子の存在についてのスクリーニング 仮親から生まれた子孫はまず体毛色についてスクリーニングすることができ、 そこでは、(前記したごとき)体毛色選択戦略が用いられる。加えて、あるいは 別法として、子孫の尾組織からのDNAは、前記したサザンブロットおよび/ま たはPCRを用いて、ノックアウト構築体の存在についてスクリーニングするこ とができる。次いで、モザイクであるように見える子孫がその生殖系にノックア ウト構築体を担持してホモ接合ノックアウト動物を生じると考えられる場合は相 互に交配させる。もし子孫が生殖系伝達を有するか否かが明確でないならば、そ れらを親または他の株と交配させ、子孫のヘテロ接合性についてスクリーニング する。該ヘテロ接合体は、前記したごとく、DNAのサザンブロットおよび/ま たはPCR増幅によって同定される。 次いで、ヘテロ接合体を相互に交配させてホモ接合ノックアウト子孫を得る。 ホモ接合体は、この交配の作出物であるマウス、ならびにヘテロ接合体であるこ とが知られているマウスおよび野生型マウスからの等量のゲノムDNAをサザン ブロッティングに付すことによって同定することができる。サザンブロットをス クリーニングするためのプローブは前記したごとくに設計できる。 ノックアウト子孫を同定し特徴付ける他の手段が利用できる。例えば、ノック アウトされた遺伝子、マーカー遺伝子、または双方をコードする転写体の存在ま たは不存在についてmRNAをプローブするのにノーザンブロ ットを用いることができる。加えて、ノックアウトされた遺伝子によってコード された蛋白質に対する抗体、またはこの遺伝子が発現された場合はマーカー遺伝 子産物に対する抗体でウェスタンブロットをプローブすることによって、これら の子孫の種々の組織におけるノックアウトされた遺伝子の発現レベルを評価する のにウェスタンブロットを用いることができる。最後に、ノックアウト構築体遺 伝子産物の存在または不存在を探すのに適した抗体を用いて、子孫からの種々の 細胞の(細胞を固定し抗体で標識するごとき)in situ分析および/またはFA CS(蛍光標示式細胞分取)分析を行うことができる。トランスジーン技術 1.トランスジーン(類)の選択 典型的には、本発明で有用なトランスジーン(類)は、免疫応答、造血、炎症 、細胞の成長および増殖、細胞系分化、および/またはストレス反応に関与する ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であろう。好ましいトランスジーン は、CD45の種々のイソ型タンパク質、特にCD45ROのごとき免疫系のポ リペプチドからなるものである。 2以上のトランスジーンの哺乳動物への挿入は本発明の範囲内に含まれる。 1を超えるトランスジーンを本発明で用いる場合、該トランスジーンは個々に 調製し挿入することができるか、あるいは挿入用の1の構築体として一緒に作製 することができる。該トランスジーンは各トランスジーンの発現を駆動する選択 されたプロモーター双方に対して、および/または哺乳動物に対して同種または 異種であってよい。さらに、トランスジーンは全長cDNAまたはゲノムDNA 配列、あるいは少なくともいくらかの生物学的活性を有する、すなわち、同一種 の野生型、非トランスジェニック哺乳動物で容易には観察されない(生物学的、 細胞的および/または形態学的)何れかのレベルの効果を呈するどのような断片 、サブユニットもしくは突然変異体であってもよい。所望により、トランスジー ンはハイブリッドヌタレオチド配列であってもよい、すなわち、同種および/ま たは異種cDNAおよび/またはゲノムDNA断片から構築された配列であって もよい。また、トランスジーンは、所望により、1以上の自然に生じるcDNA および/またはゲノム配列の突然変異体、またはその対立遺伝子変異体であって もよい。 当該分野でよく知られた1以上の方法を用いて、各トランスジーンを適量にて 単離し、得ることができる。トランスジーンを単離するのに有用なこれらの方法 および他の方法は、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Ma nual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY[1989 ])およびBerg erおよびKimmel(Methods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techni ques,vol.152,Acadcmic Press,Inc.,San Diego,CA[1987])に記載されて いる。 各トランスジーンのヌクレオチド配列が知られている場合、Engelsら(Angrew .Chem.Int.Ed.Engl.,28:716-734[1989])に記載されているごとき化学合 成法を用いて、トランスジーンを全部または部分的に合成することができる。こ れらの方法は、とりわけ、核酸合成のホスホトリエステル、ホスホルアミダイト およびH−ホスホネート方法を包含する。別法として、トランスジーンDNAと 選択的にハイブリダイズする1以上の核酸プローブ(クローン化すべきトランス ジーンに対する許容されるレベルの相同性を有するオリゴヌクレオチド、cDN AまたはゲノムDNA断片)を用いて適当なcDNAまたはゲノムラリブラリー をスクリーニングすることによってトランスジーンを得ることができる。トラン スジーンを得るための他の適当な方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である 。しかしながら、この方法を首尾よく使用するには、適当なヌクレオチド配列を 増幅するのに有用である適当なオリゴヌクレオチドプライマーを設計するために 、トランスジーンのヌタレオチド配列について十分な情報が入手できることが必 要である。 選択した方法がオリゴヌクレチオドプライマーもしくはプローブの使用を必要 とする場合(例えば、PCR、cDNAもしくはゲノムライブラリースクリーニ ング)、 プローブまたはプライマーとして選択したオリゴヌクレオチド配列は、ライブラ リーのスクリーニングまたはPCRの間に起こるであろう非特異的結合の量を最 小化するために、適当な長さであって十分に明確でなければならない。プローブ またはプライマーの現実の配列は、通常、他の生物からの同一または同様の遺伝 子からの保存されたまたは高度に相同性の配列や領域に基づくものである。所望 により、プローブまたはプライマーは縮重していてもよい。 トランスジーンのアミノ酸配列のみが知られている場合、プローブ可能で機能 的な核酸配列は、各アミノ酸残基についての公知かつ好ましいコドンを用いてト ランスジーンにつき推定できる。次いで、この配列を化学的に合成することがで きる。 本発明ではトランスジーン突然変異体配列の使用が考えられる。突然変異体ト ランスジーンは、野生型配列と比較して、1以上のヌクレオチドの置換、欠失、 および/または挿入を含有するトランスジーンである。ヌクレオチドの置換、欠 失および/または挿入は、野生型アミノ酸配列とはそのアミノ酸配列が異なる遺 伝子産物(すなわち、蛋白質)を生じ得る。かかる突然変異体の作製は当該分野 でよく知られており、例えばWellsら(Gene,34:315[1985])およびSambrook ら(前掲)に記載されている。 2.調節エレメントの選択 本発明におけるトランスジーンは、典型的には、プロモーターに作動可能に連 結しており、ここに、プロモーターは各トランスジーンの発現を個々に調節する ように選択される。 1を超えるトランスジーンを用いるべき場合、各トランスジーンは同一または 異なるプロモーターによって調節することができる。選択されたプロモーターは 同種(すなわち、トランスジーンでトランスフェクトすべき哺乳動物と同一の種 からのもの)であるか、あるいは異種(すなわち、トランスジーンでトランスフ ェクトすべき哺乳動物の種以外の入手源からのもの)であってよい。それ自体、 各プロモーターの入手源は単細胞生物、原核生物または真核生物、あるいはいず れかの脊椎動物または無脊椎動物からのものであってよい。本発明におけるより 好ましいプロモーターは、ヒトβ−グロブリン3’領域およびマウスIgμエン ハンサーに作動可能に連結されたCD45プロモーター、マウスlckプロモー ター、およびマウスH−2kbプロモーターのごとき、免疫系の遺伝子の発現を 調節するプロモーターである。最も好ましいプロモーターはマウスlckプロモ ーターである。 発現の綿密な調節を可能にするために、本発明におけるプロモーターは、単独 で、あるいは同種および/また は異種エンハンサーおよび/またはサイレンサーと組み合わせて用いることがで きる。 本発明におけるプロモーターのヌクレオチド配列は、当該分野でよく知られた いくつかの方法のうち何れかによって得ることができる。典型的には、本発明で 有用なプロモーターはマッピングによっておよび/または制限エンドヌクレアー ゼ消化によって予め同定されているであろうし、かくして、適当な制限エンドヌ クレアーゼを用いて適当な組織源のゲノムDNAから単離することができる。あ る場合においては、プロモーターは配列決定されているであろう。そのヌクレオ チド配列が知られているプロモーターについては、該プロモーターはトランスジ ーン合成について前記した方法を用いて合成することができる。 プロモーター配列の全てまたは一部のみが知られている場合、該プロモーター は、PCRを用いて、および/または適当なオリゴヌクレオチドおよび/または 同一または他の種からのプロモーター配列断片でゲノムライブラリーをスクリー ニングすることによって得ることができる。 プロモーター配列が知られていない場合、例えば、暗号配列または他の遺伝子 または遺伝子類さえも含有し得るDNAの大きな断片から、プロモーターを含有 するDNAの断片を単離することができる。単離は、1以上の注意深く選択した 酵素を用いて制限エンドヌクレアーゼ 消化して、適当なDNA断片を単離することによって達成できる。消化の後、所 望の断片を、アガロースゲル精製、QiagenRカラム(Qiagen Corp.,Chatsworth ,CA)または当業者に知られている他の方法によって単離する。この目的を達成 するのに適した酵素の選択は当業者には容易に明らかとなるであろう。 3.他のベクター成分の選択 トランスジーンおよびプロモーターに加えて、本発明におけるトランスジーン を作製するのに有用なベクターは、典型的には、(1)トランスジーンが挿入さ れる哺乳動物におけるトランスジーンの最適発現、および(2)細菌または哺乳 動物宿主細胞におけるベクターの増幅に有用な1以上の他のエレメントを含有す る。これらのエレメントの各々は、その各活性を最大化するように各他のエレメ ントに対してベクター中にて適当に位置させることとなろう。かかる位置付けは 当業者によく知られている。以下のエレメントは、所望により、適当なものとし てベタターに含ませることができる。 i.シグナル配列エレメント トランスジーンによってコードされるポリペプチドが分泌されるべきである場 合の本発明の具体例については、 シグナル配列と呼ばれる小さなポリペプチドをしばしば存在させて、トランスジ ーンによってコードされたポリペプチドを、それが合成される細胞から外へと方 向付ける。典型的には、シグナル配列は、トランスジーンの暗号領域中に、ある いは暗号領域の5’末端に位置させる。多くのシグナル配列が同定されており、 機能的であって、かくして、トランスジェニック組織に適合するもののうち何れ もトランスジーンと一緒に使用することができる。従って、シグナル配列をコー ドするヌクレオチド配列はトランスジーンに対して同種または異種であってよく 、また、トランスジェニック哺乳動物に対して同種または異種であってよい。加 えて、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列は、前記した方法を用いて化 学的に合成することができる。しかしながら、本発明の目的では、好ましいシグ ナル配列はトランスジーンに関して自然に生じるものである(すなわち、トラン スジーンに対して同種である)。 ii.膜固定ドメインエレメント いくつかの場合において、特定の細胞内膜の表面または原形質膜で発現される トランスジーンを有するのが望ましいであろう。自然に生じる膜蛋白質は、ポリ ペプチドの一部として、蛋白質を膜に固定するよう働くアミノ酸のストレッチを 含有する。従って、自然には膜上に見 い出されない蛋白質について、アミノ酸のかかるストレッチをこの特徴を付与す るために付加することができる。しばしば、アンカードメインはポリペプチド配 列の内部部分であり、かくして、それをコードするヌクレオチド配列をトランス ジーンヌクレオチド配列の内部領域に入れることとなろう。しかしながら、他の 場合においては、アンカードメインをコードするヌクレオチド配列をトランスジ ーンヌクレオチド配列の5’または3’末端に連結することもできる。ここに、 アンカードメインをコードするヌクレオチド配列を、まず、トランスジーンをコ ードするヌクレオチド配列からの別の成分として、適当な位置にてベクターに入 れることができる。シグナル配列に関しては、アンカードメインは何れの入手源 からのものであってもよく、かくして、トランスジーンおよびトランスジェニッ ク哺乳動物双方に対して同種または異種であってよい。別法として、アンカード メインは前記した方法を用いて化学的に合成することができる。 iii.複製起点エレメント この成分は、典型的には、商業的に購入した原核生物発現ベクターの一部であ り、宿主細胞においてベクターの増幅を助ける。選択したベクターが複製起点部 位を含有しないならば、公知の配列に基づいて化学的に合成し、ベタターに連結 することができる。 iv.転写終結エレメント ポリアデニル化またはポリA配列としても公知のこのエレメントは、典型的に は、ベクター中でトランスジーンヌクレオチド配列に対して3’側に位置させ、 トランスジーンの転写を終結させるように働く。このエレメントをコードするヌ クレオチド配列は容易にライブラリーからクローン化されるか、あるいはベクタ ーの一部として商業的に購入されるが、前記したごときヌクレオチド配列合成方 法を用いて容易に合成することができる。 v.イントロンエレメント 多くの場合において、トランスジーンの転写は、クローニングベクター上にお ける1のイントロンまたは(エクソンによって連結された)1を超えるイントロ ンの存在によって増大される。該イントロン(類)は、トランスジーンヌクレオ チド配列内に、特に該トランスジーンがゲノムDNA配列の全長物であるかまた はその断片である場合に自然に生じ得る。イントロン(類)がヌクレオチド配列 内で自然に生じない場合(ほとんどのcDNA)、イントロン(類)は他の入手 源から得ることができる。イントロン(類)はトランスジーンに対しておよび/ またはトランスジェニック哺乳動物に対して同種ま たは異種であってよい。イントロンは転写されて有効とならなければならないの で、プロモーターおよびトランスジーンに対するイントロンの位置は重要である 。トランスジーンそれ自体がcDNA配列である場合、イントロン(類)につい ての好ましい位置は転写スタート部位に対して3’側であって、ポリA転写終結 配列に対して5’側である。好ましくは、cDNAトランスジーンについては、 イントロンは、それがトランスジーンヌクレオチド配列を中断しないように、該 トランスジーンヌクレオチド配列の一方側もしくは他方側(すなわち、5’側も しくは3’側)に位置させることとなろう。何れのウイルス、原核および真核( 植物または動物)生物も含めた、何れの入手源からの何れのイントロンを使用し ても本発明を実施することができるが、それが挿入される宿主細胞(類)に適合 することを条件とする。なお、合成したイントロンも含まれる。所望により、1 を超えるイントロンをベクターで用いることもできる。イントロンおよびエクソ ンの好ましいセットはヒト成長ホルモン(hGH)DNA配列である。 vi.選択マーカー(類)エレメント 選択マーカー遺伝子は、選択培地で増殖した、トランスフェクトされた細胞の 生存および増殖に必要なポリペプチドをコードする。典型的な選択マーカー遺伝 子は、 (a)抗生物質または他のトキシン、例えば、原核生物宿主細胞にはアンピシリ ン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシン、および哺乳動物細胞にはネオマ イシン、ヒグロマイシン、もしくはメトトレキセートに対して耐性を与える;( b)細胞の栄養要求性欠損を補う;または(c)複合培地からは入手できない非 常に重要な栄養素、例えば、BaCilliの培養用のD−アラニンラセマーゼをコー ドする遺伝子を、供給する蛋白質をコードする。 前記したエレメントの全て、ならびに本発明で有用な他のものは当業者によく 知られており、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual ,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY[1989]) およびBergerら編(Guide to Molecular Cloning Techniques,Academic Press ,Inc.,San Diego,CA[1987])に記載されている。 4.クローニングベクターの構築 本発明のトランスジェニック哺乳動物を作出するにおいて有用なトランスジー ンカセットの増幅で最も有用なクローニングベクターは、原核細胞宿主に適合す るものである。しかしながら、真核細胞宿主、およびこれらの細胞に適合するベ クターは本発明の範囲内のものである。 ある場合においては、クローニングベクターに含有されるべき種々のエレメン トのいつくかは、pUC18、 pUC19、pBR322、pGEMベクター(Promega Corp,Madison,WI) 、pBIISK+/-のごときpBluescriptR(Stratagene Corp.,La Jolla,CA)等のよ うな商業的に入手可能なクローニングもしくは増幅ベクター中に既に存在し得る ものであり、それら全てが原核細胞宿主に適する。この場合、トランスジーンを ベクターに挿入することのみが必要である。 しかしながら、用いるべき1以上のエレメントがクローニングもしくは増幅ベ クターに既に存在しない場合、それらを、個々に得て、個々にベクターに連結す ることができる。各エレメントを得てそれらを連結するのに用いる方法は当業者 によく知られているか、あるいはトランスジーンを得るために前記した方法(す なわち、DNAの合成、ライブラリースクリーニング等)に同様である。 トランスジーン(類)ヌクレオチド配列のタローニングもしくは増幅に、およ び/または哺乳動物胚のトランスフェクションに用いるベクターは当該分野でよ く知られた方法を用いて構築される。かかる方法は、例えば、Sambrookら(前掲 )に記載されたDNAおよび/またはRNAの制限エンドヌタレアーゼ消化、連 結、アガロースおよびアタリルアミドゲル精製、DNAおよび/またはRNAの カラムクロマトグラフィー精製、DNAのフェノール/クロロホルム抽出、DN A配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応増幅等の標準的な技術を含む。 本発明を実施するのに用いる最終のベクターは、典型的には、商業的に入手可 能なベクターのごとき出発のクローニングベクターまたは増幅ベクターから構築 される。このベクターは、完成されたベクターに含むべきエレメントのいくつか を含有してしても、あるいは含有していなくてもよい。所望のエレメントの何れ も出発ベクターに存在しなければ、連結すべきエレメントの末端およびベクター の末端が連結に適合するように、ベクターを適当な制限エンドヌクレアーゼ(類 )で切断することによって、各エレメントを個々にベクターに連結することがで きる。いくつかの場合において、満足すべき連結を得るためには、一緒に連結す べき末端を「平滑とする」ことが必要であろう。平滑化は、まず、全ての4種の ヌクレオチドの存在下でクレノウDNAポリメラーゼまたはT4 DNAポリメ ラーゼを用いて「粘着末端」を満たすことによって達成される。この手法は当該 分野でよく知られており、例えば、Sambrookら(前掲)に記載されている。 別法として、ベクターに挿入すべき2以上のエレメントを(もしそれらが相互 に隣接して位置すべき場合には)まず一緒に連結し、次いで、ベクターに連結す ることができる。 ベクターを構築する1つの他の方法は、1つの反応混合物中にて種々のエレメ ントを同時に全て連結することを実行することである。ここに、多くのナンセン スもし くは非機能的ベクターが、エレメントの不適当な連結もしくは挿入に起因して生 じるであろうが、機能的ベクターを同定し、制限エンドヌクレアーゼ消化によっ て選択することができる。 ベクターを構築した後、増幅のためにそれを原核生物宿主細胞にトランスフェ クトすることができる。増幅のために典型的に使用される細胞はイー・コリ(E .coli.)DH5−アルファ(Gibco/BRL.Grand Island,NY)およびDH5−ア ルファに類似の特性をもつ他のイー・コリ(E.coli.)株である。 哺乳動物宿主細胞を用いる場合、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細 胞;Urlab et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216[1980])およびヒ ト胚性腎細胞系293(Graham et al.、J.Gen.Virol.,36:59[1977])、な らびに他の細胞系が適当である。 増幅用に選択した宿主細胞系へのベクターのトランスフェクションは、リン酸 カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェク ションまたはDEAE−デキストランのごとき方法を用いて達成される。選択す る方法は、部分的には、トランスフェクトすべき宿主細胞の型と関係するであろ う。これらの方法および他の適当な方法は当業者によく知られており、Sambrook ら(前掲)に記載されている。 ベクターが十分に増幅されるのに十分に長い間細胞を培養した後(通常、イー ・コリ(E.coli.)細胞について は一晩)、(しばしばこの段階ではプラスミドと呼ばれる)ベクターを細胞から 単離し、精製する。典型的には、細胞を溶解し、プラスミドを他の細胞内容物か ら抽出する。プラスミド精製に適した方法としては、とりわけ、アルカリ溶解ミ ニプレプ方法(Sambrook et al.、前掲)が含まれる。 5.挿入用プラスミドの調製 典型的には、トランスジーンを含有するプラスミドを線状化し、胚への挿入に 先立って、選択された制限エンドヌクレアーゼを用いて、その部分を取り出す。 いくつかの場合において、トランスジーン、プロモーター、および調節エレメン トを、ベクターの他の部分から線状断片として単離し、それにより、トランスジ ーン、プロモーター、イントロン(使用すべき場合)、エンハンサー、ポリA配 列、および所望によりシグナル配列もしくは胚への膜固定ドメインを含有する線 状ヌクレオチドのみを注入するのが好ましい。これは、プラスミドを切断して、 これらのエレメントを含有する核酸配列領域を取り出し、次いで、アガロース電 気泳動または他の適当な精製方法を用いてこの領域を精製することによって達成 することができる。 6.トランスジェニック哺乳動物の産生 トランスジェニック哺乳動物は当業者によく知られた方法を用いて容易に作製 することができる。例えば、トランスジェニック齧歯類を作出するには、Hogan ら(Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring Harb or Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York[1986])によって記載 されているごとき方法を使用することができる。 本発明を実施するのに用いられる何れの哺乳動物種の特異的系列(類)も、胚 の一般的良好な健康、良好な胚収率、良好な前核可視性、ならびに良好な再生適 合性について選択される。加えて、ハプロタイプは重要な因子である。例えば、 トランスジェニックマウスを産生すべき場合、(Charles River Labs,Boston, MA,The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME,またはTaconic Labs.から商業 的に入手される)C57BL/6またはC57BL/6×DBA/2 F1、ま たはFVB系のごとき株をしばしば用いる。好ましい株はC57BL/6または DBA/1のごときH−2b、H−2dまたはH−2qハプロタイプを持つもので ある。本発明を実施するのに用いる系(類)は、それ自体トランスジェニックで あってよく、および/またはノックアウト(すなわち、部分的にまたは完全に抑 制された1以上の遺伝子を有する哺乳動物)であってよい。好ましくは、同一の 系を当初のノックアウト哺乳動物およびトランスジェニック哺乳動物双方の 産生に用いる。これは、引き続いての交配および戻し交配をより効果的とするで あろう。 胚を得、代理宿主として働かせるのに用いられる哺乳動物の年齢は用いる種に よるが、当業者によって容易に決定される。例えば、マウスを用いる場合、青春 期前雌が好ましい。というのは、それらは多くの胚を生じ、ホルモン注射に対し て良好に応答するからである。 同様に、種雄として用いるべき雄哺乳動物は、他の基準の中でも、通常、性的 成熟度の年齢によって選択されることとなろう。 卵の生産、交配、および/または胚の再移植用の雌を作出するには、ホルモン または他の化学化合物の投与が必要となるであろう。ホルモン/助因子のタイプ および用いる量、ならびにホルモン投与のタイミングは、哺乳動物の各々の種で 変動し得る。かかる考慮は当業者に容易に明らかとなるであろう。 典型的には、出発の雌(すなわち、受精できる卵を生産する雌)を種雄と交配 させ、次いで、得られた受精胚をトランスジーン(類)の導入のために取り出す 。別法として、卵および精子が適当な雌および雄から得られ、in vitro受精を用 いてトランスジーンの導入に適した胚を得ることができる。 通常、受精胚は前核が出現するまで適当な培地でインキュベートする。ほぼこ の時点において、トランスジーンからなるヌクレオチド配列を前記した雌または 雄の前 核に導入する。マウスのごときいくつかの種において、雄の前核が好ましい。 トランスジーンヌクレオチド配列の胚への導入は、例えば、マイクロインジェ クション、エレクトロポレーション、またはリポフェクションのごとき当該分野 で知られている何れの方法を用いても達成することができる。胚へのトランスジ ーンヌクレオチド配列の導入に続き、胚を種々の時間in vitroでインキュベート するか、あるいは代理宿主に再移植するか、あるいは双方を行うことができる。 成熟するまでin vitroでインキュベーションすることは本発明の範囲内のもので ある。1つの通常の方法は、種に応じて、約1〜7日間、in vitroで胚をインキ ュベートし、次いで、それを代理宿主に再移植することである。 再移植は標準的な方法を用いて達成される。用いるべき雌「仮親」株は、一般 的な丈夫さおよび健康、ならびに子孫を世話するその能力について選択される。 マウスの場合では、C57BL/6×DBA1またはCD1のごとき株が適当で ある。通常、代理宿主を麻酔し、胚を輸卵管に挿入する。特定の宿主に移植され る胚の数は種によって変動するであろうが、通常は、該種が自然に生産する子孫 の数に匹敵するであろう。 代理宿主のトランスジェニック予孫は、何れかの適当な方法によって、トラン スジーンの存在および/または発現についてスクリーニングすることができる。 スクリ ーニングは、しばしば、トランスジーンの少なくとも一部に相補的なプローブを 用いて、サザンブロットもしくはノーザンブロット分析によって達成される。ト ランスジーン産物の存在についてスクリーニングするには、トランスジーンによ ってコードされた蛋白質に対する抗体を用いるウェスタンブロットを別法または さらなる方法として使用することができる。典型的には、DNAを尾組織から調 製し(約1cmを尾の先端から取り出す)、トランスジーンについてサザン分析 またはPCRによって分析する。別法として、何れかの組織または細胞型もこの 分析で用いることもでき、トランスジーンを高レベルで発現すると考えられる組 織または細胞を、サザン分析またはPCRを用いて、トランスジーンの存在およ び発現につきテストする。 トランスジーンの存在を評価する別法またはさらなる方法は、限定されるもの ではないが、酵素アッセイおよび/または免疫学的アッセイのごとき適当な生物 化学的アッセイ、特定のマーカーもしくは酵素活性についての組織学的株、フロ ーサイトメトリー分析等を含む。また、血液中のトランスジーン産物の存在を検 出するには、ならびに種々のタイプの血液細胞および他の血液成分のレベルに対 するトランスジーンの効果を評価するのは、血液の分析が有用である。 トランスジェニック哺乳動物の後代は、トランスジェニック哺乳動物を適当な パートナーと交配させることに よって、あるいはトランスジェニック哺乳動物から得られた卵および/または精 子のin vitro受精によって得ることができる。パートナーとの交配を実行すべき 場合、該パートナーはトランスジェニックおよび/またはノックアウトであって もなくてもよく;トランスジェニックである場合、それは同一または異なるトラ ンスジーン、あるいは双方を含有することもできる。別法として、該パートナー は親系であってもよい。in vitro受精を用いる場合、受精胚を代理宿主に移植す るか、またはin vitroでインキュベートするか、あるいはその双方を行うことが できる。何れかの方法を用い、前記した、または適当な方法を使用して、トラン スジーンの存在について後代を評価することができる。 ノックアウト/トランスジェニック哺乳動物の作出 1を超えるノックアウト構築体および/または1を超えるトランスジーンを含 有する哺乳動物は、いくつかの方法のうち何れによっても作出される。好ましい 作出方法は、各々が所望のノックアウト構築体もしくはトランスジーンのうちの 1つを含有する、一連の哺乳動物を創製することである。かかる哺乳動物を一連 の交配、戻し交配および選抜を通して一緒に育種して、最終的に結局、所望のノ ックアウト構築体および/またはトランスジーンの全てを含有する単一の哺乳動 物を得るが、ここに、 該哺乳動物は、その他の箇所においては、ノックアウト(類)構築体および/ま たはトランスジーン(類)の存在を除き、野生型に対してコンジェニック(遺伝 的に同一)である。 典型的には、交配および戻し交配は、育種プロセスの各個々の段階に応じて、 同胞もしくは親株を子孫と交配させることによって達成される。ある場合には、 各ノックアウト構築体および/またはトランスジーンを適当な染色体の位置に含 有する単一の子孫を創製するために、非常に多くの子孫を創製する必要があるで あろう。加えて、数世代にわたって交配もしくは戻し交配して、最終的に所望の 遺伝子型を得ることが必要であろう。 ノックアウト哺乳動物の用途 抑制された遺伝子または遺伝子類に応じて、本発明の哺乳動物は種々の用途を 有するであろう。抑制された遺伝子または遺伝子類が免疫抑制または炎症に関与 すると考えられる蛋白質をコードする場合、該哺乳動物は免疫調節に有用な薬物 、すなわち、これらの活性を増強もしくは阻害する薬物についてスクリーニング するのに用いることができる。有用な薬物についてのスクリーニングは、一定範 囲の用量にわたって候補薬物をマウスに投与し、次いで、評価すべき免疫障害に 対する薬物の免疫調節効果(類)について種々の時点でアッセイすることを 含む。かかるアッセイは、例えば、増大もしくは低下したTおよびB細胞レベル 、増大もしくは低下した免疫グロブリン産生レベル、サイトカイン(例えば、イ ンターロイキン等)のごとき化学メッセンジャーの増大もしくは低下したレベル 、および/または増大もしくは低下した免疫応答に関与する特定の遺伝子の発現 レベルを探すことを含む。 例えば、化学療法を受けている患者は、しばしば、免疫抑制を体験する。免疫 系を活性化する効果を生じることができる治療剤を患者に投与することによって 、かかる個体の免疫系を活性化するのが望ましいであろう。本発明の哺乳動物は 、単独または組み合わせて、種々の化合物をスクリーニングするのに用いて、免 疫系の部分的もしくは全体的回復もしくは活性化が得られたか否かを判断するの に用いることができるであろう。 同じ戦略は、関節炎を持つ多くの患者で観察される炎症反応を抑制するのに有 用であるか、あるいは慢性関節リウマチおよび狼瘡を持つ患者で観察される自己 免疫現象を抑制するのに有用であろう化合物を発見するのに適用できよう。 加えて、本発明の哺乳動物は、免疫系の発達を評価するのに、また個々の遺伝 子の突然変異を実験するのに有用であり得る。 トランスジェニック/ノックアウト哺乳動物 本発明のトランスジェニック/ノックアウト哺乳動物およびその後代は、発現 されたトランスジーンおよびそれらが含有するノックアウト構築体に応じて、種 々の用途を有するであろう。該哺乳動物は、敗血症または他の免疫学的疾患のご とき病気の予防的もしくは治療的処置に有用な薬物もしくは治療方法をスクリー ニングするのに用いることができる。有用な薬物のスクリーニングは、まず、哺 乳動物で病気を誘発し(すなわち、哺乳動物を敗血症を起こす病原体またはトキ シンに暴露し)、次いで、一定範囲の用量にわたって候補薬物を該哺乳動物に投 与し、評価すべき病気もしくは障害に対する薬物の効果(類)について種々の時 点でアッセイすることを含むであろう。別法としてまたは加えて、病気の誘発に 暴露する前に、またはそれと同時に、薬物を投与することができるであろう。 病気または疾患を治療するのに用いる薬物をスクリーニングするに加えて、本 発明の哺乳動物は、病気または疾患を防止しまたは治癒することを目的とする治 療方法を設計するのに有用であろう。例えば、当該哺乳動物は、病気または疾患 の開始に先立って、またはそれと同時に、またはその後に、特定の制限食、日常 的運動、照射治療、および/または1以上の化合物もしくは物質を組み合わせて 治療できるであろう。かかる全体的療法は、化合物単独での治療よりも病気また は疾患と戦うのにより効果 的であろう。 化合物および/または治療方法の効果を評価するためのアッセイは、例えば、 増大もしくは低下したTおよびB細胞レベル、増大もしくは低下した免疫グロブ リンの産生、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子等)のごとき化学メッセンジ ャーの増大もしくは低下したレベル、および/または増大もしくは低下した免疫 応答に関与する特定の遺伝子の発現レベルを探すことを含むであろう。加えて、 血圧、体温、体重、脈拍、挙動、体毛(波打った毛皮)の外観等のごとき基準を 評価できるであろう。 加えて、本発明の哺乳動物は、免疫系の発達を評価し、また、特定の遺伝子突 然変異の効果を実験するのに有用であり得る。 また、本発明のトランスジェニックノックアウト哺乳動物は、1以上の細胞系 を創製するのに用いることができる。かかる細胞系は、例えば、特定の組織もし くは器官に対するトランスジーンノックアウトの効果(類)を評価し、また、組 織中のトランスジーンの活性レベルに影響し得る化合物をスクリーニングするの に、多くの用途を有する。かかる化合物はトランスジーンの活性を調節する治療 剤として有用であろう。 かかる細胞系の産生は、当業者に知られている種々の方法を用いて達成するこ とができる。実際の培養条件は、培養すべき細胞の組織および細胞型に依存する であろう。細胞の成長および増殖のための最適条件を決定するため の余分な実験をしなくとも、異なる濃度のマクロおよびミクロの栄養素、成長因 子、血清等を含有する種々の培地を細胞についてテストすることができる。同様 に、細胞密度、培地温度、およびインキュベーター中の二酸化炭素濃度のごとき 他の培養条件も容易に評価することができる。 回復、およびこのプロセスに影響する化合物を同定することもできる。 他の用途は当業者に容易に明らかとなるであろう。 以下の実施例を参照すれば本発明はより十分に理解されるであろう。これらの 実施例は本発明の範囲を限定するものとは断じて解釈されるべきでない。 実施例I:CD28ノッタアウトマウスの作出 1.ノックアウトDNA構築体の作製 ネズミCD28エクソン2 cDNA配列をプローブとして用い、(Lee et a l.,J.Immunol.,145:344[1990]によって記載されている)ネズミCD28遺 伝子のゲノムクローンを、ネズミBALB/cゲノムライブラリーから単離した 。単純疱疹ウイルスのチミジンキナーゼプロモーターに連結したネオマイシン耐 性遺伝子(neo)をコードするDNA構築体を挿入することによって、イント ロン1の3’末端およびエクソン2の5’末端を置き換えた。neoDNA構築 体は、プラスミドpMCIneoPolA(Thomas et al.,Cell,51:503[198 7])を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびEcoRIで消化することによ って、該プラスミドから得た。ゲノム配列をEcoRIおよびXbaIで切断す ることによってneo配列をゲノムCD28配列に連結し、次いで、このneo /CD28ノックアウト構築体をベクターpGEM7(Promega Corp.Madison ,WI)に連結した。このベタターを増幅のためにイー・コリ(E.coli)細菌株 DH5 アルファーに形質転換した。増幅の後、標準的なアルカリ溶解および精 製用CsClグラジエントを用いて、該プラスミドを精製した。 2.幹細胞のエレクトロポレーションおよび注入 精製したプラスミドノックアウト構築体を制限ヌクレアーゼAtaIIで消化 することによって線状化し、それにより、neo遺伝子の何れか側にCD28配 列のより短いアームおよびより長いアームを生じさせた。次いで、線状化したノ ックアウト構築体を、以下のごとくに、胚性幹細胞系D3にトランスフェクトし た:約5nmolの線状化DNAを容量約800μlの培地中の約5×106E S細胞に添加した。該細胞に0.34キロボルトおよび250μFにてパルスを 与え、次いで、胚性繊維芽支持(フィーダー)細胞を含有し、1パーセントのゼ ラチンで予めコートし、かつ10ml DMEM培地(Gibco/BRL,Grand Islan d,NY)、15パーセント子ウシ血清(Gibco/BRL,Grand Island,NYまたはHycl one Labs,Logan,UTからの同等物)、および白血病抑制因子(Fung-Leung et a l.,Cell,65:443-449[1991])を含有する2つの10cm細胞培養プレート上 で、細胞の各バイアルを平板培養した。2日後、250μg/mlの抗生物質G 418を培養に添加することによってneo選択を開始した。G418の存在下 で生存する細胞はほとんどノックアウト構築体を含有するようであった。次いで 、これらの細胞をスクリーニングして、該細胞がノックアウト構築体をゲノムD NAに組み込んだことを確認した。スクリーニングは、DNA増幅用のポリメラ ーゼ鎖反応(PCR)方法を用いて達成できた。2種のプライマーをPCRで用 いた。最初のプライマーはチミジンキナー ゼプロモーターに特異的な配列に向けられたものであり、以下に記載する;第2 のプライマーはCD28のイントロン2に特異的なものであり、これも以下に記 載する。 プライマー1(配列番号:1): プライマー2(配列番号:2): CD28ノックアウト構築体を含有するD3細胞系は、受託番号CRL113 82として、ATCC(American Type Culture Collection)に寄託された。 対照細胞およびトランスフェクトされた細胞からのゲノムDNAのサザンブロ ットを分析して、ノックアウト構築体をゲノムDNA中の適当な位置および向き で含有するトランスフェクト細胞を評価した(すなわち、相同遺伝子組換えを受 けた細胞を同定した)。サザンブロットは2種のプローブでプローブした。最初 のプローブはCD28イントロン2の200塩基対(bp)EcoRI/Xba I断片であった。第2のプローブはneo遺伝子の断片であって、(前記した) プラスミドpMClNeoPolAをHindIIIおよびXhoIで消化し、標 準的なアガロース電気泳動法を用いて1.2kb断片を単離することによって得 たものであった。 ゲノムDNAに適切に挿入されたCD28−neoインサートを含有する細胞 系を、トリプシン処理と続くRobertson(Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,IRL Press,Washington,D.C.,[1987],Rob ertson,E.J.編)によって記載されている方法により、ネズミ胚に注入して作製 した。注入した胚は、雄マウスと交配させた雌マウスの子宮を灌流することによ って得られた3.5日齢胚であった。胚性幹細胞を胚に注入した後、該胚を妊娠 のための擬妊娠雌マウスに移植した。ノックアウト構築体の担持を検出すること ができるように、子孫は、相互にまたは適当な体毛色を持つマウスと交配させた 。 3.ノックアウト構築体用マウスのスクリーニング これらの交配の子孫は、尾組織から得られたDNAのサザンブロットを(前記 した)neo遺伝子プローブでプローブすることによって、ノックアウト構築体 の存在について評価した。該プローブは野生型マウスから得られたDNAとはハ イブリダイズしなかった。 ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおけるCD28発現のレベルを評価 するために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の20mMEDTA100μl を含有する試験管に、尾出血からの約25μlの血液を収集することによって、 末梢血液リンパ球(PBL)をこれらのマウスから得た。PBLは、(赤血球を 溶血するため の)Geyの溶解緩衝液2mlを血液溶液に添加し、1パーセントBSA(ウシ 血清アルブミン)および0.1パーセントのアジ化ナトリウムを補充したPBS で2回洗浄することによって単離した。Pharmingen(San Diego,CA)から得ら れたハムスター抗−ネズミCD28モノクローナル抗体(0.2mg/ml溶液 の5μl)が結合されたフィコエリトリン(PE)と共に、細胞をインキュベー トした。次いで、PBLを1パーセントのパラホルムアルデヒドで固定した。各 マウスにつき約5,000個の細胞を分析した。次いで、FACS(蛍光標示式 細胞分取;Becton-Dickinson[Mountain View,CA]FACS装置を用いた)を 用い、これらの細胞をPE強度に基づいて分別した。 4.ノックアウト遺伝子の効果の分析 ホモ接合ノックアウトマウスおよび野生型マウスの胸腺細胞集団を、細胞表面 CD4およびCD8発現について評価した。CD8に向けられたFITC−結合 モノクローナル抗体、またはCD4に向けられたフィコエリトリン−結合モノク ローナル抗体で胸腺細胞を染色した(抗体はBeckton-Dickinson,Mountain View ,CAから得た)。脾細胞は、FITC標識抗B220およびPE標識ストレプト アビジンで検出されるビオチン標識抗B7抗体で染色することによって、細胞表 面マーカーB7の発現およびB細胞の量について評価した。細胞はFAC Sによって分析し、約10,000細胞を各試料について分析した。全てのマウ スは胸腺において正常なCD4/CD8サブタイプを示し、これは、T細胞の発 生分化がノックアウトマウスでは検出される程度には影響されていないことを示 す。加えて、全てのマウスは同様のB細胞およびB7プロフィールを示し、これ は、ノックアウトマウスは、B7発現のレベルが変化することによっては、突然 変異とはならなかったことを示す。 野生型、ヘテロ接合、およびホモ接合ノックアウトマウスの免疫応答は、種々 のマイトジェンに暴露した場合に、各タイプのマウスからの脾細胞について増殖 に対するアッセイを行うことによって評価した。脾細胞は、マウスを犠牲にし、 その脾臓を抽出することによって得た。該脾臓を、2パーセントの子ウシ血清を 含有する培地中に潰し、赤血球細胞を前記したごとくに溶解した。次いで、これ らの細胞を、約2×105細胞/ウェルの密度にて96ウェル平底プレートに平 板培養し、種々のマイトジェンを以下のごとくに添加した:1)コンカナバリン A(ConA)は5.0μg/mlおよび1.25μg/mlの間の濃度で、また 、IL−2の存在下および不存在下において、2.5μg/mlの濃度で評価し ;および、2)250ng/mlのカルシウムイオノフォアA23167は、5 0ng/mlのフォルボールエステルPMAの存在下で評価した。細胞増殖は、 培養2日後における3H−チミジン摂取を測定することによって測定した。 結果を図2に示す。ConAに関しては、野生型マウスからの細胞は大きな増殖 反応を示し、ヘテロ接合CD28ノックアウトマウスからの細胞はより小さい応 答を示し、ホモ接合CD28ノックアウトマウスからの細胞は最低量の3H−チ ミジン摂取を有していた。しかしながら、カルシウムイオノフォア/PMAに対 する反応は、3つのタイプの細胞間でかなり近いものであった。 水疱性口炎ウイルス(VSV、Indiana株)での感染に応答する血清中におけ る中和抗体の存在を評価した。マウスに2×106pfuのウイルスを注射した 。4、10または20日後、マウスからの血清を、Leistら(J.Immunol.,138: 2278[1987])によって記載されている方法を用いて中和IgMおよびIgG抗 体について分析した。中和活性の力価で表した結果を図3に示す。各棒線は5匹 のマウスの群についての平均値を表し;n.d.は「検出不可能」を意味する。 ホモ接合ノックアウトマウスおよび野生型マウスの力価は4日後では近いもので あったが、10日および20日においては、ホモ結合ノックアウトマウスは野生 型マウスよりもかなり低レベルのIgGを有していた。 実施例2:CD45ノックアウトマウスの作出 1.DNAノッタアウト構築体の作製 Johnsonら(J.Biol.Chem.,264:6220-6229[1989]) によって記載されているごとくに、CD45遺伝子の4.0kbゲノムネズミD NA断片を単離した。この断片は当該遺伝子のエクソン6〜8にわたるものであ る。該断片を、制限エンドヌタレアーゼSacIおよびBamHIで既に消化し てあるベクターpGEM−9Zf(−)(Promega Corp.,Madison,WI)に挿入 した。挿入の後、構築体を制限エンドヌタレアーゼKpnIおよびNsiIで消 化した;これらの部位は、各々、CD45遺伝子断片の、イントロン5および6 の間、およびイントロン6および7の間に位置する。ポリA終結シグナルを含有 するネオマイシン耐性遺伝子構築体は、プラスミドpMCIneoPolA(Th omas et al.,Cell,51:503[1987])から得たものであり、KpnIおよびN siIで消化し、次いで、CD45転写の向きに対してアンチセンスの向きにて 構築体に連結した。得られたノックアウト構築体を図4に示す。 2.幹細胞のエレクトロポレーションおよび注入 制限エンドヌクレアーゼSacIで消化することによってノックアウト構築体 を線状化し、このDNAの約25μgをD3胚性幹細胞にエレクトロポレーショ ンした。該構築体を含有するエレクトロポレーションした細胞は受託番号CRL 11381としてATCCに寄託された。エレクトロポレーションは実施例1に 記載した手法を用いて達成した。107細胞当たり約50μgDNAを用 いた。エレクトロポレーションの後、細胞を平板培養し、実施例1で記載したご とくにスクリーニングした。 G418に対して耐性の細胞は、ネオマイシン耐性遺伝子に対して、およびC D45遺伝子に対する特異的な部位に対して特異的なプライマーを用いるPCR によって、相同遺伝子組換えについてスクリーニングした。用いたプライマーは 以下に記載する: プライマー1:(配列番号:3) プライマー2(配列番号:4): PCR反応条件は:91℃で変性し、60℃でアニールし、72℃で鎖を伸長 するものであった。約35〜40サイクルを行った。加えて、CD45遺伝子の イントロン4および5間の領域にわたる32P標識1.4kbDNAプローブを用 い、これらの細胞にける相同遺伝子組換えを、サザンブロッティング分析によっ て確認した。サザンブロッティングは、Sambrookら(Molecular Cloning:A Lab oratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor ,NY[19891])によって記載されている標準的な方法を用い、G418耐性細 胞からゲノムDNAを単離することによって行った。ゲノ ムDNAをBamHIで消化し、標準的なアガロース電気泳動を用いて分離し、 immobilon−N膜ペーパーにブロットした。膜への移行は10パーセントSSC 中、20℃で12時間行った(Sambrook et al.、前掲)。該膜を67℃で12 時間プローブし、次いで、3回洗浄した。第1の洗浄は5パーセントSSC、0 .01パーセントSDSであり;第2の洗浄は3パーセントSSC、0.01パー セントSDSであり;第3の洗浄は1パーセントSSC、0.01パーセントS DSであった。 ES細胞の作製、胚への注入、および仮親への移植は実施例1に記載した通り であった。 3.ノックアウト構築体についてのマウスのスクリーニング 子孫(創始マウス)は、体毛の着色を評価することによってモザイク性につき スクリーニングした(胚は黒色体毛のマウスからのものでって、胚性幹細胞はア グーチ(agouti)マウスからのものであり;ほとんどのモザイクマウスは、従っ て、部分的にアグーチ(agouti)であって部分的に黒色の体毛を有していた)。 創始マウスを戻し交配して、ヘテロ接合CD45ノックアウトマウスを得た。こ の交配からの子孫をスクリーニングして、それらがCD45ノックアウト構築体 についてヘテロ接合またはホモ接合であるかを決定した。スクリーニングは、尾 組織から得られたDNAのサザンブロッティングによ って行った。尾組織は、3週齢マウスの尾片を切断することによって得た。該尾 組織を、150μg/mlプロテイナーゼK、1パーセントSDS、および1m g/mlプロナーゼEのTNE(Sambrook et al.、前掲)溶液500μlと共 にインキュベートした。このインキュベーションの後、この溶液750μlを7 50μlのフェノール/クロロホルム(1:1 v/v)に添加して、DNAを 分離した。混合物を5分間遠心して細胞夾雑物をペレット化した。上清にイソプ ロピルアルコール450μlを添加し、この混合物をドライアイス上でインキュ ベートし、DNAを沈殿させた。インキュベーションの後、沈殿したDNAを遠 心によってペレット化し、風乾し、蒸留水100μl中に再懸濁し、4℃に保っ た。このDNAのサザンブロットは胚性幹細胞について前記したごとくに行った 。 CD45の発現についてマウスのB細胞およびT細胞をテストしてマウスの接 合性を判断するために、前記した抗体および方法を用いて、種々のマウスからの 細胞を、免疫学的マーカーの存在についてスクリーニングした。 6〜12週齢マウスからの胸腺細胞、脾細胞、腸間膜リンパ節細胞および骨髄 細胞の単一細胞懸濁液は以下のごとくに調製した:Canadian Research Council の標準的なプロトコルに従い、二酸化炭素を用いてマウスを殺し、各マウスから 器官を収集し、4℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に保った。単一細胞懸 濁液は、シリンジ プランジャーで器官をスチール製スクリーンメッシュに対して摩砕することによ って調製した。細胞はPBS中で2回洗浄した。各懸濁液はPBSに再懸濁し、 以下のごとくに適当な抗体と共にインキキュベートした: 1)Pan−CD45抗原を、1)FITC(フルオレセインイソチオシアナ ート)またはPE(フィコエリトリン)標識Ly−5モノクローナル抗体(Phar mingen,San Diego,CA)または2)上清に由来するIgGモノクローナル抗体 13/2.3(Trowbridge et al.、J.Exp.Med.,148:313[1978])のいずれ かで検出した。 2)エピトープをコードするCD45−エクソン4は、上清に由来するラット モノクローナル抗体14.8で検出した;該抗体はKincade et al.,J.Immunol. ,127:2262-2268[1981])から得たものであった。 3)エピトープをコードするCD45−エクソン4は、上清から得たラットI gGモノクローナル抗体MB23G2(Birkeland et al.,Proc.Natl.Acad. Sci.USA,86:6734-6738[1989])により検出した。 4)B細胞のCD45グリコシル化エピトープはモノクローナル抗体B220 (FITCもしくはPE標識;Pharmingen,San Diego,CA)で検出した。 5)CD4はBecton-Dickinson(Mountain View,CA)から得た抗−CD4モ ノクローナル抗体(FITCもしくはPE標識)で検出した。 6)CD8は、Becton-Dickinson(Mountain View,CA)から得た抗−CD8 モノクローナル抗体(FITC、PE、またはビオチン標識)で検出した。 7)TCRVbeta8.1+8.2はKJ16ラットIgGモノクローナル抗 体(Hoskins et al.,J,Exp.Med.,160:452-471[1984])で検出した。 8)TCRVbeta8.2はマウスIgGモノクローナル抗体F23.2(St aerz et al.,J.Immunol.、134:3994-4000[1985])で検出した。 9)H−2bはFITC標識モノクローナル抗体B8−24(Pharmingen,Sa n Diego,CA)で検出した。 10)H−2dはFITC標識モノクローナル抗体34−2−12(Pharming en,San Diego,CA)で検出した。 11)CD3は抗−CD3モノクローナル抗体(Pharmingen,San Diego,CA )で検出した。 12)Thy1.2は抗−Thy1.2FITCまたはPE標識モノクローナル 抗体(Pharmingen,San Diego,CA)で検出した。 13)slgM抗原はFITC標識モノクローナル抗体(Pharmingen,San Di ego,CA)で検出した。 細胞を抗体で標識するのは以下のごとくに行った:PEまたはFITC標識抗 体を用いて単一または二重染色するには、10パーセント子ウシ血清(FCS) および0.1パーセントのアジ化ナトリウムよりなる染色緩衝剤 (Staining Buffer)の溶液約100μl中で、約1×106細胞を標識抗体4μ lと共に4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を5mlPBS中で 1回洗浄し、1パーセントのパラホルムアルデヒド(PBS中)で固定し、FA CS分析が準備できるまで4℃に保った。 上清を用いて細胞を標識するには、1×106細胞を約50μlの適当な上清 と共に100μlの染色緩衝剤(Staining Buffer)中、4℃で30分間インキ ュベートした。このインキュベートの後、3μlのPEまたはFITC標識ヤギ 抗−マウスIgG、またはヤギ抗−ラットIgG(共に、Southern Biotechnolo gy Associates,Birmingham,ALから入手)と共に4℃で約30分間インキュベ ーションすることによって、抗体結合を可視化した。次いで、細胞をPBS中で 1回洗浄し、次いで、前記したごとくにパラホルムアルデヒド中で固定した。 ラットまたはマウス抗体の可視化は、PEまたはFITC標識ヤギ抗−ラット IgGおよびFITC標識ヤギ抗−マウス抗血清(共に、Southern Biotechnolo gy Associates,Birmingham,ALから入手)を用いて行い、ビオチン標識抗体の 可視化はストレプトアジビン−RED613(Gibco/BRL,Grand Island,NY) で行った。ラット抗体での二重染色プロトコルを用いた場合、残存する抗−ラッ トIgG部位に起因する非特異的染色は、2μg/100μlラットIgG(Si gma Chemical Co.,St.Louise,MO)を用い、PBSでの洗浄前に4℃で10分 間 細胞をインキュベートすることによってまずブロックした。全ての試料は、Lisi s IIプログラム(Becton-Dickinson,Mountain View,CA)を用い、FACSscan 機器で分析した。 結果は、CD45エクソン6イソ型タンパタ質は、ホモ結合CD45エクソン 6イソ型タンパク質ノックアウトマウスの骨髄および脾臓からのBリンパ球の細 胞表面では検出されないことを示した。加えて、CD45エクソン6イソ型タン パク質を細胞表面に発現する末梢T細胞の数は野生型マウスと比較してかなり減 少した。ヘテロ接合ノックアウトマウスは、野生型マウスと比較して、これらの 細胞上でのCD45エクソン6イソ型タンパク質発現のレベルは低下していた。 脾臓および骨髄におけるslgM+細胞の合計数はホモ接合ノックアウトマウ スおよび野生型マウスとの間でほぼ同程度であった。しかしながら、末梢リンパ 系器官におけるT細胞の合計数は、野生型マウスと比較して、ホモ接合ノックア ウトマウスではかなり減少した。野生型マウスと比較してCD45はヘテロ接合 ノックアウトマウスでは減少したレベルで発現されているにも拘わらず、末梢T およびB細胞区画と骨髄細胞とにおける有意な差異は、ヘテロ接合ノックアウト マウスおよび野生型マウスの間では検出されなかった。 胸腺細胞上でのCD45エクソン6イソ型タンパク質の発現は野生型マウスと 比較してホモ結合ノックアウト マウスでは有意に抑制されたにも拘わらず、ホモ接合ノックアウトマウスにおけ る胸腺細胞の合計数は野生型マウスと比較してわずかに減少したに過ぎなかった 。加えて、ホモ接合ノックアウトマウスは、未成熟CD4+ CD8+二重陽性 胸腺細胞の正常細胞数を有していたが、CD4− CD8−前駆体細胞の細胞合 計数は増加し、また、成熟CD4+およびCD8+T細胞系列双方のサイズはこ れらのマウスではかなり減少した。 4.ノックアウト遺伝子の効果の分析 B細胞発生分化に対するCD45エクソン6イソ型タンパク質遺伝子抑制の効 果を調べるために、骨髄、脾臓、または腹膜細胞の単一細胞懸濁液を、プレB細 胞(IL−7またはIL−7 プラス ストロマ細胞系S17)、B細胞(LPS またはLPS+S17)または骨髄性細胞(マクロファージコロニー剌激因子M −CSF−1の源としてのIL−3またはL929順化培地)のいずれかの選択 的増殖を可能とする種々の条件下、半固体寒天にクローン化した。増殖を評価す るために、二層寒天培養を以下のごとくに確立した:まず、2.4g/lNaH CO3、5mg/lストレプトマイシン、5×103u/l ペニシリン、5×1 0-5M β−メルカプトエタノール、10%子ウシ血清(Gibco/BRL,Grand Isla nd,New York)および0.3%融解Bacto寒天(Difco Labs)を補充したOPTI −MEM培地(Gibco/BRL,Grand Isl and,New York)よりなる1mlの下層を調製した。次に、S17ストロマ細胞 (Collins et al.,J.Immunol.138:1082-1087[1987])をプラスチック製プ レートに5時間接着させた(2×104照射[2000Gy]S17/プレート )。次いで、非接着性細胞を真空吸引によって除去し、適切な補足物を含有する 底部寒天層を注いだ。 培地には、25μg/mlのLPS(Salmonella typhosa株WO901からの リポ多糖;Difco Labs);ネズミIL−7およびIL−3(適当なベクターを含 有する細胞系からの培養上清として培地に添加;Cumano et al.,Eur.J.Immun ol.,20:2183-2189[1990];Cumano etal,,EMBO J.,11:593-601[1992];Ka rasuyama et al.,Eur.J.Immunol.18:97-104[1988]);またはマクロファ ージ−コロニー刺激因子(M−CSF−1;L929順化培地から入手)のいず れかを補充した。IL−3、IL−7およびM−CSFの最適量は、Cumanoら( 前掲)によって記載されている力価測定実験で決定した。 テストした異なる組織で見い出されるコロニー形成性細胞の絶対数として、結 果を表4に示す。ホモ接合ノックアウト、ヘテロ接合ノックアウトおよび野生型 マウスの間で、骨髄由来の骨髄性細胞またはB−細胞始原細胞のコロニー形成量 に検出可能な差異はなかった。 免疫グロブリン(Ig)媒介細胞信号伝達効果に関するCD45エクソン6イ ソ型タンパク質発現の重要性を判断するために、ホモ接合およびヘテロ接合ノッ クアウトマウスならびに野生型マウスから得られた脾臓B細胞に、抗−Igμ特 異的モノクローナル抗体B−76(Michael Julius博士,McGill University,M ontreal,Canadaから入手)を添加した。脾臓B細胞を約105細胞/ウ ェルの密度にてマイクロタイタープレートに入れ、外来性刺激因子を添加せず、 あるいはリポ多糖もしくは抗体B−76を添加して、37℃で5パーセントCO2 の雰囲気中で3、4または5日間インキュベートした。ウェル当たり1μCi の3H−チミジンを用い、3H−チミジンを細胞に10時間添加することによって 剌激作用を測定した。次いで、各ウェルの内容物を濾紙上にブロットし、放射能 を計測した。 図5に示す結果は、抗−Igμ刺激作用にはB細胞上におけるCD45エクソ ン6イソ型タンパク質発現を必要とするが、LPS剌激ではそれを必要としない ことを示す。 T細胞エフェクター機能をin Vivoで評価するために、ホモ接合およびヘテロ 接合ノックアウトマウスを、抗ウイルス細胞障害性T細胞応答を生じるその能力 についてテストした。約400pfuに相当するリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス Armstrong(LCMV)約30μlをマウスの後足蹠に皮下注射した。足蹠の腫 大は、バネを負荷したカリパで毎日測定した。結果を図6Aに示す。腫大反応の 初期相(注射後7〜9日)は、ホモ接合ノックアウトマウス(中抜き三角形)で は完全になくなったが、野生型マウス(塗り潰した三角形)ではそうではなかっ た。 ある種の病原体に対する細胞障害性反応を生じさせないホモ結合ノックアウト マウスの能力をさらに確認する ために、マウスをLCMVで感染させた後、該マウスの脾臓から細胞障害性リン パ球を得た。次いで、これらの細胞障害性リンパ球を最初の感染後5または30 日にin vitroで再剌激した。再刺激は、以下のごとくに調製したLCMV感染腹 膜マクロファージ(Lehmann-Grube,Virol.Monogr.,10[1971])に暴露する ことによって達成した:マクロファージは、6日前に2mlのチオグリコール酸 (3パーセントwt/vol.)を注射し、かつ4日前に1000pfuのLCMVArm strongを腹腔内注射したC57BL/6マウスの腹膜を洗浄することによって得 た。 培養は、4×106反応性脾細胞および2×105LCMVを注射し、照射した (1200ラド)腹腔マクロファージで確立した。10パーセント子ウシ血清お よび10-5M β−メルカプトエタノールと共にIMDM培地中で5日間培養物 をインキュベートした。Cerrottini et al.(Adv.Immunol.,18:67-132[1974 ])によって記載されている標準的なプロトコルに準じて、培養物の二倍希釈物 を、LCMV感染51Cr標識MC57(H−2b)繊維肉腫標的細胞に対するL CMV特異的T細胞の細胞障害性についてアッセイした。次いで、4時間後、Ce rrottiniら(前掲)によって記載されているごとくに、特異的溶解を計数した。 図6Bに示す結果は、ホモ接合ノックアウトマウス(中抜き三角形)は細胞障 害性応答を増やすことができ なかったが、野生型マウス(塗り潰した三角形)はかかる応答を増やすことがで きたことを示す。 実施例3:CD45トランスジェニックマウスの作出 1.トランスジーンカセットの調製 全長暗号配列ならびに5’非翻訳配列の約70塩基および3’非翻訳配列の約 300塩基を含有するCD45ROイソ型タンパク質(エクソン4〜6を発現し ないCD45遺伝子)をコードするネズミcDNAは、ネズミリンパ球ライブラ リーから得られ、ほぼ3.5kbのSa11−SalI断片として単離した。こ の断片を、Chaffinら(EMBO J.,9:3821-3829[1990])によって記載されてい る発現ベクターp1017のBamHIクローニング部位に挿入した。該ベクタ ーp1017はクローニングベクターpUC19(Stratagene,La Jolla,CA, または同等物)のEcoRIおよびSmaI部位間に挿入されたほぼ3.2kb 胸腺細胞特異的マウスlckプロモーター(Garvin eta al.,Int.Immunol.,2 :173-180[1990])を含有する。加えて、該p1017は、lckプロモーター に隣接するポリリンカー領域およびポリリンカー配列の他端に隣接する(エクソ ン1中のBamHI部位からポリA配列のEcoRI部位側下流まで伸びる[Se eberg,DNA 1:239-249 1982])ほぼ2.1kbのヒト成長ホルモン遺伝子(hG H)配列を含有する。 CD45ROトランスジーンを含有する最終のベクターは標準的な手法を用い てイー・コリ(E.coli.)細胞中で増殖させ、標準的なミニプレプ方法(Sambro oket al.、前掲)を用いて精製した。図7に示すプロモーター、トランスジーン 、およびhGH配列を含有するDNAカセットをNotIでの制限エンドヌクレ アーゼ消化によって単離し、アガロースゲル電気泳動によって精製した。 2.トランスジーンカセットのマウスへの挿入 Hoganら(前掲)によって記載されている標準的な手法を用い、精製されたC D45RO DNAカセットをC57BL/6×DBA F2胚に微量注入した 。該胚を仮親に移植した。子孫(創始マウス)は、マウス尾組織に由来するDN Aのサザンブロット分析によってトランスジーンの存在についてスクリーニング した。サザンブロット分析用のプローブはhGH遺伝子の3’領域よりなるもの であった。 H−2bまたはH−2dバックグラウンドのいずれかを持つトランスジェニッ ク系を確立するために、創始マウスを5世代の間、C57BL/6またはDBA /2マウスと交配させた。 実施例4:CD45ノックアウト、トランスジェニックマウス C57BL/6 CD45ROトランスジェニックマウス(CD45エクソン 6イソ型タンパク質についてホモ接合野生型)をCD45エクソン6ノックアウ トマウス(実施例2に記載)と交配させて、CD45ROトランスジーンを含有 し、CD45エクソン6イソ型タンパク質ノックアウト構築体についてヘテロ接 合であるF1子孫を得た。これらのマウスをホモ接合CD45エクソン6ノック アウトマウスと戻し交配し、トランスジーンを含有し、かつCD45エクソン6 ノックアウト構築体についてヘテロ接合もしくはホモ接合いずれかである子孫を 得た。CD45エクソン6ノックアウトヘテロ接合体およびホモ接合体は、(実 施例1および2に記載したごとく)尾組織から得られたDNAを制限酵素Pvu IIで消化し、このDNAをサザンブロットに付し、次いで、該ブロットを野生 型全長CD45cDNAでプローブすることによって区別された。 CD45エクソン6ノックアウト構築体についてホモ接合であることが判明し た(しかし、CD45ROトランスジーンを含有する)マウスを、T細胞の成熟 および活性に対するトランスジーンの効果について分析した。マウスについての 全ての分析は、複製として各遺伝子型の2匹の一腹子を用いて行った。すべての マウスはおおよそ4週齢であった。以下の表において、対照マウスを「野生型」 といい、ノックアウトもしくはトランスジーン構築体は含有していない;CD4 5エクソン6ノック アウト構築体を含有するマウスを「CD45エクソン6KO」といい;CD45 エクソン6ノックアウト構築体およびCD45ROトランスジーンを含有するマ ウスを「CD45RO/KO」という。 胸腺細胞の成熟は前記した遺伝子型のマウスで評価した。マウスを犠牲にし、 各マウスの胸腺を取り出した。胸腺細胞懸濁液は実施例2に記載されたごとくに 調製し、次いで、(実施例2に記載されたごとくに)胸腺細胞をCD4またはC D8につき特異的な抗体で標識した。結果は表IIに示す。 明らかなごとく、CD45エクソン6ノックアウトマウスにおけるCD4+お よびCD8+T細胞の相対的レベルは、野生型またはCD45RO遺伝子型より もかなり低かった。 次に、マウスの種々のCD45遺伝子型を、リンパ節における異なる型のT細 胞の相対的レベルについて評価した。マウスを殺し、リンパ節を取り出した。T 細胞は 実施例2に記載したごとくにリンパ節から得た。次いで、実施例2に記載したご とくに、T細胞を抗−CD4および抗−CD8抗体と共にインキュベートした。 結果を表IIIに示す。 明らかなごとく、CD45ROトランスジーンは、CD45エクソン6ノック アウトと比較して、CD4+およびCD8+細胞のレベルを増加させた。 殺したマウスからの脾臓を抽出し、実施例2に記載したごとくに脾細胞を調製 することによって、脾臓におけるCD4およびCD8T細胞の相対的集団をアッ セイした。次いで、実施例2に記載した手法に従って脾細胞を抗−CD4および 抗−CD8抗体と共にインキュベートした。結果を表IVに示す。 データは、CD4+およびCD+8のレベルは、野生型と比較して、ノックア ウトおよびノックアウト/トランスジーンマウス双方においてかなり低かったこ とを示す。 本明細書中で引用した全ての文献は、出典明示して本明細書の一部とみなす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,CA,JP (72)発明者 ペニンガー、ジョゼフ マーティン カナダ国 エム5エイ 4エム9 オンタ リオ州 トロント シャター ストリート 220

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. CD45をコードする遺伝子の発現がB細胞で抑制されているマウスまた はその後代。 2. CD45をコードする遺伝子の胸腺細胞および末梢T細胞での発現が野性 型マウスと比べて低下している請求項1記載のマウスまたはその後代 3. CD45発現が対応する遺伝子配列の破壊によって抑制される請求項2記 載のマウス。 4. CD45をコードする遺伝子の破壊が、マーカー配列に連結したCD45 暗号配列の1のエクソンの少なくとも一部分からなる核酸配列をマウスのゲノム に挿入することによって生じた破壊である請求項3記載のマウス。 5. ネオマイシン耐性遺伝子である請求項4記載のマーカー配列。 6. CD28の発現およびCD45の発現が低下されたマウスであって、CD 28ノックアウトマウスおよびCD45ノックアウトマウスの間の交配によって 作出された該マウス。 7. 請求項6記載のマウスの後代。 8. CD45エクソン6イソ型タンパタ質である請求項1、2、3、4または 5記載のCD45遺伝子。 9. さらに、トランスジーンを含有し、該トランスジーンはCD45ROイソ 型タンパク質をコードするヌクレオチド配列を備える請求項1、2、3、4、6 または 7記載のマウス。 10. 該トランスジーンがネズミlckプロモーターに作動可能に連結してい る請求項9記載のマウス。 11. CD45エクソン6イソ型タンパタ質ノックアウト構築体を含有し、受 託番号CRL11381としてATCCに寄託されているD3細胞系。 12. 請求項11記載の細胞に挿入されたCD45エクソン6イソ型タンパク 質ノックアウト構築体の核酸配列。 13. (a)CD45をコードする遺伝子の発現レベルが抑制されたT細胞を 有するマウスに薬物を投与し;次いで、 (b)免疫調節について該マウスをアッセイすることとを備える免疫調節に作 用する薬物をスクリーニングする方法。 14. (a)B細胞およびT細胞がCD45をコードする内因性遺伝子の発現 が抑制されたレベルを有し、さらに、lckプロモーターに作動可能に連結され たCD45ROイソ型タンパク質をコードするトランスジーンを含有するマウス に薬物を投与し;次いで、 (b)免疫調節について該マウスをスタリーニングすることとを備える免疫調 節に作用する薬物をスクリーニングする方法。 15. CD45をコードする該内因性遺伝子がエクソン6イソ型タンパク質で ある請求項14記載の方法。
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