JPH08506712A - コンパクトで低損失なマイクロ波のバルン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 マイクロ波のバルンが、４個の伝送線路からなる分岐線路結合器を単一の伝送線路の遅延素子と組み合わせることによって構成される。この構成は、位相を１８０°だけシフトさせてそれぞれ第１および第２のポートに印加した第１および第２の信号を結合させ、そして第３のポートにおいて結合した信号を提供するための簡単化され、コンパクトな配置に帰着する。そのバルンは逆数のデバイスであり、そして第１および第２のポートに出力を得るために第３のポートに印加された信号についても逆に動作される。

Description

【発明の詳細な説明】 コンパクトで低損失なマイクロ波のバルン 本発明はマイクロ波の変成器デバイス、特に、平衡から不平衡への変成器デバ イスに関する。このタイプのデバイスは通常バルンと呼ばれている。 バルンは、平衡のシステムまたはデバイスを不平衡のシステムまたはデバイス に接続したいときしばしば使用される。典型的な例は、セルラ電話回路のような ２線の（平衡の）回路をアンテナ回路のような単線の（不平衡の）回路への接続 である。別の例は、平衡型ミキサとともに使用する信号分波器／移送シフタとし てである。 携帯型セルラ電話におけるような、幾つかの使用においては、バルンが３つの 基準に合致することが重要である。それはコンパクトで、最小の挿入損失を有し 、そして電力の損耗を最小にするための狭い通過帯域を有していなければならな い。これらの目的の１つか２つを果たす従来技術のバルンは知られているけれど も、すべての３つを十分になし遂げるものは何も知られていない。 本発明の目的は、上述した目的のすべての３つをなし遂げるバルンを提供する ことにある。 本発明に従えば、バルンは、分岐線路結合器をバルンの第１の入力端子に接続 されている遅延素子と組み合わせることによって構成される。分岐線路結合器は ：第１および第２の入力端子；第１および第２の出力端子；ｚ₀／√２の特性イ ンピーダンスを有しそして第１の入力端子を９０°の位相シフトを通して第１の 出力端子に結合する第１の遅延素子；ｚ₀／√２の特性インピーダンスを有しそ して第２の入力端子を９０°の位相シフトを通して第２の出力端子に結合する第 ２の遅延素子；ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして第１および第２の入力端 子を９０°の位相シフトを通して結合する第３の遅延素子；およびｚ₀の特性イ ンピーダンスを有しそして第１および第２の出力端子を９０°の位相シフトを通 して結合する第４の遅延素子を含んでいる。バルンの第１の入力端子に接続され た遅延素子は、ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして分岐線路結合器の第１の 入力端子を９０゜の位相シフトを通してバルンの第１の入力端子に結合する第５ の遅延素子を含んでいる。ｚ₀の特性インピーダンスを有するインピーダンス手 段は第１の出力端子を終端し、分岐線路結合器の第２の入力端子はバルンの第２ の入力端子を含み、そして分岐線路結合器の第２の出力端子はバルンの出力端子 を含んでいる。 本発明の好ましい実施例においては、構造を簡単にするために、バルンはマイ クロストリップまたはストリップラインで形成される。特に、バルンそれ自体に 関して重要な寸法である波長相当の周波数において動作しているバルンのための 空間を節約するため、電送線路手段の各々は誘電体基板上に形成された蛇行して いる伝導性のパターンを含んでいて、そして伝送線路手段は互いに極めて近接し て配置されている。伝導性のパターンの隣接する部分間の結合がこれらのパター ンの各々の位相シフトに一様に影響することを確実にするために、パターンは、 各蛇行しているパターンと各隣接する蛇行しているパターン間に配置された少な くとも１つの直線の伝送路の線分が存在し、そして第１、第２、第３および第４ の伝送線路手段の蛇行しているパターンは互いに関して対称に配置されるように 配置されている。 図１は、本発明に従ったバルンの概略の図である。 図２は、図１に概略的に図示されているバルンの好ましい実施例の上面図（一 定の比率に拡大、縮小して描かれたものではない）である。 図３は、図２のバルンの位相シフト特性を示しているグラフである。 図４は、図２のバルンの挿入損失特性を示しているグラフである。 図５は、図２のバルンの通過帯域特性を示しているグラフである。 図１に概略的に図示されたバルンは、４個の相互接続されている伝送線路Ｔ１ −Ｔ４を含んでいる分岐線路結合器、５番目の伝送線路Ｔ５、および抵抗性の終 端インピーダンスＲを含んでいる。破線の囲い内に囲んで示される分岐路線結合 器は、２対のポートＡ，ＢおよびＣ，Ｄを有する対称的なデバイスである。ポー トのどちらの対も入力端子としての役をし、しかるに他の対は出力端子としての 役をする。 図示の実施例においては、ポートＡおよびＢは入力端子としての役をし、しか るにポートＣおよびＤは出力端子としての役をする。入力端子Ａは、ｚ₀／√２ の特性インピーダンスと９０゜の位相シフトを与えるためにλ₀／４の電気長を 有する伝送線路Ｔ１を通して出力端子Ｃに接続されている。記号λ₀は、中心周 波数ｆ₀を有する動作周波数帯に相当する波長を表している。入力端子Ｂは、Ｔ １のそれに等しい特性インピーダンスと電気長を有する伝送線路Ｔ２を通して出 力端子Ｄに接続されている。入力端子Ａは、ｚ₀の特性インピーダンスと９０° の位相シフトを与えるためにλ₀／４の電気長を有する伝送線路Ｔ３を通して入 力端子Ｂに接続されている。出力端子Ｃは、Ｔ３のそれに等しい特性インピーダ ンスと電気長を有する伝送線路Ｔ４を通して出力端子Ｄに接続されている。 バルンは、それぞれ第１および第２の入力信号を受信するための第１および第 ２の入力ポートＰ１およびＰ２と、出力信号を与えるための単一の出力ポートＰ ３とを有している。第１の入力ポートＰ１は、ｚ₀の特性インピーダンスとλ₀／ ４の電気長を有する伝送線路Ｔ５を通して入力端子Ａに接続されている。入力端 子Ｂおよび出力端子Ｄは、バルンのそれぞれ第２の入力ポートＰ２および出力ポ ートＰ３としての役をしている。出力端子Ｃは、特性インピーダンスｚ₀を有す るインピーダンスＲを通して接地に終端されている。 図２は、図１に概略的に示されたバルンの物理的な実施例を示している。バル ンは、一方の側にマイクロストリップで形成された伝送線路を有し、反対側（図 ２においては見えない）に形成された接地面を有する誘電体基板Ｓを含んでいる 。好ましくは、基板は、バルンの全体の寸法を最小するために、アルミナのよう な薄い誘電体材料を含んでいる。５個の伝送線路ストリップＴ１−Ｔ５の各々は 、その特性インピーダンスを決定する高さに対する幅の比と９０°の位相シフト に相当する全体の長さとを有している。バルンの表面面積を最小にするために、 伝送線路ストリップの各々は蛇行しているパターンで形成されている。図２に示 されている抵抗性のインピーダンスＲは、第１と第２の伝導性の層間に電気的に 接続されたチップ抵抗である。第１の伝導性の層Ｌ₁はチップの上部に配置され 、そして１対の電気的リードによってポートＣに電気的に接続されている。第２ の伝導性の層Ｌ₂は一方の側にそしてチップの下部に配置され、そして基板Ｓの 反対側の接地にスルーホールＨを介して電気的に接続されている伝導性の層Ｌ₃ にはんだ付けされている。 伝送線路の１つを形成する蛇行しているパターンの各々おいて、パターンを形 成していて隣接する直線の線分は、少なくとも線路の線分の幅だけ空間的に離れ ていて、そして曲がりの数は最小にされている。これは線路の異なった部分間の 結合を最小にし、そしてその結合は所定の位相シフトのために必要な線路の長さ を増加させる。さらに、伝送線路Ｔ１およびＴ２のための蛇行しているパターン はほぼ同一であり、そして伝送線路Ｔ３およびＴ４のためのそれらもほぼ同一で ある。同様に、これら４個の蛇行しているパターンは相互に関して対称に配置さ れていて、そして蛇行しているパターンに含まれていない伝送線路の直線の線分 によって互いから分離されている。 表Ｉは、図２に示されたマイクロストリップ伝送線路Ｔ１−Ｔ５の各々の寸法 とインピーダンスを記載している。これら線路の各々の長さは、直角のコーナー の曲がりと線路間の結合を補償するために、直線に対して必要とされるよりもほ ぼ１７％長いことに留意されたい。基板の厚さは３８１μｍで、そして伝送線路 を形成する伝導性のパターンは５μｍ厚の金の層である。 動作においては、バルンは入力ポートＰ１とＰ２に印加された信号を結合し、 そして出力ポートＰ３において結合された信号を提供する。上述した好ましい実 施例の動作特性が図３、４および５のグラフに示されている。 図３は、ポートＰ３において検出されたポートＰ１に印加された信号の位相シ フトを、ポートＰ２に印加された信号に関して示している。帯域幅Δｆ₁にわた って位相シフトが±５°変化し、帯域幅Δｆ₂にわたって位相シフトが±１２° 変化していることに留意されたい。図２に示されそして上述の寸法を有する典型 的なバルンに対して、中心周波数と帯域幅は： ｆ₀＝９０５ＭＨｚ Δｆ₁＝３０ＭＨｚ Δｆ₂＝６０ＭＨｚ 図４は、Ｐ２を終端してＰ１からＰ３への信号路に帰せられる（矩形の記号に よって示される）と、Ｐ１を終端してＰ２からＰ３への信号路に帰せられる（ク ロスの記号によって示される）バルンのそれぞれの挿入損失を示している。２つ の挿入損失間の差異は、２つの信号路間での減衰の不均衡の程度を表している。 入力ポートＰ１から単一の出力ポートＰ３への挿入損失は、全体の示された周波 数範囲にわたって殆ど平坦であることに留意されたい。好ましい結果とし、伝送 線路Ｔ５は、どんな周波数においても不均衡の程度に重大な影響を与えることな く、分岐線路結合器を通して遅延のあまりに低いまたはあまりに高いのを補償す るために、長くまたは短くされ得る。 図５は、他のポートが終端された状態で各ポートにおけるリターン損失（入力 電力に対する反射電力の比）を示している。ポートＰ１におけるリターン損失は 矩形の記号によって示され、ポートＰ２におけるそれはクロスの記号によって示 され、そしてポートＰ３におけるそれはダイヤの記号よって示されている。全帯 域幅ｆ₁にわたってリターン損失は−２０ｄＢより低いことに留意されたい。 出願人の発明に従ったマイクロストリップバルンの一つの特定の例が説明され たけれども、多数の代案となる実施例が可能である。例えば、もし、多重の基板 が利用できるならば、バルンは、基板の異なった基板上に配置されている伝送線 路の伝導体の異なった伝導体で多層に構成され得る。これはバルンに必要な空間 の幅と長さを減少するとともに、伝送線路の異なった伝送線路間の結合の影響を 最小にする。 付加的な代案として、バルンは、ストリップライン（反対側の接地パネル間に 配置されたマイクロストリップの伝導体を有する）において、またはバルンと同 等の集中素子を形成するために電気的に接続さている個別部品よっても形成され 得る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．マイクロ波のバルンであって、 −ａ）１．第１と第２の入力端子； ２．第１と第２の出力端子； ３．ｚ₀／√２の特性インピーダンスを有しそして第１の入力端子を９ ０゜の位相シフトを通して第１の出力端子に結合する第１の遅延素子； ４．ｚ₀／√２の特性インピーダンスを有しそして第２の入力端子を９ ０゜の位相シフトを通して第２の出力端子に結合する第２の遅延素子； ５．ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして第１および第２の入力端子 を９０°の位相シフトを通して結合する第３の遅延素子； ６．ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして第１および第２の出力端子 を９０゜の位相シフトを通して結合する第４の遅延素子； を有している分岐線路結合器： −ｂ）ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして分岐線路結合器の第１の入力端 子を９０゜の位相シフトを通してバルンの第１の入力端子に結合する第５の遅延 素子；および −ｃ）第１の出力端子を終端するｚ₀の特性インピーダンスを有するインピー ダンス手段； を含んでいて、 分岐線路結合器の前記第２の入力端子がバルンの第２の入力端子を構成し、 そして分岐線路結合器の前記第２の出力端子がバルンの出力端子を構成している ことを特徴とするマイクロ波のバルン。 ２．マイクロ波のバルンであって、 接地面を形成する伝導層を支持し、そしてさらに −ａ）１．第１と第２の入力端子； ２．第１と第２の出力端子； ３．ｚ₀／√２の特性インピーダンスを有しそして第１の入力端子を９ ０°の位相シフトを通して第１の出力端子に結合する第１の伝送線路手段； ４．ｚ₀／√２の特性インピーダンスを有しそして第２の入力端子を９０ °の位相シフトを通して第２の出力端子に結合する第２の伝送線路手段； ５．ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして第１および第２の入力端子を ９０°の位相シフトを通して結合する第３の伝送線路手段； ６．ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして第１および第２の出力端子を ９０゜の位相シフトを通して結合する第４の伝送線路手段； を有している分岐線路結合器を規定する伝導性のパターン： −ｂ）ｚ₀の特性インピーダンスを有しそして分岐線路結合器の第１の入力端 子を９０°の位相シフトを通してバルンの第１の入力端子に結合する第５の伝送 線路手段；および −ｃ）第１の出力端子を終端するｚ₀の特性インピーダンスを有するインピー ダンス手段； を支持する誘電体基板を含んでいて、 分岐線路結合器の前記第２の入力端子がバルンの第２の入力端子を構成し、 そして分岐線路結合器の前記第２の出力端子がバルンの出力端子を構成している ことを特徴とするマイクロ波のバルン。 ３．請求の範囲第１項または第２項記載のマイクロ波のバルンにおいて、少なく とも分岐線路結合器がストリップラインで形成されていることを特徴とするマイ クロ波のバルン。 ４．請求の範囲第１項または第２項記載のマイクロ波のバルンにおいて、少なく とも分岐線路結合器がマイクロストリップで形成されていることを特徴とするマ イクロ波のバルン。 ５．請求の範囲第２項記載のマイクロ波のバルンにおいて、伝送線路手段の少な くとも１つは誘電体基板上に形成された蛇行している伝導性のパターンを含んで いることを特徴とするマイクロ波のバルン。 ６．請求の範囲第２項記載のマイクロ波のバルンにおいて、少なくとも第１、第 ２、第３および第４の伝送線路手段は、各々が誘電体基板上に形成されそして蛇 行しているパターンと直線の線分を含んでいる伝導性のパターンを含んでいて、 蛇行しているパターンは互いに隣接して配置され、そして前記直線の線分の少な くとも１つは各蛇行しているパターンと各隣接する蛇行しているパターン間に配 置さていることを特徴とするマイクロ波のバルン。 ７．請求の範囲第２項記載のマイクロ波のバルンにおいて、少なくとも第１、第 ２、第３および第４の伝送線路手段は、各々が誘電体基板上に形成され、そして 少なくともあらかじめ定められた幅だけ空間的に離して置かれたその幅を有する 隣接する直線の線分を含んだ蛇行しているパターンを含んでいる伝導性のパター ンを含んでいることを特徴とするマイクロ波のバルン。 ８．請求の範囲第６項または第７項記載のマイクロ波のバルンにおいて、第１、 第２、第３および第４の伝送線路の蛇行しているパターンは、互いに関して対称 に配置されていることを特徴とするマイクロ波のバルン。