JPH08249334A - 自然言語の意味解析処理装置 - Google Patents

自然言語の意味解析処理装置

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JPH08249334A
JPH08249334A JP7078355A JP7835595A JPH08249334A JP H08249334 A JPH08249334 A JP H08249334A JP 7078355 A JP7078355 A JP 7078355A JP 7835595 A JP7835595 A JP 7835595A JP H08249334 A JPH08249334 A JP H08249334A
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隆男 松原
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昌記 西谷
Motoyuki Ito
元之 伊藤
Hidenori Aosawa
秀憲 青沢
Akira Takagi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に、例えば、カーナビゲーションのための
対話を題材として、文脈情報を自然に蓄積していける意
味解析手法を開発した自然言語の意味解析処理装置を提
供する。 【構成】 入力される文の構文解析木を得る構文解析部
11と、該構文解析部11で解析される構文解析木に含
まれる各節を単位として、その部分構造木を[述語+格
助詞句]の枝の集合に分解し、各枝[述語+格+格につ
く名詞]を[<述語+格+属性名詞>=<格につく名詞
>]と同義変換した後、<述語+格+属性名詞>を、現
象によって一意に定まり、述語に依存しない名詞一語で
表すことにより入力文の意味解析を行い、さらに同様な
形式で記述されている文脈情報と入力文の意味解析の結
果と照合しまたは、入力文の意味解析結果を文脈情報に
重ね書きする解析を行う意味解析部13と、前記構文解
析部11と意味解析部13とを統括制御し入力文の取り
込みと出力文の出力の制御を行う制御部31とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力文が持つ情報を順
次文脈情報として蓄積し意味解釈を行う装置、特に、カ
ーナビゲーションの対話処理等において、文脈情報が自
然に蓄積できるよう意味解釈を行う自然言語の意味解析
処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、対話に関しては、その意図や話題
の認識・利用法に焦点をあてた研究が多くなされている
(例えば、竹下 敦:「対話のインタラクション構造を
用いた話題の認識」、情報処理学会自然言語処理研究会
87−10(1992))。しかし、現状ではそれらの
認識の前提となる文脈の構築技術に関して、まだ安定し
た技術があるとは言い難い。
【0003】文脈構築上の問題点として、意味解釈の役
割は、入力文の意味を、文体に依存せずに正しく認識
し、文脈に整理統合し、問題解決に必要な情報を抽出す
ることにある。また、文解釈の結果構築される「文脈」
は、その後の問題解決プロセスを安定に起動できるよう
な均一な形式を持たなければならない。一方、実際の文
章を見ると、ある内容が、一文で与えられたり複数文で
与えられたりするといった文体上のいわゆる「ぶれ」が
しばしば現れる。また、一文内に限ってみても、意味解
釈処理の入力となる構文解析木には、ノードの種類や枝
ぶりに、相当の多様性が存在するので、意味的には同じ
内容の文が、異なった構文構造で表されることがある。
【0004】この場合に同じ内容を異なった構造で表現
することを許すと、意味のつき合わせや統合を安定に行
なうことは不可能である。文内容を意味的に統合し、一
つの文脈を構築していくためには、文体や構文解析木の
構造的多様性を吸収してやる必要がある。そのために
は、(1)意味表現が、文の複雑さや意味内容に依存し
て変動するような構造を持たない、(2)文の意味解釈
結果が、文脈の場の中で、意味内容毎に定まった場所に
位置付けられる、ことが必要である。
【0005】従来の自然言語処理の手法では、入力文の
内容を論理式や動詞フレーム・意味ネット等の形式で整
理するのが一般的であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、動詞フレームには、述語+表層格(または深層格)
という内部構造が存在し、動詞及び格名のバリエーショ
ンにより、表現形式の異なる同義表現が多数存在してし
まう。例えば、同じ出発地が東京を表す文においても
「東京を出発する」あるいは「東京から行く」等の表現
の多様性が存在する。意味ネット等の場合でも同様の問
題がある。それらの表現は、極論すれば、構文解析木を
同程度の複雑さを持つ別種の構造に形式変換したものに
過ぎず、構文解析木と同様、表現の多様性の問題を抱え
ており、文脈の蓄積という観点からみた場合、意味表現
としては適切とは言えなかった。
【0007】そこで本発明は、特に、例えば、カーナビ
ゲーションのための対話を題材として、文脈情報を自然
に蓄積していける意味解析手法を開発した自然言語の意
味解析処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の自然言語の意味解析処理装置は、入力される
文の構文解析木を得る構文解析部と、該構文解析部で解
析される構文解析木に含まれる各節を単位として、その
部分構造木を[述語+格助詞句]の枝の集合に分解し、
各枝[述語+格+格につく名詞]を[<述語+格+属性
名詞>=<格につく名詞>]と同義変換した後、<述語
+格+属性名詞>を、現象によって一意に定まり、述語
に依存しない名詞一語で表すことにより入力文の意味解
析を行い、さらに同様な形式で記述されている文脈情報
と入力文の意味解析の結果とを照合しまたは、入力文の
意味解析結果を文脈情報に重ね書きする処理を行う意味
解析部と、前記構文解析部と意味解析部とを統括制御し
入力文の取り込みと出力文の出力の制御を行う制御部と
を備えたものである。
【0009】地図データに基づいて地図情報操作を行う
地図情報操作部をさらに備え、前記意味解析部におい
て、地図上の実体を指す名詞や移動現象に言及する節が
現れた場合には、地図情報操作部を介して地図データを
参照し、名詞のレファレントの同定や移動過程のシミュ
レーションを行うことが、時空間的情報が絡む場合に、
現象の流れや空間的なつながりを補完でき連続性の取り
扱いの問題に部分的に対処できる点で好ましい。
【0010】前記制御部は、文の入出力を制御するとと
もに、前記構文解析部、意味解析部を統括制御する対話
制御部と、制御ルールを格納する制御ルール部と、問題
解決ルールを格納する問題解決ルール部とを有すること
が、カーナビゲーションのための対話システムを構築で
きる点で好ましい。
【0011】
【作用】本発明は、構文解析部で解析された構文解析木
を、意味解析部で節単位に分割して入力し[述語+格助
詞句]の枝毎に分析し現象ごとにユニークに定まるパラ
メータ値対の形に整理することで、述語による枝の変動
を吸収し、構造を均一化することができ、文脈の蓄積を
可能とする。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図示の一実施例により具体的
に説明する。図1は本発明の実施例の自然言語の意味解
析処理装置の構成を示すブロック図、図2は本発明の自
然言語の意味解析処理装置による節内容のモデルの現象
概念を示す図、図3は本発明の自然言語の意味解析処理
装置による文脈のモデル例を示す図である。
【0013】まず、本発明の問題解決のための基本的手
法について説明する。文を構成する命題レベルの基本単
位は節であるので、入力文の意味解釈は節を単位とする
のが自然である。この場合に、節レベルの表現の構造上
の多様性の要因は、(a)述語・名詞を修飾する枝の組
合せタイプや数の多様性、及び(b)述語・名詞の意味
の多様性である。構文解析木もしくは、それと同種の構
造上の多様性を内包する意味表現では、前記の(a)及
び(b)を原因とする構造の多様性から逃れることは不
可能なので、まず、節を〔述語+格助詞句〕という枝の
集合に分解し、各枝をそれぞれ他の枝とは独立に解釈す
ることを考える。これにより述語の解釈は複数回行うこ
とになるが、枝を個別に解釈するためにそのことは容認
する。また、実際には、各枝の間に何らかの意味的従属
関係が存在することもある。このパラメータ間に依存関
係が存在する場合には、後述するようにそのパラメータ
に対し、その依存関係に従って他のパラメータの値を参
照または算出するような付加手続きを与えることにする
が、これについての詳細は後述する。
【0014】しかし、節を枝に分解したところで、前記
の(b)の述語・名詞の意味の多様性の問題は残る。そ
こで、各枝[述語+格+格につく名詞]を[《述語+格
+属性名詞》=《格につく名詞》]と同義変換し、さら
に、この《述語+格+属性名詞》を、現象によって一意
に定まり、述語に依存しない名詞一語、例えば「〜から
行く」であれば、それを「出発地」とするなどで表す解
釈方法を導入する。これにより、述語による枝の変動を
吸収し、構造を均一化することができる。
【0015】本発明では、この「述語+格+属性名詞」
を表す名詞のことを、パラメータと呼び、その格につく
名詞のことをパラメータ値と呼ぶ。パラメータ間に依存
関係が存在する場合には、そのパラメータに対し、その
依存関係に従って他のパラメータ値を参照または算出す
るような付加手続きを与えることにした。すなわち、本
発明では、節の内容を図2に示すように、構造的に最大
限に単純化したフラットな構造で表すことができる。こ
こで、節という単位を表すために、パラメータ値群を囲
む述語に相当する枠を用意したが、この枠は文脈情報と
しては本質的ものではない。このような意味表現形式で
は、「東京を出発する」の文も「東京から行く」の文
も、共に「出発地」=「東京」と整理することができ
る。また、これらの各パラメータの、文脈の場の中での
位置づけをあらかじめ全て決定しておくことにより、入
力されてきた節の各枝の情報を文脈のどこに書き込めば
よいかは一意に定まることになる。以上により、前述の
(1)意味表現が、文の複雑さや意味内容に依存して変
動するような構造を持たない、また(2)文の意味解釈
結果が、文脈の場の中で、意味内容毎に定まった場所に
位置付けられる、という条件が満たされ、節の内容が文
脈上の特定の位置に安定に書き込まれることにより、文
脈情報が蓄積されることになる。
【0016】例えば、「居平交差点を左折、檜枝岐川沿
いに沼田街道を南西に走り、会津高原の八総から約1時
間で会津最奥の檜枝岐温泉に出る。」という文の場合、
図3に示すような文脈モデルが形成されることになる。
【0017】上記では、時空間的情報が絡む問題につい
ては無視してきたが、実際の文章では、例えば「東京を
出て、宇都宮を通り、日光へ行きたい。」のように、出
来事の時空間的な断面が断片的に述べられるだけで、統
合に際して、その間の現象の流れや空間的つながりを補
完しなければならないことがある。こうした時空間的連
続性の取り扱いの問題を一般的に解決することは、現状
では困難であるが、本発明では、空間的情報について
は、道路・領域・施設情報等を保持した地図情報を持つ
ことで、部分的に対処することにする。移動や存在に関
する文が入力された場合には地図上でシミュレーション
やレファレントの検索を行なうなどして、統合を試み
る。前述の例文「東京を出て、宇都宮を通り、日光へ行
きたい」の場合、シミュレーションにより東京から日光
に至る経路が求められ、それに基づいて、一つの移動現
象として統合されることになる。
【0018】次に、本発明の自然言語の意味解析処理装
置をナビゲーション用対話システムとして構成した実施
例について説明する。
【0019】図1において、本実施例のナビゲーション
用対話システムは、文を入力するための入力装置1及び
文を出力したり地図情報を出力する出力装置2と、入力
文の構文解析と意味解析を行う言語処理部10と、地図
情報の管理を行う地図管理部20と、入力装置1、出力
装置2、言語処理部10及び地図管理部20を総括制御
する制御部30とから構成されている。
【0020】上記入力装置1は、制御部30の制御のも
とに文を取り込む装置であり、例えば、音声認識により
文を入力し形態素解析処理を施す部分である。また、出
力装置2は、制御部30の制御のもとに文あるいは地図
情報を出力する部分であり、例えば、文を音声合成によ
り出力したり、あるいはディスプレイに文あるいは地図
を表示する部分である。上記言語処理部10は、構文解
析するための文法解析辞書12に基づいて入力装置1で
入力された文の構文を解析し解析木を得る構文解析部1
1と、節単位に分割されて入力される解析木を意味情報
辞書14に基づいて述語+格助詞句の枝ごとに分析し、
パラメータ値対の形に整理し、地図上の実体を指す名詞
や移動現象に言及する節が現れた場合には、地図管理部
20の地図情報を参照し、名詞のレファレントの同定や
移動過程のシミュレーションを行い、各パラメーター値
対の内容を文脈の場に次々と照合、または重ね書する意
味解析部13とからなる。上記地図管理部20は、地図
情報を格納する地図データ22に基づいて地図情報操作
を行う地図情報操作部21からなる。また上記制御部3
0は、入力装置1、出力装置2、構文解析部11、意味
解析部13及び地図情報操作部21を統括制御し、制御
のためのルールを起動するための制御ルール部32及び
問題解決ルールを起動するための問題解決ルール部33
に基づいて対話処理により入力文を取り込み出力文や地
図情報を出力制御する対話制御部31からなる。
【0021】次に、本実施例による自然言語の意味解析
処理装置により、述語による枝の変動を吸収し、構造を
均一化する例について説明する。
【0022】図4は第1実施例の例文1の構文木(依存
構造)を示す図、図5は同じ第1実施例の例文2の構文
木(依存構造)を示す図、図6は第1実施例の例文1の
構文木をパラメータ値対の形に整理する例を示す図であ
る。
【0023】この実施例1において、例文1は「東京か
ら宇都宮まで東北自動車道で行く。」、例文2は「東京
を出発、東北自動車道を使って、宇都宮に行く。」で、
同等の意味を表している。これら2つの例文1及び例文
2の依存構造木は、それぞれ図4及び5に示すように、
使われる述語(言及の単位)、述語毎の格の違いのため
に、互いに異なっている。従って、このデータからで
は、直接2つの文の意味的同等性を判断することは困難
である。これらの表層構造上の違いを吸収するために、
述語+格助詞句毎に、図6のように等価変形を施し、均
一な構造で、依存構造木の各枝の内容を整理する。この
様な等価変形については、例えば、「高木・伊東 著:
「自然言語の処理」、丸善、1987」が参照される。
【0024】以下、図示の第1実施例として、以下の例
文について、各枝(述語+各+格につく名詞)を《述語
+格+属性名詞》=《格につく名詞》と同義変換し、述
語による枝の変動を吸収し、構造を均一化する方法につ
いて説明する。
【0025】今、例文1の「東京から宇都宮まで東北自
動車道で行く。」という入力文は、構文解析部11で図
4に示す依存構造木に解析され、節単位に分割して意味
解析部13に送られる。意味解析部13は、この構造木
を、[述語+格助詞句]の枝毎に分析して図6に示すよ
うに「東京から行く」の文章を[出発地=東京]の形に
整理する。なお、「等しい(である)」の主格名詞句の
解釈による名詞化については、上記文献で妥当性を保証
されているので、実際に依存構造の変形処理を行うこと
はせず、述語の意味素性毎に、それぞれが受け得る連用
修飾成分(格、属性など)と、解釈によって得られるべ
き名詞との対応関係を意味情報辞書14に記憶してお
き、機械的に変換処理を行う。図8は、このような連用
修飾成分と述語意味素性とによって、解釈結果として得
られる名詞の例である。なお、述語が断定を表す
「(で)ある」の場合は、任意の現象又は実体のクラ
ス、パラメータ値対等に対する話者の判断を表わし、こ
のため現象を直接言及する他の述語のようにそこから直
接パラメータを抽出することはできない。「(で)あ
る」が現象のパラメータ値に対する判断を表わす場合に
は、主格につく名詞は現象のパラメータにマッピングさ
れるべき概念を表わし、補格につく名詞がその値を表わ
す。その際、主格名詞には一般的な名詞が用いられるこ
とが多く、パラメータ名と直接は対応付けられないこと
が多い。例えば、「料金は、700円である。」の「料
金」と「移動」のパラメータとして用意されている対応
するパラメータ「局所移動所要料金」は、直接マッチし
ない。したがって、この場合には、別途対応関係を定義
しておく。
【0026】他の格助詞句についても同様の手法で意味
解析部13により意味解析され、 「宇都宮まで行く」 → [目的地=宇都宮] 「東北自動車道で行く」→ [使用道路=東北自動車
道] と整理される。このとき、東京、宇都宮、東北自動車道
などの地図上の実体を示す名詞や移動現象に言及する節
が現れた場合には、地図管理部20の地図情報操作部2
1により地図データ22が参照されて名詞のレファレン
トの同定や移動過程のシュミレーションが行われる。
【0027】このように整理することにより、例文1の
「東京から宇都宮まで東北自動車道で行く。」の解釈は
図7に示すように、非常にフラットな形でまとめられ
る。
【0028】次に、例文2の「東京を出発、東北自動車
道を使って、宇都宮に行く。」の場合も、図5に示す構
造木を、例文1と同じような形式に各節毎に整理し、図
9に示すようにまとめられ、さらに、得られた各節の解
釈結果が整理されていく。この場合に、構造が均一でか
つパラメータの位置が現象毎に文脈の場の中でユニーク
に定まるので、係り受け構造や意味内容に依らず、容易
に重ね書きしてゆくことができる。この結果として、例
文1の解釈結果と、例文2の解釈結果とは全く同じにな
る。このように、本発明実施例では、均一なデータ構造
の上に情報を重ね書きすることにより、文章全体の意味
を、文脈に適切な形で蓄積してゆくことができる。
【0029】前述したように、本発明の対話システムで
は、節の内容を図2のように、構造的に最大限に単純化
したフラットな構造で表すことができ、この意味表現形
式では、「東京を出発する」も「東京から行く」も、共
に「出発地」=「東京」と整理することができる。ま
た、これらの各パラメータの、文脈の場の中での位置づ
けをあらかじめ全て決定しておくことにより、入力され
てきた節の各枝の情報を文脈のどこに書き込めばよいか
は一意に定められることは前述した。
【0030】上記の第1実施例の例文1、2において
は、時空間的情報が絡む問題については無視してきた
が、実際の文章では、例えば「東京を出て、宇都宮を通
り、日光へ行きたい。」のように、出来事の時空間的な
断面が断片的に述べられるだけで、統合に際して、その
間の現象の流れや空間的つながりを補完しなければなら
ないことがあるが、こうした時空間的連続性の取り扱い
の問題を一般的に解決することは現状では困難である。
本発明の対話システム装置では、空間的情報について
は、地図管理部20の地図情報操作部21と地図データ
22を備えることにより、道路・領域・施設情報等を保
持した地図情報を持つことで、部分的に対処することが
できる。すなわち、移動や存在に関する文が入力された
場合には、地図情報操作部21で地図上でシミュレーシ
ョンやレファレントの検索を行なうなどして、統合が試
みられる。例えば、前述の「東京を出て、宇都宮を通
り、日光へ行きたい。」の例文の場合、シミュレーショ
ンにより東京から日光に至る経路が求められ、それに基
づいて、一つの移動現象として統合される。そこで、意
味解析の蓄積と利用を行う。
【0031】前記例文2の「東京を出発、東北自動車道
を使って、宇都宮に行く」の解釈の例につい上述した
が、本発明の意味解析/意味表現手法を用いると、一文
でどこまで述べるか、どういう文体で述べるか、といっ
た、文章の表層構造的なぶれの影響を受けずに、安定な
意味解釈結果を得ることができる。また、この解釈モデ
ルでは、あらかじめ、1つの現象内に存在する全パラメ
ータを決定しておくことにより、情報がその意味に従っ
て、常に一定の位置に格納されるようになっている(ど
ういうパラメータについて述べているかで、格納位置が
決まる)ので、入力文の意味解析結果を、同じ形式で記
述された文脈情報に、容易に照合または重ね書きするこ
とができると共に、以後の何らかの問題解決処理でも、
処理に必要なデータをスムーズに収集することが可能で
ある。ただし、例えば、ルートの記述を行う際に、ルー
トの断片の説明を繰り返して、全体として全ルートの説
明を行うという形の記述が行われる。この場合、ルート
の断片を表わすために用いられるパラメータは、複数回
繰り返して現れることになり、文脈中でパラメータの位
置を一意に同定できないことになる。このような場合に
は、(1)入力文の解釈中の節から得られた他のパラメ
ータ値で、すでに文脈中に位置付けられているものがあ
れば、それを含むルート断片中の対応するパラメータに
解釈結果の値をセットする、(2)直前に話題になった
(パラメータ値がセットされた)ルート断片中の対応す
るパラメータに値を代入する、あるいは(3)直前に話
題になったルート断片中の対応するパラメータの値がす
でに埋まっている場合には、次のルート断片中の対応す
るパラメータに値を代入する、等の処理を行う。
【0032】また、同様な理由により、ある述語の連用
修飾成分が、ルート全体を規定するパラメータを言及し
ているのか、ルートの断片を規定するパラメータを言及
しているのかのあいまい性が生じる場合がある。このよ
うな場合には、例えば、入力文解釈時には、とりあえず
ルートの断片を規定するパラメータを言及しているもの
としておき、その上で文脈情報と照合し、地図情報を参
照しつつ必要に応じてルート全体を規定するパラメータ
に解釈しなおす等の処理が必要となる。
【0033】一例を挙げると、 「東京から宇都宮に行く。」 「宇都宮から日光に行く。」 という2文を解釈する場合には、例えば、以下のような
処理を行う。まず、第1文の解釈により、 局所出発地=東京 局所到着地=宇都宮 とする。この段階で文脈と照合すると、文脈には何も書
かれていないので、上のパラメータ、パラメータ値をそ
のまま第1のルート断片の記述として文脈に代入すると
共に、これがルート全体のパラメータを規定している可
能性を考えて、ルート全体を規定するパラメータ「出発
地」「目的地」に対しても、 出発地=東京 目的地=宇都宮 を代入する。次に、第2文の解析により、 局所出発地=宇都宮 局所到着地=日光 を得る。これを文脈と照合すると、ルートの断片がすで
に記録されており、またその局所到着地と第2文から得
られた局所出発地の値が一致するので、第2文は相続く
2番目のルートの断片に関する記述を与えるものである
と判断し、対応する文脈中のパラメータに値を代入す
る。それと同時にルート全体を規定するパラメータにつ
いても「日光」がルート全体の目的地である可能性を考
えて、 目的地=日光 と、値を更新する。その後、ルートを記述する文の入力
がこれで終了したことが判明した段階で、 目的地=日光 が確定する。また、例えば、第3文として、 「東京から日光まで3時間かかる。」 が入力されると、意味解析結果として、 局所出発地=東京 局所到着地=日光 局所移動所要時間=3時間 を得る。これを文脈と照合すると、「東京」「日光」が
ルート全体の「出発地」「目的地」であることが判明す
るので、「局所移動所要時間」はルート全体の「移動所
要時間」に解釈し直されるべきであると判断し、文脈中
で「移動所要時間」パラメータに、 移動所要時間=3時間 を代入する。ちなみに、第1文の後に「2時間かか
る。」が入力された場合は、局所出発地、局所到着地の
指定がないので、直前に言及されたルート断片について
述べていると判断し、第1のルート断片中の「局所移動
所要時間」に「2時間」を代入する。なお、入力文が疑
問文の場合にも、同様にして文脈情報と照合してパラメ
ータのあいまい性を解消しつつ意味解析が行われるが、
平叙文の場合と異なり、疑問文の内容が文脈情報に重ね
書きされることはない(疑問文中の代名詞または省略語
成分が文脈情報により照応、補完されることはある)。
【0034】次に、以上のような考え方に基づき、第2
実施例として以下の例文3について実施した結果を説明
する。 「東京を8時に出る。まず東北自動車道で宇都宮に向か
う。100分程で宇都宮に着く。宇都宮から日光までは
日光宇都宮道路を利用しよう。料金は770円だ。距離
は約25km、約20分の行程である。10時頃には日
光に到着するだろう。」 という一連の文章が入力された場合には、前記第1実施
例と同様にして図10〜図12のような文脈が構築され
る。ただし、前述のように「料金」「距離」は、あらか
じめ定義されているテーブルにより、「局所移動所要料
金」「局所移動距離」に各々対応付けられるものとす
る。「行程」は「移動」と解釈され、述語の「移動す
る」と対応して各連体修飾成分が「移動」のパラメータ
に変換される。「約20分の」は、単位名詞「分」を手
がかりにして「局所移動所要時間」パラメータの値にセ
ットされる。
【0035】以上の結果、例えば、「東京から日光まで
何分で行くか?」という疑問文が入力された場合も、非
常に単純なアルゴリズムで答えることができる。すなわ
ち、この疑問文の内容は、すでに入力された上述の文に
より構築された文脈情報との照合を行った後、最終的に
図13に示す解釈結果が得られる。この形にすることに
よって、文脈中の「移動所要時間」が問い合わせの対象
となっていることがわかるので、移動所要時間を求める
ための問題解決ルール部33の手続きを起動する。移動
所要時間を求めるためには、各「局所移動所要時間」を
合算すればよい。すなわち、上例の場合に、東京−宇都
宮間の局所移動所要時間100分と、宇都宮−日光間の
局所移動所要時間20分を足して、尋ねられている移動
所要時間が「120分」と求まるのでそれをもとに、疑
問文に応答することが可能になる。
【0036】このように、情報の格納位置がその意味に
よって定まるようになっているために、問題解決に必要
な適当な手続きを同定したり、問題解決に必要なデータ
を収集したりすることが安定にできる。
【0037】以上のとおり本発明の対話システム装置で
は、例えば、図14に示すような対話処理を行うことが
できる。すなわち、ユーザが「A観光地に行きたい。」
の問いかけに対し、システムは「経由地を指定して下さ
い。」と指示する。この指示に対しユーザが「L交差
点。」と指示すると、システムは「はい、わかりまし
た。」と答える。次に、ユーザが「朝6時に出発して、
午後5時に到着したい。」の問いかけに対し、システム
は「はい、わかりました。」と答える。そして、ユーザ
が「道を教えてくれ。」の問いかけに対し、システムは
「道路は1個あります。まず、国道1号を北東へ進行
し、E交差点まで行って下さい。次に、国道1号を北へ
進行し、H交差点まで行って下さい。最後に、国道1号
を北東へ進行して下さい。」と答える。この対話システ
ム装置においては、ユーザは入力装置1から音声で入力
し、システムは出力装置2から音声合成による音声で出
力されるか、あるいはディスプレイに表示される。
【0038】上記の枠組に従い、実験データとして市販
の観光ドライブガイドブックである(1)「車で行って
遊んで泊まる「日光・那須・塩原」、旺文社(199
3)」及び(2)「ブルーガイド・ドライブ「日光・鬼
怒川・那須」、実業之日本社(1994)」に登場する
「移動」に関連する例文382文について実施したとこ
ろ、その7割程度の文に関しては、この枠組で適切な文
脈モデルを構成できることを確認した。
【0039】本発明の好適な実施例について説明した
が、本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の改
良及び変更をなし得ることはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明の自然言語の
意味解析処理装置では、構文解析部で解析された構文解
析木を、意味解析部で節単位に分割して入力し[述語+
格助詞句]の枝毎に分析しパラメータ値対の形に整理す
ることで、述語による枝の変動を吸収し、構造を均一化
することができ、文脈の蓄積が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自然言語の意味解析処理装置の構成を
示すブロック図である。
【図2】本発明の自然言語の意味解析処理装置による節
内容のモデルの現象概念を示す図である。
【図3】本発明の自然言語の意味解析処理装置による文
脈のモデル例を示す図である。
【図4】本発明の自然言語の意味解析処理装置による第
1実施例の例文1の構文木を示す図である。
【図5】本発明の自然言語の意味解析処理装置による第
1実施例の例文2の構文木を示す図である。
【図6】本発明の自然言語の意味解析処理装置による第
1実施例の例文1の構文木をパラメータ値対の形の整理
を示す図である。
【図7】本発明の自然言語の意味解析処理装置による第
1実施例の例文1の意味解析結果及び文脈情報を示す図
である。
【図8】本発明の自然言語の意味解析処理装置による連
用修飾成分と述語意味素性とによって解釈結果として得
られる名詞の例を示す図である。
【図9】本発明の自然言語の意味解析処理装置による第
1実施例の例文2の意味解析結果及び文脈情報を示す図
である。
【図10】本発明の自然言語の意味解析処理装置による
第2実施例の例文3の意味解析結果及び文脈情報を示す
図である。
【図11】本発明の自然言語の意味解析処理装置による
第2実施例の例文3の意味解析結果及び文脈情報を示す
図である。
【図12】本発明の自然言語の意味解析処理装置による
第2実施例の例文3の意味解析結果及び文脈情報を示す
図である。
【図13】本発明の自然言語の意味解析処理装置による
疑問文の意味解析結果を示す図である。
【図14】本発明の自然言語の意味解析処理装置による
対話処理例を示す図である。
【符号の説明】
1 入力装置 2 出力装置 10 言語処理部 11 構文解析部 12 文法解析辞書 13 意味解析部 14 意味情報辞書 20 地図管理部 21 地図情報操作部 22 地図データ 30 制御部 31 対話制御部 32 制御ルール部 33 問題解決ルール部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青沢 秀憲 東京都新宿区西新宿2丁目6番1号 株式 会社シーエスケイ内 (72)発明者 高木 朗 東京都新宿区西新宿2丁目6番1号 株式 会社シーエスケイ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力される文の構文解析木を得る構文解
    析部と、該構文解析部で解析される構文解析木に含まれ
    る各節を単位として、その部分構造木を[述語+格助詞
    句]の枝の集合に分解し、各枝[述語+格+格につく名
    詞]を[<述語+格+属性名詞>=<格につく名詞>]
    と同義変換した後、<述語+格+属性名詞>を、現象に
    よって一意に定まり、述語に依存しない名詞一語で表す
    ことにより入力文の意味解析を行い、さらに同様な形式
    で記述されている文脈情報と入力文の意味解析の結果と
    を照合しまたは、入力文の意味解析結果を文脈情報に重
    ね書きする処理を行う意味解析部と、前記構文解析部と
    意味解析部とを統括制御し入力文の取り込みと出力文の
    出力の制御を行う制御部とを備えた自然言語の意味解析
    処理装置。
  2. 【請求項2】 地図データに基づいて地図情報操作を行
    う地図情報操作部をさらに備え、前記意味解析部におい
    て、地図上の実体を指す名詞や移動現象に言及する節が
    現れた場合には、地図情報操作部を介して地図データを
    参照し、名詞のレファレントの同定や移動過程のシミュ
    レーションを行う請求項1に記載の自然言語の意味解析
    処理装置。
  3. 【請求項3】 前記制御部は、文の入出力を制御すると
    ともに、前記構文解析部、意味解析部を統括制御する対
    話制御部と、制御ルールを格納する制御ルール部と、問
    題解決ルールを格納する問題解決ルール部とを有する請
    求項1または2に記載の自然言語の意味解析処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000148755A (ja) * 1998-09-02 2000-05-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 意味解析方法及び装置及び意味解析プログラムを記録した記録媒体
WO2010101540A1 (ru) * 2009-03-02 2010-09-10 Panchenko Borys Evgenijovich Способ каркасного полно-модифицируемого размещения данных в хранилище с учетом их предварительной этимологической сепарации
WO2017000777A1 (zh) * 2015-06-30 2017-01-05 芋头科技(杭州)有限公司 一种口语语义解析系统及方法

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