JPH08220039A - 火薬の安定性試験方法 - Google Patents

火薬の安定性試験方法

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JPH08220039A
JPH08220039A JP7025743A JP2574395A JPH08220039A JP H08220039 A JPH08220039 A JP H08220039A JP 7025743 A JP7025743 A JP 7025743A JP 2574395 A JP2574395 A JP 2574395A JP H08220039 A JPH08220039 A JP H08220039A
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潤一 木村
Minoru Saito
稔 斎藤
Katsuaki Umibe
勝晶 海部
Toyosaku Sato
豊作 佐藤
邦彦 ▲真▼野
Kunihiko Mano
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易かつ迅速で、また、人の主観によらない
標準化した火薬の安定性試験方法を提供する。 【構成】 フタロシアニン類を感応膜とするガスセンサ
素子10を配置し、このガスセンサ素子10により硝酸
エステル系火薬22から発生するNOxの発生速度を計
測し、その硝酸エステル系火薬22の安定性を判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発射薬やロケット推進
薬に用いられる硝酸エステル系火薬の安定性試験方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
例えば、以下のような文献に開示されるものがあった。 (1)木村 潤一 火薬学会誌 「EXPLOSIO
N」 平成6年6月号p.63 (2)木村 潤一 防衛技術 1992年7月号 p.
16 (3)田中 正夫・駒 省二、フタロシアニン(ぶんし
ん出版) p.68〜p.76 火薬類は、分子中に不安定な化学結合(C−N,O−
N,N−N)を結合した自己発熱性物質と見なせる。し
たがって、常温付近でも空気の存在無しに自然分解が起
こり、分解ガスと熱を発生して、時には発火に至り、大
きな災害を引き起こすことがある。
【0003】実際の災害例としては、1964年の夏に
東京品川の倉庫のドラム缶に湿潤状態で貯蔵してあった
ニトロセルロースが、猛暑で乾燥し自然発火を起こし、
この火が大量の有機過酸化物の爆発を誘発し、多数の犠
牲者を出したケースがある。貯蔵温度範囲での自然分解
が問題になるのは、弱いO−N結合を有する硝酸エステ
ルとこれを主成分とする火薬類である。最近、産業火薬
の分野での硝酸エステルの使用量は、ダイナマイトの製
造が大幅に減少したため低下しているが、軍用火薬の分
野では、現在もほとんど全ての発射薬と無煙性ロケット
推進薬の主成分は硝酸エステルである。軍関係者にとっ
ては、備蓄する弾薬類の耐用命数を推定し、確固たる廃
棄基準を設定して安全を確保する必要がある。
【0004】ところで、硝酸エステル系火薬の安定性試
験方法としては、上記文献(1)、(2)に示されてい
るように、これまで長く、火薬からの分解に伴い発生す
る窒素酸化物(以下、NOxと言う)の測定は、サーベ
ランス試験やアーベル試験によって行う方法が用いられ
てきた。サーベランス試験は、透明な広口ビン(内径約
50mm、高さ140mm)に45gの試料をとり、6
5.5℃に保温した加熱槽に貯蔵し、発生するNO2
赤煙の濃度が、アンプルに封入されたNO2 と同等にな
るまで目視により観察して、所要の日数により使用可能
か否かを判定するものであり、軍の弾薬関係の施設にお
いて実施されている。
【0005】アーベル試験は、65.5℃に加熱した試
料から発生するNOxにより、ヨウ化カリ澱粉試験紙中
央の湿潤と、乾燥の境界に基準の発色(薄紫色)が現れ
るまでの時間を目視で測定し、所要の時間により、使用
可能か否かを判定するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サーベ
ランス試験では、判定結果を得るまでに数カ月から数年
の期間を要するという問題点があった。また、判定を目
視で行うため、判定に曖昧さを伴うという問題点があっ
た。一方、アーベル試験では、判定を数分の時間で行う
ことができるが、この試験においても判定を目視で行う
ため、やはり曖昧さを伴うという問題点があった。
【0007】上記文献(1)、(2)に示されているよ
うに、このような問題点を解決し、硝酸エステル系火薬
の安定性試験方法を迅速化・標準化するため、最近、サ
ーベランス試験やアーベル試験を、半導体光検知素子を
用いた簡易NOx計、安定剤の各種クロマトグラフによ
る定量分析、微少熱量計による発熱量測定法、極微弱光
測定装置による化学発光法などに置き換える試みがなさ
れている。
【0008】しかしながら、これらの方法でも装置が高
価であり、また、測定手順も煩雑であるという問題点が
あり、未だ実用化に至っていない。本発明は、上記問題
点を解決するために、簡易かつ迅速で、また、人の主観
によらない標準化した火薬の安定性試験方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、火薬の安定性試験方法において、 (1)フタロシアニン類を感応膜とするガスセンサ素子
を配置し、このガスセンサ素子により硝酸エステル系火
薬から発生するNOxの発生速度を計測し、前記硝酸エ
ステル系火薬の安定性を判定するようにしたものであ
る。
【0010】(2)上記(1)において、前記ガスセン
サ素子は基板上に対をなす電極を形成し、この電極上に
前記フタロシアニン感応膜が形成され、この感応膜への
ガス吸着に伴うこの感応膜の電気特性の変化を計測する
ようにしたものである。 (3)上記(2)において、前記電極は櫛形電極であ
る。 (4)上記(2)又は(3)において、前記対をなす電
極間の電気抵抗の変化を計測する。
【0011】(5)上記(1)において、前記ガスセン
サ素子に水晶振動子を用い、前記感応膜へのガス吸着に
伴う前記水晶振動子の発振周波数の変化を計測する。 (6)上記(1)において、前記ガスセンサ素子に表面
弾性波素子を用い、前記感応膜へのガス吸着に伴う前記
表面弾性波素子の発振周波数の変化を計測する。
【0012】
【作用】本発明によれば、 (1)図3(a)にはNO、図3(b)にはNO2 によ
る本発明によるフタロシアニン感応膜を有するガスセン
サ素子の電気抵抗の変化を示している。すなわち、NO
或いはNO2 によって本ガスセンサ素子の電気抵抗は大
きく減少していき、NO或いはNO2 を導入する前に約
109 Ωであった電気抵抗は、NOガスを導入すること
により、約10分で約5×108 Ωに減少し、ほぼ一定
値となった。また、NO2 ガスを導入することにより、
約20分で約106 Ωに減少し、ほぼ一定値となった。
このことから、本ガスセンサ素子は、アーベル試験にお
いて火薬より発生するNOxを十分検知し得ることが分
かる。
【0013】(2)図5には、劣化を起こしたダブルベ
ース火薬(保存期間6年;実線)と劣化を起こしていな
いもの(新品;破線)に対して上記の測定を行ったもの
である。図5から明らかなように、加熱による火薬の分
解に伴い発生するNOxによってガスセンサ素子の抵抗
が大きく減少していき、劣化した火薬と劣化していない
ものとでは、その変化の速度が大きく異なることが分か
る。すなわち、劣化した火薬では、加熱を行う前に約1
9 Ωであった電気抵抗は、約10分で約106Ωに減
少し、劣化していないものでは、約30分で約106 Ω
に減少した。
【0014】したがって、本ガスセンサ素子の電気抵抗
がある基準値、例えば106 Ωになるまでの時間を測定
することにより、アーベル試験と同様な試験を人の主観
によらず行うことが可能となる。 (3)図7(a)にはNO、図7(b)にはNO2 によ
る本発明によるフタロシアニン感応膜を有するガスセン
サ素子の発振周波数変化を示した。図7から明らかなよ
うに、NO或いはNO2 によって本ガスセンサ素子の発
振周波数は大きく減少していき、NOガスを導入するこ
とにより、約30分で7Hz減少し、ほぼ一定値となっ
た。また、NO2 ガスを導入することにより、約30分
で約18Hzに減少し、ほぼ一定値となった。このこと
から、本ガスセンサ素子は、アーベル試験において火薬
より発生するNOxを十分検知し得ることが分かった。
【0015】(4)図8には劣化を起こしたダブルベー
ス火薬(保存期間6年;実線)と、劣化を起こしていな
いもの(新品;破線)に対して上記の測定を行ったもの
である。図8から明らかなように、加熱による火薬の分
解に伴い発生するNOx によって、本ガスセンサ素子の
発振周波数は大きく減少していき、劣化した火薬と劣化
していない火薬とでは、その変化の速度が大きく異なる
ことが分かる。すなわち、劣化した火薬では、加熱後、
約15分で約20Hz減少したのに対して、劣化してい
ない火薬では、約40分で20Hz減少した。
【0016】したがって、本ガスセンサ素子の発振周波
数がある基準値、例えば、20Hz減少するまでの時間
を測定することにより、アーベル試験と同様な試験を人
の主観によらず行うことが可能となる。更に、発振周波
数変化の基準値を変えることにより、また、発振周波数
変化の時定数をパラメータとすることによって、アーベ
ル試験より迅速な測定を行うことが可能である。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図を参照しな
がら詳細に説明する。図1は本発明の第1実施例を示す
火薬の安定性試験装置の概略構成図、図2は本発明の第
1実施例を示すガスセンサ素子の平面図である。図2に
示すように、ここでは、10mm×15mm、厚さ1m
mのガラス基板11上に、金の薄膜を蒸着して対になっ
た櫛形電極13を形成する。因みに、その電極間距離は
50μm、櫛歯状電極の幅は50μmとし、その櫛形電
極13が形成される基板11上に、銅フタロシアニン
(東洋インキ社製)を真空蒸着したフタロシアニン感応
膜14を有するガスセンサ素子10を用いた。なお、図
2において、12は接続用端子である。
【0018】フタロシアニン感応膜14の蒸着は、試料
150mgをアルミナ製るつぼに入れ、そのるつぼを、
抵抗線加熱することによって行った。蒸着時の真空度
は、10-3Pa以下、基板の加熱あるいは冷却は行われ
ず、蒸着速度0.5〜2.0Å/secで厚さ0.2μ
mの感応膜を形成した。そこで、図1に示すように、容
器21に試料としての硝酸エステル系火薬22を、その
容器21の1/3に応ずる量を取り、ガスセンサ素子1
0を固定した後、密封栓23で封印する。このように準
備した容器21を、65℃に保った湯浴に一定の深さま
で差し込み、ガスセンサ素子10の櫛形電極13間の電
気抵抗値を計測装置25に取り込み、その電気抵抗値の
変化を測定する。
【0019】なお、計測装置25は入力インタフェース
25a、CPU(中央処理装置)25b、タイマ/カウ
ンタ25c、計測装置を統括制御するプログラムからな
る第1のメモリ(ROM)25d、各種の基準となるデ
ータを記憶する第2のメモリ(RAM)25e、ガスセ
ンサ素子10から取り込まれるデータを記憶する第3の
メモリ(RAM)25f、入力インタフェース25g、
この入力インタフェース25gに接続されるデータ入力
装置25h、出力インタフェース25i、その出力イン
タフェース25iに接続されるディスプレイ25j等を
有する。
【0020】なお、ガスセンサ素子の電気抵抗値の変化
の測定に代えて、静電容量の変化を計測してNOxの発
生速度を判定するようにしてもよい。次に、具体的に、
上記のように作製したガスセンサ素子のNO及びNO2
に対する応答特性を以下のように測定した。まず、ガス
センサ素子10を容量約1Lの測定用チャンバに固定し
た後、チャンバ内にN2 ガスを充満した。そして、この
測定用チャンバに約20ppmの濃度のNOガスあるい
はNO2 ガスを、ボンベより約0.5L/minの割合
で導入しフローさせ、ガスセンサ素子10の電気抵抗変
化を計測装置25で測定した。つまり、ガスセンサ素子
10の電極間の絶縁抵抗及びその変化を計測した。
【0021】ガス濃度を、このような値に選んだのは以
下の理由による。すなわち、詳細は述べないが、本発明
者らが半導体光検知素子を用いた簡易NOx計によっ
て、火薬からのNOx発生速度を測定した結果による
と、アーベル試験においては試験管内のNOx濃度が、
数分から数十分で20ppm程度に達することが分かっ
ており、この程度のNOx濃度を本ガスセンサ素子10
が検知することが可能であれば、本ガスセンサ素子10
をアーベル試験に替わる火薬の安定性試験方法に十分適
用できると考えたからである。
【0022】図3は本発明の第1実施例による火薬の安
定性試験方法による試験結果を示す図であり、図3
(a)にはNOによる本発明のガスセンサ素子の電気抵
抗変化を、図3(b)にはNO2 による本発明のガスセ
ンサ素子の電気抵抗変化をそれぞれ示している。図3か
ら明らかなように、NO或いはNO2 によって本ガスセ
ンサ素子の電気抵抗は大きく減少していき、NO或いは
NO2 を導入する前に約109 Ωであった電気抵抗は、
NOガスを導入することにより、約10分で約5×10
8 Ωに減少し、ほぼ一定値となった。また、NO2 ガス
を導入することにより、約20分で約106 Ωに減少
し、ほぼ一定値となった。
【0023】このことから、本ガスセンサ素子は、アー
ベル試験において、火薬より発生するNOxを十分検知
し得ることが分かる。なお、NOによって減少した電気
抵抗は、チャンバ内をN2 パージすることにより、約2
0分で元のレベルに復帰した。NO2 の場合には、元に
復帰するのに約半日を要したが、加熱処理或いは真空処
理を用いれば、数分で元のレベルに復帰させることが可
能であった。
【0024】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。この第2実施例では、まず、第1実施例と同様の方
法で作製したガスセンサ素子を用意した。次に、図4に
示すような、アーベル試験用の試験管31に試料として
のダブルベース火薬32を、その試験管31の1/3に
応ずる量を取り、ガスセンサ素子10を固定した後、密
封栓33で封印した。ガスセンサ素子10の固定位置は
アーベル試験におけるヨウ化カリ澱粉試験紙の固定位置
と同等にした。
【0025】このように準備した試験管31を、65℃
に保った湯浴に一定の深さまで差し込み、ガスセンサ素
子10の電気抵抗の変化を計測装置(絶縁抵抗計)(図
示なし)によって測定した。因みに、各部の寸法は、試
験管31の直径は19mm、試料32の高さL1 は53
mm、試料32からガスセンサ素子10の下部までの距
離L2 は63mm、試料32から密封栓33までの距離
3 は103mm、試験管31の自由容積は約30ml
である。
【0026】図5は本発明の第2実施例による火薬の安
定性試験方法による試験結果を示す図である。ここで
は、劣化を起こしたダブルベース火薬(保存期間6年;
実線)bと、劣化を起こしていないもの(新品;破線)
aに対して上記の測定を行ったものである。
【0027】この図から明らかなように、加熱による火
薬の分解に伴い発生するNOxによって、ガスセンサ素
子の抵抗が大きく減少していき、劣化した火薬bと、劣
化していない火薬aとでは、その変化の速度が大きく異
なることが分かる。すなわち、劣化した火薬bでは、加
熱を行う前に約109 Ωであった電気抵抗は、約10分
で約106 Ωに減少し、劣化していない火薬aでは、約
30分で約106 Ωに減少した。
【0028】したがって、本ガスセンサ素子の電気抵抗
がある基準値、例えば106 Ωになるまでの時間を測定
することにより、アーベル試験と同様な試験を人の主観
によらず行うことが可能となる。すなわち、図1に示
す、データ入力装置25hを操作して、第2のメモリ2
5eから電気抵抗の基準値106 Ωに対応するデータを
予め読み出して設定しておき、ガスセンサ素子10から
のデータを取り込み、電気抵抗の基準値106 Ωに達す
る時間をタイマ/カウンタ25cで計測することによ
り、火薬からのNOxの発生速度、つまり、火薬の分解
状態を検出し、火薬の安定性を判定することができる。
【0029】更に、電気抵抗の基準値を変えることによ
り、火薬の安定性を判定することができる。また、図1
に示す、データ入力装置25hを操作して、タイマ/カ
ウンタ25cを所定の時間にセットしておき、ガスセン
サ素子10からのデータを取り込み、所定の時間に達し
た時の電気抵抗値を読み取り、基準のデータと比較する
ことにより、火薬からのNOxの発生速度、つまり、火
薬の分解状態を検出し、火薬の安定性を判定することが
できる。
【0030】更に、電気抵抗の変化の度合い、つまり、
時定数をパラメータとすることによって、アーベル試験
より迅速な測定を行うことも可能である。次に、本発明
の第3実施例について説明する。この第3実施例では、
図6に概略形状を示したような発振周波数9MHzのA
Tカット水晶振動子41の電極上に、第1の実施例と同
様の銅フタロシアニンを真空蒸着したフタロシアニン感
応膜42を有するガスセンサ素子43を用いた。
【0031】次に、作製したガスセンサ素子43のNO
及びNO2 に対する応答特性を以下のように測定した。
まず、第1実施例と同様に、ガスセンサ素子43を容量
約1Lの測定用チャンバに固定した後、チャンバ内にN
2 ガスを充満し、この測定用チャンバに約20ppmの
濃度のNOガスあるいはNO2 ガスを、ボンベより約
0.5L/minの割合で導入しフローさせた。そし
て、ガスセンサ素子43の発振周波数の変化を計測装置
51で計測する。すなわち、ガスセンサ素子43を発振
回路52を通して周波数カウンタ53に接続し、その周
波数カウンタ53からの出力を周波数変化率出力回路5
4に入力して、周波数変化率出力回路54からガスセン
サ素子43の周波数変化率ei を得る。
【0032】一方、基準発振回路55を通して基準周波
数カウンタ56に接続し、その周波数カウンタ56から
の出力を基準周波数変化率出力回路57に入力して、基
準周波数変化率出力回路57から基準周波数変化率e
ref を得る。そこで、周波数変化率ei と基準周波数変
化率eref を比較器58で比較することにより、火薬か
らのNOxの発生速度、つまり、火薬の分解状態を検出
し、火薬の安定性を判定することができる。
【0033】なお、この実施例では、計測装置として
は、ブロック回路による構成を示したが、周波数変化率
は、図1に示したような計測装置を用いることにより、
きめの細かい正確な測定を行うことができることは言う
までもない。また、ガス濃度を上記のような値に選んだ
のは第1実施例に述べた理由と同様の理由による。
【0034】図7は本発明の第3実施例による火薬の安
定性試験方法による試験結果を示す図であり、図7
(a)にはNOによる本発明のガスセンサ素子の発振周
波数変化を、図7(b)にはNO2 による本発明のガス
センサ素子の発振周波数変化をそれぞれ示している。図
7から明らかなように、NO或いはNO2 によって本ガ
スセンサ素子の発振周波数は大きく減少していき、NO
ガスを導入することにより、約30分で7Hz減少し、
ほぼ一定値となった。また、NO2 ガスを導入すること
により、約30分で約18Hzに減少し、ほぼ一定値と
なった。このことから、本ガスセンサ素子は、アーベル
試験において火薬より発生するNOxを十分検知し得る
ことが分かった。
【0035】なお、このように減少した発振周波数は、
チャンバ内をN2 パージすることにより、NOの場合に
は約2時間、NO2 の場合には約半日で元のレベルに復
帰した。また、加熱処理あるいは真空処理を用いれば、
数分で元のレベルに復帰させることが可能であった。次
に、本発明の第4実施例について説明する。
【0036】この第4実施例では、第1実施例と同様な
方法で作製したガスセンサ素子を用意した。次に、第2
実施例と同様に、アーベル試験用の試験管にダブルベー
ス火薬を試料として取り、このガスセンサ素子を固定し
た後、封印した。そしてこのように準備した試験管を6
5℃に保った湯浴に一定の深さまで差し込み、ガスセン
サ素子の発振周波数を測定した。
【0037】図8は本発明の第4実施例による火薬の安
定性試験方法による試験結果を示す図である。図8には
劣化を起こしたダブルベース火薬(保存期間6年;実
線)bと劣化を起こしていないもの(新品;破線)aに
対して上記の測定を行ったものである。図8から明らか
なように、加熱による火薬の分解に伴い発生するNOx
によって本ガスセンサ素子の発振周波数は大きく減少し
ていき、劣化した火薬bと劣化していない火薬aとでは
その変化率が大きく異なることが分かる。すなわち、劣
化した火薬では、加熱後、約15分で約20Hz減少し
たのに対して、劣化していない火薬では、約40分で2
0Hz減少した。
【0038】したがって、例えば、図1に示すような計
測装置を用いることにより、本ガスセンサ素子の発振周
波数がある基準値、例えば20Hz減少するまでの時間
を測定することにより、アーベル試験と同様な試験を人
の主観によらず行うことが可能となる。更に、発振周波
数変化の基準値を変えることにより、また発振周波数変
化の時定数をパラメータとすることによって、アーベル
試験より迅速な測定を行うことも可能である。
【0039】図9は本発明の第5実施例による火薬の安
定性試験のための装置を示す図である。この第5実施例
では、図9に概略形状を示したような振動子として、ニ
オブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料から
なる基板61上に、図2において示したように、接続用
端子62を有する櫛形電極63を対向して形成し、その
櫛形電極63上に銅フタロシアニンを真空蒸着したフタ
ロシアニン感応膜64を有する表面弾性波素子からなる
ガスセンサ素子60を作製し、このガスセンサ素子60
の接続用端子62に高周波電源65を印加し、フタロシ
アニン感応膜64へのNOxの吸着を表面弾性波素子の
発振周波数変化を、第3実施例で示したものと同様の計
測装置71を利用して計測することにより、上記と同様
に、火薬からのNOxの発生速度、つまり、火薬の分解
状態を検出し、火薬の安定性を判定することができる。
なお、上記した実施例では、感応膜として銅フタロシ
アニンを用いた場合について述べたが、本発明はこれに
限られるものではなく、中心金属を持たない無金属フタ
ロシアニンや、中心金属が他の金属、例えば、コバル
ト、亜鉛、鉛、マグネシウムなどでも同様な効果が得ら
れる。
【0040】また、フタロシアニン感応膜の電気特性を
測定する電極を櫛形とした場合について述べたが、これ
に限られるわけでなく、例えば、感応膜を挟むサンドイ
ッチ形としても同様な効果が得られる。なお、本発明は
上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に
基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範
囲から排除するものではない。
【0041】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、フタロシアニン類を感応膜とするガスセンサ素
子を用い、硝酸エステル系火薬から発生するNOX の発
生速度を検出することによって、火薬の安定性を試験す
る方法によれば、簡便かつ迅速で、また、人の主観にと
らわれない標準化した試験方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す火薬の安定性試験装
置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すガスセンサ素子の平
面図である。
【図3】本発明の第1実施例による火薬の安定性試験方
法による試験結果を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例による火薬の安定性試験の
ための装置を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例による火薬の安定性試験方
法による試験結果を示す図である。
【図6】本発明の第3実施例による火薬の安定性試験の
ための装置を示す図である。
【図7】本発明の第3実施例による火薬の安定性試験方
法による試験結果を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例による火薬の安定性試験方
法による試験結果を示す図である。
【図9】本発明の第5実施例による火薬の安定性試験の
ための装置を示す図である。
【符号の説明】
10,43 ガスセンサ素子 11 ガラス基板 12,62 接続用端子 13,63 櫛形電極 14,42,64 フタロシアニン感応膜 21 容器 22 硝酸エステル系火薬 23,33 密封栓 25,51,71 計測装置 25a,25g 入力インタフェース 25b CPU(中央処理装置) 25c タイマ/カウンタ 25d 第1のメモリ(ROM) 25e 第2のメモリ(RAM) 25f 第3のメモリ(RAM) 25h データ入力装置 25i 出力インタフェース 25j ディスプレイ 31 試験管 32 ダブルベース火薬(試料) 41 ATカット水晶振動子 43 ガスセンサ素子(水晶振動子) 52 発振回路 53 周波数カウンタ 54 周波数変化率出力回路 55 基準発振回路 56 基準周波数カウンタ 57 基準周波数変化率出力回路 58 比較器 60 ガスセンサ素子(表面弾性波素子) 61 基板(圧電材料) 65 高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海部 勝晶 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 豊作 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 ▲真▼野 邦彦 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)フタロシアニン類を感応膜とするガ
    スセンサ素子を配置し、(b)該ガスセンサ素子により
    硝酸エステル系火薬から発生するNOxの発生速度を計
    測し、前記硝酸エステル系火薬の安定性を判定すること
    を特徴とする火薬の安定性試験方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の火薬の安定性試験方法に
    おいて、前記ガスセンサ素子は基板上に対をなす電極を
    形成し、該電極上に前記フタロシアニン感応膜が形成さ
    れ、該感応膜へのガス吸着に伴う該感応膜の電気特性の
    変化を計測することを特徴とする火薬の安定性試験方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の火薬の安定性試験方法に
    おいて、前記電極は櫛形電極であることを特徴とする火
    薬の安定性試験方法。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の火薬の安定性試験
    方法において、前記対をなす電極間の電気抵抗の変化を
    計測することを特徴とする火薬の安定性試験方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の火薬の安定性試験方法に
    おいて、前記ガスセンサ素子に水晶振動子を用い、前記
    感応膜へのガス吸着に伴う前記水晶振動子の発振周波数
    の変化を計測することを特徴とする火薬の安定性試験方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の火薬の安定性試験方法に
    おいて、前記ガスセンサ素子に表面弾性波素子を用い、
    前記感応膜へのガス吸着に伴う前記表面弾性波素子の発
    振周波数の変化を計測することを特徴とする火薬の安定
    性試験方法。
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