JPH08203418A - 電荷発生器及びそれを用いた静電像形成装置並びにフラットパネルディスプレイ - Google Patents

電荷発生器及びそれを用いた静電像形成装置並びにフラットパネルディスプレイ

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JPH08203418A
JPH08203418A JP2450595A JP2450595A JPH08203418A JP H08203418 A JPH08203418 A JP H08203418A JP 2450595 A JP2450595 A JP 2450595A JP 2450595 A JP2450595 A JP 2450595A JP H08203418 A JPH08203418 A JP H08203418A
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JP
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electrode
film
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finger
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Application number
JP2450595A
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English (en)
Inventor
Kazuya Matsumoto
一哉 松本
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コロナ放電を利用する方式に比べ、電荷発生
のための駆動電圧を大幅に低減できる電荷発生器を提供
する。 【構成】 絶縁基板1上に形成されたライン電極2と、
該ライン電極2の表面に形成された強誘電体薄膜4と、
該強誘電体薄膜4の表面に形成された数十〜数百Åの厚
さを有する金属薄膜5と、該金属薄膜5の表面に形成さ
れ、中心部に電荷を通過させるフィンガー孔6aを有す
るフィンガー電極6と、該フィンガー電極6の表面に、
中心部に電荷を通過させる孔部7aを有する固体絶縁体
膜7を介して形成された、中心部に電荷制御用のスクリ
ーン孔8aを有するスクリーン電極8とからなる電荷発
生制御素子10を、複数個配列して電荷発生器を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静電像形成装置やフ
ラットパネルディスプレイに用いられる電荷発生器に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、電荷を直接誘電性記録体上に移送
しデポジッションさせる原理により、誘電性記録体上に
静電荷による潜像を形成する方法として、コロナ放電を
利用する方式が特公平2−62862号公報に開示され
ている。図11は、上記公報開示の静電像形成装置の電荷
発生器の一部分の断面を示す図である。同図において、
100 は電荷発生器の一個の電荷発生制御素子を示してい
る。電荷発生器は多数個の電荷発生制御素子100 を一次
元状、あるいは二次元状に配列して構成されている。電
荷発生制御素子100 は金属よりなるライン電極101 ,誘
電体膜103 ,該誘電体膜103 を介して前記ライン電極10
1 と一部対向して配設された金属よりなるフィンガー電
極105 ,絶縁膜107 ,該絶縁膜107 及び空間を介して前
記フィンガー電極105 と対向して配設された金属よりな
るスクリーン電極109 とで構成されている。
【0003】次に、このように構成されている電荷発生
制御素子100 の動作について説明する。図11において、
誘電体膜103 を挟んで配置されたライン電極101 とフィ
ンガー電極105 間に、電源102 より交流電圧を印加する
ことにより、誘電体膜103 の表面領域104 において、コ
ロナ放電現象により電荷群が発生する。この電荷群の内
の移動度の大きい負電荷が潜像形成に利用される。フィ
ンガー電極105 に対向して、絶縁膜107 を介在させて形
成したスクリーン電極109 に、フィンガー電極105 に印
加する電位よりも正の電位を印加すると、コロナ放電に
より発生した負電荷はチャンネル106 を経てスクリーン
電極109 に形成されているスクリーン穴108 より抽出さ
れる。スクリーン穴108 より抽出された負電荷は、誘電
性記録体であるドラム110 に向けて加速され、ドラム11
0 にデポジッションし電荷潜像を形成する。逆にスクリ
ーン電極109 に、フィンガー電極105 に対して負の電位
を印加した場合は、スクリーン穴108 からの負電荷の抽
出は阻止され、ドラム110への潜像は形成されなくな
る。
【0004】ところで、コロナ放電の原理はパッシェン
の法則により表されるので、まずパッシェンの法則につ
いて簡単に説明する。図12は平行平板電極からなるキャ
パシタを示しており、121 は上部電極で電圧Vが印加さ
れており、122 は下部電極で接地されている。123 は電
極間のギャップで、空気等の気体が存在しており、電極
間の距離はLで表されている。
【0005】このような構成のキャパシタにおいて、印
加電圧Vがある電圧VS 以上になると、ギャップ123 内
においてコロナ放電現象が発生する。図13は、コロナ放
電が開始される電圧VS とp・L積との関係を表したグ
ラフ図である。ここでpはキャパシタのギャップ123 内
の気体の圧力を表し、またLは電極121 ,122 間の距離
を表している。図13では気体の種類(空気,H2 ,A,
Ne)をパラメータとして表している。気体が空気の場合
は、VS が最小値となるp・L積の値は0.57となる。す
なわち大気圧(760 torr)条件では、Lが約7.5 ミクロ
ンの場合において、最小放電開始電圧(Vsmin)である
約330 Vとなる。大気圧の条件下では、Lがこの値より
小さい場合は、電荷の走行距離が短くなるため放電開始
電圧は上昇する。またLがこの値より大きい場合も、電
界が弱くなるため放電開始電圧は上昇する。
【0006】表1は、各種気体と各種電極材料を用いた
場合における最小放電開始電圧Vsminとp・L積の値を
まとめて示したもので、同じ電極材料を用いた場合にお
いても、気体の種類を変えることにより、放電開始電圧
が増減することなどが分かる。
【0007】
【表 1】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の説明により、図
11に示した従来の構造の、コロナ放電を利用した電荷発
生制御素子においては、コロナ放電による電荷生成の為
には少なくとも最小放電開始電圧Vsmin以上の駆動電圧
が必要であることがわかる。更にパッシェン法則によ
り、このコロナ放電のための駆動電圧は、通常の動作雰
囲気である、気体が空気で大気圧動作の条件下では約33
0 V以上となり、コロナ放電用の駆動には高耐圧特性を
有する特殊な駆動回路が必要となり、結局、駆動回路が
高価格となるという問題点が存在していた。
【0009】本発明は、従来のコロナ放電を利用し、誘
電性記録体上に静電荷による電荷潜像を、デポジッショ
ンさせる原理により形成する静電像形成装置用電荷発生
器における上記問題点を解消するためになされたもの
で、従来のコロナ放電を利用する方式に比べ、電荷発生
のための駆動電圧が大幅に低減できる、新たな電荷発生
原理による電荷発生制御素子を備えた電荷発生器を提供
することを目的とする。
【0010】各請求項記載の発明毎に目的を述べると次
のとおりである。請求項1〜3記載の各発明は、電荷発
生制御素子の電荷発生部における放電開始電圧を低減す
ると共に、再生画像の画質を向上させることの可能な電
荷発生器を提供することを目的とし、また請求項4記載
の発明は、周辺回路を備えた安価な電荷発生器を提供す
ることを目的とする。また請求項5記載の発明は、請求
項1〜4のいずれか1項に記載の電荷発生器を用いた静
電像形成装置を提供することを目的とし、更に請求項6
記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電
荷発生器を用いたフラットパネルディスプレイを提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】上記問題点を解
決するため、請求項1記載の発明は、絶縁体上に形成さ
れたライン電極と、該ライン電極の表面に形成された固
体強誘電体膜と、該固体強誘電体膜の表面に形成された
数十〜数百Åの厚さを有する金属薄膜と、該金属薄膜の
表面に形成され、中心部に電荷発生用の孔部を有するフ
ィンガー電極と、該フィンガー電極表面に、中心部に電
荷を通過せしめる孔部を有する固体絶縁体膜を介して形
成された、中心部に電荷制御用の孔部を有するスクリー
ン電極とからなる電荷発生制御素子で電荷発生器を構成
するものである。
【0012】このように固体強誘電体膜の表面に数十〜
数百Åの厚さを有する金属薄膜を設けることにより、固
体強誘電体膜より放出される電子が金属薄膜をトンネル
作用により通過し、効率よくフィンガー電極の孔部に放
出されるため、コロナ放電方式に比べ低駆動電圧で電子
の放出が可能となり、電子又は電荷の放出開始電圧を大
幅に低減可能な電荷発生器を実現することができる。
【0013】また請求項2記載の発明は、絶縁体上に形
成されたライン電極と、該ライン電極の表面に形成され
たP−N接合を有する半導体層と、該半導体層の表面に
形成され、中心部に電荷発生用の孔部を有するフィンガ
ー電極と、該フィンガー電極表面に、中心部に電荷を通
過せしめる孔部を有する固体絶縁体膜を介して形成され
た、中心部に電荷制御用の孔部を有するスクリーン電極
とからなる電荷発生制御素子で電荷発生器を構成するも
のである。
【0014】このようにP−N接合を有する半導体層で
電子放出部を形成することにより、かかるP−N接合半
導体層を逆バイアス状態としてアバランシェブレイクダ
ウンを生じさせ、これにより生じたホットエレクトロン
が半導体層表面より、効率よくフィンガー電極の孔部に
放出されるため、電子の放出開始電圧を大幅に低減可能
な電荷発生器を実現することができる。
【0015】また請求項3記載の発明は、絶縁体上に形
成されたライン電極と、該ライン電極の表面に形成され
たエレクトロルミネッセント材料よりなる電子放出層
と、該電子放出層の表面に形成され、中心部に電荷発生
用の孔部を有するフィンガー電極と、該フィンガー電極
表面に、中心部に電荷を通過せしめる孔部を有する固体
絶縁体膜を介して形成された、中心部に電荷制御用の孔
部を有するスクリーン電極とからなる電荷発生制御素子
で電荷発生器を構成するものである。
【0016】このように、エレクトロルミネッセント材
料で電子放出層を形成することにより、かかるエレクト
ロルミネッセント層にライン電極とフィンガー電極を介
して電位を印加することによってエレクトロルミネッセ
ント層中においてホットエレクトロンが発生し、表面よ
り外部へ放出される。これによりコロナ放電方式に比べ
低駆動電圧で電子を放出することが可能な電荷発生器を
実現することができる。
【0017】また請求項4記載の発明は、請求項1〜3
のいずれか1項に記載の電荷発生器において、電荷発生
制御素子を駆動するための周辺回路を、該電荷発生制御
素子と同一チップ上に形成するものである。これにより
周辺回路が電荷発生制御素子と一体化された安価な電荷
発生器が得られる。
【0018】また請求項5記載の発明は、請求項1〜4
のいずれか1項に記載の電荷発生器と、該電荷発生器に
対向して配置された誘電性ドラムとで静電像形成装置を
構成するものである。これにより、低電圧で駆動可能な
静電像形成装置が得られる。
【0019】また請求項6記載の発明は、請求項1〜4
のいずれか1項に記載の電荷発生器と、該電荷発生器に
対向して配置された蛍光板とでフラットパネルディスプ
レイを構成するものである。これにより、低電圧で駆動
可能なフラットパネルディスプレイが得られる。
【0020】
【実施例】次に実施例について説明する。図1は、本発
明に係る電荷発生器の第1実施例における単一の電荷発
生制御素子の断面構造を示す図である。図1において、
1は石英(ガラス)からなる絶縁基板で、2は該基板1
上に形成された金属よりなるライン電極である。3はシ
リコン酸化膜等で構成される絶縁膜であり、4はライン
電極2の一部及び絶縁膜3の上部に形成した強誘電体薄
膜である。5は次に述べるフィンガー電極の下面を覆う
ように前記強誘電体薄膜4の表面に形成された、厚さが
数十〜数百Åのパラジウム,白金等よりなる金属薄膜で
ある。6は金属よりなるフィンガー電極で、中心部に電
荷生成部となるフィンガー孔6aを備えている。7はポ
リイミド等よりなる固体絶縁体膜で、中心部に電荷通過
用の孔部7aを備えている。8は金属よりなるスクリー
ン電極で、中心部に電荷制御用のスクリーン孔8aを備
えている。そして上記絶縁膜3は、電荷生成部となるフ
ィンガー孔6a及びその近傍以外のフィンガー電極6と
ライン電極2の間に形成されており、電気的に両電極間
の絶縁を保つ、あるいは両電極間の容量を低減するなど
の役目を果たすものである。この図示例においては、絶
縁膜3はライン電極2の直上に形成したものを示してい
るが、この絶縁膜3は勿論金属薄膜5の直下に形成して
もよい。そして、これらの部材で電荷発生制御素子10を
形成しており、この電荷発生制御素子10を複数個配列し
て電荷発生器を構成し、その電荷発生器に対向して誘電
性ドラム10Aを配設することにより、静電像形成装置を
構成するようになっている。
【0021】図2は、図1に示した構成の電荷発生制御
素子10を複数個2次元的に配置して構成した電荷発生器
の平面構成を示す図であり、各電荷発生制御素子のライ
ン電極は行(横)方向に線状に接続され、並行的に形成
されたライン電極線2i ,2i+1 を構成している。一
方、各電荷発生制御素子のフィンガー電極は列(縦)方
向に線状に接続され、前記ライン電極線2i ,2i+1
斜めに交差する形態で並行的に形成されたフィンガー電
極線6j-1 ,6j ,6j+1 を構成している。断面構造
上、一番上部に位置するスクリーン電極8は、各電荷発
生制御素子に対して共通に全面的に形成されている。そ
して、スクリーン孔8aがライン電極線2i,2i+1
フィンガー電極線6j-1 ,6j ,6j+1 の交差する箇所
に形成されており、スクリーン孔8aの下方にフィンガ
ー孔6aが形成されている。
【0022】図3は、図1及び図2に示した電荷発生器
を駆動するための各部の駆動波形を示す図である。ま
ず、静電像が形成されるドラムの電位VD に対して、ス
クリーン電極電位Vs はDC的に一定の負電位となって
いる。一方、フィンガー電極には、レベルの異なる2つ
の電位VFHとVFLがAC的に、あるいはパルス的に印加
される。ライン電極には、電荷を生成させる場合には、
で示すように、レベルの異なる2つの電位VLHとVLL
がAC的に、もしくはパルス的に印加され、電荷を生成
させない場合には、で示すように、DC的な電位が印
加されるようになっている。各電位の高低関係は、より
正電位な順で示すと、VD ,VFH,VLH,VFL,VLL
なっている。また、VFH>Vs >VFLという電位につい
ての高低関係も存在する。
【0023】次に、図2に示した電荷発生器の動作につ
いて説明する。まず、i行目の電荷発生制御素子のライ
ン電極が動作状態に入ると、図3においてで示される
AC電位がi番目のライン電極線2i に印加され、その
他のライン電極線には、図3においてで示されるVLL
の一定電位が印加されるか、あるいはフローティング状
態にされる。このような電位の印加状態にすることによ
り、ライン電極線2i上の各ライン電極2のフィンガー
孔6a中に電子が発生する。
【0024】そして、i番目のライン電極線2i 上の各
ライン電極2が動作状態中に、順次各フィンガー電極が
選択される。すなわち、i番目のライン電極線2i 上の
j番目のスクリーン孔8aより電子を抽出したい場合
は、対応するj番目のフィンガー電極線6j に、スクリ
ーン電極電位Vs よりも低い電位VFLを印加する。この
電位VFLの印加により、フィンガー孔6a内に発生した
電子は、フィンガー電極6より正電位が印加されたスク
リーン電極8の方向に移動し、スクリーン孔8aより抽
出される。逆に、電子をスクリーン孔8aより抽出した
くない場合は、対応したフィンガー電極線は、電位VFH
を印加している他のフィンガー電極線と同じ状態を保持
すればよい。
【0025】なお、電荷発生制御素子の動作は、通常は
大気中で行われるが、少なくとも素子の動作中は、雰囲
気を制御してやることにより、素子の信頼性、あるいは
耐久性の向上を図ることが可能となる。好適な雰囲気と
しては、例えば、窒素(N2)100 % ,あるいは、ア
ルゴン(90%)+二酸化炭素(100 %),等が挙げられ
る。
【0026】また、上記図示例では、フィンガー電極6
に形成されるフィンガー孔6aは図4の(A)に示すよ
うに、単一の孔としたものを示したが、フィンガー孔6
aは図4の(B),(C)に示すように、複数個の孔か
らなるマルチホール構造とすることもできる。フィンガ
ー孔を、このようにマルチホール構造とすることによ
り、発生電荷量の向上を図ることができる。
【0027】この第1実施例においては、強誘電体薄膜
4より放出される電子が、金属薄膜5をトンネル作用に
より通過し、効率よくフィンガー孔6aに放出されるた
め、コロナ放電方式の電荷発生器に比べ、数十V程度の
低い駆動電圧で電子が放出可能となるため、大幅な駆動
電圧の低減が可能になるという優れた利点を有する。
【0028】次に、上記構成の電荷発生器の製造方法を
図5の製造工程図に基づいて説明する。まず図5の
(A)に示すように、石英(ガラス)等よりなる絶縁基
板11を用意し、該基板11上にライン電極12をパターニン
グ形成する。ライン電極12の材料としては、白金の他
に、金,金ーパラジウム,銀,あるいはパラジウム系の
金属などが用いられる。また、このライン電極12は、下
層をアルミニウム等の低抵抗金属膜とし、その上部に白
金,金,金ーパラジウム,銀,あるいはパラジウム系の
金属等の金属膜を形成してなる複層金属膜構造で構成し
てもよい。ライン電極12は、例えばスパッタ法あるいは
真空蒸着法などの製造プロセスにより、厚さ1ミクロン
前後に形成される。
【0029】このようにライン電極12を成膜し、パター
ニング形成した後、シリコン酸化膜あるいはシリコンナ
イトライドよりなる絶縁膜13を、プラズマCVD(Plas
ma Chemical Vapor Deposition)などの製造工程により
形成する。この絶縁膜13の膜厚は、電気的な耐圧の観点
から、2ミクロン程度で十分である。絶縁膜13を形成し
たのち、フィンガー孔が形成される部分の絶縁膜13を除
去するために、ホトリソグラフィー法によりレジスト膜
14をパターニング形成する。
【0030】次に、レジスト膜14をマスクにして絶縁膜
13を選択的に除去し、続いてレジスト膜14を除去した
後、図5の(B)に示すように、強誘電体膜15を成膜す
る。強誘電体膜15の材料としては、PZT(チタン酸ジ
ルコン酸鉛)や、PZTにランタン(La)を添加した
PLZT,あるいはY1と呼ばれるものなどが用いられ
る。この強誘電体膜15は、有機金属CVD(MOCV
D)法などのプロセスにより成膜され、その膜厚は、電
荷発生のための駆動電圧を数十V以下に低減するため
に、1〜10ミクロン程度に薄膜形成される。次いで、該
強誘電体膜15の上に、数十〜数百Åの厚さを有する金属
薄膜16をデポジションし、パターニング形成する。この
金属薄膜16の材料としては、次に述べるフィンガー電極
の形成材料と同様な金属を用いる。
【0031】次いで、金属薄膜16上にフィンガー電極膜
17を形成する。フィンガー電極膜17の材料としては、白
金の他に、金,金ーパラジウム,銀,あるいはパラジウ
ム系の金属などが用いられる。また、このフィンガー電
極膜17は、上層をアルミニウム,モリブデンあるいはチ
タンなどの低抵抗金属膜とし、その下部に白金,金,金
ーパラジウム,銀,あるいはパラジウム系の金属等の金
属膜を形成した複層金属膜構造としてもよい。このフィ
ンガー電極膜17は、例えばスパッタ法あるいは真空蒸着
法などの製造プロセスにより形成され、その膜厚は1ミ
クロン前後である。
【0032】以上のようにしてフィンガー電極膜17を成
膜した後、フィンガー電極のパターニング形成のため
に、図5の(C)に示すように、ホトリソグラフィー法
によりレジスト膜18をパターニング形成する。そして、
レジスト膜18をマスクにして、不要な部分のフィンガー
電極膜17をドライエッチング法、あるいはウェットエッ
チング法により選択的に除去し、フィンガー電極17aを
形成する。
【0033】次に、レジスト膜18の除去後、図5の
(D)に示すように、フィンガー電極17a上に、スピン
コート法などの塗布法により固体絶縁体膜19を形成す
る。この固体絶縁体膜19の材料としては、ポリイミドあ
るいはレジストなどが好適であり、その膜厚は10〜100
ミクロンの範囲が望ましい。その後、固体絶縁体膜19上
にスパッタ法あるいは真空蒸着法などを用いて、モリブ
デン,チタン,チタンナイトライド,あるいはアルミニ
ウムなどの単層金属膜,もしくは、これらの材料よりな
る複層金属膜を成膜する。続いて、ホトリソグラフィー
法によりスクリーン電極をパターニングするためのレジ
ストパターン21を所望の領域に形成し、続いて、ドライ
エッチング法、あるいはウェットエッチング法を用い
て、スクリーン電極20aをパターニング形成する。この
スクリーン電極20aの膜厚は1ミクロン程度で十分であ
る。
【0034】次いで、図5の(E)に示すように、スク
リーン電極20aなどをマスクとして、酸素プラズマを用
いたドライエッチング法、又は薬液中のウェットエッチ
ング法により、固体絶縁体膜19のみを選択的に除去し、
スクリーン孔20bの下方に電荷通過用の空間部19aを形
成する。これにより、図1に示したものと類似構造の電
荷発生制御素子からなる電荷発生器が得られる。
【0035】この図示例においては、フィンガー電極17
aとスクリーン電極20aのいずれもマルチホール構造と
することにより、先に述べたように、発生電荷量の向上
を図ることができ、またスクリーン電極をマルチホール
構造とすることにより、シングルホール構造の孔の直径
に比べ、マルチホール構造の各孔の直径は小さくなるた
め、ドラム方向に放出される電荷量を制御する制御電圧
を低下させることが可能となる。
【0036】次に、第2実施例を図6に基づいて説明す
る。この実施例は、電荷発生器の電子放出部を半導体層
で構成するものである。図6は電荷発生器の一部の断面
構造を示しており、31は石英基板、32はライン電極、34
はフィンガー電極であり、これらのライン電極32及びフ
ィンガー電極34の厚さは1μm程度であり、アルミニウ
ムやチタン等で形成されている。33は電子放出部で、該
電子放出部33はP型半導体層33−1と、その上部に形成
されたP+ 型半導体層33−2と、更にその上部に形成さ
れたN++型半導体層33−3とで構成されている。これら
のP型半導体層33−1,P+ 型半導体層33−2,N++
半導体層33−3の材料としては、単結晶シリコン,多結
晶シリコン,あるいはアモルファスシリコン等が挙げら
れる。各半導体層の膜厚と濃度は、P型半導体層33−1
が数千Å〜数μmで1014〜1016cm-3,P+ 型半導体層33
−2が数百Åで1016〜1018cm-3,N++型半導体層33−3
が数十Å〜数百Åで1019〜1020cm-3程度に設定されてい
る。35は各電荷発生制御素子毎に形成された電気的なア
イソレーション作用を有するSiO2 等よりなる絶縁部で
ある。但し、この絶縁部35は電子放出部33を構成する各
半導体層がアモルファス材料で形成される場合は、必ず
しも必要ではない。なお、フィンガー電極34より上部の
構造は第1実施例と同様であるので、ここでは、その図
示及び説明を省略する。
【0037】次に、この実施例において、各電荷発生制
御素子に印加されるドライブ電圧波形を、図7に基づい
て説明する。図7において、はフィンガー電極34に印
加されているDC電位である。は電子放出状態におけ
るライン電極32に印加されるDC電位で、DC電位に
対して負の電位であり、このライン電極電位はDC電
位に対して数V〜数十Vの負の状態となっている。か
かるバイアス状態においては、P型半導体層33−1とN
++型半導体層33−3は逆バイアス状態となり、P+ 型半
導体層33−2の領域近傍において、高電界によりアバラ
ンシェブレイクダウンが生じる。このアバランシェブレ
イクダウンにより生じたホットエレクトロンがN++型半
導体層33−3の表面より外部に放出され、電荷(電子)
が発生する。
【0038】本実施例においては、電荷発生器の電子放
出部を半導体層で形成したため、電荷発生器の製造工程
の全てが、半導体製造工程で達成可能となる特徴を有す
る。また数十Vで駆動が可能となる低電圧駆動化も達成
され、更に第1実施例と比べ、パルス波形の駆動電圧の
印加が不要となり、駆動電圧を発生させるジェネレータ
の構成が著しく単純化されるという効果を有する。
【0039】次に、第3実施例について説明する。この
実施例は、電荷発生器の電子放出部をエレクトロルミネ
ッセント(Electro Luminescence:以下ELと略称す
る)薄膜で形成したものである。図8は第3実施例の電
荷発生器の一部の断面構造を示す図で、41は石英基板、
42はライン電極、44はフィンガー電極である。電子放出
部43は、300 〜 500nmの厚さを有するタンタルオキサイ
ド(Ta2 5 )膜43−1,その上部に形成された約 500
nmの厚さを有するZnS膜43−2,更にその上部に形成さ
れた約10nmの厚さを有する金(Au)からなる上部電極膜
43−3により構成されている。このようなEL薄膜の材
料及び電子放出動作については、応用物理第63巻第6号
第592 〜 595頁(1994年)に更に詳細な説明がなされて
いる。なお、フィンガー電極44より上部の構造は第1実
施例と同様であるので、その図示及び説明を省略する。
【0040】次に、この実施例において、各電荷発生制
御素子に印加されるドライブ電圧波形を、図9に基づい
て説明する。図9において、はフィンガー電極44,す
なわち金からなる上部電極膜43−3に印加されている電
位である。は電子放出状態におけるライン電極42に印
加される電位である。電位に対してライン電極電位
として負の電位が印加されているバイアス状態において
は、ZnS膜43−2の膜中においてホットエレクトロンが
発生し、金よりなる上部電極膜43−3をトンネリングし
て、このホットエレクトロンが外部に放出される。な
お、図9に示したライン電極42に印加される駆動電位
の波形は、図3に示したようなパルス波形でもよいこと
が、前記刊行物(応用物理)に示されている。
【0041】本実施例においては、電荷発生器の電子放
出部として、長い歴史を有するEL薄膜を用いているの
で、安定した低電圧駆動の電荷発生器の作成が可能とな
る効果を有している。
【0042】ところで、上記第1〜第3実施例で示した
電荷発生器を用いて静電像形成装置を構成することによ
り、電荷発生に必要な駆動電圧、及び電荷の制御に必要
な制御電圧を、両方とも数十V以下に低減することが可
能となるが、このことは、ガラス(石英)基板上に形成
される薄膜アモルファスシリコンあるいは多結晶シリコ
ンをベースとした Thin Film Transistor (TFT)に
より、電荷発生部をドライブするための周辺駆動回路が
構成可能であることを意味する。そこで、第4実施例と
して、多数の電荷発生制御素子からなる電荷発生部と、
周辺駆動回路を同一基板上に形成して構成した電荷発生
器を、図10を用いて説明する。
【0043】図10において、51は第1〜第3実施例で示
した電荷発生制御素子を多数個1次元状、あるいは2次
元状に配列して構成した電荷発生部である。53は行(長
辺)方向に配列された電極線を駆動するための、TFT
により構成された駆動回路であり、配線55により電荷発
生部51と結線されている。この駆動回路53は、例えばラ
イン電極線のドライバーになっている。なお、58は駆動
回路53を動作させるためのパッド部であり、配線56によ
り駆動回路53と結線されている。
【0044】一方、52は列(短辺)方向に配列された電
極線を駆動するための、TFTにより構成された駆動回
路であり、配線54により電荷発生部51と結線されてい
る。駆動回路52は、例えばフィンガー電極線のドライバ
ーになっている。また59は駆動回路52を動作させるため
のパッド部であり、配線57により駆動回路52と結線され
ている。そして、これらの全ての構成要素51〜59は同一
基板50上に形成されている。
【0045】なお、この実施例では駆動回路52,53は、
それぞれ電荷発生部51の両側に配置されるように構成し
たものを示したが、勿論それぞれの駆動回路あるいは一
方の駆動回路を、電荷発生部51の片側にのみ配置するよ
うに構成することも可能である。すなわち、例えば、行
方向の電極線の駆動回路53を電荷発生部51の両側に配置
し、一方、列方向の電極線の駆動回路52を電荷発生部51
の片側にのみ配置する構成をとることができる。
【0046】このように構成した電荷発生器の製造工程
としては、まず周知のTFT製造プロセスにより駆動回
路52,53を形成し、続いて第2実施例において説明した
ような製造プロセスにより、第1〜第3実施例で示した
ような構成の電荷発生部51を形成する製造工程が用いら
れる。
【0047】以上の構成により、従来のものと比較し
て、低電圧で駆動が可能で、高解像度を有し且つ均一性
に優れた周辺回路を備えた電荷発生器を安価に実現する
ことができる。
【0048】上記第1〜第4実施例においては、静電像
形成装置への応用を念頭において電荷発生器を説明した
が、勿論本発明に係る電荷発生器は、上記静電像形成装
置以外にも多様な応用が考えられる。その一例として
は、フラットパネルディスプレイへの応用が挙げられ
る。図1に示した第1実施例において、静電像形成装置
への応用を念頭においた場合は、10Aは誘電性ドラムと
なるが、フラットパネルディスプレイへの応用を考えた
場合には、この誘電性ドラム10Aは電子等の荷電粒子の
照射を受けて青〜赤の可視光を発光する蛍光材料薄膜が
形成された蛍光板に置き換えられる。
【0049】このように電荷発生器に対向して蛍光板を
配置した場合、蛍光板の発光は電荷発生器の配置側とは
逆方向に向かって放射されるように構成される。また蛍
光板と電荷発生器との間隔の雰囲気は、大気圧以下の気
圧を有するヘリウム,ネオン,アルゴン等の単一あるい
は混合ガス雰囲気、又は真空状態とする。このように構
成されたフラットパネルディスプレイの動作としては、
第1〜第4実施例で示された電荷発生器の各電荷発生制
御素子から時系列的に放射される荷電粒子が蛍光板に照
射され、その照射個所から電荷発生器の配置側とは反対
方向に可視光の発光が生じる。電荷発生制御素子を2次
元的に配列して電荷発生器を構成することにより、2次
元的なフラットパネルディスプレイが得られる。
【0050】以上のように、本発明に係る電荷発生器
は、静電像形成装置への応用の他にも、種々のデバイス
への応用が可能である。
【0051】
【発明の効果】以上実施例に基づいて説明したように、
請求項1〜3記載の各発明によれば、表面に金属薄膜を
有する固体強誘電体膜あるいはP−N接合を有する半導
体層あるいはエレクトロルミネッセント材料からの電子
放出の原理を利用して構成した電荷発生制御素子を用い
て電荷発生器を構成しているので、従来のコロナ放電を
利用した電荷発生制御素子を用いたものに比較して、格
段に小さな駆動電圧で電荷の発生が可能となるため、駆
動電圧の大幅な低電圧化が達成可能となる。また請求項
4記載の発明によれば、周辺回路が一体化された安価な
電荷発生器が実現できる。また請求項5,6記載の発明
によれば、低電圧駆動の可能な高性能で安価な静電像形
成装置あるいはフラットパネルディスプレイが実現可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電荷発生器の第1実施例の単一の
電荷発生制御素子の断面構造を示す図である。
【図2】図1に示した構成の電荷発生制御素子を複数個
2次元的に配置して構成した電荷発生器の平面構造を示
す図である。
【図3】図1及び図2に示した電荷発生器を駆動するた
めの各部の駆動波形を示す図である。
【図4】フィンガー電極に形成されるフィンガー孔の構
成例を示す図である。
【図5】図1の類似構成の電荷発生器の製造方法を示す
製造工程図である。
【図6】第2実施例の主要部の断面構造を示す図であ
る。
【図7】第2実施例の駆動電圧波形を示す図である。
【図8】第3実施例の主要部の断面構造を示す図であ
る。
【図9】第3実施例の駆動電圧波形を示す図である。
【図10】第4実施例を示す概略斜視図である。
【図11】従来の電荷発生器の断面構造を示す図である。
【図12】パッシェンの法則を説明するための平行平板電
極からなるキャパシタを示す図である。
【図13】コロナ放電が開始される電圧とp・L積との関
係を表すグラフ図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2 ライン電極 3 絶縁膜 4 強誘電体薄膜 5 金属薄膜 6 フィンガー電極 6a フィンガー孔 7 固体誘電体膜 8 スクリーン電極 8a スクリーン孔 10 電荷発生制御素子 10A 誘電性ドラム 31 石英基板 32 ライン電極 33 電子放出部 33−1 P型半導体層 33−2 P+ 型半導体層 33−3 N++型半導体層 34 フィンガー電極 35 絶縁部 41 石英基板 42 ライン電極 43 電子放出部 43−1 タンタルオキサイド膜 43−2 ZnS膜 43−3 上部電極膜 44 フィンガー電極 50 基板 51 電荷発生部 52,53 駆動回路 54,55,56,57 配線 58,59 パッド部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 31/12 B // B41J 2/44

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体上に形成されたライン電極と、該
    ライン電極の表面に形成された固体強誘電体膜と、該固
    体強誘電体膜の表面に形成された数十〜数百Åの厚さを
    有する金属薄膜と、該金属薄膜の表面に形成され、中心
    部に電荷発生用の孔部を有するフィンガー電極と、該フ
    ィンガー電極表面に、中心部に電荷を通過せしめる孔部
    を有する固体絶縁体膜を介して形成された、中心部に電
    荷制御用の孔部を有するスクリーン電極とからなる電荷
    発生制御素子を備えた電荷発生器。
  2. 【請求項2】 絶縁体上に形成されたライン電極と、該
    ライン電極の表面に形成されたP−N接合を有する半導
    体層と、該半導体層の表面に形成され、中心部に電荷発
    生用の孔部を有するフィンガー電極と、該フィンガー電
    極表面に、中心部に電荷を通過せしめる孔部を有する固
    体絶縁体膜を介して形成された、中心部に電荷制御用の
    孔部を有するスクリーン電極とからなる電荷発生制御素
    子を備えた電荷発生器。
  3. 【請求項3】 絶縁体上に形成されたライン電極と、該
    ライン電極の表面に形成されたエレクトロルミネッセン
    ト材料よりなる電子放出層と、該電子放出層の表面に形
    成され、中心部に電荷発生用の孔部を有するフィンガー
    電極と、該フィンガー電極表面に、中心部に電荷を通過
    せしめる孔部を有する固体絶縁体膜を介して形成され
    た、中心部に電荷制御用の孔部を有するスクリーン電極
    とからなる電荷発生制御素子を備えた電荷発生器。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の電荷発生器において、前記電荷発生制御素子を駆動す
    るための周辺回路を、該電荷発生制御素子と同一チップ
    上に形成していることを特徴とする電荷発生器。
  5. 【請求項5】 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の電荷発生器と、該電荷発生器に対向して配置された誘
    電性ドラムとで構成したことを特徴とする静電像形成装
    置。
  6. 【請求項6】 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の電荷発生器と、該電荷発生器に対向して配置された蛍
    光板とで構成したことを特徴とするフラットパネルディ
    スプレイ。
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