JPH08201523A - 静置型ラドン・トロン弁別濃度測定器 - Google Patents

静置型ラドン・トロン弁別濃度測定器

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JPH08201523A
JPH08201523A JP18151991A JP18151991A JPH08201523A JP H08201523 A JPH08201523 A JP H08201523A JP 18151991 A JP18151991 A JP 18151991A JP 18151991 A JP18151991 A JP 18151991A JP H08201523 A JPH08201523 A JP H08201523A
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radon
thoron
concentration
tron
diameter
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JP18151991A
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Inventor
Masahiro Doi
雅広 土居
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KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGA
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGAKU SOGO KENKYUSHO
Original Assignee
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGA
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGAKU SOGO KENKYUSHO
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 上下の面でα線を検出するプラスチックフィ
ルム検出器7を固定台3の貫通孔部32に支持し、上椀
部1と、これよりも直径の小さい下椀部4との2種の中
空半球を、固定台3の上下においてプラスチックフィル
ム検出器7を覆うように各々配設し、かつ、上椀部1中
空半球を外気と換気させ、上椀部1と下椀部4の中空半
球を換気孔を介して通気させてなることを特徴とする静
置型ラドン・トロン弁別濃度測定器。 【効果】 トロンの影響を排除した高精度でのラドン濃
度測定が可能となる。電気化学エッチング時間、容器形
状は測定感度向上を主眼に最適設計することにより、た
とえば6ヶ月測定でも屋外ラドン濃度(5Bqm-3程度)
の計測が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静置型ラドン・トロ
ン弁別濃度測定器に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、ラドン濃度測定におけるトロンの影響
を排除し、高精度で屋内外のラドン濃度測定を可能とす
る静置(パッシブ)型ラドン・トロン弁別濃度測定器に
関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】環境放射線の影響評価におい
て、従来より屋内外のラドン濃度測定が注目され、これ
までにも各種の方法、装置によってこの測定が試みられ
てきている。このラドン(Rn)は原子番号86の元素
であって、また、このラドンは無色・無臭の最も重い気
体(密度;9.96kg/m3 )であり、地球環境においては
存在量のきわめて少ない希ガスである。ラドンの放射性
同位元素としては、ウラン系列(親核種;238 U)から
222 Rnが生成され、トリウム系列(親核種;232
h)から220 Rnが生成される。ウラン系列から生成さ
れる222 Rnをラドンと呼び、トリウム系列から生成さ
れる220 Rnをトロンと呼んで区別している。そして、
このウランとトリウムは別々の元素であることから、屋
内外のラドン・トロン濃度を支配する土壌・水・建材等
のウランとトリウム含有量がそれぞれ異なり、ラドンと
トロンはそれぞれ弁別して独立に測定されねばならな
い。しかしながら、従来、静置(パッシブ)型測定器で
は、ラドン濃度のみが測定可能であり、トロンをラドン
と弁別して測定することは不可能であった。
【0003】このため、従来の方法、装置、すなわち前
記の静置(パッシブ)型測定器の場合には、ラドンの濃
度測定においてトロンの影響を排除することができず、
その測定精度の向上には大きな制約があった。そこで、
この発明は、以上の通りの従来技術の欠点を解消し、ラ
ドン濃度測定におけるトロンの影響(トロン・ノイズ)
の除去を可能とし、しかもより高精度なラドン濃度の測
定が可能となる新しい静置型のラドン・トロン弁別濃度
測定装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、上下の面でα線を検出するプラ
スチックフィルム検出器を固定台の貫通孔部に支持し、
上椀部と、これよりも直径の小さい下椀部との2種の中
空半球を、固定台の上下においてプラスチックフィルム
検出器を覆うように各々配設し、かつ、上椀部中空半球
を外気と換気させ、上椀部と下椀部の中空半球を換気孔
を介して通気させてなることを特徴とする静置型ラドン
・トロン弁別濃度測定器を提供する。
【0005】また、この発明は、固定台を円盤状とする
ことや、外気との換気を、固定台に設けた開口フィルタ
ー部により行うこと、さらには、検出器を2枚のポリカ
ーボネート・プラスチックフィルムによって構成するこ
とを好ましい態様としてもいる。以下、この発明の静置
型ラドン・トロン弁別濃度測定器について、その構成
と、これを用いての測定方法について実施例として説明
する。
【0006】
【実施例】1.測定器の構造 ラドン・トロン弁別測定器の構造を例示したものが図1
である。この場合、測定部容器の材質は、ステンレスと
することができる。測定器は直径120ミリの上椀部中
空半球(1)、上椀部固定台(2)、検出機固定台
(3)(下椀部固定台を兼ねる)および直径75ミリの
下椀部中空半球(4)を有している。
【0007】検出機固定台(3)(直径146ミリ、厚
さ3ミリ)の構造を例示したものが図2である。固定台
の中央には検出器固定用の円形溝(31)(直径50ミ
リ、深さ1ミリ)があり、さらにその中心に貫通穴(3
2)(直径20ミリ)がある。検出器固定溝(31)の
外周部には、前記の上椀部中空半球(1)と下椀部中空
半球(4)との間の換気孔(33)(直径1ミリ)が1
個設けられている。その外周には、外部空気を上椀部中
空半球(1)内に取り込むための円形換気孔(33)
(直径14ミリ、塵除去用フィルタ(ドイツSchleicher
and Schuell社製Glass fiber filter No.6)装着)が
8個あけられている。
【0008】また、上椀部固定台(2)(直径146ミ
リ、厚さ2ミリ)の構造を例示したものが図3である。
中央には直径120ミリの貫通穴(21)があり、円形
パンチング・メタル(5)(直径120ミリ、厚さ2ミ
リ、ステンレス製)が嵌め込み熔接されるようになって
いる。上椀部固定台(2)と検出器固定台(3)(下椀
部固定台を兼ねる)とは、図1に示したように、短形ゴ
ムリング(6)で密着固定されるようにしている。2.α線固体飛跡検出器 前記の測定器には、図1に示したように、その検出器固
定溝(31)にα線固体飛跡検出のためのプラスチック
フィルム検出器(2)が取付けられる。
【0009】このα線固体飛跡検出器の材質は、たとえ
ば、ポリ・カーボネート(三菱瓦斯化学(株)製、Iupi
lon S-2000型)とすることができる。形状は、円形(直
径50ミリ、厚さ0.3 ミリ)とする。2枚のフィルム
を、背中合わせにして検出器固定台の中央に金属粘着テ
ープで固定する。直径120ミリ上椀部中空半球(1)
側に露出しているフィルムを(71)をトロン・ラドン
感知フィルム、直径75ミリ下椀部中空半球(4)側に
露出しているフィルム(72)をラドン感知フィルムと
称する。3.ラドン・トロン濃度弁別測定 3−1換気率設計による測定容器内トロン濃度制御 ラドンの半減期は約3.82日(壊変定数λ=0.00756
-1) であり5.49MeVのα線を放出して218 Po(R
aA;固体)となる。一方、トロンの半減期は55.6秒
(壊変定数λ=44.9h-1)であり、6.29MeVのα線を
放出して216 Po(ThA;固体)となる。換気孔に装
着されたフィルタにより浮遊塵(エアロゾル)の測定容
器内への侵入が防げられる。その結果、気体状態にある
ラドン・トロンのみが測定容器内に侵入する。ラドンガ
スおよびトロンガスの測定容器内への侵入率は、1)ラ
ドンおよびトロンが気体状態を維持できる時間、すなわ
ち壊変定数λの値と、2)測定容器内への侵入に要する
時間、すなわち換気率J(単位;h-1)の値によって決
定される。測定容器内外のラドン(トロン)濃度比
(R)は、壊変定数と換気率から次式(A)によって計
算される(定常解)。
【0010】 R=J/(J+λ) (A) ラドンの場合、壊変定数λがきわめて小さい値であるた
め、Rは換気率Jを如何に設定してもほとんど変化しな
い。一方、トロンの場合には、壊変定数λがきわめて大
きい値であるため、Rは換気率Jによって大きく変化す
る。これが換気率によるラドン・トロン弁別の基本的な
原理である。
【0011】前記したこの発明の静置型ラドン・トロン
濃度測定器は、図1に示した通り、測定容器内空間を直
径120ミリの中空半球内空間(前室)(10)と直径
75ミリの中空半球内空間(後室)(40)とに分離す
る構造になっている。前室(10)は直径14ミリの換
気孔8個によって測定容器外部と接続され、ラドン・ト
ロンガスを共に取り込む構造になっている。前室(1
0)と後室(40)とは、直径1ミリの換気孔(32)
1個を通じて相互に換気を行う構造である。この構造に
おいて、測定容器外部と前室(10)との換気率J(h
-1)を、6フッ化硫黄(SF6 )ガスを試料ガスとして
用い、ガス・クロマトグラフ(キャリアガス;窒素)で
調べた結果を示したものが図4である。また、前室(1
0)と後室(40)との換気率J(h-1)を同様にして
調べた結果を示したものが図5である。図4の回帰直線
の傾きから、測定容器外部と測定容器前室(10)(直
径120ミリ中空半球)との換気率は15.89 ±0.087
(h-1)と見積られる。また、図5の回帰直線の傾きか
ら、前室(10)(直径120ミリの中空半球)と後室
(40)(直径75ミリの中空半球)との間の換気率J
は0.378 ±0.005 (h-1)と見積られる。
【0012】そして、前記の式(A)から、直径120
ミリ中空半球(前室)(10)へのラドンおよびトロン
の侵入率は、次のように計算される。 ラドン(222 Rn) 99.95 % トロン(220 Rn) 26.14 % 直径120ミリ中空半球(前室)(10)内に侵入した
ラドンおよびトロンが、さらに直径75ミリ中空半球
(後室)(40)内に侵入する率は、式(A)から次の
ように計算される。
【0013】ラドン(222 Rn) 98.04 % トロン(220 Rn) 0.835 % 2つの実験結果の積算により直径75ミリ中空半球(後
室)(40)へのラドンおよびトロンの侵入率は、それ
ぞれ次のように見積られる。 ラドン(222 Rn) 97.99 % トロン(220 Rn) 0.218 % 同一測定容器内でありながら、前室(10)(直径12
0ミリ中空半球)内トロン濃度(容器外部濃度の26.14
%)と後室(40)(直径75ミリの中空半球)内トロ
ン濃度(容器外部濃度の0.218 %)には大きな差が生
じ、この差を利用することにより、ラドン濃度とトロン
濃度を弁別測定することができる。 3−2 α線エネルギー差によるラドン・トロン濃度弁
別測定 (a)α線固体飛跡(トラック)検出 α線(ヘリウム原子核)は、物質中をほぼ直進しながら
エネルギーを物質に与えて、最後には物質中で停止す
る。放出位置から停止位置までのα線の移動距離は(平
均)飛程と呼ばれ、物質入射時のα線エネルギーの関数
として表される。検出器としてポリカーボネート(固
体)を用いる場合には、その平均飛程は、セ氏15度の
空気を基準として換算値0.86(μm/cm)を用いて推定
できる。これは、セ氏15度の空気中を1cm移動する際
にα線の失うエネルギーが、ポリカーボネート中を0.86
μm移動する際に失うエネルギーに等しいということで
ある。
【0014】また、固体物質中をα線が移動する経路を
「固体飛跡(solid nuclear track」ということができ
る。この固体飛跡(トラック)では、α線による電離・
励起作用のために分子重合(ポリマー)構造が破壊され
ている。α線のような重荷電粒子のエネルギー付与の特
徴は、停止直前(平均飛程が尽きる直前)に急減速し、
極く限られた短い範囲に大部分のエネルギーを与えるこ
とである。単位長さあたりの電離・励起量を比電離(Sp
ecific ionization )というが、比電離が急激に大きく
なる位置(Bragg peak)までの距離をここでは便宜的に
「実効平均飛程」と称することとする。
【0015】ポリカーボネートフィルムを強アルカリ溶
液(8規定水酸化カリウム溶液)とエチルアルコールの
混合液に浸すと、フィルム表面は化学作用(エッチン
グ)をうけて徐々に溶解される。α線の固体飛跡(トラ
ック)は、分子重合構造が破壊されているため溶解され
易くなっており、その結果、飛跡に沿ってすり鉢状の化
学エッチピット(直径0.1 μm以下)が形成される。
【0016】エッチングによるポリカーボネートフィル
ム表面の溶解がさらに進行し、実効平均飛程に相当する
α線固体飛跡(トラック)がエッチグされると化学エッ
チピットは急激に直径2−3μm程度まで拡大され、光
学顕微鏡下で認識できるようになる。化学エッチピット
は、エッチングの継続に伴ってさらに拡大されるが、直
径5−6μm程度まで成長すると固体飛跡(トラック)
の平均飛程が尽きてしまい、成長が停滞する。以降はエ
ッチングの進行に伴って化学エッチピットの角が取れ、
丸型エッチピット(直径5−6μm程度)となる。丸型
エッチピットは、一度形成されてしまうと、その後化学
エッチングをどれだけ施しても変化せず、そのままの形
で保存される。
【0017】一方、実効平均飛程に該当するα線固体飛
跡(トラック)が化学エッチング時に高電圧、高周波の
交流電気を印加される(電気化学エッチング)と、化学
エッチピットの急激な拡大に合せて絶縁破壊が引き起こ
され、化学エッチピットは物理・化学的に破壊・拡大さ
れる。その結果、α線固体飛跡は、肉眼で観察可能な電
気化学エッチピット(直径40−300μm程度)とな
る。
【0018】電気科学エッチングを施す前に化学エッチ
ングを実施すると、実効平均飛程の短い(入射エネルギ
ーの低い)α固体飛跡は丸型エッチピットに変化する。
丸型エッチピットではα線の電離・励起による分子構造
の破壊が溶解によって除去(clean up)されているた
め、電気化学エッチングを施しても絶縁破壊は引き起こ
されず、丸型エッチピットのまま保存される。
【0019】以上から、ポリカーボネートフィルム表面
に残されたα線固体飛跡(トラック)は、丸型エッチピ
ットまたは気化学エッチピットのいずれかの形で検出さ
れる。すなわち、 A)実効平均飛程に該当するα線飛跡が化学エッチング
される場合→丸型エッチピット(直径5−6μm程度) B)実効平均飛程に該当するα線飛跡が電気化学エッチ
ングされる場合→電気化学エッチピット(直径40−3
00μm程度) (b)放出α線エネルギーの違いによるラドン・トロン
弁別 本測定器では、α固体飛跡(トラック)は電気化学エッ
チピットとして検出・計数される。検出可能なエッチピ
ット直径は40μm以上であるため、丸型エッチピット
(直径5−6μm程度)は検出対象外である。
【0020】測定器中央に固定され、ラドン・トロンか
らのα線照射を受けたポリカーボネートフィルムは、化
学エッチングを一定時間施された後、引き続いて電気化
学エッチングを施される。化学エッチングによって、実
効平均飛程の短い(入射エネルギーの低い)α固体飛跡
(トラック)は丸型エッチピットとなり、検出対象から
外れることになる。したがって、化学エッチングの長さ
(時間)により、検出可能なα線の入射時エネルギー
(垂直入射)の検出下限値が決定される。そして、化学
エッチングに引き続いて行なわれる電気化学エッチング
の長さ(時間)により、検出可能なα線の入射時エネル
ギー範囲(detectable energy region)が決定される。
【0021】トロン・ラドン感知フィルムをエッチング
する場合には、化学エッチングを長時間行なった後に電
気化学エッチングを施すことにより、トロンおよび核種
の放出するα線(ラドンおよび娘核種の放出するα線よ
り全体的に放出時エネルギーが高い)に対する感度を高
めることができる。ラドン感知フィルムをエッチングす
る場合には、化学エッチングを短時間行なった後に電気
化学エッチングを施すことにより、ラドンおよび核種の
放出するα線(トロンおよび娘核種の放出するα線より
全体的に放出時エネルギーが低い)に対する感度を高め
ることができる。
【0022】以上がこの発明の装置におけるα固体飛跡
のフィルム入射時エネルギーによる弁別測定法の原理的
説明である。4 測定容器の形状、構造の最適設計とエッチング時間
の最適化 そこで、次に、すでに前記した通りのこの発明の装置の
構成について、またエッチング時間についてのその最適
化のための方法と、その効果について説明する。 4−1 容器形状の設計条件 検出容器内に侵入したラドンおよびトロンはα線を放出
した後、壊変して娘核種となるが、娘核種はいずれも固
体原子であるため、生成後、ただちに自己拡散によって
測定容器内面に付着する。娘核種は正電荷を帯びている
ために電場の影響を受けるが、測定容器は導電性物質
(ステンレス)製であるため容器内面に電場は生じず、
娘核種は測定容器内面に均一に付着する。測定容器は二
種類の中空半球を有する構造であるため、娘核種の沈着
位置とポリカーボネート検出器との距離は各半球容器の
半径にそれぞれ固定される。
【0023】気体であるラドンおよびトロンは容器内空
間にほぼ均一に分布しているため、ラドンガスおよびト
ロンガスからα線が放出された位置とポリカーボネート
フィルムへの入射位置との直線距離は、各々の半球容器
の半径までに制限される。 4−2 エッチング時間の設計条件 化学エッチングおよび電気化学エッチングには、次の溶
液を用いる。
【0024】A液)ポリカーボネートフィルム(露出面
側)エッチング溶液 8規定(モル濃度)のKOH(水酸化カリウム)溶液と
エタノールの混合溶液(混合比率は体積比でKOH80
%、エタノール20%) B液)ポリカーボネートフィルム(裏側)電解溶液 1規定(モル濃度)のKOH(水酸化カリウム)溶液 エッチングA液の温度とポリカーボネートの表面エッチ
ング速度(垂直方向)の関係を図6に示した。直線の傾
きから、8規定KOH混合溶液のエッチング速度(垂直
方向)は3.57( 標準偏差0.02) μm毎時(30℃)であ
る。
【0025】エッチング液に電極を挿入し、高周波(2
000Hz)・高圧(実効電圧800V)の交流(正弦
波)を印加することにより、化学エッチングから電気化
学エッチングに引き続いて移行することができる。エッ
チング溶液の化学的活性は連続して7時間は変化がない
ことが実験的に確かめられている。また、電気化学エッ
チングを厚さ0.3 ミリのポリカーボネートフィルムにつ
いて実施する場合、焼3.5 −4時間で貫通穿孔が発生
し、電気化学エッチングの継続が不可能になることが実
験的に確かめられている。 4−3 測定器性能(検出感度、弁別能力)最適設計 前記4−1および4−2で示されている条件のなかで、
A)ラドンおよびトロンに対する検出感度の向上、B)
ラドンとトロンの弁別能力の向上、の得失を考慮して各
半球容器直径とエッチング時間を最適設計した。設計の
ためにモンテカルロ計算プログラムを開発した。最適化
の結果得られた測定容器の形状は図1〜図3に示した通
りである。
【0026】トロン・ラドン感知フィルムおよびラドン
感知フィルムのエッチング条件を表1に示す。各々のエ
ッチング条件におけるトロン・ラドン感知フィルムとラ
ドン感知フィルムのラドンおよびトロンに対する検出感
度(モンテカルロ計算値)設計値を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表2および各半球容器内へのラドンおよび
トロンの侵入率から推定されるトロン・ラドン感知フィ
ルムとラドン感知フィルムの較正定数(設計値)は次の
ようになる。 トロン・ラドン感知フィルム ラドン(222 Rn) 0.0190*1 tracks cm-2/(Bqm-3 d
ay) トロン(220 Rn) 0.0132*1 tracks cm-2/(Bqm-3 d
ay) ラドン感知フィルム ラドン(222 Rn) 0.0393 tracks cm-2/(Bqm-3 d
ay) トロン(220 Rn) 0.0001 tracks cm-2/(Bqm-3 d
ay)*1 )設計に用いたモンテカルロ計算は、入射時エネルギ
ーが2.8 MeVはでのα線について電気化学エッチピッ
トの直径とエッチング時間との関係を実験的に調べた結
果に基づいて構築されている。トロン・ラドン感知フィ
ルムの場合には、入射エネルギーの大きいα線(2.8 M
eV以上)を検出対象としているため、モンテカルロ計
算は低エネルギーデータからの直線外挿によって実施さ
れている。 5 標準ラドンチャンバーによる性能試験結果 米国環境保護庁(U.S.Environmental Protection Agenc
y) の標準ラドン較正チャンバーを用いてこの発明の静
置(パッシブ)型ラドン・トロン弁別測定器のラドン較
正実験を実施した結果を図7に示した。回帰直線の傾き
から得られた較正定数は、 トラン・ラドン感知フィルム(120ミリ直径半球) ラドン(222 Rn) 0.0299±0.0017(r=0.984) tra
cks cm-2/(Bqm-3day) ラドン感知フィルム(75ミリ直径半球) ラドン(222 Rn) 0.0395±0.0053(r=0.919) tra
cks cm-2/(Bqm-3day)である。
【0030】また、早稲田大学理工学研究所のラドン・
トロン混在較正チェンバーを用いてこの発明の静置(パ
ッシブ)型ラドン・トロン弁別測定器のトロン較正実験
を実施した。照射時間(72時間)の平均ラドン濃度は
257.0 ±9.47Bq/ m3 、平均トロン濃度は523.6 ±80.3
Bq/m3 である。ラドン感知フィルム(75ミリ直径半
球)の感度は、ラドンとトロンそれぞれに対する比が約
400:1となるように設計されているため、電気化学
エッチピット計数値へのトロン寄与分は、この場合には
設計上、まったく無視できる。
【0031】ラドン感知フィルム(75ミリ直径半球)
の電気化学エッチピット全計数値をラドン濃度のみで較
正した結果を図8に示した。この図8の較正直線の傾き
から得られたラドン較正定数(0.0318±0.0021 tracks
cm-2/(Bqm-3day))は、米国環境保護庁の標準チェン
バーによる較正定数(0.0395±0.0053 tracks cm-2
(Bqm-3day))と良く一致しており、電気化学エッチピ
ット全計数値にトロン寄与分が混在していない(無視で
きる)ことが実証された。
【0032】トロン較正定数を得るためには、トロン・
ラドン感知フィルムの電気化学エッチピット全計数値か
ら、ラドン寄与分の計数値を差し引く必要がある。ラド
ン寄与分の計数値は、米国環境保護庁の標準ラドンチェ
ンバーによるラドン較正定数(0.0299±0.0017 tracks
cm-2/(Bqm-3day))と照射時間(72時間)から逆算
によって算定する。
【0033】トロン・ラドン感知フィルムの電気化学エ
ッチピット全計数からラドン寄与分を差し引いた値をト
ロン濃度のみで較正した結果を図9に示した。この図9
から得られたトロン較正定数(0.0127±0.0022 tracks
cm-2/(Bqm-3day))は、設計値(0.0132 tracks cm-2
/(Bqm-3) )とほぼ一致している。なお、早稲田大学理
工学研究所のラドン・トロン混合チェンバーでは、トロ
ン濃度測定結果(シンチセルによる測定)が、照射期間
中に大きく変動(平均値の15%程度)しており、チェ
ンバー内のトロン濃度の均一性に関する更に詳細な検討
が必要である。
【0034】以上の通りの米国環境保護庁と早稲田大学
理工学研究所で行なった標準ラドン・トロン較正実験結
果をまとめると次のようになる。トロンの較正定数に
は、設計時の性能はほぼ発揮されているものと考えられ
る。 トロン・ラドン感知フィルム ラドン(222 Rn) 0.0299±0.0017 tracks cm-2
(Bqm-3day)) トロン(220 Rn) 0.0127±0.0022 tracks cm-2
(Bqm-3day)) ラドン感知フィルム ラドン(222 Rn) 0.0395±0.0053 tracks cm-2
(Bqm-3day)) トロン(220 Rn) 0.0000±0.0000 tracks cm-2
(Bqm-3day))
【0035】
【発明の効果】以上、詳しく説明した通り、この発明の
測定装置により、トロンの影響を排除した高精度でのラ
ドン濃度測定が可能となる。電気化学エッチング時間、
容器形状は測定感度向上を主眼に最適設計することによ
り、たとえば6ヶ月測定でも屋外ラドン濃度(5Bqm-3
程度)の計測が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の装置を例示した断面図である。
【図2】この発明の装置の検出器固定台を示した平面図
および断面図である。
【図3】この発明の装置の上椀部固定台を示した平面図
および断面図である。
【図4】外部と上椀部中空半球前室との換気率を示した
SF6 の時間・容量相関図である。
【図5】前室と後室との換気率を示したSF6 の時間・
容量相関図である。
【図6】ポリカーボネート表面エッチング速度を示した
時間・残存膜厚との相関図である。
【図7】(a)(b)は、ラドン較正直線図である。
【図8】ラドン較正直線図である。
【図9】トロン較正直線図である。
【符号の説明】
1 上椀部中空半球 2 上椀部固定台 3 検出器固定台 4 下椀部中空半球 5 内形パンチング・メタル 6 矩形ゴムリング 7 プラスチックフィルム検出器 21 貫通穴 31 検出器の固定溝 32 貫通穴 33 換気孔 34 円形換気孔 71、72 フィルム 10 中空半球内前室空間 40 中空半球内後室空間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下の面でα線を検出するプラスチック
    フィルム検出器を固定台の貫通孔部に支持し、上椀部
    と、これよりも直径の小さい下椀部との2種の中空半球
    を、固定台の上下においてプラスチックフィルム検出器
    を覆うように各々配設し、かつ、上椀部中空半球を外気
    と換気させ、上椀部と下椀部の中空半球を換気孔を介し
    て通気させてなることを特徴とする静置型ラドン・トロ
    ン弁別濃度測定器。
  2. 【請求項2】 固定台を円盤状としてなる請求項1の静
    置型ラドン・トロン弁別濃度測定器。
  3. 【請求項3】 外気との換気を、固定台に設けた開口フ
    ィルター部により行う請求項1または2の静置型ラドン
    ・トロン弁別濃度測定器。
  4. 【請求項4】 検出器が2枚のポリカーボネート・プラ
    スチックフィルムからなる請求項1または3の静置型ラ
    ドン・トロン弁別濃度測定器。
JP18151991A 1991-05-16 1991-05-16 静置型ラドン・トロン弁別濃度測定器 Pending JPH08201523A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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