JPH08197136A - 真直性に優れた鋼線材コイルの捲きほぐし方法およびその装置 - Google Patents

真直性に優れた鋼線材コイルの捲きほぐし方法およびその装置

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JPH08197136A
JPH08197136A JP3184095A JP3184095A JPH08197136A JP H08197136 A JPH08197136 A JP H08197136A JP 3184095 A JP3184095 A JP 3184095A JP 3184095 A JP3184095 A JP 3184095A JP H08197136 A JPH08197136 A JP H08197136A
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coil
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wire rod
wire
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Takayuki Kanesu
貴之 金須
Wataru Nozaki
渉 野崎
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、真直性に優れた鋼線材コイルの捲
きほぐし方法およびその装置に係り、特に熱間圧延後あ
らかじめ冷間で降伏点を越える塑性歪みを受けていない
鋼線材コイルを捲きほぐしてコイルリングを単線状に引
き出す際に、降伏点で発生する折れ曲がり状の屈曲部の
程度を著しく軽減せしめる。 【構成】 鋼線材コイルを単線状に引き出す際に、その
リング曲率が増加させられてまさに降伏状態にある鋼線
材5を、真直な空間形状を有する中空のガイド1内に通
し降伏状態にある線材の変形可能量を規制することによ
り、降伏点で発生する折れ曲がり状の屈曲部の程度を著
しく軽減せしめる。 【効果】 例えば、公知の矯正設備を伴わずに圧延まま
の鋼線材の鍛造前伸線を省略して直接鍛造するといっ
た、工程省略化が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真直性に優れた鋼線材
コイルの捲きほぐし方法およびその装置に係り、特に熱
間圧延後あらかじめ冷間で降伏点を超える塑性歪みを受
けていない鋼線材コイルを捲きほぐしてコイルリングを
単線状に引き出す際に、降伏点で発生する折れ曲がり状
の屈曲部の程度を著しく軽減せしめることを可能とする
真直性に優れた鋼線材コイルの捲きほぐし方法およびそ
の装置に関する。例えば鋼線材の鍛造機や、表面きず探
傷機、矯正切断機、伸線機等の鋼線材コイルを捲きほぐ
すライン全てに適用可能である。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば冷間鍛造用の鋼線材は、伸
線加工を経て寸法を高精度に調整した後に鍛造機に供給
されている。これは、熱間圧延されたままの線材の寸法
精度が充分ではなく、鋼材径のばらつきに伴って鍛造部
品の単重が許容値を外れたり、鍛造型との間隙がばらつ
き通材性の問題があることに起因している。これに対
し、昨今のコストダウン要求の強まりに伴い、鍛造前の
伸線加工を省略化した圧延ままの線材の直接鍛造化が望
まれており、素材供給メーカーにおいては圧延ままの線
材寸法を高精度化することによりこの要求に対応してき
た。
【0003】しかしながら、実際に高精度化した線材の
鍛造前伸線省略を実施するにあたって、従来は予想し得
なかった新たな問題が顕在化してきた。これは、鍛造前
の伸線を省略することに伴って発生した新たな問題であ
り、需要家における鍛造ラインの設備構成にも左右され
ている。この新たな問題とは、熱間圧延後、熱間にてあ
る曲率に捲き取とられ積層された鋼線材コイルをサプラ
イスタンドから捲きほぐして単線状に引き出す工程にお
いて、あらかじめ冷間で伸線または捲き戻し加工等の降
伏点を超えた塑性歪みを受けていない鋼線材を鍛造ライ
ンに供給するにあたって、線材長手方向に50から20
00mm程度のピッチで無数に折れ曲がり状の屈曲部
(以下、小曲がりと称する)が発生し、この小曲がりが
線材径に対してわずかな間隙しか持たない鍛造型に詰ま
って給材不良を起こすことである。
【0004】この給材不良の問題は、コイルサプライス
タンドと鍛造設備との間に小曲がりを矯正し得る有効な
矯正機のないラインにおいて顕在化しており、この対策
として例えば「矯正加工(日本塑性加工学会編、コロナ
社)」の図1.19に示されているような公知の矯正機
を設置するのが一般的であり広く実施されている。しか
しながら設置場所の制約、例えばコイルサプライスタン
ドと鍛造機の間が短く新たに矯正機を設置するのが不可
能な場合があることや、矯正機の設備費が高価であるこ
とが問題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、熱間圧延後あらかじめ冷間で降伏点を超え
る塑性歪みを受けていない鋼線材コイルを捲きほぐして
コイルリングを単線状に引き出す際に、線材の長手方向
に50から2000mm程度のピッチで無数に発生する
折れ曲がり状の屈曲部である小曲がりを簡便かつ安価な
装置で抑制し、コイルサプライスタンドの下流側にスペ
ースの制約上公知の矯正設備の新設が不可能である場合
や、高価である公知の矯正設備の新設や設備増強を伴わ
ずに真直性に優れた鋼線材を得るためのコイルの捲きほ
ぐし方法およびその装置に関するものであり、例えば圧
延ままの鋼線材の鍛造前伸線を省略して直接鍛造を可能
とする技術を提供し、製造コストの削減を図る新技術を
提供する点である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱間圧延後あ
らかじめ冷間で降伏点を超える塑性歪みを受けていない
鋼線材コイルを捲きほぐしてコイルリングを単線状に引
き出す際に、そのリング曲率が増加させられてまさに降
伏状態にある鋼線材を、その内径が線材径プラス50m
m以内の範囲でかつその少なくとも出側の一部が長さ5
0mm以上2000mm以下の真直な空間形状を有する
中空の摺動ガイドまたはローラーガイド内に通し降伏状
態にある線材の変形可能量を規制することにより、コイ
ルを単線状に捲きほぐす時に降伏点で発生する折れ曲が
り状の屈曲部である小曲がりの程度を著しく軽減せしめ
ることを最も主要な特徴とする。
【0007】更に、熱間圧延後あらかじめ冷間で降伏点
を超える塑性歪みを受けていない鋼線材コイルを捲きほ
ぐしてコイルリングを単線状に引き出す際に、そのリン
グ曲率が増加させられてまさに降伏状態にある鋼線材
を、線材長手方向に少なくとも3対以上の千鳥に対向す
るローラーを持ちその回転平面がコイルの回転平面と平
行になるように配置したガイド内に通し、降伏点を超え
る塑性歪みを加えてリングの曲がりぐせを均一に伸ばす
ことを特徴とする。
【0008】また、熱間圧延後あらかじめ冷間で降伏点
を超える塑性歪みを受けていない鋼線材コイルを捲きほ
ぐしてコイルリングを単線状に引き出す際に、請求項1
および2に記載した摺動ガイドまたはローラーガイドが
サプライスタンドから引き出された鋼線材の放出位置の
変動に追随できうるように、上記摺動ガイドまたはロー
ラーガイドを懸架する装置がサプライスタンドの回転平
面に対して水平方向および垂直方向に自在に移動し、か
つサプライスタンドの回転軸方向に自在に首振り動作を
行うことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明による方法および装置を用いることによ
って、公知の矯正設備の新設や設備増強を伴わずに真直
性に優れた鋼線材を得ることが可能となり、例えば圧延
ままの鋼線材の鍛造前伸線を省略して直接鍛造すること
が可能となる。
【0010】本発明者らは、本課題を解決するためにま
ず小曲がりの発生状況を観察し、発生メカニズムについ
て考察を行った。供試材は、表1に示すように一般的な
低炭素冷間鍛造用炭素鋼であるSWRCH10を用い、
圧延寸法は15.0±0.1mmの公差で精密圧延を実
施した。
【0011】
【表1】
【0012】線材圧延条件は寸法以外は一般的な条件で
実施し、加熱温度は1100℃、圧延温度は950℃、
捲取温度は850℃とし、熱間でリング状に捲き取りを
実施した後、放冷しコイル状に積層した。この後、伸線
または捲き戻し加工等の降伏点を超えた塑性歪みを予め
受けていない状態と、予め伸線加工を実施した状態、お
よび予め捲き戻し加工を実施した状態の異なる水準に
て、コイルリングを捲きほぐし時の小曲がり発生状況の
観察を行った。この試験条件をまとめて表2の水準1か
ら水準3に示すと共に、小曲がり発生状況を模式的に図
5に示す。図5の9に示す屈曲部が小曲がり部分であ
る。
【0013】
【表2】
【0014】まず第1に小曲がりの発生する場所である
が、これは線材コイルリングを捲きほぐして単線状に引
き出す工程のごく初期に発生していることが確認され
た。即ち、サプライスタンドの直近で、かつ、捲きほぐ
し前のコイルリングが塑性加工を受けてそのリング曲率
を増加させ略直線状態になるように引き出される塑性変
形の最中に発生しており、その後、線材はその曲がりの
状態を保ったまま搬送されピンチロールに供給された。
【0015】第2に小曲がりの発生状況であるが、線材
の長手方向に約50から2000mm程度の間隔をもっ
てランダムに発生した。また、小曲がりの屈曲角度や曲
がり程度にも周期性は認められなかった。
【0016】第3に小曲がりの発生する方向であるが、
全方向に発生するものの、主にある平面方向即ち線材コ
イルリングが形成する平面と同一平面方向に多く発生し
ていることが確認された。これは、リングが略真直状に
引き伸ばされてそのリング直径を増加させていく際に、
部分的に初期のリング直径に近い部位が残りその間に顕
著な折れ曲がり状の屈曲部である小曲がりが発生するこ
とを表している。
【0017】第4に小曲がりの発生状況の水準間による
差異については、明らかな変化が認められた。即ち、予
め伸線または捲き戻し加工等の降伏点を超えた塑性歪み
を受けていない水準1でのみ顕著に小曲がり発生が認め
られたのに対して、予め伸線または捲き戻し加工を実施
した水準2,3ではいずれも小曲がりは認められなかっ
た。
【0018】以上の観察結果から、小曲がりの発生原因
は、線材の圧延状態に起因するもの例えば線材長手方向
の機械的性質や寸法のばらつき等ではなく、塑性変形時
の変形形態に起因するものと考え、各水準について捲き
ほぐし試験前の供試材を用いて、応力σ−歪みε曲線を
作図した。
【0019】この結果、図6に示すように水準1では明
らかな降伏点伸びが認められるのに対して、図7および
図8に示す水準2,3では、予め加えられた伸線または
捲き戻しの塑性加工に伴って降伏点伸びが消失し、なだ
らかに加工硬化する状況にあることが判明した。
【0020】以上の試験結果から、小曲がりの発生原因
は以下のように推察される。線材コイルリングが捲きほ
ぐされて略直線状態になるように塑性変形を受け、その
リング曲率が増加している最中、この線材は部分的に降
伏状態にあると考えられる。降伏点ではリューダース帯
が表れ、下降伏点の一定応力にて大きな変位が発生した
後、加工硬化が起こることが一般的に知られている。つ
まり、降伏点では小さい応力で最も変形が起こりやすい
と言える。
【0021】このため、コイルリングが塑性変形を受け
てそのリング直径を増加させていく際に、線材長手方向
のある任意の箇所が降伏点にあるとその部分に変形が集
中的に発生する。この変形の集中によって降伏点以上の
歪みが鋼材に蓄積されると、この部分が加工硬化をおこ
し変形がしずらくなる。すると、より少ない応力で変形
しやすい部分に変形帯が移動していく。これを繰り返す
ことによって、線材長手方向にある間隔をもって折れ曲
がり状の屈曲部である小曲がりが多数発生するものであ
る。
【0022】これは、予め伸線または捲き戻し加工等の
降伏点を超える塑性歪みを受けていない線材コイルを捲
きほぐして単線状に引き出す場合に小曲がりが顕著に発
生しているのに対して、予め伸線または捲き戻し加工を
受けていることで降伏点が消失した線材コイルでは小曲
がりが発生していないことにより証明される(ただし予
加工後歪み時効した鋼材は、降伏点が再度現れるため小
曲がりが発生する)。
【0023】このことから、線材コイルを捲きほぐしす
る際に発生する小曲がりを抑制するには、予め伸線また
は捲き戻し加工等の降伏点を超える塑性加工を実施して
おくのが有効であることが判明したが、これでは初期の
目的である工程省略に伴うコイトダウンの要求に答えら
れない。そこで、本発明者らは、以下に述べる方法にて
かかる課題の解決を試みた。
【0024】降伏状態にある鋼材は、その鋼材の降伏応
力よりはるかに小さな外力の作用により容易に曲がりが
生ずることは経験的に知られており、例えば鋼材の押し
出し加工の最中に、押し出された鋼材を押し出し方向と
直交方向にその鋼材の降伏応力よりはるかに小さな力で
押すだけで大きく曲がりが発生する。
【0025】そこで、本発明者らは、線材コイルリング
が捲きほぐされて略直線状態になる際に、コイルリング
が外力により塑性変形をおこしてそのリング曲率が増加
させられてまさに降伏状態にある線材を、線材径より若
干太い間隙を有しその少なくとも出側の一部が真直な形
状を有する適当な長さの空間にその単線状の線材を通過
させ、線材の軸方向に直交方向の変形可能量を規制して
鋼材を直線状態に拘束することで、小曲がりの発生程度
を著しく軽減せしめその後の矯正加工を省略せしめる方
法および小曲がり抑制装置を発明した。
【0026】また更に、矯正加工を完全に省略するため
に、線材長手方向に少なくとも3対以上の千鳥に対向し
たローラーを持ちその回転平面がコイルの回転平面と平
行になるように配置したガイド内に、まさに降伏状態に
ある単線状の線材を通過させて降伏点を超える塑性歪み
を加えてリングの曲がりぐせを均一に伸ばす方法および
小曲がり抑制装置を発明した。
【0027】これらの小曲がり抑制装置は、先に述べた
ように降伏状態にある鋼線材を取り扱うため、従来の矯
正機のように既に小曲がりが発生し加工硬化した鋼線材
を取り扱うものではないことから、高い加工荷重や大き
な動力を必要としない。よって、例えば鍛造機に設置さ
れた線材送り込みピンチローラーなどの既存設備の大幅
な改造を必要としないで設置可能であるところが特徴的
である。
【0028】次に本発明における小曲がり抑制装置の形
状の限定理由について述べる。まず線材と装置内面との
間隙であるが、これは後述する装置機長と共に必要とさ
れる線材の真直度によって設定される。即ち、線材単位
長さあたりに許容される曲がり量によって、その許容値
を満足する間隙に設定する必要がある。ここで、装置内
面の間隙をD、線材の直径をd、装置出側の真直な部分
の長さをL、線材と装置内面との間隙をHとすると、H
=D−dとなり真直度はH/Lで表される。この真直度
を満足するようにH,Lの組み合わせを選ぶ必要があ
る。
【0029】一般的に、摺動ガイド、例えばパイプを用
いる場合には、先端部の誘導性および線材とパイプ内面
との接触疵抑制の観点から、装置内面の間隙Dは線材径
dより1mm以上大きくとるべきである。ローラーガイ
ドを用いる場合には、先端部を誘導した後にそれぞれ線
材を挟んで対向した位置に配置したローラー間隙を詰め
て鋼材との間隔を0mmにするのは容易であるし接触疵
の問題も少ないので、ローラー間隔Dは線材径dと同一
でも構わない。
【0030】また、ローラーがそれぞれ線材を挟んで千
鳥に対向した位置に配置される場合には、対向したロー
ラー間隔を鋼材径以下にしてヒステリシス状の曲がりを
与えることにより、降伏点での小曲がり発生を抑制する
と同時に矯正効果をもたせることも可能である。また、
摺動ガイドおよびローラーガイドのどちらでも、線材と
ガイド内面の間隙Hが50mmを超えた場合には、小曲
がり抑制という目的を達成できなくなるのでこれを上限
とした。
【0031】次に、小曲がり抑制装置の必要機長につい
ては、小曲がりの発生間隔が50から2000mm程度
であるため、2000mm程度以下のもので必要充分で
ある。必要とされる線材の真直度によっては、線材と装
置内面間の間隙Hにもよるが機長200mm程度でも充
分であり、非常にコンパクトで設置場所の制約が極めて
少ないのが特徴的である。むやみに機長を伸ばすことは
接触疵の増加や設置場所の制約、加工負荷の増大、装置
コストの上昇を招き得策ではない。なお小曲がり抑制装
置の機長とは、装置出側の真直な形状部分の長さLを表
す。
【0032】更に小曲がり抑制装置の必要強度について
は、既に述べてきたように降伏状態にある鋼材に作用す
るため、その鋼材の引っ張り強度よりはるかに小さい降
伏応力程度の力しか受けない。よって、従来の矯正機よ
り必要な強度レベルが低く簡易的で安価な装置ですむこ
とが特徴的である。
【0033】なお既に述べてきたように、本発明装置に
はコイルリングが引き出される際にそのリング曲率が増
加させられてまさに降伏状態にある線材を供給しなけれ
ばならないが、サプライスタンドから引き出される鋼線
材の放出位置は必ずしも一定ではなく、コイルの消費に
伴うコイル高さの減少やサプライスタンドの駆動有無等
によって常に変動する。特にサプライスタンドが非駆動
の場合にはコイルリングがピンチロール等の送り込み装
置によって引き出される際に断続的に線材が引っ張られ
ることによりコイルリングの放出位置は著しく変化しう
る。
【0034】このような現象に対して、コイルリングを
すみやかに本発明による小曲がり抑制装置に供給するた
め、サプライスタンドから引き出される鋼線材の放出位
置変動に追随が可能なように、小曲がり抑制装置がサプ
ライスタンドの回転平面に対して水平方向および垂直方
向に自在に移動し、かつサプライスタンドの回転軸方向
に自在に首振り動作を行うことが必要である。
【0035】以上述べてきたように、本発明者らは、熱
間圧延後あらかじめ冷間で降伏点を超える塑性歪みを受
けていない鋼線材コイルを捲きほぐしてコイルリングを
単線状に引き出す際に、降伏点で発生する折れ曲がり状
の屈曲部である小曲がりの程度を著しく軽減せしめると
いう目的を、コイル捲きほぐし時のまさに降伏状態の最
中にある鋼線材を適度な間隙および長さの真直な空間形
状を有するガイドで拘束することで、従来の矯正機のよ
うな大型堅牢で且つ高価な装置を必要とせず、非常に簡
易的かつ安価な装置で実現することを可能とした。この
発明により、例えば公知の矯正機を持たない冷間鍛造設
備において、従来実施していた鍛造前伸線を省略し、精
密圧延線材の直接鍛造を可能とする技術が確立した。こ
の結果、工程省略に伴う大幅な製造コストの削減が新た
に可能となった。
【0036】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。図1、図2、図
3は、全て小曲がり抑制装置の実施例である。図1は、
摺動ガイド(パイプ型)、図2は対向ローラーガイド
型、図3は千鳥ローラーガイド型で矯正機能を兼備した
場合の例である。なお、本発明では主として上記のよう
な摺動ガイド型、対向ローラーガイド型、千鳥ローラー
ガイド型を対象とするが、これらはその一例に過ぎずこ
れに限定されるものではない。
【0037】図4は、小曲がり抑制装置を含んだ鍛造ラ
インの実施例である。1は小曲がり抑制装置の懸架装
置、2は鋼線材コイル、3はコイルサプライスタンド、
4は小曲がり抑制装置の懸架装置、5はリング曲率が増
加させられてまさに降伏状態にある鋼線材、6は単線状
に引き出された鋼線材、7は鋼線材送り込み用のピンチ
ローラー、8は鍛造機本体である。なお、ピンチローラ
ー装置7の前面に公知の矯正機が設置されている場合も
あるが、本発明による小曲がり抑制装置を設置すること
により矯正機の省略が可能となる。
【0038】本発明の効果を確認するために、表2に示
す水準にて供試材の小曲がり発生状況を調査した。小曲
がりの評価は、目視による曲がり状況の観察と、鍛造ラ
インでの型詰まり停止回数を1コイル当たりに換算した
ものを採用した。なお、小曲がり抑制装置は、一例とし
て図1に示す摺動ガイド型を用いた。水準1から3は比
較例であり、水準4から10が本発明実施例である。
【0039】この結果、本発明装置を使用せず且つ予め
降伏点を超える伸線または捲き戻し加工を受けていない
水準1では小曲がりが多発し、鍛造機への線材送り込み
不良トラブルが多数発生したのに対して、本発明装置を
使用した水準4,5,7,8および、予め降伏点を超え
る伸線または捲き戻し加工を受けた水準2,3では小曲
がりが使用上問題のない範囲であった。
【0040】なお、水準9,10に示すように、予め降
伏点を超える伸線または捲き戻し加工を受け本発明装置
を必要としない場合であっても、本発明装置を使用する
ことで何ら不具合は生じないことが確認された。また水
準6では、本発明装置の内径と線材との間隙Hが50m
mと大き過ぎたため、所定の効果が発揮されず小曲がり
抑制が不充分であったが、比較例1(水準1)に対して
大幅に改善されている。
【0041】
【発明の効果】以上の実施例で明らかなように、本発明
による方法および装置を使用することで、従来法に比し
矯正機の新設といった既存設備の大幅に改造なしに極め
て簡便な装置で矯正加工の省略が可能となった。これに
より、例えば予め伸線または捲き戻し加工のような費用
のかかる工程を追加することなしに圧延ままの線材を直
接鍛造可能となり、実用的効果は著大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明による摺動ガイド型の小曲がり
抑制装置の側面図を示す。(B)は本発明による摺動ガ
イド型の小曲がり抑制装置の正面図を示す。
【図2】(A)は本発明によるローラーガイド型の小曲
がり抑制装置の側面図を示す。(B)は本発明によるロ
ーラーガイド型の小曲がり抑制装置の正面図を示す。
【図3】(A)は本発明による千鳥ローラーガイド型の
小曲がり抑制装置の側面図を示す。(B)は本発明によ
る千鳥ローラーガイド型の小曲がり抑制装置の正面図を
示す。
【図4】(A)は本発明の小曲がり抑制装置を含んだ鍛
造ラインの1実施例の側面図を示す。(B)は本発明の
小曲がり抑制装置を含んだ鍛造ラインの1実施例の平面
図を示す。
【図5】本発明の小曲がり抑制装置を使用しない場合の
小曲がり発生状況を示したものである。
【図6】本発明実施例の水準1に示す供試材の応力−歪
み曲線を示す。
【図7】本発明実施例の水準2に示す供試材の応力−歪
み曲線を示す。
【図8】本発明実施例の水準3に示す供試材の応力−歪
み曲線を示す。
【図9】本試験での鍛造型詰まり回数を水準毎に示す。
【符号の説明】
1 小曲がり抑制装置 2 鋼線材コイル 3 コイルサプライスタンド 4 小曲がり抑制装置の懸架装置 5 リング曲率が増加させられてまさに降伏状態にある
鋼線材 6 単線状に引き出された鋼線材 7 鋼線材送り込み用のピンチローラー 8 鍛造機本体 9 小曲がりの発生状況模式図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延後あらかじめ冷間で降伏点を超
    える塑性歪みを受けていない鋼線材コイルを捲きほぐし
    てコイルリングを単線状に引き出す際に、そのリング曲
    率が増加させられてまさに降伏状態にある鋼線材を、そ
    の内径が線材径プラス50mm以内の範囲でかつその少
    なくとも出側の一部が長さ50mm以上2000mm以
    下の真直な空間形状を有する中空の摺動ガイドまたはロ
    ーラーガイド内に通し、降伏点で発生する折れ曲がり状
    の屈曲部の程度を著しく軽減せしめることを特徴とす
    る、真直性に優れた鋼線材コイルの捲きほぐし方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延後あらかじめ冷間で降伏点を超
    える塑性歪みを受けていない鋼線材コイルを捲きほぐし
    てコイルリングを単線状に引き出す際に、そのリング曲
    率が増加させられてまさに降伏状態にある鋼線材を、線
    材長手方向に少なくとも3対以上の千鳥に対向するロー
    ラーを持ちその回転平面がコイルの回転平面と平行にな
    るように配置したガイド内に通し、降伏点を超える塑性
    歪みを加えてリングの曲がりぐせを均一に伸ばすことを
    特徴とする、真直性に優れた鋼線材コイルの捲きほぐし
    方法。
  3. 【請求項3】 熱間圧延後あらかじめ冷間で降伏点を超
    える塑性歪みを受けていない鋼線材コイルを捲きほぐし
    てコイルリングを単線状に引き出す装置であって、摺動
    ガイドまたはローラーガイドがサプライスタンドから引
    き出された鋼線材の放出位置の変動に追随できうるよう
    に、サプライスタンドの回転平面に対して水平方向およ
    び垂直方向に自在に移動し、かつサプライスタンドの回
    転軸方向に自在に首振り動作が可能なように構成したこ
    とを特徴とする、請求項1又は2に記載した方法を実施
    するための摺動ガイドまたはローラーガイド装置。
JP3184095A 1995-01-30 1995-01-30 真直性に優れた鋼線材コイルの捲きほぐし方法およびその装置 Withdrawn JPH08197136A (ja)

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CN103433329A (zh) * 2013-08-30 2013-12-11 无锡常欣科技股份有限公司 带校直排线轮机构
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