JPH08169923A - フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂 - Google Patents

フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂

Info

Publication number
JPH08169923A
JPH08169923A JP6333752A JP33375294A JPH08169923A JP H08169923 A JPH08169923 A JP H08169923A JP 6333752 A JP6333752 A JP 6333752A JP 33375294 A JP33375294 A JP 33375294A JP H08169923 A JPH08169923 A JP H08169923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photochromic
group
weight
compound
polymerizable monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6333752A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3346930B2 (ja
Inventor
Kazumasa Itonaga
一正 糸永
Takashi Kobayakawa
隆 小早川
Shinichiro Kadowaki
慎一郎 門脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Tokuyama Corp
Hoya Lens Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Tokuyama Corp
Hoya Lens Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp, Tokuyama Corp, Hoya Lens Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP33375294A priority Critical patent/JP3346930B2/ja
Publication of JPH08169923A publication Critical patent/JPH08169923A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3346930B2 publication Critical patent/JP3346930B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 発色前の黄色度が低く、かつ発色時の波長が
長波長化し、深みのある色調を発現させることができる
フォトクロミック樹脂およびそれに用いる重合性組成物
を開発する。 【構成】 分子内に芳香族環を有するラジカル重合性単
量体を含むラジカル単量体100重量部及びフォトクロ
ミック化合物0.001〜10重量部からなり、全ラジ
カル重合性単量体100重量部中に占める総芳香族環の
含有量が5〜50重量部であることを特徴とするフォト
クロミック重合性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトクロミック作用
の発色色調に優れ且つ発色前の黄色度が低いフォトクロ
ミック樹脂、およびその原料として好適な重合性組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミズムとは、ここ数年来注目
をひいてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるい
は水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速や
かに色が変わり、光の照射を止めて暗所に置くと元の色
に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物
は、フォトクロミック化合物と呼ばれ、従来から種々の
構造の化合物が合成されてきたが、これらのフォトクロ
ミック化合物は、可逆的な耐久性に乏しいという欠点を
もっている。
【0003】新規なフォトクロミック化合物として、フ
ルギド化合物、オキサジン化合物及びクロメン化合物な
どが種々知られている(USP4,882,438、U
SP4,960,678、USP5,130,058、
USP5,106,998、特開平2−28154号、
特開平3−11074号、特開平3−133988
号)。
【0004】又、特開平5−306392号及び特開平
3124790号では、フルギド誘導体の耐久性をさら
に向上させるマトリックス成分として、エポキシ基を有
する化合物やヒンダードフェノール系の紫外線安定剤を
併用することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらのフォトクロミ
ック化合物及びそれらを含むフォトクロミック組成物
は、優れた可逆的な耐久性を示すが、これらの化合物と
芳香族環を有さないラジカル重合性単量体とを混合して
重合を行い、グレーやブラウンなどの発色色調を有する
フォトクロミック樹脂を得ようとする場合、青色に発色
するフォトクロ化合物の発色時の波長を長波長化する必
要がある。長波長化するためにはフォトクロ化合物自身
の発色した時の波長が長波長化するフォトクロ化合物を
用いれば良い。しかし、一般に発色した時の波長が長波
長化するフォトクロ化合物は発色前の状態でも可視域ま
で吸収が伸び、黄色に着色してしまう。そのため、発色
前の樹脂の黄色度が高く透過率が低くなり、このフォト
クロミック樹脂を眼鏡用として使用する場合、不都合が
生じる。フォトクロミックレンズに代表される実用的な
眼鏡用フォトクロミックレンズとして使用するために
は、発色前においても黄色度が低く、発色時にはグレー
やブラウンなどの発色色調を有するフォトクロミック樹
脂が求められる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、実用的な
フォトクロミックレンズに代表される発色前の黄色度が
低く、さらに発色時の波長が長波長化したフォトクロミ
ック樹脂を製造することについて鋭意研究を続けた。そ
の結果、ラジカル重合性単量体として、分子内に芳香族
環を有するラジカル重合性単量体を特定量用いた場合、
フォトクロミック化合物の発色前の状態では紫外域の吸
収が長波長化せず、発色時のみ長波長化することを見い
だし、実用的なフォトクロミック樹脂を完成させるに至
った。
【0007】即ち、本発明は、分子内に芳香族環を有す
るラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体1
00重量部及びフォトクロミック化合物0.001〜1
0重量部からなり、全ラジカル重合性単量体100重量
部中に占める総芳香族環の含有量が5〜50重量部であ
ることを特徴とするフォトクロミック重合性組成物であ
る。
【0008】他の発明は、上記フォトクロミック重合性
組成物の重合体よりなるフォトクロミック樹脂である。
【0009】本発明のフォトクロミック組成物におい
て、分子内に芳香族環を含むラジカル重合性単量体(以
下、芳香族重合性単量体という)としては公知のものが
何等制限なく使用することができる。特に下記一般式
(1)、(2)及び(3)で示される芳香族重合性単量
体を組合せて使用することにより、発色時の波長が長波
長化するフォトクロミック化合物を用いた場合でも、発
色前の樹脂の黄色度が低く、発色時にはグレーやブラウ
ンなどの発色色調を作ることができ、しかも濃い発色濃
度と早い退色速度を得ることができ、更に、フォトクロ
ミック作用の可逆的な耐久性を向上させることができ、
更に又、実用的な物性、例えば、良好な透明性、表面硬
度、耐熱性等を有するフォトクロミック樹脂を得ること
ができるために、本発明において好適である。
【0010】
【化2】
【0011】(但し、R1は、水素原子またはメチル基
であり、R2は水素原子またはメチル基であり、m+n
=0〜4の整数)を表す。1分子中においては、m+n
は0〜4のいずれかの整数を示すが、通常数種の分子の
混合物として得られるので便宜的にその平均値で表示さ
れる。
【0012】
【化3】
【0013】(但し、R3は、水素原子またはメチル基
であり、Xは、水素、塩素、臭素、メトキシ基、アミノ
基、ニトロ基、フェニル基またはフェノキシ基を表し、
aは1または2で、基Xの個数を表す。
【0014】
【化4】
【0015】(但し、R4は、水素原子またはメチル基
であり、Xは、水素、塩素、臭素、メトキシ基、アミノ
基、ニトロ基、フェニル基またはフェノキシ基を表し、
bは1または2で、基Xの個数を表す。
【0016】上記一般式(1)、(2)及び(3)で示
される芳香族重合性単量体を具体的に例示すれば、2,
2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニ
ル)プロパン等のビスフェノール化合物のエチレンオキ
サイド付加体のジ(メタ)アクリレート化合物、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ブロモスチレン等の芳香族ビ
ニル化合物、ベンジルメタクリレート等である。
【0017】上記芳香族重合性単量体の他にも、芳香族
重合性単量体としてα−メチルスチレンダイマー、αー
ナフチルメタクリレート、βーナフチルメタクリレート
等のナフチルメタクリレート類、フェノキシエチルアク
リレート、フェノキシエチルメタクリレート、1ービニ
ルナフタレン、2ービニルナフタレン等のビニルナフタ
レン類、4ービニルビフェニル、ジビニルベンゼン、ビ
ニルフェニルサルファイド等の芳香族重合性単量体も使
用できる。
【0018】本発明のフォトクロミック重合性組成物に
おいて、該フォトクロミック重合性組成物を重合して得
られる樹脂の発色前の透過率、発色後の色調、耐久性、
及び消色速度の速さ等の物性を勘案すれば、前記式
(1)の芳香族重合性単量体を30〜80重量%、前記
一般式(2)または(3)の芳香族重合性単量体を1〜
50重量%、並びにこれらの芳香族重合性単量体と共重
合可能な他のラジカル重合性単量体を1〜50重量%
(全配合量を100%とする)の範囲から、全ラジカル
重合性単量体100重量部中に占める総芳香族環の含有
量が5〜50重量部になるよう配合することが好適であ
る。。
【0019】芳香族重合性単量体と共重合可能な他のラ
ジカル重合性単量体を例示すれば、アクリル酸メチル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニル、メタクリ
ル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチルトリブロモフ
ェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレ
ート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエ
チレングリコールジメタクリレート、テトラエチレング
リコールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート等である。上記他のラジカル重合性単量体は
一種または二種以上を混合して使用できる。
【0020】本発明におけるフォトクロミック重合性組
成物は、ラジカル重合性単量体が芳香族重合性単量体の
みからなる時は全芳香族重合性単量体100重量部中に
占める全芳香族環の含有量が5〜50重量部となるよう
に重合性単量体を選択し、配合することが必須である。
他方、ラジカル重合性単量体が芳香族重合性単量体と他
のラジカル重合性単量体とからなる時は両重合性単量体
を合わせた全ラジカル重合性単量体100重量部に占め
る全芳香族環の含有量が同じく5〜50重量部となるよ
うにすることが必須である。
【0021】全ラジカル重合性単量体100重量部中に
占める総芳香族環の含有量が5重量部以下であると、本
発明の特徴であるフォトクロミック化合物の発色時の波
長が長波長化せず、又50重量部を越えると十分な発色
濃度が得られないなど、基本的なフォトクロミック性能
に影響を与えてしまう。尚、本発明における芳香族環と
はベンゼン環を意味し、含有量はベンゼン環1個の量を
78とし、ラジカル重合性単量体の分子量に対しての割
合を示す。例えば、ラジカル重合性単量体の分子量が7
80で、ベンゼン環を1個含む場合、芳香族環の含有量
は10重量部となる。
【0022】本発明のフォトクロミック重合性組成物の
他の成分であるフォトクロミック化合物としては、フォ
トクロミック作用を示す化合物を何ら制限なく採用する
ことができる。例えば、フルギド化合物、クロメン化合
物、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物等の
フォトクロミック化合物がよく知られており、本発明に
おいてはこれらのフォトクロミック化合物を使用するこ
とができる。特に、当該フルギド化合物及びクロメン化
合物として、USP4,882,438、USP4,9
60,678、USP5,130,058、USP5,
106,998等で公知の化合物を好適に使用できる。
【0023】本発明において、フルギド化合物からなる
フォトクロ化合物(以下フルギド系フォトクロ化合物と
いう)は、本発明によるフォトクロミック樹脂の長期室
温保存における黄変防止の向上効果が他のフォトクロミ
ック化合物に比べて特に大きいこと、又フォトクロミッ
ク性の耐久性の向上効果が大きいために好適に使用する
ことができる。
【0024】本発明において好適に使用できるフルギド
系フォトクロ化合物を一般式で示すと 次式(4)で示
すことができる。
【0025】
【化5】
【0026】〔但し、
【0027】
【化6】
【0028】はそれぞれ置換基を有していてもよい二価
の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であ
り、R5は、アルキル基、アリール基、置換基を有して
いても良いシクロプロピル基または一価の複素環基であ
り、
【0029】
【化7】
【0030】は、ノルボルニリデン基またはアダマンチ
リデン基であり、Xは、酸素原子、基>N−R6,基>
N−A1−B1−(A2)k−(B2)l−R7,基 >N−A3
4,または基>N−A3−R8である(ここで、R6は、
水素原子、アルキル基またはアリール基であり、R
7は、アルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル
基であり、R8は、ハロゲン原子、シアノ基またはニト
ロ基であり、A1,A2およびA3は、同一もしくは異な
るアルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基
またはアルキルシクロアルカン−ジイル基であり、A4
は、ナフチル基であり、B1およびB2は、同一もしくは
異なる
【0031】
【化8】
【0032】であり、kおよびlは、それぞれ独立して
0または1を示すが、kが0の時はlは0である)〕 上記一般式(4)中、
【0033】
【化9】
【0034】で示される二価の芳香族炭化水素基として
は、ベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘
導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不
飽和複素環基としては、酸素原子、窒素原子、またはイ
オウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環ま
たはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の
基を挙げることができる。
【0035】二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示す
ると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、
アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基を
あげることができ、また、二価の不飽和複素環基を具体
的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン
環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフ
ェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導
される炭素数4〜9の基を挙げることができる。該二価
の芳香族炭化水素基または不飽和複素環基は置換基を有
してもよく、これらの置換基としては、特に制限されな
いが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:
メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基:メ
トキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ
基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜
10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシアリー
ル基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数
6〜10のアリール基):アミノ基:ニトロ基:シアノ
基等を例示することができる。
【0036】上記一般式(4)中、R5で示されるアル
キル基、アリール基および複素環基は、上記置換基の場
合と同じものが例示される炭素数1〜4のアルキル基並
びに炭素数6〜10のアリール基、および酸素原子、窒
素原子、またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個
含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から
誘導される一価の基を挙げることができる。
【0037】基Xが窒素原子を含む基である場合のR6
で示されるアルキル基、アリール基は前記一般式(3)
で説明されたR4と同じものが例示できる。同じくA1
2およびA3で示されるアルキレン基は、メチレン基、
エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメ
チレン基等の炭素数1〜4の基であることが好ましく、
アルキリデン基は、エチリデン基、プロピリデン基、イ
ソプロピリデン基等の炭素数2〜4の基であることが好
ましく、また、シクロアルキレン基は、シクロヘキシレ
ン基が好ましく、さらにアルキルシクロアルカン−ジイ
ル基は、ジメチルシクロヘキサン−ジイル基が好まし
い。更にR7で示されるアルキル基は上記R5と同様であ
り、ナフチルアルキル基は、ナフチルメチル基、ナフチ
ルエチル基等の炭素数11〜14の基であることが好ま
しい。
【0038】上記一般式で示されるフルギド系フォトク
ロ化合物のなかでも、フォトクロミック作用の耐久性等
を勘案すると、R5がアルキル基及びシクロプロピル基
であり、Xが>N−Rであり〔Rは炭素数1〜4のシア
ノアルキル基、炭素数1〜4のニトロアルキル基、また
は炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基(炭
素数1〜4のアルコキシ基と炭素数1〜4のアルキレン
基を含む)〕、
【0039】
【化10】
【0040】はアダマンチリデン基であり、
【0041】
【化11】
【0042】は、炭素数6〜10のアリール基または炭
素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4の
アルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール
基)で置換されていてもよい複素環基、特にチオフェン
環から誘導される基である化合物が好ましい。
【0043】フォトクロミック化合物をメガネレンズに
使用する場合は、グレーまたはブラウン等の色調が好ま
れるが、このような色調は単一のフォトクロミック化合
物では得られないために、二種以上の異なるフォトクロ
ミック化合物を混合する方法が採用される。上述のフル
ギド系フォトクロ化合物は一般に橙〜青に発色するが、
これに黄〜橙に発色するクロメン化合物からなるフォト
クロ化合物(以下クロメン系フォトクロ化合物という)
を混合することにより、グレー、ブラウン等の中間色を
得ることができる。フルギド系フォトクロ化合物と混合
して中間色を得るために好適に使用されるクロメン系フ
ォトクロ化合物は、下記一般式(5)で示すことができ
る。
【0044】
【化12】
【0045】〔但し、R9、R10、R11およびR12は、
それぞれ同一または異なる水素原子、アルキル基、アリ
ール基、置換アミノ基または飽和複素環基であり、R11
およびR12は、一緒になって環を形成していてもよく、
【0046】
【化13】
【0047】で示される基は、それぞれ炭素数1〜20
のアルキル基、または炭素数1〜20のアルコキシ基で
置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二
価の不飽和複素環基である。〕 上記一般式(5)中、R9、R10、R11およびR12で示
されるアルキル基、アリール基は、前記一般式(4)で
説明したアルキル基およびアリール基を採用でき、置換
アミノ基は、上記したアルキル基またはアリール基で水
素原子の少なくとも1つが置換されたアミノ基を挙げる
ことができ、また、飽和複素環基は、ピロリジン環、イ
ミダゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホ
リン環等の窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を環
構成原子として1〜2個含む5〜6員環から誘導される
一価の基を挙げることができる。
【0048】一般式(5)中、R11およびR12が一緒に
なって形成する環としては、ノルボルニリデン基、ビシ
クロ[3.3.1]9−ノニリデン基、2−ビシクロ
[3.3.1]9−ノネリデン基等をあげることができ
る。
【0049】また、一般式(5)中、
【0050】
【化14】
【0051】で示される二価の芳香族炭化水素基または
二価の不飽和複素環基は、前記一般式(4)における基
と同様のものが例示され、更にこれらの基は置換基を有
してもよく、その置換基としては特に制限されないが、
例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル
基、エチル基等の炭素数1〜20のアルキル基:メトキ
シ基、エトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基:
フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10
のアリール基:アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示
することができる。
【0052】上記クロメン系フォトクロ化合物のなか
で、特にR9およびR10は共に水素原子であり、R11
よびR12は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4の
アルキル基であるか、これらが一緒になって形成された
ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基、2−ビシク
ロ[3.3.1]9−ノネリデン基またはノルボルニリ
デン基であり、
【0053】
【化15】
【0054】は、炭素数1〜20のアルキル基または炭
素数1〜20のアルコキシ基で置換されていてもよいナ
フタレン環から誘導される基である化合物が好適に使用
できる。
【0055】本発明において好適に使用できるフルギド
系フォトクロ化合物およびクロメン系フォトクロ化合物
を示すと、次のような化合物を例示することができる。
【0056】フルギド化合物: N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−
2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェン
ジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.
1.1〕デカン) N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メ
トキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ
〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシ
クロ〔3.3.1.1〕デカン) N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチルス
ピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイ
ミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン) 6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−
4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ
〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシ
クロ〔3.3.1.1〕デカン) 6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチルフ
ェニル)−N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ
〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシ
クロ〔3.3.1.1〕デカン) N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプ
ロピル−3−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオ
フェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.
3.1.1〕デカン) N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプ
ロピル−スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカ
ルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.
1〕デカン) クロメン化合物: スピロ〔ノルボルナン−2,2′−〔2H〕ベンゾ
〔h〕クロメン〕 スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2′−
〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 7′−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナ
ン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 7′−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,2′−
〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕 2,2−ジメチル−7−オクトキシ〔2H〕ベンゾ
〔h〕クロメン スピロ〔2ービシクロ(3.3.1)ノネンー9,
2′ー(2H)ベンゾ(h)クロメン〕 スピロ〔2ービシクロ(3.3.1)ノネンー9,
2′ー(2H)ベンゾ(f)クロメン〕 本発明において、分子内に芳香族環を含むラジカル重合
性単量体100重量部に対するフォトクロミック化合物
の配合量は、0.001〜1重量部、好ましくは0.0
1〜0.5重量部である。この範囲において最も、良好
なフォトクロミック性能が得られる。
【0057】本発明のフォトクロミック重合性組成物を
用いて、フォトクロミック作用の耐久性が良好でさらに
コート性や耐熱性の良好なメガネレンズ等を製造する場
合、分子中に少なくとも1個のラジカル重合性基と少な
くとも1個のエポキシ基とを有するラジカル重合性単量
体(以下エポキシ重合性単量体という)を併用すること
が好ましい。好適に使用できるエポキシ重合性単量体と
しては、下記一般式で示すことができる。
【0058】
【化16】
【0059】(ただし、R13およびR16は、それぞれ水
素原子またはメチル基であり、R14およびR15は、それ
ぞれ同種または異種のヒドロキシル基で置換されていて
もよい炭素数1〜4のアルキレン基、または
【0060】
【化17】
【0061】であり、pおよびqは、それぞれ0または
1である。) 上記一般式中のR14およびR15で示されるアルキレン基
は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、トリメチレン基、テトラメチレン基等を例示するこ
とができる。
【0062】該エポキシ重合性単量体を具体的に例示す
れば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレ
ート、β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチル
グリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグ
リシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオ
キシブチルメタクリレート、3−(グリシジル−2−オ
キシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキ
シ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、または、
3−(グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキ
シ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のメタク
リレート化合物またはアクリレート化合物をあげること
ができる。これらの中でも、フォトクロミク作用の耐久
性をより向上させるためには、グリシジルメタクリレー
ト及びグリシジルアクリレートが好ましい。
【0063】エポキシ重合性単量体の使用量は、重合し
て得られる樹脂の物性にもよるが、芳香族重合性単量体
100重量部に対して、エポキシ重合性単量体を0.0
1〜100重量部、好ましくは0.1〜10重量部配合
することが好ましい。
【0064】本発明のフォトクロミック重合性組成物に
は、更に離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線
安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染
料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤を必要に
応じて混合して使用することができる。
【0065】上記した紫外線安定剤を混合して使用する
とフォトクロミック化合物の耐久性をさらに向上させる
ことができるために好適である。特に、フルギド系フォ
トクロ化合物は、紫外線安定剤による耐久性向上の効果
が大きいために、前記したようなフルギド系フォトクロ
化合物とクロメン系フォトクロ化合物とを混合して使用
する場合にこれらの化合物の中間色の経時的な変化を良
好に防止することができる。
【0066】紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン
光安定剤、イオウ系酸化防止剤を好適に使用することが
できるが、特に、分子中にヒンダードアミン構造を有す
るヒンダードアミン光安定剤が好適である。
【0067】紫外線安定剤の使用量は特に制限されるも
のではないが、通常は、全性単量体100重量部に対し
て0.001〜10重量部、さらに0.01〜1重量部
の範囲であることが好適である。
【0068】更に、フルギド系フォトクロ化合物とクロ
メン系フォトクロ化合物とを併用する場合には、亜リン
酸エステル化合物を加えることにより、これらのフォト
クロ化合物の混合色の経時的な変化を抑えることができ
る。したがって、フルギド系フォトクロ化合物とクロメ
ン系フォトクロ化合物とを併用する系に上記した紫外線
安定剤と亜リン酸エステル化合物の両者を使用すること
は、本発明において最も好ましい態様である。
【0069】亜リン酸エステル化合物の配合量は、全ラ
ジカル重合性単量体100重量部に対して、0.001
〜10重量部、さらに0.01〜1重量部であることが
好ましい。
【0070】更に又、赤外線吸収剤を混合して使用する
と、フォトクロミック作用の他にも赤外線吸収能も有す
るフォトクロミック樹脂を得ることができる。赤外線吸
収剤としてはポリメチン系化合物、ジイモニウム系化合
物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、アル
ミニウム系化合物が使用できるが、分子吸光係数が大き
く、小量の添加で効果を発揮するジイモニウム系化合物
が好適である。
【0071】赤外線吸収剤の配合量は、全ラジカル重合
性単量体100重量部に対して、0.0001〜1重量
部、さらに0.001〜0.01重量部であることが好
ましい。
【0072】本発明のフォトクロミック組成物からフォ
トクロミック樹脂を得る重合方法は特に限定的でなく、
公知のラジカル重合方法を採用できる。重合開始手段
は、種々の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開
始剤の使用によって行うことができる。
【0073】代表的な重合方法を例示すると、エラスト
マーガスケット又はスペーサーで保持されているモール
ド間に、ラジカル重合開始剤並びに前記任意成分を含む
本発明のフォトクロミック組成物を注入し、加熱炉中で
重合させた後、取り外す注型重合を採用することができ
る。又、偏光特性も有するフォトクロミック樹脂を得る
場合には、エラストマーガスケット又はスペーサーで偏
光膜が保持されているモールド間に、ラジカル重合開始
剤並びに前記任意成分を含む本発明のフォトクロミック
組成物を注入し、加熱炉中で重合させた後、取り外す注
型重合を採用することができる。
【0074】ラジカル重合開始剤としては特に限定され
ず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示す
ると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジア
シルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネー
ト、t−ブチルパーオキシイソブチレートクミル、パー
オキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカ
ーボネート等のパーカーボネート;アゾビスイソブチロ
ニトリル等のアゾ化合物等をあげることができる。これ
らのラジカル重合開始剤は一種または二種以上を混合し
て使用できる。
【0075】ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条件
や開始剤の種類、前記の単量体の組成によって異なり、
一概に限定できないが、一般的には、フォトクロミック
組成物中の全ラジカル重合性単量体100重量部に対し
て0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重
量部の範囲が好適である。
【0076】重合条件のうち、特に温度は得られるフォ
トクロミック樹脂の性状に影響を与える。この温度条件
は、開始剤の種類と量や単量体の種類によって影響を受
けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温
で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終
了時に高温下に硬化させる所謂テーパ型の2段重合を行
うのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要因
によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の
時間を決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間
で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
【0077】上記の方法で得られるフォトクロミック樹
脂は、その用途に応じて以下のような処理を施すことも
できる。即ち、分散染料などの染料を用いる染色、シラ
ンカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモ
ン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成
分とするハードコート剤や、SiO 、TiO、ZrO
等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布
による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次
処理を施すことも可能である。
【0078】
【発明の効果】本発明のフォトクロミック重合性組成物
を重合することによって、黄色度が低いフォトクロミッ
ク化合物を用いて、発色前の黄色度は低くて高い透過率
を有し、且つ発色した時の波長は長波長化してグレーや
ブラウンなどの発色色調を有するフォトクロミック樹脂
を得ることができる。しかも、濃い発色濃度、早い退色
速度、優れたフォトクロミック作用の耐久性、さらに高
屈折率を有し、表面硬度、耐溶剤性、耐熱性、耐衝撃
性、コート性、染色性に優れたフォトクロミック樹脂を
得ることができる。
【0079】したがって、本発明のフォトクロミック組
成物から得られる樹脂は、フォトクロミック性を有する
有機ガラスとして有用であり、例えば、フォトクロミッ
クレンズ等の用途に好適に使用することができる。
【0080】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために、実
施例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0081】以下の実施例および比較例で使用した化合
物は下記のものである。
【0082】[芳香族重合性単量体] BPE:ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付
加体のジ(メタ)アクリレート化合物でエチレンオキサ
イド付加体の平均モル数が2.6である混合物 a−MS:α−メチルスチレン BzMA:ベンジルメタクリレート a−MSD:α−メチルスチレンダイマー [エポキシ重合性単量体] GMA:グリシジルメタクリレート [他のラジカル重合性単量体] 3G:トリエチレングリコールジメタクリレート 4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート [フルギド系フォトクロ化合物] A:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル
−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェ
ンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.
1.1〕デカン) B:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−
メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベン
ゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリ
シクロ〔3.3.1.1〕デカン) C:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル
スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシ
イミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカ
ン) [クロメン系フォトクロ化合物] D:スピロ〔ノルボルナン−2,2′−〔2H〕ベンゾ
〔h〕クロメン〕 E:スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2′
−〔2H〕ベンゾ〔h〕 クロメン〕 F:7′−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノ
ナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕 [ヒンダードアミン光安定剤] LAー63A(商品名:旭電化社製); 1,2,3,4-ブタ
ンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6,-ペンタメチル-4-ピペ
リジノールとβ、β、β′、β′-テトラメチル-3,9-
(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジ
エタノールとの縮合物 [亜リン酸エステル化合物] HBP〔商品名:城北化学工業(株)社製〕;水添ビス
フェノールA・ホスファイトポリマー 実施例1 芳香族重合性単量体、エポキシ重合性単量体及び他のラ
ジカル重合性単量体を各々表1に示した配合で用い、更
にフルギド化合物として、N−シアノメチル−6,7−
ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−
ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−
トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)を0.12重量
部、クロメン化合物としスピロ〔ビシクロ〔3.3.
1〕ノナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメ
ン〕を0.07重量部、7′−メトキシスピロ〔ビシク
ロ〔3.3.1〕ノナン−9,2′−〔2 H〕ベン
ゾ〔h〕クロメン〕を0.02重量部、ヒンダードアミ
ン光安定剤としてLAー63を0.1重量部、亜リン酸
エステル化合物としてHBPを0.5部、ラジカル重合
開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカネイトを
0.5重量部及びt−ブチルパーオキシイソブチレート
を0.3部を添加してよく混合した。この混合液をガラ
ス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケッ
トで構成された鋳型の中へ注入し、注型重合を行った。
重合は空気炉を用い、30℃から110℃で18時間か
け、徐々に温度を上げていき、110℃に2時間保持し
た。重合終了後、鋳型を空気炉から取り外し、放冷後、
重量体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0083】得られたフォトクロミック樹脂(厚み2m
m)のフォトクロミック特性を次の方法で測定し、その
結果を表1に示した。
【0084】(1)発色前の樹脂の黄色度 フォトクロミック樹脂の発色前の黄色度を、日本電子工
業(株)製の色差計を用い、透過法で、YIを測定し
た。
【0085】(2)発色色調及び発色濃度 フォトクロミック樹脂に浜松ホトニクス製のキセノンラ
ンプL−2480(300W)SHL−100をエアロ
マスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1
℃、フォトクロミック樹脂表面でのビーム強度365n
m=2.4mW/cm2,245nm=24μW/cm2
で120秒間照射して発色させ、目視で発色色調を判断
した。また、ε(120秒)−ε(0秒)の値を求め、
発色濃度とした。但し、ε(120秒)は、最大吸収波
長におけるフォトクロミック樹脂の上記条件下での光照
射120秒間の後の吸光度であり、ε(0秒)は、光照
射時の最大吸収波長における未照射樹脂の吸光度であ
る。
【0086】(3)耐久性 スガ試験機(株)製キセノンフェードメーターFAC−
25AX−HCにより疲労寿命を測定した。疲労寿命
(T1/2)は、フォトクロミック化合物に基づく最大吸
収波長における吸光度が初期(T0)の吸光度の1/2
に低下するのに要する時間で表した。但し、T0及びT
1/2の吸光度は、いずれも最大吸収波長における未照射
樹脂の吸光度を引いた値である。
【0087】(4)透過率スペクトル No.1のフォトクロミック樹脂に浜松ホトニクス製の
キセノンランプL−2480(300W)SHL−10
0をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して
20℃±1℃、フォトクロミック樹脂表面でのビーム強
度365nm=2.4mW/cm2,245nm=24μ
W/cm2で120秒間照射して発色させた時の透過率
スペクトルと発色前の透過率スペクトルを図1に示す
(空気リファレンスでのスペクトル)。発色前は透過率
が高く、発色後は可視域全般にわたり充分な発色濃度が
得られており、ブラウンの色調を示している。
【0088】
【表1】
【0089】実施例2 実施例1において、芳香族重合性単量体として、ビスフ
ェノール化合物のエチレンオキサイド付加体のジ(メ
タ)アクリレート化合物でエチレンオキサイド付加体の
平均モル数が2.6である混合物:50重量部、αーメ
チルスチレン:10重量部、αーメチルスチレンダイマ
ー:1重量部、エポキシ重合性単量体として、グリシジ
ルメタクリレート:1重量部、他のラジカル重合性単量
体として、トリエチレングリコールジメタクリレート:
29重量部、フォトクロミック化合物として表2に示す
化合物を用いた以外は実施例1とまったく同様に実施し
た。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】比較例1 実施例1において、フォトクロ化合物、芳香族重合性単
量体、エポキシ重合性単量体及び他のラジカル重合性単
量体を表3に示すものを使用した以外は実施例1と全く
同様に実施した。結果を表3に示した。
【0092】
【表3】
【0093】実施例2と比較例1の比較において、例え
ば実施例2No.6のように総芳香族環の含有量が5〜
50重量部の範囲にあるラジカル重合性単量体を用いた
場合は発色前の黄色度も低く、発色時の色調もフ゛ラウンを
示す。しかし、総芳香族環の含有量が5重量部未満の場
合には発色時の色調はフ゛ラウンを示すものの、発色前の樹
脂の黄色度は高い。又、50重量部を越えると、発色前
の樹脂の黄色度は低いものの、十分な発色濃度が得られ
ていない。
【図面の簡単な説明】
【図1】、本図はNo.1のフォトクロミック樹脂のX
eランプ照射前、及び照射後の透過率スペクトルであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小早川 隆 茨城県つくば市梅園2−11−3 (72)発明者 門脇 慎一郎 東京都八王子市下恩方町577番地の42

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に芳香族環を有するラジカル重合
    性単量体を含むラジカル重合性単量体100重量部及び
    フォトクロミック化合物0.001〜10重量部からな
    り、全ラジカル重合性単量体100重量部中に占める総
    芳香族環の含有量が5〜50重量部であることを特徴と
    するフォトクロミック重合性組成物。
  2. 【請求項2】 分子内に芳香族環を有するラジカル重合
    性単量体が下記一般式(1) 【化1】 (但し、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水
    素原子またはメチル基であり、m+n=0〜4の整数で
    ある)で表されるラジカル重合性単量体であり、フォト
    クロミック化合物がフルギド誘導体及び/またはクロメ
    ン誘導体からなるフォトクロミック化合物であることを
    特徴とする請求項1記載のフォトクロミック重合性組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフォトクロミック重合性
    組成物の重合体よりなるフォトクロミック樹脂。
JP33375294A 1994-12-19 1994-12-19 フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂 Expired - Lifetime JP3346930B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33375294A JP3346930B2 (ja) 1994-12-19 1994-12-19 フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33375294A JP3346930B2 (ja) 1994-12-19 1994-12-19 フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08169923A true JPH08169923A (ja) 1996-07-02
JP3346930B2 JP3346930B2 (ja) 2002-11-18

Family

ID=18269566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33375294A Expired - Lifetime JP3346930B2 (ja) 1994-12-19 1994-12-19 フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3346930B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10101752A (ja) * 1996-10-02 1998-04-21 Tokuyama Corp フォトクロミック重合性組成物
WO2012141306A1 (ja) 2011-04-13 2012-10-18 Hoya株式会社 眼鏡用フォトクロミックレンズ

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6435403A (en) * 1987-07-31 1989-02-06 Kureha Chemical Ind Co Ltd Production of resin optical member having polarizability and light control effect
JPH01163287A (ja) * 1987-09-30 1989-06-27 Kureha Chem Ind Co Ltd 調光作用を有する光学材料
JPH0439382A (ja) * 1990-06-05 1992-02-10 Tokuyama Soda Co Ltd フォトクロミック組成物
JPH07292011A (ja) * 1994-04-27 1995-11-07 Tokuyama Corp フォトクロミック組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6435403A (en) * 1987-07-31 1989-02-06 Kureha Chemical Ind Co Ltd Production of resin optical member having polarizability and light control effect
JPH01163287A (ja) * 1987-09-30 1989-06-27 Kureha Chem Ind Co Ltd 調光作用を有する光学材料
JPH0439382A (ja) * 1990-06-05 1992-02-10 Tokuyama Soda Co Ltd フォトクロミック組成物
JPH07292011A (ja) * 1994-04-27 1995-11-07 Tokuyama Corp フォトクロミック組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10101752A (ja) * 1996-10-02 1998-04-21 Tokuyama Corp フォトクロミック重合性組成物
WO2012141306A1 (ja) 2011-04-13 2012-10-18 Hoya株式会社 眼鏡用フォトクロミックレンズ
US9335566B2 (en) 2011-04-13 2016-05-10 Hoya Corporation Photochromic lens for eye glasses

Also Published As

Publication number Publication date
JP3346930B2 (ja) 2002-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5776376A (en) Photochromic curable composition
JP3016533B2 (ja) フォトクロミック組成物
US5621017A (en) Photochromic composition and method producing photochromic cured product
US5879591A (en) Process for production of photochromic cured product
JPH09218301A (ja) クロメン化合物
AU742614B2 (en) Photochromic composition
EP0778276B1 (en) Photochromic chromene derivatives
US5462698A (en) Photochromic composition
JPH11209750A (ja) フォトクロミック硬化性組成物
JP3949225B2 (ja) フォトクロミック硬化性組成物
AU735154B2 (en) Photochromic curable composition
JP3346930B2 (ja) フォトクロミック重合性組成物およびフォトクロミック樹脂
DE60021345T2 (de) Chromenverbindungen
JPH09302011A (ja) フォトクロミック硬化性組成物
JP3560461B2 (ja) フォトクロミック硬化性組成物
JP3681481B2 (ja) フォトクロミック重合性組成物
JP3124182B2 (ja) フォトクロミック組成物
JP2723436B2 (ja) フォトクロミック組成物
JPH11269233A (ja) 硬化性組成物
JP2755537B2 (ja) 重合性組成物
JP3801315B2 (ja) フォトクロミック硬化性組成物
JPH09302336A (ja) フォトクロミック硬化性組成物
JPH07278535A (ja) フォトクロミック組成物
JPS6162506A (ja) 共重合体の製造方法
JPH11209749A (ja) フォトクロミック硬化性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080906

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080906

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080906

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080906

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110906

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110906

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130906

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term