JPH0815186A - 加工された結晶質材料の局所内部歪の定量方法 - Google Patents

加工された結晶質材料の局所内部歪の定量方法

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JPH0815186A
JPH0815186A JP6147268A JP14726894A JPH0815186A JP H0815186 A JPH0815186 A JP H0815186A JP 6147268 A JP6147268 A JP 6147268A JP 14726894 A JP14726894 A JP 14726894A JP H0815186 A JPH0815186 A JP H0815186A
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JP6147268A
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Genichi Shigesato
元一 重里
Riyuuji Uemori
龍治 植森
Hirobumi Morikawa
博文 森川
Takeshi Hamada
健 濱田
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 結晶質材料に関し、透過型電子顕微鏡を用い
て微小領域からの電子回折像を得、回折スポットの積分
幅を解析する事により、大きな内部歪を有する材料の微
小領域における局所内部歪量を測定する事を可能とす
る。 【構成】 透過型電子顕微鏡を用いて微小領域からの電
子回折像を得、面指数が(h k l)の結晶面による
1次から3次以上までの各i次の回折スポットにつき、
ラジアル方向の積分幅B0i(i=1,2,3,・・・)
を測定する。次に各々のB0iに対し、装置由来のスポッ
トの広がりを除去し、測定している材料由来の真の積分
幅Bi を求める。各i次の回折スポットの回折角度をθ
i 、入射電子線の波長をλとし、Bi ・cos θi /λを
縦軸に、sin θi /λを横軸にプロットする。プロット
した点を直線で結び、その直線の傾きでもって上記微小
領域の内部歪量とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工された結晶質材料内
部の微小領域における内部歪量の測定方法に関するもの
であり、測定手段として電子回折像を用いるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】結晶質材料の内部歪を定量化する事は、
材料を評価、管理する上で重要である。特に、加工によ
る歪の場所的不均一性、特に個々の結晶粒内での不均一
性(例えば粒界近傍、析出物周辺、変形帯等では他の部
分よりも歪量が大きいと考えられている)を定量的に評
価することは、加工材の再結晶挙動を解明する上で不可
欠であり、再結晶集合組織の制御技術を開発する上で極
めて重要である。この様なニーズに対応して、従来、鉄
鋼等の結晶質材料の内部歪量の測定方法としては、硬度
測定法、X線回折法等が一般に用いられている。
【0003】まず硬度測定法は、例えば、R.E.Glenn,H.
H.Smith,D.J.Michel,Metallography,Vol.15,p.409-422
(1982) において述べられている様に、測定試料の硬度
が、試料の転位密度(歪量)に応じて変化することを利
用する測定方法であり、ある程度(例えば数μm以上の
分解能)の局所内部歪が評価できる。しかし、結晶中の
固溶元素や析出物も試料の硬度に影響を与え、硬度と転
位密度の相関が定かでないため、この方法で評価した局
所内部歪量は測定精度が低いという問題がある。また、
原理的にサブミクロン以下の領域について局所内部歪を
定量化する事は困難である。
【0004】X線回折法は、例えばW.H.Hall,Proc.Phy
s.Soc.London,vol.62A,p.741-743(1949) において述べ
られている様に、歪によって回折線の幅が広がることを
利用した測定方法であるが、X線の照射領域を数10μ
m以下に絞ることが難しく、ミクロンオーダー以下の微
小領域の歪測定に応用することは実質的に不可能であ
る。そのため、多数の結晶粒の平均の内部歪量を精度良
く測定することはできるが、個々の結晶粒内での歪の不
均一性を評価することは困難である。
【0005】また近年、Y.Yoshitomi,K.Ohta,Y.Suga,T.
Nakayama,N.Takahashi,J.Japan Inst.Metals,vol.55,p.
22-28(1991) において述べられている様に、ECP(El
ectron Channeling Pattern )が内部歪の存在によって
不鮮明になることを利用した微小領域の内部歪評価方法
が考案されているが、歪量の小さい範囲(鉄鋼材料の場
合で圧延率15%程度以下)でしか測定できず、実用材
(例えば鉄鋼材料の冷延時には通常70%以上の圧延
率)の局所内部歪を評価する事は困難である。
【0006】この様に、従来の測定方法では、内部歪量
の大小にかかわらず、ミクロンオーダー以下の微小領域
における局所的な内部歪量を精度良く測定することが実
質上不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、大きな内部
歪を有する材料の微小領域における局所的な内部歪量を
精度良く測定することが困難であるという問題点を解決
することができる定量方法を提供する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶質材料の
局所内部歪を測定する方法において、まず透過型電子顕
微鏡を用いて1μm〜10μmφの微小領域からの電子
回折像を得、面指数が(h k l)の結晶面による最
低次の回折スポットを選択し、更にこのスポットの少な
くとも3次以上までの高次の各回折スポットにつき、ラ
ジアル方向における積分幅B0i(i=1,2,3,4,
5・・・)を各々測定し、次いで、各々のB0iに対し、
参照試料についての前記同様の積分幅Bref,i を測定
し、装置由来のスポットの広がりを除去して、材料の内
部歪に由来する真の積分幅Bi を算出し、更に、各i次
の回折スポットの回折角度をθi 、入射電子線のドブロ
イ波長をλとし、Bi ・cos θi /λを縦軸に、sin θ
i /λを横軸にプロットし、プロットした点を直線で結
び、その傾きを求める事を特徴とする加工された結晶質
材料の局所内部歪の定量方法を要旨とする。
【0009】
【作用】本発明者は、結晶質材料に関し、透過型電子顕
微鏡を用いて微小領域からの電子回折像を得、得られた
回折スポットの積分幅を回析する事によって、その局所
領域における内部歪量を定量化する事が可能となる事を
見いだし本発明を完成した。
【0010】本発明が内部歪測定の対象としているもの
は鉄鋼などの結晶質材料である。ここで結晶質材料と
は、X線または電子線回折法等によって、少なくとも一
つの面指数系列(h k l)、(2h 2k 2
l)、・・・に対応する回折スポットが、各々他の面指
数に対応する回折スポットから明確に分離して測定でき
るものを指す。
【0011】測定すべき試料が均一でなく多相からなっ
ており、その中に結晶質でない部分または相があったと
しても、少なくとも一つの結晶質の相または一部分に結
晶質の部分が存在するならば、その領域に関して本発明
の定量方法を適用する事が可能である。
【0012】測定すべき結晶質材料は、まず通常の方
法、例えば電解研磨法、イオンミリング法、ミクロトー
ム法等によって透過型電子顕微鏡観察用の薄膜試料とす
る。薄膜試料の厚さは、加速電圧が400kVのTEM
を用いた場合、0.1μm〜0.7μmの範囲である事
が必要である。ここで0.1μmという下限値は試料中
の転位が試料表面に抜ける事を防ぐために必要であり、
0.7μmという上限値は電子線が試料を透過するため
に必要な条件である。
【0013】次いで、上記薄膜試料を透過型電子顕微鏡
にセットして、明視野像を観察し、局所内部歪の測定を
おこなう領域を決定する。続いて、上記領域からの制限
視野電子回折像、またはマイクロディフラクション像を
観察し、局所歪測定に用いる一つの面指数系列(ih
ik il)(i=1,2,3,・・・)に対応する回
折スポットがあらわれている事を確認する。次いで、面
指数(h k l)に対するブラッグ条件が成立する様
に入射電子線に対する試料の角度を設定し、面指数(h
k l)に対応する回折スポットを記録媒体に記録す
る。このとき、内部歪を有する材料の電子回折法では、
菊地パターンが不鮮明、あるいは観察されないため正確
な電子線入射方位の判定が難しく、面指数(h k
l)に対するブラッグ条件を厳密に成立させる事は困難
である。
【0014】そのため、まず、面指数(h k l)に
対するブラッグ条件がほぼ成立する様に入射電子線に対
する試料の角度を設定し、この状態で面指数(h k
l)に対応する回折スポットを記録媒体に記録し、次い
で、入射電子線に対する試料の角度をこの状態の近傍で
少しずつ変化させ、各々の状態において面指数(hk
l)に対応する回折スポットを記録する。後述する様
に、回折スポットを記録した後、その積分幅を測定する
が、その際、最も積分幅の値が小さいものを、面指数
(h k l)に対するブラッグ条件が成立した状態と
みなした。記録媒体は、例えばイメージングプレート
等、回折された電子線の実際の強度に対する記録した強
度の線形性が高く、ダイナミックレンジの広いものであ
れば良い。図1は、Ti添加極低炭素鋼の試料を観察し
た際に、面指数(1 1 0)および(1 0 1)に
対するブラッグ条件を成立させた場合に得られた電子回
折像を模式的に示したものである。
【0015】次いで、面指数(2h 2k 2l)に対
してブラッグ条件が成立する様に入射電子線に対する試
料の角度を設定し、面指数(2h 2k 2l)に対応
する回折スポットを記録媒体に記録する。以下、面指数
(2h 2k 2l)、(3h 3k 3l)・・・に
対応する一連の回折スポットに対して同様の手続きを行
って、各々の回折スポットを記録する。
【0016】この様に回折スポットの記録が終了後、面
指数(h k l)に対するブラッグ条件を成立させて
記録した電子回折像において、面指数(h k l)に
対応する回折スポットと原点(ダイレクトビーム位置)
を結ぶ直線方向(ラジアル方向)に沿って、その回折ス
ポットの強度分布を測定し、その積分幅を求め、これを
0iとする。図2は図1において面指数(1 1 0)
に対応する回折スポットについて測定した強度分布を模
式的に示したものである。
【0017】同様にして、面指数(2h 2k 2
l)、(3h 3k 3l)・・・に対応する一連の回
折スポットについて各々積分幅を測定し、これを各々B
02、B03、・・・とする。
【0018】次いで、上で測定したB0i(i=1,2,
3,・・・)から、装置由来による回折強度分布の広が
りの効果を取り除くために次の測定をおこなう。まず、
上で歪測定をした材料から内部歪を取り除く。これは通
常の焼鈍処理、例えば鉄鋼材料であれば真空下800℃
で10分間保持する事で達成できる。
【0019】この様にしてB0iを測定した結晶質材料か
ら得られた実質上内部歪を有しない結晶質材料(以下こ
れを参照試料と呼ぶ)から、先に述べた方法と同様の方
法で薄膜試料を作製し、B0iを測定した時と同様の条件
で、この参照材料からの薄膜試料の各面指数(h k
l)、(2h 2k 2l)、・・・に対応する回折ス
ポットの積分幅を測定する。この場合、歪を含んだ試料
の測定の場合と違って、菊地図形が観察されるために、
電子線入射方位が正確に測定でき、測定したい反射に対
するブラッグ条件をかなり厳密に成立させる事ができ
る。しかし、測定したい反射に対するブラッグ条件を成
立させると、対応する回折スポットに菊地線が重なるた
め、回折スポットの積分幅が測定できない。このため、
入射電子線に対する試料の角度を、測定したい反射に対
するブラッグ条件を成立させた状態から僅かに変化さ
せ、この状態で回折スポットの積分幅を測定し、これを
ref, i (i=1,2,3,・・・)とする。
【0020】B0iから装置由来の回折強度分布の広がり
の効果を除いた真の広がりBi はX線回折法で通常用い
られる方法、例えばWarren法(B.E.Warren,J.App
l.Phys.,12,375(1941))、Jones法(F.W.Jones,Pr
oc.Roy.Soc.,A166,376(1938))などによって求める事が
できる。
【0021】この様にして求めた結晶質材料の局所内部
歪の情報を有する各面指数(ihik il)(i=
1,2,3・・・)に対応する回折スポットの真の積分
幅Bi に対して、面指数(ih ik il)に対応す
る電子線の回折角度をθi 、電子線のドブロイ波長をλ
とする。図3に模式的に示した様に、sin θi /λを横
軸に、Bi ・cos θi /λの値を縦軸にプロットし、直
線で結ぶ。Bi の値をラジアン単位で表した時のこの直
線の傾きが局所測定領域における内部歪量を与える。従
って、この傾きの値を100倍すれば%表示の内部歪量
が得られる。以下に本発明の内容を具体的に説明するた
めの実施例を示す。
【0022】
【実施例】
(実施例1)4mm厚のTi添加極低炭素鋼(Mn:0.
09%,Al:0.05%,Ti:0.01%,C:
0.003%含有)熱延板を80%冷間圧延した材料
(以下これを冷延材と呼ぶ)と、これを真空下800℃
で10分間焼鈍した材料(以下これを焼鈍材と呼ぶ)
を、化学研磨と電解研磨で薄膜化した試料を作製した。
【0023】まず歪量の測定をおこなうために、冷延材
の試料を透過型電子顕微鏡にセットした。電子顕微鏡
は、加速電圧が400kV、フィラメント電流が約2μA
で、記録媒体としてイメージングプレートを装着したも
のを用いた。
【0024】明視野像を観察し、試料全体に転位が多数
存在する事を確認した後、制限視野電子回折像を得た。
電子回折像を得た領域は大きさ約20μmの結晶粒のほ
ぼ中央付近の領域で、制限視野絞りの大きさは直径0.
2μmと結晶粒の大きさに比べて十分小さく、電子線入
射方位はほぼ<1 1 1>方向であった。比較的試料
厚さの厚い領域(厚さ0.5μm程度)から電子回折像
を得たが、転位密度が高いため菊地線は観察されなかっ
た。
【0025】回折強度分布の広がりを測定するに、ま
ず、試料を傾斜させ面指数(1 10)に対するブラッ
グ条件をほぼ成立させ、この状態で面指数(1 1
0)に対応する回折スポットをイメージングプレートに
記録し、次いで、試料傾斜角度をこの近傍で少しずつ変
化させ、面指数(1 1 0)に対応する回折スポット
をイメージングプレートに記録した。次に、この様にし
て記録した、各々の状態での面指数(1 1 0)に対
応する回折スポットから、その回折強度分布を各々測定
し、バックグラウンドの強度を差し引き、積分幅を求め
た。その結果、面指数(1 1 0)に対するブラッグ
条件をほぼ成立させた状態では、その積分幅は5.3×
10-4radianであり、この試料傾斜状態の近傍(<約5
×10-3radian)では、積分幅の値はほぼ一定であっ
た。面指数(1 1 0)に対するブラッグ条件を成立
させた状態から試料を大きく(約5×10-3radian以
上)傾斜させると、積分幅の値は大きくなっていった。
【0026】以上のことから、面指数(1 1 0)に
対応する回折スポットの広がり(積分幅)を3.6×1
-4radianと評価した。同様の手法で面指数(2 2
0)、(3 3 0)、(4 4 0)、(5 5
0)に対応する回折スポットについて、各々の積分幅を
測定し、それぞれ3.8×10-4radian、4.2×10
-4radian、4.6×10-4radian、4.8×10-4radi
anと評価した。
【0027】次に、装置由来による回折強度分布の広が
りを測定するため、焼鈍材の試料を透過型電子顕微鏡に
セットした。明視野像で転位が観察されないことを確認
した後、制限視野電子回折像を観察した。電子回折像を
得た領域は大きさ約30μmの結晶粒のほぼ中央付近
で、制限視野絞りは、冷延材の測定の時と同じく、直径
0.2μmのものを用いた。電子線入射方位はほぼ<1
1 1>方向であった。転位がほとんど含まれず、比
較的試料厚さの厚い領域(厚さ0.5μm程度)から電
子回折像を得たため、電子回折像には菊地図形が鮮明に
観察された。
【0028】菊地線を観察することによって、面指数
(1 1 0)に対するブラッグ条件が成立する様に入
射電子線に対する試料の角度を設定し、この状態の近傍
で、入射電子線に対する試料の角度を少しずつ変化させ
て、冷延材の測定の場合と同様の手法で回折スポットの
積分幅を測定した。この時、ブラッグ条件を成立させた
状態の近傍では菊地線が回折スポットに重なるため積分
幅の測定が不可能であり、この状態から入射電子線に対
する試料の角度を4×10-3radian以上変化させて積分
幅を測定した。その結果、ブラッグ条件が成立した状態
からの、入射電子線に対する試料の角度の変化が4×1
-3〜6×10-3radianの範囲内では積分幅は2.4×
10-4radianで一定であった。この事から面指数(1
1 0)に対応する回折スポットの、装置由来による回
折強度分布の広がり(積分幅)を2.4×10-4radian
と評価した。同様にして、面指数(2 2 0)、(3
30)、(4 4 0)、(5 5 0)に対応する
回折スポットの積分幅を測定すると、すべて2.4×1
-4radianであった。
【0029】冷延材を用いて測定した各々の積分幅から
の装置由来の回折強度分布の広がりの効果を取り除くた
めの補正方法はWarren法を用いた。ただし、冷延
材、焼鈍材を用いた測定で得られた回折強度分布がいず
れもコーシー分布であると仮定した。この様にして求め
た真の回折強度分布の広がりBi をもとに作成したグラ
フを図4に示した。この直線の傾きから内部歪量を求め
ると7.57×10-3であった。
【0030】上記の内部歪測定を同一試料の同一領域に
おいて5回繰り返しておこない、内部歪測定の定量性に
関する再現性の試験をおこなった。その結果、測定値の
ばらつき(標準偏差σ)は0.09×10-3であった。
一方、上記の測定をおこなった材料と同じ材料を用い
て、X線回折法(W.H.Hall,Proc.Phys.Soc.London,vol.
62A,p.741-743(1949) )によってバルクの内部歪量を測
定した結果、内部歪量は8.36×10-3で、測定値の
ばらつきはσ=0.14×10-3であった。ただし測定
は5回おこなった。
【0031】(実施例2)実施例1で内部歪測定をおこ
なった冷延材の試料を用いて、冷延材の結晶粒界近傍で
の内部歪量を測定した。実施例1の場合と同様に、冷延
材の試料を透過型電子顕微鏡にセットし、明視野像を観
察し、試料全体に転位が多数観察される事を確認した
後、直径約30μmの結晶粒の結晶粒界近傍から電子回
折像を得た。実施例1の場合と同じく、制限視野絞りの
大きさは直径0.2μmで、電子回折像を得た領域の試
料厚さは0.5μm程度、電子線入射方位はほぼ<1
1 1>方位であった。
【0032】次いで、実施例1と同じ手法を用いて、面
指数(1 1 0)、(2 2 0)、(3 3
0)、(4 4 0)、(5 5 0)に対応する回折
スポットの積分幅を測定した。その結果、積分幅はそれ
ぞれ3.8×10-4radian、4.1、4.6×10-4ra
dian、5.0×10-4radian、5.4×10-4radianで
あった。
【0033】次いで、上で測定した各々の積分幅から装
置由来の回折強度分布の広がりの効果を取り除き真の積
分幅を各々求めた。装置由来の回折強度分布の広がり
(積分幅)は実施例1で求めた値を用いた。真の回折強
度分布の広がりを求めるための補正方法は、実施例1と
同じく、Warren法を用いた。この場合も測定した
回折強度分布はすべてコーシー分布であると仮定した。
【0034】この様にして求めた真の回折強度分布の広
がりを用いて、横軸にsin θi /λを、縦軸にBi ・co
s θi /λを取り、測定点を直線で結び(図5)、その
直線の傾きから、測定領域における内部歪量を求めた。
測定は5回おこない、その結果、上記領域における内部
歪量は10.2×10-3で、測定値のばらつきはσ=
0.10×10-3であった。
【0035】(比較例)実施例1および2で局所内部測
定をおこなった材料と同じ材料を用いて、X線回折法
(W.H.Hall,Proc.Phys.Soc.London,vol.62A,p.741-743
(1949) )によってバルクの内部歪量を測定した。
【0036】測定に用いたX線は、Niフィルターを通
したCuKα線を、直径10μmのコリメーターで細束
化したものを用い、検出器には位置検出型比例計数管を
用いた。X線を細束化した事によるX線強度の減少を補
うため、X線出力は60kV、50mAと高出力にした。測
定試料は0.8mm厚の冷延材を10mm×10mmに切り出
し、試料面を入射X線に垂直にして試料台に取り付け
た。試料台はX線入射軸(水平軸)およびX線入射軸と
検出器を含む平面に垂直な軸(鉛直軸)の周りに回転可
能なものを用いた。測定装置の模式図を図6に示す。
【0037】X線照射領域が結晶粒の大きさよりも小さ
いため、測定は1個の結晶粒についておこなっており、
ブラッグ条件を成立させるために、試料を水平軸の周り
に360°、鉛直軸の周りに±50°(試料面が入射X
線に対して垂直な状態を0°とする)回転させて測定し
た。その結果、8時間X線照射をおこなったが、回折X
線強度が弱く、回折強度分布は測定できなかった。また
X線照射をおこなっている結晶粒を特定することはでき
ず、まして結晶粒内のどの部分に照射されているかを判
別することは実質上不可能であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の結晶質材料の局所内部歪の定量
方法は、大きな内部歪を有する材料の微小領域における
局所的な内部歪量を精度良く測定でき、かつその測定の
再現性に優れている。そのために、加工による材料内部
の歪の場所的不均一性を定量的に評価することが可能で
あり、加工材の再結晶挙動の解明に大きく寄与するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti添加極低炭素鋼の面指数(1 1 1)お
よび(1 0 1)に対するブラッグ条件を成立させて
得られた電子回折像の模式図である。
【図2】図1において面指数(1 1 0)に対応する
回折スポットについて測定した強度分布の模式図であ
る。ただしIは回折電子線強度、θは電子線回折角度で
ある。
【図3】面指数(ih ik il)(i=1,2,
3,・・・・)に対する回折スポットの材料由来の真の
積分幅をBi 、面指数(ih ik il)に対応する
電子線回折角度をθi 、電子線のドブロイ波長をλと
し、Bi ・cos θi /λを横軸に、sin θi /λを縦軸
にプロットし、直線で結んだものを模式的に示したもの
である。
【図4】Ti添加極低炭素鋼の80%冷延材について、
面指数(i i 0)(i=1,2,3・・・)に対応
する回折スポットの材料由来の真の積分幅Bi を、各々
結晶粒内、結晶粒界近傍で測定し、Bi ・cos θi /λ
を横軸に、sin θi /λを縦軸にプロットし、直線で結
んだものである。ただしθi は面指数(i i0)(i
=1,2,3・・・)に対応する電子線回折角度、λは
電子線のドブロイ波長である。
【図5】図4における材料を用いて実施例2に基づいて
得た真の回折強度分布の広がりをもとに作成したグラ
フ。
【図6】X線回折法に用いたX線回折強度分布測定器の
模式図である。
【符号の説明】
1 ダイレクトビーム 2 面指数(1 1 0)に対応する回折スポッ
ト 3 面指数(1 0 1)に対応する回折スポッ
ト 4 面指数(0 1 1)に対応する回折スポッ
ト 5 面指数(1 1 0)に対応する回折スポッ
ト 6 面指数(1 0 1)に対応する回折スポッ
ト 7 面指数(0 1 1)に対応する回折スポッ
ト 8 X線発生装置 9 コリメーター 10 2軸回転試料台 11 試料 12 位置検出型比例計数間 13 入射X線 14 回折X線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 健 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工された結晶質材料の局所内部歪を測
    定する方法において、透過型電子顕微鏡を用いて0.
    1μm〜10μmφの微小領域からの電子回折像を得、
    面指数が(h k l)の結晶面による最低次の回折
    スポットを選択し、更にこのスポットの少なくとも3次
    以上までの高次の各回折スポットにつき、ラジアル方向
    における積分幅B0i(i=1,2,3,・・・)を各々
    測定し、次いで各々のB0iに対し、参照試料について
    の前記同様の積分幅Bref,i を測定し、装置由来のスポ
    ットの広がりを除去して、材料の内部歪に由来する真の
    積分幅Bi を算出し、更に各i次の回折スポットの回
    折角度をθi 、入射電子線のドブロイ波長をλとし、B
    i ・cos θi /λを縦軸に、sin θi /λを横軸にプロ
    ットし、前記のプロットした点を直線で結び、その傾
    きを求める事を特徴とする加工された結晶質材料の局所
    内部歪の定量方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007263739A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Nippon Steel Corp 成形されたフェライト鋼板の局所域における歪み量の評価方法
JP2010014548A (ja) * 2008-07-03 2010-01-21 Hitachi High-Technologies Corp 電子線回折像の解析方法及び透過型電子顕微鏡
JP2017090083A (ja) * 2015-11-04 2017-05-25 新日鐵住金株式会社 放射線厚み測定装置及びその校正方法

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