JPH08145488A - 等温圧縮/膨張機熱機械 - Google Patents

等温圧縮/膨張機熱機械

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JPH08145488A
JPH08145488A JP28965194A JP28965194A JPH08145488A JP H08145488 A JPH08145488 A JP H08145488A JP 28965194 A JP28965194 A JP 28965194A JP 28965194 A JP28965194 A JP 28965194A JP H08145488 A JPH08145488 A JP H08145488A
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wall
gas
compression
heat
working gas
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JP28965194A
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Hidekazu Goto
英一 後藤
Matsukenna An
アン・マッケンナ
Susumu Kase
晋 加瀬
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Fujitsu Ltd
Hitachi Ltd
NEC Corp
IBM Japan Ltd
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Hitachi Ltd
NEC Corp
IBM Japan Ltd
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無(公害)省(エネルギー)低(価格)長
(寿命)の熱機械を提供することを目的とする。 【構成】 圧縮/膨張機は、熱拡散距離D=(atW
1/2 [m](但し、aは熱拡散率、tW は各ガス分子が
ポンプ壁の近くに滞在する時間)として、各ガス分子を
中心として直径Dの球を考え、その球内に圧縮/膨張機
の固体壁(固定壁1と駆動壁2)がある構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、等温ガス圧縮/膨張機
熱機械に係り、特に無公害、高効率による省エネルギー
を達成する安価でかつ長寿命の等温ガス圧縮/膨張機熱
機械に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の圧縮/膨張機方式熱機械では、ピ
ストン・シリンダー機構、ベローズ・ダイヤフラム機
構、ロータリー圧縮機構、タービン機構等を用い、外部
との熱交換を殆ど行うことなしに断熱的に作業ガスの圧
縮/膨張を行っている。
【0003】また熱ポンプ用の作業ガスにはフレオンを
用いることが圧倒的大多数である。ここで、熱機械とは
熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する熱機関
(「岩波理化学辞典」第4版第7刷950頁、以下「理
化学辞典」と言う。)と機械的エネルギーを使って熱を
移送する熱ポンプの総称である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の断熱圧縮/膨張
方式熱機械では、無公害で、しかも高熱効率による省エ
ネルギーを達成し、且つ安価で長寿命であると言う目標
は達成されておらず、またかかる熱機械に広く使われて
きた作業ガスであるフレオンガスはオゾン層の破壊と言
う重大な公害があることが分かり、近年世界的大問題と
なっている。
【0005】また、エネルギーの過剰消費を有力な原因
とする地球の温暖化による公害もある。このような熱機
械に用いる作業物質として、西暦2000年迄にフレオ
ン(炭化フッ素冷媒)を徐々に廃止するという規制の実
施が決まって以来、環境面で安全且つ効率の高い熱ポン
プの開発に関心が集まるようになった。
【0006】また、現在の冷却機を小改造して現在の液
相気相の二相サイクルをそのまま用い、冷媒のみフレオ
ンから水塩素化フッ化炭素類(HCFC)の新規冷媒に
変える研究も重点的に行われてきた。
【0007】しかし、このHCFCはオゾン層の破壊能
力としてはフレオンの1/20であるとは言え依然とし
てオゾン層を破壊することに変りはない。
【0008】このように、現存する熱機械は、公害源と
なるばかりでなく、高熱効率によって省エネルギーを達
成する目的に最もかなう理想可逆熱力学サイクルの実現
にも程遠く、またこれらの問題を低価格で且つ長寿命と
言う条件を守りながら解決する目処も立っていない。
【0009】本発明は、従来の技術が持つこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする所
は、無毒性で無公害物質であるヘリウム、窒素、空気、
等を作業ガスに使用し、かつ高熱効率を実現して省エネ
ルギー化を図り上記の公害問題を解決あるいは軽減する
ことである。また、広く普及して多数使用される熱機械
は安価で長寿命であることが要求されるので、本発明は
これを達成する無(公害)省(エネルギー)低(価格)
長(寿命)の熱機械を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
作業ガスを機械的に圧縮または膨張させる圧縮/膨張機
を用いる熱機械において、前記圧縮/膨張機は、固体部
品として、機械的往復運動をする駆動壁と、固定壁と、
当該駆動壁と固定壁との間に設けられたピストン・シリ
ンダー機構またはベローズ・ダイヤフラム機構を用いる
ガス封入手段と、を具備し、且つ、前記作業ガスの各分
子を中心として直径が熱拡散距離D(D=(atW
1/2 ,aは熱拡散率[m2 -1],a=κ/cp ´,κ
は熱伝導率[J/(msK)],cp ´は単位体積当た
りの等圧比熱[J/(m3 K)],tW は各作業ガス分
子の圧縮/膨張機内壁近傍の滞在時間[s])程度の球
内に、前記圧縮/膨張機の前記固体部品が位置する構造
とすることにより、前記固体部品の温度(TW )に前記
作業ガスの温度を近づけて作業ガスの等温化を達成せし
めることを特徴とする等温圧縮/膨張機熱機械。
【0011】請求項2記載の発明は、前記圧縮/膨張機
が、機械的往復運動をする前記駆動壁と前記固定壁と前
記ガス封入手段とから形成されるガス室内に、固体部品
として弾性的に略等間隔に支持され且つ通気孔を持つこ
とにより両面の圧力差による応力の発生を防止した複数
の良熱伝導性の蓄熱薄膜移動壁を具備し、前記ガス室の
容積が最大の場合に当該蓄熱薄膜移動壁の最大間隔(Z
M )を前記作業ガスの熱拡散距離(D)程度以下とし、
前記ガス室の内容積最小の場合に前記蓄熱薄膜移動壁、
移動壁、及び固定壁が互いに略接触して急速に熱交換を
行うことにより、前記等温化を達成せしめることを特徴
とする請求項1に記載の等温圧縮/膨張機熱機械。
【0012】請求項3記載の発明は、前記ガス封入手段
が、高抗張力であるが、極めて曲げ易く摩擦損の少ない
材質(例えば革、ポリエステル、ケブラー、ガラス等の
繊維を紡織した紡織布)のダイヤフラムで形成される柔
軟壁機構であり、該柔軟壁機構は固定壁表面に凹凸をつ
けることにより該圧縮/膨張機の運転中に該柔軟壁の厚
みの2〜30倍程度の範囲内、好ましくは5〜20倍の
曲率半径を維持することによって作業ガスの圧力を支え
ることを特徴とする請求項1又は2記載の等温圧縮/膨
張機熱機械。
【0013】請求項4記載の発明は、前記作業ガスが前
記圧縮/膨張機の固体部品と熱接触して作業ガスを等温
に保温する保温手段を有し、当該保温手段が保温用ガス
流と当該保温流体を流すポンプとから構成され、当該保
温ガス流のポンプの固体部品が作業ガス流の圧縮/膨張
機の固体部品の一部を共用することを特徴とする請求項
1乃至3のいずれかに記載の等温圧縮/膨張機熱機械。
【0014】請求項5記載の発明は、前記変形壁から外
部に作業ガスが流出しない密閉容器を付帯することを特
徴とする請求項2乃至4記載の等温圧縮/膨張機熱機
械。
【0015】請求項6記載の発明は、前記作業ガスはヘ
リウム、窒素、空気等の無公害物質であることを特徴と
する請求項目1乃至5のいずれかに記載の等温圧縮/膨
張機熱機械。
【0016】
【作用】高熱効率の実現手段は、作業ガスの動作サイク
ルを理想可逆熱力学サイクルに近づけると共に機械的摩
擦損失を減少させることである。
【0017】先ず理想可逆熱力学サイクルとしてはカル
ノー、スターリング、エリクソンの各サイクル及び後記
の三角サイクルがあるが、これらは何れも等温圧縮/膨
張の行程を必要としているので、この等温圧縮/膨張行
程を安価で長寿命な圧縮/膨張機で実現することが高熱
効率の実現手段となる。
【0018】圧縮/膨張機にピストン・シリンダー機
構、ベローズ・ダイヤフラム機構の何れを用いる場合に
ついても、圧縮/膨張機内の作業ガス各分子を中心とし
て直径が熱拡散距離D(D=(atW 1/2 ,aは熱拡
散率[m2 -1],a=κ/cp ´,κは熱伝導率[J
/(msK)],cp ´は単位体積当たりの等圧比熱
[J/(m3 K)],tW は各作業ガス分子の圧縮/膨
張機内壁近傍の滞在時間[s])程度の球内に前記圧縮
/膨張機の固体部品が常時存在する構造とすることによ
り、作業ガスの温度を常にこれら固体部品の温度に近い
値に保ち、作業ガス圧縮中の等温化を実現する。尚、上
記D等の数学記号については表1を参照されたい。
【0019】
【表1】 作業ガス分子を中心とする直径Dの球内に常に圧縮/膨
張機の固体部品を存在させる第一の手段は、この圧縮/
膨張機の固体部品を機械的往復運動をする駆動壁と、固
定壁と、当該駆動壁と固定壁との間に設けられたピスト
ン・シリンダー機構またはダイヤフラム・ベロウズ機構
を用いるガス封入手段とから成るものとし、これら固体
部品によって圧縮/膨張機内にガス室を構成し、圧縮/
膨張機の作動中にこのガス室の容積が最大となる場合に
おいても、隣接する前記固体部品の最大間隔(ZM )が
前記D程度以下となるように構成することである。
【0020】作業ガス分子を中心とする直径Dの球内に
常に圧縮/膨張機の固体部品を存在させる第二の手段
は、前記固体部品で構成したガス室内に固体部品として
弾性的に略等間隔に支持され、且つ通気孔を持つことに
より両面の圧力差による応力の発生を防止した複数の良
熱伝導性の蓄熱薄膜移動壁を設置し、前記ガス室の容積
が最大の場合に当該蓄熱薄膜移動壁の最大間隔(ZM
を前記作業ガスの熱拡散距離(D)程度以下とすること
である。この第二の手段を取る場合は、前記ガス室の内
容積最小の場合に前記蓄熱薄膜移動壁、移動壁、及び固
定壁が互いに略接触して急速に熱交換を行うことによ
り、圧縮/膨張中の作業ガスの等温化が達成される。ピ
ストン・シリンダー機構は摩擦損失が大きいが、ベロー
ズ・ダイヤフラム機構は摩擦損失が少なく、この点は後
者が優れている。
【0021】そこで、本機では圧縮/膨張機にダイヤフ
ラム機構を用いる場合、ダイヤフラム各層の接合部分に
柔らかい紡織布を用いて曲げに対する抵抗を殆どゼロと
し摩擦損失を極小とした。しかしベローズの従来知られ
た弱点は耐疲労性であり、事実これまでにヘリウム液化
機でベローズ・ダイヤフラム型のヘリウム膨張機を用い
た報告があり、これによって通常のピストン・シリンダ
ー機構に見られる摩擦損を殆ど無くすることが可能であ
ることを示し得たが、この試作膨張機は63.2時間後
に1.9×106 サイクルでベローズが疲労破壊してし
まった。
【0022】この疲労破壊の原因は金属ベローズの変形
とベローズ各層の蝋着け部分の応力破壊によるものであ
った。
【0023】しかし、ダイヤフラム各層の接合部分に柔
らかい紡織布を用いて曲げ応力を略ゼロとし、また圧縮
行程の終点ではダイヤフラム各層が密着するように設計
して金属ダイヤフラムの変形を防止することによって、
圧縮/膨張機は略半永久的な寿命を期待できる。
【0024】また、前記理想可逆熱力学サイクルの内、
カルノー・サイクルとスターリング・サイクルの実現に
はそれぞれ4個の圧縮/膨張機を必要とするのに対し
て、後述のようにエリクソン・サイクルと三角サイクル
は2個のみで済む有利性があるので、本発明ではエリク
ソン・サイクルと三角サイクルを近似的に実現させるこ
ととする。さらに、本発明において、ダイヤフラム型圧
縮/膨張機を多段構造にすることによって、必要に応じ
て段数を増やすだけで能力を増加させることができる。
また、本発明において、圧縮/膨張機は、目的に応じて
寸法の変更が容易なので家庭用冷蔵庫や冷暖房機から超
低温の液体ヘリウム温度の冷凍機に至る広範囲の用途に
対応が可能である。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例の詳細を図面を参照し
て説明する。
【0026】[熱力学的設計]最も高い熱効率を持つ理
想可逆熱力学サイクルの例としては、図1(a)、
(b),(c)にそれぞれ示すカルノー・サイクル、ス
ターリング・サイクル、エリクソン・サイクルが良く知
られているが、これらは何れも4行程から成り、その4
行程の中の2行程は可逆の等温圧縮(乃至膨張)行程で
あり、残る2行程は、カルノー・サイクルでは等エント
ロピー(断熱)行程、スターリング・サイクルでは熱再
生を伴う等容積行程、エリクソン・サイクルでは熱交換
を伴う等圧行程である。カルノー・サイクルとスターリ
ング・サイクルを構成する4行程のいずれにも機械的圧
縮/膨張機が必要である。
【0027】これに対して、エリクソン・サイクルで
は、機械的圧縮/膨張行程は2行程で済み、等圧の2行
程は機械的可動部分のない熱交換器で済むのでエリクソ
ン・サイクルの方がカルノー・サイクルとスターリング
・サイクルよりも実用上は優れている。この理由から以
後の実施例ではカルノー・サイクルとスターリング・サ
イクルは示さない。
【0028】カルノー・サイクル、スターリング・サイ
クル及びエリクソン・サイクルは作業ガスへの熱入出力
(可逆サイクルでは作業ガスの流れ方向を逆にすること
により熱の出入りの正負号が逆転するので電気電子工学
で用いる入出力と言う用語をここでは熱にも用いること
とする)は定温で行われる。具体的には、低温側温度T
1 と高温側温度T2 の二定温が入出力温度である。
【0029】ところがが、冷水機、温水機などでは熱入
出力が定温ではなく連続的に変化する。このような場合
に対処する理想可逆熱力学サイクルとしては図1
(a),(c)に示した三角サイクルがある。この三角
サイクルは通常の熱力学の教科書と機械工学便覧には記
載されていないので以下に説明する。
【0030】図1(a)の4−3−2−4及び図1
(c)の1−3−2−1が三角サイクルであり、図1
(a)に示すT−S線図と図1(c)に示すT−P線図
の上では異なって見えるものの、等温、等エントロピー
(断熱)、等圧の3行程から成る三角サイクルとしては
同一のものである。
【0031】さて図2は本発明による熱機械を構成記号
図に描いたものであり、図2(a)の断熱圧縮/膨張機
100、図2(b)の等温圧縮/膨張機101、図2
(c)の等圧吸/放熱器102および図2(d)の(向
流)熱交換器103は、それぞれ本発明による熱機械の
構成要素であり、図3(a)と図3(b)は本発明によ
るエリクソン・サイクルと三角サイクルの実現方法をそ
れぞれ構成記号図に描いたものである。
【0032】これら図2,図3の構成記号図で鎖線は機
械的エネルギーの出入りを、破線は熱エネルギーの出入
りを、また点線は各構成要素の範囲を示し、矢印はエネ
ルギー、作業ガスの流れる方向もしくは作業ガスの状態
遷移の方向を示すが、これ以降、構成記号図に用いる記
号については表2を参照されたい。
【0033】
【表2】 三角サイクルでは、作業流体の流れる方向の正負と外気
温T0 と入出力温度Tの二者の間の大小関係によって4
種の異なる場合があり、それぞれの場合について三角サ
イクルは熱機関もしくは熱ポンプとなる。熱機関となる
例としてはガスタービンの排熱回収及びLNGの冷熱回
収の昇温部分を挙げることができ、熱ポンプになる例と
しては温水機、冷水機がある。LNGの冷熱回収工程に
ついては、LNGの蒸発過程にはエリクソン・サイクル
を、気化したガスの常温迄の昇温には三角サイクルを、
それぞれ用いるのが最適であり、この場合何れも熱機関
となる。
【0034】図3(a)の構成記号図に示す通りエリク
ソン・サイクルは可逆の等温行程2個と等圧熱交換(加
熱/冷却)行程2個から成っている。ガスは膨張すると
同時に冷却する性質をもっているので、原理的には等温
の膨張過程で冷凍作用が生じることになる。つまり、作
業ガスが等温(T1 =T4 )で膨張する過程で熱量が定
温の熱入力から作業ガスに移動することによって作業ガ
スの等温状態が維持されることになる。また、等温圧縮
行程2−3では熱量は作業ガスから定温熱出力(T2
3 )に移動する事となる。
【0035】2個の等圧行程は熱交換器で結ばれ、この
熱交換器は熱の再生回収を同時に行う。この熱の回収は
等圧行程3−4で排出された熱をもう一方の等圧行程1
−2の吸収熱に回すものである。理論的にはこの等圧行
程3−4の排出熱と等圧行程1−2の吸収熱は互いに相
等しい。実際にはこの熱交換器の伝熱面上の特定箇所両
側の作業ガス温度は、それぞれ一定値に維持され、熱伝
達は一定の温度差の下に行われる事になる。この熱伝達
によってエントロピー生成損失が発生するが、その量は
この一定の温度差の大きさに比例する。従って熱交換器
は充分この温度差が小さくなるように設計せねばならな
い。
【0036】ここで、本発明における熱力学的考察をさ
らに詳細に説明する。
【0037】先ず、本発明によって近似的な実現を図る
等温圧縮/膨張行程の優位性を、図4と前記表1に示す
記号によって熱力学的に示すこととする。
【0038】温度T、圧力Pの理想気体である作業ガス
を、図4のABで示すように、断熱的に圧縮(P´>
P)または膨張(P´<P)させた場合に作業ガス温度
はT´(圧縮T´>T、膨張T´<T)に変化する。
【0039】更にこの温度T´のガスを、図4のBCで
示すような、等圧行程で当初温度T迄戻すものとする。
この断熱と等温の2行程のガス1モル当りの機械的エネ
ルギー入力の合計WA (圧縮WA >0、膨張WA <0)
は、 WA =CP T((P´/P)β−1) (1) である。
【0040】次にこれとは別に、この当初状態(P,
T)の作業ガスを、図4のACで示すような等温圧縮/
膨張の1行程によって、上記の断熱行程及び等温行程の
後の状態(P´,T)になるようにする時の機械的エネ
ルギー入力WI は、 WI =RTln(P´/P) (2) であり、このWI と(1)式のWA の差は、エントロピ
ー生成損失SH を使って、 SH =(WA −WI )/T =R[β(ln(P´/P))2 /2 +β2 (ln(P´/P))3 /6+……] (3) と求められる。SH >0は熱力学第2法則の要求する
所であり、(3)式が任意のP´/P<1(ln(P´
/P)<0)の場合でも非負であることは指数関数の性
質から容易に証明される。
【0041】(3)式は、圧力比P´/Pを一定とした
場合、β=R/CP が小さい程(CP が大きい程)エン
トロピー生成損失が小さいことを意味する。表3に各種
のガスのβ値が記載されていて、βの小さい(CP が大
きい)フレオンが熱機械に広く使用されている理由の一
つはここにある。βの大きいガスでも等温に近い圧縮/
膨張機を使えばエントロピー生成損失を小さくできる。
【0042】高い熱力学的効率を達成する上で、このよ
うに重要な等温圧縮/膨張過程に近いものを実現するた
めには、作業ガスと圧縮/膨張機の壁の間の熱伝達を極
めて良好なものとせねばならないが、この熱伝達を支配
する最も重要な量は熱拡散率a=[m2 -1](「理化
学辞典」950頁及び951頁に記載)である。このa
は、 a=κ/cp ´ (4) で定義されるが、ここにκ,cp ´はそれぞれ作業ガス
の熱伝導率、単位体積当たりの等圧比熱である。各ガス
分子がポンプ壁の近くに滞在する時間をtW [s]とし
て熱拡散距離DをD=(atW 1/2 [m]とする。特
に圧縮/膨張機が周波数f[Hzs-1]で往復運動して
いる場合にはtW =1/fとなりDはfの関数として、 D(f)=(a/f)1/2 (5) となる。表3に各種のガスについてaとD(f)の値を
記載した。
【0043】
【表3】 熱拡散距離Dの意味は「熱はD以上の距離には殆ど伝わ
らない」というものである。従って、図5(a)のピス
トン・シリンダー機構と(b)のベローズ・ダイヤフラ
ム機構に示すようにZM をポンプ壁相互間の最大距離と
し、各ガス分子を中心として直径Dの球を考えて、その
球内に圧縮/膨張機の固体壁(固定壁1と駆動壁2)が
ある構造を持つ8のD>ZM の場合は圧縮/膨張機は
等温的に作動する。作動周波数fを充分遅くすれば等温
的になるが圧縮/膨張機の容積は1/fに比例して大き
くなるのでfは数ヘルツ程度にすることが望ましい。と
ころが、表3のD(f)はかなり短い。特に、フレオン
ではD(10Hz)=0.5mmと短い。図5(a)の
ピストンをこのような小振幅で作動させる場合にはピス
トン面積を大きくする必要がある。しかし、大面積のピ
ストンの摺動部の面積は大きいので摩擦損失が増大す
る。この他にピストンとシリンダーの工作精度を上げる
必要もある。さらに、壁の熱膨張も問題になる等々数多
くの問題があってピストン・シリンダー機構によるもの
の実用化は難しい。
【0044】しかし、後に詳しく述べるように、ベロー
ズ・ダイヤフラム機構による圧縮/膨張機を用いれば、
Dより小さいZM 、数Hz以上の高ストローク数での運
転、ゼロに近い摩擦損失の3点を同時に満足させること
ができる。
【0045】次はD>ZM を実現する手段として金属製
の薄膜移動壁を用いた等温圧縮/膨張機101の実施例
であるが、図6(a)、図6(b)及び図7で40は薄
膜移動壁である。なお、図6はガス封入手段がピストン
である場合を示し、図7はガス封入手段がベローズ・ダ
イヤフラム機構である場合を示している。
【0046】上記薄膜移動壁40は、通気孔41を持つ
ことにより両面間のガス圧差はなく、耐圧性を必要とし
ないので、厚さ数十ミクロンの薄い膜を使う。この薄膜
移動壁40は弾性的に相互結合され、固定壁1と駆動壁
2の間に略等間隔に並ぶ。膜厚が薄いので弾性的変形に
伴う内部応力は小さく疲労破壊の恐れはない。圧縮/膨
張機容積最大時の薄膜移動壁間隔Z=ZM はZM <Dと
ならしめてガス分子と薄膜移動壁間の熱交換を等温的に
行い、また圧縮/膨張機の容積最小時には壁間隔がZ=
0となるようにして、固定壁1、薄膜移動壁40、駆動
壁2が図6(b)に示すように互いに固体接触して壁間
熱伝導による等温化(T=TW )を行うことによって圧
縮/膨張機の等温化が達成される。
【0047】次は作業ガスの選択である。在来技術では
断熱過程と等圧熱交換過程の組み合わせを使用するので
βの値の小さいガスが望ましく、フレオンはこのために
開発された。一方、等温圧縮/膨張機では熱拡散率aが
大きいことが望ましい。諸物質中でこのaが最も大きい
のはヘリウム(He)である。He3 のaはHe4 のそ
れよりもやや大きいが、He3 は極めて高価なので、以
下の説明では、He4を使うことにする。また表3の諸
作業ガスの中で、Heは最も等圧比熱CP が小である
が、エリクソン・サイクルの熱交換器の伝熱量QAHに比
例することが知られている。
【0048】従って、Heを作業ガスに用いると熱交換
器が小型ですみ、この点からもHeの採用が有利であ
る。
【0049】表3中でフレオンのa値は最も小さく、等
温圧縮/膨張機には最も不適当と言うことになる。β値
が大きくて断熱プラス熱交換の過程には最悪であったH
eが等温圧縮/膨張機には最良なのであり、しかもモル
当りの価格もHe4 の方がフレオンよりも安い。
【0050】さらに、フレオンにはオゾン層の破壊とい
う重大な公害があるが、Heは無公害であり、しかも不
燃性であって水素(H2 )のように爆発する恐れもな
い。従って、Heの使用により無省低長の目標のうち、
無公害が達成され、圧縮/膨張機の等温化による熱力学
的効率の向上による省エネルギー化も達成される。
【0051】以下、残る低長(低価格、長寿命)の達成
法を述べる。
【0052】図8はベローズ・ダイヤフラム方式の等温
圧縮/膨張機の実施例であり、ダイヤフラム2を1枚使
用するのでベローズの凹凸の1個のみを使用したものと
みることができる。より具体的には、固定壁1と駆動壁
2には鉄等の材質をプレスした板を使用すれば、極めて
低価格に量産することができる。最も重要なことは、柔
軟壁50、つまりダイヤフラムの変形部の構造である。
この変形壁部は、引っ張りには強いが、曲がり易いこと
が望ましい。このためには、ポリエステル、ナイロン、
ケブラー、ガラス等の繊維を紡織した布または革(天然
または人工)のような非等方的構造を持つ柔軟な材料を
使用する。紡織布は防水加工をして気密性を上げても完
全ではないが、少量のガス漏れは圧縮/膨張機の効率に
は悪影響はなく、作業ガスの外気への漏れは図8の実施
例に示すように圧縮/膨張機全体を固定壁延長部と見な
せる気密容器110に封入することによって防止するこ
とができる。図8の実施例では、駆動手段9も気密室1
10内に封入されており、往復動駆動の手段としては通
常のモーターとクランク機構の組み合わせなどの他に、
電力を直接往復運動に変えるボイスコイルモータ、スウ
イングモータ等のリニアモータ9を使うことができ
る。この場合、駆動振幅は小さいので振幅を増大させる
ための機械的共振系(特許公告公報 昭30ー2486
参照)を省略する簡単化が可能で、共振に伴う使用周波
数の制限も除かれる。
【0053】図8のダイヤフラム圧縮/膨張機には近接
壁間熱交換という重要な性質がある。即ち、図8の両硬
壁1、2の最接近時の熱抵抗が小さい必要があり、この
ため図8ではダイヤフラムの中央部は最接近時に金属性
の硬壁が接触するような構造にしてある。圧縮機の設計
はベローズの両側を織物状の軟膜体50で隣接するダイ
ヤフラムを結合する構造から出発している。この軟体膜
は応力の少ない曲面となっていて、膜自体およびダイヤ
フラムとの接着部分にかかる応力を減少させるようにし
ている。
【0054】この実施例による圧縮/膨張機はガス弁7
を除き完全に軸対称であり、図9に駆動壁2及び固定壁
1の円柱座標(r,z)断面を(壁厚みを省略して)示
した。図9で硬壁(固定壁1と駆動壁2の総称)の断面
は開角2θ(またはθ)の円弧を応力集中がないように
滑らかに接続した形を持つ。円弧の半径が与える曲率半
径 Rs (r)には+z方向から見ての円弧の凹凸に応じ
て正負の符号を与える。径区間 0<r<r0 で R
s (r)= R0 >0であり、区間r0 <r<r1 =3r
0 で Rs =− R0 <0である。λ区間と命名するr1
r<r2 =r1 +λには変形軟壁50が接触する。硬壁
は波長でr1 <r<r1 +λ/2では、 Rs= Rλ>0
であり、r1 +λ/2<r<r2 では、 Rs =− Rλ
0であり、r2 <r<r3 ,r3 =r2 +rλ,rλ
λ/4で Rs =+ Rλ>0である。最外区間r>r3
は Rs = R=∞(平面)である。
【0055】図9の座標原点0と点Z,H, Rからなる
図形から円弧角θを使って、 (h0 ,r0 ,z0 )=(1−cosθ,sinθ,cosθ) R0 (6) である。波長λの波状部でもrλ=λ/4として同様に (hλ,rλ,zλ)=(1−cosθ,sinθ,cosθ) Rλ (7) である。波長λの波状部でもrλ=λ/4として同様に (hλ,rλ,zλ)=(1−cosθ,sinθ,cosθ) Rλ である。特に図9の直角三角形O, R,Zの3辺長比が
3:4:5(32 +42=52 、ピタゴラスの定理)と
なる円弧開角 θ=θ4/3 =arctan(4/3)=0.9273rad=53.13deg (8) を使用して、主要な長さをすべてmm単位で整数とし
て、数値と作図を簡単化してある。
【0056】(θm/n =arctan(m/n)として
θ3/4 、θ5/12、θ12/5などでも整数化できるが以下で
はθ4/3 のみを使う)。
【0057】図10には図9の実施例において、駆動壁
2が移動して固定壁1から離れるとともに柔軟壁50の
曲率半径が変わる有様を示すが移動距離Z=0の場合、
λ区間内の柔軟壁50は硬壁1と2に密着しており変形
壁長LF =4 Rλθ4/3 である。
【0058】図10のZ=Z0 >0の場合には、柔軟壁
50の硬壁と接触していない部分は内外圧力差(この図
では内圧Pinは外圧Pout より高いとする)によって曲
率半径 RF が一定値を持つように変形し、内外圧力によ
る僅かの伸びを無視すれば、全長LF は変らない。特に
0 =4hλの場合、図10に示すようにλ区間内の幅
3λ/4=3rλの区間で曲率半径RF =+3Rλで曲
がることとなり、 RFM=3 Rλと置くと、 RF =[sign(Pout −Pin)] RFM (9) となる。またh=Z0 /4,rλ=λ/4及び式(7)
と式(9)から次の2式を得る。
【0059】 RFM=3Z0 /4(1−cosθ4/3 )=(15/8)Z0 (10) λ=Z0 cot(θ4/3 /2)=2Z0 (11) 図10のZ=Z0 の場合、柔軟壁にかかる応力PF は純
引っ張り力であり、内外圧力差を|ΔP|=|Pin−P
out |、柔軟壁厚をWF とすれば、θ4/3 の場合、 PF =|ΔP| RFM/WF =15|ΔP|Z0 /8WF (12) となり、柔軟壁材料の抗張力τF との比τF /PF は、
耐圧安全係数を与える。柔軟壁50と硬壁1,2の接着
部50に働く力はZ<Z0 では純せん断力で、接着に
は望ましくない。接着面に垂直な引き剥がし力は零であ
るが、Z>Z0 ではこれが零ではなくなる。従って、実
際の硬壁間隔の最大値ZM には安全のため耐圧設計値Z
0 よりも小さい値を用いることが望ましい。
【0060】具体的数値例として、He4 を作業ガスと
してZ=ZM でガス圧1atmとなる圧縮/膨張機をf
=50Hzで駆動する場合を考える。表3よりD=ZM
=1.752mmであるが、これよりも1割強大きくZ
0 =2mmとする。外圧Pou t =1atm、内圧Pin
最大値を3atmとすると|ΔP|=2atmとなる。
軟壁厚WF =0.3mm,τF =4kgf/mm2 =4
00atmのポリエステル紡織布を使用すれば式(1
2)はτF /PF =16を与える。一方、式(11)は
λ=4mmと接着長r=λ/4=1mm=3.3WF
与え、接着剤にポリエステル布のτF と同程度の強度の
ものを使用すれば引き剥がし力はないので耐久性は非常
によい。
【0061】さらに柔軟壁の最小曲率半径 Rλ= RFM
3=1.25mm(略4WF )であるから紡織布の曲げ
疲労耐久性にも問題はない。軟壁部の耐久性は半永久的
と推定される。等方的ポリエステル(マイラー)材では
このように高い安全係数を実現するのはまず不可能であ
ろう。
【0062】図9に断面を示す硬壁(固定壁1或いは駆
動壁2、但し図では硬壁厚みWs が0であるかの如く描
かれている)の強度計算については、r0 =12mm、
硬壁厚Ws =0.6mmとし硬壁の材料には引張り強度
τs =34kgf/mm2(略3400atm)のJI
S SS−34プレス用軟鋼板を使う。硬壁の内部応力
の最大値は近似的に式(12)と同形の式で、 Ps =3|ΔP| R0 /Ws =120atm (13) で与えられるとすると耐圧安全係数は、τs /Ps =2
8と柔軟壁以上の値になり、耐久性に全く問題がない。
【0063】図9、図10の数値例で圧縮/膨張機の最
大容積はVP =πr1 2 M =π(36mm)2 (1.
73mm)=3.17×10-4molであり、50Hz
運転のモル流率は、m´=1.6×10-2mol/sで
ある(m´はmの時間微分を表す。)。式(2)でT=
273、P´=3atmとすると動力はm´W1 =m´
RTln3=40Wとなる。これよりも大きな動力は図
8の等温ダイヤフラム圧縮/膨張機を多数並列運転すれ
ば得られる。
【0064】次に保温用ガス流のある等温ガス圧縮/膨
張機熱機械の実施例を図11及び図12に示す。図11
上部のダイヤフラム群DIPH は等温圧縮機として使わ
れるガス圧縮/膨張機であり、DIPH の半分は作業ガ
スの圧縮に、他の半分は高温側の保温用ガスの循環にあ
てられる。また図11の下部のダイヤフラム群DIPL
は等温膨張機として用いられるガス圧縮/膨張機であ
り、DIPL の半分は作業ガスの膨張に、他の半分は低
温側の保温ガスの循環に充てられる。
【0065】保温ガス流は高温側では外気と熱交換を行
った後、DIPH の容積最小時の硬壁同士の接触を通じ
て作業ガスを含むDIPH 全体を等温ならしめる。
【0066】図8の実施例に示したベローズダイヤフラ
ム方式の圧縮/膨張機を多段化した実施例を図13
(a)の断面概念図に示したが、この図は4段分、つま
り機械動力160W分相当を示している。各段は1組の
ダイヤフラムを縦に積み上げて形成するが、紡織布より
成る柔軟壁50が固定壁1と駆動壁2に接着されガス封
入手段となることは図8、図9、図10に示した実施例
と同じである。各ダイヤフラムは駆動壁連結棒71と固
定壁連結管70の上のバルブ位置関係によって多少形状
が異なっている。72は固定壁1の内部に設けたガス導
溝である。
【0067】図13のガス封入機構は複数のダイヤフラ
ムを複合したベローズと見ることもできる。このベロー
ズは通常のベローズと同様に圧力差ΔP=Pin−Pout
をもってガスを封入する耐圧性を持つとともに中央大面
積部はガスとの熱交換と接触時に壁相互間熱交換を行う
熱交換機能を備えている。この耐圧性を除き熱交換機能
のみを残したことに相当する等温圧縮/膨張機の実施例
は図6(a)(b)と図7に示した。
【0068】図13(a)に示す駆動壁(可動ダイヤフ
ラム)2は2枚の固定壁1の間を上下に往復運動をす
る。固定壁は図13(a)ではハッチングした断面とし
て示してある。図13(b)の固定壁1の厚み中心断面
の水平投影図を併せ見ると圧縮/膨張機設計の概略が示
される。
【0069】図13の圧縮/膨張機は図5の圧縮/膨張
機をn=4台並列に接続したもので、中間の硬壁板を共
用することにより、本来8枚必要な硬壁をn+1=5枚
に減少させている。圧縮/膨張機の全高さを低くするた
めに板壁の固定と駆動機構を周辺部に設け、ガスの出入
り通路も固定壁内に半径方向へのガス導溝72と周辺部
で縦方向に走るガス管70とから構成される。隣接する
硬壁間の熱交換が壁の最接近時に効率良く行われること
は直列の場合と同様であるが、熱交換は同時ではなく、
壁最接近時に交互に実行されるが、総ての壁温度が一定
値TW に保たれるという効果に変わりはない。
【0070】
【発明の効果】以上に述べた構造の熱機械によって、無
公害、低価格、省エネ、長寿命の熱機械が達成できる。
無公害はヘリウムという無害のガスを用いることによ
り、低価格と省エネは安価な材料を用い、カルノー・サ
イクルと同一の高い効率のエリクソン・サイクルを用い
ることにより、それぞれ達成される。また、長寿命は紡
織布膜の使用によって大きな疲労寿命を得ることで達成
される。圧縮機一段の所要動力は40Wと計算され、段
数を増やすことで動力を増やすことは可能である。この
設計で超低温に到達することも目的の一部であり、従っ
て、本機の設計はまことに広範な応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】理想可逆熱力学サイクルを示す図 (a)カルノー・サイクル及び三角サイクルのT−S線
図 (b)スターリング・サイクルのT−V線図 (c)エリクソン・サイクル及び三角サイクルのT−P
線図
【図2】熱機械の構成要素を示す図(構成機能図) (a)断熱圧縮/膨張機、100 (b)等温圧縮/膨張機、101 (c)等圧放/吸熱器、102 (d)熱交換器、103
【図3】エリクソン・サイクルと三角サイクルを示す図 (a)エリクソン・サイクル (b)三角サイクル
【図4】断熱圧縮/膨張機と等圧加熱/冷却器の組み合
わせによる等温圧縮/膨張過程の実現(非可逆)を示す
【図5】断熱圧縮/膨張機と等温圧縮/膨張機における
熱拡散距離Dの役割を示す図 (a)ピストン・シリンダー機構の場合 (b)ベローズ・ダイヤフラム機構の場合
【図6】蓄熱薄膜移動壁を用いる等温圧縮/膨張機のガ
ス封入手段がピストン・シリンダー機構である場合を示
す図 (a)容積最大の場合 (b)容積最小の場合
【図7】蓄熱薄膜移動壁を用いる等温圧縮/膨張機のガ
ス封入手段がベローズ・ダイヤフラム機構である場合を
示す図
【図8】ガス封入手段に用いる柔軟壁ダイヤフラム機構
及び柔軟壁50の円環状の構成を示す図
【図9】円形の駆動壁2及び固定壁1の半径方向断面形
状を示す図
【図10】駆動壁2の移動にともなう柔軟壁50の曲率
半径変化を示す図
【図11】保温用ガス流を有する等温圧縮/膨張機熱機
械を示す図(機構図)
【図12】保温用ガス流を有する等温圧縮/膨張機熱機
械を示す図(構成機能図)であり110は保温用ガスの
ポンプと部品を共有する等温圧縮/膨張機
【図13】等温圧縮/膨張機の4室並列の実施例を示す
図であり各室の流体種別は管、弁の配置と接続によって
定まる
【符号の説明】
1 (圧縮/膨張機の)固定壁 2 (圧縮/膨張機の)駆動壁 3 ピストン・シリンダー摺動機構によるガス封入手段 4 ダイヤフラム.ベローズ変形壁機構によるガス封入
手段 7 ガス弁 8、8 ガス分子を中心とする直径Dの球、8はD<
M の断熱的状況を示し、8はD>ZM の等温的状況
を示す 9、9 圧縮/膨張機の機械的駆動機構、9は電力
を直接往復運動に変える線型モータを示す 40 移動壁、固定壁1と駆動壁2の間にあって弾性力
またはガス圧で移動する壁 41 移動壁に設けられた通気孔 50 柔軟壁 50 柔軟壁の固定壁1と駆動壁2との接着部分 70 固定壁連結管、固定壁を支持すると共にガスの流
路となる 71 駆動壁連結棒、駆動壁を連結し、機械的運動を伝
える 72 ガス導溝、固定壁1の内部に存在してガスを半径
方向に導くと共に、固定壁連結管70に導通する 100 断熱圧縮/膨張機 101 等温圧縮/膨張機 102 等圧放/吸熱器 103 熱交換器、作業ガス1モル当たりの吸熱量をQ
とし、Q>0では熱交換器は吸熱器として、Q<0では
放熱器として使用 110 密閉容器、作業ガスの流出を防止する容器
フロントページの続き (71)出願人 000004237 日本電気株式会社 東京都港区芝五丁目7番1号 (72)発明者 後藤 英一 神奈川県藤沢市辻堂東海岸3−9−305 (72)発明者 アン・マッケンナ アメリカ合衆国・ペンシルベニア州・ディ アウッド・ディーアール・ウェストチェス ター・エヌ・205番地 (72)発明者 加瀬 晋 東京都町田市広袴町710−67

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業ガスを機械的に圧縮または膨張させ
    る圧縮/膨張機を用いる熱機械において、 前記圧縮/膨張機は、固体部品として、機械的往復運動
    をする駆動壁と、固定壁と、当該駆動壁と固定壁との間
    に設けられたピストン・シリンダー機構またはベローズ
    ・ダイヤフラム機構を用いるガス封入手段と、を具備
    し、 且つ、前記作業ガスの各分子を中心として直径が熱拡散
    距離D(D=(atW1/2 ,aは熱拡散率[m
    2 -1],a=κ/cp ´,κは熱伝導率[J/(ms
    K)],cp ´は単位体積当たりの等圧比熱[J/(m
    3 K)],tW は各作業ガス分子の圧縮/膨張機内壁近
    傍の滞在時間[s])程度の球内に、前記圧縮/膨張機
    の前記固体部品が位置する構造とすることにより、 前記固体部品の温度(TW )に前記作業ガスの温度を近
    づけて作業ガスの等温化を達成せしめることを特徴とす
    る等温圧縮/膨張機熱機械。
  2. 【請求項2】 前記圧縮/膨張機が、機械的往復運動を
    する前記駆動壁と前記固定壁と前記ガス封入手段とから
    形成されるガス室内に、固体部品として弾性的に略等間
    隔に支持され且つ通気孔を持つことにより両面の圧力差
    による応力の発生を防止した複数の良熱伝導性の蓄熱薄
    膜移動壁を具備し、 前記ガス室の容積が最大の場合に当該蓄熱薄膜移動壁の
    最大間隔(ZM )を前記作業ガスの熱拡散距離(D)程
    度以下とし、前記ガス室の内容積最小の場合に前記蓄熱
    薄膜移動壁、移動壁、及び固定壁が互いに略接触して急
    速に熱交換を行うことにより、前記等温化を達成せしめ
    ることを特徴とする請求項1に記載の等温圧縮/膨張機
    熱機械。
  3. 【請求項3】 前記ガス封入手段が、高抗張力である
    が、極めて曲げ易く摩擦損の少ない材質(例えば革、ポ
    リエステル、ケブラー、ガラス等の繊維を紡織した紡織
    布)のダイヤフラムで形成される柔軟壁機構であり、該
    柔軟壁機構は固定壁表面に凹凸をつけることにより該圧
    縮/膨張機の運転中に該柔軟壁の厚みの2〜30倍程度
    の範囲内、好ましくは5〜20倍の曲率半径を維持する
    ことによって作業ガスの圧力を支えることを特徴とする
    請求項1又は2記載の等温圧縮/膨張機熱機械。
  4. 【請求項4】 前記作業ガスが前記圧縮/膨張機の固体
    部品と熱接触して作業ガスを等温に保温する保温手段を
    有し、当該保温手段が保温用ガス流と当該保温流体を流
    すポンプとから構成され、当該保温ガス流のポンプの固
    体部品が作業ガス流の圧縮/膨張機の固体部品の一部を
    共用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
    記載の等温圧縮/膨張機熱機械。
  5. 【請求項5】 前記変形壁から外部に作業ガスが流出し
    ない密閉容器を付帯することを特徴とする請求項2乃至
    4記載の等温圧縮/膨張機熱機械。
  6. 【請求項6】 前記作業ガスはヘリウム、窒素、空気等
    の無公害物質であることを特徴とする請求項目1乃至5
    のいずれかに記載の等温圧縮/膨張機熱機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007025027A2 (en) * 2005-08-24 2007-03-01 Purdue Research Foundation Thermodynamic systems operating with near-isothermal compression and expansion cycles

Cited By (2)

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