JPH08108001A - 多重降流管分留装置 - Google Patents

多重降流管分留装置

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JPH08108001A
JPH08108001A JP23162394A JP23162394A JPH08108001A JP H08108001 A JPH08108001 A JP H08108001A JP 23162394 A JP23162394 A JP 23162394A JP 23162394 A JP23162394 A JP 23162394A JP H08108001 A JPH08108001 A JP H08108001A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トレイの容量増大と、トレイ上の泡の高さを
減少することができる多重降流管分留装置を提供する。 【構成】 上側の第1、及び下側の第2蒸気−液体接触
トレイを有し、液体を封止可能な取出口手段を有する少
くとも2つの降流管2と、蒸気穴の少くとも一部が降流
管2の側壁6に向いた開口部を有する蒸気流誘導溝4を
形成する蒸気−液体接触デッキとを具え、第2蒸気−液
体接触トレイの降流管2が第1蒸気−液体接触トレイの
降流管に対して垂直で、それぞれのトレイが、それぞれ
降流管側壁6に平行なトレイの降流管2上に中心線を合
わせて取り付けられた垂直板を複数の流入防止遮蔽板7
を有しており、下側第2蒸気−液体接触トレイの流入防
止遮蔽板7が上側の第1蒸気−液体接触トレイの降流管
2の底部部分を取り囲む切り欠き部を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高性能蒸気−液体接触装
置、特に、通常分別蒸留あるいは接触トレイと呼ばれる
揮発性化合物の分離を行うための分別蒸留塔内部で用い
られる装置の設計および構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分別蒸留トレイは炭化水素処理、化学お
よび石油化学産業で幅広く用いられている。したがっ
て、改良型分別蒸留トレイの提供のために、研究、開
発、および創造的な考察のための多大な努力が払われて
いる。ほとんどのトレイは、トレイの接触表面全面にわ
たって均一に分散された円形の穴を有している。これら
の穴によって上昇する蒸気がトレイの表面から上の方に
真っ直ぐ流れることができるようにしている。分別蒸留
トレイの小さなサブセットは、蒸気がトレイの接触エリ
アを通過する時に特別の方向に蒸気を誘導するための物
理的な手段を利用している。こうした例のひとつは、米
国特許出願3,045,989に開示されている。この文献は、
個々の実施例に基づいて水平方向の液体流のいろいろな
方向に誘導するために上昇する蒸気を用いる手段とし
て、その性質上溝状と考えることができる円形の穴を示
している。この溝は、取出降流管の液体流の収束を促す
ために、直径方向で反対の方向に向けられている。
【0003】米国特許出願3,550,916は上昇蒸気流をト
レイと組み合わされた取出降流管の方向に誘導するよう
に向けられた蒸留トレイの活性表面エリアの溝状開口部
を示している。米国特許出願4,065,52は溝がトレイのデ
ッキに設けられており、それらの溝から出てくるガスの
方向を誘導するようになっており、そのことによって液
体流をトレイ上で望ましいパターンで誘導するようにな
っている、分留トレイの別の構成を開示している。この
例では、液体は遠心的なパターンと求心的パターンとの
交互の方向で流れるようになっている。本発明の目的
は、接触板全体で液体が均一に流れるようにすることで
ある。
【0004】カラム5に具体的に示されているように、
米国特許出願3,282,576は、液体勾配を用いずに、トレ
イ全体にわたっての液体の流れを促進するために、クロ
ス・フロー・シーブ・トレイ全域に溝を配置することが
できることを教示している。これらの溝の強制誘導開口
部は平行の列で配置されており、通常、トレイの液体取
出口に対面している。米国特許出願3,417,975は、トレ
イのデッキ部分が円形の溝と液体流誘導溝の両方で構成
されている分留トレイ設計の別の事例を開示し、そこに
開示されている溝は、その性質上、本発明に用いられる
ものと同様である。文献975に開示されている装置にお
いて、流れを誘導する溝は、トレイの周辺部近くの溝の
密度を高くするように、デッキ全体で不均一に分散され
ている。
【0005】米国特許3,759,498は、円形の穴と蒸気誘
導溝の両方を用いた別の分留トレイ・デッキ構成を開示
している。この溝の構成は取入降流管と取出降流管との
間の直接流路上にないトレイの周辺部分の液体速度を増
大させるためのものである。これらの溝の向きは液体
を、こうした構成がなければ淀んでしまうエリアに導
き、あるいはそのエリアから液体を取り出して、トレイ
の全体的な効率を促進させる。なお、このトレイは上に
触れたトレイと同様、不均一なフロー・パターンによっ
てわずらわされない相対的には小さな間隔を置いて配置
された降流管を有する多重降流管は有していない。
【0006】米国特許出願4,101,610は、円形の穴と流
れ誘導溝の両方を有するデッキを持つクロス・フロー分
留トレイを開示している。この流れ誘導溝は液体をトレ
イを通じて取出降流管の方向に誘導するように構成され
ている。その目的は、トレイ上の淀んだ部分を減らすこ
とと、そしてトレイを通じての液体勾配を減らすことで
ある。
【0007】米国特許出願4,499,035はトレイのデッキ
・パネル上に円形の穴と蒸気流誘導溝の両方を用いたク
ロス・フロー蒸気−液体接触トレイ上の別の構成を示し
ている。この文献は、取入降流管からトレイ・デッキ・
エリアの液体入口に泡発生あるいは泡促進手段を設けて
いることが特徴である。
【0008】カナダ特許出願785,739に開示されている
トレイ・デッキ構造に関するトレイの表面は対角線方向
で反対の方向を向いた溝を含む種々の方向に配置された
蒸気流誘導溝を有している。このトレイはトレイを通じ
ての液体の流れを促進し、そして、トレイの表面上で流
体の高さ勾配を防ぐ、あるいは減らすための溝を用いて
いる。取出降流管への取入口の上に配置された『流入防
止』遮蔽板を用いることは、ブリッシュ インコーポレ
イテッドが発行したブラスト・トレイ設計マニュアル
(ブルチンNo.4900 第4版、著作権1974)に開示されて
いるように公知の技術である。
【0009】米国特許出願3,410,540は本発明のトレイ
において用いられているのと類似した非常に明確な降流
管設計を用いた先行技術に基づく構造の開示に関連する
ものと考えられる。
【0010】米国特許出願4,174,363は、カラムの壁か
らトレイの活性エリアの方向に向けて、淀んだ液体の流
れを促進するために、トレイの上側表面にボルトで固定
された小さな金属エンクロジャのための設計を開示して
いる。この文献は、クロス−フローおよび本発明におい
て用いられているのと同様の多重降流管トレイ上で用い
られているこれらの装置を示している。また、この文献
は、クロス−フロートレイの活性デッキ面上での流れ誘
導溝の使用を示している。これらの文献の開示技術とは
対照的に本発明の装置の溝は効率を失わずに容量を増大
するために用いられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術の蒸
気流誘導溝の機能は本発明の多重降流管における機能と
は異なっている。これらにおいては、溝のひとつの基本
的な使用目的は長い液体流路から発生するトレイを通じ
ての液体勾配を減らすことにあり、また、蒸気流誘導溝
のもうひとつの基本的な機能は、取入降流管と取出降流
管の間の直接流路からはずれたデッキ・エリアに液体を
押し込んだり、そのエリアから液体を押し出したりする
ことにあり、多重降流管分留装置の容量を増大しないと
いう問題がある。
【0012】本発明の目的はトレイの容量増大と、トレ
イ上の泡の高さを減少させることができる多重降流管分
留装置を提供するにある。接触トレイの容量は、そのト
レイを通じて上昇する蒸気流の増大される速度に対処す
るその能力によって制約されることが多い。こうした制
約は、通常、液体が上昇する蒸気に補足され、すぐ上の
トレイの方向に上昇していく傾向と関連づけられる。ト
レイの蒸気容量は、したがって、トレイの上部表面上の
『泡』がすぐ上のトレイの底面に到着すると飽和されて
しまうことが往々にして起きる。分留トレイ、あるいは
どんなタイプであれ、過剰な泡の高さは液体をすぐ上の
トレイのデッキを上方に通過させてしまう。そして液体
はさらに上方におくられる。したがって、トレイの蒸気
容量を増大させるためには、泡の高さを低下させること
が望ましい。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、広く用いられ
ているクロス−フロートレイとは違って、蒸気容量を増
大させる改良型多重降流管分留装置である。本発明はよ
り高い位置にあるトレイに向かって上昇していく蒸気内
の泡の高さを減らし液体流入面を低下させることによっ
て機能を発揮する。本発明においては、蒸気流誘導溝は
蒸気を一番近い降流管の方向に誘導するために隣接した
降流管間に配置された比較的狭いデッキ・エリア上に配
置されている。好ましくは、これらの溝は最も近い降流
管に向けられている。これらのトレイはまた、液体のし
ずくが降流管からデッキのいろいろな場所にしたたるの
を防ぐために、降流管取入口上に配置された流入防止遮
蔽板を有している。この遮蔽板は次に高いトレイから下
りてくる降流管間に上向きに延びている。本発明は、垂
直方向に位置が揃えられ、それぞれほぼ円形の周辺部を
有する上側の第1、および下側の第2蒸気−液体接触ト
レイを有し、さらに、(i)少なくとも2つの相互に平
行かつトレイ状で等距離に隔てられた狭い谷状の降流管
(2,2)で、それぞれ、2つの向き合った側壁(6,6)
と、上記側壁より短い2つの端部壁(5,5)により形成
されており、それら側壁および端壁がトレイの面に対し
て垂直方向を向いており、また、それぞれ、液体を封止
可能な取出口手段(10)を有している降流管と、そして、
(ii)複数の、細長い蒸気−液体接触デッキ(3)で、そ
れぞれ各降流管の側壁に隣接して配置されており、トレ
イが降流管(2)より少なくとも1つ以上の蒸気−液体接
触デッキを有し、蒸気−液体接触デッキ(3)によって与
えられる表面全体にわたって、穴が均一に開けられてお
り、蒸気穴の少なくとも一部が降流管の側壁(6)に向い
た開口部を有する蒸気流誘導溝(4)の形状をしている蒸
気−液体接触デッキとにより構成される分別蒸留を実行
するための装置として特徴づけられ、さらに、第2トレ
イの降流管が第1トレイの降流管に対して垂直で、各ト
レイがトレイの上部に中心を揃えて取り付けられ、降流
管の側壁と平行な垂直板を有しており、さらに、下側の
第2トレイの流入防止遮蔽板が上部第1トレイの降流管
の底部を取り囲む切り欠き部を有していることを特徴と
している。
【0014】
【実施例】蒸気−液体接触装置は、装置全体で基本的に
は下方に流れる液体を、上昇する蒸気流と接触させるた
めの多様な装置で用いられている。例えば、この装置は
ガス流をそのガス流から製品化合物、あるいは不純物を
選択的に取り除く処理液を接触させるために広範囲で用
いられている。本発明による装置は、酸性ガス吸収装置
またはストリッパー、あるいは酸化エチレン吸収装置で
用いることができる。蒸気−液体接触装置のもうひとつ
の使用方法は分別蒸留を通じての化学化合物の分離にお
ける使用である。以下の検討は分別蒸留による分離のた
めのプロセスに重点を置いて行われるが、これはこの装
置に関する発明をそうした実施形態に限定するものでは
ない。
【0015】本発明による装置は、分別蒸留による分
離、あるいは純化により処理できるほとんどすべての化
学化合物の分離において用いることができる。分留トレ
イはプロパン、およびプロピレン、またはベンゼンおよ
びトルエンなどの特種な炭化水素の分離、あるいは、L
PG(液化石油ガス)、ナフテンまたはケロシンなどの
種々の炭化水素画分の分離において用いることができ
る。本発明による装置で分離される化学化合物は炭化水
素だけに限られるのではなく、分別蒸留で分離されるの
に十分な揮発性および温度安定性を有するどんな化合物
でも含まれる。これらの物質の事例としては、酢酸、ア
セトン、アセチレン、スチレン・アクリルニトリル、ブ
タジエン、クレゾール、キシレン、クロロベンゼン、エ
チレン、エタン、プロパン、プロピレン、キシレノー
ル、酢酸ビニル、フェノール、イソ−およびノルマル・
ブタン、ブチレン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、ハ
ロゲン化炭化水素、アルデハイド、MTBEおよびTA
MEなどのエーテル類、および三価ブチル・アルコール
およびイソプロピル・アルコールなどである。そこで、
接触トレイの品質の2つの決定因子は分離を行う上での
効率と、液体または蒸気流動の面での容量である。
【0016】本発明についてさらに詳しく述べる前に、
ここで『多重降流管タイプ』のトレイとされているタイ
プのトレイを定義し、特徴付けを行う。多重降流管分留
装置はいくつかの構造的特徴によって従来のクロス−フ
ロートレイから区別される。第1に、多重降流管分留装
置は受け皿を持っていない。これは取入降流管の開口部
の下方に配置された、通常穴の開いていない部分であ
る。先に図1で受け皿を示した米国特許出願3,550,916
について上に触れた。これは、降流管を通じて下りてい
く液体が、トレイのデッキ上に入る前に触れる穴の開い
ていないスペースである。多重降流管分留装置において
は、トレイの水平方向表面エリアは基本的に、降流管
と、通常、デッキと呼ばれる蒸気−液体接触エリアに分
けられる。すぐ上のトレイから下りてくる液体を受け入
れるための穴のないエリアは存在しない。
【0017】多重降流管分留装置のもう1つの特徴は、
トレイ全体にわたって、比較的多数のトラフ上降流管手
段が設けられていることである。こうした降流管は、従
来のクロス−フロー分留装置と比較して、比較的小さな
間隔をおいて配置されている。同じトレイ上の隣接降流
管間の距離(その側壁と堰との間で測定される)は通
常、0.3〜1.0mの範囲で、0.5m以下であることも多
い。これによって、上から見た時、交互に配置され、接
触トレイの上部面全体にわたって均等に配置されたデッ
キ・エリアと降流管によって構成された独特な設計を有
する多重降流管分留装置がもたらされる(図1参照)。
【0018】多重降流管分留装置の実際の降流管は、通
常のクロス−フロー分留装置で用いられる降流管と比較
しても独自である。この降流管はすぐ下の分留トレイの
方向に向けて下方に延びていない。むしろ、2つのトレ
イ間の中間距離で止まっている。したがって、上のトレ
イから下りてきている降流管は、下側のトレイの降流管
への取入口の上部よりかなり上で止まっている。トレイ
の降流管の最上部、あるいはそれへの取入口はしばしば
そのトレイの取出口堰として機能する場合があり、した
がって、上側の多重降流管トレイの降流管の底部が下側
に配置されているトレイの取出口堰よりかなり上方に位
置される。
【0019】多重降流管分留装置の降流管は通常、すぐ
上およびすぐ下に配置されているトレイから90度ずれた
方向に配置されている。したがって、垂直方向で隣接し
た多重降流管トレイ上の降流管は平行ではなく、むしろ
直交している。さらに、多重降流管分留装置のもう1つ
の際立った特徴は、降流管の底部あるいは取出口に液体
を封止可能な手段を設けたことである。この降流管の底
部はしたがって、いろいろな穴を有する板、あるいはそ
の降流管からでてくる直接降流管フローを遅れさせるた
めの何らかの手段によって部分的に閉じられる(図4お
よび5参照)。この液体を封止可能な取出口はすぐ下に
配置されているトレイのデッキよりかなり上方に配置さ
れており、そして、すぐ下のトレイと組み合わされた降
流管の取入口のちょうど真上に位置している。流れ落ち
る液体は降流管の下側の部分に集められ、これらの開口
部または他の手段を通じてすぐ下のトレイにあふれで
る。
【0020】本発明による多重降流管分留装置の降流管
の底部には、クロス−フロートレイにおけるような取入
堰がない。液体を封止可能な取出口はこの機能を果たす
(図2参照)。多重降流管分留装置は、液体が最初にト
レイ上に流れ落ちる箇所から、その液体が降流管経由で
そのトレイから出ていく箇所までの距離が非常に短い点
が特徴的である。これは基本的には、上に述べたように
降流管間の間隔が狭いことがその理由である。塔壁と最
後の降流管との間を除いて、上のトレイから流れ落ちる
液体は2つの隣接する降流管の中間の箇所でトレイの表
面に流れ落ちる。液体がトレイに到達する箇所から降流
管取入口までの距離は、したがって、常にほとんどの液
体にとって降流管間の距離の半分以下である。液体が通
過しなければならないこの距離の短さとデッキを通じて
上方に向かう蒸気の通路の攪拌補助具とによって、多重
降流管分留装置では液体取入口から出口ポイントまでの
液体のレベル勾配がほとんどなくなっている。
【0021】トレイの表面を通じての液体の流れを促進
するために、上に触れたクロス−フローの文献で示され
ている誘導溝が用いられている。これは淀んだエリア、
不均一な滞留時間、そして液体のレベル勾配をなくすた
めである。多重降流管分留装置はこうした問題にはわず
らわされず、したがって、こうしたクロス−フロートレ
イの問題に対処する手段としての誘導溝を用いる必要が
ない。その代わりに溝は蒸気容量を増大するために用い
られる。降流管壁間の距離(デッキ部分の幅)が1〜0.
3mの範囲であるので、平均液体流路は0.5〜0.15mとな
る。
【0022】以下は本発明の装置の設計および使用につ
いてのガイダンスを提供するためと本発明による多重降
流管分留装置のトレイと従来のクロス−フロートレイと
の違いを示すという二重の目的で示す、市販の多重降流
管分留装置の測定結果である。垂直方向で隣接したトレ
イ間の間隔は通常は20〜91cm(8〜36インチ)の間で、
好ましくは25〜61cm(10〜24インチ)の範囲である。デ
ッキのオープン・エリアの総面積は通常はデッキ面積の
5〜15パーセントである。これにはトレイのデッキ・エ
リアの、本発明による円形開口部および細長い溝が含ま
れている。この円形の穴の通常の直径は0.3〜2.6cm(1/
8〜1.0インチ)の範囲である。通常0.47〜0.64cm(3/16
〜1/4インチ)の穴サイズが好まれる。溝によって提供
されるオープン・エリアは好ましくはデッキの面積の0.
25〜5パーセントの範囲である。デッキの標準的な厚み
は0.19〜0.34cm程度である。
【0023】降流管の取入口開口部は、通常、6〜25cm
(2.5〜10インチ)幅である。取出口堰の水平な上部端
から液体を封止可能な手段の底部までの高さは、通常、
15.2〜45.7cm(6〜18インチ)の幅である。これには降
流管がデッキとデッキの間で延びている高さも含まれ
る。降流管の上方に配置される流入防止遮蔽板は、通
常、垂直方向の長さが少なくとも7.5cmで、高さは35.6c
m(3〜14インチ)以下で、通常、長さが組み合わされ
ている降流管と等しくなっている。多重降流管分留装置
についてのさらに詳細な構造は、ここに文献として組み
込まれている米国特許出願3,410,540を参照されたい。
【0024】本発明は分留トレイのデッキ部分に多数の
蒸気流誘導溝を設けることにより、多重降流管分留装置
の蒸気容量を増大させるという課題を達成する。これら
の溝はこれらの溝を通じてデッキから上方に上昇するガ
スがトレイ上の液体に最も近い降流管の方向に向けて水
平方向に押す力、あるいはモーメントを付与するように
向けられている。多重降流管分留装置は、通常、少なく
とも2つの降流管を有しているが、小さなトレイの場
合、降流管でひとつであってもよい。したがって、各多
重降流管トレイは通常、少なくとも各横方向側面に添っ
た降流管を有するひとつのデッキ部分を有している。2
つの側に降流管を有するデッキ部分上の溝は、一番近い
降流管の方向に向けて、直径方向反対の方向に向けられ
た溝を有する。
【0025】こうした新しい構造設計は泡を多重降流管
分留装置の方向に向けて、そしてその内部に誘導すると
いう新しい機能を果たしている。それと比較して、先行
技術の溝は液体勾配を減らし、あるいは淀んだエリアを
なくすために、クロス−フロートレイの比較的長い流路
を通じて液体の流れを誘導するために用いられている。
【0026】溝を通じて上方に流れる蒸気は、一定の水
平方向成分をもったトレイ表面に対する角度で溝から出
ていき、その蒸気の水平方向モーメントの一部をトレイ
表面上方の液相あるいは懸濁液滴に与える。その結果、
泡を降流管の方向に押しやる力が生じる。したがって、
泡はより迅速に降流管に流しこまれ、トレイ上方の泡が
減少する。
【0027】デッキの上方で行われる撹拌は宙に浮かん
でいる液体液滴の不規則で、場合によっては非常に強力
な水平方向の動きを発生させる。したがって、『流入防
止』遮蔽板が降流管の取入口を通じて液体が流れるのを
防止するために、降流管の取入口の上方に配置されてい
る。降流管の取入口の上方を水平方向に通過する液体を
遮断し、この液体を降流管内部に誘導するのがこの流入
防止遮蔽板の機能である。基本的に、流入防止遮蔽板
は、それがなければ遮蔽板上方を通過させてしまい、液
体が重力の作用によって降流管取入口内部に落ち込むよ
うにしてしまう、液体粒子の水平方向のモーメントを吸
収するものである。この流入防止遮蔽板を設けると、ト
レイの性能および構造が強化され、本発明の目的を達成
する上で有益である。
【0028】以下の図を参照することによって、本発明
に関するより完全な理解が得られるであろう。図1は、
多重降流管分留装置の上部を上から見た図である。この
図に示されているトレイは6つの降流管を有しており、
分別蒸留塔1の円筒型壁によって取り囲まれている。各
降流管2は2つの降流管端壁5と2つの平行な側壁6に
よって構成されている。降流管はトレイ全体に均等の間
隔で配置されている。降流管間にはトレイの穴のあいた
デッキングまたはデッキ3部分が設けられている。デッ
キはまた、一番端の降流管とトレイの外周との間にも広
がっている。つまり、トレイの一番端の降流管とトレイ
の外周との間で挟まれている部分にも穴のあいたデッキ
があり、そこに、活性蒸気−液体接触手段が設けられて
いる。これらのデッキは、デッキ面全体に均等に分散さ
れた標準的な、左右対称の穴9と蒸気流誘導溝4との両
方を具えている。これらの溝と穴は詳細を示すために実
際の寸法通りには描かれていない。
【0029】降流管の隣接対間に配置されているデッキ
部分に設けられているこれらの溝は、直径方向で反対の
方向を向いた、2つのグループに分けられる。ひとつの
グループから上昇する蒸気は、デッキのこの部分に関連
した他の降流管に隣接して配置されている第2のグルー
プの溝を通じて上昇する蒸気に対して水平方向180度ず
れた方向に移動する。図1に示されているトレイには流
入防止遮蔽板は用いられていない。
【0030】図8はデッキング手段3の実際の一部を絵
画的に示したものである。この図は代表的な商業サイズ
および形状の円形穴9および蒸気流誘導溝4を示してい
る。この例では、開口部は図の下端に向いており、上昇
するガスを下方、図1から離れる方向に誘導する。円形
の穴の正確な位置ぞろえあるいは間隔は本発明において
は制御要素とはみなされない。同様に、蒸気流誘導溝の
配置も、溝を通じて上昇する蒸気の推進力が、トレイ上
の気泡と液体をもっとも近い降流管の方向に押しやる水
平方向のモーメントを付与する限り、重要な要素とはみ
なされない。これらの溝はトレイの表面で、直線、ある
いはジグザクに配置することができる。説明上の都合か
ら、図1では蒸気流誘導溝4が2列だけ示されている。
実際には、より多くの溝がデッキ・エリアに配置され
る。
【0031】いずれか2つの蒸気流誘導溝の間の代表的
な最大間隔は、約5〜17.8cm(2〜7インチ)の範囲で
ある。穴は好ましくは、デッキ・エリア全体にほぼ均等
に配置されている。製造費用を減らすために、デッキの
材料は通常、必要なだけの円形の開口部を設けるため
に、最初にデッキ材に穴をあけることによってつくられ
る。そして、蒸気流誘導溝を設けるために、第2の穴開
け工程が行われる。溝開口部の位置を揃えたり、溝開口
部を円形穴の間に配置させようとするような試みは行わ
れていない。したがって、図8に示されているように、
溝開口部の一部は実際には、円形開口部と同じ場所にあ
り、溝を形成するデッキ材の部分も穴を持つ場合もあ
る。
【0032】図2は分留塔を水平方向で見た断面図であ
る。図は、3つの多重降流管接触分留装置を示してお
り、それぞれ流入防止遮蔽板を用いている。この図は連
続するトレイで好ましい、そして、通常用いられてい
る、交互に直角方向に方向を変えて配置された構成を示
している。一番上のトレイは、降流管の側壁6の方向を
見た図を示している。この図は、ブレース8又はサポー
ト脚部によって降流管の上方に保持されている流入防止
遮蔽板7を示している。この図に示されている流入防止
遮蔽板のひとつの特徴は、この遮蔽板の底部端部17が関
連する降流管の上部端部13より上方にあることである。
この図はまた、降流管の取出口堰を設けるために、降流
管がトレイの上方1/5〜1/4インチの高さで配置されてお
り、降流管の残りがデッキの下に延びているという、多
重降流管分留装置の通常の特徴を図示している。
【0033】図2の中央のトレイの描写は、降流管2に
平行な流入防止遮蔽板手段の位置関係を示している。ま
た、最も近い降流管に向いた、蒸気流誘導溝4の方向を
示している。したがって、2つの隣接する降流管の間に
配置された蒸気流誘導溝が反対の方向を向いていること
がわかるであろう。つまり、ひとつの降流管に最も近接
して配置された溝は、その降流管の方向を向いている。
溝の方向は、2つの近接する降流管の中間の線にそって
それらの溝をそれぞれ最も近接した降流管の向いた2つ
の方向に分離する。
【0034】図3は図2に示されている降流管2の上部
部分およびそれに関連したデッキ材の構成を示してい
る。デッキ3は図に示されていない手段によって降流管
2の側壁6に取り付けられる。通常、『アングル』スト
ックの下側の部分は、デッキをサポートするために降流
管に溶接される。『アングル』ストックの第2の部分は
溝を形成するために、デッキの上方で壁にボルトで固定
される。円形の穴9はデッキの表面全体に均一に分散さ
れている。蒸気流誘導溝は降流管のそれぞれの側に配置
されており、溝の開口部は側壁6に対面している。液体
流入防止遮蔽板7は遮蔽板7と側壁6の両方にボルトで
固定されるなどの方法で取り付けることができるブレー
ス8によってサポートされている。流入防止遮蔽板は好
ましくは、降流管の全長に沿って、降流管側壁間に中心
を合わせて配置されている。実際の遮蔽板の総高は降流
管側壁の高さの少なくとも3分の1である。この遮蔽板
は降流管の取入口の上方に配置されているが、好ましく
は、図4に示される降流管の内部に延びている。
【0035】図4は降流管および流入防止遮蔽板7の別
の構成を示している。降流管2の側壁も図3に示されて
いるように、デッキ3に取り付けられているが、流入防
止遮蔽板7は降流管側壁6の上部端にボルトで固定され
る硬化ブレースバー15によって支承されている。このバ
ーは流入防止遮蔽板7に対して垂直である。降流管手段
自体の頑丈さが増大されるので、こうした構成が好まし
い。図4に示されている構成のもうひとつの特徴は、流
入防止遮蔽板7の下端17が降流管内部に配置されている
ことである。つまり、流入防止遮蔽板の下端は降流管取
入口の上端13の下側にあり、遮蔽板の下側部分が降流管
内部に配置されている。この遮蔽板は下方、デッキの方
に延びている。この図は、降流管2の底面を構成するい
くつかの方法のひとつも図示している。この実施例にお
いては、底板14が2つの側壁6を接続している。取出口
手段である多数の、比較的大きな開口部、または穴10
が、降流管内にたまる液体が迅速に出ていけるようにす
るために、底板14に設けられている。この板14の目的
は、降流管の底部が蒸気の上方への通路に対して液体に
より封止できるようにすることである。
【0036】多重降流管分留装置の構造におけるバリエ
ーションの1つは、降流管の底部に設けられ、降流管の
底部に必要な液体を封止可能な取出口手段の一部を形成
する開口部の構成を示している。これらの開口部の形状
は、円形、四角、あるいはいずれかの方向に、つまり降
流管の幅方向か長さ方向に沿って細長い形状のいずれか
であってよい。円形の開口部および、ルーバーと呼ばれ
ることもある側壁6の間に延びている細長い溝が好まし
い。
【0037】図5は降流管の底部に必要な液体を封止可
能な手段として適している別の構成を図示している。本
発明の本実施例においては、シール・トラフ16が側壁6
の底部端と浅いトラフ16の側面にボルトで固定できる短
めの垂直な脚部11を設けることによって降流管の下側部
分に取り付けられる。降流管の側壁の底部端部12とトラ
フの内部表面の間のスペースは液体が通れるように開い
たままになっている。トラフの上部が降流管の下端より
突き出ていることによってもたらされるシール上の小さ
な違いは、下方に流れる液体のモーメントと共に、ガス
が降流管に入り込むのを防ぐ上で十分な役割を果す。ガ
スが降流管内部に入り込むのは、ガスがトレイの接触エ
リアをバイパスしてしまうのを許す結果になるので、常
に望ましくない。
【0038】図6および7は蒸気流誘導溝4のひとつの
実施例の詳細を示している。図6はデッキ材3全体に分
散されている円形穴9付きの誘導溝を通して見た図を示
しており、溝4はデッキの一部に形成されている。この
溝は溝がデッキの面上方、角度aで上昇するように、金
属を切削、引き伸ばして形成される。このデッキは通常
使用時にトレイで絶対的に水平の位置になるように取り
付けられる。角度“a”は好ましくは5度から45度の範
囲である。図7は図6に図示されているのと同じデッキ
材の同じ小片の断面図であり、溝4の開口部をのぞき込
んだ図を示している。この実例では、溝が傾斜した側面
によってトレイに接続された比較的平らな上部表面によ
って形成されている。
【0039】この溝は、別の構成でつくることもでき
る。例えば、溝の上部表面の全体的な形状が、図7に示
されているように、開口部をのぞき込んだ場合に、円
形、あるいは楕円形にすることができる。溝の上部が傾
斜した側面でデッキに接続されていることが望ましい
が、効果的な蒸気流誘導溝を形成するためにそのように
構成しなければならないということではない。したがっ
て、これらの溝は溝のオープン・フロント部分での切断
に加えて、溝の側面に沿って切断される金属素材によっ
て形成することも可能である。こうした方法で構成され
る溝は、好ましくは、比較的長いので、溝を通じて上昇
するガスの総量のほんの一部だけが溝の側面を通じて降
流管に平行な方向で外部に出ていくことになる。標準的
な溝の密度はデッキ・エリアの1m2あたり、溝の数が
2.2以上である(デッキ・エリアの1平方フィートあた
り24個の溝)。
【0040】降流管の底部のルーバー、開口部、または
穴は開口部を出ていく液体がすぐ下のトレイ上に配置さ
れている降流管の開口上部端部の中へではなく、デッキ
材上に落ちるように配置されねばならない。すぐ下の降
流管に直接流れ落ちるようにするのは望ましくない。
【0041】図9は本発明による多重降流管分留装置を
用いた分留塔の一部分の内部を下方に除いたより詳細な
図を示している。トレイ自体は容器シェルの内側表面、
あるいは塔の外壁に向けて外部方向に延びている。デッ
キ3は容器壁の内側表面から最初の降流管2の方向に延
びている。トレイ表面のこの部分は、この特定の降流管
にだけ向いている蒸気流誘導溝を含んでいる。この第1
降流管とすぐ内側の降流管の間に配置されているトレイ
表面の部分は反対の方向に向いた蒸気流誘導溝を含んで
いる。この場合も、溝は、図示しやすくするための、実
際の寸法では描かれていない。この図は、降流管と位置
が揃えられ、側壁6のそれぞれから等しい距離に配置さ
れた流入防止遮蔽板7を有する降流管の内部を下方に見
下ろした図である。流入防止遮蔽板は降流管の長さ方向
に沿って配置される硬化ブレースバー15により固定さ
れ、支承されている。この図は降流管の底板の開口部の
2つの構成を示している。穴10は一番内側の部分に示さ
れており、細長いルーバー10′はこの同じ降流管の別の
部分とすぐ内側の降流管に示されている。これらの開口
部は塔のすぐ下側のデッキに対応してグループ化されて
いる。
【0042】図10はそれぞれ4つの降流管2を有する2
つの垂直方向に位置を揃えられた分留管トレイを示す、
平面部分図である。図の寸法は以下に述べる第2のテス
ト装置の寸法とほぼ比例している。この図は、下側のト
レイの遮蔽板が降流管の上方に延びており、流入防止遮
蔽板の上端19が降流管側壁の底部端部12の上方にあり、
したがって、降流管自体の底部の上方にきている。この
実施例では、下側の遮蔽板の上端とその下のものには降
流管を受け入れるための小さな切り欠き部がある。一番
上のトレイの流入防止遮蔽板の上端は平らで、好ましく
は、遮蔽板の固さを増大するために唇状部を形成するた
めに曲げられている。下側のトレイの遮蔽板の個々の部
分の上端にも、その最上部に唇状部を形成してもよい。
すべての流入防止遮蔽板の下端は好ましくは直線で、ト
レイ・デッキとほぼ同じ高さに配置されている。
【0043】流入防止遮蔽板の最上端とトレイ・デッキ
の底面間(降流管間)の垂直方向距離“d”はかなりの
範囲で変更することができる。流入防止遮蔽板の上端は
降流管間で上方に述べており、したがって、距離“d”
は降流管の底部を取り囲む流入防止遮蔽板切り欠き部の
中に設けられている対応する距離とほぼ等しくなってい
る。この上方への最大の延びは、図では、上部トレイの
下側表面の形状を表示する破線20によって示されてい
る。上側トレイの下側表面と流入防止遮蔽板の最上部端
部との間の分離は、流入防止遮蔽板の長さ全体に沿って
ほぼ均一になるであろう。また、流入防止遮蔽板の上方
への最大の延びは降流管間の遮蔽板の長めの部分に沿っ
てのみ起こり、端末部分はそれら降流管の下側の部分と
水平になる。この流入防止遮蔽板は、さらに流入防止遮
蔽板を固くするために降流管に取り付けることもでき
る。
【0044】図10はまた、降流管2を通じて延びてお
り、流入防止遮蔽板7の下端を受け入れるために切り欠
き部が設けられている硬化ブレースバー15の輪郭を示し
ている。このブレースの底部は、したがって、遮蔽板の
下側にあり、降流管の内側に延びている。流入防止遮蔽
板7および硬化ブレースバー15が降流管の内部に延びて
いることで、降流管内での渦流が減り、蒸気と液体の分
離が促進される。
【0045】図11は好ましくは降流管の上方で流入防止
遮蔽板を支承するために用いられる構造要素の詳細を示
している。これらの要素は硬化ブレースバー15と先細り
形状のブレース18とによって構成されている。これらの
要素は遮蔽板の長さ方向にそって交互に配置されてい
る。硬化ブレースバー15は降流管のトラフ全体にわたっ
て配置されることが好ましいが、必ずしもそうした配置
が必要ではない。この図の硬化ブレースバー15の構成
は、流入防止遮蔽板7の下側部分を受け入れ、それを取
り囲む中央の切り欠き部を有しており、したがって、横
方向への動きを防ぐと同時に遮蔽板を支承している。こ
れらのブレースは降流管の幅方向に延びており、両方の
側壁6に取り付けられている。先細り形状のブレース18
は対で用いられており、ひとつのブレースが流入防止遮
蔽板の各側面に取り付けられている。図10に、これらの
ブレースの最上部の三角形の構造が見える。これらのブ
レースは流入防止遮蔽板の上部部分の固さを増大させる
ためのものである。図11はまた、降流管の底板14のひと
まとまりの穴10を示している。
【0046】本発明は、化学化合物の分別蒸留において
有益で、基本的に円形の周囲を持ち、少なくとも3つの
狭い、トラフ状の相互に平行でトレイ全体にわたってほ
ぼ等間隔で配置されでいる長方形降流管を有するトレイ
として特徴づけることができ、各降流管は2つの向き合
った側壁と、2つの向き合った、側壁より短い端壁とに
より構成され、これら側壁および端壁がトレイの平面に
対して垂直に両方向に延びており、さらにトレイの平面
の一方の側に配置された上部端部を有しており、各降流
管が基本的には開かれた取入口およびトレイの平面の第
2の側(下側)に配置された液体を封止可能な取出口を
有しており、さらに、複数の細長い蒸気−液体接触デッ
キを有し、ひとつの蒸気−液体接触デッキが各降流管の
側壁に近接して配置されており、したがって、そのトレ
イが降流管よりひとつ多い蒸気−液体接触デッキを有し
ており、覆われていない、左右対称で、好ましくは円形
の穴が蒸気−液体接触デッキ全体に均等に分散されてお
り、そして、降流管の側壁がその接触デッキの両側に平
行な液体取出堰を形成しており、さらにこの蒸気−液体
接触デッキ上に配置され、一番近い降流管の方を向いた
開口部を有しており、その蒸気−液体接触デッキが、第
2のグループの溝から直径方向半体の方向に向けられた
第1のグループの溝を有しており、さらに少なくともひ
とつの、垂直方向外側、そして降流管の取入口の上方に
延び、降流管の側壁と位置を揃えられた垂直板を有する
液体流入防止手段とを有するトレイを特徴づけることが
できる。別の実施例で、このトレイは1つ、2つ、3
つ、4つ、5つ、およびそれより多数の個別降流管を有
するトレイと特徴づけることができる。
【0047】本発明のさらに包括的な実施例は、内部に
複数の本発明によるトレイを搭載した、閉じられた円筒
型外側容器を有する分留塔であり(降流管の方向で見
た)、垂直方向で隣接したトレイが相互に直交している
分留塔である。装置全体はリボイラーおよびリフラック
ス・システムなどの、接触させられるべき液体および蒸
気ストリームを送り込むための通常の付属部品を有する
ことになる。
【0048】
【実験例1】 実例 蒸気流誘導溝および流入防止遮蔽板を有する本発明によ
るトレイを、2つの装置を用いた多数の実験でテストし
た。この実験の目的は、本発明によるトレイを通常の多
重降流管分留装置と比較することであった。通常のトレ
イは、本発明によるトレイとほぼ等しいオープン・エリ
アを有するただ一つの円形穴を含んでいる。トレイの各
タイプ毎に、異なった液体の流速およびF係数で気泡の
高さを測定した。F係数は、VSとdg/(dl−dg)の
平方をかけたものとして定義され、ここでVSは気泡発
生エリアでの空気の流速、dgは空気密度、そしてdl
液体(水)の密度である。したがって、本発明によるト
レイにおける気泡の高さを減少させる能力を評価するた
めに、F係数を変えて、気泡の高さの比較を行った。こ
れらの実験は、各トレイ・タイプの蒸気容量を比較する
ことも目的としていた。最大蒸気容量は、気泡の高さが
上のトレイに達した状態で決められた。この状態をトレ
イの溢出点を表現する。
【0049】使用された第1のテスト装置は、正方形の
塔で、寸法はおおよそ0.61m×0.61m(2フィート×2
フィート)であった。この装置は、そのサイズを簡単に
変えることがえきるので、新しいアイディアをテストす
るために空気と水を使用する。この塔で用いることがで
きる高蒸気流量が、通常の多重降流管分留装置と本発明
による多重降流管分留装置の気泡の高さおよび蒸気容量
を評価および比較するために用いられた。テストに用い
られた塔は3つのトレイを有し、トレイ間の間隔は38.1
cm(15インチ)であった。各トレイは、12.7cm(5イン
チ)幅のひとつの降流管を有し、その気泡発生エリアの
総面積は0.29m2(3.1平方フィート)であった。降流管
の総高は16.5cm(6.5インチ)で、そのうちの3.8cm(1.
5インチ)は取出口堰としてトレイ・デッキの上方に延
びていた。デッキは0.19cm(0.076インチ)の厚さのス
テンレス・スチールでつくられており、直径0.476cm
(0.1875インチ)の穴をもっていた。溝付きのトレイの
場合、各“C”溝のオープン・エリアは24.4mm2(0.038
平方フィート)で、各トレイはひとつの、高さが16.5cm
(6.5インチ)の流入防止遮蔽板を含んでいた。本発明
によるトレイの円形穴は、トレイ・デッキ活性(気泡発
生)エリアの14.2パーセントを占め、そして、溝は活性
エリアの2.0パーセントを占めていた。溝が付いていな
いトレイは16.3パーセントのオープン・エリアを有して
いた(円形の穴だけ)。
【0050】これらのテストの結果、溝付きの多重降流
管分留装置では、溝付きでない多重降流管分留装置と比
較して、気泡の高さがかなり減ることが明らかになっ
た。蒸気の流速が高い場合、溝付きのトレイでは、観察
された気泡の高さが8.4cm(3.3インチ)程度減少した。
気泡の高さが減ると本発明のトレイでは、より高い蒸気
流速(F係数)で稼働することができた。こうして、こ
れらの実験では、溝および遮蔽板を有する本発明による
トレイは、溝および遮蔽板を有していない多重降流管分
留装置より大きな蒸気容量を有していることが明らかに
なった。
【0051】
【実験例2】第2の装置では、本発明によるトレイを市
販の寸法の装置で評価することが可能であった。この塔
は直径がほぼ8フィートで、30.5cm(12インチ)の間隔
を置いて、3つのトレイを有している。これらのトレイ
は幅が12.7cm(5フィート)の降流管を含んでおり、降
流管の総高は16.5cm(6.5インチ)である。これらの降
流管はトレイ・デッキ上方に2.54cm(1.0インチ)だけ
延びていた。溝付きのトレイは、円形の穴が設けられて
いる結果、12.5パーセントのオープン・エリアを有して
おり、また、溝によって1.8パーセントのオープン・エ
リアを有していた。また、これらのトレイは高さ20.3cm
(8.0インチ)の流入防止遮蔽板を有していた。従来の
トレイのオープン・エリアは14.4パーセント(円形の穴
だけ)を占めていた。高さ8フィートのテスト塔は大気
圧下で稼働し、テスト流体として、水と空気を用いる。
トレイ上でのテストによって、本発明によるトレイで
は、従来のトレイと比較して、気泡の高さがかなり減っ
たことが明らかになった。液体堰負荷が6.05 l/m秒
(堰1フィートあたり0.065CFS)の条件でテストを
行った結果、溝付きのトレイでは、観察された気泡の高
さが、高いベーパーレイトにおいて、7.3cm程度減少し
た。これらのテストの結果、より小さなテスト塔を用い
ての先の知見が裏づけられた。本発明による溝および遮
蔽板を設けた多重降流管分留装置は、気泡の高さを減ら
す本発明によるトレイの能力によって、従来の多重降流
管分留装置より蒸気容量が大きかった。表1に、流速を
変えた場合の、8フィート塔からの溢出点を示す。液体
の流速は堰1フィートあたり1秒毎の立方フィート、お
よび堰1メートルあたり1秒毎のリットルで示してい
る。表1のF係数は、トレイの気泡がトレイのスペース
を完全に満たした時点での蒸気の流速を示している。液
体堰負荷が最大6.05 l/m秒(0.065 CFS/フィー
ト)までの範囲で、本発明のトレイでは、蒸気容量が従
来の多重降流管と比較して15〜22パーセント増大するこ
とが認められた。
【0052】
【表1】
【0053】本発明がより向上した性能を実現するの
は、トレイ・デッキ上に漂っている液体液滴に対して水
平方向の動きを付与するからであり、この動きは、蒸気
流誘導溝を通じて上昇するガスから漂っている液体液滴
にモーメントが伝えられる結果である。その結果、多数
の液滴が漂っている間に降流管の開放された上端部上方
のエリアに流れ込み、さらに降流管内に流れ込む。こう
して、気泡はトレイ表面から迅速に取り除かれる。ま
た、溝が液滴の軌道を平均してより平らな(より水平
な)ものとし、それによって円形の穴から上方に吹き出
される垂直に上昇する液滴に影響を及ぼすことが考えら
れる。これによっても、最初の段階で全体としては垂直
な軌道を有する液滴が到着する平均的な高さが減少する
ことになる。
【0054】
【発明の効果】本発明によるトレイの改良された性能
は、実際の分離を行った2つの追加テストでも確認され
ている。メタノールと水を分離するための直径60cmの塔
を用いる大学のテスト施設で行われたテストで、本発明
によるトレイの性能が、先行技術に基づく多重降流管分
留装置と比較して向上しており、エタンをエチレンから
除去するために用いられる市販の分留塔内に設置された
従来の多重降流管分留装置を本発明によるトレイと取り
替えて行った実験でも、より確実なテスト結果が得られ
た。その結果、分離効率は減少せずにその塔は前の容量
より115パーセント上回った容量で稼働することが可能
であるという効果がある。そして、より大きな容量の増
大も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分留装置の一実施例を上から見下
ろした図である。並列降流管2が蒸気−液体接触デッキ
3の間に設けられている。
【図2】本発明による分留装置の少し異なった実施例の
分別蒸留塔1を通る平面でとった断面図である。
【図3】その中央の位置に、そしてその上部開口部の上
方に脚部8によって支えられた流入防止遮蔽板を有する
降流管2の上部部分の断面図である。
【図4】降流管内部に延びた流入防止遮蔽板、および降
流管の底部端部の穴のあいた底板14で構成された液体を
封止可能な取出口手段を示す断面図である。
【図5】脚部11によって降流管の開口底端部に取り付け
られたシール・トラフ16で構成された、降流管下端に設
けられた液体を封止可能な取出口の別の構造を示す、降
流管2に下側部分の断面である。
【図6】蒸気流誘導溝4の側面を示すデッキ3の一部の
断面図である。
【図7】蒸気流誘導溝4の取出口をのぞき込む方向で見
た、線7に沿って見たデッキ3の一部の断面図である。
【図8】ひとつのデッキ材上での適切な円形穴9および
蒸気誘導溝4の大きさと配置を示すために実物大で描い
た小部分の断面図である。
【図9】流入防止遮蔽板7を有する多重降流管トレイを
上から見た、そして別のタイプの穴10を示す分別蒸留塔
1の断面図である。
【図10】上記流入防止遮蔽板がすぐ上のトレイの降流
管の底部より上方に延びている本発明の一実施例を示し
ている。
【図11】硬化ブレースバー15および先細り形状のブレ
ース18の詳細を示す降流管の断面の底面図である。
【符号の説明】
2 降流管 3 蒸気−液体接触デッキ 4 蒸気流誘導溝 5 端部壁 6 側壁 7 流入防止遮蔽板 10 取出口手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直方向に位置が揃えられ、それぞれほ
    ぼ円形の周辺部を有する上側第1、および下側第2の蒸
    気−液体接触トレイを有し、さらに、(i)少なくとも
    2つの、相互に平行で、トレイ状で等距離に隔てられ
    た、狭い、谷状の降流管(2,2)で、それぞれ、2つの
    向き合った側壁(6,6)と、上記側壁より短い2つの端
    部壁(5,5)により形成されており、それら側壁および
    端壁がトレイの面に対して垂直方向を向いており、ま
    た、それぞれ、液体を封止可能な取出口手段(10)を有し
    ている降流管(2)と、(ii)複数の、細長い蒸気−液体
    接触デッキ(3)で、それぞれ各降流管の側壁(6)に隣接
    して配置されて、トレイが降流管(2)より少なくとも1
    つ以上の蒸気−液体接触デッキを有し、蒸気−液体接触
    デッキ(3)の表面全体にわたって、蒸気穴が均一に開け
    られており、蒸気穴の少なくとも一部が降流管の側壁
    (6)に向いた開口部を有する蒸気流誘導溝(4)を形成す
    る蒸気−液体接触デッキ(3)とを具え、第2蒸気−液体
    接触トレイの降流管(2)が第1蒸気−液体接触トレイの
    降流管に対して垂直で、それぞれのトレイが、それぞれ
    降流管側壁(6)に平行なトレイの降流管(2)上に中心線
    を合わせて取り付けられた垂直板を有する複数の流入防
    止遮蔽板(7)を有しており、下側第2蒸気−液体接触ト
    レイの流入防止遮蔽板(7)が上側第1蒸気−液体接触ト
    レイの降流管の底部部分を取り囲む切り欠き部を有して
    いることを特徴とする多重降流管分留装置。
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