JPH08105815A - 遠心送風機内流体流れの3次元解析方法とその装置 - Google Patents

遠心送風機内流体流れの3次元解析方法とその装置

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JPH08105815A
JPH08105815A JP24159694A JP24159694A JPH08105815A JP H08105815 A JPH08105815 A JP H08105815A JP 24159694 A JP24159694 A JP 24159694A JP 24159694 A JP24159694 A JP 24159694A JP H08105815 A JPH08105815 A JP H08105815A
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scroll
flow
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analysis
blade
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JP24159694A
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Katsuichi Yamamoto
勝一 山本
Masaaki Kawahashi
正昭 川橋
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Bosch Corp
Original Assignee
Zexel Corp
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Publication date
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  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な計算機処理で、遠心送風機内の3次元
の流れの解析を行う。 【構成】 スクロール壁を有する遠心送風機内の流れ解
析において、流体の解析領域を2乃至3翼(数枚の翼)
とスクロール壁に囲まれた空間とし、この壁が所定のス
クロール拡がり率に従って定速度で移動する条件と、前
記2乃至3翼間の広がり角度を一定とする条件とを与
え、所定のスクロール角位置における解析空間の流れ場
を翼とともに回転する円筒座標系で解析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遠心送風機内流体流れの
3次元解析に関し、特にスクロール状に形状が変化する
固定壁を備えた遠心送風機内の流体の流れの解析に関す
る。
【0002】
【従来の技術】遠心送風機は様々な用途に多用されてお
り、その高効率化および低騒音化は常に重要な問題とな
ってきた。しかし、従来から多くの研究結果に基づき、
改良すべき点の大部分はすでに対策済である。今後さら
に送風機の高効率化および低騒音化を図るには、送風機
内の流体の方向,量,大きさ等の詳細な3次元流れ解析
が必要となる。しかし、吸い込み口,回転羽根車,およ
びスクロールを通過して吐き出し口に至る遠心送風機内
3次元流れについては、実験および解析のいずれも容易
ではない。
【0003】最近の計算機および数値解析法の発達は、
大規模計算を可能とし、遠心送風機の実機全体を解析領
域とした流れの解析も可能となってきた。その結果、時
間と計算コストを厭わず、実機内3次元流れの直接解析
を行って、設計基準の検討および問題点の改良を行なお
うとする傾向にある。しかし、もし計算機負荷を低減し
たコンパクトな計算で、必要な流れの情報を得ることが
できれば、それに越したことはない。さらに、遠心送風
機各要素が、それぞれ送風機内の3次元流れにどのよう
な影響を及ぼすかについて、簡便な計算によって繰り返
して確認することが出来れば、送風機設計への寄与は大
きい。
【0004】一方、普及形の遠心送風機はスクロール壁
の半径がスクロール巻き角によって変化する。このた
め、機内における流れの3次元構造を円筒座標系で解析
するのは、計算機を利用しても多大な時間と労力とがか
かる。そこで、簡易な計算機処理によって、機内の流れ
の3次元構造を容易に解析し、解析回数を増やし、分析
を重ねれば、流れの高効率化および低騒音化の開発が一
段と進歩すると思われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、スクロールの
任意断面における翼間の流れを理解する為に、流れ場を
数値解析する必要がある。この場合、スクロール壁の位
置が変化する為、流れ場全体を解析しなければ特定(任
意)断面の情報が得られないと考えられている。流れ場
全体を解析するには、計算機のCPUの負荷が大きく実
用上解析回数を増やしたり、簡単に分析を行うことは困
難である。そこで、本発明では、車載用空調器に用いら
れる多翼ファンの高効率化および低騒音化を最終的な目
的とし、その最初のステップとして遠心送風機内3次元
流れの簡易解析法を検討した。本発明の他の目的は、半
径方向,周方向の流れ、あるいは翼の表面に生じる圧力
分布の詳細な解析が行えるようにし、また小型,安価な
普及型の計算機を使用できるようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る遠
心送風機内流体流れの3次元解析方法とその装置は、複
数の翼のうち2乃至3翼と壁に囲まれた空間を流体の解
析領域として設定し、壁が所定のスクロール拡がり率に
従って半径方向に定速度で移動する径方向の条件を与
え、かつ周方向に前記2乃至3翼間の一定広がり角度の
条件を与え、壁が前記翼に最も接近したときをスクロー
ル巻き角の始まりとして所定のスクロール巻き角位置に
おける空間内の流れ場を、翼とともに回転する座標系に
おいて解析するものである。
【0007】請求項2の発明に係る遠心送風機内流体流
れの3次元解析方法とその装置は、所定のスクロール巻
き角における2乃至3翼間の通過流について、半径方向
の流速分布を解析する。
【0008】請求項3の発明に係る遠心送風機内流体流
れの3次元解析方法とその装置は、所定のスクロール巻
き角における2乃至3翼間の通過流について、周方向の
流速分布を解析するものである。
【0009】請求項4の発明に係る遠心送風機内流体流
れの3次元解析方法とその装置は、所定のスクロール巻
き角における翼の表面に生じる圧力分布を解析するもの
である。
【0010】請求項5の発明に係る遠心送風機内流体流
れの3次元解析方法とその装置は、翼とともに回転する
円筒座標系を入力する入出力回路と、この座標系内に有
限要素法による差分法を入力する入出力回路と、壁に関
するスクロール式R=(D2/2)・exp(θtan
β)を入力する入出力回路と、この式中のスクロール広
がり率βとスクロール差角θ及び翼の外径D2値を入力
する入出力回路と、これら各入出力回路から各要素を入
力して3次元非圧縮ナビエストークス方程式を解き、流
れ場の数値解析を行う中央演算装置とからなるものであ
る。
【0011】
【作用】請求項1の発明では、複数の翼のうち2乃至3
翼と壁に囲まれた空間を流体の解析領域として設定し、
壁が所定のスクロール拡がり率に従って半径方向に定速
度で移動する径方向の条件を与え、かつ周方向に前記2
乃至3翼間の一定広がり角度の条件を与え、壁が前記翼
に最も接近したときをスクロール巻き角の始まりとして
所定のスクロール巻き角位置における空間内の流れ場
を、翼とともに回転する座標系において解析することに
より、定常解が得られる。
【0012】請求項2の発明では、半径方向の流速分布
を解析することにより、スクロール巻き角に対する流入
量の変化,翼通過流の変化など、半径方向の流れの高効
率化の詳細分析を行う。
【0013】請求項3の発明では、周方向の流速分布を
解析することにより、周方向の流れの高効率化の詳細分
析を行う。
【0014】請求項4の発明では、翼の表面に生じる圧
力分布を解析することにより、送風機の騒音分析が行え
るようにする。
【0015】請求項5の発明では、中央演算装置によっ
て、3次元非圧縮ナビエストークス方程式を解き、流れ
場の数値解析を行うことにより、普及型の低価格の計算
機でも3次元解析が簡単に行なえるようにする。
【0016】
【実施例】本発明では、簡単のために羽根半径方向に対
して出口角90度の径向き平板翼を有する送風機内の3
次元流れを対象として、その計算手法および計算結果に
ついて述べる。 モデル送風機の構成;図1において、1はコーン状のモ
ータ軸、2はモータ軸1に固定された円板、3は円板2
に垂直に設けられた複数の平板翼である。各平板翼3の
先端は中空の円環4に固定され、各平板翼3は夫々平行
であり、かつ円板2と円環4とも平行である。モータの
ケーシング5には、スクロール形状のファンケーシング
6が固定され、ファンケーシング6の中にモータ軸1,
円板2,複数の平板翼3,円環4が回転自在に格納され
ている。
【0017】ファンケーシング6は、モータケーシング
5に固定される主板側7とスクロール壁8と円環4の中
空と重なる中空口9を有する副側板10と、出口の水平
板11とから構成されている。モータ軸1が円板2,複
数の平板翼3,円環4とともに回転すると、空気が中空
口9を通して流入し、平板翼3の間を通ってスクロール
壁8に当り、押し出され、モータ軸1と直交方向の出口
15から矢印A方向に吹き出すようになっている。
【0018】解析法;本発明では、単純化されたモデル
により送風機内の3次元流れに対する基礎的知見を得る
ことを目的としている。そのため、はじめに解析対象と
するのは前述の径向き平板翼を有する遠心送風機であ
る。例えば羽根車の内径は図1においては150mm、
外径は200mm,羽根枚数は24枚、羽根幅は65m
mとした。なお、翼は厚さのない平板翼3であるとす
る。一方、図2において、スクロールの形状は、即ち中
心Oからのスクロール壁8の距離は R=(D2/2)・exp(θtanβ) なる式により定まるものとした。
【0019】ここで、Rはスクロール壁8の位置であり
巻き角θにおけるスクロール外周半径、D2は羽根車外
周径であり、距離βは拡がり率である。したがって、ス
クロール形状はβの値によって定まることになる。な
お、本解析モデルではβ=6゜とした。また、羽根車主
板側7には実際に多翼ファンで使用されている形状に近
いコーン軸1が存在するものとする。このようなモデル
送風機について、スクロールの巻き角θの変化に対する
流入流,翼通過流,スクロールケーシング6内流れなど
の変化、およびコーンの影響などを解析する。
【0020】本発明における計算法を以下に述べる。基
礎式は3次元非圧縮性ナビエストークス方程式(運動量
方程式)であり、羽根車の回転と同じ角速度で回転する
図28乃至図32の円筒座標系を使用し、差分法による
数値解析を行う。このとき、移流項の離散化は1次風上
差分(高次差分も可)によるものとし、圧力場の修正に
はHS−MAC法(SMAC法でも可)を用いた。な
お、本発明における計算では層流計算(乱流モデルも
可)とする。
【0021】解析領域は、図2と図28乃至図32に示
すように、例えば回転羽根車の3枚(2乃至3枚、すな
わち数枚)の平板翼3の間の領域とする。このとき解析
領域の中心角は15度となる。このような解析領域を、
図1に示されているモデルに対してそのまま回転座標系
で計算することは困難である。すなわち、羽根車の回転
と共に解析領域の外周境界の壁8がスクロール形状に応
じてその位置が変化するため、複雑な移動境界問題を伴
う非定常解析を行わなければならない。
【0022】本発明では、図2に示した解析領域におい
て形成される流れ場を以下のように仮定すると、定常解
析が可能となる。解析領域が、あるスクロール巻き角θ
の位置に存在するときに生じている流入流量の最大値φ
は、その位置での相対回転座標系に対するスクロール体
積の増加割合ΔVによって定まるものとする。 Q=f(ΔV)θ………(1)
【0023】その結果、解析領域外周部、すなわちスク
ロール壁8の位置に、スクロール拡がり率によって定ま
る半径方向に一定速度の境界条件を与え、さらに周方向
には周期境界条件(2乃至3翼間の一定広がり角度な
ど)を課すことにより、各スクロール巻き角θ位置にお
ける流れ場についての定常解が求まることになる。この
ような計算法を用いることにより、スクロール巻き角θ
に対する流入流、翼通過流およびスクロール内流れの変
化を解析することができる。
【0024】図28乃至図32において、直角座標x,
y,zに対するr,θ,zの円柱座標を示す。z軸がモ
ータ軸1の方向であり、平板翼3の幅方向となる。又平
板翼3の内径r1,外径r2が半径方向rであり、x軸
からの平板翼3の角度位置がθとなる。空気の流入量
は、2板の平板翼3,3の各延長平面とスクロール壁8
との間に囲まれる空間V(P1,P2,P3,P4,Q
1,Q2,Q3,Q4)について、角度位置θで解析す
る。
【0025】角度位置θがモータ軸1の回転により変化
すると、スクロール壁8がz軸より遠ざかる方向に移動
し、空間Vが増大する。その変化量ΔVは変化角度Δθ
の関数となる。 ΔV=G(Δθ) V1−V2=G(θ1−θ2)……(2) 前式(1)は、 Q=f{G(Δθ)}……(3) となり、流入量の最大値Qは、変化角度Δθの関数とな
る。
【0026】次にこの空間Vを、r,θ,z各軸の方向
に複数にそれぞれ均等に分割し、多数の小さな格子空間
vを作成する。この最小格子空間vを計算領域の素領域
とする有限要素法の流体計算を実行する。計算領域の格
子分割の一例が、図3に示されている。格子は、半径
(r)方向、周(θ)方向,翼幅(z)方向のいずれも
均等分割されている。なお、送風機内部の格子数は、例
えば半径方向に中心から羽根車外周までを20とし、周
方向は30、翼幅方向15である。スクロール内につい
ては巻き角θに応じて定まるスクロール壁8の内側の領
域が同一間隔で格子分割されている。
【0027】なお、モータ軸1の外形が形成するコーン
部については、傾斜面はz方向にステップ状に格子を形
成する。又、送風機外部中空口9側の空気吸込み空間に
は、翼幅と同じ幅15格子で、かつ、羽根車外周20格
子の2倍の40格子の半径を有し、角度幅θ=15°の
立体角で囲まれる領域を解析領域Sとし、その領域が同
様に均等格子分割(40×15×15)されている。
【0028】解析結果および考察;本解析では、送風機
内流れの、特に平板翼3の外縁のシュラウド側流れ、コ
ーン周りの流れ、平板翼3間の通過流およびスクロール
内2次流に着目し、これらがスクロール巻き角θにより
どのように変化するかを調べる。巻き角θにおける解析
に使用した式を整理すると以下のようになる。壁8の位
置におけるスクロール半径Rはつぎの数式1のとおり。
【数1】
【0029】又、Hは翼幅(z方向)、ΔRはスクロー
ル変化長、Δθは巻き角θの変化分、×は単に積の記号
である。更に、ωはモータ軸1(平板翼3)の角速度、
q360は巻角360°における体積変化量(ΔV)、
R(360)は巻角360°におけるスクロール半径
(壁8の位置)で初期及び境界条件の定数である。
【0030】上述の境界条件の設定により、翼通過流量
は、使用した解析モデルのスクロール形状にしたがっ
て、スクロール巻き角θによって変化する。その流量の
変化が、図5に示されている。この結果、使用したスク
ロール形状では、巻き角θと翼通過流量Qがほぼ線形関
係にあることがわかる。また、スクロール壁の移動速度
は、本実施例の対数広がりの、もののみでなくても可能
で、比例式広がり壁をもつものへの適用も可能である。
【0031】遠心送風機内の翼通過流については、幾つ
かの実験的研究があり、その基本的特徴が明らかにされ
ている。それらの特徴の中で特に問題となるのは、翼通
過流半径方向流速の翼幅(z軸)方向分布が主板側7に
大きく偏ること、平板翼3間流れにおける負圧面剥離の
状態が翼幅(z軸)方向に変化すること、およびスクロ
ール壁8内に発生する旋回2次流である。ここで平板翼
3は図6及び図7中θ方向に回転(回転座標では空気が
−θ方向に移動)している。
【0032】そこで、スクロール巻き角θによりこれら
の流れの様子がどのように変化するかを明らかにするた
め、巻き角=105°,195°および315°につい
ての計算結果を、各断面内流速ベクトル線図により以下
に示す。このときのθの値は、解析領域の中心の値であ
る。なお、計算結果は、図6及び図7に示すような平板
翼3に平行な断面−,それに垂直な断面で主板側7
に近い断面の順に−,−,−断面について
表示されている。はじめに、断面におけるr−z面内
成分流速ベクトル線図が図8,図9,図10に示されて
いる。
【0033】これらの結果より、平板翼3間の通過流の
半径(r)方向流速分布は角θの増加(90°→180
°→300°)とともに主板側7に偏ること、平板翼3
間の通過流が形成する旋回2次流は角θの増加とともに
その中心がスクロール外周側の上部に移動し、羽根車上
部の逆流域を形成することが分かる。これらの結果は、
多翼ファン内のスクロール内流れの実測値の傾向と一致
している。さらに、コーン軸1下部での剥離流lが観測
される。
【0034】つぎに、図7の断面,およびにおけ
るr−θ面内成分の回転座標系における流速ベクトル線
図が図11乃至図19に示されている。これらの結果よ
り、負圧面側(平板翼3の回転方向の後方)に形成され
る剥離領域mの大きさは、いずれの場合も前縁部(平板
翼3の内径側)近傍で最も小さくなり、後縁部同外径側
に向かって拡大していくことが明らかになった。
【0035】さらにシュラウド面平板翼3の外径側近傍
では、θ=105°の場合を除き、全体が逆流領域とな
っている。また、用いた羽根車では、翼形状が径向き平
板翼3であることから、スクロール内周方向流速は、翼
端速度よりも小さい。図20乃至図22に、図7の断面
−における絶対速度のr−θ面内成分についての流
速ベクトル線図を示す。この結果、羽根車回転方向に生
じるスクロール内流れを示すとともに、スクロール内流
れにおよぼす翼通過流の後流の影響が示されている。
【0036】平板翼3面上に生じる圧力分布は、騒音解
析への拡張の段階で重要となる。本発明では、負圧面圧
力分布および(図6の)断面−における平板翼3周
り圧力分布図を、図23乃至図26に示す。この結果、
θ=105°では負圧面前縁部側で圧力が最小となる
が、角θの増加とともに、羽根車中央部で圧力最小とな
り、負圧領域が翼長さz方向に拡大していく。
【0037】平板翼3周り圧力分布では、角θの増加と
ともに負圧領域が翼長さz方向に拡大していく。圧力分
布についての結果を、スクロール側壁8における圧力と
して図27に示す。この結果は、多翼ファンにおける最
大流量状態で実測された圧力分布の傾向と一致してい
る。
【0038】以上の結果は、図1に示した送風機モデル
についての解析結果であるが、ここで、コーン軸1の影
響を明らかにするため、コーンの存在しない羽根車につ
いての解析を行い、上述の結果と比較検討する。図28
乃至図32に、θ=315°における図6及び図7の
−,−,−,−の各断面での流速ベクト
ル線図を示す。これは流入口(中空口)9内にコーン軸
1がなく、空気の流入抵抗が減少した状態を示してい
る。
【0039】これらの結果を、図8乃至図25の結果と
比較し、以下の点が明らかになった。r−z面内の翼通
過流流速分布では、図10に示すθ=315°と比較し
て全体的に半径r方向成分が増加し、その翼幅z方向分
布では、ハブ面内径近傍で最大値をとる。スクロール内
旋回2次流Sの形態はほとんど変化しない。ハブ面近傍
での負圧面剥離領域の大きさは、コーン付きの場合に比
べて増加するが、スパン方向の中央部ではほぼ同じであ
る。つぎに、圧力分布について比較すると、コーンがな
い場合の結果は、コーン付きの場合と大きく異なること
が示されている。
【0040】図34に上記3次元解析を実行する電子計
算機のブロック回路図を示す。基礎となる運動量方程
式,3次元非圧縮ナビエストークス方程式を記憶し、中
央演算装置(CPU)20に入力する第1回路24を設
ける。又翼3とともに回転する図28乃至図32の円筒
座標系を記憶し、CPU20に入力する第2回路25
と、代数格子生成法等により翼3と壁8に囲まれた空間
を図3及び図4の多格子による小空間に均等分割する第
3回路26とを設ける。
【0041】又、壁8の位置を決める式R=(D2/
2)・exp(θtanβ)を記憶し、CPU20に入
力する第4回路27と、この式の定数β,θ,D2を記
憶し、CPU20に入力する第5回路28とを設ける。
CPU20はこれら入力された式や数値及び各種条件を
ROM23に格納された演算プログラムの手順に従って
処理する。途中結果や必要な数値をRAM21に一時記
憶し、解析演算を完了する。解析結果の数値やグラフを
表示装置22に表示し、必要に応じてハードコピーを出
力する。
【0042】以上のようにして、遠心送風機内の流れに
ついて、特に翼間の基本的流れのメカニズムの理解が可
能となった。又、送風機騒音の基本的なメカニズムの理
解が可能となった。
【0043】本発明によれば、送風機内流れについての
簡易解析法により、平板翼遠心送風機内流れの解析を行
った結果、翼通過流およびスクロール内流れの3次元的
構造、およびコーンの影響などを明らかにした。この結
果、送風機の高効率化および低騒音化を計るための解析
では、その3次元性が基本的問題となることを改めて確
認できた。本解析で用いた手法をBFC系に拡張し、任
意の翼型形状に適用して解析を行うことはそれほど困難
ではない。今後、差分スキームの検討も併せて行い、送
風機の改良に向けた新たな解析方法の開発の糸口とな
る。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、複数の翼のう
ち2乃至3翼間(数枚の翼間)と壁に囲まれた空間を流
体の解析領域として設定し、壁が所定のスクロール拡が
り率に従って半径方向に定速度で移動する径方向の条件
を与え、かつ周方向に2乃至3翼間の一定広がり角度の
条件を与え、壁が前記翼に最も接近したときをスクロー
ル巻き角の始まりとして所定のスクロール巻き角位置に
おける空間内の流れ場を、翼とともに回転する座標系に
おいて解析するようにしたので、これにより定常解が得
られるため、簡単な計算機処理によっても機内の3次元
構造が容易に解析できる。
【0045】請求項2の発明によれば、半径方向の流速
分布を解析するようにしたので、これにより、スクロー
ル巻き角に対する流入量の変化、翼通過流の変化など半
径方向の流れの高効率化の詳細解析が可能となる。
【0046】請求項3の発明によれば、周方向の流速分
布を解析するようにしたので、これにより、周方向の流
れの高効率化の詳細分析に役立つ。
【0047】請求項4の発明によれば、所定のスクロー
ル巻き角における翼の表面に生じる圧力分布を解析する
ようにしたので、これにより、送風機の騒音分解が進歩
し、低騒音化に役立つ。
【0048】請求項5の発明によれば、翼とともに回転
する円筒座標系を入力する入出力回路と、この座標系内
に有限要素法による差分法を入力する入出力回路と、壁
に関するスクロール式R=(D2/2)・exp(θt
anβ)を入力する入出力回路と、この式中のスクロー
ル拡がり率βとスクロール差角θ及び翼の外径D2値を
入力する入出力回路と、これら各入出力回路から各要素
を入力して3次元非圧縮ナビエストークス方程式を解
き、流れ場の数値解析を行う中央演算装置とからなるよ
うに構成したので、大型で高価な計算機を使用すること
なく普及型の低価格の計算機でも3次元解析が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なスクロール型遠心送風機の構成を示
す図である。
【図2】 本発明の方法を適応するために図1の遠心送
風機の内部で解析領域を設定した図である。
【図3】 図2の解析領域を代数格子生成法等により格
子分割をしたメッシュ形状を示す図である。
【図4】 図2の解析領域を代数格子生成法等により格
子分割をしたメッシュ形状を示す図である。
【図5】 スクロール巻き角の角位置における流量を示
すグラフ図である。
【図6】 図2を拡大し、流速観察用の断面指示を示す
図である。
【図7】 図2を拡大し、流速観察用の断面指示を示す
図である。
【図8】 図6の断面−における各角位置における
流速ベクトル図である。
【図9】 図6の断面−における各角位置における
流速ベクトル図である。
【図10】 図6の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図11】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図12】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図13】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図14】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図15】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図16】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図17】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図18】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図19】 図7の断面−における各角位置におけ
る流速ベクトル図である。
【図20】 図7の断面−における絶対座標系での
流速ベクトル図である。
【図21】 図7の断面−における絶対座標系での
流速ベクトル図である。
【図22】 図7の断面−における絶対座標系での
流速ベクトル図である。
【図23】 翼面上の負圧面の圧力分布図である。
【図24】 翼面上の負圧面の圧力分布図である。
【図25】 翼面上の負圧面の圧力分布図である。
【図26】 翼面上の正/負圧面の圧力分布のグラフ図
である。
【図27】 スクロール面壁の圧力分布グラフ図であ
る。
【図28】 コーン状の軸を除去した、遠心送風機の出
口付近での図6の断面−における流速ベクトル図で
ある。
【図29】 コーン状の軸を除去した、遠心送風機の出
口付近での図7の断面−における流速ベクトル図で
ある。
【図30】 コーン状の軸を除去した、遠心送風機の出
口付近での図7の断面−における流速ベクトル図で
ある。
【図31】 コーン状の軸を除去した、遠心送風機の出
口付近での図7の断面−における絶対座標系での流
速ベクトル図である。
【図32】 コーン状の軸を除去した、遠心送風機の出
口付近での図7の断面−における流速ベクトル図で
ある。
【図33】 本発明が使用する円筒座標の斜視図であ
る。
【図34】 本発明を実施する電子計算機のブロック回
路図である。
【符号の説明】
1 コーン状軸、3 平板翼、5 モータケーシング、
6 ファンケーシング、8 スクロール壁、9 中空
口、15 吹出口、D2 平板翼外径、r 軸半径方向
の軸線、θ 軸周方向の巻き角度、z 平板翼の幅方向
の軸線、V 解析領域の体積。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転中心の軸と、この軸の半径方向に突
    出して互いに離れて配設された複数の翼と、これら軸と
    翼とを収納するケーシングと、前記軸の周方向に前記翼
    からスクロール状に離れて前記ケーシングの部分をなす
    壁とからなる遠心送風機について、前記翼と前記壁に囲
    まれた空間の流体の流れを解析する方法において、前記
    複数の翼のうち2乃至3翼と前記壁に囲まれた空間を流
    体の解析領域として設定し、前記壁が所定のスクロール
    拡がり率に従って半径方向に定速度で移動する径方向の
    条件を与え、かつ周方向に前記2乃至3翼間の一定広が
    り角度の条件を与え、前記壁が前記翼に最も接近したと
    きをスクロール巻き角の始まりとして所定のスクロール
    巻き角位置における前記空間内の流れ場を、前記翼とと
    もに回転する座標系において解析するようにしたことを
    特徴とする遠心送風機内流体流れの3次元解析方法。
  2. 【請求項2】 前記所定のスクロール巻き角における前
    記2乃至3翼間の流体の通過流について、前記半径方向
    の流速分布を求めることを特徴とする請求項第1項記載
    の遠心送風機内流体流れの3次元解析方法。
  3. 【請求項3】 前記所定のスクロール巻き角における前
    記2乃至3翼間の流体の通過流について、前記周方向の
    流速分布を求めることを特徴とする請求項第1項記載の
    遠心送風機内流体流れの3次元解析方法。
  4. 【請求項4】 前記所定のスクロール巻き角における前
    記翼の表面に生じる圧力分布を求めることを特徴とする
    請求項第1項記載の遠心送風機内流体流れの3次元解析
    方法。
  5. 【請求項5】 回転中心の軸と、この軸の半径方向に向
    け互いに離れて配設された複数の平板翼と、これら軸と
    翼とを収納するケーシングと、前記軸の周方向に前記翼
    からスクロール状に離れて前記ケーシングの部分をなす
    壁とからなる遠心送風機について、前記翼と前記壁に囲
    まれた空間の流体の流れを3次元非圧縮性ナビエストー
    クス方程式により解析する遠心送風機内流体流れの3次
    元解析装置であって、前記翼とともに回転する円筒座標
    系を入力する入出力回路と、この座標系内に有限要素法
    による差分法を入力する入出力回路と、前記壁に関する
    スクロール式R=(D2/2)・exp(θtanβ)
    を入力する入出力回路と、この式中のスクロール広がり
    率βとスクロール差角θ及び前記翼の外径D2値を入力
    する入出力回路と、これら各入出力回路から各要素を入
    力して前記3次元非圧縮ナビエストークス方程式を解
    き、流れ場の数値解析を行う中央演算装置とからなる遠
    心送風機内流体流れの3次元解析装置。
JP24159694A 1994-10-05 1994-10-05 遠心送風機内流体流れの3次元解析方法とその装置 Pending JPH08105815A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102305280A (zh) * 2011-08-30 2012-01-04 山推工程机械股份有限公司 液力变矩器的研制方法

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