JPH08104909A - 高炉用微粉炭吹き込み用装置及び高炉における微粉炭吹き込み操業方法 - Google Patents
高炉用微粉炭吹き込み用装置及び高炉における微粉炭吹き込み操業方法Info
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Abstract
間に所定角度で斜めに挿入するランスを有する微粉炭吹
き込み用装置であって、微粉炭の着火の不安定性を改善
し、同時に早期に着火・燃焼できるため、羽口内での燃
焼効率の向上が可能とし、微粉炭の大量吹き込みを可能
とする装置を提案する。 【構成】 ランス1は、先端開口がこのランスの軸線方
向に垂直な面に対して斜めに切断された、例えば槍先型
の形状でかつこの切断面と上記ランス1の軸線方向に垂
直な面とのなす角度θが1/cos θ≧2を満たしてな
り、このランス1を、その切断面の垂線がブローパイプ
2の軸線及びランスの軸線とほぼ同一平面内になりかつ
この切断面とブローパイプ2の軸線とのなす角度が最大
となる向きに配設した微粉炭吹き込み用装置。
Description
効率良く多量に吹き込むことを可能とする微粉炭吹き込
み用装置及びこの吹き込み用装置を用いて高炉羽口先で
の微粉炭の燃焼率を向上させ、その際にこの装置のラン
スに灰分が付着することも回避することのできる高炉に
おける微粉炭吹き込み操業方法に関する。
は、高炉操業安定化の手段として有効であるだけでな
く、補助燃料として高価なコークスを節約できる技術と
して有効である。というのは、近年工業国においては、
コークス炉の老朽化によるコークス生産量の低下が深刻
な問題になっている一方で、仮にコークス炉を再建する
場合には、過大な設備投資が嵩むことが懸念されている
からである。このような背景から、微粉炭を多量に吹き
込むことが多くの高炉で試みられるようになってきた。
パイプから羽口を経由して吹き込まれる。これらのブロ
ーパイプや羽口部は、高温かつ大量の空気を安全かつ多
量に吹き込むことができるように簡単な構造をしてお
り、これらの構造を変更することは困難である。このよ
うなブローパイプや羽口部に合わせて、微粉炭の吹き込
み供給設備も、構造の単純な微粉炭吹き込みランスが用
いられている。このランスは、高炉の羽口に連通するブ
ローパイプの内面空間に所定角度で斜めに挿入配置され
る。
を説明する。熱風がブローパイプ2及び羽口3を経由し
て高炉内に吹き込まれ、羽口3の前面にレースウエイ4
と呼ばれる燃焼空間部を形成する。一方、微粉炭は、ブ
ローパイプ2内に挿入された微粉炭吹き込み用ランス1
によってブローパイプ2の中心部に供給され、羽口部で
着火し、燃焼を開始してレースウエイ4内でさらに燃焼
するのである。
この微粉炭をレースウエイ4に到達するまでに100 %完
全に燃焼させることが困難であり、一部の未燃焼の微粉
炭がレースウエイ4よりも炉内方向へ流出して炉芯部5
やその他の領域に堆積するという問題があった。このよ
うな未燃焼の微粉炭の量が多いと炉内の通気性、溶銑・
溶滓に対する通液性が低下し操業の不安定を引き起こ
す。
ンスとして従来から知られている重油吹き込み用バーナ
ーは、その先端が高炉羽口3とブローパイプ2の境界点
近傍に配置されるのであり、このように羽口近傍にバー
ナー先端部が位置していたとしても、吹き込まれた重油
は燃焼性が良いため羽口部及び羽口直後のレースウエイ
内で完全に燃焼される。
や液体燃料に比べて燃焼性が悪いのであり、加えて不燃
分である灰分を含んでいることもあって、多量の吹き込
みは難しいと考えられ、実際にも良好な結果は得難かっ
た。そのため、微粉炭を重油の吹き込み位置と同じ位置
から吹き込んだ場合には羽口やレースウエイ内で該粉体
燃料を完全に燃焼し尽くすことはできなかったのであ
る。
の微粉炭吹き込み方法においては、結果として吹き込み
位置をもっとブローパイプの上流側に移動させることに
より燃焼効率の向上を図っていた。例えば特公昭60−
53081号公報に開示された技術では、微粉炭吹き込
み位置(ランス位置)を高炉羽口とブローパイプ境界位
置から100 mm〜350 mm上流に位置させることにより燃焼
性の向上と羽口やブローパイプ内への灰分の付着とを防
止するとされている。
操業条件との関係をより詳細に調査し、微粉炭の吹き込
み量と微粉炭の粒径とに基づいて、微粉炭の吹き込み用
バーナー先端位置と羽口先端位置との好適な水平距離を
設定している。
完全に燃焼させるための時間をある規定時間確保する発
想に基づくものであり、そのために吹き込む微粉炭の燃
焼時間に応じてバーナー先端位置と羽口先端位置との水
平距離を所定のしきい値以上に大きくすることが必須要
件である。しかしながら、かかる技術思想に基づく微粉
炭吹き込み法の場合には、吹き込んだ微粉炭のうち未燃
焼のものが羽口内壁に衝突し、羽口破損を起こす場合が
考えられることから、設定する水平距離にも限界値があ
った。いうなれば、これらの微粉炭吹き込み法では、高
炉ブローパイプから羽口に至るまでの吹き込み位置や吹
き込み方法を適切に選択、維持しないと、羽口への灰分
の堆積、羽口内面の局部的な摩耗などの問題を招いてい
たのである。その結果、上記の公報で提案された技術を
用いても未燃焼微粉炭の低減には限界があった。
して、バーナー先端位置と羽口先端位置との水平距離が
短くても効率良く微粉炭を燃焼させる手段が考えられ、
具体的には吹き込みランスの構造を変更することが提案
されている。
は、中心の微粉炭吹き出し孔を取り囲んで複数個の酸素
ガス吹き出し孔を設けるとともに、これらの各酸素ガス
吹き出し孔の少なくとも軸線がノズル前方において、前
期微粉炭吹き出し孔の軸線と交わらせ大量吹き込みの微
粉炭の燃焼性を上げることを特徴とする微粉炭吹き込み
用ノズルが提案されている。
しなければならないと共にランス自体が多重管で高価な
ものとなるから、微粉炭の大量使用という経済性を追求
するための方策としては最善のものではなかった。
題点を有利に解決するするもので、大がかりな設備を必
要とせず、また燃焼効率を上げるための酸素富化も必須
条件とせずに、高炉羽口とブローパイプの境界点近傍に
ランス先端を配置して微粉炭を大量に吹き込んだ場合に
おいても未燃焼の微粉炭が炉芯部等に堆積して炉内の通
気性、溶銑、溶滓に対する通液性を低下させることがな
いように燃焼効率を高めて、安定した微粉炭大量吹き込
みを可能とする高炉用微粉炭吹き込み用装置及び高炉に
おける微粉炭吹き込み操業方法を提案することを目的と
する。
に連通するブローパイプの内面空間に所定角度で斜めに
挿入するランスを有する微粉炭吹き込み用装置であっ
て、上記ランスは、先端開口がこのランスの軸線方向に
垂直な面に対して斜めに切断された形状でかつこの切断
面と上記ランスの軸線方向に垂直な面とのなす角度θが
1/cos θ≧2を満たしてなり、このランスを、その切
断面の垂線がブローパイプの軸線及びランスの軸線とほ
ぼ同一平面内になりかつこの切断面とブローパイプの軸
線とのなす角度が最大となる向きに配設したことを特徴
とする高炉用微粉炭吹き込み用装置(第1発明)であ
る。
て、ランスは、その先端の端面に開口する気体の流出部
を設けてなる高炉用微粉炭吹き込み用装置(第2発明)
である。
るブローパイプの内面空間に斜めに挿入したランスを通
して微粉炭を吹き込む方法において、このランスとし
て、先端開口がこのランスの軸線方向に垂直な面に対し
て斜めに切断された形状でかつこの切断面と上記ランス
の軸線方向に垂直な面とのなす角度θが1/cos θ≧2
を満たし、さらにその先端の端面に開口する気体の流出
管を設けてなるランスを用い、このランスを、その切断
面の垂線がブローパイプの軸線及びランスの軸線と同一
平面内になり、かつこの切断面とブローパイプの軸線と
のなす角度が最大となる向きに配設して、微粉炭を不活
性ガスに搬送させて吹き込むとともに、該ランス先端の
端面の気体の流出用開口から可燃性ガス及び不活性ガス
の一方又は双方を吹き込むことを特徴とする高炉におけ
る微粉炭吹き込み操業方法(第3発明)である。
吹き込み用装置のランス1の一例を、その先端部の断面
図で示し、同図(b) にこのランス1の先端部を、切断面
から垂直方向から見た図を示す。この図では、ランスの
軸線方向に垂直な断面が円形である管であったため、斜
めに切断された先端部の切断面が楕円形になっていて、
その楕円形の長径と短径との比が2以上である。
ローパイプ内の運動、着火・燃焼挙動を広範に調査・検
討した結果、従来の技術の問題点は、ブローパイプ内の
微粉炭の運動、着火の安定性に関して基本的な理解が不
十分なため、ランスの吹き込み位置の調整、ランス構造
の改善が充分な効果を上げていないことにあるとの結論
に達した。
熱風はガス流速200 m/s と非常に速く、同時に量も多い
ため、ブローパイプ内のガスの運動は、熱風の高速空気
の運動により支配される。そのため、比較的少流量であ
る微粉炭吹き込み用ランスにおける微粉炭の搬送ガスの
流れを変えるようにランス形状を変更したとしても全体
の流れパターンに及ぼす影響は極めて小さい。
ランス先端から離れた、リフティング状態で着火が起こ
るため、着火点の安定性は非常に悪く不安定となる。例
えば微粉炭の残留水分の変動、粒度の変動、送風温度の
変動に敏感に対応して着火点が変動し、またこれらの変
動により、微粉炭の羽口での燃焼効率が変動するのであ
る。この燃焼効率の変動は、羽口内での実ガス流速の変
動、送風圧力の変動、炉内レースウエイ形状の変動を招
き、高炉操業を不安定にする要因となる。
良好なレースウエイを形成するうえで最適範囲がある。
したがって通常は、送風量に応じて羽口の径を変更する
ことにより、羽口流速の管理を行っている。しかしなが
ら、微粉炭の着火が不安定な場合には、微粉炭の燃焼率
に応じて数十%にも及ぶ羽口流速の変動を生じてしま
い、適正な羽口流速の管理が不可能となるとの問題点も
生ずる。
用ランスの最適形状について、周りの熱風及び微粉炭の
流れに及ぼす効果の観点からより詳細に調査し、そのラ
ンスの形状による微粉炭の混合燃焼現象についても詳細
に検討した。
した。同図の試験燃焼炉11には、羽口12が配設され、こ
の羽口12にブローパイプ13を連設してこのブローパイプ
13に接続する熱風発生装置14から熱風を試験燃焼炉11内
に導くようになっている。また微粉炭は、タンク15から
テーブルフィーダー16により輸送管17に導かれ、この輸
送管17に接続する圧送気体吹き込み管18から導入された
キャリアガスによって輸送管17内を搬送され、この輸送
管17と連設してブローパイプ13の内面空間に挿入される
微粉炭吹き込み用ランス19からブローパイプ13内へ供給
される。この供給された微粉炭の燃焼状況を観察するた
めに、試験燃焼炉11には、羽口12よりも熱風下流側に、
サンプリング口20が設けられてある。なお、図中番号21
は、試験燃焼炉11の排気口である。
ては、微粉炭吹き込み用ランス19として、先端部が種々
の切断形状、配向になる管状ランスについて燃焼試験を
行って、各ランスそれぞれの燃焼状態を調べた。このと
きの送風温度は1000℃、完全燃焼を1とした酸素過剰係
数は0.9 であった。
ては図4(a) 〜(d) の様に分類できることが分かった。
また、その時の吹き込み位置下流側0.5 m にあたる羽口
出口における半径方向の温度分布を各ランスタイプそれ
ぞれについて調べ、その結果を第4図のランスと対応さ
せて第5図に示した。
をランスの軸線方向に対して垂直に切断した、切断面が
真円形のランスについては、微粉炭流が広がらないため
に微粉炭と高温ガスとの混合が悪く着火は遅れ、着火位
置も不安定で一定にならなかった。また、羽口における
半径方向の温度分布の測定から微粉炭の吸熱によって中
心部では送風温度よりもガス温度が低くなっており、着
火していないことは明らかである。
斜めに切断した、楕円断面のランス(長径短径比2.5 )
であって、かつこの切断面とブローパイプの軸線とのな
す角度βが小さい場合については、微粉炭流は図4(a)
に示した場合よりも混合が悪く着火は遅れ、着火位置も
不安定で一定にならなかった。
を斜めに切断した、切断面が楕円形のランスであって長
径短径比が1.5 であり、しかも切断面とブローパイプの
軸線とのなす角度γがほぼ90°のランスの場合について
は、着火性は改善されるが、送風量及び微粉炭吹き込み
量によっては着火位置が不安定になり易かった。また、
羽口出口では燃焼により送風温度以上になっている部分
と微粉炭の吸熱によって温度低下が見られる部分とがあ
り、着火が不安定になる原因になっていた。
ランス先端を斜めに切断した、切断面が楕円形のランス
であって長径短径比が2.5 であり、しかも切断面とブロ
ーパイプの軸線とのなす角度δが大きい場合については
着火性は改善され着火位置(図4(d) において、符号22
で示した)も安定して吹き込み位置に近づくことが判明
したのである。また、羽口位置温度は全体にわたって高
く、着火が良好であることがわかる。
ンスと図4(c) に示されたランスとの対比によりランス
先端部を斜めに切断した形状にすることで、微粉炭の着
火性は安定側へ移行することがわかる。また、図4(c)
に示されたランスと図4(d)に示されたランスとの対比
によりランス先端部の切断形状は、切断面の楕円形の長
径短径比が大きくなるような形状にすることで、微粉炭
の着火性がより向上し、安定して吹き込むことが可能に
なることがわかる。但し、図4(b) に示されたランスと
図4(d) に示されたランスとの対比から明らかなよう
に、同一の長径短径比になるランスであっても、ブロー
パイプ内における切断面の配向によって着火安定性が大
きく相違し、安定した着火を達成するためには、切断面
とブローパイプとのなす角度が、最大である向きにラン
スを配向させる必要があることがわかる。
て先端開口がこのランスの軸線方向に垂直な面に対して
斜めに切断された形状をランスを使用し、かかるランス
をこの切断面とブローパイプの軸線とのなす角度が最大
となる向きに配設することによって、吹き込んだ微粉炭
の着火安定性が向上し、ひいては燃焼効率を高めること
ができる理由については明確ではないが、次の事項が考
えられる。
に挿入することにより、ブローパイプ内の熱風の流動
は、このランス下流側で乱されるのであるが、ランスと
して先端部が斜めに切断したような形状の微粉炭吹き込
み用ランスを用いることにより、ランス先端部近傍で熱
風の乱流渦すなわち旋回流(図1に符号6で、図4(d)
に符号23でそれぞれ示した)が強く発生すると考えられ
る。したがって、この旋回流により熱風と微粉炭との接
触混合が促進されて着火し易くなったものと考えられ
る。また、先端部が斜めに切断された形状のランスをブ
ローパイプ内に配置することにより、ランス先端部の微
粉炭吹き込み用開口面積は、先端部を斜めに切断してい
ないランスよりも増大するのであって、すなわち切断面
のブローパイプの軸線方向の距離L及び切断面をブロー
パイプの軸線方向に垂直な面に投影した面積Sの両者が
増大することになる。かかる距離L及び面積Sが増大し
ていると、ランス先端開口から流出する微粉炭は、ブロ
ーパイプ内をより広がって流れるので熱風との接触程度
が増大し、これが着火安定性に寄与することも考えられ
る。
ス先端部をどの程度斜めに切断した形状にするかは、着
火安定性、燃焼効率の観点から重要である。図4を用い
て述べた実験においてはランスがその軸線方向に垂直な
断面が真円形であったため、このランスを斜めに切断し
た切断平面は、楕円形をしており、この楕円形の長径短
径比によってどの程度斜めに切断したのかを表現した。
この長径短径比を普遍化すると、この切断面とランスの
軸線方向に垂直な面とのなす角度をθとして1/cos θ
によって表すことができる。
ランスの切断面とランスの軸線方向に垂直な面とのなす
角度θを種々に変えたランスにより実験を行い、温度分
布を測定して吹き込み位置から燃焼点までの距離及びレ
ースウエイ相当位置での燃焼率を調べた。その際、燃焼
点は、送風温度より100 ℃上昇している点を燃焼点と判
断した。一方レースウエイ相当位置での燃焼率の測定は
次の方法による。通常のレースウエイ深度:3m ,送風
速度:200 m/s ではレースウエイ内での送風に搬送され
る粉体の直線距離飛行時間は15msとなる。そこで図3に
示した小型の実験炉において、直線飛行時間が同じ15ms
となる位置(サンプリング位置)での燃焼率を調べたの
である。なお、サンプリング位置は、図3の実験炉の場
合には羽口先0.75m の位置である。この燃焼率は該サン
プリング位置で燃焼ガスを吸引採取し、フィルターで未
燃焼微粉炭を分離し、灰分が燃焼に際しても変化しない
と仮定した場合の炭素分の燃焼率で表した。
6から明らかなように、1/cos θが大きくなるにつれ
て微粉炭の吹き込み位置から燃焼点までの距離は小さく
なる。ここにおいて、着火・燃焼点が羽口からレースウ
エイへと移動する、換言すれば、微粉炭の吹き込み位置
から燃焼点までの距離が大きくなるにつれて該着火・燃
焼点は羽口先レースウエイ内の粉体・燃焼気体の高旋回
流の影響を受けて不安定側に移行し易くなる。逆に言え
ば微粉炭の燃焼率を安定して高くするためには燃焼速度
を上げ、着火・燃焼位置が羽口内部にある方がよい。こ
のような基本的な知見から、着火位置が安定し、一般的
な羽口長(35〜50cm)より着火点がランス側に来るよう
に、すなわち着火点まで30cm以下となるように、図6か
らこの発明では1/cos θを2以上と定めた。この条件
では図7からわかるように燃焼率も90%以上に向上して
おり、安定かつ燃焼率の高い吹き込み用ランスであるこ
とがわかる。
は、この発明で規定した要件の範囲内で種々の変形が可
能である。例えば、ランスの軸線に垂直な断面が円形で
ある場合に限られず、図8(a) に示すような断面が三角
形の場合や、同図(b) に示すような断面が方形である場
合でもよい。また、ランスの軸線に垂直な断面が円形で
ある場合であっても、図8(c) , 図8 (d) に示すよう
に切り込みを入れることにより先端開口をこのランスの
軸線方向に垂直な面に対して斜めに切断された形状にし
てもよい。いずれの変形例についても同様の効果が確か
められている。さらに、ランスの先端の切断された形状
については図9(a) に示すような横から見て曲線の軌跡
で切断されている例や、同図(b) に示すような横から見
て途中で折れた直線の軌跡で切断されている例でもよ
い。図9(a) ,(b)の例において、切断面はかかる曲線や
二直線が組み合わされた線分の始点と終点を結ぶ直線に
より表された平面とみなして、この平面がこの発明にお
けるランスの切断面に関する要件を満たすようにすれば
よい。
ブローパイプに挿入して利用に供する際のランス先端の
位置は、パイプの断面方向には中心近傍に位置すること
によってランスから流出する微粉炭流が、ブローパイプ
内面や羽口内面に接触しないようにし、また、パイプの
軸線方向には羽口よりも手前の所定位置である。なお、
この発明に従うランスを用いれば微粉炭が容易に着火す
るため、ランス先端が羽口に達していても高炉操業を不
安定化するおそれは少ない。
であるが、これはランス先端の切断面の垂線がブローパ
イプの軸線及びランスの軸線とほぼ同一平面内になるよ
うな方向とし、若干のずれ(±30°程度)は許容し得
る。
面に開口する気体の流出部を設けることが着火距離をよ
り短縮し、燃焼効率を向上するためにより好ましい。か
かるランス先端の端面に開口する気体の流出部を設けた
例を図10に示す。
活性ガスに搬送させて吹き込むとともに、端面に開口す
る気体流出部から、可燃性ガスを吹き込むことは微粉炭
の燃焼速度を向上させるのに、より有効であり、また不
活性ガスを吹き込むことは該ランスに燃焼灰の付着を防
止するのに、より効果的であった。
高炉に連なるブローパイプに配設して実機使用した場合
の操業結果について図11に示す。一月目の下旬までは図
4(a) に示した従来のランスを用いて微粉炭を40〜50kg
/tの量で吹き込んだけれども、かような操業中には格段
のランス形状の変更を行なわなくても安定した操業が可
能であった。この時点における羽口メガネからの観察で
は、吹き込まれた微粉炭の大部分のは燃焼せずにそのま
ま炉内に流入し、レースウエイ内で着火燃焼していた。
この時の燃焼率は微粉炭吹き込み量が少ないこともあっ
て、95%前後(羽口先サンプリング装置により測定し
た。)であり操業上の問題はなかった。
を増加して、40〜70kg/tの量で吹き込んだところ、燃焼
性の不安定化が顕著になった。この傾向は図11に示した
ように送風圧力の変動、溶銑温度の変動、溶銑中のSi濃
度等の変動指数の増加に見ることができる。また、燃焼
率も85%程度まで低下し、置換率の低下、炉頂ダスト排
出量の増加が見られ炉況が悪化した。そこで、二月目の
上旬よりランスの変更して図4(d) に示したこの発明の
ランス(1/cos θが2.5 )を採用したところ、他の変
動因子を確実に減少させることができた。また、低下し
ていた燃焼率は91%まで向上し置換率も回復し、炉頂ダ
スト量は減少した。
ーナーを使用して微粉炭を吹き込み試験を行なった。
a)のランスはこの発明に従い、1/cos θが2.5 にな
るように切断した二重管の端面から微粉炭と同時に助燃
ガスを吹き込んだ場合であり、b)のランスはa)と同
型のランスについて端面から微粉炭と同時に窒素ガスを
吹き込んだ場合の実施例である。c)のランスは、この
発明に従い1/cos θが2.5 になる単管ランス、そして
d)のランスは、従来の1/cos θが1の単管ランスで
ある。
0 kg/tで操業した場合の燃焼率と100 日間使用した後の
ランスへの灰分の付着の度合いを表1に示す。なお、付
着度については付着の量を5段階で評価し、付着度1
は、ランス先端から10cmまでの円筒面にしめる灰分の表
面積が5%未満、付着度2は10%未満、付着度3は15%
未満、付着度4は20%未満、付着度5は25%未満という
状況で判断した。
については助燃ガスによる燃焼改善の効果が、またb)
のランスについては灰分除去ガスによる灰分付着防止の
効果がそれぞれ見られた。
が以下のようにまとめることができる。すなわち、この
発明によれば、微粉炭多量吹き込み時に問題になる、微
粉炭の着火の不安定性を改善し、同時に早期に着火・燃
焼できるため、羽口内での燃焼効率の向上が可能とな
る。したがって、レースウエイまでの燃焼効率が向上
し、結果的にレースウエイから流出する未燃焼の微粉炭
の量の低減が可能になり、微粉炭の多量吹き込みが可能
となる。着火の不安定に起因する操業の不安定性にも同
時に改善することができ、高炉の製品である品質のバラ
ツキの低減、操業の安定に大きく寄与でき、その経済効
果は大きい。
を示す図であり、(a) はその先端部の断面図、(b) は先
端部を切断面から垂直方向から見た図である。
ある。
図である
方向温度分布を、図4の(a) 〜(d) のそれぞれの場合に
対応させて示すグラフである。
着火位置との関係を示すグラフである。
燃焼性との関係を示すグラフである。
る。
る。
ある。
動を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 高炉の羽口に連通するブローパイプの内
面空間に所定角度で斜めに挿入するランスを有する微粉
炭吹き込み用装置であって、 上記ランスは、先端開口がこのランスの軸線方向に垂直
な面に対して斜めに切断された形状でかつこの切断面と
上記ランスの軸線方向に垂直な面とのなす角度θが1/
cos θ≧2を満たしてなり、 このランスを、その切断面の垂線がブローパイプの軸線
及びランスの軸線とほぼ同一平面内になりかつこの切断
面とブローパイプの軸線とのなす角度が最大となる向き
に配設したことを特徴とする高炉用微粉炭吹き込み用装
置。 - 【請求項2】 請求項1記載の装置であって、ランス
は、その先端の端面に開口する気体の流出部を設けてな
る高炉用微粉炭吹き込み用装置。 - 【請求項3】 高炉の羽口に連通するブローパイプの内
面空間に斜めに挿入したランスを通して微粉炭を吹き込
む方法において、 このランスとして、先端開口がこのランスの軸線方向に
垂直な面に対して斜めに切断された形状でかつこの切断
面と上記ランスの軸線方向に垂直な面とのなす角度θが
1/cos θ≧2を満たし、さらにその先端の端面に開口
する気体の流出管を設けてなるランスを用い、 このランスを、その切断面の垂線がブローパイプの軸線
及びランスの軸線と同一平面内になり、かつこの切断面
とブローパイプの軸線とのなす角度が最大となる向きに
配設して、 微粉炭を不活性ガスに搬送させて吹き込むとともに、該
ランス先端の端面の気体の流出用開口から可燃性ガス及
び不活性ガスの一方又は双方を吹き込むことを特徴とす
る高炉における微粉炭吹き込み操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24011094A JP3733601B2 (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | 高炉用微粉炭吹き込み用装置及び高炉における微粉炭吹き込み操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
1994
- 1994-10-04 JP JP24011094A patent/JP3733601B2/ja not_active Expired - Lifetime
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