JPH0798307A - 逆流防止型円筒形るつぼ - Google Patents

逆流防止型円筒形るつぼ

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JPH0798307A
JPH0798307A JP24335693A JP24335693A JPH0798307A JP H0798307 A JPH0798307 A JP H0798307A JP 24335693 A JP24335693 A JP 24335693A JP 24335693 A JP24335693 A JP 24335693A JP H0798307 A JPH0798307 A JP H0798307A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機元素微量分析法における有機化合物試料
中の炭素、水素、窒素、硫黄および酸素などの元素を高
精度かつ正確に分析するため、試料の燃焼管または熱分
解管内での気化による逆流現象を防止する。 【構成】 一端を開口部となし、他端底部に通気孔
(1)を設けてなる円筒形るつぼ(2)と、一端を試料
投入口(3)とし、他端に逆流防止のための截頭円錐形
の傾斜部(4)を備えた逆流防止ロート(5)とを円筒
形るつぼ(2)の開口部と逆流防止ロート(5)の傾斜
部(4)とを対向させて連設する。 【効果】 気化した有機化合物試料の一部がキャリヤー
ガスの導入方向と逆方向に移動して燃焼管または熱分解
管の温度の低い部分に付着するという不都合が防止さ
れ、完全かつ安定した燃焼または熱分解が進行すること
となり、分析誤差を少なくでき、高精度かつ正確な分析
値が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、逆流防止型円筒るつ
ぼに関するものである。さらに詳しくは、この発明は、
有機元素微量分析法により有機化合物試料中に含まれて
いる炭素、水素、窒素、硫黄および酸素などの主要な元
素の定量分析を高精度に、かつ良好な操作性で行うのに
有用な、試料を燃焼または熱分解させるための逆流防止
型円筒形るつぼに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】有機元素微量分析法において
炭素、水素、窒素、硫黄および酸素などの元素を定量す
る場合、従来より垂直型の燃焼管または熱分解管を10
00℃または1300℃に加熱し、これにカプセルに包
みこんだ試料を落下させて、瞬間的に試料を燃焼または
熱分解させる方法が広く普及している。
【0003】しかしながら、この燃焼法または熱分解法
によると、試料が瞬間的に高温に加熱されるとき、試料
の一部が気化して逆流する現象が認められる。すなわ
ち、有機化合物試料を1000℃または1300℃で燃
焼または熱分解すると、その初期において気化した試料
の一部がキャリヤーガスの導入方向と逆方向に移動し、
燃焼管または熱分解管の温度の低い部分に付着する。付
着した試料は、これ以上の燃焼または熱分解が進行しな
いため、計りとった試料の完全な燃焼または完全な熱分
解は不可能になる。このため、分析に用いられる試料の
量は通常数mgというわずかな量であることから、たと
え気化して燃焼管または熱分解管に付着する量が微量で
あっても元素の定量分析には大きな影響を与えることに
なる。
【0004】また、有機化合物には多種多様なものがあ
り、試料の燃焼または熱分解において気化逆流する量
は、試料中に含まれている元素の種類、結合状態または
分子量、分子構造等の分子特性に大いに依存し、一定で
はない。このため、このような多種多様な逆流気化の現
象の発生は最終的には各元素の定量値に複雑な分析誤差
を与えることになり、高精度かつ正確な分析値が得られ
ないという問題があった。
【0005】このような問題が認識されながらも、これ
までの技術では試料の燃焼時または熱分解時に気化逆流
現象の発生を防止するための対策は全く確立されていな
かった。この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされ
たものであって、従来技術の欠点を解消し、気化試料の
逆流による不都合を防止し、高精度で正確な元素分析を
可能とするための手段を提供することを目的としてい
る。
【0006】この発明は、有機元素微量分析法における
上記の課題を解決するものとして、一端を開口部とし、
他端底部に通気孔を設けてなる円筒形るつぼと、一端を
試料投入口とし、他端に逆流防止のための截頭円錐形の
傾斜部とを備えた逆流防止ロートとを、円筒形るつぼの
開口部と逆流防止ロートの傾斜部とを対向させて連設し
てなることを特徴とする燃焼または熱分解による有機元
素微量分析用の逆流防止型円筒るつぼを提供する。
【0007】すなわち、この発明は、燃焼管または熱分
解管内での有機化合物試料の燃焼挙動または熱分解挙動
の詳細な検討を行った結果から導かれたものであって、
試料の燃焼または熱分解に最も関係が深いるつぼに注目
し、各種の材質、形状および大きさのるつぼを試作し、
これと気化逆流量の小さい有機化合物と気化逆流量の大
きい有機化合物の分析精度の比較から、気化逆流現象の
発生を防止する知見が得られたことに基づいている。そ
して、この知見から、るつぼの改善によって、有機化合
物試料中の炭素、水素、窒素、硫黄および酸素などの元
素の高精度かつ正確な分析法の確立に資するものとし
て、上記した通りの試料の気化逆流現象発生防止用のる
つぼを提供するものである。
【0008】この発明の逆流防止型円筒形るつぼの具体
的構造を図1の縦断面図、図2の底面図および図3の平
面図に沿って説明すると、逆流防止型円筒形るつぼ
(6)は、一端を開口させ、他端底部に通気孔(1)を
設けてなる円筒形るつぼ(2)と、一端を試料投入口
(3)とし、他端に逆流防止のための截頭円筒形の傾斜
部(4)を備えた逆流防止ロート(5)とが、円筒形る
つぼ(2)の開口部と逆流防止ロート(5)の傾斜部
(4)とが対向して連設されることで構成される。るつ
ぼ(2)と逆流防止ロート(5)はセラミックス等の無
機質材や、白金等の金属、合金または黒鉛などによって
形成されるが、炭素、水素、窒素および硫黄などを含む
有機化合物試料の燃焼による元素定量分析にはセラミッ
クス等の無機質材または金属、合金からなるものが望ま
しく、有機化合物試料中の熱分解による酸素の定量分析
には、黒鉛または金属、合金などからなるものが望まし
く、単独材のみならず、これらの複合材として使用され
る。逆流防止ロート(5)の傾斜部(4)の形状や大き
さは、有機元素微量分析の初期、すなわち、試料の投入
時にその一部が気化し、これがキャリヤーガスの導入方
向に逆流し燃焼管または熱分解管の温度の低い部分に付
着等の不都合が生じるのを防止する構造であればよく、
適宜の形状や大きさが採用できる。また、るつぼ(2)
の開孔部とロート(5)の傾斜部(4)との連設構造
は、突合せ、係合、嵌合等各種の方式が採用できる。さ
らに、円筒形るつぼ(2)の他端底部に設ける通気孔
(1)の形状、大きさ、個数は、燃焼ガスまたは熱分解
ガス、キャリヤーガスの流れに支障を及ぼさないもので
あればよく、適宜に設定することができる。
【0009】たとえば、円筒形るつぼ(2)の長さLを
40〜100mmに、その径D1 を、10〜20mmと
し、通気孔径d1 を1〜3mmとして、これを3〜8個
程度設けることが一般的に考慮される。そして、逆流防
止ロート(5)については、その径D2 を上記D1 と略
同一もしくはそれより大きくし、傾斜部(4)の形成す
る開孔d2 は、たとえば5〜10mm程度とすることが
考慮される。もちろん、これに限定されることはない。
【0010】また、傾斜部は図4のように垂下部(7)
を適宜に設けるようにしてもよい。そして、さらに様々
な態様が可能である。
【0011】
【作用】以上例示したこの発明の逆流防止型円筒形るつ
ぼ(6)については、有機元素微量分析装置の燃焼管ま
たは熱分解管内の所定位置に装着して使用することにな
る。すなわち、このるつぼ(6)の装着後、キャリヤー
ガス気流中でたとえば1000〜1300℃に加熱す
る。次いで、るつぼ(6)の試料投入口(3)からカプ
セルに包みこんだ分析試料を投入する。この時、炭素、
水素、窒素および硫黄などの元素定量分析法においては
少量の酸素ガスを添加して有機化合物試料を燃焼させ
る。一方酸素の定量分析においては酸素ガスを添加する
ことなく、そのまま有機化合物試料の熱分解を行う。い
ずれの場合でも有機化合物試料は瞬間的に高温に加熱さ
れる結果、瞬時に気化する。この気化した有機化合物試
料の一部は円筒形るつぼの内壁に沿って逆流するが、逆
流防止ロート(5)の截頭円錐形の傾斜部(4)の壁で
遮られて、気化試料は円筒形るつぼ内に留まり、完全に
燃焼または熱分解し、キャリヤーガスと共に導出されて
定量分析されることになる。そのため、気化した有機化
合物試料の一部がキャリヤーガスの導入方向と逆方向に
移動し燃焼管または熱分解管の温度の低い部分に付着す
る等の不都合が防止され完全かつ安定した燃焼または熱
分解が進行する。その結果、分析誤差を少なくでき、高
精度かつ正確な分析値が得られる。
【0012】従って、この発明の逆流防止型円筒形るつ
ぼは、有機化合物試料中の炭素、水素、窒素、硫黄およ
び酸素などの原子の分析において、格段に高い精度でか
つ正確な分析を可能とする。以下、実施例を示し、さら
に詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明
は以下の例によって限定されるものではない。
【0013】
【実施例】実施例1 有機化合物試料中の炭素、水素、窒素および硫黄の同時
分析を、セラミックスからなる図1〜3に示された形状
の逆流防止型円筒形るつぼ(6)を用い、これを有機元
素微量分析装置の石英ガラス製燃焼管内の所定位置に装
着し、1000℃に加熱し、ヘリウム気流中で酸素ガス
12mlを添加して、組成の定まっている標準試料であ
るsym-Diphonylthiouroaを1.4〜1.5mg銀カプセ
ルにはかりとり、これを逆流防止型円筒形るつぼ(6)
の試料投入口(3)から投入して試料を燃焼させ、連続
分析を行った。その結果の分析値、統計量(平均値、標
準偏差、相対標準偏差)および標準試料の理論値との誤
差を表1に示した。有機元素微量分析においては、 Pro
glによって微量分析法が確立されて以来、習慣的に±
0.30%という許容誤差を甘受せざるを得なかった
が、この発明のるつぼの使用によって表1に示されるよ
うに標準試料の理論値に対する誤差が約±0.03%程
度となり、従来と比べ約10倍程の高精度のものとな
り、統計量として正確な分析結果が得られる。
【0014】
【表1】
【0015】実施例2 有機化合物試料中の酸素の分析を、黒鉛からなる図1〜
3に示された形状の逆流防止型円筒形るつぼ(6)を用
い、これを有機元素微量分析装置の黒鉛製熱分解管内の
所定位置に装着し、1300℃に加熱し、ヘリウム気流
中で、組成の定まっている標準試料であるCyclohexanon
semicarbazoneを1.4〜1.5mg銀カプセルにはか
りとり、これを逆流防止型円筒形るつぼ(6)の試料投
入口(3)から投入して試料を熱分解させ、連続分析を
行った。その結果の分析値、統計量(平均値、標準偏
差、相対標準偏差)および標準試料の理論値との誤差を
表2に示した。熱分解による有機化合物試料中の酸素の
分析においても実施例1と同様に誤差が少なく、従来の
約10倍程の高精度の結果が得られ、共に統計量で示さ
れるように正確な分析結果が得られる。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】この発明の逆流防止型円筒形るつぼは、
以上詳しく説明した通りの優れた効果を奏するものであ
る。すなわち、 1)有機元素微量分析法における有機化合物試料中に含
まれている炭素、水素、窒素、硫黄および酸素などの主
要な元素の定量分析を、従来法に比較して約10倍の高
い精度でかつ正確に行うことが可能となる。
【0018】2)そして、分析の初期において気化した
有機化合物試料の一部が円筒形るつぼ内にとどまること
から、気化した試料の一部がキャリヤーガスの導入方向
と逆方向に移動して燃焼管または熱分解管の温度の低い
部分に付着するという不都合が防止され、管内に付着し
た試料の除去、清掃などの操作が不要になる。 3)さらに、従来の円筒形るつぼに逆流防止ロートを連
設するような構造を採用すれば、逆流防止ロートのみを
新たに準備するだけでよいことから、操作も簡便で、か
つ安価で経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の逆流防止型円筒形るつぼの縦断面図
である。
【図2】図1に対応する底面図である。
【図3】図1に対応する平面図である。
【図4】別の例を示した縦断面図である。
【符号の説明】
1 通気孔 2 円筒形るつぼ 3 試料投入口 4 ロートの脚部 5 逆流防止ロート 6 逆流防止型円筒形るつぼ 7 垂下部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端を開口部とし、他端底部に通気孔を
    設けてなる円筒形るつぼと、一端を試料投入口とし、他
    端に逆流防止のための截頭円錐形の傾斜部とを備えた逆
    流防止ロートとを、円筒形るつぼの開口部と逆流防止ロ
    ートの傾斜部とを対向させて連設してなることを特徴と
    する燃焼または熱分解による有機元素微量分析用の逆流
    防止型円筒るつぼ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100691025B1 (ko) * 2005-12-16 2007-03-09 두산디앤디 주식회사 유기박막 증착용 도가니 장치
WO2015124254A1 (de) * 2014-02-18 2015-08-27 Elementar Analysensysteme Gmbh Analysator sowie verfahren für die analyse von kohlenstoff (c) und schwefel (s) in metallen
CN113842964A (zh) * 2021-09-18 2021-12-28 蚌埠学院 一种二元合金共晶熔化坩埚
KR20220058175A (ko) * 2020-10-30 2022-05-09 (주)단단 진공 증착용 도가니

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CN113842964A (zh) * 2021-09-18 2021-12-28 蚌埠学院 一种二元合金共晶熔化坩埚
CN113842964B (zh) * 2021-09-18 2023-10-20 蚌埠学院 一种二元合金共晶熔化坩埚

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