JPH0787994A - T細胞抗原受容体Vβ22に対するモノクローナル抗体及びその製造方法 - Google Patents

T細胞抗原受容体Vβ22に対するモノクローナル抗体及びその製造方法

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JPH0787994A
JPH0787994A JP6014873A JP1487394A JPH0787994A JP H0787994 A JPH0787994 A JP H0787994A JP 6014873 A JP6014873 A JP 6014873A JP 1487394 A JP1487394 A JP 1487394A JP H0787994 A JPH0787994 A JP H0787994A
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JP
Japan
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monoclonal antibody
cells
cell antigen
hybridoma
human
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Application number
JP6014873A
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English (en)
Inventor
Takehiko Sasazuki
健彦 笹月
Taiji Nishimura
泰治 西村
Yasuhiro Okamoto
安弘 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ヒトのT細胞抗原受容体の多様性を識別する
ことができるモノクローナル抗体及びその製造方法の提
供。 【構成】 ヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV領域22に
対するモノクローナル抗体またはその活性フラグメン
ト。ヒトの溶連菌細胞抗原特異的T細胞で免疫した齧歯
類動物の脾細胞とマウスのミエローマ細胞とを常法に従
って融合し、抗体産生細胞とミエローマ細胞が融合した
ハイブリドーマを選別し、所望の抗体を生成するハイブ
リドーマを選択した後、限界希釈法により、単一のクロ
ーンにし、この単一クローンのハイブリドーマの培養上
清液からモノクローナル抗体を回収することを特徴とす
るヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV領域22に対するモ
ノクローナル抗体の製造方法。ヒトのT細胞抗原受容体
β鎖のV領域22に対するモノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モノクローナル抗体に
関し、さらに詳しくはヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV
領域22に特異的に反応するモノクローナル抗体、その
活性フラグメント、該モノクローナル抗体の製造方法、
及び該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマに
関する。なお、本発明において、モノクローナル抗体の
活性フラグメントとは、抗原抗体反応活性を有するフラ
グメントを指称し、具体的には、F(ab′)2、Fa
b′、Fab、Fv及び組み替えFv体などである。
【0002】
【従来の技術】T細胞受容体(T細胞レセプター:TC
R)とは、T細胞表面に存在し、種々の抗原を特異的に
認識し、その後に引き続いて起こる種々の免疫反応の引
金となる重要な分子である。TCRは、α鎖(50k
d)、β鎖(40kd)の2本のポリペプチド鎖がジス
ルフィド結合しており、それぞれ可変部と不変部の2つ
のドメインから成り、免疫グロブリン分子との相同性が
高い。なお、少数ではあるがγ及びδ鎖からなるTCR
も存在する。α及びβ鎖の可変部は、抗原認識に働く抗
原結合部を構成するが、この部が各T細胞で異なり、異
なった抗原決定基と結合するこの多様性は、遺伝子の再
構成で決定されている。
【0003】このT細胞レパートリーの多様性は、T細
胞がもつ多様な抗原認識能と密接に関係しており、T細
胞の機能、免疫応答、及び免疫機能を考える上で、TC
Rレパートリーの機能解明を行うことは、極めて重要で
ある。即ち、癌、自己免疫疾患、アレルギー疾患等にお
いて、患部局所に存在するT細胞のTCRレパートリー
解析の研究が進められ、疾患特異的なT細胞が解明され
つつある。しかし、そのT細胞上のTCR分子が、どの
ような働きをしているのかは、TCR分子の単離等に問
題があり、詳細な解明が行われるには至っていない。
【0004】また、溶連菌細胞壁抗原(SCW)は、α
βT細胞やγδT細胞の活性化と増殖を誘導する。この
免疫応答は、低応答性がHLA(ヒト白血球抗原)と連
鎖した優性形質であること、さらには、低応答者におい
ては、HLA−DQw6に拘束されたSCW特異的T細
胞の存在が示唆されている。しかし、SCWは、複数の
タンパク質を含む粗抽出物であることから、SCWのど
の部分に対し、応答するのか同定することが必須であ
り、これを解析するため、合成ペプチドを用いてエピト
ープを同定する方法がとられるのが一般的である。一
方、抗原特異的T細胞については、その抗原特異性を決
めるレパートリーについて、抗体等を用いて解析を行う
が、現在までそのレパートリーを見分けることができる
抗体がないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】T細胞のレパートリー
は、T細胞レセプターの可変領域により区別されるが、
現在までのところ、遺伝子レベルでの解析が一部の施設
で行われているのにすぎない。この解析方法は、T細胞
レセプターのmRNAを細胞から単離し、これを逆転写
酵素で相補的なDNAした後、各可変領域に特異的なオ
リゴDNAプライマーを用いてPCRを行い、その後、
電気泳動、サザンハイブリダイゼーションを行うもので
あり、操作が複雑である上、定量性がなく、結果が出る
まで3日間要し、一部の施設でしか行うことができなか
った。本発明の目的は、ヒトのT細胞抗原受容体の多様
性を識別することができるモノクローナル抗体、及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒトT細
胞レセプターの多様性を識別する抗体を作製すれば、容
易にT細胞レセプターのレパートリーの解析ができるの
ではと考え、抗体の作製を試みた。即ち、SCW低応答
者より樹立したSCW特異的DR4拘束性CD4+T細
胞を腹腔内免疫することにより、免疫原である細胞とは
反応するが、他の同じドナーで樹立したSCW特異的D
Qw6拘束性CD4+T細胞とは反応しないモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマを樹立することに成
功し、本発明を完成するに至った。かくして、本発明に
よれば、ヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV領域22(V
β22)に対するモノクローナル抗体とその活性フラグ
メントが提供される。
【0007】また、本発明によれば、(1)齧歯類動物
をヒトの溶連菌細胞抗原特異的T細胞で免疫感作し、
(2)免疫した齧歯類動物から脾臓を摘出して、脾細胞
の懸濁液を形成し、(3)該脾細胞懸濁液をマウスのミ
エローマ細胞と融合促進剤の存在下で混合して、両細胞
を融合し、(4)融合した細胞を未融合のミエローマ細
胞を支持しない媒質中で希釈して培養して、抗体産生細
胞とミエローマ細胞が融合したハイブリドーマを選別
し、(5)ハイブリドーマを含有する各培養穴中の上清
液について、免疫した細胞株との反応性を指標として、
抗体の存在を確認し、(6)所望の抗体を生成するハイ
ブリドーマを選択した後、限界希釈法により、単一のク
ローンにし、(7)この単一クローンのハイブリドーマ
の培養上清液からモノクローナル抗体を回収することを
特徴とするヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV領域22に
対するモノクローナル抗体の製造方法が提供される。
【0008】さらに、本発明によれば、ヒトのT細胞抗
原受容体β鎖のV領域22に対するモノクローナル抗体
を産生するハイブリドーマが提供される。本発明のハイ
ブリドーマは、例えば、工業技術院生命工学工業技術研
究所に受託番号FERM P−14022として寄託さ
れているハイブリドーマ R1−21を挙げることがで
きる。
【0009】以下、本発明について詳述する。本発明に
係るT細胞抗原受容体β鎖のV領域22に対するモノク
ローナル抗体及び該モノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマは、以下のようにして製造することができ
る。 (1)SCW低応答者より樹立したSCW特異的DR4
拘束性CD4+T細胞株を抗原としてマウスを免疫し、
免疫したマウスから脾細胞を調製し、これとマウスのミ
エローマ細胞とを融合させて、前記細胞株と反応するモ
ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択し、
(2)(1)で得たハイブリドーマを適当な条件下で培
養してモノクローナル抗体を回収し、このモノクローナ
ル抗体を用いて、SCW特異的DQw6拘束性CD4+
T細胞株やSCw高応答者由来のSCw特異的DR4拘
束性CD4+T細胞とは、反応しないことを確認し、最
終的にT細胞抗原受容体β鎖のV領域22に対するモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択し、
(3)(2)で得たハイブリドーマを培養することによ
り該モノクローナル抗体を回収する。 本発明のモノクローナル抗体は、以下の実施例に示す特
異性を有している。
【0010】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明する。
【0011】[実施例1] 1.モノクローナル抗体の作製 (A)免疫感作 SCw低応答者より樹立したSCw特異的DR4拘束性
CD4+T細胞を8週齢の(DQw6トランスジェニッ
クB6×C3H)F1雄の腹腔内に1×107個接種し
た。3週間後、同細胞を用い、追加免疫した。
【0012】(B)融合 上記で免疫感作したマウスから脾臓を取り出した。取り
出した脾臓を細断後、メッシュで濾過し、RPMI16
40培地に浮遊させ、脾細胞1×108個を得た。この
脾細胞をマウス由来の8−アザグアニン耐性株(ヒポキ
サンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠
損株)P3U1(2×107個)と約5:1の割合で混
合し、遠心した(1500rpm、5分)。得られた細
胞のペレットに、融合促進剤として50%ポリエチレン
グリコール4000(メルク製)/RPMI1640溶
液2mlを37℃の温水中で撹拌しながら6分間を要し
て加え、細胞融合を行った。融合後、大量(約40m
l)のRPMI1640液を加え、遠心分離して上清を
除去した。次いで、ヒポキサンチン(100μM),ア
ミノプテリン(0.4μM)、チミジン(10μM)を
含む10%FBS−RMPI1640培地(HAT)培
地にて、脾細胞が1×106個/mlになるように調製
した。
【0013】(C)ハイブリドーマの選択 上記Bで調製した細胞浮遊液を96ウェル(培養穴)・
マイクロプレート5枚に200μlずつ分注し、37℃
5%CO2下にあるCO2インキュベータで細胞を培養し
た。2週間後には、ハイブリドーマのみがコロニーを形
成して、増殖していることが確認できた。
【0014】(D)抗体の検出 ハイブリドーマが十分に増殖していることが確認された
ので、その培養上清を用い、以下に示すSCw特異的D
R拘束CD4+T細胞とSCw特異的DQw6拘束CD
+T細胞との反応性をELISA法にて検出すること
により、抗体の検出を行った。96ウェル・マイクロプ
レートに、これらの細胞株を2×105個/mlで20
0μlずつ10%FBS・DMEM培地で分注し、2日
間培養したものを抗原プレートとした。この培養上清を
吸引後、PBSで洗浄した。その後1%BSA・PBS
を200μlを加えブロッキングを行った。ブロッキン
グ後、ハイブリドーマの培養上清を100μlずつ加え
反応させた。1時間後の反応後、PBSで洗浄を行い、
2次抗体(ペルオキシダーゼ 標識抗マウスIgG)を
加え、さらに1時間後反応した。その後、PBSで洗浄
し、オルトーフェニレンジアミン、過酸化水素液を基質
として発色反応を行った。その後、イムノリーダーで発
色しているウェルの吸光疫を測定した。その後、免疫し
たSCw特異的DR4拘束CD4+T細胞とは反応する
が、SCw特異的DQw6拘束CD4+T細胞とは反応
しないウェルの細胞を選別した。
【0015】(E)クローニング 抗体産生細胞を限界希釈法により、1個/ウェルとなる
ように96ウェル・マイクロプレートに分注し、培養し
た。10日間の培養後シングルコロニーの増殖が確認で
きたため、再び(D)の抗体検出の操作を施した。その
結果、SCw特異的DR4拘束CD4+T細胞に特異的
に反応するクローンが得られた。得られたクローンは、
IgG1型のモノクローナル抗体であり、これをR1−
21と命名した。
【0016】2.モノクローナル抗体の特異性 (1)各種細胞株との反応性 得られたモノクローナル抗体R1−21の各種細胞株と
の反応性をフローサイトメーターを用い測定した。即
ち、細胞株1×107個/ml 100μlに対し、モ
ノクローナル抗体R1−21を1μg添加し、4℃で3
0分反応させた。PBSで2度洗浄した後、FITC−
標識マウスIgsを加え、さらに、4℃で30分反応し
た。PBSで2度洗浄後、フローサイトメーターにて測
定した。その結果、免疫に用いたSCw特異的DR拘束
性CD4+T細胞株の50%に反応するものの、それ以
外の細胞とは、反応しないことが判明した。
【0017】(2)免疫沈降 得られたモノクローナル抗体R1−21を用いて、SC
w特異的DR4拘束性CD4+T細胞から免疫沈降を行
った。常法により、免疫沈降した結果、非還元下にて8
0kd、還元下で45kdと40kdの分子であること
がわかった。
【0018】(3)抗体による増殖反応 モノクローナル抗体R1−21を96ウエル・マイクロ
プレートに10μg/mlでコーティングした。このプ
レートに、抹消血Tリンパ球を1×106個/mlで1
00μlずつ分注した。約1週間の培養後、 3H−チ
ミジン1μCi/well分注してDNA合成を検討し
たところ、抗体の刺激によりR1−21抗体に特異的に
反応する細胞が増殖していることがわかった。なお、前
記のハイブリドーマは、工業技術院生命工学工業技術研
究所に受託番号FERM P−14022として寄託さ
れているハイブリドーマ R1−21である。
【0019】
【発明の効果】本発明のT細胞抗原受容体β鎖のV領域
22に対するモノクローナル抗体は、T細胞レセプター
の多様性を識別することから、以下に述べるような種々
の用途が考えられる。T細胞抗原受容体β鎖のV領域2
2を持つT細胞の分布が判明するとともに、SCwのT
細胞の認識機序の解析に利用できる免疫反応におけるT
CRvβ22T細胞の挙動の追跡が可能となり、様々の
免疫反応におけるvβ22の機能を把握することができ
る。また、本発明のモノクローナル抗体を用いることに
より、SCwに対する免疫応答の結果生じる疾患を治療
することが可能となる。さらに、本発明のモノクローナ
ル抗体は、免疫学の基礎研究から治療への利用まで多く
の効果が期待できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV領域2
    2に対するモノクローナル抗体またはその活性フラグメ
    ント。
  2. 【請求項2】 IgG1型である請求項1記載のモノク
    ローナル抗体またはその活性フラグメント。
  3. 【請求項3】 (1)齧歯類動物をヒトの溶連菌細胞抗
    原特異的T細胞で免疫感作し、(2)免疫した齧歯類動
    物から脾臓を摘出して、脾細胞の懸濁液を形成し、
    (3)該脾細胞懸濁液をマウスのミエローマ細胞と融合
    促進剤の存在下で混合して、両細胞を融合し、(4)融
    合した細胞を未融合のミエローマ細胞を支持しない媒質
    中で希釈して培養して、抗体産生細胞とミエローマ細胞
    が融合したハイブリドーマを選別し、(5)ハイブリド
    ーマを含有する各培養穴中の上清液について、免疫した
    細胞株との反応性を指標として、抗体の存在を確認し、
    (6)所望の抗体を生成するハイブリドーマを選択した
    後、限界希釈法により、単一のクローンにし、(7)こ
    の単一クローンのハイブリドーマの培養上清液からモノ
    クローナル抗体を回収することを特徴とするヒトのT細
    胞抗原受容体β鎖のV領域22に対するモノクローナル
    抗体の製造方法。
  4. 【請求項4】 さらに、回収したモノクローナル抗体
    が、他の溶連菌細胞抗原特異的T細胞とは反応せず、T
    細胞抗原受容体の多様性を識別するという特徴を備えて
    いることを確認する請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 齧歯類動物が(DQw6トランスジェニ
    ックB6×C3H)F1マウスであり、かつ、マウスの
    ミエローマ細胞がP3U1である請求項3記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ヒトのT細胞抗原受容体β鎖のV領域2
    2に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
    マ。
JP6014873A 1993-04-30 1994-01-13 T細胞抗原受容体Vβ22に対するモノクローナル抗体及びその製造方法 Pending JPH0787994A (ja)

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JP12801593 1993-04-30
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