JPH0786151A - コヒーレント照明光学系 - Google Patents

コヒーレント照明光学系

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JPH0786151A
JPH0786151A JP5249681A JP24968193A JPH0786151A JP H0786151 A JPH0786151 A JP H0786151A JP 5249681 A JP5249681 A JP 5249681A JP 24968193 A JP24968193 A JP 24968193A JP H0786151 A JPH0786151 A JP H0786151A
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JP
Japan
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optical system
illumination
light
optical element
scattering
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JP5249681A
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English (en)
Inventor
Takashi Genma
隆志 玄間
Akihiro Goto
明弘 後藤
Yutaka Ichihara
裕 市原
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 照明光学系の光学素子に起因するスペックル
ノイズを、各光学素子の配置構成等と関連付けて解析す
ることにより、スペックルノイズの低減を図ることが可
能な構成のコヒーレント照明光学系を得ること。 【構成】 照明光学系を構成する光学素子がN個で構成
されている場合に、以下の条件を満足するように構成さ
れたコヒーレント照明光学系。 【数1】 【数2】 Cは強度ムラ、αi は各光学素子の散乱率、Fi(q)は散
乱光の角度特性、qi m axは見込む角度、qi minは被照明
体上で照明光との位相差がλ/4に等しくなる散乱光射出
角、ψi は各光学素子の伝達率、θi は各光学素子の配
置角とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザ光等のコヒー
レント光を照射する際に用いる照明光学系に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ光等のコヒーレントな光束
を利用した種々の装置が開発されているが、特にこのコ
ヒーレント性を利用した干渉縞の作用により物体の像を
記録並びに再生できるホログラフィ技術が注目されてい
る。
【0003】そして、ホログラフィ技術は、ホログラム
の記録並びに再生作用により所定のパターン像の転写を
行うホログラフィック・リソグラフィ装置や、ホログラ
フィック回折格子記録装置、ホログラフィック・スケー
ル記録装置等に応用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コヒーレン
ト性の高い光束により照明を行うと、照明光学系を構成
する種々の素子からの散乱光等の影響によりスペックル
ノイズが生じることが知られており、これに起因した微
視的な強度ムラがいわゆるスペックルパターンとなって
現れる場合がある。
【0005】例えば、ホログラフィックリソグラフィ装
置では、コヒーレント光を利用することによってマスク
原盤の所定のマスクパターンの像をホログラムとして記
録し、これをウエハ上に再生することによってマスクパ
ターンを転写する技術を用いたものであり、微細パター
ンの転写露光等に用いられる。
【0006】このホログラム作成からウエハ転写までの
一連の露光課程において、十分なパターン転写精度を得
るためには、照明光の強度ムラは数%以内とする必要が
あるが、コヒーレント光を使用しているため、照明光強
度を巨視的に十分均一とする対策がとられたとしても、
スペックルノイズの影響が問題となる。
【0007】これは、照明光学系での散乱により発生す
るスペックルパターンによって披照明対象に微細な強度
ムラが生じてしまうので、ホログラム記録時にはマスク
照明光学系と参照光学系とから発生するスペックルパタ
ーンによる回折効率ムラ、また、ホログラム再生時には
再生光学系から発生するスペックルパターンによる露光
強度ムラとなって現れ、パターン転写精度が低下すると
いう問題となる。
【0008】このように、照明光学系において発生する
スペックルノイズは、これらの光学系を構成する各光学
素子の散乱に起因して発生するため、この散乱をゼロに
しない限り完全には取り除くことはできない。
【0009】しかし、照明光学系を構成する複数の光学
素子の相互の散乱光等の影響を考慮することにより、ス
ペックルパターンによる強度ムラ(スペックルコントラ
スト)を低減させることについて検討した従来技術は知
られていない。
【0010】そこで、本発明では光学素子に起因するス
ペックルノイズを、各光学素子の配置構成等と関連付け
て解析することにより、スペックルノイズの低減を図る
ことが可能な構成のコヒーレント照明光学系を得ること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明に係るコヒーレント照明光学系では、照明光学系を
構成する光学素子がN個で構成されている場合に、以下
の条件を満足するように構成されている。
【0012】
【数3】
【0013】
【数4】
【0014】ここで、Cは照明光学系を構成する光学素
子での散乱によって被照明体上に生成されるスペックル
パターンによる強度ムラを示す数値、αi は各光学素子
の散乱率、Fi (q)は使用波長における散乱実験によ
って得られる散乱光の角度特性、qi maxは被照明体と光
軸の交点から光学素子を見込む角度、qi minは被照明体
上で照明光との位相差がλ/4に等しくなる散乱光射出
角、ψi は各光学素子の伝達率、θi は各光学素子の配
置角(光学素子の表面の法線と光軸のなす角)である。
【0015】
【作用】本発明では、照明光学系を構成する光学素子の
散乱特性を実験によって予め明らかにし、その特性に従
って、各光学素子の配置を工夫することによって、照明
光学系において発生するスペックルノイズ並びにこれに
起因するスペックルコントラストを一定値以下とするこ
とができることを見いだしたものである。
【0016】以下、本発明の作用を詳しく説明する。ス
ペックル統計理論[文献1、LaserSpeckle and Related
Phenomena ,Editor.J.C.Danity 2nd Edition ,Springe
r-Verlag Heidelberg New York Tokyo 1984,P31]によ
れば、スペックルノイズ成分の平均強度を<In>、均
一な照明光成分をIsとした場合の合成光束、即ち現実
の照明光のスペックル強度のコントラストCは、以下の
式(1) 及び式(2) で与えられることがわかっている。
【0017】
【数5】
【0018】
【数6】
【0019】ここで、コントラストCが、0. 1以下
(即ち、強度ムラ10%以下)の場合には、コントラス
トの表式(1)は、以下の式(3) で良く近似できる。
【0020】
【数7】
【0021】ここで、rはS/N比に対応した量であ
り、コントラストCは√rに逆比例するので、rを大き
くすることによってスペックル強度ムラを小さくできる
ことがわかる。
【0022】次に、光学素子が1つだけある場合につい
て、rの具体的な表式を与える。まず、照明光成分Is
は、光学素子の伝達率をψ(例えば、レンズやフィルタ
ーなどの透過素子であれば透過率、ミラーなどの反射素
子であれば反射率とし、使用波長において測定するもの
とする。)とし、Ioを入射光とすると、以下の式(4)
で与えられる。
【0023】
【数8】
【0024】スペックルノイズ成分の平均強度<In>
は、インコヒーレント光による散乱強度に等しいと考え
て、次式で与える。
【0025】
【数9】
【0026】
【数10】
【0027】
【数11】
【0028】ここで、αは散乱率であり、cosθは光
学素子を傾けて配置する場合の補正効果を表す。Fは、
使用波長における散乱実験によって得られる散乱光の角
度特性(Bidirectional Scatter Distribution Functio
n [文献2、Optical Scattering Measurement and Ana
lysis, John C.Stover, McGraw-Hill ]、以下BSDF)で
あり、散乱輝度に比例する量である。一般に、Fの単位
はSr-1(ステラジアンの逆数)で考えるものとする。
【0029】また、qmax は被照明体と光軸の交点から
光学素子を見込む角度、qmin は被照明体上で、照明光
との位相差がλ/4以上とならないような散乱光射出角
である。こような散乱光は、照明光をランダムに弱める
ことはなくスペックルノイズに寄与しないと考えられ、
αの積分の下限を与える。
【0030】なお、図6に示すように、q、qmax 、q
min の各値は、光軸を基準として測定するが、プリズム
等のn≠1の物体に入射する場合には界面での屈折を考
慮して補正した値である。この際、θは光学素子601
の配置角であり、光学素子の表面の法線と光軸のなす角
を示すが、光学素子がレンズの場合には光軸を法線とす
る。
【0031】また、光学素子の有効径をφ、光学素子か
ら照射面までの距離をd(素子が傾いている場合には光
軸との交点からの距離)とすると、前述したqmax 、q
minは、具体的に次式で与えられる。
【0032】
【数12】
【0033】
【数13】
【0034】さらに、式(4) 及び式(5) を式(2) に代入
し、次式を得る。
【0035】
【数14】
【0036】これを、式(3) に代入して次式を得る。
【0037】
【数15】
【0038】この式(11)が、問題解決の方針を与えて
くれるスペックルコントラストCの表式であり、αは前
述した式(6)によって計算する。この式(11)より、
スペックルのコントラスト(照明ムラ)Cを小さくする
ためには、光学素子の伝達率ψを上げる、素子を傾
けて配置する、素子の散乱率αを下げる、の三点を考
慮すればと良いことがわかる。
【0039】すなわち、これらの性質に留意して、スペ
ックル照明ムラCを、所望の値以下にとなるように光学
素子を選択し、配置することによって、所望の精度のコ
ヒーレント照明系が得られることとなる。
【0040】言い換えると、本発明に係る照明光学系
は、使用する装置に要求される照明精度や使用する照明
光学系を構成する光学素子が予め分かっていれば、その
照明精度(強度ムラ)に合わせた照明光学系を構築でき
るので、例えば露光投影手段の照明に用いる場合には、
転写精度に合わせて照明光学系を設けることができると
共に、一定のスペックルコントラスト以下のパターン転
写精度を得ることができるものとなる。
【0041】ここで、特に上記の方針においてαを小
さくするには、全散乱の度合(TIS、文献2)自体が小
さいことと、面精度の良い低散乱の材質を用いることが
当然有効である。しかし、同じTIS 値を持つ場合でも、
BSDFデータのq(角度)依存性に着目し、光学素子の配
置を工夫することによって、αを小さくすることが可能
である。
【0042】これは、スペックルが生じにくいコヒーレ
ント照明光学系の設計上、重要な性質であることがわか
る。例えば、簡単な場合として、光学素子が完全拡散的
な性質の場合には、BSDF(F)は一定であるので、式
(6) を積分すると、αは次式で与えられる。
【0043】
【数16】
【0044】式(12)において、第2項は小さいため無
視できるので、qmax を小さくすることによってαを小
さくできることになる。即ち、素子の光束径φに対し、
被照射体からの距離dを大きくすることによって、αを
小さくできることがわかる。実際、散乱の大きいミラー
等は、これに近い振るまいをするが、ミラーの設置位置
を被照射体から離すことによって、スペックル強度ムラ
を低減できることがこの式からわかる。
【0045】このような簡単な場合でなくとも、BSDFデ
ータが与えられていれば、式(6) に従って数値積分を行
なうことによって、αの小さくなる光学素子の配置を探
すことができる。
【0046】さらに、解析的な見積りの方法としてBSDF
を、次式の形に近似する方法もある(文献2)。
【0047】
【数17】
【0048】ここで、Bは全散乱強度(TIS)のオー
ダを決定し、Mは散乱光の角度分布特性を表すパラメー
タである。光学素子においては、Bは10-4程度であ
り、Mはー2付近の値となる。Mは、低散乱のもの程小
さく、正(透過)反射光方向の光強度が大きくなる。ま
た、Mは、散乱が大きい素材程大きくなり、散乱光が全
方向に広がる完全拡散体では、M=0となる。
【0049】式(6) において、式(13)に加え、cos
{q}≒1、sin{q}≒qなる近似を行なうことに
よって、αの近似式が次式のように得られる。ここで、
qはラジアン単位とする。
【0050】
【数18】
【0051】ここで、BSDFデータより、(13)式に従っ
て、BとMをフィッティングし、上式(14)に代入すれ
ば、光学素子の配置によるαの変化が直接計算できる。
【0052】以上では、説明を簡略化するために、照明
光学系が一つの光学素子で構成される場合について説明
したが、照明光学系がN個の光学素子で構成されている
場合には、<In>は各々の素子からの寄与が加算さ
れ、rを次式で置き換えて考えればよい(図7参照)。
【0053】
【数19】
【0054】これに従って、式(6) 、(8) 、(9) 、(1
1)は、次式に拡張される。
【0055】
【数20】
【0056】
【数21】
【0057】
【数22】
【0058】
【数23】
【0059】ここで、i=1〜N(整数)である。ψ
i 、Fi (q)は、各素子について使用波長で測定した
伝達率、BSDFデータを代入する。di は、各光学素子の
被照射体からの距離である。なお、一例として図7に二
つの光学素子701,702空なるものを示している
が、三つ以上の光学素子からなるものも同様である。
【0060】スペックル照明ムラCの表式(16)は、素
子が1つの場合と異なり、各素子の寄与の和となってい
るが、各素子の伝達率ψを上げる、各素子を傾けて
配置する、各素子の散乱率αを下げる、という方針に従
って左辺を一定値以下にするように照明光学系を構成す
ることは、前述した素子が1つの場合と同じであること
は言うまでもない。
【0061】このように、本発明によれば、照明光学系
を構成する光学素子の全散乱強度のみならず、散乱角度
特性にも着目することによって、光学素子の照射有効径
や、被照射体との距離などの光学素子の配置に関し、ス
ペックルノイズに起因する微細な照明光学系の光量ムラ
を一定値以下に制限する方式を与えるものである。
【0062】このため、本発明に係る条件式に従って、
照明光学系を構成する光学素子を選択し、配置構成を決
定することにより、スペックルパターンの影響が低減さ
れた照明光学系を得ることができるものとなっている。
【0063】この条件に従い、例えばホログラフィ技術
におけるホログラフィ記録再生手段の照明光学系を構成
すれば、ホログラム作成時における回折効率ムラとホロ
グラム再生時の露光量ムラを低減することができるもの
となる。これによって、ホログラフィックリソグラフィ
に応用すると、一定のスペックルコントラスト(強度ム
ラ)以下で、高いパターン転写精度を得ることができ
る。
【0064】
【実施例】以下、実施例を通じ本発明をさらに詳しく説
明する。ここでは、サブミクロン単位のパターン転写が
行なえる全反射ホログラフィを用いたリソグラフィに、
本発明のコヒーレント照明光学系を応用した実施例につ
いて説明する。
【0065】全反射ホログラフィ法によるホログラム記
録再生装置の基本的配置は、図5に示す通りである。こ
の図において、ホログラム記録媒体1はプリズム2の上
面部に保持される形で配置されており、ホログラム記録
媒体1の記録材料には現像が不要なフォトポリマー等を
用いている。
【0066】マスク原盤3には、所定の回路パターンと
ギャップ検出用のピンホールやアライメント用のマーク
等が電子線描画(図示せず)されており、適当な手段に
てホログラム記録媒体1から 100μm程度のギャップを
空けて保持されている。
【0067】ホログラム記録時には、物体照明光aによ
ってマスク3上のパターンを照明することによってパタ
ーンに対応した物体回折波が生成され、ホログラム記録
媒体1に入射する。これと同時に参照光bをプリズム1
側からホログラム記録媒体1に入射させることによっ
て、これら2つの光がホログラム記録媒体1内において
干渉し、ホログラムとしてマスクパターンが記録され
る。
【0068】本実施例では、これらの照明系の光源とし
てArレーザ(図示せず)を用いており、この光源から
の光束をビーム分割手段4によって適当な比率で振幅分
割した後、それぞれ物体照明光学系A、および参照光照
明光学系Bに導き、ここで夫々平行光束a、bに変換し
ている。
【0069】ホログラム再生時には、ホログラムとして
記録したパターンの像を、マスク3に変えて同じ位置に
配設されたウエハ(図示せず)上に形成することによ
り、マスクパターンの転写を行うが、その際には、参照
光bと共役な平行光b2 を再生光としてプリズム2側か
らホログラム(記録媒体1)に入射させることによって
行なわれる。
【0070】以上のようなホログラフィックリソグラフ
ィの工程において使用される照明光学系は、高精度の照
明強度均一性を供えていることが必要である。このた
め、本実施例では、上述のようなホログラム記録もしく
はウエハ転写の過程において、照明系でのスペックルノ
イズに起因する照明ムラを3%以下に制限している。
【0071】以下では、本実施例の照明光学系の具体的
構成について説明する。本発明の第一実施例に係る照明
光学系は、図1並びに図2に示すように、ビームエキス
パンダーとコリメートレンズで構成されている。また、
第二実施例に係る照明光学系は、図3並びに図4に示す
ように、ビームエキスパンダーとコリメートレンズ並び
に照明光偏向ミラーで構成されている。
【0072】このような照明光学系を構築する場合、最
初に光学素子が1つの場合(図6に示すように素子60
1のみで構成されるもの)についての定性的な考察を行
なっておく必要がある。ここで、本実施例に係る装置で
は、使用波長が364nmであり、照明光の有効系φ=
50mm、素子の伝達率ψ=0. 95、素子の配置角θ
=0゜とし、αには近似式(12)を用いることにする。
【0073】一般的な光学素子の典型的な値として、M
=ー1. 5、ー1. 9、ー2. 0、ー2. 1、ー2. 4
の場合(文献2)について、被照明体上に現れるスペッ
クル強度ムラを、光学素子からの距離dの関数として近
似式(11)に従って計算し、プロットしたグラフを図8
に与える。ここで、dの範囲は10〜1000mmと
し、Bはd=1000mmにおいて強度ムラが1%とな
るように規格化し、そのオーダは光学素子として典型的
な10-4程度である。
【0074】図8より、Mの値によって、強度ムラが距
離dの増加関数(M>ー2)となるか、減少関数(M<
ー2)となるか、一定(M≒ー2)となるかが決まるこ
とがわかる。これは、この光学素子の配置を決める上で
重要な判断基準となるので、照明光学系を構成する光学
素子のBSDFデータを、式(13)によってフィッティング
し、Mを求める事によって、その光学素子を被照明体に
近付けるべきかどうかが判断できる。
【0075】上述したように、Mは低散乱素材程小さ
く、高散乱の物ほど大きいので、照明光の有効径が一定
である場合には、低散乱素材ほど被照明体に近く、散乱
が大きいものは、被照明体から遠ざけるべきであるとい
う定性的な結果が得られる。
【0076】以上の考察を参考にして、上記の物体照明
光学系Aと参照光照明光学系Bの場合について説明す
る。尚、以下では散乱率αとしては近似式(11)を用い
ることにする。より詳細な解析は、実験により得られる
曲線を用いて数値積分による解析を行なえば良い(実験
データのない部分は、適宜、予想曲線で近似することは
いうまでもない)。
【0077】{第一実施例}先ず、第一実施例に係る照
明光学系の構成を持つ物体照明光学系A1 並びに参照光
照明光学系B1 について説明する。尚、図1及び図2に
示す光学系は、照明光学系の構成の一例を示すものであ
り、物体照明光学系並びに参照光照明光学系が、これら
の図に示す光学系の構成に限定されるものではない。
【0078】図1に示す物体照明光学系A1 は、ビーム
エキスパンダー101の収束部に設けたピンホール10
4によって、これ以前の光路上の光学系から発生する散
乱成分はカットされていると考えてよい。従って、スペ
ックルノイズの発生源となる光学素子は、コリメートレ
ンズ102だけと考えられる。
【0079】この場合、強度ムラを3%以下とするため
には、式(16)〜(19)でN=1とおいた場合に従っ
て、以下の式(20)を満たすようにコリメートレンズ1
02の材質等を選択して配置すれば良い。
【0080】
【数24】
【0081】ここで、使用波長は364nmとし、α,
ψ,θは、それぞれコリメートレンズ102の散乱率、
伝達率、配置角である。そして、透過率が95%(ψ=
0.95)の材質を使用し、θ= 0゜でコリメートレン
ズ102aを配置したとすると、BRDFデータの測定結果
より、B,Mは夫々、B=2・10-5、M=ー1. 9の
ように得られたとする。
【0082】これらに基づいて、式(20)において、レ
ンズの有効径φA を50mmとして素子の距離dA1を変
化させた場合、左辺(強度ムラ)は次のよう計算され
る。
【0083】
【表1】
【0084】従って、第一実施例における物体照明光学
系A1 のような構成の場合には、コリメートレンズ10
2とマスク3との距離dA1を、およそ160mm以上と
すれば、強度ムラが3%以下となる。
【0085】さらに、同様な構成の参照光照明光学系B
1 についても、コリメートレンズ202の有効径φB
ホログラム記録媒体1との距離dB1について、同様の手
順で算出して配置構成を決定することができる。尚、プ
リズムの屈折率を1.5、コントラスト評価面Sとプリ
ズム境界との距離dB1’=20mm(一定)として補正し
て計算しており、以下のdB1はプリズム表面からの距離
である。また、コントラストの評価はdB1+dB1’を用
いる。
【0086】
【表2】
【0087】この結果において、dB1’は評価面Sとプ
リズム境界との最短距離であるが、この実施例では{M
=−1.9>−2.0}であるので、素子を遠ざければ
遠ざける程ノイズが減少するからである。この例におい
ては、dL ≧ 140 mm とすることが有効である。尚、
ψ,θ,B,M,φ等は全て物体光学系A1 と同じ部材
を用いているため同じ値とした。
【0088】{第二実施例}次に、本発明の第二実施例
について説明する。この実施例では、物体照明光学系A
1 並びに参照光照明光学系B1 が、夫々図3並びに図4
に示すように配設されている。先ず、図3に示す物体照
明光学系A1 について説明する。上記の第一実施例と同
様に、この第二実施例においてもビームエキスパンダー
301の収束位置で余分な散乱光がカットされるため、
ピンホール304以後の光路上に配置された光学素子で
あるコリメートレンズ302と照明光偏向ミラー103
の配置について検討する。
【0089】この実施例においても、必要な照明強度ム
ラを3%以下とすると、前述した光学素子が複数ある場
合の式(16)〜(19)でN=2と置き、両辺を二乗した
形として、以下の条件式(21)を得る。
【0090】
【数25】
【0091】ここで、α,ψ,θは、夫々散乱率、伝達
率、配置角(図3参照)を表し、添え字L、mはそれぞ
れコリメートレンズ302と照明光偏向ミラー303に
対応する。この式(21)の両辺に104 を掛けて整理
し、次式(22)となる。
【0092】
【数26】
【0093】本実施例においても、使用波長を364n
mとし、コリメートレンズ302の有効径φC は50m
mとする。コリメートレンズ302及び、照明光偏向ミ
ラー303の伝達率ψ、配置角θ、BSDFデータによるパ
ラメータB、Mは低散乱光学素子の場合とし、下表のよ
うに与えられているものとする。
【0094】
【表3】
【0095】この表から明らかなように、レンズのMは
ー2以上、ミラーではー2以下なので、上記の考察か
ら、マスクから見てレンズはより遠くに、ミラーはより
近くに配置するのが良いことが予想される。実際、式
(22)の左辺第1項、と第2項の値を、夫々の素子の距
離を変化させて計算した結果は以下の通りとなる。
【0096】
【表4】
【0097】この表より、第1項及び第2項の和が9以
下になるように、夫々の光学素子の配設位置(距離)d
L1、dm1を決定すれば良く、これらの配設領域として、
例えば、(dL1≧300mm,dm1≦300mm)とな
るような配置が可能であることがわかる。尚、これらの
L1、dm1はプリズム表面からの距離であり、このよう
して第二実施例に係る照明光学系の構成であっても、照
明の強度ムラが3%以下の物体照明光学系A2 が構築で
きるものとなっている。
【0098】さらに、同様な構成を有する参照光照明光
学系B2 (図4参照)についても同様の手順で考えるこ
とができる。以下に、計算結果を示すが、光学素子の各
部材は物体照明光学系A2 と全く同じもの(同じパラメ
ータ)を使用している。この結果から、参照光照明光学
系B2 では、(dL2≧200mm,dm2≦100mm)
となる配置が可能であることがわかる。
【0099】
【表5】
【0100】なお、ミラーの配置角θm は22.5度、
レンズの評価面SL はプリズム内透過距離(dL'=20
mm)が最短の場所を用い、ミラーの評価面Sm はプリズ
ム内透過距離(dm'=70mm)が最長の場所を用いてい
る。これらは夫々レンズのM(>−2)とミラーのM
(<−2)とが異なるため、レンズは遠ざける程ノイズ
が少なくなり、ミラーは近づける程ノイズが少なくなる
ためである。この例では、dL ≧ 200 mm 、dm ≦ 100
mm とすることが有効である。
【0101】以上説明した第一実施例並びに第二実施例
を組み込んだホログラム記録再生装置で、実際にマスク
パターン像のホログラムの記録並びに再生を行ったとこ
ろ、何れも光量ムラの極めて少ない良好な再生像が得ら
れており、従来の装置に比べてパターン転写精度も向上
したものとなっている。
【0102】なお、上記の第一実施例並びに第二実施例
では、照明光の有効径φを決め、照明強度ムラの許容値
を限定し、各光学素子のBSDFデータと透過率(反射
率)、配置角を与え、これらの基づいて光学素子の位置
を決定するという手順に従ったが、逆に、光学素子の位
置と有効径が決っている場合には、その条件から光学素
子のBSDFや、透過率に対するスペックを与えるとい
う手順も可能であることは言うまでもない。
【0103】また、BSDFは使用波長によっても大き
く変化するので、BSDFのスペックの与え方として
は、波長に留意することの有効である。例えば、一般に
はUV光より可視光の方が散乱は少ないので、これらの
波長を考慮してBSDFのスペックを与えることが好ま
しい。
【0104】更に、物体光、参照光、記録光及び再生光
の各光学系を問わず、レンズやミラーで生じる散乱光や
外部からの散乱光などが装置構成部材の金属部品などで
反射されて光路中に戻るのを防止するために、これらの
部品の表面を反射防止膜で覆ったり、或いは不要光の入
射を遮光板などによって防ぐ処置をとっておくことが必
要なことは通常の光学システムの場合と同様である。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、光
学素子の散乱率、伝達率、配置角、照射有効径、被照射
体との距離等に制限を与えることによって、スペックル
パターンに起因する照明光学系の光量ムラを一定値以下
に制限することができる。
【0106】このため、本発明をホログラム記録再生装
置等に応用すれば、ホログラム作成時における回折効率
ムラ、及び、ホログラムマスク再生時の露光量ムラを許
容値以下に低減することができるので、パターン転写精
度が向上する利点がある。
【0107】さらに、この照明光学系を利用する装置等
に要求される光量ムラの範囲内で照明光学系を構築でき
るものとなるので、例えば既存の装置の照明光学系とし
て組み込む際にも、その装置の設置制限内で強度ムラを
一定値以下に抑えた照明系を構築することができるもの
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係る物体照明光学系の概
略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第一実施例に係る参照照明光学系の概
略構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第二実施例に係る物体照明光学系の概
略構成を示す説明図である。
【図4】本発明の第二実施例に係る参照照明光学系の概
略構成を示す説明図である。
【図5】本発明に一実施例に係る照明光学系を利用した
ホログラム記録再生装置の概略構成を示す説明図であ
る。
【図6】本発明に係る照明光学系を構成する光学素子が
一つの場合の条件式におけるパラメータ等を示す説明図
である。
【図7】本発明に係る照明光学系を構成する光学素子が
複数の場合の条件式におけるパラメータ等を示す説明図
である。
【図8】本発明に基づいて、被照明体上に現れるスペッ
クル強度ムラを、光学素子からの距離dの関数として近
似式(11)に従って計算した結果を示す線図である。
【符号の説明】
1:ホログラム記録媒体、2:プリズム、3:マスク、
4ビーム分割手段、101,201,301,401:
ビームエキスパンダー、102,202,302,40
2:コリメートレンズ、303,403:照明光偏向ミ
ラー、601、701、702:照明光学系を構成する
光学素子、A:物体照明光学系、B:参照光照明光学
系。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照明光学系を構成する光学素子がN個で
    構成されている場合に、以下の条件を満足するように構
    成されたコヒーレント光を光源として用いる照明光学
    系。 【数1】 【数2】 ここで、Cは照明光学系を構成する光学素子での散乱に
    よって被照明体上に生成されるスペックルパターンによ
    る強度ムラを示す数値、αi は各光学素子の散乱率、F
    i (q)は使用波長における散乱実験によって得られる
    散乱光の角度特性、qi maxは被照明体と光軸の交点から
    光学素子を見込む角度、qi minは被照明体上で照明光と
    の位相差がλ/4に等しくなる散乱光射出角、ψi は各
    光学素子の伝達率、θi は各光学素子の配置角とする。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008090612A1 (ja) * 2007-01-25 2008-07-31 Fujitsu Limited ホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生方法、およびホログラム記録媒体

Cited By (2)

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WO2008090612A1 (ja) * 2007-01-25 2008-07-31 Fujitsu Limited ホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生方法、およびホログラム記録媒体
JPWO2008090612A1 (ja) * 2007-01-25 2010-05-13 富士通株式会社 ホログラム記録再生装置、ホログラム記録再生方法、およびホログラム記録媒体

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