JPH0781952A - 光学部品の成形型用材料及びこの材料を用いた成形型 - Google Patents

光学部品の成形型用材料及びこの材料を用いた成形型

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JPH0781952A
JPH0781952A JP24866993A JP24866993A JPH0781952A JP H0781952 A JPH0781952 A JP H0781952A JP 24866993 A JP24866993 A JP 24866993A JP 24866993 A JP24866993 A JP 24866993A JP H0781952 A JPH0781952 A JP H0781952A
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molding
mold
glass
sintered body
aluminum
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JP24866993A
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Hiroaki Tanji
宏彰 丹治
Motonobu Osakabe
基延 越阪部
Noriko Kurihara
紀子 栗原
Nobuyuki Tadokoro
信幸 田所
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • C03B11/084Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor
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    • C03B11/086Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor of coated dies
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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/02Press-mould materials
    • C03B2215/08Coated press-mould dies
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  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形温度が600℃を超えるガラスをプレス
成形するための成形型用として適した材料及び成形温度
が600℃を超えるガラスのプレス成形においても長寿
命を示し、繰り返して安定に用いることができる成形型
の提供。 【構成】 化学式Y3 Al5 12で示されるイットリウ
ム・アルミニウム・ガーネット、その固溶体、化学式M
gAl2 4 で示されるマグネシウム・アルミニウム・
スピネル及びその固溶体からなる群から選ばれる少なく
とも1種である光学部品の成形型用材料。少なくとも成
形面が前記材料で形成されている光学部品の成形型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学測定器、映像機
器、音響機器、事務機器などの光学機器に用いられるガ
ラスレンズのプレス成形に用いられる成形型用材料及び
この材料を用いた成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】非球面レンズは単一で収差をなくせるこ
とから、コンパクトかつ高性能のレンズ系を構成できる
という特徴を持ち、光学機器の小型化、高性能化にとっ
て、不可欠の部品となっている。
【0003】非球面レンズの製作法は、以前は研削研磨
法に限られていた。しかし、この方法では加工性、量産
性に限界があり、コスト高になるため、限られた範囲で
しか実用に供されていなかった。しかしその後、プレス
成形法が実用されるに至り、安価かつ大量に非球面レン
ズの製造することが可能になり、その応用範囲が急速に
拡大している。
【0004】プレス成形法によるガラスレンズの成形加
工には、予め所定の形状、すなわち製品であるレンズの
形状の雌型に精密加工された成形モールドを用いる。そ
して、該成形モールドを用いて、適当な粘度を示す温度
に加熱されたガラスを加圧成形し、成形モールドの成形
面を転写させることによりガラスレンズが得られる。ガ
ラスレンズには成形面の状態が転写されるために、成形
モールドは以下の諸条件を満足することが必要である。
成形モールドの材質がガラスの成形温度で熱的に安定
である。成形モールドが成形温度でも十分な剛性を有
して成形圧によっても変形しない。成形面は光学的な
面精度にまで加工できる。繰り返しの加圧成形によっ
てもその表面状態が変化しない。
【0005】このような諸条件を満足するには、耐熱性
に優れ、緻密な構造を有し、そして成形雰囲気ガスやガ
ラスとの反応性が低い材料により成形型を構成する必要
がある。そのような材料として、高融点金属とその合金
や高温耐熱性各種セラミックスからなる硬質体あるいは
基材上に形成した硬質膜が、種々提案されてきた。例え
ば、特開平3−12331号公報には、酸化クロムと酸
化ジルコニウムを主成分とするセラミック焼結体からな
る成形型が開示されている。特開平2−199036号
公報には、SiC基材の表面にイオンプレーティング法
でi−カーボン膜を形成した成形型が開示されている。
これらの成形型は、成形温度が600℃未満の条件では
優れた耐久性を示し、数千回以上の繰り返し成形後も、
その表面状態がほとんど変化しないという実績を示して
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】それに対して、近年、
バリウム含有の高屈折率、低分散の光学ガラスをプレス
成形法により成形する試みがなされている。しかるに、
SK−5のようなバリウム含有光学ガラスは成形温度が
600℃を越え、上記の既存の成形型材料では型表面の
劣化が急速に進み、型の表面荒れやガラスと型の付着な
どが発生するという問題があった。
【0007】そこで本発明の目的は、成形温度が600
℃を越えるガラスをプレス成形するための成形型用とし
て適した材料を提供することである。さらに本発明の目
的は、成形温度が600℃を越えるガラスのプレス成形
においても長寿命を示し、繰り返して安定に用いること
ができる成形型を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】成形型の表面荒れや成形
型とガラスの付着は、成形型表面と成形されるガラスと
の界面における両者の反応に由来する。型とガラスとの
反応性は、熱力学的には、それぞれを構成する物質の生
成自由エネルギーの和と、両者が反応した場合に生成す
るであろう反応生成物の生成自由エネルギーの和とを比
較することで、ある程度推定することが可能である。こ
れに従えば、これまでに提案されている、遷移金属の窒
化物、炭化物、ホウ化物、また周期律表の2から14族
の元素の酸化物は、いずれも本質的にはガラスと反応す
ることが予想される。もちろん熱力学的な議論では反応
速度まで予想することは出来ないので反応するはずの系
であっても、反応速度が充分に遅く、実用的には問題な
く繰り返し成形に用いることができる場合も多い。しか
し反応速度は温度とともに増大するので、高温で成形す
る場合には、型材とガラスとの反応が無視できなくなっ
てくるものと推察される。
【0009】そこで本発明者らは、各種の酸化名物、す
なわち複数の単純酸化物が互いに反応して新たに形成さ
れる単一の酸化物が、そのもとになるそれぞれの酸化物
よりも熱力学的に安定であることに着目して種々の酸化
物について検討した。その結果、酸化アルミニウム(A
2 3 )と酸化イットリウム(Y2 3 )の化合物で
あるイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Y3
5 12)及びその固溶体、並びに酸化マグネシウム
(MgO)と酸化アルミニウム(Al2 3 )の化合物
であるマグネシウム・アルミニウム・スピネル(MgA
2 4 )及びその固溶体が、成形型として好ましい特
性を有することを見いだし、本発明に至った。
【0010】即ち本発明は、化学式Y3 Al5 12で示
されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット、その
固溶体、化学式MgAl2 4 で示されるマグネシウム
・アルミニウム・スピネル及びその固溶体からなる群か
ら選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする光学
部品の成形型用材料に関する。
【0011】さらに本発明は、少なくとも成形面が、前
記成形型用材料から形成されていることを特徴とする光
学部品の成形型に関する。以下本発明について説明す
る。
【0012】イットリウム・アルミニウム・ガーネット
は、YAGの名称で知られる融点1900℃以上の耐熱
性に優れたガーネット型結晶構造の酸化物であり、また
約15GPaのビッカース硬度を有する硬質物質であ
る。酸化雰囲気中のみならず非酸化性雰囲気中でも安定
であり、その基本特性は成形型として好ましいものであ
る。さらにこれを実際にガラス成形の型とした場合に
は、成形温度が600℃を越えるバリウム系ホウケイ酸
ガラスの成形においても型表面が荒れたり、あるいはガ
ラスと付着することがない。その結果、従来の成形型で
は困難であった1万回を越える繰り返し成形にも、安定
して使用することができる。
【0013】さらに本発明では、イットリウム・アルミ
ニウム・ガーネットの固溶体も成形型用材料として用い
ることができる。一般にガーネット構造の酸化物は、各
種の金属イオン(周期律表、第2族から第14族までの
ランタン族を含む金属のイオン、例えばMg、Ca、S
i、Ndイオン等)を置換固溶することが知られてい
る。本発明の成形型で用いるYAGも、稀土類金属をは
じめとする各種金属イオンが固溶可能である。固溶した
これら金属イオンは成形された固溶体から除去すること
が困難であり、簡単には溶出して来ない。また、前記異
種金属の固溶量は、イットリウム・アルミニウム・ガー
ネットが本来有する安定性を損なわない範囲であれば良
い。尚、イットリウム・アルミニウム・ガーネットが本
来有する安定性を損なわない固溶量は、金属の種類によ
り異なるが、通常は例えば5モル%以下程度である。
【0014】本発明において成形型用材料として好まし
く用いることができる固溶体は、一般式Mx 3-x Al
5 12又はMx 3 Al5-x 12で示される。式中のM
は固溶金属であり、周期律表第2族から第14族までの
ランタン族を含む金属の一種又は二種以上である。x
は、イットリウム・アルミニウム・ガーネットが本来有
する安定性を損なわないという観点から0.05以下で
あることが適当である。
【0015】一方、マグネシウム・アルミニウム・スピ
ネルは、融点2000℃以上の耐熱性に優れたスピネル
型結晶構造の酸化物である。酸化雰囲気中のみならず非
酸化性雰囲気中でも安定であり、その基本特性は成形型
として好ましいものである。さらにこれを実際にガラス
成形の型とした場合には成形温度が600℃を越えるバ
リウム系ホウケイ酸ガラスの成形においても型表面が荒
れたり、あるいはガラスと付着することがない。その結
果、従来の成形型では困難であった1万回を越える繰り
返し成形にも、安定して使用することができる。
【0016】さらに本発明では、マグネシウム・アルミ
ニウム・スピネルの固溶体も成形型用材料として用いる
ことができる。一般にスピネル構造の酸化物は、各種の
金属イオン(例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Sr、Moのイオン)を置換固溶する
ことが知られている。本発明の成形型で用いるマグネシ
ウム・アルミニウム・スピネルも、亜鉛をはじめとする
各種金属イオンが固溶可能である。固溶したこれら金属
イオンは成形された固溶体から除去することが困難であ
り、簡単には溶出して来ない。また、前記異種金属の固
溶量は、マグネシウム・アルミニウム・スピネルが本来
有する安定性を損なわない範囲であれば良い。尚、マグ
ネシウム・アルミニウム・スピネルが本来有する安定性
を損なわない固溶量は、金属の種類により異なるが、通
常は例えば5モル%以下程度である。
【0017】本発明において成形型用材料として好まし
く用いることができる固溶体は、一般式Mx Mg1-x
2 4 で示される。式中のMは固溶金属であり、例え
ば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Sr及びMoからなる群から選ばれる一種又は二種以上
の金属である。xは、マグネシウム・アルミニウム・ス
ピネルが本来有する安定性を損なわないという観点から
0.05以下であることが適当である。
【0018】本発明の成形型は、YAG又はその固溶体
の単結晶もしくは緻密な焼結体を所望の形状に機械加工
し、さらに成形面を光学研磨することにより作製でき
る。あるいは、型形状に加工した適当な基材の成形面部
分にスパッタ等によりYAG又はその固溶体の薄膜を形
成することにより作製される。いずれの場合も成形面に
微細なくぼみや気孔があると型として使用できなくなる
ので、YAG又はその固溶体はその密度が理論値の99
%以上の緻密な組織を有するものであることが適当であ
る。
【0019】YAG又はその固溶体の場合、単結晶から
型を作ることが可能であり、100%緻密なものが得ら
れる。例えば、気相法によるバルク成長、ヘテロエピタ
キシャルな薄膜成長法等が挙げられる。しかし、通常の
セラミックス焼結体の製造方法で、適切な条件を選べ
ば、焼結体でもほぼ100%緻密なものを得ることが可
能である。100%緻密で透明なYAG焼結体の作製方
法については、例えば特開平2−92817号、特開平
3−218963号、特開平3−252355号、など
に開示されている。この他にも通常のセラミックス焼結
体の製造方法に準じて、本発明で必要な99%以上の密
度を有する焼結体を作製することが可能である。
【0020】また、マグネシウム・アルミニウム・スピ
ネル又はその固溶体の単結晶もしくは緻密な焼結体を所
望の形状に機械加工し、さらに成形面を光学研磨して成
形型を作製することができる。また、型形状に加工した
適当な基材の成形面部分にマグネシウム・アルミニウム
・スピネル又はその固溶体の薄膜を形成することでも成
形型を作製することができる。いずれの場合も成形面に
微細なくぼみや気孔があると型として使用できなくなる
ので、マグネシウム・アルミニウム・スピネル又はその
固溶体はその密度が理論値の99%以上の緻密な組織を
有するものであることが適当である。単結晶から型を作
る場合には、100%緻密なものが得られるが、適切な
条件を選べば、焼結体でもほぼ100%緻密なものを得
ることができる。
【0021】YAG、マグネシウム・アルミニウム・ス
ピネル又はそれらの固溶体の緻密な焼結体の作製法の一
例を以下に挙げる。即ち、原料粉末としては、酸化イッ
トリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の酸
化物粉末を適宜組み合せるか、あるいは炭酸マグネシウ
ム等の炭酸塩等の各種塩と酸化イットリムウ等の酸化物
粉末の組合せを用いることが可能である。平均粒径0.
5〜3μm程度のYAG、マグネシウム・アルミニウム
・スピネル又はそれらの固溶体の粉末を金型成形、CI
P(Cold Isostatic Press)成形し、これを常圧で焼
結、もしくはホットプレス焼結する方法が挙げられる。
尚、ホットプレス焼結して得られたものをさらにHIP
焼結を行うことでより完全な緻密焼結体を得ることもで
きる。尚、原料粉末の粒径がこの範囲よりも小さすぎる
と、粉末の凝集が起こり、焼結時に大きな気孔が残留し
て緻密な焼結体を得るのが難しくなる。また逆に粒径が
大きすぎても粉末製形態の密度が上がらず、最終的に得
られる焼結体の緻密化が進行しない。従って、粒径は前
記の範囲とすることが適当である。但し、焼結温度や時
間は用いる材料の種類により異なる。
【0022】より具体的には、前記原料粉末を金型成
形、CIP成形して粉末成形体とし、空気中1400〜
1600℃、2時間程度の焼結で、理論密度の99%以
上に緻密化した焼結体を得ることができる。これをさら
に200MPaのAr中で1300〜1500℃、0.
5〜2時間HIP処理を行うと、ほぼ理論密度にまで緻
密化した焼結体を得ることができる。
【0023】このようにして得られた、各種酸化物の単
結晶又は焼結体は次いで常法により光学部品成形型に加
工される。尚、成形型の形状、構造等には特に限定はな
い。例えば、図1に示すような光学部品成形型を挙げる
ことができる。図1の成形型3は、本発明の材料で形成
された成形上型1a、成形下型1b及び案内型2から構
成される。成形型3では、成形上型1a及び成形下型1
bに荷重をかけることにより、ガラス球4をプレスし
て、ガラスレンズとすることができる。
【0024】また本発明の各種酸化物はいずれも各種薄
膜形成法により容易に薄膜としてコーティングすること
も可能である。従って、機械的強度や靱性に優れた耐熱
性合金、超硬合金、セラミックス焼結体などを基材とし
て、その上に薄膜としてこれら酸化物を形成することに
よっても、良好な成形型を作製することができる。尚、
薄膜形成法としては、例えば塩化物や有機金属化合物等
を原料として用いるCVD法、酸化物をターゲットとす
るスパッタリング法及び金属ターゲットを用いる反応性
スパッタリング法等のPVD法を挙げることができる。
【0025】尚、薄膜を有する成形モールドの形状、構
造等には特に限定はない。例えば、図2に示すような光
学部品成形型9を挙げることができる。図2に示す成形
型9は、本発明の材料で形成した薄膜5aを有する成形
上型基材6a、本発明の材料で形成した薄膜5bを有す
る成形下型基材6b、及び本発明の材料で形成した薄膜
7を有する案内型基材8で構成されている。成形上型基
材6a、成形下型基材6b、及び案内型基材8の材質と
しては、前記のように超硬合金等を用いることができ
る。成形型9では、成形上型6a及び成形下型6bに荷
重をかけることにより、ガラス球4をプレスして、ガラ
スレンズとすることができる。
【0026】以下実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例1、比較例1、2 純度99.9%以上、平均粒径0.2μmの酸化アルミ
ニウム粉末と酸化イットリウム粉末を、エタノールを溶
媒として、アルミナ性ボールミル中で24時間混合、粉
砕し、乾燥したものを出発原料とした。この原料粉末を
まず金型で直径30mm、高さ50mmの円柱に40M
Paの圧力で予備成形し、さらに200MPaでCIP
成形した。つぎにこの円柱状の粉末成形体を、10-1
aの真空中、1700℃で2時間焼結して焼結体を得
た。この焼結体はX線回析の結果、YAG単相であっ
た。円筒研削加工により円柱に加工し、その密度を測定
した結果、YAGの理論密度の99.6%であった。ま
た円柱の表面を鏡面加工したところ、この焼結体が透光
性を有することが確認され、高密度に緻密化したYAG
焼結体であることが確認された。この焼結体を、15m
mφ×5mmtの円盤に加工し、さらにその表面を鏡面
加工した(実施例1)。
【0027】この円盤に直径6mm、高さ4mmの半球
状の形をしたバリウム系ホウケイ酸ガラスSK−5をの
せ、窒素雰囲気中、650℃で30分熱処理後冷却し、
YAG焼結体とガラスの接触界面の状態を調べた。両者
の付着は全く認められず、YAG焼結体の表面が転写さ
れたガラス塊が回収された。比較のため、密度99%以
上のアルミナ焼結体(比較例1)および酸化イットリウ
ム焼結体(比較例2)について、同じ熱処理を行い、ガ
ラスとの接触界面を調べた。その結果、どちらの焼結体
においても焼結体表面にガラスが融着し、ガラスを簡単
に剥がすことができなかった。
【0028】尚、本実施例で、簡単のため、円盤を用い
たが、実際の光学部品成形型としては、例えば、図1に
示すような成形上型1a、成形下型1b、案内型2の全
てをYAG焼結体で作製して光学部品成形型3とするこ
とができる。そして、成形上型1a及び成形下型1bに
荷重をかけることにより、ガラス球4をプレスして、ガ
ラスレンズとすることができる。さらに、図2に示すよ
うに成形上型基材6a、成形下型基材6b、案内型基材
8の全てをニッケルで作製し、その内面をYAGの薄膜
5a、5b、7で形成してもよい。
【0029】実施例2 チョクラルスキー法により直径約25mmのYAG単結
晶を引き上げた。密度はほぼ理論値に一致し、100%
緻密なYAG硬質体であることが確認された。この単結
晶棒を用いて、所定の型形状に加工し、さらに成形面を
鏡面加工することにより、図1に示すような成形上型1
a、成形下型1b及び案内型2を作製して光学部品精密
成形型3を得た。
【0030】比較例として特開平3−12331号公報
に従って作製した酸化クロムと酸化ジルコニウムを主成
分とするセラミック焼結体からなる成形型(比較例3)
を作製した。さらに、特開平2−199036号公報に
従って作製したSiC基材の表面にイオンプレーティン
グ法でi−カーボン膜を形成した成形型(比較例4)を
作製した。このようにして作製した実施例2及び比較例
3、4の成形型を用いて、以下の条件でバリウム系ホウ
ケイ酸ガラスSK−5のプレス成形を行った。
【0031】成形条件: 型形状 15mmφ×5mmt 成形温度 620℃ 成形圧力 10MPa 加圧時間 20秒 雰囲気 窒素
【0032】実施例2の成形型は、成形を1万回繰り返
しても型の表面荒れは認められず、そのまま引き続いて
成形型として用いることが可能であった。しかし比較例
3では50回、比較例4でも500回程度の繰り返し
で、成形面に荒れが生じ、再研磨なしに使用することは
困難であった。
【0033】実施例3、比較例5、6 純度99.9%以上、平均粒径0.2μmの酸化アルミ
ニウム粉末と酸化マグネシウム粉末を、エタノールを溶
媒として、アルミナ製ボールミル中で24時間混合、粉
砕し、乾燥したものを出発原料とした。この原料粉末を
まず金型で直径30mm、高さ50mmの円柱に40M
Paの圧力で予備成形し、さらに200MPaでCIP
成形した。つぎにこの円柱状の粉末成形体を、10-1
aの真空中、1750℃で2時間焼結して焼結体を得
た。この焼結体はX線回析の結果、マグネシウム・アル
ミニウム・スピネル単相であった。円筒研削加工により
円柱に加工し、その密度を測定した結果、マグネシウム
・アルミニウム・スピネルの理論密度の99.2%であ
った。また円柱の表面を鏡面加工したところ、この焼結
体が目視で透光性を有することが確認され、高密度に緻
密化したマグネシウム・アルミニウム・スピネル焼結体
であることが確認された。この焼結体を、15mmφ×
5mmtの円盤に加工し、さらにその表面を鏡面加工し
た(実施例3)。
【0034】この円盤に直径6mm、高さ4mmの半球
状の形をしたバリウム系ホウケイ酸ガラスSK−5をの
せ、窒素雰囲気中、650℃で30分熱処理後冷却し、
マグネシウム・アルミニウム・スピネル焼結体とガラス
の接触界面の状態を調べた。両者の付着は全く認められ
ず、マグネシウム・アルミニウム・スピネル焼結体の表
面が転写されたガラス塊が回収された。
【0035】比較のため、密度99%以上のアルミナ焼
結体(比較例5)および酸化マグネシウム焼結体(比較
例6)について、同じ処理をし、ガラスとの接触界面を
調べたところ、どちらの焼結体においても焼結体表面に
ガラスが融着し、ガラスを簡単に剥がすことができなか
った。
【0036】さらに前記実施例3の成形型を用いて、以
下の条件でバリウム系ホウケイ酸ガラスSK−5のプレ
ス成形を行った。 成形条件: 型形状 15mmφ×5mmt 成形温度 620℃ 成形圧力 10MPa 加圧時間 20秒 雰囲気 窒素
【0037】その結果、実施例3の成形型は、成形を1
万回繰り返しても型の表面荒れは認められず、そのまま
引き続いて成形型として用いることが可能であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の材料は、いずれも千数百度以上
の融点を有する高温安定性に優れた物質であり、成形温
度である600〜650℃で全く問題なく使用すること
ができる。ガラス成形の型とした場合には、成形温度が
600℃を越えるバリウム系ホウケイ酸ガラスの成形に
おいても型表面が荒れたり、あるいはガラスと付着する
ことがなく、従来の成形型では困難であった1万回を越
える繰り返し成形にも、安定して使用することができ
る。そのため、成形における型コストの低減や生産性の
向上を通じた、非球面ガラスレンズの生産コストの大幅
な低減が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形型の断面説明図である。
【図2】本発明の成形型の断面説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田所 信幸 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式Y3 Al5 12で示されるイット
    リウム・アルミニウム・ガーネット、その固溶体、化学
    式MgAl2 4 で示されるマグネシウム・アルミニウ
    ム・スピネル及びその固溶体からなる群から選ばれる少
    なくとも一種であることを特徴とする光学部品の成形型
    用材料。
  2. 【請求項2】 少なくとも成形面が、請求項1記載の材
    料から形成されていることを特徴とする光学部品の成形
    型。
JP24866993A 1993-09-09 1993-09-09 光学部品の成形型用材料及びこの材料を用いた成形型 Pending JPH0781952A (ja)

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