JPH078182A

JPH078182A - キャットフード

Info

Publication number: JPH078182A
Application number: JP5118694A
Authority: JP
Inventors: Seinosuke Oshima; 誠之助大島; Tadashi Hashimoto; 匡司橋本; Matanobu Abe; 又信阿部; Masayuki Funaba; 正幸舟場
Original assignee: NIPPON NOUSAN KOGYO KK; Nihon Nosan Kogyo Co Ltd
Current assignee: NIPPON NOUSAN KOGYO KK; Nihon Nosan Kogyo Co Ltd
Priority date: 1993-05-20
Filing date: 1993-05-20
Publication date: 1995-01-13

Abstract

(57)【要約】【目的】ネコに特有の泌尿器症候群の発症を防止また
は発症率の低下あるいは発症したネコの泌尿器症候群の
改善をはかることができるキャットフードを提供する。【構成】キャットフードを製造するに際して、その含
有される粗蛋白質が乾物当たり50％以上の範囲あるいは
可消化粗蛋白質含量が35％以上の範囲となしたことを特
徴とする水分35％以下のネコ用飼料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はネコ用の飼料、すなわち
キャットフードに関するもので、更に詳細には、水分含
量が35％以下でその含有される粗蛋白質含量が乾物当た
り50％以上あるいは可消化粗蛋白質含量が35％以上とし
たキャットフードに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、水分35％以下のキャットフードに
おける粗蛋白質含量は、水分10％前後のいわゆるドライ
フードでは30％程度、水分30％前後のいわゆるセミモイ
ストフードやソフトモイストフードでは20％程度となっ
ている。これは米国科学アカデミーの基準、いわゆるＮ
ＲＣ基準（1978年版）やわが国のペットフード公正取引
協議会の基準が乾物当たりのネコの粗蛋白質要求量を28
％以上としており、米国飼料検査官協会の基準、いわゆ
るＡＡＦＣＯ基準（1992年版）が、26％以上としている
ことなどに準拠しているためである。

【０００３】しかし、一般にはこれらの値が栄養学的な
所要量と理解され、この割合程度が含有されていれば、
ある程度の余裕を持っているものと解釈され、実質的な
ガイドラインとなっている。ＮＲＣ基準などが乾物当た
りのネコの粗蛋白質要求量を26％以上あるいは28％以上
としているものの実際には、粗蛋白質は配合率が高まる
ほどコストアップが顕著となることから従来のキャット
フードの粗蛋白質含量は多くて37〜38％止まりである。

【０００４】また、可消化粗蛋白質については不明のケ
ースが多く、広く市販されているキャットフードでは明
示されているものはほとんどない。一方、ネコにはネコ
特有のネコ泌尿器症候群 (Feline Urological Syndrom
e：以下「ＦＵＳ」という) という尿路閉塞症が比較的
高率で発症する。この原因については諸説あり、未だに
決着が必ずしも着いてはいないが、その発症のメカニズ
ムの一つに尿の濃縮化と尿中ミネラル類の高濃度化が挙
げられている。

【０００５】このために従来のドライキャットフード
は、これらの問題を改善し、その発症頻度を低減させる
ために、例えば食塩を増量して飲水量を上げようとした
り、ＦＵＳ原因物質と見られているストラバイト結石の
成分であるマグネシウムを食餌から摂取する量をすくな
くするために、キャットフード中のマグネシウム含有量
を下げる努力をしてきた。

【０００６】また、一部にはストラバイト結石を溶解さ
せる目的で、意図的に尿を酸性化すべくメチオニンや塩
化アンモニウムのキャットフードへの添加などがなされ
ている。しかし、いずれも作用量と副作用量の差が少な
く、効果ある使用は健康上危険性の高いものとなるか、
あるいはその対策の割には効果の薄い方法である。

【０００７】健康上安全で、しかもこのような問題を解
決でき、かつ効果の確かなキャットフードは、今日まで
のところ知られていない。

【発明が解決しようとする課題】このような状況下か
ら、ネコが喜んで食べ、かつ当該ネコがいわゆるストラ
バイト結石に罹りにくく、しかも安全性の高いキャット
フードの開発が望まれているのが現状であり、本発明は
これらの効果を有するキャットフードを提供するもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上述のようなキ
ャットフードを開発すべく、キャットフードの改善につ
き種々研究した結果、キャットフード中の粗蛋白質含量
あるいは可消化粗蛋白質含量を高めることにより、ネコ
が喜んで食べ、かつネコ特有のＦＵＳを防止あるいは改
善できることを見出し本発明を完成した。

【０００９】すなわち、本発明は、水分含量が35％以下
で、乾物当たりの粗蛋白質含量が50％以上であることを
特徴とするキャットフードである。また、本発明は、水
分含量が35％以下で、乾物当たりの可消化粗蛋白質含量
が35％以上であることを特徴とするキャットフードであ
る。本発明の目的は、ネコに特有のＦＵＳの発症を防止
または発症率の低下あるいは発症したネコの症状の改善
をはかることができるキャットフードを提供することに
ある。

【００１０】本発明で使用する原料とは、例えばとうも
ろこし、小麦、マイロ、小麦粉等の穀類や動物性原料と
しての魚粉、ミートミール、ミートボーンミール、植物
性原料としてのコーングルテンミール、大豆油粕、その
他原料としての酵母、小麦胚芽、米糠油粕、ふすま、コ
ーングルテンフィードなどの他、動植物性油脂としての
牛脂、ラード、大豆油などおよび微量栄養成分としての
ビタミン、ミネラル類等あるいはカゼイン、乾燥卵粉、
コーンスターチなどの精製原料、肉類や魚類などの生の
原料などをいう。

【００１１】これらの任意の原料を適宜選択して用いる
ことができ、その組み合わせには、なんらの制限はな
い。本発明のキャットフードは、一般に種々のキャット
フード原料を混合した後にエクストルーダーによる加熱
加工処理を加えることにより得られるものではあるが、
必ずしもエクストルーダーによる加熱加工処理が必須の
ものではなく、他の加熱処理を加える方法でもよい。

【００１２】キャットフードの粗蛋白質、あるいは可消
化粗蛋白質含量としては、それぞれ乾物当たりで、45
％、あるいは30％程度以下では、期待される効果がで
ず、それぞれ50％あるいは35％以上の範囲が望ましい。
ここで粗蛋白質とは、飼料の一般成分の一つであって、
飼料の窒素含量をケルダール法によって定量し、その数
値に6.25を乗じたものをいう。また、可消化粗蛋白質と
は、飼料中の消化される粗蛋白質のことをいい、飼料中
の粗蛋白質にその消化率を乗じて求める。本発明におい
ては、粗蛋白質含量及び可消化粗蛋白質含量は日本飼料
標準分析法に従い求めた。可消化粗蛋白質含量は、飼料
及びその飼料を与えたネコの排泄した糞を回収し、次式
により消化率を求め、この消化率に飼料中の粗蛋白質含
量を乗じて求めた。

【００１３】

【００１４】本発明のキャットフードは、例えばエクス
トルーダー処理することによりキャットフード原料の中
のデンプン類等がアルファー化されることにより形状を
整形できるものとなるが、エクストルーダー処理におけ
る調湿度合い、温度、圧力等の条件はデンプン類がアル
ファー化される条件であれば適宜選択することができ
る。

【００１５】エクストルーダー処理を行う場合には、１
軸のエクストルーダーおよび２軸のエクストルーダーで
も所望のキャットフードが得られれば使用可能である。

【００１６】

【試験例】キャットフード給与時のネコのＦＵＳ発症予
防に関する栄養学的検討を行うべく、以下の方法により
食餌中のタンパク質水準がネコの尿量及びミネラル出納
に及ぼす影響について調べた。雌成ネコ４頭（三共
（株）ＳＰＦコロニー由来日本在来種；平均体重2.５６
kg）に対し、表１に示すような４種類の食餌（粗蛋白含
量：25.9, 38.3, 51.4, 65.2％）を９：００から１３：
００まで不断給与した。また、試験期間中脱イオン水を
自由飲水とした。試験はラテン方格法により行い、１期
３週間とし、最終７日間の排泄物を採取した。尿に関し
ては９：００から１６：００までに排泄したもの（９−
１６）と１６：００から９：００までに排泄したもの
（１６−９）に分けて採取した。

【００１７】

【表１】

【００１８】表２に摂食量、飲水量、尿量、表３に尿中
ミネラル濃度及びミネラル出納の測定結果を示す。

【００１９】

【表２】

【００２０】表２が示すように摂食量は、各区間で有意
な差は認められなかったが、飲水量及び尿量は、食餌中
の粗蛋白質含量が高まるにつれ増加し、摂取窒素（Ｎ）
量との間には正の関係が見られた (飲水量(ml／d)=36.6
+15.7×Ｎ摂取量(g／d), r=0.94, P<0.001; 尿量(ml／
d)=18.8+9.9×Ｎ摂取量(g／d), r=0.84, P<0.001)。な
お、試験期間中に明らかなネコの体重の変動は生じなか
った。

【００２１】

【表３】

【００２２】表３が示すように食餌中の粗蛋白質水準は
Ｍｇ出納に明らかな影響を及ばさなかった。Ｐに関して
は保持量は変化しなかったが、粗蛋白質含量が高まるに
つれ尿中排泄は増加し、糞中排泄は減少した。１日当た
りの平均、及び16-9の尿中Ｍｇ濃度は食餌中粗蛋白質含
量が増加するにつれ減少し、摂取Ｎ量との間に負の関係
が見られた（尿中Ｍｇ濃度（１日）(mg／l)=163.5-22.9
×Ｎ摂取量, r=-0.77,P<0.001; 尿中Ｍｇ濃度（16-9）=
159.0-26.1×Ｎ摂取量, r=-0.64, P<0.009）。一方、尿
中Ｐ排泄量はＮ摂取量と正の関係を有した（尿中Ｐ量(m
g／d)=0.2+26.9×Ｎ摂取量, r=0.91, P<0.001 ）。

【００２３】以上の結果を総括すると、ネコの食餌中の
蛋白質水準を高めることにより以下のような効果が得ら
れる。 (1) 飲水量及び尿量が増加する。 (2) 摂食量は変化しない。 (3) 尿量の増加に伴い尿中のＭｇ濃度が低下する。 (4) Ｐの尿中排泄が促進される。

【００２４】従って、ネコの食餌中の蛋白質水準を高め
ることにより尿道におけるマグネシウム化合物の結晶化
予防に有効である可能性が示唆される。

【００２５】

【実施例】表４に示す組成の原料を粉砕、混合した後、
１軸エクストルーダーにて高温、高圧処理を行いダイよ
り押し出してカッターにて切断し、次いで乾燥機にて加
熱乾燥し、成型後直径５mmの円柱状の膨化ペレット化し
たネコ用飼料Ａ, Ｂ, Ｃ,Ｄと対照のキャットフードを
得た。

【００２６】

【表４】

【００２７】次に、10匹の成ネコを用意し、各々単飼の
消化試験ケージに収容した。これらのネコを各区２頭ず
つとし、対照区Ａ〜Ｄ区の計５区10ケージ設けた。この
各区に対応するように上記製造したキャットフードを不
断給餌し、２か月間飼育し飼料摂取量と尿量を調べた。
その結果は表５に示すとおりである。

【００２８】

【表５】

【００２９】次に別のネコ (オス) 20頭を用いて、試験
飼料５種の不断給飼を、１種につき６か月間ずつ行っ
た。飼育室の環境条件は、22±２℃、ＲＨ60±10％とし
た。その結果は表６に示すとおりである。

【００３０】

【表６】

【００３１】本発明のキャットフードはネコのＦＵＳ発
生防止に効果が認められた。

【００３２】

【発明の効果】本発明のキャットフードは粗蛋白質含
量、あるいは可消化粗蛋白質含量を調節することによっ
て、膨化ペレットなどの固形あるいはソフトモイストタ
イプのキャットフードとした場合、ＦＵＳの改善あるい
は防止などの効果がある。このことはネコの尿路に生じ
た結石によって惹起される尿路閉塞に起因する排尿困
難、血尿、尿毒症などＦＵＳ特有の症状の未然の防止あ
るいは、改善などの効果も期待されるもので、このよう
な効果は従来の乾物当たり粗蛋白質含量35％程度以下の
キャットフードでは得られなかったものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水分含量が35％以下で、乾物当たりの粗
蛋白質含量が50％以上であることを特徴とするキャット
フード。
【請求項２】水分含量が35％以下で、乾物当たりの可
消化粗蛋白質含量が35％以上であることを特徴とするキ
ャットフード。