JPH076Y2 - カルチベータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、カルチベータの改良に関する。

従来技術と問題点 １畦用、多條式とも幼苗用の護葉装置として、ディスク
を備えたものがあるが、作物列至近まで畦を切崩して土
壌を畦間に集める集土器具を備えていない構造である
（たとえば、庄司英信著 昭和37年４月20日 株式会社
養賢堂 第11版発行 農業機械学概論 第218頁〜第225
頁 第９章 第３節カルチベータの項参照）。

そのため、最初からカルチベータを使って作業すると、
葉によって作物列に土壌がかかりすぎて根腐れを起すこ
とがある。この根腐れを防止するために、まず手作業で
作物列至近まで畦を崩して土壌を畦間へ取除き、かつ草
を取り、その後に畦間へ取除かれた土壌をカルチベータ
で作物列側へ寄せている。従って、頗る非能率な農作業
を強いられている。

本考案は、かかる問題点に着目してなしたもので、作物
列至近まで畦を切崩して土壌を畦間に集め、ついで、そ
の畦間に集められた土壌をある程度作物列側へ寄せる農
作業を機械的に能率よく行ない得るカルチベータを提供
すること、及びかかる農作業によって土壌温度を高めて
作物の成育を促進することなどを目的とする。

問題点解決のための手段 上記目的を達成するために本考案がなした手段は、主杆
に垂設した取付柄の前端部に、作物列至近の土壌を畦間
に集める略皿状の集土板を設け、かつ上記取付柄に後方
へ向って突設した主桁の中間部位側方の集土板後方に、
集土板によって集められた土壌をある程度作物列側へ寄
せる側刃を設けたということである。

作用 主杆を取付柄の前端部方へ進行せしめれば、集土板が作
物列の至近まで畦を切崩して畦間に土壌を集める。そし
て、集土板の後方に配設された側刃が、集土板によって
畦間に集められた土壌をある程度作物列側へ寄せる。従
って、畦が作物列至近まで天地返しされる。

実施例 トラクター等による牽引式或いは乗用式の多條式カルチ
ベータ（４畦用）の場合について図面で説明する。

主杆（１）は、牽引式の場合には不図示の連結器が装備
されてトラクターに連結可能に構成され、乗用式の場合
には不図示のエンジン，操縦席，操縦装置などが具備さ
れて自速式に構成される。図示例の主杆（１）は、４畦
用の場合を示すもので、畦数よりも１つ多い数の取付柄
（２）を垂設並列せしめる。取付柄（２）は、側面Ｌ字
形を基本形とする∠形に構成し、上端部をクランプ，ボ
ルト，ナットなどで取外可能かつ取付位置変更可能に主
杆（１）に取付ける。取付柄（２）は、屈曲部にボル
ト，ナットで主桁（４）を取付け、その主桁を後方へ向
って突設せしめると共に、前端部（前進方向側端部）に
集土板（３）を配設せしめる。集土板（３）は、作物列
（ａ）の至近まで畦を切崩して土壌を畦間に集めると共
に除草し、側刃（５）と協働して土壌温度を高め、作物
の成育をよくするための部材である。集土板（３）は、
皿状（図示例は円形の皿状）に成形し、取付柄の前端部
に配設した第１横軸（６）に回動管（７）で上下方向へ
回動自在に取付け、固い障害物に遭遇すると上方へ回動
して乗越えられるように構成する。集土板（３）は、回
動管（７）に下向突設した回動杆（８）に取付高さ位置
調整自在かつ取付角度調整自在に取付けた軸受（９）に
前後方向回転自在に設け、進行によって一方向へ回転し
ながら土壌を切崩し得るように構成し、かつ軸受（９）
の取付高さ位置を調整することによって土壌に対する切
込み深さが調整されるように構成し、さらには、軸受
（９）の取付角度を調整することによって進行方向に対
する角度が調整され、作物の大小等成育状況に応じて畦
の切崩し幅が調整されるように構成する。集土板（３）
は、作物列（ａ）の至近まで畦を切崩し、土壌を畦間に
集め、天地返しを行なうための部材であるから、正面か
ら視て前側（前進方向側）及び下側が拡がった形態に回
動杆（８）に設け、作物列（ａ）の至近まで畦を切崩し
可能ならしめると共に、自体の皿状断面形状と相俟って
切崩した土壌を畦間に集め得るように設ける。集土板
（３）は、土壌に対する切込みを確実にするため、第１
横軸（６）及びこれと並べて取付柄（２）の前端に設け
た第２横軸（10）に対し、回動杆（８）の軸受取付部近
くから引張りばね（11）を張架し、第１横軸（６）を中
心にして集土板（３）を常に下方へ付勢せしめ、障害物
を乗越えたら、直ちに土壌に切込み得るように構成す
る。引張りばね（11）は、第１横軸（６）及び第２横軸
（10）に前方（進行方向）へ向って取付けたばね掛杆
（12）に横軸側端部（図で上端部）を引掛け、集土板
（３）を常に下方へ付勢せしめる。

主杆（４）は、取付柄（２）から後方へ向って突設し、
その長手中間部位から側方へ向って側桁（13）を横向突
設せしめ、該側桁が集土板（３）の後方となる部位に側
刃（５）を垂設せしめ、かつ自体の後端部に中央刃（1
4）を垂設し、集土板（３）によって畦間に集められた
土壌を側刃（５）によって或る程度作物列（ａ）に寄せ
られるようにすると共に、畦間の土壌を中央刃（14）に
よって或る程度耕起すようにする。側刃（５）は、集土
板（３）と協働する部材で集土板（３）によって畦間に
集められた土壌を或る程度作物列（ａ）に寄せ、天地返
しを行なって土壌温度を高め、作物の成育を良くするた
めの部材である。側刃（５）は、それ自体周知の形状で
あってよく、かつ取付け手段も取外式，移動式等周知の
取付手段でよいが、配設数は、集土板（３）の後方に配
設する関係上集土板（３）と同数にする。

次に本考案カルチベータを使用した実験結果を説明する
と、馬鈴薯の場合には除草剤を散布せずにすみ、ビート
の場合には根腐薬を散布せずにすみ、豆類の場合には、
最後に土を除いたことで成育が良かった。

考案の効果 本考案は叙上のように構成したので、主杆を取付柄の前
端部方へ進行せしめれば、集土板が作物列の至近まで畦
を切崩して畦間に土壌を集める。そして、集土板の後方
に配設された側刃が、集土板によって畦間に集められた
土壌を或る程度作物列へ寄せる。従って、畦が作物の至
近まで天地返しされ、土壌温度が高められて作物の成育
を促進せしめる効果があると共に、１台の機械で能率よ
く農作業を行ない得る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は連結器或いは自走に必要な装備を省略した本考
案カルチベータの一例を示す正面図、第２図は一部の背
面図、第３図は要部の一部を上方から視た斜視図、第４
図は第２図の（４）−（４）線に沿える横断面図で使用
状態を表わす。 図中、 （１）…主杆 （２）…取付柄 （３）…集土板 （４）…主桁 （５）…側刃 （ａ）…作物列

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主杆に垂設した取付柄の前端部に、作物列
   至近の土壌を畦間に集める略皿状の集土板を設け、かつ
   上記取付柄に後方へ向って突設した主桁の中間部位側方
   の集土板後方に、集土板によって集められた土壌をある
   程度作物列側へ寄せる側刃を設けたカルチベータ。