JPH0765761A - 薄膜形成方法およびイオン注入方法 - Google Patents

薄膜形成方法およびイオン注入方法

Info

Publication number
JPH0765761A
JPH0765761A JP5213789A JP21378993A JPH0765761A JP H0765761 A JPH0765761 A JP H0765761A JP 5213789 A JP5213789 A JP 5213789A JP 21378993 A JP21378993 A JP 21378993A JP H0765761 A JPH0765761 A JP H0765761A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isotope
ion
thin film
mass number
specific mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5213789A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Miyake
潔 三宅
宏昌 ▲高▼橋
Hiromasa Takahashi
Takeya Ohashi
健也 大橋
Kazumi Fujii
和美 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP5213789A priority Critical patent/JPH0765761A/ja
Publication of JPH0765761A publication Critical patent/JPH0765761A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】特定の同位体元素を濃縮した薄膜やイオン注入
層を形成する方法により、物質構造の同定や、機能性薄
膜デバイスや優れた原子力プラント構造材を提供する。 【構成】電磁的質量分離機構を備えた薄膜形成装置を用
いて、特定の質量数の同位体元素を含む薄膜を形成する
のに際し、該元素の天然同位体存在比とは異なる単体物
質あるいは化合物物質を特定の質量数の同位体元素を発
生させるための原材料として用いることにより、薄膜あ
るいはイオン注入層を形成する。 【効果】金属結晶の原子レベルでの構造決定,原子力プ
ラント構造材料の低放射化や中性子経済の効率向上が図
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の質量数の同位体
元素を含む高純度の金属薄膜や半導体薄膜を形成する方
法に係り、特に特定のエネルギーのX線や光子ビームを
選択的に反射する金属薄膜を形成したり、特定の原子核
に特徴的な性質を利用する物質を形成するのに好適な薄
膜形成方法・装置およびイオン注入方法・装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁的質量分離機構を備えた薄膜
形成装置やイオン注入装置を用いて、特定の質量数の同
位体元素を含む薄膜を形成したり、基板にイオン注入す
るのに際しては、『イオンインプランテーション(ION
IMPLANTATION)』(ダーナリイ(G.DEARNALEY),フリ
ーマン(J.H.FREEMAN),ネルソン(R.S.NELSON),ス
チィーブン(J.STEPHEN)編集;ノースホランドパブリ
ッシングカンパニー(NORTH-HOLLAND PUBLISHING COMPA
NY,1973年発行)の456頁−475頁に記載され
ているように、天然に存在する単体元素や酸化物あるい
は塩化物等の化合物をイオン源材料として用い、それら
の物質をイオン源内に導入しイオン化し、薄膜形成装置
やイオン注入装置に設置された電磁的質量分離機構によ
り特定の質量数の同位体元素からなるイオンのみを選別
する方法が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、イオン源材料として用いる単体元素物質あるいは化
合物物質が、所望の特定の質量数の同位体元素を天然の
同位体存在比でしか含まないため、特定の質量数の同位
体元素の天然の同位体存在比が小さい場合、得られる特
定の質量数の同位体元素の量は極くわずかなものであっ
た。
【0004】例えば、質量数57の鉄の天然同位体存在
比は2.1% で、質量数56の鉄の天然同位体存在比が
91.8% である。したがって、質量数57の鉄の薄膜
を形成する場合、天然の酸化鉄をイオン源材料として用
いた場合には、質量数56の鉄の薄膜を形成する場合の
約44倍の時間を要した。このように天然同位体存在比
が小さい特定の質量数の同位体元素を含む薄膜を形成し
たり、基板にイオン注入するのに、非常に長い処理時間
を要し、また、電磁的質量分離機構の質量分解能が十分
でない場合には、天然同位体存在比が大きい質量数の同
位体元素が不純物として混入するおそれがあるという欠
点があった。
【0005】本発明の目的は、前記の欠点をなくし、い
かなる質量数の同位体元素に対しても、該同位体元素を
含む薄膜を形成、あるいは、基板にイオン注入するの
に、不純物として混入がなく短時間で処理する方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、電磁的質量分
離機構を備えた薄膜形成装置を用いて、特定の質量数の
同位体元素を含む薄膜を形成、あるいは、特定の質量数
の同位体元素を基板にイオン注入するのに際し、該元素
の天然同位体存在比とは異なる単体物質あるいは化合物
物質を、または、該特定の質量数の同位体元素で濃縮さ
れた単体物質あるいは化合物物質を、特定の質量数の同
位体元素を発生させるための原材料として用いることを
特徴とする。
【0007】
【作用】所望の特定の質量数の同位体元素を含む薄膜を
形成あるいは、基板にイオン注入するのに際し、該元素
の天然同位体存在比とは異なる単体物質あるいは化合物
物質、または、該特定の質量数の同位体元素で濃縮され
た単体物質あるいは化合物物質を、特定の質量数の同位
体元素を発生させるための原材料として用いることによ
り、電磁的質量分離機構に導入する元素のうちで所望の
特定質量数の同位体元素の割合が増加する。
【0008】その結果、短時間で、所望の特定の質量数
の同位体元素を含む薄膜を形成、あるいは、基板にイオ
ン注入することが可能となる。かつ、所望の特定の質量
数の同位体元素が薄膜形成あるいはイオン注入に大きな
割合で寄与するので不純物元素の混入を抑制し高純度の
処理が可能となる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図6を参照し
て説明する。
【0010】[実施例その1]本発明の方法を質量数5
7の特定の鉄同位体57Feからなる薄膜をシリコン基板
上に形成するための方法を例にとり示す。図1は本薄膜
形成に使用したイオンビームデポジション装置の構成を
示したものである。
【0011】本イオンビームデポジション装置は質量数
57の鉄同位体イオンビームを発生させるためのマイク
ロ波イオン源1,鉄を含んだプラズマ2を作るための放
電維持ガスを供給するガス導入孔3,57Feイオンビー
ムを発生するために使用した96%以上57Fe鉄同位体
からなる酸化鉄(57Fe23)4,イオンビームを引き
出すための引き出し電極5、および、引き出された全イ
オンビーム6を輸送するためのステンレス製イオンドリ
フトチューブ7,特定の質量数のイオンビーム8(本実
施例の場合は57Feイオン)を選別するための質量分離
電磁石9,選別された57Feイオンビーム8以外のイオ
ンビーム10,選別された57Feイオンビーム8を減速
するための減速レンズシステム11,57Fe薄膜を付着
させるためのシリコン基板12,高真空に排気されたス
テンレス製成膜室13,シリコン基板12に流入するイ
オンビーム電流を測定するための直流電流計14,形成
した鉄同位体57Feからなる薄膜15,照射するイオン
のエネルギーを決定するイオン加速電源16,イオンビ
ーム引き出し電源17,絶縁碍子18,19より構成し
た。
【0012】まず、マイクロ波イオン源1内の窒化硼素
を材料として作られた大きさ20mm×30mm×50mmの
放電室内に、平均粒径が10μmの粉末状の57Fe鉄同
位体の酸化物(57Fe23)4を500mg挿入した。該
放電室領域には磁場コイル(図示せず)にて磁場強度9
00Gauss の磁場を印加するとともに、該放電室内にガ
ス導入孔3より放電維持ガスとして四塩化炭素(CC
4)を毎分0.5cc導入した。
【0013】その後、発振周波数が2.45GHz,電力が
300Wのマイクロ波を導波管(図示せず)を通じ該放
電室に導いた。この結果、放電室内に鉄イオンを含んだ
高密度の四塩化炭素(CCl4)放電プラズマ2が発生し
た。
【0014】放電室の片側は導電性を有する材料としそ
こに開孔大きさが2mm×20mmである開孔部20を設
け、それと対向して開孔大きさが5mm×50mmであるイ
オン引き出し電極スリット5を設けた。
【0015】導電性を有する放電室領域の電位をイオン
加速電源16により+50Vとし、イオン引き出し電極
5およびステンレス製イオンドリフトチューブ7の電位
を引き出し電源17により、放電室領域の電位に対して
−20kVとし全イオンビーム6を20keVの加速エ
ネルギーで引き出した。このときの全イオンビーム6の
電流値は5mAであった。
【0016】旋回半径が40cmの90度偏向型質量分離
用電磁石9の励磁電流を制御し、引き出した全イオンビ
ーム6の内、質量数57の特定の鉄同位体57Feイオン
ビーム8のみを選別し、これ以外のイオンビーム10は
真空容器の側壁に衝突させて、シリコン基板12に照射
されないようにした。
【0017】次に、選別した質量数57の特定の鉄同位
57Feイオンビーム8をイオン減速レンズシステム1
1に導き、運動エネルギーを20keVより50eVま
で減速した上で、接地電位に置かれたシリコン基板12
上に1時間照射した。その結果、電流値が95μAの鉄
同位体57Feイオンビーム8を得た。
【0018】このイオン照射の結果、膜厚が1μmの鉄
同位体57Fe薄膜15を得た。本発明により作成した鉄
同位体57Fe薄膜の純度を二次イオン質量分析法により
測定すると、図2に示すような二次イオン質量スペクト
ルを得た。
【0019】図2より、形成した鉄薄膜は極わずかの56
Fe同位体を不純物として含むものの、54Fe同位体量
は検出限界以下であり、99.99% 以上の純度を有す
る高純度鉄同位体(57Fe)薄膜が形成されていること
が判明した。
【0020】本実施例においては、57Feイオンを発生
させるために酸化鉄(Fe23)粉末を使用したが、他
の構造の酸化物(Fe34,FeO2など)や鉄の炭化
物 (FeCなど),ハロゲン化物(FeCl2,FeCl
3,FeCl2・H2Oなど),水酸化物(Fe(OH)3
ど),金属窒化物(FeN4など),有機金属化合物
(Fe(OCH3)3など),金属合金物質(Fe−Zr,
FeS2など)でも57Feを鉄元素の主成分とすれば同
様の効果があり、これらの材料を用いても差し支えな
い。
【0021】また、本実施例においては、57Fe元素を
取り上げたが、本発明はこれ以外のいかなる同位体元素
に関しても適用することが出来る。
【0022】[実施例その2]本発明の方法を質量数6
0のニッケル同位体60Niを構造材にイオン注入するた
めの方法を例にとり示す。図3は本イオン注入に使用し
たイオン注入装置の構成を示したものである。
【0023】本イオン注入装置は、実施例その1の場合
と同様に、ニッケル同位体イオンビームを発生させるた
めのマイクロ波イオン源31,ニッケルを含んだプラズ
マ32を作るための放電維持ガスを供給するガス導入孔
33,60Niイオンビームを発生するために使用した9
5%以上60Ni同位体からなる酸化ニッケル(60Ni
O)34,イオンビームを引き出すための引き出し電極
35、および、引き出された全イオンビーム36を輸送
するためのステンレス製イオンドリフトチューブ37,
特定の質量数のイオンビーム38(本実施例の場合は60
Niイオン)を選別するための質量分離電磁石39,選
別された60Niイオンビーム38以外のイオンビーム4
0,選別された60Niイオンビームをイオン注入させる
ための炭素鋼ボルトに代表される構造材41,高真空に
排気されたステンレス製イオン注入室42,注入イオン
ビーム電流を測定するための直流電流計43,注入する
イオンのエネルギーを決定するイオン加速電源44,絶
縁碍子45より構成した。
【0024】まず、マイクロ波イオン源31内の窒化硼
素を材料として作られた大きさ20mm×30mm×50mm
の放電室内に、平均粒径が10μmの粉末状の95%以
60Ni同位体からなる酸化ニッケル(60NiO)34
を500mg挿入した。該放電室領域には磁場コイル(図
示せず)にて磁場強度900Gauss の磁場を印加すると
ともに、該放電室内にガス導入孔33より放電維持ガス
として四塩化炭素(CCl4)を毎分0.5cc導入した。
【0025】その後、発振周波数が2.45GHz,電力が
500Wのマイクロ波を導波管(図示せず)を通じ該放
電室に導いた。この結果、放電室内にニッケルイオンを
含んだ高密度の四塩化炭素(CCl4)放電プラズマ32
が発生した。
【0026】放電室の片側は導電性を有する材料としそ
こに開孔大きさが2mm×40mmである開孔部46を設
け、それと対向して開孔大きさが5mm×70mmであるイ
オン引き出し電極スリット35を設けた。
【0027】導電性を有する放電室領域の電位をイオン
加速電源44により、イオン引き出し電極35およびス
テンレス製イオンドリフトチューブ37の電位に対して
+100kVとし、全イオンビーム36を100keV
の加速エネルギーで引き出した。このときの全イオンビ
ーム36の電流値は15mAであった。
【0028】旋回半径が40cmの90度偏向型質量分離
用電磁石39の励磁電流を走査しながらイオン注入材4
1に流れる電流を電流計43により測定したところ、質
量数58より65までの範囲において、図4に示すよう
な質量分離スペクトルを得た。ニッケルには質量数5
8,60,61,62,64の5種類の同位体が天然に
は存在し、それらの天然存在比はそれぞれ68.27
%,26.10%,1.13%,3.59%,0.91%で
あることが知られている。したがって、天然の酸化ニッ
ケルをもし原材料として使用すれば、質量数58のイオ
ン(58Ni)が最も多いはずである。しかし、図4より
分かるように、本発明では質量数60にニッケル(60
i)のイオンが最も多くその電流値は9mAであった。
【0029】この特定のニッケル同位体60Niイオンビ
ーム38のみを選別し、これ以外のイオンビーム40は
真空容器の側壁に衝突させて、被イオン注入材料である
炭素鋼41に照射されないようにした。このようにし
て、選別した質量数60の特定のニッケル同位体60Ni
イオンビーム38を運動エネルギーを100keVで、
接地電位に置かれた被イオン注入材料である炭素鋼41
に10分間照射するだけで、注入ドーズ量が1018イオ
ン/cm2 で、イオン注入深さが0.5μm のニッケル同
位体60Niを含む炭素鋼の表面改質層を得た。
【0030】本実施例においては、60Ni同位体元素を
取り上げたが、本発明はこれ以外のいかなる同位体元素
に関しても適用することが出来る。
【0031】[実施例その3]図5は原子力プラントの
概要図で、本発明による構成材料表面での薄膜形成及び
イオン注入法の適用個所を示すことが出来る。図5にお
ける接水構造材料部分に本発明の薄膜形成あるいはイオ
ン注入を適用することにより、中性子効率の制御性を向
上した制御システムと炉内線量率上昇を抑制した炉内構
造材料を提供することが出来る。
【0032】炉内での高温水の循環は図5に示す沸騰水
型原子力プラントの場合、給水タンク121から復水昇
圧ポンプ110,給水加熱器111,給水ポンプ112
を経て炉心に投入された純水が燃料103で加熱され水
蒸気となり、高圧タービン101,低圧タービン102
でエネルギー変換される。この水蒸気を水として再循環
させるため、復水器106,復水ポンプ107,復水フ
ィルタ108,復水脱塩器109を介して給水加熱器側
に戻す。これに付随する配管系として原子炉浄化系ポン
プ115,原子炉浄化フィルタ116やスピルオーバー
ライン117,制御棒駆動小ポンプ118,ミニマムフ
ローライン120がある。
【0033】本発明の実施例1に示す薄膜形成法にのっ
とり、制御棒駆動装置104の構成要素である制御棒部
表面に、電磁的質量分離機構を備えたイオンビームデポ
ジション装置を用いて、10B(質量数10の硼素同位
体)層を形成するに際し、Bの天然同位体存在比とは異
なる化合物質として質量数10の硼素同位体を90%以
上含む酸化硼素(1023)を原料として用い、硼素イ
オン発生のための放電気体には四塩化炭素を用い、10
の濃縮した薄膜を形成した。
【0034】10Bと11Bの天然存在比はそれぞれ約20
%と80%であり、中性子吸収断面積はそれぞれ383
7バーンと0.005 バーンである。本実施例では97
%以上10Bから表面が構成された制御棒を作製すること
が出来たので、短時間で中性子吸収効率が大きな制御棒
を作製することが出来たことになる。
【0035】また、本発明により、10Bの量を調整する
ことにより、原子力プラント内の熱中性子を制御する制
御棒の中性子吸収効率を、同表面積の制御棒についての
計算で従来比で20%から400%まで任意に調整出来
る制御棒を製作することが出来る。
【0036】更に、再循環系(114)を構成するステ
ンレス鋼配管の内部に付着する放射性物質となる原子炉
反応容器中のNiを含有する合金からなる構造材料中の
Ni量を調整するために、本発明の実施例2に示すイオ
ン注入法にのっとり、電磁的質量分離機構を備えたイオ
ン注入装置を用いて、60Niイオンを該構造材料に注入
することにより、従来の58Niを多く含有するステンレ
ス鋼に比較して放射線量の低減された再循環系を提供す
ることが出来た。
【0037】実施方法は、実施例2に準拠し、原材料と
して60Niを濃縮した酸化ニッケル(60NiO)を用い
る。イオン注入のドーズ量は1016イオン/cm2 付近と
し、注入面積を増加させるために、図3に示す被イオン
注入構造材41はビームライン38に対して、イオン注
入室42内でビーム照射中に平面的に移動させた。この
操作によりイオン注入面積は500mm×2000mm以上
とすることができた。天然の58Niと60Niの存在比は
68%と26%であり、熱中性子吸収断面積はそれぞれ
4.4バーンと2.6バーンである。熱中性子吸収断面積
が小さな60Niを注入することにより、ステンレス鋼と
同等の強度と耐食性を備え、かつ放射化しにくい構造材
を得ることができた。
【0038】このように、本発明による60Niによる薄
膜形成による表面処理、あるいは60Niのイオン注入
を、図5に示すプラントの接水部材に適用することによ
り、材料の放射化を低減するのみならず、腐食反応もN
iの不働態化により低減することができる。
【0039】[実施例その4]本発明の実施例1と同様
の方法により、シリコン基板上に形成した質量数57の
鉄同位体57Feからなる薄膜のメスバウアスペクトルを
図6に示す。
【0040】メスバウア分光法による構造解析は、質量
数が57の鉄同位体(57Fe)に、線源である質量数が
57のコバルト同位体(57Co)を特定周期で振動させ
て、線源から特定のエネルギ−幅を持たせたγ線を放出
させたとき、特定のエネルギ−でγ線が吸収されること
により鉄の核磁気吸収スペクトルを得る手法である。こ
の吸収スペクトルから磁気的構造と結晶構造および磁気
異方性に関する情報が得られる。スペクトルの横軸は線
源の速度で、γ線のエネルギー幅に相当する。図6の測
定結果から、本発明の方法により形成した57Fe薄膜は
α−Feであり、面内方向に磁場が配向していることが
吸収スペクトルの強度比からわかる。質量分離せずに形
成した天然同位体比と同じ割合で57Fe元素を含む鉄薄
膜において上記と同様の構造に関する情報を得るとき、
鉄薄膜中における57Feの天然同位体存在比が2.1%
と小さいために、その測定に長時間を要し、また、詳細
な情報が得られないことがあった。しかし、本発明の方
法で57Fe薄膜を形成することにより、短時間でかつ精
度の高いメスバウア分光法による構造解析が可能となっ
た。
【0041】
【発明の効果】本発明の薄膜形成方法およびイオン注入
方法によれば、特定の同位体元素を濃縮した薄膜やイオ
ン注入層を短時間で作製することが出来るので、金属結
晶の原子レベルでの構造決定や機能性薄膜デバイスの作
製,原子力プラント構造材料の低放射化や中性子経済の
効率向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオンビームデポジション装置の構成
図。
【図2】本発明で作製した質量数が57の鉄薄膜に対す
る二次イオン質量スペクトルを示す図。
【図3】本発明のイオン注入装置の構成図。
【図4】本発明のイオン注入装置におけるニッケルイオ
ンの質量スペクトルを表す図。
【図5】沸騰水型原子力プラントの純水循環に着目した
概要図。
【図6】質量数が57の鉄薄膜に対して測定したメスバ
ウアスペクトル図。
【符号の説明】
1,31…マイクロ波イオン源、2,32…プラズマ、
3,33…ガス導入孔、4…酸化鉄(57Fe23)、
5,35…引き出し電極、6,36…引き出された全イ
オンビーム、7,37…ステンレス製イオンドリフトチ
ューブ、8…特定の質量数のイオンビーム(本実施例の
場合は57Feイオン)、9,39…質量分離電磁石、1
0…イオンビーム、11…減速レンズシステム、12…
シリコン基板、13…成膜室、14,43…直流電流
計、15…鉄同位体57Feからなる薄膜、16,44…
イオン加速電源、17…イオンビーム引き出し電源、1
8,19,45…絶縁碍子、20,46…開孔部、34
…酸化ニッケル(60NiO)、38…60Niイオンビー
ム、40…60Niイオンビーム以外のイオンビーム、4
1…構造材、42…ステンレス製イオン注入室、101
…高圧タービン、102…低圧タービン、103…燃料、
104…制御棒駆動装置、105…主蒸気バイパス弁、
106…復水器、107…復水ポンプ、108…復水フ
ィルタ、109…復水脱塩器、110…復水昇圧ポン
プ、111…給水加熱器、112…給水ポンプ、113
…再循環ポンプ、114…再循環系、115…原子炉浄
化系ポンプ、116…原子炉浄化フィルタ、117…ス
ピルオーバーライン、118…制御棒駆動小ポンプ、1
19…ボトムタンク、120…ポンプミニマムフローラ
イン、121…給水タンク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/265 (72)発明者 藤井 和美 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁的質量分離機構を備えた薄膜形成装置
    を用いて、特定の質量数の同位体元素を含む薄膜を形成
    するのに際し、該元素の天然同位体存在比とは異なる単
    体物質あるいは化合物物質を特定の質量数の同位体元素
    を発生させるための原材料として用いることを特徴とす
    る薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】電磁的質量分離機構を備えた薄膜形成装置
    を用いて、特定の質量数の同位体元素を含む薄膜を形成
    するのに際し、該特定の質量数の同位体元素で濃縮され
    た単体物質あるいは化合物物質を特定の質量数の同位体
    元素を発生させるための原材料として用いることを特徴
    とする薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】イオンビームを加速して引き出した後、電
    磁的質量分離機構により特定の質量数の同位体元素のイ
    オンビームを選別し、その後、該被選別同位体元素イオ
    ンビームを1keV以下まで減速し、基板に照射して該
    被選別同位体元素の薄膜を形成するイオンビームデポジ
    ション薄膜形成法において、該同位体元素の天然同位体
    存在比とは異なる単体物質あるいは化合物物質を特定の
    質量数の同位体元素を発生させるための原材料として用
    いることを特徴とするイオンビームデポジション薄膜形
    成法。
  4. 【請求項4】電磁的質量分離機構を備えたイオン注入装
    置を用いて、特定の質量数の同位体元素を基板にイオン
    注入するのに際し、該元素の天然同位体存在比とは異な
    る単体物質あるいは化合物物質を、特定の質量数の同位
    体元素を発生させるための原材料として用いることを特
    徴とするイオン注入方法。
  5. 【請求項5】電磁的質量分離機構を備えたイオン注入装
    置を用いて、特定の質量数の同位体元素を基板にイオン
    注入するのに際し、該特定の質量数の同位体元素で濃縮
    された単体物質あるいは化合物物質を、特定の質量数の
    同位体元素を発生させるための原材料として用いること
    を特徴とするイオン注入方法。
  6. 【請求項6】電磁的質量分離機構を備えた薄膜形成装置
    を用い、かつ、天然同位体存在比とは異なる単体物質あ
    るいは化合物物質を特定の質量数の同位体元素イオンを
    発生させるための原材料として用いたことを特徴とする
    被薄膜コーティング材。
  7. 【請求項7】電磁的質量分離機構を備えたイオン注入装
    置を用い、かつ、天然同位体存在比とは異なる単体物質
    あるいは化合物物質を特定の質量数の同位体元素イオン
    を発生させるための原材料として用いたことを特徴とす
    る被イオン注入材。
JP5213789A 1993-08-30 1993-08-30 薄膜形成方法およびイオン注入方法 Pending JPH0765761A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5213789A JPH0765761A (ja) 1993-08-30 1993-08-30 薄膜形成方法およびイオン注入方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5213789A JPH0765761A (ja) 1993-08-30 1993-08-30 薄膜形成方法およびイオン注入方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0765761A true JPH0765761A (ja) 1995-03-10

Family

ID=16645085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5213789A Pending JPH0765761A (ja) 1993-08-30 1993-08-30 薄膜形成方法およびイオン注入方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0765761A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002255518A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Japan Atom Energy Res Inst イオン注入法による同位元素選択的原子内包フラーレンの製造方法
WO2005024848A3 (en) * 2003-09-08 2005-06-23 Canon Kk Optical thin film and mirror using the same
JP2013521596A (ja) * 2010-02-26 2013-06-10 アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能を向上させる方法および装置
US9111860B2 (en) 2009-10-27 2015-08-18 Entegris, Inc. Ion implantation system and method
US9685304B2 (en) 2009-10-27 2017-06-20 Entegris, Inc. Isotopically-enriched boron-containing compounds, and methods of making and using same
US11062906B2 (en) 2013-08-16 2021-07-13 Entegris, Inc. Silicon implantation in substrates and provision of silicon precursor compositions therefor

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002255518A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Japan Atom Energy Res Inst イオン注入法による同位元素選択的原子内包フラーレンの製造方法
WO2005024848A3 (en) * 2003-09-08 2005-06-23 Canon Kk Optical thin film and mirror using the same
US7286637B2 (en) 2003-09-08 2007-10-23 Canon Kabushiki Kaisha Optical thin film and mirror using the same
US9111860B2 (en) 2009-10-27 2015-08-18 Entegris, Inc. Ion implantation system and method
US9685304B2 (en) 2009-10-27 2017-06-20 Entegris, Inc. Isotopically-enriched boron-containing compounds, and methods of making and using same
JP2013521596A (ja) * 2010-02-26 2013-06-10 アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能を向上させる方法および装置
US9754786B2 (en) 2010-02-26 2017-09-05 Entegris, Inc. Method and apparatus for enhanced lifetime and performance of ion source in an ion implantation system
KR20180039189A (ko) * 2010-02-26 2018-04-17 엔테그리스, 아이엔씨. 이온 주입에 사용하기 위한 패키지된 가스 혼합물
KR20190000376A (ko) * 2010-02-26 2019-01-02 엔테그리스, 아이엔씨. 이온 주입 시스템용 가스 공급 장치
US11062906B2 (en) 2013-08-16 2021-07-13 Entegris, Inc. Silicon implantation in substrates and provision of silicon precursor compositions therefor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0326824B1 (de) Teilchenquelle für eine reaktive Ionenstrahlätz- oder Plasmadepositionsanlage
US3790787A (en) Method and device for producing by charge-transfer a beam of neutral particles or of ions having multiple charges
KR20040068198A (ko) 방사성 이온
Sera et al. The Takizawa PIXE facility combined with a baby cyclotron for positron nuclear medicine
Gillen et al. Negative cesium sputter ion source for generating cluster primary ion beams for secondary ion mass spectrometry analysis
Panov et al. Interaction of fully stripped, hydrogenlike and heliumlike C, N, O, Ne and Ar Ions with H and He atoms and H2 molecules
JPH0765761A (ja) 薄膜形成方法およびイオン注入方法
US7501640B2 (en) Low energy electron cooling system and method for increasing the phase space intensity and overall intensity of low energy ion beams
US20150380119A1 (en) Method and apparatus for synthesizing radioactive technetium-99m-containing substance
US20110079108A1 (en) Method and apparatus for isolating the radioisotope molybdenum-99
Dubois Virtual levels in the vanadium isotopes from proton bombardment of the titanium isotopes
WO2011040898A1 (en) Method and apparatus for isolating the radioisotope molybdenum-99
Petrovskaya et al. Surface deactivation of the nuclear power plants constructions by a new plasma method
WO2021021344A1 (en) Low emission implantation mask and substrate assembly
Zyabkin et al. eMIL: Advanced emission Mössbauer spectrometer for measurements in versatile conditions
Ott et al. Reduction of the impurity concentration of an intense hydrogen ion beam
Poncet et al. Study of the X-ray emission induced by 4 to 30 MeV protons or alpha particles, with a view to analytical application
Voronin et al. Development of the Intense Neutron Generator SNEG-13
Dembinski et al. High‐current ion beam from a moving plasma
Cole A high-current Hall accelerator
Petrovskaya et al. Beta-active Microlayer Selective Deposition on the Tantalum Plate by Ion-Plasma Technology
Homeyer Production and use of heavy ion beams of HMI accelerators for solid state application
Petrovskaya et al. Estimation of the Irradiated Graphite Surface Nanolayer Thickness Enriched by 14 С Isotope
SU1721486A1 (ru) Способ приготовлени массбауэровских источников гамма-квантов
Komar et al. Photodisintegration of Be9