JPH076073B2 - 全チタン熱交換器の電気防食方法およびその装置 - Google Patents

全チタン熱交換器の電気防食方法およびその装置

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JPH076073B2
JPH076073B2 JP63090221A JP9022188A JPH076073B2 JP H076073 B2 JPH076073 B2 JP H076073B2 JP 63090221 A JP63090221 A JP 63090221A JP 9022188 A JP9022188 A JP 9022188A JP H076073 B2 JPH076073 B2 JP H076073B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は冷媒として海水が使用される全チタン熱交換器
において、これに接続される配管装置のガルバニック腐
食を防止するために用いられる全チタン熱交換器の電気
防食方法およびその装置に関する。
(従来の技術) 一般に、海水を冷却水とする熱交換器,例えば、発電プ
ラントにおける復水器はシェル・アンド・チューブ式が
広く採用されている。この復水器の冷却管は海水と直接
に接触するので冷却管には腐食しにくい貴なる金属,例
えば、アルミニウム黄銅を主とする銅合金が、また復水
器管板にはネーバル黄銅板等が使用されている。一方、
復水器水室ならびに復水器に接続する機器,配管には鋼
が使用されている。また、計装品の温度計ウエル等には
モネルおよびステンレス鋼が使用されている。以下、発
電プラントの蒸気を水に戻す復水器ならびに当該復水器
に近接する機器,配管および計装品についての一例を第
11図を用いて説明する。
蒸気タービンから排出された蒸気1は復水器2に導か
れ、復水器2の内部に冷却海水を流通させた複数の冷却
管3の外表面に接触して冷却され、凝縮して復水とな
る。この復水は復水ポンプ4により復水器2から発電プ
ラントでの再使用のため回収され、図示しない給水加熱
器に送水される。一般に、復水器2の冷却管3にはアル
ミニウム黄銅管が使用されている。一方、冷却海水6
は、一般に、タールエポキシ樹脂等の防食性塗装または
被覆材を施した炭素鋼鋼板製の入口循環水管7を通って
供給され、入口水室8を経て上述したアルミニウム黄銅
管製の冷却管3の内側を通り、蒸気1の熱を冷却管3を
介して吸収し、温度上昇しながら、出口水室9および出
口循環水管10を経て放出口(海)へ排出される。そし
て、上記の入口循環水管7および出口循環水管10には、
一般に、冷却海水6の停止および切換等を行なうバタフ
ライ弁11や、温度,圧力等を検出および監視する温度計
12(温度検出座)および圧力計13(圧力検出座)が取付
けられている。また、冷却管3の内面の清浄度を維持す
るためのボール清浄装置が設置されている。即ち、冷却
海水中よりボール捕集器14により回収された清浄ボール
は、ボール再循環管15に導かれてボール循環ポンプ16を
通ってボール回収器17に運ばれ、そこから再びボール注
入管18により入口循環水管7内を流れる冷却海水中に注
入され、これを繰り返すことにより冷却管3の内面に付
着した異物等を取り除く。
また、入口循環水管7と入口水室8,出口水室9と出口循
環水管10の接続にはゴム製の伸縮継手19を取付け、据付
誤差および運転時の微少変位を吸収できるようにしてい
る。
さらに、入口水室8および出口水室9には空気抜きのた
め、空気抜管20およびこの途中には空気抜弁21が取付け
られている。なお、図中符号22は管板を示している。
ところで、復水器や循環水管の海水に触れる部分は海水
による腐食防止のため、材料の選定や金属面の塗装また
は防食性被覆材による保護など設計には十分な注意が払
われている。即ち、一般に、腐食現象には酸性環境中の
金属単体が腐食する自然腐食と、異種金属が接触してい
る場合に生ずるガルバニック腐食(以下、電食と略称す
る)がある。この電食は腐食速度が非常に速いため特に
注意しなければならない。電食とは、通常、電気的に接
続されている異種金属が電解質溶液中に置かれると、貴
なる金属は陰極に、卑なる金属を陽極として自然電位差
が形成され、陽極金属が金属イオンとなって電解質溶液
中に溶出し、卑金属が腐食される現象をいう。第12図に
海水中における金属の自然電位を示す。ここに7種類の
金属の自然電位を示すが、ここではチタンが最っとも貴
側の金属であり、亜鉛が最っとも卑側の金属となる。例
えば、海水中で貴側の黄銅と卑側の鉄が接水し、黄銅と
鉄が電気的に接続している場合にはこの2つの金属間の
自然電位差Vにより卑側の鉄がこの電位差により電食を
受けることになる。また、海水中で貴側のステンレス鋼
(不動態)と卑側の鉄が接触し、ステンレス鋼(不動
態)と鉄が電気的に接続している場合にはこの2つの金
属間の自然電位差Vにより卑側の鉄が電食を受ける。他
の金属の組合せでも、同様なことがいえ、これらの2つ
の金属間の自然電位差が大きいほど電食現象は著しく進
む。なお、横軸の電位の単位VSCEは飽和甘こう電位を示
す。
これらの現象は発電プラントの海水系にも起こり得る。
例えば、熱交換器に使用されている冷却管,ストレー
ナ,弁,温度計ウエル等の計装品の露出金属との間に電
食が生ずる可能性がある。また、この他にも前述の材料
と次のようなものが考えられる。即ち、配管装置類の内
面は鋼表面の腐食を防止するため鋼表面が直接に海水と
触れないように防食性塗装または被覆材が施されてい
る。しかしながら、何らかの原因により塗装または被覆
面が損傷した場合には鋼表面が海水中に露出することに
なり、前述の貴金属材料と卑金属の鋼表面が電気的に接
続されると、この2つの金属の自然電位差により卑側の
鋼表面が電食を受けることになる。即ち、例えば、上述
した復水器2の冷却管3にアルミニウム黄銅管が、ま
た、復水器管板22にはネーバル黄銅板が各々使用されて
いる場合、入口および出口水室8,9ならびに入口および
出口循環水管7,10は、通常、鋼板により製作されるた
め、鋼板が卑側の金属となる。
これらの入口および出口水室8,9ならびに入口および出
口循環水管7,10には防食性塗装または被覆材が施される
のは上述した通りであるが、これらの塗装または被覆箇
所が施工不良および海水の流れ等により損傷し、下地で
ある鋼表面が露出すると、前述のように黄銅と鉄の間の
自然電位差のため卑金属の鉄の鋼面が電食を受ける。
以下、この現象を図を参照して詳しく説明する。
第13図において、復水器2の出口水室9に被膜損傷部23
aが、また、出口循環水管10にも被膜損傷部23bが存在し
ていると想定する。従って、被膜損傷部23a,23bは鋼表
面が露出している。ここで、復水器2は基礎等によりア
ース25がとられており、また、出口循環水管10にも配管
装置のサポートまたは土中配管などによりアース25がと
られているものとする。以上から、出口水室9の被膜損
傷部23aおよび出口循環水管10の被膜損傷部23bから冷却
海水6を通って、管板22および冷却管3を経て、復水器
2の胴を通る電気的回路が形成され、これにより被膜損
傷部23a,23bから復水器管板22,冷却管3へ腐食電流24が
流れて被膜損傷部23a,23bが電食されることになる。な
お、この現象は出口水室9および出口循環水管10の間に
限られるものでは勿論なく、入口水室8および入口循環
水管7についても事情は全く変わらない。
一方、上記現象は冷却管3および管板22が貴金属として
存在する場合について述べたものであるが、第11図に示
されるボール捕集器14,ボール注入管18,バタフライ弁1
1,温度計12および圧力計13の取出部などが鉄より貴のス
テンレス鋼等により構成される場合、これらのステンレ
ス鋼等と被膜損傷部23a,23bの鉄の間に自然電位差が生
じ、前述と同様に卑金属の鉄が電食を受ける。
この現象についても第14図を参照して詳しく説明する。
第14図において、出口循環水管10にはステンレス鋼等の
材料で製作されたボール捕集器14が設置され、これにボ
ール再循環管15が接続されている。従って、第13図で説
明したような、出口循環水管10の被膜損傷部23bから管
板22,冷却管3に流れる腐食電流24の他に、出口循環水
管10の被膜損傷部23bから冷却海水6を通って、ボール
捕集器14を経て、出口循環水管10を通る電気的回路が形
成される。これにより、被膜損傷部23bからボール捕集
器14に腐食電流24が流れ、この場合も被膜損傷部23bが
電食されることになる。この現象は被膜損傷部23bが復
水器2に近い場合には復水器管板22および冷却管3の影
響を受け、また、被膜損傷部23bがボール捕集器14に近
い場合にはボール捕集器14の影響を受ける。なお、ここ
で述べているステンレス鋼は安定した不動態被膜を有す
るステンレス鋼であり、第12図に示されるようにステン
レス鋼(不動態)の電位は、通常0〜−100mV SCE程度
であるが、上記した不動態被膜の厚さが十分であれば、
黄銅の方のがステンレス鋼(不動態)よりも卑となる。
このため、異常な状態が発生しない限りにおいてはステ
ンレス鋼(不動態)が電食をうけることはない。しか
し、復水器2の運転条件が変り、特別な状態、例えば海
水中の異物等によりステンレス鋼の表面の一部が活性状
態となった場合には、ステンレス鋼の方が卑となって、
管板22のネーバル黄銅板および冷却管3のアルミニウム
黄銅管との自然電位差が生じ、この場合はステンレス鋼
が電食を受ける。
この現象を第15図を参照して説明する。第15図におい
て、ここでは出口循環水管10に設置されるボール捕集器
14の一部が活性状態となり、他の部分は不動態被膜に覆
われていると考える。そして、このとき、活性状態が出
現した領域は図中のA領域にあるものと想定する。
この場合の電気的回路は出口循環水管10より露出したス
テンレス鋼のボール捕集器14へ、さらに冷却海水6を通
って、復水器管板22および冷却管23を経て、復水器2の
胴を通る回路となる。これにより露出したボール捕集器
14の不動態被膜で覆われた部分からボール捕集器14のA
領域を経て、管板22,冷却管3へと腐食電流24が流れ、
この場合もステンレス鋼のボール捕集器14がA領域を中
心として電食されることになる。
このような入口および出口水室8,9ならびに入口および
出口循環水管7,10における電食現象から機器を護る方法
として入口および出口水室8,9内に防食電流を流すやり
方が広く行なわれている。一方、ボール捕集器14等にお
ける同様な現象に対してもその近傍に適切な防食電流を
流して電食を防止することも行なわれている。
以下、これらの対策を中心として電気防食の具体的な方
法を説明する。第16図において、符号26は外部電源電極
を示しており、これに防食電流27を発生するための電気
防食装置が接続されている。また、出口水室9の下部に
は防食電位および電流値を制御する照合電極29が取付け
られている。この照合電極29は電位制御装置30を介して
電気防食装置28と結ばれている。なお、ここには示され
ないが、入口水室8にも同様の装置が設置され、同様の
効果が得られるようになっている。
上記構成において、防食電流27は外部電源電極26から復
水器管板22,冷却管3,被膜損傷部23a,23bへ流れ、被膜損
傷部23a,23bより流れる腐食電流24(第13図参照)が消
滅させられる。これにより、被膜損傷部23a,23bの電食
を防止することができる。また、このとき同時に管板22
および冷却管3の局部的な腐食も防止される。
ちなみに、照合電極29および電位制御装置30は電気防食
装置27の電位および電流値を制御するために設置され、
照合電極29の取付けられている位置の電位を検出して電
気防食装置27に帰還させている。通常、陰極防食を行な
う場合にはその金属の自然電位より200〜250mV程度卑側
にすることによりその金属の防食が行なわれる。一般
に、海水中における鉄の自然電位は第12図に示されるよ
うに−450〜−650mV SCE程度であり、これから鉄の防食
電位が設定される。
なお、卑側にすればするほど防食効果は高まるが、防食
のための鋼表面に施されるゴム,タールエポキシ樹脂等
の被覆材料は、あまり卑側にすると表面が劣化して剥離
するという問題があり、あまり卑側に設定することはで
きない。従って、通常は−650〜−900mV SCEの範囲に設
定される。
一方、出口循環水管10の経路内にステンレス鋼のボール
捕集器14が設けられる場合にはステンレス鋼の電食現象
に対する備えが必要となる。この場合の電気防食はボー
ル捕集器14を中心として次のように行なわれる。
即ち、第17図において、符号31は外部電源電極を示して
おり、これに防食電流32を発生するための電気防食装置
33が接続されている。また、出口循環水管10のボール捕
集器14に隣接する箇所に防食電位および電流値を制御す
る照合電極34が取付けられる。この照合電極34は電位制
御装置35を介して電気防食装置33と結ばれている。
上記構成において、防食電流は外部電源電極31からボー
ル捕集器14,被膜損傷部23へ流れ、被膜損傷部23より流
れる腐食電流24(第13図参照)が消滅させられる。これ
により被膜損傷部23の電食を防止することができる。ま
た、このとき同時にボール捕集器14の孔食および隙間腐
食などの局部的腐食ならびに活性状態の腐食も防止され
る。
なお、ここでも照合電極34および電位制御装置35は電気
防食装置33の電流値を制御するために設置され、照合電
極34の取付けられている位置の電位を検出して帰還させ
ている。
次に、従来の黄銅系の材料により構成される復水器2の
主要な部分を黄銅よりも貴な金属であるチタン材により
構成した復水器において、腐食現象にどのような方法で
対処しているかを説明する。
一般に、このようなチタン材からなる復水器は全チタン
復水器と呼ばれているが、復水器を始めとして周辺機
器,配管および計装品等の構成は第11図に示したものと
変わることころはない。この種の全チタン復水器の典型
的なものは大型の火力発電プラント,原子力発電プラン
トに用いられており、管板22および冷却管3がチタン材
で製作される。
チタン材からなる管板22および冷却管3は極めて耐食性
に優れており、海水それ自体による腐食現象に限れば、
これらの部分はほぼ除いて考えてもよい。しかしなが
ら、チタン材以外の金属が全チタン復水器の他の部分構
成材として使用され、またその周辺機器,配管および製
品等にもチタンよりも卑な金属を用いているのは前記し
たとおりであり、チタン材と他の金属と電位差のために
卑側の金属に電食が発生することは避けられない。
これに加えて、全チタン復水器には第16図および第17図
で述べられた単に電食現象に対処するのみでは充分でな
く、別の考え方で取組まなければならない問題がある。
それはチタン材等に特有の現象である水素脆性の問題で
ある。この水素脆性とは水素の吸収により金属材料が脆
くなる現象で、チタン材を海水中において、−600mV SC
Eより卑側に分極させると、水素吸収が始まることから
引き起こされる。従って、第16図および第17図に示され
るような方法で電食を防止する場合の防食電位はチタン
材が水素脆性を生じないところの電位に設定する必要が
ある。
第18図は上記した点を踏まえて実施される全チタン復水
器における電気防食の施工方法を示している。なお、図
中第16図および第17図に示される部分と同一の部分には
同一の符号を付している。
第18図において、符号36は外部電源電極を示しており、
これに防食電流37を発生するための電気防食装置38が接
続されている。また、出口水室9の下部および出口循環
水管10の復水器2側端部には防食電位および電流値を制
御する照合電極39a,39bが各々設けられている。これら
の照合電極39a,39bは電位制御装置40a,40bを介して電気
防食装置38とそれぞれ結ばれている。なお、図中、符号
41はアースを示している。また、ここには示されない
が、入口水室8にも同様の装置が設けられ、同様の効果
が得られるようになっている。
上記構成において、防食電流37は外部電源電極36から管
板22,冷却管3,被膜損傷部23a,23bへ流れ、被膜損傷部23
a,23bより流れる腐食電流24(第13図参照)が消滅させ
られる。ここで、照合電極39aは出口水室9の下部にお
ける電位を検出して電気防食装置38に帰還されている
が、この場合の設定電位はチタン材の水素脆性の発生を
回避するうえで−600mV SCEよりも貴側になるようにし
ている。
一方、照合電極39aは出口循環水管10出口付近の電位を
検出し、電気防食装置38に帰還させている。この場合の
設定電位は鉄を対象に−650〜−900mV程度に設定され
る。
なお、ステンレス鋼のボール捕集器14における電食現象
に対処する方法は第17図で述べたところと変わるところ
はない。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように、全チタン復水器では出口水室9および
出口循環水管10に発生した被膜損傷部23a,23bの露出鋼
面の電食を防止するために出口循環水管10に外部電源電
極36を設け、ここから防食電流37を、例えば、出口水室
9に存在する被膜損傷部23aに向けて流すようにしてい
るが、この場合、外部電源電極36を極端に出口水室9側
に近づけた場合には被膜損傷部23aに防食電流37が流れ
ると同時に、防食対象外の管板22および冷却管3にも防
食電流37が流れ込む。
この損失電流が管板22および冷却管3に流入すると、チ
タン材の分極特性が電流値の大きさにより変動するため
のチタン材が海水中で示す自然電位より卑側の電位を示
すようになる。このため、出口水室9の下部にて照合電
極39aが検出する電位がチタン材が水素脆性を起こす電
位−600mV SCEより卑側になり、照合電極39aからの帰還
信号が電位制御装置40aに導かれ、電気防食装置36から
防食電位が貴側に制御され、外部電源電極36から出され
る防食電流37が制限される。しかし、このとき防食電位
が貴側に制限される結果、鉄の防食電位である−650〜
−900mV SCEを外れてしまい、出口水室9の被膜損傷部2
3aの電食を防止することができなくなる。また、同様に
出口循環水管10の出口水室9に近い被膜損傷部23bの電
食を止めることも適わなくなる。
この対策としては外部電源電極36を出口水室9から遠く
離れた箇所に設けることが考えられる。この場合、管板
22および冷却管3に流れる損失電流は上記した場合と比
べると大幅に小さくなり、照合電極39aの検出電位が上
述した−600mV SCEよりも貴側になりチタン材の水素脆
性は生じない。しかしながら、この検出電位が貴側にな
るということは出口水室9内全体をみると、照合電極39
aから遠いところではさらに貴側の電位になることであ
り、例えば被膜損傷部23aの付近は全く防食電流37が流
れなくなってしまう。
この時、仮に外部電源電極36を出口水室9から遠く離す
と同時に鉄の防食電位である−650〜−900mV SCEを一層
卑側に設定することが可能であれば、対応が比較的容易
であり、望ましいと考えられる。
しかしながら、外部電源電極36が取付けられる出口循環
水管10の近傍ではこうした対策が採られた場合に次のよ
うな問題を生じる懸念があり、現実に用いられる可能性
はない。すなわち、出口循環水管10等の防食のために鋼
表面に施されるゴム,タールエポキシ樹脂等の被覆材料
の表面はかかる対策により一層増大する防食電位および
電流値のために劣化が進み易くなり、鋼表面からこれら
の材料が剥離してしまう危険性があり、大きな問題とな
る。
このように単に鉄の防食電位−650〜−900mV SCEを一層
卑側に持って行くことは被覆材料側に不都合が生じるた
め、好ましくない。
一方、先に述べたように外部電源電極36の設置場所等に
必要な配慮を欠いている従来の電気防食方法においては
真に電食防止に役立つものとはいえないところがあり、
改善が求められている。
したがって、本発明の目的は熱交換器に使用されるチタ
ン材の水素脆性を抑制し、かつチタン材と共に用いられ
る炭素鋼の部分においても電食現象により鋼表面が腐食
されるのを確実に防止するようにした全チタン熱交換器
の電気防食方法およびその装置を提供することにある。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明は上記課題を解決するために熱交換器胴に連なる
一対の水室を有し、冷媒としての海水を前記水室の一方
から他方にかけて伝熱管を通して流すように構成してな
り、その際、各伝熱管は伝熱管を支持する管板と共にチ
タン材を用いて、かつ各水室は水室に連なる配管装置と
共にチタン材よりも電気的に卑な金属材料を用いてそれ
ぞれ製作されてなる全チタン熱交換器の電気防食方法に
おいて、外部電源電極を各水室の底部から一定距離離間
して設け、各水室内の全域および各配管装置内の水室に
連なる一定領域の電気的絶縁が恒久的に保たれるように
当該領域を比較的堅牢な絶縁性材料を用いて被覆し、外
部電源電極から海水を通して電圧を印加して各水室およ
び各配管装置内の防食電位を保持するにあたり、各水室
内の管板下部近傍にてチタン材の水素脆性を抑制可能な
電位を、また各配管装置内の絶縁性材料による被覆領域
境界部近傍で少なくとも海水中における鉄の自然電位よ
りも卑側の電位をそれぞれ保つように電圧および電流値
を制御することを特徴とする。
また、本発明に係る全チタン熱交換器の電気防食装置は
熱交換器に連なる一対の水室を有し、冷媒としての海水
を前記水室の一方から他方にかけて伝熱管を通して流す
ように構成してなり、その際、各伝熱管は該伝熱管を支
持する管板と共にチタン材を用いて、かつ各水室は水室
に連なる配管装置と共にチタン材よりも電気的に卑な金
属材料をそれぞれ用いて製作されてなる全チタン熱交換
器において、各水室内の全域および各配管装置内の水室
に連なる一定領域の電気的絶縁が恒久的に保たれるよう
に当該領域を堅牢な絶縁性材料を用いて被覆し、各水室
内の管板下部近傍と、各配管装置内の絶縁性材料による
被覆領域境界部近傍とに照合電極をそれぞれ設けると共
に、これらの照合電極設置点の防食電位が所定の値を保
てるように外部電源電極を前記各水室から一定距離離間
して各々設けたことを特徴とするものである。
(作用) 第2図は実験および解析により求められた出口水室およ
び出口循環水管の中心部の電位分布について示してい
る。図中、縦軸は管中心の電位を示し、横軸はグラフの
上に示した出口水室9および出口循環水管10の部位を示
している。電位分布は出口循環水管10内における外部電
源電極36の位置をそれぞれ変化させて同一の電位(−10
00mV SCE)を保つように電圧値を制御した場合のもの
で、出口水室9および出口循環水管10内の測定された電
位を結んで分布曲線(a)(b)(c)として示されて
いる。初めに、(a)は外部電源電極36の取付位置が理
想的であった場合の電位分布であり、この場合、外部電
源電極36から少し出口水室9側に寄った位置で−770mV
SCEの電位となり、出口水室9内では−500mV SCEよりも
貴な電位となっている。即ち、−770mV SCEを境界点と
してそれよりも貴な電位を示している出口循環水管10
と、これに続いている出口水室9とは適切な対応が採れ
ない場合に鋼表面が電食によって容易に侵されてしまう
領域に入っている。一方、−770mV SCEよりも卑な電位
を示している出口循環水管10内の領域は電気防食の効果
が及ぶ領域であり、鋼表面が電食される危険性は少な
い。
上記実験および解析結果により鋼表面が電食によって侵
される危険性のある−770mV SCEよりも貴側の電位を示
す領域は特に電気的絶縁性の優れた材料を適用して出口
水室9および出口循環水管10内の−770mV SCEより貴な
電位を示す領域を被覆する。一方、−770mV SCEより卑
な電位を示す領域については鋼表面の腐食抑制を考慮し
て主として防食性を有する材料を用いて被覆する。な
お、出口循環水管10に介装される伸縮継手19については
元々絶縁性材料により構成(ゴム等)されるため、電気
防食の対象から除いて考えてよい。
次に、(b)は外部電源電極36が(a)の場合よりも出
口水室9側に寄っている場合の電位分布である。(a)
と比べると、−770mVの電位を示す箇所はより出口水室
9側に近くなっている。即ち、電気防食の効果が及ぶ領
域は(a)よりも出口水室9側に近づき、その分電気的
絶縁性を備えた材料による被覆領域は減少する。しかし
ながら、出口水室9内の電位は−500mV SCEを切ってい
る(a)と比べて著しく卑側に寄っており、チタン材の
水素脆性を伴なう電位−600mV SCEに近づき、仮に、管
板22および冷却管3の汚れ等から電位が大きく変化して
卑側に振れる場合には−600mV SCEに達するかも知れ
ず、(a)と比べて余裕の少ない(b)はそれだけ水素
脆性の危険性が高く、採用し難いものである。
さらに、(b)と反対に(a)からさらに遠い位置に外
部電源電極36を取付けた場合の電位分布が(c)として
示されている。(a)と対比すると、この場合の出口水
室9内の電位はさらに貴側に移り、チタン材の水素脆性
に関しては全く問題にならない電位となる。しかしなが
ら、出口循環水管10内の電位は(a)と比べた場合に−
770mV SCEの電位を示す箇所が出口水室9からみてより
遠くなっている。つまり、電気防食の効果が及ぶ領域の
移動により電気的絶縁性を有する材料による被覆領域は
拡がり、反対に防食性材料による被覆領域は狭くなる。
このように電気的絶縁性材料による被覆領域を延ばし、
換言すると、電気防食の効果が及ばない領域を拡げるこ
とは万が一の被覆材料の損傷を考慮すると、より慎重で
なければならない。また、経済的にも高価な絶縁性材料
の適用は限度がある。結局、(c)の電位分布を示す位
置には外部電源電極36は取付けられず、被覆領域をより
短くするようにこれを配置することになる。しかし、先
に述べたように電位分布が(b)のようになると、今度
はチタン材の水素脆性の懸念が強くなる。従って、
(a)は電気防食の及ばない領域が少なく、しかもチタ
ン材の水素脆性が生じない電位分布であるといえる。
一方、別の実験および解析では外部電源電極36付近の上
記実験の電位−1000mV SCEから−1500mV SCEに上げて電
位分布を測定した。これが図に破線で示される分布曲線
である。(a)と対比するならば、(a)よりもさらに
電気防食の効果が及ぶ領域は拡がることは明らかである
が、電位設定を大きくしただけでは利するところよりも
害だけが目立って大きくなる。すなわち、出口水室9内
の電位は−600mV SCEすれすれに近づき、水素脆性が起
こる危険性はますます高くなると共に、−1000mV SCEよ
り卑側に設定しているために絶縁材料の剥離が生じ易く
なる。
したがって、外部電源電極36の電位は−1000mV SCEを上
限とするのが望ましい。
また、防食電位の下限は鉄の海水中の自然電位が−450
〜−650mV SCEであり、−650mV SCEとする。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図において、出口水室9の内部は電気的絶縁性を有
する被覆材料、例えば堅牢な構造のゴム42で覆われてい
る。この出口水室9の下部には照合電極39aが取付けら
れ、その電位を−600mV SCEよりも貴側に設定して、チ
タン材の水素脆性が起こらないように電気防食装置38に
検出電位を帰還させている。また、出口循環水管10の出
口水室9に連なるL2の領域についても同様なゴム42によ
り覆われている。通常、伸縮継手19はゴムで作られてお
り、L2の領域には鋼表面の露出部分は存在しない。
また、出口循環水管10のL2以外の領域は防食性を有する
被覆材料であるタールエポキシ樹脂43で被覆されている
が、ゴム42とこのタールエポキシ樹脂43との境界部に照
合電極39bが設置されている。この照合電極39bの設定電
位は−770mV SCEよりも卑側であり、鋼表面が電食によ
って侵されないように検出電位を電気防食装置38に帰還
させている。
一方、電気防食装置38によって制御される外部電源電極
36は出口水室9よりL3の距離に取付けられる。したがっ
て、電気防食の対象領域はL3からL2を引いたL1となる。
以下、L3が4.8m,出口循環水管10の内径Dが2.4m,外部電
源電極36の電位が−1000mV SCEである場合の出口水室内
下部の電位,電流値および出口循環水管内の電位分布の
測定結果について述べる。
初めに、出口水室内下部の電位の変化について説明す
る。
第3図において、なお、図中縦軸は出口循環水管10の管
中心の電位を、また横軸は外部電源電極36より熱交換器
側への距離をそれぞれ示している。
L3が4.8m(L3/D≒2)の場合、即ち、外部電源電極36か
ら4.8m離れているところまでの電位は曲線(g)として
示され、出口水室9内下部の電位が−600mV SCEより貴
側にあることが理解される。この場合、4.8mより3.3mの
範囲で電位が−600mV SCEよりも貴側となり、この範囲
内ではチタン材の水素脆性は発生しない。
ところで、第3図にはL3が2.4mの場合、および1.2mの場
合とが曲線(h)および(i)として示されている。な
お、これらの値は出口循環水管10の内径Dに対して1.0
倍および0.5倍である。
曲線(h)および(i)の電位は−600mV SCEより常に
卑側であるためにチタン材の水素脆性が生じる。従っ
て、内径Dに対して2倍の距離まで離した(g)を目標
とする必要がある。
次に、電流値の変化について説明する。
第4図において、なお、ここで縦軸は外部電源電極36よ
りの電流値を、また横軸は熱交換器より外部電源電極36
までの距離をそれぞれ示している。第4図から距離が4.
8mより大きくなると、2アンペア弱でほぼ一定となる。
また、これより小さくなると、電流値は急激に上昇す
る。
次に、出口循環水管10内の電位分布について説明する。
なお、条件は第3図および第4図の場合と同じである
が、外部電源電極36の電位が−1500mV SCEの場合も示し
ている。
第5図において、なお、図中縦軸は外部電源電極36より
熱交換器側の出口循環水管10の管中心における電位を、
また横軸は外部電源電極36より熱交換器側への距離をそ
れぞれ示している。
曲線(j)は外部電源電極36の電位が−1000mV SCEの場
合の出口循環水管10の電位分布を示している。電流値に
よって多少異なるが外部電源電極36よりの距離2.4m以内
が−770mV SCEより卑側の電位分布となり、鋼表面の防
食は所望の結果が得られる。一方、これを超える部分
(斜線部)は−770mV SCEより貴な電位となって防食効
果が得られなくなる。
曲線(j)と対比するために外部電源電極36の電位が−
1500mV SCEの場合の出口水室9および出口循環水管10の
管中心の電位分布が曲線(k)として示されている。電
流値によって多少異なるが、外部電源電極36よりの距離
4.1m以内が−770mV SCEより卑側の電位分布となり、上
記電位よりも広い範囲に防食効果が及ぶが、この電位は
出口水室9内下部の電位を第3図の(g)の如く適正な
値に保つ電位(−1000mV SCE)ではなく、これに依存す
ることはできない。
以上の第3図,第4図および第5図に基づくならば、外
部電源電極36の取付け位置が4.8mのときに防食効果の得
られる範囲は2.4mであるから、L2=L3−L1=4.8−2.4=
2.4となり、2.4m以上がこの場合の絶縁性を有する材料
による被覆領域となる。
次に、本発明の他の実施例について説明する。
本実施例では外部電源電極36の電位が−770mV SCEより
も貴な電位である−700mVに保持される。
これは、上記実施例に対して電位を貴側に設定して電流
値を下げること、さらに高価なゴムによる被覆領域を減
少させることなどにより経済的な効果をより一層高めた
い場合に特に考えられるやり方である。
第6図において、上記実施例と同様、出口水室9の内部
とこれに連なるL2の領域とが堅牢な構造のゴム42で被覆
され、これらの箇所には鋼表面の露出部分は存在しな
い。なお、L2の領域には伸縮継手19が含まれる。
また、出口循環水管10のL2以外の領域がタールエポキシ
樹脂43により被覆される。外部電源電極36はこの被覆領
域内のL3の位置に設置され、L3からL2を引いたL1がこの
場合の電気防食の対象領域となる。
以下、L3が3.6m,出口循環水管10の内径が2.4m,外部電源
電極36の電位が−700mV SCEである場合の出口水室9内
下部の電位,電流値および出口循環水管10内の電位分布
の測定結果について説明する。
初めに、出口水室内下部の電位の変化を第7図を参照し
て説明する。なお、図中縦軸は出口循環水管10の管中心
の電位を、また横軸は外部電源電極36より熱交換器側へ
の距離をそれぞれ示している。
L3が3.6m(L3/D≒1.5)の場合、つまり外部電源電極36
から約3.6m離れているところまでの電位は曲線(e)と
して示され、このとき、出口水室9内下部の電位は−60
0mV SCEよりも貴側に入るためにチタン材の水素脆性が
生じることはない。
なお、曲線(m)および(n)はL3が0.5m(L3/D≒0.
2)および0.24m(L3/D≒0.1)の場合の電位を示してい
る。何れの場合も−600mV SCEより卑側であるためにチ
タン材の水素脆性が発生する。したがって、内径Dに対
して1.5倍の距離まで離すことが必要である。
次に、電流値の変化を第8図を参照して説明する。な
お、ここで縦軸は外部電源電極36よりの電流値を、また
横軸は熱交換器より外部電源電極36までの距離を各々示
している。第8図から距離が3.6mより大きくなると、0.
2アンペア弱でほぼ一定となる。また、これにより距離
が小さくなると、電流値は急激に上昇する。
次に、出口循環水管10内の電位分布を第9図を参照して
説明する。
なお、図中縦軸は外部電源電極36より熱交換器側の出口
循環水管10の管中心における電位を、また横軸は外部電
源電極36より熱交換器側への距離をそれぞれ示してい
る。
曲線(o)外部電源電極36の電位が−700mV SCEの場合
の出口循環水管10の電位分布を示している。電流値によ
って多少異なるが、外部電源電極36よりの距離1.7m以内
が−650mV SCEより卑側の電位分布となり、鋼表面の防
食はほぼ問題のない領域となる。一方、これを超える部
分(斜線部)は−650mV SCEより貴側となり防食効果が
得られなくなる。
以上の第7図,第8図および第9図に基づくならば、外
部電源電極36の取付位置が3.6mのときに防食効果の得ら
れる範囲は1.7mであるから、L2=L3−L1=3.6−1.7=1.
9となり、1.9m以上がこの場合の電気的絶縁性を有する
材料による被覆領域となる。
本実施例の出口循環水管10設定電位は鉄の海水中の自然
電位の限界にあり、上記実施例の−770mV SCEよりも貴
側になるために信頼性は幾分損なわれることになるが、
経済性を重視する場合、本実施例により相応の効果を得
ることが可能となる。
さらに、第10図を参照して上記各実施例と異なる方法を
説明する。第10図において、本実施例の構成は第6図に
示される方法を一歩進めて照合電極44a,44bが亜鉛材か
ら鋼材に変更され、その設定電位につき、鉄の海水中の
自然電位とするものである。すなわち、鋼材の照合電極
を使用した場合、照合電極44a,44b近傍の電位が鉄の海
水中の自然電位より貴側になったときに、照合電極自身
の電位を直ちに検出し、防食電流を流すこと、一方、鉄
の海水中の自然電位より卑側になった場合にはこれを直
ちに検出し、防食電流を減少させることが可能であり、
鋼表面の腐食および防食状態を正確に把握できる利点が
ある。通常の亜鉛材等による照合電極では測定する電位
に多少バラツキがあり、誤差が問題となる。上記実施例
の亜鉛材の照合電極の場合設定電位をどの値にするかも
難しく、例えば設定電位を−550mV SCEにした場合で
も、検出電位の時間おくれ,さらには亜鉛材の自然電位
のバラツキ,環境条件によるバラツキ,亜鉛分極時電位
のバラツキ等があり、測定電位の誤差を考慮しなければ
ならないが、鋼材の照合電極44a,44bを使用することに
より、このような誤差を心配する必要がなくなる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は外部電源電極を各水室の底
部から一定距離離間して設け、各水室内の全域および各
配管装置内の水室に連なる一定領域の電気的絶縁が恒久
的に保たれるように当該領域を堅牢な絶縁性材料を用い
て被覆し、外部電源電極から海水を通して電圧を印加し
て各水室および各配管装置内の防食電位を保持するにあ
たり、各水室内の管板下部近傍にてチタン材の水素脆性
を抑制可能な電位を、また各配管装置内の絶縁性材料に
よる被覆領域境界部近傍で少なくとも海水中における自
然電位よりも卑側の電位をそれぞれ保つようにしたの
で、チタン材からなる伝熱管および管板で水素脆性が発
生するのを防止でき、全チタン復水器の寿命を長期に安
定に保つことが可能である。また、炭素鋼からなる配管
装置で電食が生じるのを確実に防止でき、配管装置が短
期間の使用で使用不能に陥るなどの不測の事故を未然に
防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法に適用される装置の一実施例を示す
構成図、第2図は本発明における電位の分布状態を示す
電位分布図、第3図は第1図に示される実施例に係る出
口室内下部における電位の変化を示す特性図、第4図は
同電流値の変化について示す特性図、第5図は同出口循
環水管内の電位の分布状態を示す特性図、第6図は本発
明方法に適用される装置の他の実施例を示す構成図、第
7図は第6図に示される実施例に係る出口水室下部にお
ける電位の変化を示す特性図、第8図は同電流値の変化
について示す特性図、第9図は同出口循環水管内の電位
分布状態を示す特性図、第10図は本発明のさらに異なる
実施例を示す構成図、第11図は従来技術による復水器と
それに接続される配管装置を示す系統構成図、第12図は
海水中における各種金属の自然電位について示す特性
図、第13図,第14図および第15図は復水器における電食
現象について示す説明図、第16図,第17図および第18図
は従来の復水器における電気防食装置の一例を示す構成
図である。 2……復水器、3……冷却管 7……入口循環水管、8……入口水室 9……出口水室、10……出口循環水管 22……管板、26,31,36……外部電源電極 28,33,38……電気防食装置 29,34,39a,39b……照合電極 42……ゴム、43……タールエポキシ樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−35141(JP,A) 特開 昭61−157690(JP,A) 実開 昭60−128196(JP,U) 実開 昭52−52153(JP,U) 特公 昭55−21832(JP,B2) 実公 昭59−2113(JP,Y2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱交換器胴に連なる一対の水室を有し、冷
    媒としての海水を前記水室の一方から他方にかけて伝熱
    管を通して流すように構成してなり、その際、前記各伝
    熱管は該伝熱管を支持する管板と共にチタン材を用い
    て、かつ前記各水室は該水室に連なる配管装置と共にチ
    タン材よりも電気的に卑な金属材料を用いてそれぞれ製
    作されてなる全チタン熱交換器の電気防食方法におい
    て、外部電源電極を前記各水室の底部から一定距離離間
    して設け、前記各水室内の全域および各配管装置内の水
    室に連なる一定領域の電気的絶縁が恒久的に保たれるよ
    うに当該領域を堅牢な絶縁性材料を用いて被覆し、前記
    外部電源電極から海水を通して電圧を印加して前記各水
    室および各配管装置内の防食電位を保持するにあたり、
    前記各水室内の管板下部近傍にてチタン材の水素脆性を
    抑制可能な電位を、また前記各配管装置内の絶縁性材料
    による被覆領域境界部近傍で少なくとも海水中における
    鉄の自然電位よりも卑側の電位をそれぞれ保つように電
    圧および電流値を制御することを特徴とする全チタン熱
    交換器の電気防食方法。
  2. 【請求項2】各水室内の全域および配管装置内の該水下
    部より2.4mの領域を絶縁性材料を用いて被覆し、各水室
    および配管装置内の防食電位を保持するにあたり、各水
    室内の管板下部近傍にて−600mV SCEの電位を、また各
    水室の下部から2.4m離れた地点で−770mV SCEの電位を
    それぞれ保つように電圧および電流値を制御することを
    特徴とする請求項1記載の全チタン熱交換器の電気防食
    方法。
  3. 【請求項3】熱交換器胴に連なる一対の水室を有し、冷
    媒としての海水を前記水室の一方から他方にかけて伝熱
    管を通して流すように構成してなり、その際、前記各伝
    熱管は該伝熱管を支持する管板と共にチタン材を用い
    て、かつ前記各水室は該水室に連なる配管装置と共にチ
    タン材よりも電気的に卑な金属材料をそれぞれ用いて製
    作されてなる全チタン熱交換器において、前記各水室内
    の全域および各配管装置内の水室に連なる一定領域の電
    気的絶縁が恒久的に保たれるように当該領域を堅牢な絶
    縁性材料を用いて被覆し、前記各水室内の管板下部近傍
    と、前記各配管装置内の絶縁性材料による被覆領域境界
    部近傍とに照合電極をそれぞれ設けると共に、これらの
    照合電極設置点の防食電位が所定の値を保てるように外
    部電源電極を前記各水室から一定距離離間して各々設け
    たことを特徴とする全チタン熱交換器の電気防食装置。
  4. 【請求項4】外部電源電極の設置点が各水室の下部から
    4.8m離れた配管装置内に設けられていることを特徴とす
    る請求項3記載の全チタン熱交換器の電気防食装置。
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