JPH0754557Y2 - シャッタースラット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、防火・耐火シャッターのカーテンを構成する
シャッタースラットに関する。

〔従来の技術〕

地下街や建物の通路，避難口などの防火区画には、建築
基準法施行令に基づいて火災の延焼を防止する防火シャ
ッターを設置することが義務付けられている。

この防火シャッターは、火災の高熱に長時間耐えられる
耐火性能が要求されるから、そのカーテンを構成するシ
ャッタースラットには一般に厚さ1.5mm以上の鉄板が使
用されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、シャッタースラットを厚い鉄板で成型すると、
シャッターカーテン全体の重量が嵩んでシャターの開閉
装置が大型化するなどの欠点があった。

また、鉄板のみで成るシャッタースラットは、火災の高
熱により高温に加熱されてその表面から強い輻射熱を放
つため、防火シャッターの前に設けられた通路を通って
避難することができなくなるおそれがあった。

このため、シャッタースラットからの輻射熱の放射を抑
えると共に、その鉄板の厚さを薄くしてシャッターカー
テン全体の軽量化を図る目的で、スラット本体の裏面側
に沿ってロックウール等の耐熱断熱性部材を充填する耐
火ケースが形成されたシャッタースラットが提案されて
いる（実開昭62−180189号公報の図面第５図参照）。

しかし、このシャッタースラットを用いたシャッターカ
ーテンは、建物の開口部から火災の高熱が洩れ出すこと
を防止する遮熱性には優れているものの、各シャッター
スラット自体が高温に加熱されることを防止することは
できなかった。

つまり、スラット本体とロックウール等を充填する耐火
ケースとが何れも鉄板で一体成型されたシャッタースラ
ットは、火災の高熱が耐火ケースを通じてスラット本体
に伝わるため、輻射熱の放射を確実に抑えることができ
なかった。

このような事情に鑑み、本出願人は、スラット本体の裏
面側に耐火ケースを設けずにロックウール等を直接接着
させたシャッタースラットを提案したが（実開昭62−18
0189号公報の第２図乃至第４図参照）、この場合は、シ
ャッタースラットの裏面に接着されたロックウール等が
外部に露呈してシャッターカーテン全体の外観を著しく
損なうため、火災が発生した非常時にのみ作動する防火
シャッターには適用できても、平常時でも開閉される耐
火シャッターには適用できないという欠点を有してい
た。

そこで本考案は、シャッターカーテン全体の外観を損な
うことなく、輻射熱の放射を確実に抑えられる構造に成
されたシャッタースラットを提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するために、本考案によるシャッタース
ラットは、スラット本体の裏面側に沿って水を吸収した
高分子吸水材を充填した耐火ケースが形成されているこ
とを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、高分子吸水材に吸収された水によっ
て、シャッタースラットを成すスラット本体と耐火ケー
スの熱が吸収され、その水が蒸発して無くなるまでシャ
ッタースラットは100℃以上に加熱されない。

また、高分子吸水材は、大量の水を吸着できるから、こ
の水が完全に蒸発するまでには長時間を要し、充分な避
難時間を確保することができる。

したがって、避難通路に面して設置された防火シャッタ
ーあるいは耐火シャッターのシャッターカーテンから高
温の輻射熱が放射されて逃げ道を塞がれるおそれがなく
なる。

また、高分子吸水材は、スラット本体の裏面側に形成さ
れた耐火ケースに充填されているから、シャッターカー
テン全体の外観が損なわれることもない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて具体的に説明す
る。

第１図は本考案によるシャッタースラットの一例を示す
断面図、第２図は高分子吸水材の斜視図である。

本例に示すシャッタースラットＳは、他のシャッタース
ラットＳと連結するためのインターロック1a,1bが上下
両端に形成されたスラット本体１の裏面側に沿って、水
を自重の100倍乃至1000倍程度の吸水力で吸収した高分
子吸水材Ｈを充填した耐火ケース２が形成されている。

高分子吸水材Ｈは、水を注ぐと吸水・膨潤する性質を有
した合成ポリマー系，セルロース系あるいはデンプン系
の高吸水性樹脂をそのまま使用するか、又はこの高吸水
性樹脂を第２図に示すように吸収シート３に担持させて
使用する。

また、水を吸収した高分子吸水材Ｈは、これを直接耐火
ケース２内に挿入して充填するか、あるいは第２図に示
すようにアルミ箔で成る密閉袋４内に封入した状態で耐
火ケース２内に充填する。

しかして、シャッタースラットＳを連設して成るシャッ
ターカーテンは、各シャッタースラットS,S…の高分子
吸水材Ｈに吸収された水が断熱材となって火災の高熱を
遮断する遮熱性が付与される。

また、高分子吸水材Ｈに吸収された水は、火災の高熱を
受けて加熱される耐火ケース２や、当該耐火ケース２の
熱が伝わって加熱されるスラット本体１から吸熱し、そ
の水が蒸発して無くなるまでの間はシャッタースラット
Ｓの加熱温度を水の沸点である100℃以下に維持するこ
とができる。

しかも、高分子吸水材Ｈは、自重の100倍乃至1000倍も
の水を吸着できるから、この水が完全に蒸発するまでに
は長時間かかる。

したがって、火災発生から各シャッタースラットS,S…
が灼熱してシャッターカーテン全体から高温の輻射熱が
放射されるようになるまでの間に約20分乃至30分程度の
充分な避難時間を確保することができ、避難通路に面し
て設置された防火シャッターや耐火シャッターのシャッ
ターカーテンから放射される輻射熱によって逃げ道を塞
がれるおそれがなくなる。

更に、高分子吸水材Ｈは、スラット本体１の裏面側に形
成された耐火ケース２内に充填されているから、これが
各シャッタースラットS,S…の裏面に露呈してシャッタ
ーカーテン全体の外観が損なわれることもない。

したがって、本考案によるシャッタースラットＳは、非
常時にのみ作動する防火シャッターのカーテンに限ら
ず、平常時でも開閉される耐火シャッターのカーテンに
用いることができる。

また、実施例のように、水を吸収した高分子吸水材Ｈを
アルミ箔等で成る密閉袋４内に封入しておけば、当該高
分子吸水材Ｈを耐火ケース２内に充填する作業が容易に
なってシャッタースラットＳの生産性が向上し、また、
平常時における水の自然蒸発が完全に防止されて信頼性
が高まると共に、鉄板で成るスラット本体１や耐火ケー
ス２の錆による腐蝕が防止されてシャッタースラットＳ
の耐久性を損なうこともないという種々の利点がある。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案によるシャッタースラット
は、火災の高熱を受けて高温の輻射熱を放射するように
なるまでに長時間かかり、その間に充分な避難時間を確
保することができるという優れた効果がある。

また、シャッターカーテン全体の外観を損なうことがな
いから、非常時にのみ作動する防火シャッターに限ら
ず、平常時でも開閉される耐火シャッターにも用いるこ
とができるという効果がある。

更に、現状においては生理用品や紙おむつ，土壌保水剤
などとして使われるだけで具体的ニーズの検討が遅れて
いる高分子吸水材の新たな用途を提供し、その有効利用
に資することができるという派生的な効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるシャッタースラットの一例を示す
断面図、第２図はそれに用いる高分子吸水材の斜視図で
ある。 符号の説明 Ｓ……シャッタースラット、１……スラット本体、２…
…耐火ケース、Ｈ……高分子吸水材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スラット本体（１）の裏面側に沿って水を
   吸収した高分子吸水材（Ｈ）を充填した耐火ケース
   （２）が形成されていることを特徴とするシャッタース
   ラット。