JPH0753223Y2 - 耐熱・耐張コード - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、耐熱・耐張コードに関するものである。

〔従来の技術及びその課題〕

高層ビルディングにおいては、電力及び信号を送る電線
・ケーブル（以下・コードという）が最上階から吊り下
げ状態で施設されたり、長い間隔の架渉状態で施設され
る場合がある。この場合に使用するコードには、大きな
張力が加わるため、耐張性を有する必要がある。このた
め、従来では、コードにメッセンジャワイヤーを添設し
て耐張性を付与している。

しかし、メッセンジャワイヤーは、通常、鋼線を使用し
ており、可撓性に乏しい。このため、コードの布設工事
の際、その取扱いが不便で、作業性が悪い。

また、高層ビルディングで火災が発生すると、その火災
を知らせたり、消火活動や居住者の避難誘導等のための
照明が必要である。このため、そのような通信用コード
及び送電用コードを布設する。

しかし、従来のコードは、最外層のシースが可燃性材料
を用いており、火災が発生すると、そのシースが燃焼又
はその絶縁素材が揮発して絶縁性が劣化し、絶縁不良と
なって、送電・通信不能となる。

なお、前者の耐張性の向上手段として、コード内長さ方
向に、芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維（例えば、
米国、デュポン社：商品名：ケブラー）を封入すること
が考えられる。しかし、この繊維は、常温では、鉄に相
当する引張強さを有するが、204℃を越えると、その耐
張特性を維持することができず、また、426℃で炭化す
るため、後者の耐熱性（耐火性）の点で問題がある。

そこで、本考案は、上記事情から、布設工事に際して可
撓性があって取扱いが容易であり、さらに、コード自身
に耐張性及び耐熱性を持っているコードを提供すること
を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案にあっては、耐熱絶縁
心線の外周長さ方向に、セラミックス長繊維を引揃えて
樹脂コーティングしたテープを縦添えフォーミングし、
その上に難燃性シースを施して成る構成としたのであ
る。

上記耐熱絶縁心線は、その心線の複数本を耐火介在と共
に撚合わせて芯としたものとすることができる。

また、そのように構成したコード（耐熱絶縁心線が単芯
又は撚合わせ芯）の複数本を、耐火介在と共に撚合わせ
て芯とし、その外周長さ方向に、セラミックス長繊維を
引揃えて樹脂コーティングしたテープを縦添えフォーミ
ングし、その上に難燃性シースを施して成る構成とする
こともできる。さらに、その構成のコード複数本を、耐
火介在と共に撚合わせて芯とし、同様に、セラミックス
長繊維テープの縦添えフォーミング及び難燃性シースを
施して成した構成としてもよい。

上記撚合わせ芯へのセラミックス長繊維テープの縦添え
フォーミングに代えて、セラミックス長繊維を直接に縦
添えしたものとすることもできる。

上記難燃シースは、難燃ポリ塩化ビニル（PVC）、ポリ
テトラフルオロエチレン（PTFE）、ポリテトラフルオロ
エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体（PFA）等の周知の素材を採用できる。

上記セラミックス長繊維は、数十〜数百mm長さの短繊維
と異なり、紡糸した連続ものであり、例えば、チラノ繊
維（宇部興産（株）商品名）、シリカファイバ（旭硝子
（株）商品名）、ネクステル（米国スリーエム社商品
名）、レフラシール（米国HITCO社商品名）等を採用し
得る。

上記耐火介在にはフェノールホルムアルデヒド架橋繊維
（例えば、日本カイノール社製 商品名：カイノール）
等を採用し得る。

〔作用〕

上記の如く構成する本考案は、セラミックス長繊維によ
って耐張性が付与される。又、セラミックス長繊維は不
燃物であり、電気絶縁性であるから、心線の絶縁体が熱
分解して揮散した後も導体上に残存し絶縁を保持する。

セラミックス長繊維は、空気中で1000℃以上の温度に耐
え、150kg/mm²以上の引張強さを持っているので、火災
の中でも十分耐えることができる。

また、セラミックス長繊維を引揃え樹脂コーティングし
てテープ状とし、これを縦添えフォーミングすることに
より、確実に心線や芯の回りにセラミックス長繊維を長
さ方向に添えることができるうえに、引揃えにより、セ
ラミックス長繊維は、引っぱられて真直ぐになった（ち
ぢれがなくなった）状態で樹脂によって固められること
となり、伸びることがないため、有効にテンションメン
バーの役目を果して耐熱絶縁心線に大きな張力が加わら
ない。

〔実施例〕

図に示すように、0.18mmφ軟銅線50本を同心撚りした導
体１上に、難燃PVC2を0.8mm厚さになるように押出成形
被覆して絶縁心線３とする。

この絶縁心線３の外周長さ方向に、セラミックス長繊維
を引揃えて樹脂コーティングしたテープ４を0.5mm厚さ
になるように縦添えフォーミングし、その上に、難燃PV
C5を押出被覆して、本考案に係る耐熱・耐張コードＡを
得た。

このコードＡは、前記高層ビルディングの吊設状況と同
じにした引張試験においても、十分に耐え得るものであ
ったとともに、擬装火災とした火炎に晒しても十分に導
通を得ることができた。

また、可撓性も十分に有し、メッセンジャワイヤーを添
設した従来のものに比べれば、はるかに作業性がよい。

〔考案の効果〕

本考案は、以上のように構成したので、取扱いが容易
で、耐張性及び耐熱性を有し、例えば、高層ビルディン
グ等の避難誘導照明用電力線、通信線として非常に適し
たものとなる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る耐熱・耐張コードの一実施例の斜
視図である。 １……導体、２……難燃PVC、３……絶縁心線、４……
セラミック長繊維テープ、５……難燃PVC（シース）、
Ａ……耐熱・耐張コード。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】耐熱絶縁心線の外周長さ方向に、セラミッ
   クス長繊維を引揃えて樹脂コーティングしたテープを縦
   添えフォーミングし、その上に難燃性シースを施して成
   る耐熱・耐張コード。
2. 【請求項２】耐熱絶縁心線の複数本を、耐火介在と共に
   撚合わせて芯とし、その外周長さ方向に、セラミックス
   長繊維を引揃えて樹脂コーティングしたテープを縦添え
   フォーミングし、その上に難燃性シースを施して成る耐
   熱・耐張コード。
3. 【請求項３】請求項（１）又は（２）に記載のコードの
   複数本を、耐火介在と共に撚合わせて芯とし、その外周
   長さ方向にセラミックス長繊維を縦添えし、その上に難
   燃性シースを施して成る耐熱・耐張コード。
4. 【請求項４】請求項（１）又は（２）に記載のコードの
   複数本を、耐火介在と共に撚合わせて芯とし、その外周
   長さ方向に、セラミックス長繊維を引揃えて樹脂コーテ
   ィングしたテープを縦添えフォーミングし、その上に難
   燃性シースを施して成る耐熱・耐張コード。