JPH0750620A - ２値信号の電磁誘導通信における送信方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンテナ回路における時間遅れによる影響を
解消し，原２値信号通りの磁束変化を受信アンテナに与
えることによって通信時間の短縮を可能にする。 【構成】 ２値の変換時における送信アンテナ構成回路
のインダクタンス成分９Ｌとコンデンサ８のキャパシタ
ンスによる共振現象に対応する位相のＦＳＫまたはＰＳ
Ｋ信号をこの送信アンテナ９に供給するようにした。Ｆ
ＳＫ信号をこの送信アンテナ構成回路における共振周波
数を中心とする高・低対称周波数を２値に対応して設定
し，アンテナ構成回路に供給する電圧２値信号の２値切
り換えを，アンテナ電流の位相が９０度のときのタイミ
ングで行い，切り換え後の信号開始をアンテナ電流の位
相が９０度になる位相の電圧信号であるようにするのが
望ましい。そのために，所定周期のクロックパルス作成
機能３と，正弦波一周期をカウント周期とするカウンタ
機能４と，カウンタ内容値に対応する２周波の振幅値を
記録するテ−ブルの記憶機能５とを設けるのが望まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は主機能を備えた主局
と，非接触式ＩＣカ−ド等の移動局との間で行う電磁誘
導通信用の２値信号の送信回路に係り，特に，２値信号
切り換え時に発生する送信アンテナ構成回路の同調特性
による過渡現象の影響を無くして，高速，かつ正確な通
信を可能にする２値信号の電磁誘導通信における送信方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】定期券や高機能プリペイドカ−ド等とし
て用いられる，いわゆる無線カ−ド，非接触ＩＣカ−ド
等の名称で呼称される記憶素子や論理判断素子等を備え
た携帯型の移動局と，この携帯型の移動局の保持するデ
−タ類と交信する主機能を備えた固定局や地上局との間
では，一般に，電磁誘導方式の０と１で構成された２値
信号による通信が行われている。また，工場関連では搬
送物や被加工材に装着されて，その内容リストや処理方
法等のデ−タを記録し，必要に応じて記録内容の授受，
更新を行うタグ，デ−タキャリア等の名称で呼称される
記憶素子や論理判断素子等を備えた移動局と，この移動
局の保持するデ−タ類と交信する主機能を備えた固定局
や地上局との間でも，上述と同様に電磁誘導方式の２値
信号による通信が行われている。これらの移動局には電
源を内蔵せず，主機能を備えた固定局や地上局（主局と
称す）から送信する搬送波のエネルギ−をその回路動作
や送信のための電力として使用する方式がある。上述の
ような移動局に電源を内蔵しない方式における通信に
は，主局からは連続的にエネルギ−を送信し，また，誤
受信の恐れの少ない２値信号を周波数変調したＦＳＫ
（Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ Ｓｈｉｆｔ Ｋｅｙｉｎｇ）方
式または位相変調したＰＳＫ（Ｐｈａｓｅ Ｓｈｉｆｔ
Ｋｅｙｉｎｇ）方式が一般に使用されている。また，
このような通信には主局のアンテナと移動局のアンテナ
が接近することが可能であり，主局からのエネルギ−伝
送効率の良い電磁誘導方式が使用されている。

【０００３】上述のような主局と移動局との間で行われ
る通信装置には，例えば図６に示すような回路構成があ
る。図６は，１と０の２値によって構成される信号をＦ
ＳＫ方式によって送信する手段がもつ要素機能の構成を
説明するためのブロック図である。また，図７に主要部
の信号状況を示している。図７は横軸に時間推移，縦軸
に上から，送信信号のＦＳＫされる前の０と１の２値で
構成された原波形，０を低い周波数ｆ₁で，１を高い周
波数ｆ₂でＦＳＫした信号波形を示している。図６にお
いて，１は主局の主要機能部を総括して記したものであ
って，主要機能部で作成され出力される図７のＦＳＫ原
信号に示すような２値信号は，ＦＳＫ信号作成機能２で
ＦＳＫの送信信号に変換される。ＦＳＫ信号作成機能２
においては，スイッチ機能部２ａで，正弦波作成機能３
ｂで作成される２値信号の０を示す低い周波数の正弦波
ｆ₁と，正弦波作成機能３ａで作成される２値信号の１
を示す高い周波数の正弦波ｆ₂とを切換える。即ち，Ｆ
ＳＫ信号作成機能２において送信信号である図７の下段
に示すような正弦波のｆ₁とｆ₂で構成されるＦＳＫ信号
が形成される。ＦＳＫ信号作成機能２から出力されるＦ
ＳＫ信号は，出力増幅機能７ａに入力する。出力増幅機
能７ａから出力される送信信号は，直流成分の遮断とア
ンテナとの共振機能を備えたコンデンサ８を介して送信
アンテナ９に供給される。送信アンテナ９に供給される
ＦＳＫの電流は磁界を形成して図示しない移動局の受信
アンテナに鎖交し，送信動作が実行される。ＦＳＫ信号
作成機能２においては，上述した以外にスイッチ機能に
よって正弦波作成機能の作成周波数を切換える手段，Ｐ
ＬＬ（Ｐｈａｓｅ ＬｏｃｋｅｄＬｏｏｐ）による手
段，メモリに記憶した正弦波関数表を使用する手段，搬
送波を１または０を示す周波数で周波数変調する手段等
が使用される。また，２値信号の０と１に対応させて搬
送波の位相をシフトし，変調するＰＳＫ等の手段も使用
される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで，上述したよ
うな電磁誘導方式による２値信号のＦＳＫ方式の通信に
使用される送信アンテナは，例えば，図８に示すような
等価回路で示すことができる。図８において，９は送信
アンテナであって，この送信アンテナ９を構成する回路
（以下送信アンテナ回路と略称することがある）はイン
ダクタンス成分９Ｌと抵抗成分９Ｒによって構成されて
いる。アンテナ部以外は前述した図６と同様である。上
述のような回路構成においては，一般に送信アンテナ９
に流す電流値を最大にするために，送信アンテナ９のイ
ンダクタンス成分９Ｌとコンデンサ８のキャパシタンス
によって送信周波数で共振させるようにしている。従っ
て，例えば，ＦＳＫにおいては，２値の切り換え後に
は，コンデンサ８のキャパシタンスと送信アンテナ９の
インダクタンス成分９Ｌによる共振周波数と，その共振
回路のＱおよび２値の０と１を表わす周波数の条件に伴
う過渡現象が現れる。そのため，受信回路の特性に影響
される過渡現象によって生じる角速度変化遅れによる信
号の変質状態が，所定状態に減衰するまで信号検知遅れ
を生じる。その他の変調条件においても，同様に０から
１，または１から０に完全に切り換わるまでに時間が必
要である。そのために，受信側で正常な信号として受信
できるには，ＦＳＫの場合は，増幅機能等によって振幅
の遅れに対する影響は減らすことができるが，少なくと
も周波数偏移（角速度変化遅れによる）が検出可能な周
波数になるまでの時間が必要であって，そのための余裕
時間だけ通信信号における各ビット，即ち１または０の
状態を長くする必要がある。主局と移動局との間の通信
時間は，移動局の用途に対応して短くすることが必要で
あるが，信頼性の高い通信とするためには，アンテナの
特性で定まる各ビットごとの遅れ時間と通信情報の内容
から限度があった。本発明は従来のものの上記課題（問
題点）を解決し，アンテナ構成回路における共振特性に
よる遅れ現象の影響を解消して，原２値信号通りの磁束
変化を受信アンテナに与えることによって通信時間の短
縮を可能にした２値信号の電磁誘導通信における送信方
法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に，本発明に基づく２値信号の電磁誘導通信における送
信方法においては，２値の変換時における送信アンテナ
構成回路の有するインダクタンス成分と結合コンデンサ
のキャパシタンスによる共振現象に対応する位相のＦＳ
ＫまたはＰＳＫ信号をこの送信アンテナに供給するよう
にした。この送信アンテナ構成回路における共振現象に
対応する位相の信号を送信アンテナ回路に供給するに
は，このＦＳＫ信号をこの送信アンテナ構成回路におけ
る共振周波数を中心とする高・低対称周波数を２値に対
応して設定し，アンテナ構成回路に供給する電圧２値信
号の２値切り換えを，このアンテナ電流の位相が９０度
のときのタイミングで行い，切り換え後の信号開始は，
アンテナ電流の位相が９０度になる位相の電圧信号であ
るようにするのが望ましい。さらに，アンテナ構成回路
に供給する電圧２値信号の２値切り換えをアンテナ電流
の位相が９０度のときのタイミングで行い，切り換え後
の信号開始をアンテナ電流の位相が９０度になる位相の
電圧信号であるようにするために，所定周波数のクロッ
クパルス作成機能と，このクロックパルスを２値信号の
周波数条件に対応して繰り返しカウントするカウンタ
と，このカウンタ内容値に対応して各２値信号の電圧振
幅値を記録した各テ−ブルとを設け，２値切り換えに対
応して前記カウンタのカウント条件を切り換えるように
し，この送信アンテナ構成回路における共振特性に対応
して，予め設定したカウンタ内容値のタイミングに上記
テ−ブルの読み出しを切り換えるようにするのが望まし
い。

【０００６】

【作用】本発明のものでは，２値の変換時における送信
アンテナ構成回路のインダクタンス成分と結合コンデン
サのキャパシタンスによる共振現象に対応する位相のＦ
ＳＫまたはＰＳＫ信号を送信アンテナに供給することに
よって，アンテナに流れる電流により発生する磁束変化
は，原信号通りになる。なお，送信アンテナ構成回路に
おける共振現象に対応する位相の信号を送信アンテナ回
路に供給するには，ＦＳＫ信号を送信アンテナ構成回路
における共振周波数を中心とする高・低対称周波数を２
値に対応して設定し，アンテナ構成回路に供給する電圧
２値信号の２値切り換えを，アンテナ電流の位相が９０
度のときのタイミングで行い，切り換え後の信号開始
は，アンテナ電流の位相が９０度になる位相の電圧信号
であるようにすることによって，送信信号波の歪成分を
解消する送信波を容易に得ることができる。さらに，ア
ンテナ構成回路に供給する電圧２値信号の２値切り換え
をアンテナ電流の位相が９０度のときのタイミングで行
い，切り換え後の信号開始をアンテナ電流の位相が９０
度になる位相の電圧信号であるようにするには，所定周
波数のクロックパルス作成機能と，このクロックパルス
を２値信号の周波数条件に対応して繰り返しカウントす
るカウンタと，このカウンタ内容値に対応して各２値信
号の電圧振幅値を記録した各テ−ブルを設け，２値切り
換えに対応して前記カウンタのカウント条件を切り換え
るようにし，この送信アンテナ構成回路における共振特
性に対応して，予め設定したカウンタ内容値のタイミン
グにテ−ブルの読み出しを切り換えるようにすることに
よって，容易に送信信号波のアンテナ構成回路の共振特
性による遅れ現象を解消する送信波を得ることができ
る。

【０００７】

【実施例】定期券や高機能プリペイドカ−ド等に用いら
れる，いわゆる無線カ−ド，非接触ＩＣカ−ド等の携帯
型の移動局や，工場関連では搬送物や被加工材に装着さ
れて，その内容リストや処理方法等のデ−タを記録し，
必要に応じて記録内容の授受，更新を行うタグ，デ−タ
キャリア等の移動局と，これらの移動局の保持するデ−
タ類を利用し，また，デ−タ類を書き直すために所定の
情報を通信する本システムの主機能を備えた固定局や地
上局（主局）との間で行われる電磁誘導方式の２値信号
による通信手段であって，移動局には電源を内蔵せず，
主局から送信する搬送波のエネルギ−をその回路動作や
送信のための電力として使用する方式に適切なＦＳＫ方
式の場合に対して本発明を適用した例について，以下詳
細に説明する。

【０００８】本発明に基づく０と１の２値によって構成
される信号の電磁誘導通信における送信方法を具体化し
た送信信号形成手段を説明する実施例を図１ないし図５
によって詳細に説明する。図１は本発明に基づく電磁誘
導通信における送信信号作成機能の構成例を示してお
り，図６に示した要素装置類と同一機能の要素装置は同
一の符号を使用している。図１において，１０は主局の
主要機能部を総括して記したものであって，主要機能部
１０で作成され出力される０と１の２値によって構成さ
れるデ−タ信号に従い，送信信号作成機能１は，０と１
それぞれが所定の時間幅を備えた，例えば０をロウ，１
をハイに対応させた方形波を連続する送信すべき送信原
信号を形成する。送信信号作成機能１で形成された原信
号は，信号形成同期機能２に入力する。信号形成同期機
能２において，詳細を後述する同期動作で，ロウまたは
１に波形を変換するタイミングを調節された送信信号に
なり，クロックパルス作成機能３と記憶・読み出し機能
５ａに入力する。クロックパルス作成機能３で作成され
た所定周期のクロックパルスは所定の繰り返しカウント
機能を備えたカウンタ機能４に入力する。カウンタ機能
４の内容値は前述した記憶・読み出し機能５ａに入力
し，このカウンタ機能４の内容値と信号形成同期機能２
から出力される同期された原信号によって指定される記
憶機能５の番地から，記録内容を読み出し，Ｄ／Ａ変換
機能７に入力する。記憶機能５には，詳細を後述するよ
うに正弦波信号の位相角度対振幅値のテ−ブルをディジ
タル値で予め記録している。Ｄ／Ａ変換機能７では入力
したディジタル値をアナログ信号に変換形成してＦＳＫ
信号を形成し，出力増幅機能７ａで所定の電圧値まで増
幅する。出力増幅機能７ａは送信アンテナ（以下アンテ
ナと記す）回路に増幅したＦＳＫ信号を供給する。アン
テナ回路にはアンテナ９の有するインダクタンス成分９
Ｌに同調させるためのコンデンサ８を備えている。アン
テナ９に記した９Ｒはアンテナ９の有する抵抗成分を示
している。また，カウンタ機能４の内容値はクロス点同
期機能６に入力し，クロス点同期機能６の出力は，信号
形成同期機能２に入力している。

【０００９】図２のＦＳＫ信号において，０と１それぞ
れを表わす周波数の関係を示す。図２において，横軸は
周波数を示していて，曲線Ｒはアンテナ回路を構成する
インダクタンス成分９Ｌと抵抗成分９Ｒおよびコンデン
サ８のキャパシタンスによる共振特性を示している。ま
た，図２において，ｆ₁は０を表わす周波数，ｆ₂は１を
表わす周波数であって，ｆ₁は共振周波数ｆ₀から所定値
の偏差周波数Δｆだけ低い周波数に，ｆ₂は共振周波数
ｆ₀から同一の偏差周波数Δｆだけ高い周波数に，それ
ぞれ設定されている。

【００１０】次に，図３にクロックパルス作成機能３で
作成された所定周期のクロックパルスと所定の繰り返し
カウント機能を備えたカウンタ機能４およびカウンタ機
能４の内容値に対応する記憶機能５に記録するテ−ブル
内容を説明する。図３において，横軸には時間経過を示
していて，同図（Ａ）はクロックパルス作成機能３で作
成されるクロックパルス列を，同図（Ｂ）はクロックパ
ルス作成機能３から入力するクロックパルスをカウント
するカウンタ機能４のカウント内容値を，また，同図
（Ｃ）は記憶機能５に記録するテ−ブルにおけるカウン
タ機能４のカウント内容値に対応して信号の０を表わす
ｆ₁と，１を表わす周波数ｆ₂とを形成するためのデ−タ
内容をそれぞれ示している。即ち，クロックパルス作成
機能３からはクロックパルスを図３（Ａ）に示すように
出力している。出力するクロックパルスの出力周期（周
波数）は送信信号作成機能１から入力する０と１のそれ
ぞれの信号に対応して，詳細を後述するように，高・低
２段に切り換えられる。カウンタ機能４のカウント内容
値は，図３（Ｂ）に示すように０または１を表わす各周
波数ｆ₁またはｆ₂に対する１周期，即ち，カウントの最
大値を正弦波に形成する１周期の最大位相角度２πに対
応させて設定している。従って，カウンタ機能４は０か
ら２πまでを繰り返しカウントする。送信信号作成機能
１から入力する０と１それぞれの信号と，上記のカウン
ト内容値とを記憶機能５の読み出し番地として読み出さ
れる内容値を連続してアナログ的に表現した信号１サイ
クルの曲線図を図３（Ｃ）に示している。図３（Ｃ）に
示す曲線ａは，送信信号作成機能１から入力する信号が
０のときに指定する番地から読み出されるデ−タ列，図
３（Ｃ）に示す曲線ｂは，送信信号作成機能１から入力
する信号が１のときに指定する番地から読み出されるデ
−タ列をそれぞれ示している。デ−タ列ａとデ−タｂと
は，詳細を後述する機能を満足するように正弦波の位相
角度で所定角度ずらしている。

【００１１】次に，図１に示した構成例における回路の
働きを，図２，図３に示した条件を加味して，図４，図
５を参照して詳細に説明する。図４は図１によって示し
た回路における主要部の信号波形例を示している。信号
波形例のそれぞれは波形変化の傾向を示すものであっ
て，時間値と振幅値の関係および繰り返し数は正く示し
たものではない。図４は横軸に時間推移を示し，縦軸の
上段から，ａは送信信号作成機能１，ｂはクロス点同期
機能６，ｃは信号形成同期機能２，ｄはクロックパルス
作成機能３，ｅ（ディジタル値）はカウンタ機能４，ｆ
（ディジタル値）は記憶・読みだし機能５ａ，ｇ（アナ
ログ値）はＤ／Ａ変換機能７の各出力信号をそれぞれ示
している。図５は図１によって示した回路におけるアン
テナ回路に供給する電圧波形とアンテナ回路を構成する
等価リアクタンス（インダクタンス成分）と等価抵抗
（抵抗成分）およびコンデンサ８それぞれの両端に現れ
る電圧，アンテナを流れる電流，即ち，受信アンテナを
鎖交する磁束の波形をそれぞれ示している。信号波形例
のそれぞれは波形変化の傾向を示すものであって，時間
値と振幅値の関係および繰り返し数は正く示したもので
はない。図５は横軸に時間推移を示し，縦軸の上段か
ら，Ａはアンテナ回路に供給する電圧波形，即ち，図２
のｇ段に示した信号波形，Ｂはコンデンサ８の両端電
圧，Ｃはインダクタンス成分９Ｌの両端電圧，Ｄはコン
デンサ８の両端電圧Ｂとインダクタンス成分９Ｌの両端
電圧Ｃの合成値，Ｅは抵抗成分９Ｒの両端電圧，Ｆはア
ンテナ電流，即ち，受信アンテナ（図示せず）を鎖交す
る磁束を，それぞれ示している。

【００１２】図１において，送信信号作成機能１は，図
４のａに示すような０と１それぞれが所定の時間幅を備
えた０をロウ，１をハイに対応させた方形波を連続する
送信すべき送信原信号を形成して出力する。なお，この
送信信号作成機能１への入力は図１に示すように，主要
機能部１０で作成され，出力される０と１の２値によっ
て構成され，ディジタル値で表現する目的とする伝送す
べきデ−タ信号に従って入力される。クロス点同期機能
６においては，図４のｂに示すように，予め設定された
条件機能によってカウンタ機能４のカウントの内容値が
所定値になると，同期信号を出力する。この同期信号出
力点はアンテナ回路を流れる電流の位相角度９０度に一
致させている。即ち，このアンテナ回路の共振特性によ
って定まるアンテナを構成するインダクタンス成分９Ｌ
に，電気的振動エネルギ−が集中したタイミングにおけ
る正弦波の位相に対応するカウンタ内容値のときに，図
４のｃに示すような同期信号を出力する。従って，この
同期信号出力点はアンテナ回路を流れる電流の位相角度
９０度のタイミングに一致している。また，図３（Ｃ）
に示した送信信号作成機能１から入力する信号が０のと
きに，指定する番地から読み出されるデ−タ列を示す曲
線ａと送信信号作成機能１から入力する信号が１のとき
に，指定する番地から読み出されるデ−タ列を示す曲線
ｂの交点は，この切り換えタイミングに一致している。
送信信号作成機能１で形成された２値で構成される原信
号は，信号形成同期機能２において，クロス点同期機能
６から入力する同期信号に同期をとって，０から１，ま
たは１から０に転換するタイミングが調節され，送信す
べき２値信号として出力する。クロックパルス作成機能
３においては，図４のｄに示すように，クロス点同期機
能６から入力する上記２値信号に対応し，信号は０の場
合と１の場合で発振周期を変化させてクロックパルスを
出力する。即ち，カウンタ機能４が２πまでのカウント
を繰り返す周期が送信すべき周波数の繰り返し周期に一
致する。クロックパルス作成機能３で作成された所定周
期のクロックパルスはカウンタ機能４に入力する。カウ
ンタ機能４の内容値は図４のｅに示すように繰り返し変
化する。記憶・読み出し機能５ａにおいては，信号形成
同期機能２から出力される０または１の信号に従って，
記憶機能５から読み出すべき先頭番地を切り換え，カウ
ンタ機能４の内容値を，この先頭番地に加えた番地から
記憶機能５に記録されたテ−ブル内容を順次読み出し
て，図４のｆに示すようなデ−タが得られる。記憶機能
５に記録される０と１との偏差位相は，前述したよう
に，０から１，または１から０に転換するタイミングに
おけるカウンタ内容値のときに０および１の記録値が等
しい値になり，また，読み出し後の電流も位相が９０度
になる，即ち，アンテナ９の等価インダクタンス９Ｌに
蓄積された電気的エネルギ−を有効に引き出すように設
定される。Ｄ／Ａ変換機能７にはホ−ルド機能等を有し
ていて，入力する記憶機能５から読み出したディジタル
値をアナログ値に変換し，次の読み出し値が入力するま
でホ−ルドすることによって，図４のｇに示すようなＦ
ＳＫ信号に形成し，出力増幅機能７ａで所定の電圧値ま
で増幅する。出力増幅機能７ａはアンテナ回路に増幅し
たＦＳＫ信号を供給する。

【００１３】アンテナ回路においては，各部に図５に示
すような電圧が印加され，また，電流が流れる。アンテ
ナ回路に図５のＡに示すような電圧波形が供給される
と，インダクタンス成分９Ｌの両端には図５のＢに示す
ような電圧波形が，コンデンサ８の両端には図５のＣに
示すような電圧波形がそれぞれ印加される。従って，イ
ンダクタンス成分９Ｌの両端電圧とコンデンサ８の両端
電圧との合成電圧波形は，図５のＤに示すようになる。
また，抵抗成分９Ｒには図５のＥに示すような電圧波形
が印加される。従って，アンテナ回路には，図５のＦに
示すようなアンテナ回路の過渡特性に影響されない一様
な電流が流れる。従って，図示しない受信局において
は，図５のＧに示すように遅れのない原信号通りの受信
信号が得られる。

【００１４】上述の説明は本発明の技術思想を実現する
ための基本手法と構成を示したものであって，種々応用
改変することができることは当然である。即ち，上述し
た実施例に示す以外の手段であっても，必要機能を適切
に構成して，アンテナ回路における共振特性による遅れ
特性を補正するように，送信信号を予め形成することに
よって初期の目的を達成できる。例えば，上述した記憶
機能５に記録するテ−ブルの記録内容とクロックパルス
の周波数等の読み出し機能は，アンテナ回路の共振特
性，ＦＳＫ信号を形成する０と１に対応する周波数ｆ₁
とｆ₂におけるアンテナ電流に許容される歪率によって
決定すれば良い。また，カウントピッチによって読み出
される正弦波デ−タの中間値を等間隔に分割して算出す
るようにしても良い。また，０と１それぞれに対応する
周波数の切り換えを，クロックパルスの周期（周波数）
を換えるように説明したが，一定周期（周波数）のパル
スを適当に間引くようにしても良く，カウンタの内容値
と記憶機能の記録テ−ブルとの関係も上述の機能が実現
できれば適切に構成させれば良い。上述の実施例はＦＳ
Ｋの場合について説明したが，ＰＳＫに対しても，上述
した記憶機能５に記憶させるテ−ブルを適切に作成する
ことによって，同様に実現できる。

【００１５】

【発明の効果】本発明は上記のように構成したので，次
のような優れた効果を有する。 アンテナに流れる電流によって発生する磁束変化は原
信号通りになる。 共振周波数を中心とする高・低対称周波数を２値に対
応して設定し，アンテナ構成回路に供給する電圧２値信
号の２値切り換えを，アンテナ電流の位相が９０度のと
きのタイミングで行い，切り換え後の信号開始は，アン
テナ電流の位相が９０度になる位相の電圧信号であるよ
うにすることによって，送信信号波の歪成分を解消する
送信波を容易に得ることができる。 所定周波数のクロックパルス作成機能と，クロックパ
ルスを２値信号の周波数条件に対応して繰り返しカウン
トするカウンタと，このカウンタ内容値に対応して各２
値信号の電圧振幅値を記録した各テ−ブルとを設け，２
値切り換えに対応してカウンタのカウント条件を切り換
えるようにし，送信アンテナ構成回路における共振特性
に対応して，予め設定したカウンタ内容値のタイミング
にテ−ブルの読み出しを切り換えるようにすることによ
って，容易に送信信号波のアンテナ構成回路の共振特性
による遅れ現象を解消する送信波を得ることができる。 送信アンテナにおける遅れ特性の影響を無くすことが
できたので，通信時間が短縮できる。 送信アンテナにおける遅れ特性の影響を無くすことが
できたので，通信エラ−を減少できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に基づく２値信号の電磁誘導通信におけ
る送信方法を適用する送信装置の概要構成ブロック例図
である。

【図２】本発明に基づくＦＳＫ信号における２値それぞ
れに対応させる周波数とアンテナ回路の同調特性との関
係を示す説明図である。

【図３】本発明を適用する記憶装置のテ−ブルに記録す
る２値の関係を示す説明図で，同図（Ａ）はクロックパ
ルス列を，同図（Ｂ）はカウンタの内容値を，同図
（Ｃ）はテ−ブルに記録する２値それぞれのデ−タ例を
それぞれ示している。

【図４】図１に示す構成ブロック例における各要素機能
出力における信号例を示す説明図である。

【図５】本発明に基づいて形成したＦＳＫ信号によるア
ンテナ回路の各部電圧と電流の状況を示す説明図であ
る。

【図６】ＦＳＫの送信機能を説明する２値信号の電磁誘
導通信における従来の送信方法例を説明する概要構成ブ
ロック図である。

【図７】ＦＳＫの信号を説明する送信すべき２値からな
る原信号と２周波数のＦＳＫ信号との関係を示す説明図
である。

【図８】図６に示す概要構成ブロック図を参照してアン
テナ回路の特性を説明する概要構成ブロック図である。

【符号の説明】

１：送信信号作成機能 ２：信号形成同期機能 ３：クロックパルス作成機能 ４：カウンタ機能 ５：記憶機能 ５ａ：記憶・読み出し機能 ６：クロス点同期機能 ７：Ｄ／Ａ変換機能 ７ａ：出力増幅機能 ８：コンデンサ ９：アンテナ（送信アンテナ）

フロントページの続き (72)発明者 林 政良 愛知県豊橋市三弥町字元屋敷150番地 神 鋼電機株式会社豊橋製作所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２値によって構成されＦＳＫまたはＰＳ
   Ｋに形成した信号を電磁誘導方式によって通信する送信
   手段において，２値の変換時における送信アンテナ構成
   回路の有するインダクタンス成分と結合コンデンサのキ
   ャパシタンスによる共振現象に対応する位相のＦＳＫま
   たはＰＳＫ信号を該送信アンテナに供給するようにした
   ことを特徴とする２値信号の電磁誘導通信における送信
   方法。
2. 【請求項２】 請求項１記載の送信アンテナ構成回路に
   おける共振現象に対応する位相の信号を送信アンテナ回
   路に供給するには，該ＦＳＫ信号を当該送信アンテナ構
   成回路における共振周波数を中心とする高・低対称周波
   数を２値に対応して設定し，アンテナ構成回路に供給す
   る電圧２値信号の２値切り換えを当該アンテナ電流の位
   相が９０度のときのタイミングで行い，切り換え後の信
   号開始は，アンテナ電流の位相が９０度になる位相の電
   圧信号であるようにした２値信号の電磁誘導通信におけ
   る送信方法。
3. 【請求項３】 請求項２記載の２値信号の電磁誘導通信
   における送信方法において，アンテナ構成回路に供給す
   る電圧２値信号の２値切り換えをアンテナ電流の位相が
   ９０度のときのタイミングで行い，切り換え後の信号開
   始をアンテナ電流の位相が９０度になる位相の電圧信号
   とするために，所定周波数のクロックパルス作成機能
   と，該クロックパルスを２値信号の周波数条件に対応し
   て繰り返しカウントするカウンタと，該カウンタ内容値
   に対応して各２値信号の電圧振幅値を記録した各テ−ブ
   ルとを設け，２値切り換えに対応して前記カウンタのカ
   ウント条件を各周波数に対応して切り換えるようにし，
   当該送信アンテナ構成回路における共振特性に対応し
   て，予め設定したカウンタ内容値のタイミングに上記テ
   −ブルの読み出しを切り換えるようにした２値信号の電
   磁誘導通信における送信方法。