JPH0743423B2 - 水中超音波システム - Google Patents

水中超音波システム

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JPH0743423B2
JPH0743423B2 JP60216037A JP21603785A JPH0743423B2 JP H0743423 B2 JPH0743423 B2 JP H0743423B2 JP 60216037 A JP60216037 A JP 60216037A JP 21603785 A JP21603785 A JP 21603785A JP H0743423 B2 JPH0743423 B2 JP H0743423B2
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pinga
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ultrasonic
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学 幸田
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竹内 康人
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、梗概するならば水泳プール等でおぼれかけ
た人を早期に発見し、弱死に至るのを防止する救済活動
の開始を可能にせしめるための水中超音波システムに関
する。
水難事故はあとをたたない。海岸、河川、湖沼などの天
然水圏における水難事故というものは事故そのものの遠
因が水泳、潜水等の如き遊泳行為以外のものに由来す
る、即ち船舶の難破とかに由来するものがかなりある
が、最もいたましいのは保護者の目の前の水泳プールな
どで遊んでいた子供が気がついてみたら水底で弱死ない
し急性心臓死していたというたぐいの事故である。多く
の場合プールには監視員なる役目の者が気を配つている
のが常であるが、監視員が空中から水面およびその下方
を監視せんとしても光の反射や屈折の理由で思うように
有効な監視ができないものである。さりとて監視員を水
中に多数潜入させておくのは得策とは言い難いし、その
代りに多数の水中テレビカメラを分布せしめるのも結局
水のにごり等の理由で有効とは言い難い。
一方上記のような水難事故が事故として成立してしまう
までのプロセスを検討すると、まず何らかの理由である
遊泳者が水中から空中に脱出することができなくなるこ
とによりそれは開始される。多くの場合そのことを気づ
いた泳者は沈着なる努力によりその状態から回復して生
還する。殆んどの場合そのようなことがあつたことすら
泳者は他人に語らないであろう。しかるに不幸にして回
復に成功しなかつた場合、いきぐるしさの方が沈着さに
打ち勝つてしまいパニツク状態におち入る。そこで助け
があればまだ助かるものの、それが放置されると水をか
まわず吸入し、まさにおぼれる。しかるに、また別の場
合、困難は突然の心臓発作ないし他の病的転期、ないし
外傷、保護もしくは行動のために身につけていた手段、
具足類の故障、免失などにより生ずるであろう。しかる
に、事故が成立する、すなわち泳者が死に至るか、さも
なくとも回復困難ないたでを受けるに至るまでには困難
の発生、回復不能、パニツク状態、水を吸つて気絶して
……という所までではまだ“不十分”であり、その先更
に真に回復不能となる、即ち心臓死ないしは脳死に至る
までにはやや時間を要し、この間に救援がまにあえば結
局の所“助かる”可能性はまだ十分にある。
一般に、健常人は心臓の突然の停止を来しても約4分間
は完全な脳死には至らず、それが2分30秒程度だつた
ら、殆んど何の後遺症も来さずに回復可能である。人工
心肺も低体温手術手段もなかった昔、この2分30秒は心
臓外科医にとつてまつたなしの息をのむ手術完了までの
許容時間であつた。しかるに一方、呼吸停止もしくは酸
素供給の途絶が心停止を来さずにまた他の毒物の介入な
どがなく生じた場合、すなわち殆んどの溺死がこの形で
おこるわけだが、生還可能ゆうよ時間は15分とも20分と
も言われ、その値は直前に全血中にたくわえられていた
酸素量に多く依存する。35分間水中に閉じこめられて
“助かつた”例もあるが、また10分で助かりはしたもの
の植物状態になつてしまつた例もある。しかしながらこ
のパニツク・気絶から回復不能となるまでの間には少な
くとも数分ないしそれ以上の実質的にゆうよ時間が期待
できると考えられる。
本発明はこれらのプロセスに注目して、時期を失しない
内に発生しつつある水難の事実を発見し、而してアラー
ムを発生し、また水難の当事者を同定し、また更に水難
の発生しつつある場所を検策同定するためのものであ
り、そのための水中超音波システム、および支援ないし
関連する電子システムを提供せんとするものである。
本明細書には上記主旨に沿つた合計3つの発明がのべら
れている。すなわち要約すると、第1の発明はパニツク
が進んで気絶し、水中でうごかなくなつた(もしくはう
ごけなくなつた)者を発見するための自動システムであ
り、遊泳者に携持せしめた超音波発信器から定常的に送
出せられる超音波信号を受信して、発信源が予定された
時間、たとえば数分間以上一つの所にとどまつてうごか
ないことを発見することを主としたシステムであり、泳
者は発信器をただ携持するのみでそれにアクセスするこ
とは要求されないシステムである。数分間以上水中にじ
つとしていることは意図してもおそらく、海女とかの特
殊な訓練を経た人でなければ困難であるから、この手法
をもつて水難のため水中から脱出できない泳者を発見で
きる確率は十分に高い。
第2の発明は泳者が携持する発信器に、救助を欲すると
きにアクセスし、たとえばボタンを押しなどして、救急
信号を発生せしめるシステムに関するものである。この
手法はパニツクの初期の段階をある程度有効に検出でき
るが、フエールスアラームを多数誘発する可能性がある
上に、低知能者や幼児には確実な利用が困難で、また突
然の発作、外傷などによりボタンを押すゆとりもなく気
絶してしまつた者をみのがす等々の欠点がある。すなわ
ちこれは第1の発明の実施にあわせて補完的に利用され
るのが好ましいものである。これについては後述する。
第3の発明は第1又は第2の発明を有効に実施するため
に有益なもので、特に壁面もしくは底面ないしその両方
に吸音材を配置して超音波の反射を低減することにより
発信源およびその位置同定における困難が生じることを
低減した水泳プールに関するものである。
第1の発明の実施例をのべる。
第1図は全体の構成概念をのべたもので、泳者の腕とか
足とかにくくりつけた超音波発信器(1)(以下ピンガ
と略称する)から発せられる超音波信号を受信器(2a,2
b)および受信電子システム(3)により常時モニタ
し、ピンガの位置を常に監視しつづけ、予定された時間
たとえば5分間以上じつとしているピンガを発見したら
アラーム灯(4)を点灯し、もしくは図示せぬブザーな
どを鳴らしたりする。同時に、同定されたすべてのピン
ガの位置をCHTデイスプレイ装置(6)に、マイクロコ
ンピユーター(5)等をデイスプレイ制御手段として利
用しつつ表示することも好適である。前記の5分間以上
じつとしているピンガの位置は有色デイスプレイなら赤
などで、さもなくともブリンクさせなどして注目の助け
とすればなお好ましい。
第2図はピンガの一例を示し、シリコンゴムのボール
(11)の中に短背円筒形の超音波トランスデユーサー
(12)がおかれ、また電子回路(13)、電池(14)など
も含められている。(15)は指向性の谷を少くするため
のシンタクテイツクフオームより成る導音材でこれによ
り軸方向(図の上下の方向)に生ずる指向性の谷が減少
する。電子回路(13)はこのシンタクテイツクフオーム
の中に入つている。棒状のリチウム電池(14)は底の方
からねじ式のふた(16)を外すことにより着脱交換がで
きる。送波器となるトランスデユーサー(12)の中央部
はそこに異物があつても送波特性にさほどひびかないの
で、電子回路と電池はそこに収容される。全体を包むシ
リコンゴムボール(11)は、図示の如く大略球形もしく
は少くともなめらかな外形を有し、たとえば信越化学の
KE103−RTVなどの透音性と水密封止性にともにすぐれた
物質で出来、実際には電子回路(13)、トランスデユー
サー(12)、導音材(15)がもろともに未硬化のRTVシ
リコンゴムにより球状の型の中に一気に注型成形されて
出来上る。もちろんボール(11)はRTVシリコンゴムに
限らず、透音性および注形成形性のすぐれた他の種のゴ
ム、ないしはプラスチツク等によつても作ることができ
る。球の一端、電池出し入れ用のふた(16)の所は一部
平面ないしやや凹面になつていて、両側にとめがね(17
a,b)を配置され、その先をゴムバンドなどにより泳者
の腕、足、体矩などにくくりつけることができるように
なつている。
第3図はピンガの出す超音波信号のいくつかの例を示
す。どれを採用するかは設計上の自由度であるが、電池
の寿命などと考えるとパルス性の高いものの方が好まし
い。また、ピンガの個々を、もしくは一群ごとに群とし
て、同定できるようにかかる発信信号にラベリングを施
すことも好ましい。ラベリングは、受信側の分析体制に
応じて超音波周波数それ自身、パルスの形態すなわち変
調内容、等さまざまであり得る。超音波周波数によると
きには受信側で周波数分析を行えば同定し得る。また変
調ないしエンコードされたパルスによるならばその復調
ないしデコードにより同定を行い得る。
水泳プール程度の大きさの水圏空間ならば、またそれを
満す水は比較的良質のものであるから、はじからはじま
で1MHzの超音波ですら良く通るものである。しかし本目
的に適切な超音波周波数は数十kHz〜数百kHz、ないし更
に特定すれば100〜250kHzあたりにある。しかし使用周
波数は本質的に設計上の自由度である。
ピンガの出力がCWもしくは数百msec以上のロングパルス
であるときにはその超音波周波数それ自身をもつて前記
ラベリングの内容とすることができる。このときピンガ
の周波数決定要素は水晶発振子などの正確で信頼おける
ものでなくてはならない。受信側ではすべてのピンガの
周波数をカバーする程度の広帯域で受信し、受信方位角
の認識を行うとともに周波数分析を行いピンガの同定を
行う。周波数分析は受波帯域をヘテロダイン変換してIF
におとし、A/D変換したのちFFTアルゴリズムにより処理
して行うのが一つの好ましい実施例である。これは前記
の受信電子システム(3)(第1図)とマイクロコンピ
ユーター(5)により行えばよい。受波器(2a,2b)は
この場所鋭い指向性をもち、かつ少くとも水平面内でPP
I的ないしセクタ的に走査ができるものでなくてはなら
ない。そのような受波ビームを走査し得る単独の受波
器、もしくはアレイ型受波器と支援電子手段の組合せ
は、公知の技術で得ることができる。すなわちこの場
合、受信側のシステム全体は、ゆつくりと走査をしつつ
方位角ごとに前記の如くして周波数分析を行い、発見さ
れたピンガを方位角ごとに表として作つておく。5分間
以上うごかないピンガとは、このような表を時間順に比
較しつづけることで発見することができる。更に、この
ような行程を2つ以上の比較的離れた所におかれた受波
器について行えば、問題のピンガがその両方に関して表
中に固定して発見されたならば直ちに方位角ベクトルの
交点からその位置をわりだすことができる。
このような手続きは前記マイクロコンピユーターにより
行うことができ、その具体的プログラムは公知汎用のプ
ログラム手法により得ることができる。また前記のゆつ
くりとした走査の周期は10〜30秒程度で十分であり、方
位角の分割も総数16〜32区画程度で十分目的を達するこ
とができる。それ故に、たとえばプールのかべにくくり
つけて180°範囲を観測するならば、受波指向性は5°
〜10°でよい。このとき1つの方位角をモニタできる時
間は0.2秒〜1秒であるから、ピンガがCWでないときに
はパルスの周期は少くともこれより速くなくてはならな
い。しかしこの程度の時間を使えば256点ほどのFFTはマ
イクロコンピユーターとソフトウエアによつても十分可
能である。この場合原理的にはビンの数だけのピンガ周
波数を検出同定し得るわけだが実用設計はその半分ない
し1/4程度に留めるのが好ましい。すなわち50〜100ケの
ピンガがプールの中にあつてもそれを方位角ごとにマツ
ピングし得る。これは一般の水泳プールとしては実用上
十分な数である。超音波周波数を1kHzおきにとつたとし
ても100ケで100kHzのバンド幅であり、150kHzから250kH
zまでを用いれば収容できる。
第4図は上記手法に適した回転式の機械式スキヤナを併
結した受波器の一例を示す。これにおいて(41)は受波
トランスデユーサーとなるPZT円板、(42a,b)は広帯域
化と高効率化のための、それぞれインピーダンスマツチ
ング板およびバツキング材である。このようなマツチン
グおよびバツキングの手法は医用ないし工業用の超音波
トランスデユーサーとしては公知のもので、ここではそ
れを単に援用したまでである。これらの構成体は回転軸
(43)に乗つていて、パルスモーター(44)により回転
し得るようにできている。この場合、ある方位角範囲を
往復走査することが目的なため引出線(45)は直接、し
かしややたるませて受波トランスデユーサー(41)へ至
つているが、無限の回転を許容してPPI的走査を行わん
とするならばスリツプリングないし回転トランスを用い
ればよい。而して全体は透音性のドーム状のプラスチツ
ク(たとえばアクリル、ポリカーボネート)(46)の中
に収容され、また中は純水ないしそれに等価な音響特性
を有するシリコンオイル、ヒマシ油などの液体(47)で
満たされている。
PZT円板(41)の径は、たとえば40〜50mmφ程度で、周
波数と所望指向性の鋭さとにかんがみて決定される。し
かしこのような回転トランスデユーサースキヤナそれ自
体が本発明の根幹にかかわるものではない。等価な物は
回転反射鏡式など、他の技法でも得られる。
第5図は上記の機械式スキヤナに代り得る純電子的手段
としてのフエーズドアレイ方式の受波器および支援電子
システムの概要を示すもので、多数のエレメント(52)
を有するアレイ(51)が、電子システム側におけるデイ
レーマツプ手段(すなわちこの場合可変デイレーライン
の一群)(53)に結合され、公知の手法でフエーズドア
レイ方式の受波ビームの走査が行われる。アレイトラン
スデユーサーも一般の医用、水中用等のフエーズドアレ
イ用のものと原理的にも実現手法の上でも大差ないもの
である。而して電子走査によるか、機械走査によるかの
選択は実施上の自由度にすぎないが、いずれも本発明の
前記形態における実施に有効なものである。
一方、前記ピンガの発する超音波信号がパルス性の高い
ものである場合、また異る手法で本発明を実施すること
ができる。すなわち、ピンガが第3図c,dの如き非常に
デユーテイレシオの短いパルスを出すとすると、(この
ような設計はピンガの電力消費低減上非常に好ましい設
計である)多数のピンガが1つの水圏空間(プール)に
混在し、かつお互いにランダムな時刻に同一周波数帯域
内でパルスを出していてもお互いのパルスが『重なる』
可能性は十分低くできる。デユーテイレシオをkとし、
波源の数をnとすると、すべてのピンガのパルスが重な
りなく受波される確率は大略(1-2k)(n-1)・nとなり、k
=0.001とすると約n=10ほどまでは実用上大半のパル
スが無事に、重なりによつて認識不能となることなく共
存し得る。k=0.001とはたとえば10秒に10msec、又は2
0秒に20msecのことであり、10〜20msecあれば周波数分
解能として理論的には50〜100Hzの、実用上略式に行つ
ても1kHzの分波が可能である。それ故にこの方式に更に
超音波周波数を異らせることを併用すれば実用上更に多
数のピンガが共存できる。
第6図は上記のkとnに関して重なりの発生を試算した
グラフである。
すなわちこのようなピンガの一群を相手にする受信シス
テムは以下にのべる如く走査型ではなく待期型となる。
第7図はその一例を示すもので、この場合、目的とする
水圏空間(被監視プール)内にお互いに良く離れた位置
(この場合側壁上の3点)に受波器を3個配置し、対応
する受信電子システムもその前半を3式持つている。受
信電子システムの前半とはこの場合増幅、検波などの常
用手段を経てパルス入感を知り、また必要に応じて受波
信号を復調ないしデコードして発信源のピンガを同定
し、または同定の助けとなる情報を抽出する段階までの
ことをいう。3方向からの受信情報はかくしてマイクロ
コンピユーターにあつめられ、その中で原始データの表
が作られる。この表はたとえば第8図に示す如く、受信
時刻と同定情報を受波器ごとにまとめた表である。
この表を用いてピンガの位置を同定する手法は以下の如
くであり、第9図にそのための地図を示す。ピンガ(9
1)の出すパルスはあらゆる方向へ等速で進むから、3
つの受波器にそれぞれの到達距離を音速で割つた時間の
のち入感せられ、到達時刻差がデータ収録され、前記の
第8図の表の中に少くとも3つのデータセツトとなつて
登録される。第8図中太字で示したのがその対応する3
者である。これらの間の時間差データにもとづいて発信
源を捜すには、3つの中から2つを組合せて得られる所
の3本の双曲線(92,93,94)の交点が一致ないしは大略
一致することをたしかめればよく、その交点が推定され
たピンガの位置となる。この作業のためには目的水圏を
相似的にあらわす2次元図形(95)を表示用のグラフイ
ツクスの形でマイクロコンピユーターに保持させ、実際
にそのような3本の双曲線をそれに重ねがきせしめるの
が最も典形的な手法である。このような手法は地震源の
位置推定などによく用いられる。もし不幸にして3本の
双曲線が完全には一点で交わらなかつたとしても、得ら
れる略三角形状の小領域内に問題のピンガがあると推定
してまちがいない。
もちろん、上記手法は、また前記のCW又はロングパルス
を用い、受信方位角の交点をもつて位置同定する手法
も、目的水圏たるプールをぺしやんこな、厚さのないも
のに見立てて2次元モデルとして扱つている。これは実
用上十分な近似ではあるが受波器の至近距離では多少の
誤差ないし死感帯を生ずることもある。受波器と受信シ
ステムが方位角方式の場合は3つ以上、パルス到着時間
差方式の場合は4つ以上あればこのような問題はさけら
れる。
しかし、受波器がたつた1つでも方位角方式の場合、ピ
ンガの停留それ自身を検出することは、1つの方位角内
に停留することの検出に関しては十分可能であり、本発
明の目的に関してはこれでも十分である。その場合、受
波器はプールのまん中のあたりにおき、360°をPPI的に
走査するのが好ましい。
またパルス到着時間差方式の場合は、受波器が2つのみ
でも、ピンガの位置として可能性のある双曲線が1本得
られるのみで、その双曲線上のどこかというあいまいさ
を許容すれば停留の検出は十分に可能であり、本発明の
目的に関してはこれでも十分である。この場合、2つの
受波器を結ぶ基線をプールの対角線にする如く、対向す
るコーナーにとるのが好ましい。
所で、上記にのべたパルス到着時間差方式に使用する受
波器は、本質的に無指向性である必要がある。前記の如
きデユーテイレシオの非常にみじかいパルスの波源を相
手に『走査』を行うことは受信成功の確率がいちじるし
く低下するので得策でない。第10図はそのような受波器
の一例を示し、これは凸球面状のPZT板(101)を受波ト
ランスデユーサーとし、バツキング材(103)およびマ
ツチング層(102)を公知の技法で配置したものであ
る。先と同様にこのものも透音性のドーム(104)の中
に透音液(105)を介在せしめつつ封入されて使用され
る。しかるにただシリコンゴムやシンタクテイツクフオ
ームなどにより注形することにより液室なしの、より堅
ろうなものとすることもできる。また凸球面の代りに平
板とレンズをくみあわせてもよく、また形状を縮退させ
て円筒状にしてもよく、更には波長よりずつと小さい径
の棒状トランスデユーサーにより無指向性を具現しても
よく、無数の設計上の自由度がある。すなわち、プール
の壁におくならば±90°の方位角まで実用上無指向的で
あれば、またコーナーにおくならば±45°の方位角まで
そうであれば十分である。しかしプールのまん中あたり
におくときには360°の無指向性が要求され、円筒形の
ものが唯一実用的となる。前記の如く、プールの深さ方
向を縮退させて2次元モデル化するならば、これら受波
器はいずれの場合も水深の約半分の位置におくのが好ま
しい。
次に第2の発明に関して述べる。
先に述べた如く泳者の自発意志により救護を求める信号
を発せしめる如き押ボタンスイツチ付のピンガがそれで
あり、ふだんは信号を発せず、押ボタンスイツチを押た
ときのみ信号を発する。第1の発明と主旨が異るのはこ
の点のみであり、信号方式、ラベリングおよび同定の方
式、また受信、分析、その他のための手段手法も第1の
発明のものをそつくり流用して行うことができる。しか
しこの場合は更に好ましいことに多数の信号源の共存と
いうことはあまりかえりみられなくても実用性を損うこ
とはないから、その分ラベリングや受信分析の手法のシ
ステム設計を簡略化できる。
第11図はこの場合におけるピンガの外観を示すもので、
押ボタン(111)およびスイツチ(112)が追加された点
が第2図と異なるのみである。しかしこの場合好ましい
ことに常時は信号を発しない方式なので、電池の寿命を
あまり考えに入れなくとも、非常時には大きなパワーで
送波して確実に発見同定せしめる如く設計することがで
き、その方が好ましい。
上記第1の発明と第2の発明は同時に実施することもで
きることは勿論である。すなわち、常時は第1の発明に
従つて定常的動作(たとえばデユーテイレシオのみじか
いパルス)をし、押ボタンを押たときにはより高出力の
異る信号(たとえばCW)を発する、というようなピンガ
を用いることがこれに当る。
第12図は上記第1の発明、第2の発明ともに有効に利用
できるピンガの改良を示す。前記第2図のピンガは球形
で、体表面に装着した場合、こぶ状に突出してじやまに
なりやすい。そこでこれを半球状にまで平低化したもの
で、体表面と接する側は平面ないしわずかに凹なる面と
して体表面に接しやすいようにしたものであるが、中味
は第2図のものと本質的に変らない。この場合このピン
ガの超音波出力は球面の側からは水中に直接出てゆく
が、底面の切断面側からは人体組織を通じて放射され
る。公知の如く人体の骨と肺を除く軟部組織は超音波を
良く通し、特に100〜200kHzとかいう低い領域ではほと
んど等価であり、ピンガからの無指向性の放射を実用上
ほとんど妨げない。勿論先に述べたすべての方式がピン
ガからの超音波が携持している遊泳者の体によりさえぎ
られることが実用上無視できることを多少とも前提とし
ている。
次に第3の発明を述べる。
音響学的見地から上記第1の発明および第2の発明を実
施するに当り問題化し得ることはプールの壁の超音波特
性である。コンクリートの素はだは比較的反射減衰が大
でありあまり問題となることはないが、その上に塗料が
ぬられて滑面化していたり、またタイル、ガラス、金属
などが用いられていたりするとそれらの反射は強くまた
鏡面的であるため音源像のミラーイメージをもたらし、
また長時間の残響をもたらしなどして妨害となる。それ
故に目的のプールにはその壁面および底面のすべて、も
しくは問題となる部位に選択的に、吸音材を配置して超
音波の反射をおさえることが好ましい。第13図はそのよ
うなプールを模式的に示し、図中(131)の濃い斜線で
示す部材が吸音材である。かかる吸音材としてはシリコ
ンゴムやエポキシレジン、ないしはそれらより成るシン
タクテイツクフオームに各適宜量の減衰用フイラーを入
れたもの等が好ましいものの例である。
以上に述べた如く本明細書に述べられた発明によれば発
生中の水難事故がまだ完結せず救済可能なうちに手を打
つことができ、その益する所大である。勿論本発明は目
的水圏空間として水泳プールないしそれに類するものに
限定されることなく、川や海の遊泳許可領域でも適切な
数の受波器およびその分布形態を用いるならば実施可能
であることは、経験者、有識者には自明のことである。
以上にのべられた第1、2、3の発明のうち、発明者で
ある本件出願人が権利主張するのは、特許請求の範囲の
欄に述べられた如くである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成概念を一望するためのもので、こ
れにおいて(1)は超音波発信器(ピンガ)、(2a,2
b)は受波器、(3)は受信電子システム、(4)はア
ラーム灯、(5)はマイクロコンピユーター、(6)は
CRTデイスプレイ装置、(7)は目的水圏空間(水泳プ
ール)をあらわす。 第2図はピンガの一例を示し、これにおいて(11)はシ
リコンゴムでできた中実のボール状の外筺、(12)は超
音波トランスデユーサー、(13)は電子回路、(14)は
電池、(15)は指向性平準化用の導音材、(16)は電池
を出し入れするためのねじ式のふた、(17a、b)はゴ
ムバンド(18)をかけるためのとめがね、(19)はかく
してこのピンガがくくりつけられた腕を示す。 第3図はピンガの送出する超音波信号のいくつかの例を
示す波形図で、これにおいて(a)はCW、(b)はロン
グパルス、(c)は短パルス、(d)はエンコードされ
た中庸長のパルス、を示す。いずれもただ例示するまで
である。 第4図は回転式の機械式スキヤナを併結した受波器の一
例を示し、これにおいて本文中に説明されなかつたもの
は受信電子システムとの間の接続ケーブル(48)であ
る。 第5図はフエーズドアレイ方式の受波器と支援電子シス
テムを示す。ここで本文中に説明されなかつたものは接
続ケーブル(58)である。 第6図は本文中の数式によりパルス重なり発生の程度を
試算した例を示すグラフである。 第7図はまた別な実施例における受波器の配置を示す模
式図である。これにおいて(71)(72)(73)は各受波
器の位置、(70)は目的水圏空間たるプールの外形(上
面図)、(74)(75)(76)は各受波器に対応する受信
電子システムの前半分を示し、(5)、(6)は第1図
と同じ意味のマイクロコンピユーターとCRTデイスプレ
イを示す。 第8図は第7図に示されたシステムに関係するデータ作
表の形式を説明するものである。 第9図は第7図と第8図により示されたシステムがピン
ガの位置を同定する手法を説明するためのもので、左半
が実在の水圏空間でおこることをあらわし、右半がマイ
クロコンピユーター内で行われる処理を図形化してあら
わしたものである。L12,23,13は各等差距離双曲線であ
る。 第10図は無指向性の受波器の一例を示すもので、本文中
で説明されなかつたものは接続ケーブル(108)と取付
台座(109)である。 第11図はまた別のスタイルのピンガの例を示す。 第12図は更に別のスタイルのピンガの例を示す。 第13図は吸音材を配置して反射を低減したプールを示
す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各遊泳者に携帯せしめるべき略無指向性の
    超音波パルス発信器(ピンガ)と、それら遊泳者の回遊
    する水圏空間内の少なくとも3箇所に前記超音波発信器
    から到来する超音波信号を受信するための略無指向性の
    受波器とを有し、而して該発信器から予定された形式に
    て定常的に発せられる超音波パルス信号を常時モニタし
    てそれら個々の発信源の位置を推定する手段を有し、而
    して予定された時間以上にわたり略一点に滞留する発信
    源が観測された場合において水難発生の可能性を示すべ
    くアラームを発する如く構成された水難早期発見救助用
    水中超音波システムにおいて、 a:各遊泳者が携帯する前記ピンガの発信周波数は人体軟
    部組織を容易に透過する周波数であり、 b:上記推定手段は、前記3箇所以上に設けられる略無指
    向性の受波器の受波信号を処理する受信電子装置であっ
    て、各受波器毎にその受波信号を増幅、検波などして発
    信源のピンガからのラベリングを施した信号を知り、関
    心ある発信源のピンガを同定し、また各々の関心ある発
    信源に関してこれら3箇所の受波器の受信時刻間の時間
    差に関する情報に基づいてその発信位置を同定する受信
    電子装置を有し、 c:上記同定された関心ある発信源の位置が予定された時
    間以上にわたり略一点に滞留する場合に同定された位置
    を表示するCRTディスプレイ装置を有して成ることを特
    徴とする、該水中超音波システム。
  2. 【請求項2】請求範囲第1項に記載の水中超音波システ
    ムであって、その受波器が配置される水圏空間の底面お
    よび側面の一部または全部に超音波の反射を低減するた
    めの吸音材が配置されている事を特徴とする、該水中超
    音波システム。
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