JPH073905B2 - 半導体レ−ザおよびその製造方法 - Google Patents
半導体レ−ザおよびその製造方法Info
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- JPH073905B2 JPH073905B2 JP6582287A JP6582287A JPH073905B2 JP H073905 B2 JPH073905 B2 JP H073905B2 JP 6582287 A JP6582287 A JP 6582287A JP 6582287 A JP6582287 A JP 6582287A JP H073905 B2 JPH073905 B2 JP H073905B2
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- optical waveguide
- cladding layer
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光通信、光情報処理などの分野で使用される
半導体レーザおよびその製造方法に関するものである。
半導体レーザおよびその製造方法に関するものである。
InP-InGaAsP系、GaAs-AlGaAs系に代表される半導体レー
ザは、基本モードでかつ低しきい値発振を得るために活
性層のモード閉じ込め率を高くとって設計されている。
従って、出射ビームの放射角が大きいので、光ファイバ
などの低い放射角を有する光導波路との結合にあたって
は、高精度のレンズ系が必須のものとなっている。これ
により、光導波路との接続に多大なるコストをかける必
要があるという問題があった。
ザは、基本モードでかつ低しきい値発振を得るために活
性層のモード閉じ込め率を高くとって設計されている。
従って、出射ビームの放射角が大きいので、光ファイバ
などの低い放射角を有する光導波路との結合にあたって
は、高精度のレンズ系が必須のものとなっている。これ
により、光導波路との接続に多大なるコストをかける必
要があるという問題があった。
これを解決する構造として、従来、第12図に示すような
テーパー結合を利用する半導体レーザが報告されてい
る。(「Integrated GaAs-AlxGa1-xAs Double-Heterost
ructure Laser with Independently Controlled Optica
l Output Divergence」、R.A.Logan,F.K.Reinhart,IEEE
J.Quantum Electron.,vo1QE-11,pp461-464,1975)。こ
の例では、第1のクラッド層であるn型Al0.22Ga0.78As
層1の上に、第1の光導波層であるn型Al0.15Ga0.85As
層2、テーパー部を有するノンドープGaAs活性層3、お
よび第2のクラッド層であるp型Al0.22Ga0.78As層4が
この順序に積層された構造となっている。各層の屈折率
は、第1および第2のクラッド層1および4の各屈折率
をnc、第1の光導波層2の屈折率をnw、および活性層3
の屈折率をnaとしたときに、nc<nw<naを満足するように
設定されており、かつ光導波層2の膜厚を活性層3の膜
厚よりも厚くしてある。さらに中央部には、活性層3の
テーパー領域3Tを設けてある。
テーパー結合を利用する半導体レーザが報告されてい
る。(「Integrated GaAs-AlxGa1-xAs Double-Heterost
ructure Laser with Independently Controlled Optica
l Output Divergence」、R.A.Logan,F.K.Reinhart,IEEE
J.Quantum Electron.,vo1QE-11,pp461-464,1975)。こ
の例では、第1のクラッド層であるn型Al0.22Ga0.78As
層1の上に、第1の光導波層であるn型Al0.15Ga0.85As
層2、テーパー部を有するノンドープGaAs活性層3、お
よび第2のクラッド層であるp型Al0.22Ga0.78As層4が
この順序に積層された構造となっている。各層の屈折率
は、第1および第2のクラッド層1および4の各屈折率
をnc、第1の光導波層2の屈折率をnw、および活性層3
の屈折率をnaとしたときに、nc<nw<naを満足するように
設定されており、かつ光導波層2の膜厚を活性層3の膜
厚よりも厚くしてある。さらに中央部には、活性層3の
テーパー領域3Tを設けてある。
このような構造にすることで、この報告は、図の左方領
域では、活性層3中へのモード閉じ込め率を高くして、
活性層3の高い利得を有効に利用するとともに、中央部
の活性層テーパ領域3Tを介して、図の右方領域での低い
モード閉じ込め率、すなわち低放射角を有する光導波路
とをテーパ結合により低損失で接続し、以て右端から高
効率で低放射角の発振光を得ることをねらっている。
域では、活性層3中へのモード閉じ込め率を高くして、
活性層3の高い利得を有効に利用するとともに、中央部
の活性層テーパ領域3Tを介して、図の右方領域での低い
モード閉じ込め率、すなわち低放射角を有する光導波路
とをテーパ結合により低損失で接続し、以て右端から高
効率で低放射角の発振光を得ることをねらっている。
しかし、このような構造では、第12図下部の屈折率分布
と合わせて示したTEoモード導波光のy方法電界強度の
x方法分布Ey(x)を見れば明らかなように、電界強度
分布の中心がテーパー部3Tの前後の2位置AとBとの間
でx軸方向にΔx=(la+lw)/2だけ大きく変位し、そ
のために、活性層テーパー部3Tでの接続損失が大きく、
従って発振しにくいという問題があった。ここでla、lw
はそれぞれ活性層3および第1の光導波層2の膜厚であ
る。実際、この報告例では、室温においてパルス発振が
得られたにとどまっており、実用的素子としての必須条
件である室温での連続発振は得られておらず、またその
後改善されたという報告もない。
と合わせて示したTEoモード導波光のy方法電界強度の
x方法分布Ey(x)を見れば明らかなように、電界強度
分布の中心がテーパー部3Tの前後の2位置AとBとの間
でx軸方向にΔx=(la+lw)/2だけ大きく変位し、そ
のために、活性層テーパー部3Tでの接続損失が大きく、
従って発振しにくいという問題があった。ここでla、lw
はそれぞれ活性層3および第1の光導波層2の膜厚であ
る。実際、この報告例では、室温においてパルス発振が
得られたにとどまっており、実用的素子としての必須条
件である室温での連続発振は得られておらず、またその
後改善されたという報告もない。
さらに、第12図示の半導体レーザの場合には、その作製
法にも問題があった。この報告例では、液相成長法(LP
E法)によりかかる半導体レーザを作製しているが、そ
の場合に、第13図に示すように、下部基板保持ボード5
と互いにスライドするメルト保持ボード5′を設け、そ
れにより基板上に順次異なる組成のメルト7が来るよう
になし、かかるメルト保持ボート5′の内部に、基板上
から所望の位置だけ上方にサファイヤマスク6を配設す
る。これにより、サファイヤマスク6の下部付近におい
てメルト7中の溶質が基板上へ拡散折出するの制限して
テーパー部を形成している。このような方法では、マス
ク6付近での溶質の拡散が不均一となり、膜厚の一様な
部分に比べて、テーパー部の組成に変動を生ずる。その
ため、この方法をInGaAsP系の半導体レーザの製造に適
用した場合、テーパー部では格子定数の不整合を生じ膜
質を著しく損う。
法にも問題があった。この報告例では、液相成長法(LP
E法)によりかかる半導体レーザを作製しているが、そ
の場合に、第13図に示すように、下部基板保持ボード5
と互いにスライドするメルト保持ボード5′を設け、そ
れにより基板上に順次異なる組成のメルト7が来るよう
になし、かかるメルト保持ボート5′の内部に、基板上
から所望の位置だけ上方にサファイヤマスク6を配設す
る。これにより、サファイヤマスク6の下部付近におい
てメルト7中の溶質が基板上へ拡散折出するの制限して
テーパー部を形成している。このような方法では、マス
ク6付近での溶質の拡散が不均一となり、膜厚の一様な
部分に比べて、テーパー部の組成に変動を生ずる。その
ため、この方法をInGaAsP系の半導体レーザの製造に適
用した場合、テーパー部では格子定数の不整合を生じ膜
質を著しく損う。
従って、この方法は組成変動による格子定数の不整合が
生じにくいAlGaAs系にのみ適用可能であり、材料系が限
られるという問題があった。
生じにくいAlGaAs系にのみ適用可能であり、材料系が限
られるという問題があった。
さらに、この方法では、メルト保持ボード5′間におい
て、成長基板から所定の距離だけ上方の部位にサファイ
ヤ基板6を設置する必要があり、多数個のテーパー部を
形成しようとすると、高度の熟練を要するボート加工が
必要になる。総じて、この製造方法は他材料にも適用し
得る一般的方法ではなく、また生産性も上がらないとい
う問題点があった。
て、成長基板から所定の距離だけ上方の部位にサファイ
ヤ基板6を設置する必要があり、多数個のテーパー部を
形成しようとすると、高度の熟練を要するボート加工が
必要になる。総じて、この製造方法は他材料にも適用し
得る一般的方法ではなく、また生産性も上がらないとい
う問題点があった。
そこで、本発明の目的は、このような欠点を解決し、低
放射角で低NA(開口数)光導波路との接続特性に優れ、
しかも室温で低しきい値で連続発振する半導体レーザを
提供することにある。
放射角で低NA(開口数)光導波路との接続特性に優れ、
しかも室温で低しきい値で連続発振する半導体レーザを
提供することにある。
本発明の他の目的は、このような半導体レーザを製造す
るにあたり、生産性に優れた製造方法を提供することに
ある。
るにあたり、生産性に優れた製造方法を提供することに
ある。
このような目的を達成するために、本発明半導体レーザ
は、第1の導電型を有し、第1のクラッド層となる半導
体単結晶基板と、第1のクラッド層上に、第1の導電型
を有し、かつ第1のクラッド層より大なる屈折率および
小なる禁制帯幅を有する第1の光導波層と、第1もしく
は第2の導電型を有し、かつ第1の光導波層より大なる
屈折率および小なる禁制帯幅を有する活性層と、第2の
導電型を有し、かつ第1のクラッド層と活性層との中間
の屈折率および禁制帯幅を有する第2の光導波層と、第
2の導電型を有し、かつ第1のクラッド層とほぼ等しい
屈折率および禁制帯幅を有する第2のクラッド層とが、
格子整合するように順次に積層された構造を具え、構造
の積層方向に対して垂直な方向の片側、もしくは両側の
端部において、活性層は当該端部に向けてテーパー状に
減少して消滅することにより、第1のクラッド層、第1
の光導波層、第2の光導波層および第2のクラッド層に
より端部導波路を構成したことを特徴とする。
は、第1の導電型を有し、第1のクラッド層となる半導
体単結晶基板と、第1のクラッド層上に、第1の導電型
を有し、かつ第1のクラッド層より大なる屈折率および
小なる禁制帯幅を有する第1の光導波層と、第1もしく
は第2の導電型を有し、かつ第1の光導波層より大なる
屈折率および小なる禁制帯幅を有する活性層と、第2の
導電型を有し、かつ第1のクラッド層と活性層との中間
の屈折率および禁制帯幅を有する第2の光導波層と、第
2の導電型を有し、かつ第1のクラッド層とほぼ等しい
屈折率および禁制帯幅を有する第2のクラッド層とが、
格子整合するように順次に積層された構造を具え、構造
の積層方向に対して垂直な方向の片側、もしくは両側の
端部において、活性層は当該端部に向けてテーパー状に
減少して消滅することにより、第1のクラッド層、第1
の光導波層、第2の光導波層および第2のクラッド層に
より端部導波路を構成したことを特徴とする。
本発明製造方法は、第1のクラッド層となる半導体単結
晶基板上に、第1の光導波層、活性層、第2の光導波層
を順次に積層して第1の積層基板を得る第1の工程と、
半導体単結晶基板と共通のエッチング液を用い得る物質
で構成され、かつ所定の幅と深さの溝を有するエッチン
グマスク板を用意し、エッチングマスク板の、溝の形成
された側の表面と、第1の積層基板の第2の光導波層の
表面とを、溝の部分が活性層のうちテーパー部を形成し
ようとする位置に合致するように重ね合わせ、その重ね
合わされた全体をエッチング液に浸漬させて、テーパー
状の活性層を形成した第2の積層基板を得る第2の工程
と、第2の積層基板上に、第2の光導波層および第2の
クラッド層を順次積層する第3の工程とを含むことを特
徴とする 〔作用〕 本発明半導体レーザによれば、活性層の上にさらに第2
の光導波層を設けることによって、活性層中を伝搬する
導波光と出射用低NA導波路中を伝搬する導波光との電界
分布中心を合致させることが可能となり、以て、活性層
テーパー部における両者の結合損を著しく低下させるこ
とができる、それによって、室温において連続発振を得
ることもできる。
晶基板上に、第1の光導波層、活性層、第2の光導波層
を順次に積層して第1の積層基板を得る第1の工程と、
半導体単結晶基板と共通のエッチング液を用い得る物質
で構成され、かつ所定の幅と深さの溝を有するエッチン
グマスク板を用意し、エッチングマスク板の、溝の形成
された側の表面と、第1の積層基板の第2の光導波層の
表面とを、溝の部分が活性層のうちテーパー部を形成し
ようとする位置に合致するように重ね合わせ、その重ね
合わされた全体をエッチング液に浸漬させて、テーパー
状の活性層を形成した第2の積層基板を得る第2の工程
と、第2の積層基板上に、第2の光導波層および第2の
クラッド層を順次積層する第3の工程とを含むことを特
徴とする 〔作用〕 本発明半導体レーザによれば、活性層の上にさらに第2
の光導波層を設けることによって、活性層中を伝搬する
導波光と出射用低NA導波路中を伝搬する導波光との電界
分布中心を合致させることが可能となり、以て、活性層
テーパー部における両者の結合損を著しく低下させるこ
とができる、それによって、室温において連続発振を得
ることもできる。
また、本発明の製造方法は、原理的に単純なウェットエ
ッチング工程を用いるので、何ら熟練、および高価な装
置類を必要とせずに、極めて生産性の高い簡便な方法で
ある。さらに、従来例はLPE法にのみ適用できる製造方
法であるのに対して、本発明の製造方法は、LPE法、分
子線エピタキシャル成長(MBE)法、有機金属(MOCVD)
法等、ウェーハ作製プロセスの如何を問わないで種々の
用途に適用できる。
ッチング工程を用いるので、何ら熟練、および高価な装
置類を必要とせずに、極めて生産性の高い簡便な方法で
ある。さらに、従来例はLPE法にのみ適用できる製造方
法であるのに対して、本発明の製造方法は、LPE法、分
子線エピタキシャル成長(MBE)法、有機金属(MOCVD)
法等、ウェーハ作製プロセスの如何を問わないで種々の
用途に適用できる。
従って、本発明によれば、室温で連続動作し、しかも低
NA光導波路との接続に優れた高性能の低放射角半導体レ
ーザを極めて安価に、かつ大量に提供することができ
る。
NA光導波路との接続に優れた高性能の低放射角半導体レ
ーザを極めて安価に、かつ大量に提供することができ
る。
以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明の半導体レーザの一実施例の構造を示
す。
す。
第1図において、第1の導電型を有し、かつ第1のクラ
ッド層1となる半導体単結晶基板上に、第1の導電型を
有する第1の光導波層2、第1もしくは第2の導電型を
有し、一方の端部にテーパー部3Tが形成されている活性
層3、第2の導電型を有し、活性層3および第1光導波
層2のうち活性層3で覆われていない部分を覆って形成
された光導波層2′、および第2の導電型を有し、かつ
第1のクラッド層1と同一の屈折率を有する第2のクラ
ッド層4が、この順序で、格子整合するように積層され
ている。各層の屈折率、および禁制帯幅の間には活性層
3中で発生した光が有効に導波されるように、 nc<(nw1、nw2)<na、 Ec>(Ew1、Ew2)>Ea なる関係が保たれている。ここで(nc、Ec)、(nw1、E
w1)、(nw2、Ew2)、(na、Ea)はそれぞれ、第1およ
び第2のクラッド層1および4、第1の光導波層2、第
2の光導波層2′、および活性層3の屈折率と禁制帯幅
である。
ッド層1となる半導体単結晶基板上に、第1の導電型を
有する第1の光導波層2、第1もしくは第2の導電型を
有し、一方の端部にテーパー部3Tが形成されている活性
層3、第2の導電型を有し、活性層3および第1光導波
層2のうち活性層3で覆われていない部分を覆って形成
された光導波層2′、および第2の導電型を有し、かつ
第1のクラッド層1と同一の屈折率を有する第2のクラ
ッド層4が、この順序で、格子整合するように積層され
ている。各層の屈折率、および禁制帯幅の間には活性層
3中で発生した光が有効に導波されるように、 nc<(nw1、nw2)<na、 Ec>(Ew1、Ew2)>Ea なる関係が保たれている。ここで(nc、Ec)、(nw1、E
w1)、(nw2、Ew2)、(na、Ea)はそれぞれ、第1およ
び第2のクラッド層1および4、第1の光導波層2、第
2の光導波層2′、および活性層3の屈折率と禁制帯幅
である。
このような構成において、本発明の半導体レーザでは、
活性層3のテーパー部3Tでの結合の高効率化を図るた
め、活性層3の上部に第2の光導波層2′を設けて、第
1図に示すように、左方の活性層領域Aでの導波光電界
分布中心と、右方の第1および第2の光導波層2および
2′をコア層とする低放射角光導波路の領域Bにおける
導波光の電界分布中心とを合致させる。
活性層3のテーパー部3Tでの結合の高効率化を図るた
め、活性層3の上部に第2の光導波層2′を設けて、第
1図に示すように、左方の活性層領域Aでの導波光電界
分布中心と、右方の第1および第2の光導波層2および
2′をコア層とする低放射角光導波路の領域Bにおける
導波光の電界分布中心とを合致させる。
両領域AおよびBにおける者の電界分布中心の合致は、
第1および第2の光導波層2および2′の屈折率および
膜厚を制御することで実現できる。第1図には、第1お
よび第2の光導波層2および2′の屈折率が等しい場合
のTEoモード電界分布の例を模式的に示してある。この
場合には、第2の光導波層2′の膜厚を第1の光導波層
2の膜厚よりも厚くすれば良く、その膜厚値は第1のク
ラッド層1、第2の光導波層2、活性層3、第2の光導
波層2′、および第2のクラッド層4より成る5層構造
導波路のモード解析より得られる。そのためには、例え
ば、「Theoryof Dielectric Optical Waveguides」、D.
Marcuse,Academic Press,1974を参照すればよい。
第1および第2の光導波層2および2′の屈折率および
膜厚を制御することで実現できる。第1図には、第1お
よび第2の光導波層2および2′の屈折率が等しい場合
のTEoモード電界分布の例を模式的に示してある。この
場合には、第2の光導波層2′の膜厚を第1の光導波層
2の膜厚よりも厚くすれば良く、その膜厚値は第1のク
ラッド層1、第2の光導波層2、活性層3、第2の光導
波層2′、および第2のクラッド層4より成る5層構造
導波路のモード解析より得られる。そのためには、例え
ば、「Theoryof Dielectric Optical Waveguides」、D.
Marcuse,Academic Press,1974を参照すればよい。
このような構成によれば、前述した従来例のような活性
層テーパー部における電界分布中心の変位がなく、きわ
めて接続損の少ないテーパー結合が得られ、以て高効率
の低放射角を有する半導体レーザを実現できる。
層テーパー部における電界分布中心の変位がなく、きわ
めて接続損の少ないテーパー結合が得られ、以て高効率
の低放射角を有する半導体レーザを実現できる。
ところで、半導体レーザのような単一モード光導波路の
場合、低損失テーパー結合を得るためには、テーパー長
Lは (λ/ΔN)<<L なる関係を満たす必要がある。(例えば、「Optical Wa
veguide Theory」Allan W.Snyder,John D.Love,pp410-4
12,Chapman and Hall社発行、1983年参照)。ここで、
λは導波光すなわち発振光の波長、ΔNは導波光等価屈
折率と第1,第2のクラッド層1,4の屈折率との差であ
る。
場合、低損失テーパー結合を得るためには、テーパー長
Lは (λ/ΔN)<<L なる関係を満たす必要がある。(例えば、「Optical Wa
veguide Theory」Allan W.Snyder,John D.Love,pp410-4
12,Chapman and Hall社発行、1983年参照)。ここで、
λは導波光すなわち発振光の波長、ΔNは導波光等価屈
折率と第1,第2のクラッド層1,4の屈折率との差であ
る。
波長1.3μm帯のInP-InGaAsPレーザーを考えると、ΔN
0.1〜0.2であり、前述の関係式の条件を満足するため
には、テーパー長Lを50μm以上とすることが必要であ
る。活性層3の膜厚は通常0.1〜0.3μmであるので、こ
のような関係式を満足するためには、テーパー部3Tとし
ては極めて緩やかなテーパーが必要なことになる。
0.1〜0.2であり、前述の関係式の条件を満足するため
には、テーパー長Lを50μm以上とすることが必要であ
る。活性層3の膜厚は通常0.1〜0.3μmであるので、こ
のような関係式を満足するためには、テーパー部3Tとし
ては極めて緩やかなテーパーが必要なことになる。
本発明では、このようなテーパー部3Tを形成するにあた
って、前述したような従来方法の欠点を解決し、以下に
述べるようにして、極めて簡便に、しかも再現性良くテ
ーパー部3Tを形成できるようにする。
って、前述したような従来方法の欠点を解決し、以下に
述べるようにして、極めて簡便に、しかも再現性良くテ
ーパー部3Tを形成できるようにする。
第2図は、本発明半導体レーザの製造方法におけるテー
パー形成工程の原理を示す図である。第2図のように、
被エッチグ物8に、長辺および短辺の長さがそれぞれa
およびbの矩形状の断面をもつ穴9をあけ、その中にエ
ッチング液10を満たした場合を考える。エッチング速度
は、エッチング液10が新鮮液と交換されやすい各辺の中
央部において速く、各角部に近い場所程穴9の奥行き方
向の辺においてもエッチング液が消費されるため、遅く
なる。エッチング深さが辺の長さaおよびbに対して十
分小さい場合、角部ではエッチングは進まないと考えて
良く、結果としてエッチング形状は図中に一点鎖線で示
すような「かまぼこ」状になる。長辺および短辺の各中
央部の深さhaおよびhbは、辺の長さaおよびbにそれぞ
れ依存し、ha/hb=a/bとなる。但し、第2図では、説
明の便宜上、エッチング形状(一点鎖線)を誇張して示
してある。Lは第1図に示したテーパー長に相当する。
パー形成工程の原理を示す図である。第2図のように、
被エッチグ物8に、長辺および短辺の長さがそれぞれa
およびbの矩形状の断面をもつ穴9をあけ、その中にエ
ッチング液10を満たした場合を考える。エッチング速度
は、エッチング液10が新鮮液と交換されやすい各辺の中
央部において速く、各角部に近い場所程穴9の奥行き方
向の辺においてもエッチング液が消費されるため、遅く
なる。エッチング深さが辺の長さaおよびbに対して十
分小さい場合、角部ではエッチングは進まないと考えて
良く、結果としてエッチング形状は図中に一点鎖線で示
すような「かまぼこ」状になる。長辺および短辺の各中
央部の深さhaおよびhbは、辺の長さaおよびbにそれぞ
れ依存し、ha/hb=a/bとなる。但し、第2図では、説
明の便宜上、エッチング形状(一点鎖線)を誇張して示
してある。Lは第1図に示したテーパー長に相当する。
一例として、被エッチング物8としてInP単結晶を考え
る。辺の長さa=b=250μmの矩形穴9の中にエッチ
ング速度0.2μm/secのエッチング液10を満たしたとす
る。すると、5秒後には、辺の中央部のエッチング深さ
ha=hb=1μmとなる。一方、角部ではエッチングは全
んど進行しないので、穴9の壁面にテーパー長L=a/2
=125μm、高さ1μmの緩やかなテーパーが形成され
ることになる。テーパー長L、および高さは、辺の長
さ、およびエッチング液10の濃度、時間で制御し得る。
る。辺の長さa=b=250μmの矩形穴9の中にエッチ
ング速度0.2μm/secのエッチング液10を満たしたとす
る。すると、5秒後には、辺の中央部のエッチング深さ
ha=hb=1μmとなる。一方、角部ではエッチングは全
んど進行しないので、穴9の壁面にテーパー長L=a/2
=125μm、高さ1μmの緩やかなテーパーが形成され
ることになる。テーパー長L、および高さは、辺の長
さ、およびエッチング液10の濃度、時間で制御し得る。
なお、以上の説明では、被エッチング物8に穴9をあけ
た場合についてエッチングの状態を説明してきたが、こ
のようにする代わりに、たとえば、第2図に示すよう
に、エッチング速度がほぼ同一の材料による板8Aおよび
溝付き板8Bを接合して矩形穴9を形成してもよい。ただ
し、穴9の代わりに、上方が開口されている溝を用いる
と、その開口部より新鮮なエッチング液が溝に流入しす
ぎるので、テーパー状にエッチングが行われない。本発
明者は、中空穴の両端の開口においてのみ新鮮なエッチ
ング液と入れかわる状態の下で、上述したようなテーパ
ー状のエッチングが行われることを確認し、その事実の
認識の下に、本発明半導体レーザの製造方法を完成する
に至った。
た場合についてエッチングの状態を説明してきたが、こ
のようにする代わりに、たとえば、第2図に示すよう
に、エッチング速度がほぼ同一の材料による板8Aおよび
溝付き板8Bを接合して矩形穴9を形成してもよい。ただ
し、穴9の代わりに、上方が開口されている溝を用いる
と、その開口部より新鮮なエッチング液が溝に流入しす
ぎるので、テーパー状にエッチングが行われない。本発
明者は、中空穴の両端の開口においてのみ新鮮なエッチ
ング液と入れかわる状態の下で、上述したようなテーパ
ー状のエッチングが行われることを確認し、その事実の
認識の下に、本発明半導体レーザの製造方法を完成する
に至った。
本発明では、以上に述べた現象を利用することによっ
て、以下に示す第3図(A)〜(D)および第4図
(A)および(B)のようにして、第1図に示した本発
明半導体レーザの構造を製造できる。
て、以下に示す第3図(A)〜(D)および第4図
(A)および(B)のようにして、第1図に示した本発
明半導体レーザの構造を製造できる。
まず、第1工程として、第1の導電型をもつ第1のクラ
ッド層1である半導体単結晶基板上に、第1の導電型の
第1の光導波層2、第1もしくは第2の導電型の活性層
3、および第2の導電型の第2の光導波層2′を所定の
厚みに順次積層して、第3図(B)に示すようなウェー
ハ8Aを作製する。
ッド層1である半導体単結晶基板上に、第1の導電型の
第1の光導波層2、第1もしくは第2の導電型の活性層
3、および第2の導電型の第2の光導波層2′を所定の
厚みに順次積層して、第3図(B)に示すようなウェー
ハ8Aを作製する。
他方、第3図(A)に示すように、第1のクラッド層1
と同一材質もしくはウェーハ8Aとエッチング液を共通に
し、エッチング速度がほぼ同一(ウェーハの各層ともほ
ぼ同じエッチング速度である)の材質による平板に、希
望するテーパー長Lの2倍よりも長い幅で、所定の深さ
を有する複数の矩形溝9Aが互いに平行に素子長Dの2倍
の間隔で掘られたものをエッチングマスク板8Bとして用
意する。
と同一材質もしくはウェーハ8Aとエッチング液を共通に
し、エッチング速度がほぼ同一(ウェーハの各層ともほ
ぼ同じエッチング速度である)の材質による平板に、希
望するテーパー長Lの2倍よりも長い幅で、所定の深さ
を有する複数の矩形溝9Aが互いに平行に素子長Dの2倍
の間隔で掘られたものをエッチングマスク板8Bとして用
意する。
第2工程として、このエッチングマスク板8Bとウェーハ
8Aを第3図(B)に示すように重ね合わせて孔9を形成
した全体をエッチング液10に浸漬する。それにより、破
線で示す部分は、矩形断面に対してほぼ等方的にふくら
んだ形状の断面にエッチング除去される。ついで、マス
ク板8Bを除去することによって、第3図(D)または第
4図(A)に示すように、活性層3にきわめてゆるやか
なテーパー部3Tが形成される。
8Aを第3図(B)に示すように重ね合わせて孔9を形成
した全体をエッチング液10に浸漬する。それにより、破
線で示す部分は、矩形断面に対してほぼ等方的にふくら
んだ形状の断面にエッチング除去される。ついで、マス
ク板8Bを除去することによって、第3図(D)または第
4図(A)に示すように、活性層3にきわめてゆるやか
なテーパー部3Tが形成される。
次に、第3工程として、テーパー部3Tの形成されたウェ
ーハ8A上に、第4図(B)に示すように、第2の導電型
を有する第2の光導波層2′、および第2のクラッド層
4を順次に積層する。このようにして形成したウェーハ
を、第4図(B)に示す点線の位置において、間隔Dで
へき開すれば、第1図の構造に極めて近い形状の半導体
レーザ素子を作製できる。
ーハ8A上に、第4図(B)に示すように、第2の導電型
を有する第2の光導波層2′、および第2のクラッド層
4を順次に積層する。このようにして形成したウェーハ
を、第4図(B)に示す点線の位置において、間隔Dで
へき開すれば、第1図の構造に極めて近い形状の半導体
レーザ素子を作製できる。
ここで、第1工程において、活性層3上に第2の光導波
層2′を積層したのは、第3工程において積層を行う際
に、活性層を保護するためである。
層2′を積層したのは、第3工程において積層を行う際
に、活性層を保護するためである。
次に、本発明の具体令について説明する。
まず、スズ(Sn)ドープn型で2×1018/ccのキャリヤ
濃度の(100)InP基板を第1のクラッド層1として、こ
の上に第1の光導波層2としてスズドープn型でキャリ
ヤ濃度2×1018/cc、膜厚0.7μmのIn0.97Ga0.03As0.06
P0.94膜、活性層3としてノンドープで膜厚0.3μmのIn
0.71Ga0.29As0.66P0.34膜、および第2の光導波層2′
として亜鉛(Zn)ドープp型でキャリア濃度5×1017/c
c、膜厚1.0μmのIn0.97Ga0.03As0.06P0.94膜を順次積
層したウェーハ8AをLPE法で作製した。
濃度の(100)InP基板を第1のクラッド層1として、こ
の上に第1の光導波層2としてスズドープn型でキャリ
ヤ濃度2×1018/cc、膜厚0.7μmのIn0.97Ga0.03As0.06
P0.94膜、活性層3としてノンドープで膜厚0.3μmのIn
0.71Ga0.29As0.66P0.34膜、および第2の光導波層2′
として亜鉛(Zn)ドープp型でキャリア濃度5×1017/c
c、膜厚1.0μmのIn0.97Ga0.03As0.06P0.94膜を順次積
層したウェーハ8AをLPE法で作製した。
次に、InP基板に、幅300μm、深さ250μmの複数の矩
形溝9Aを500μm間隔で平行に形成したものをエッチン
グマスク板8Bとして用意した。このエッチングマスク板
8Bを、ウェーハ8Aに対して、溝方向がウェーハ8Aの<T1
0>方向に一致するように重ね合わせ、20℃のブロムメ
タノール溶液(臭素(Br)0.8ccとメタノール20ccとの
混合液)をエッチング液10として用い、これに90秒浸漬
した。
形溝9Aを500μm間隔で平行に形成したものをエッチン
グマスク板8Bとして用意した。このエッチングマスク板
8Bを、ウェーハ8Aに対して、溝方向がウェーハ8Aの<T1
0>方向に一致するように重ね合わせ、20℃のブロムメ
タノール溶液(臭素(Br)0.8ccとメタノール20ccとの
混合液)をエッチング液10として用い、これに90秒浸漬
した。
浸漬後のエッチング断面形状を表面あらさ計で測定した
結果を第5図に示す。この結果より、高さ1μmで長さ
150μmの極めて緩やかなテーパが形成されていること
が判る。活性層3の厚みは0.3μmであるので、活性層
3のテーパー長Lは50μmとなり、前述のテーパー長の
条件を満たしている。ここで、エッチングマスク板8B
は、前述したように、InPとエッチング液を共通するも
のであれば良く、マスク板8BとしてGaAsを用いてもほぼ
同様の結果が得られた。
結果を第5図に示す。この結果より、高さ1μmで長さ
150μmの極めて緩やかなテーパが形成されていること
が判る。活性層3の厚みは0.3μmであるので、活性層
3のテーパー長Lは50μmとなり、前述のテーパー長の
条件を満たしている。ここで、エッチングマスク板8B
は、前述したように、InPとエッチング液を共通するも
のであれば良く、マスク板8BとしてGaAsを用いてもほぼ
同様の結果が得られた。
次に、このウェーハ8A上に第2の光導波層2′として、
Znドープp型でキャリヤ濃度5×1017/cc、膜厚1.3μm
のIn0.97Ga0.03As0.06P0.94膜、および第2のクラッド
層4として、Znドープp型でキャリヤ濃度5×1017/c
c、膜厚2μmのInP膜、さらにp側に低抵抗オーミック
電極を形成するためのキャップ層11(第7図参照)をLP
E法で順次積層した。
Znドープp型でキャリヤ濃度5×1017/cc、膜厚1.3μm
のIn0.97Ga0.03As0.06P0.94膜、および第2のクラッド
層4として、Znドープp型でキャリヤ濃度5×1017/c
c、膜厚2μmのInP膜、さらにp側に低抵抗オーミック
電極を形成するためのキャップ層11(第7図参照)をLP
E法で順次積層した。
この実施例では、活性層3の組成より、発振波長は1.34
μmであり、この波長での前記各層の屈折率は、それぞ
れ、第1および第2のクラッド層1および4でnc=3.19
4、第1および第2の光導波層2および2′でnw1=nw2=
3.214、活性層3でna=3.510である。
μmであり、この波長での前記各層の屈折率は、それぞ
れ、第1および第2のクラッド層1および4でnc=3.19
4、第1および第2の光導波層2および2′でnw1=nw2=
3.214、活性層3でna=3.510である。
これら屈折率および前記膜厚から求めたTEoモードの正
規化電界分布関数Ey(x)を第6図に示す。ここでAお
よびBは、それぞれ、第1図における位置AおよびBに
対応し、x座標の原点は第1のクラッド層1と第1光導
波層2との境界にとってある。第6図から明らかなよう
に、位置AおよびBでの電界分布中心のx座標は一致し
ているので、低損失テーパー結合を期待できる。
規化電界分布関数Ey(x)を第6図に示す。ここでAお
よびBは、それぞれ、第1図における位置AおよびBに
対応し、x座標の原点は第1のクラッド層1と第1光導
波層2との境界にとってある。第6図から明らかなよう
に、位置AおよびBでの電界分布中心のx座標は一致し
ているので、低損失テーパー結合を期待できる。
第6図の電界分布関数は、ガウシアン分布をガウス分布
で近似すると、電界強度が最大点から1/eになるまでの
x軸方向の距離をwとしたとき、放射角度θは、 θ=tan-1(λ/πw) ……(1) となる。第6図から位置AおよびBでのwは、WA=0.34
μmおよびWB=1.28μmとなり、(1)式より、第1図
において左方への放射角θA⊥は51.4°、右方への放射
角θB⊥は18.4°となり、十分に小さい放射角度を期待
できる。
で近似すると、電界強度が最大点から1/eになるまでの
x軸方向の距離をwとしたとき、放射角度θは、 θ=tan-1(λ/πw) ……(1) となる。第6図から位置AおよびBでのwは、WA=0.34
μmおよびWB=1.28μmとなり、(1)式より、第1図
において左方への放射角θA⊥は51.4°、右方への放射
角θB⊥は18.4°となり、十分に小さい放射角度を期待
できる。
上述のようにして、活性層にテーパの形成されたウエー
ハを作製した後、本実施例では、通常のBH(埋め込み)
型半導体レーザの作製工程に進む。すなわち、<110>
方向において活性層3の幅が1.5μmとなるようにかか
るウエーハに逆メサエッチングを施してストライプ化
し、p型InP埋め込み層12、およびn型InP埋め込み層1
2′をLPEで形成する。さらにp側にAu-Zn電極13、n側
にAu-Sn電極13′を付着せしめる工程を経て、第7図に
示すように、BH型で片側活性層テーパーの半導体レーザ
を作製した。ここで、素子長は300μmで、その内、活
性層3のテーパー部3Tは50μm、第1および第2の光導
波層2および2′をコア層とする低放射角光導波路の長
さは20μmであった。
ハを作製した後、本実施例では、通常のBH(埋め込み)
型半導体レーザの作製工程に進む。すなわち、<110>
方向において活性層3の幅が1.5μmとなるようにかか
るウエーハに逆メサエッチングを施してストライプ化
し、p型InP埋め込み層12、およびn型InP埋め込み層1
2′をLPEで形成する。さらにp側にAu-Zn電極13、n側
にAu-Sn電極13′を付着せしめる工程を経て、第7図に
示すように、BH型で片側活性層テーパーの半導体レーザ
を作製した。ここで、素子長は300μmで、その内、活
性層3のテーパー部3Tは50μm、第1および第2の光導
波層2および2′をコア層とする低放射角光導波路の長
さは20μmであった。
次に、このようにして作製した半導体レーザ素子の特性
について述べる。本例の半導体レーザは、室温(RT)で
連続発振(CW)した。第8図に入力電流と出力光パワー
との関係を示す。発振しきい値は40μmAであり、入力電
流が63mA以上のときに2mW以上の出力が片端面で得られ
た。発振波長は第9図に示すスペクトラムから明らかな
ように、1.344μmであった。
について述べる。本例の半導体レーザは、室温(RT)で
連続発振(CW)した。第8図に入力電流と出力光パワー
との関係を示す。発振しきい値は40μmAであり、入力電
流が63mA以上のときに2mW以上の出力が片端面で得られ
た。発振波長は第9図に示すスペクトラムから明らかな
ように、1.344μmであった。
第10図は、低放射角導波路側(第1図の右方)からの出
射光強度の角度依存性を示す。半導体レーザの放射角
は、通常、第10図において、相対光度のピークから1/2
になる前角度FWHM(Full Width at Half Maximum)で論
じられる。本実施例の場合、その地は導波層に垂直方向
2θ⊥、および平行方向2θ ともに13.5°であり、通
常の半導体レーザが2θ⊥>30°、2θ >20°である
のに対して、大幅に小さくなっている。尚、本実施例で
はFWHMは13.5°であったが、第1および第2の光導波層
2および2′の屈折率および膜厚を変えれば、FWHMは接
続しようとする光導波路に合わせて自由に変えることが
できるので、それによって最良の値を選択すれば良い。
射光強度の角度依存性を示す。半導体レーザの放射角
は、通常、第10図において、相対光度のピークから1/2
になる前角度FWHM(Full Width at Half Maximum)で論
じられる。本実施例の場合、その地は導波層に垂直方向
2θ⊥、および平行方向2θ ともに13.5°であり、通
常の半導体レーザが2θ⊥>30°、2θ >20°である
のに対して、大幅に小さくなっている。尚、本実施例で
はFWHMは13.5°であったが、第1および第2の光導波層
2および2′の屈折率および膜厚を変えれば、FWHMは接
続しようとする光導波路に合わせて自由に変えることが
できるので、それによって最良の値を選択すれば良い。
ここで、本発明半導体レーザの応用分野について述べ
る。第11図はその一例である。第11図に示すように、両
側に活性層テーパー部3Tを介して結合する低放射角光導
波路2および2′を備えた本発明半導体レーザの両端面
に無反射コート膜14を設ける。それにより、このレーザ
は光増幅素子として働く。このレーザは低放射角である
から、従来の通常型レーザのような高精度のレンズ系を
設ける必要なしに、図に示すように、直接に石英系光フ
ァイバ15の間に挿入して用いることができ、極めて簡単
な構造で安価な光増幅器を構成することができる。しか
もまた、本発明半導体レーザはTi拡散LiNb2O3光導波路
とも、勿論、直接に接続可能であるから、LiNb2O3導波
形変調器と一体化した高スペクトラム純度光源が容易に
得られる。
る。第11図はその一例である。第11図に示すように、両
側に活性層テーパー部3Tを介して結合する低放射角光導
波路2および2′を備えた本発明半導体レーザの両端面
に無反射コート膜14を設ける。それにより、このレーザ
は光増幅素子として働く。このレーザは低放射角である
から、従来の通常型レーザのような高精度のレンズ系を
設ける必要なしに、図に示すように、直接に石英系光フ
ァイバ15の間に挿入して用いることができ、極めて簡単
な構造で安価な光増幅器を構成することができる。しか
もまた、本発明半導体レーザはTi拡散LiNb2O3光導波路
とも、勿論、直接に接続可能であるから、LiNb2O3導波
形変調器と一体化した高スペクトラム純度光源が容易に
得られる。
以上説明したように、本発明半導体レーザによれば、活
性層の上にさらに第2の光導波層を設けることによっ
て、活性層中を伝搬する導波光と出射用低NA導波路中を
伝搬する導波光との電界分布中心を合致させることが可
能となり、以て、活性層テーパー部における両者の結合
損を著しく低下させることができる、それによって、室
温において連続発振を得ることもできる。
性層の上にさらに第2の光導波層を設けることによっ
て、活性層中を伝搬する導波光と出射用低NA導波路中を
伝搬する導波光との電界分布中心を合致させることが可
能となり、以て、活性層テーパー部における両者の結合
損を著しく低下させることができる、それによって、室
温において連続発振を得ることもできる。
また、本発明の製造方法は、原理的に単純なウェットエ
ッチング工程を用いるので、何ら熟練、および高価な装
置類を必要とせずに、極めて生産性の高い簡便な方法で
ある。さらに加えて、従来例はLPE法にのみ適用できる
製造方法であるのに対して、本発明の製造方法は、LPE
法、MBE法、MOCVD法等、ウェーハ作製プロセスの如何を
問うことなしに、種々の用途に有効に適用できる利点が
ある。
ッチング工程を用いるので、何ら熟練、および高価な装
置類を必要とせずに、極めて生産性の高い簡便な方法で
ある。さらに加えて、従来例はLPE法にのみ適用できる
製造方法であるのに対して、本発明の製造方法は、LPE
法、MBE法、MOCVD法等、ウェーハ作製プロセスの如何を
問うことなしに、種々の用途に有効に適用できる利点が
ある。
従って、本発明によれば、室温で連続動作し、しかも低
NA光導波路との接続に優れた高性能の低放射角半導体レ
ーザを極めて安価に、かつ大量に提供することができ
る。
NA光導波路との接続に優れた高性能の低放射角半導体レ
ーザを極めて安価に、かつ大量に提供することができ
る。
第1図は本発明半導体レーザの一実施例の構造を示す断
面図、 第2図は本発明半導体レーザの製造方法の原理の説明
図、 第3図(A)〜(D)は本発明半導体レーザの製造方法
の一実施例におけるテーパー部の製造工程の説明図、 第4図(A)および(B)は本発明半導体レーザの製造
方法の一実施例における製造工程の説明図、 第5図は本発明実施例のエッチング断面を示す図、 第6図は本発明実施例の半導体レーザの電界強度分布を
示す図、 第7図は本発明実施例の半導体レーザの構造を示す図、 第8図は本発明実施例の電流対光強度を示す特性図、 第9図は本発明実施例の光強度のスペクトルを示す図、 第10図は本発明実施例の放射角に対する光強度を示す特
性図、 第11図は本発明半導体レーザを用いて構成した光増幅器
の一例を示す断面図、 第12図は従来の半導体レーザの構造の一例を示す断面
図、 第13図は従来の半導体レーザの製造方法の一例を示す説
明図である。 1……第1のクラッド層、2……第1の光導波層、2′
……第2の光導波層、3……活性層、3T……テーパー
部、4……第2のクラッド層、5……下部基板保持スラ
イドボード、5′……メルト保持スライドボート、6…
…サファイヤマスク、7……メルト、8……被エッチン
グ物、8A……ウエーハ、8B……エッチングマスク板、9
……矩形穴、9A……溝、10……エッチング液、11……キ
ャップ層、12……p型InP埋め込み層、12′……n型InP
埋め込み層、13……Au-Zn電極、13′……Au-Sn電極、14
……無反射コート膜、15……石英系光ファイバ。
面図、 第2図は本発明半導体レーザの製造方法の原理の説明
図、 第3図(A)〜(D)は本発明半導体レーザの製造方法
の一実施例におけるテーパー部の製造工程の説明図、 第4図(A)および(B)は本発明半導体レーザの製造
方法の一実施例における製造工程の説明図、 第5図は本発明実施例のエッチング断面を示す図、 第6図は本発明実施例の半導体レーザの電界強度分布を
示す図、 第7図は本発明実施例の半導体レーザの構造を示す図、 第8図は本発明実施例の電流対光強度を示す特性図、 第9図は本発明実施例の光強度のスペクトルを示す図、 第10図は本発明実施例の放射角に対する光強度を示す特
性図、 第11図は本発明半導体レーザを用いて構成した光増幅器
の一例を示す断面図、 第12図は従来の半導体レーザの構造の一例を示す断面
図、 第13図は従来の半導体レーザの製造方法の一例を示す説
明図である。 1……第1のクラッド層、2……第1の光導波層、2′
……第2の光導波層、3……活性層、3T……テーパー
部、4……第2のクラッド層、5……下部基板保持スラ
イドボード、5′……メルト保持スライドボート、6…
…サファイヤマスク、7……メルト、8……被エッチン
グ物、8A……ウエーハ、8B……エッチングマスク板、9
……矩形穴、9A……溝、10……エッチング液、11……キ
ャップ層、12……p型InP埋め込み層、12′……n型InP
埋め込み層、13……Au-Zn電極、13′……Au-Sn電極、14
……無反射コート膜、15……石英系光ファイバ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 盛男 茨城県那珂郡東海村大字白方字白根162番 地 日本電信電話株式会社茨城電気通信研 究所内 (56)参考文献 特開 昭57−45989(JP,A) 特開 昭61−41107(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】第1の導電型を有し、第1のクラッド層と
なる半導体単結晶基板と、 前記第1のクラッド層上に、第1の導電型を有し、かつ
前記第1のクラッド層より大なる屈折率および小なる禁
制帯幅を有する第1の光導波層と、 第1もしくは第2の導電型を有し、かつ前記第1の光導
波層より大なる屈折率および小なる禁制帯幅を有する活
性層と、 第2の導電型を有し、かつ前記第1のクラッド層と前記
活性層との中間の屈折率および禁制帯幅を有する第2の
光導波層と、 第2の導電型を有し、かつ前記第1のクラッド層とほぼ
等しい屈折率および禁制帯幅を有する第2のクラッド層
とが、 格子整合するように順次に積層された構造を具え、該構
造の積層方向に対して垂直な方向の少なくとも片側の端
部において、前記活性層は当該端部に向けてテーパー状
に減少して消滅することにより、前記第1のクラッド
層、前記第1の光導波層、前記第2の光導波層および前
記第2のクラッド層により端部導波路を構成したことを
特徴とする半導体レーザ。 - 【請求項2】第1のクラッド層となる半導体単結晶基板
上に、第1の光導波層、活性層、第2の光導波層を順次
に積層して第1の積層基板を得る第1の工程と、 前記半導体単結晶基板と共通のエッチング液を用い得る
物質で構成され、かつ所定の幅と深さの溝を有するエッ
チングマスク板を用意し、 該エッチングマスク板の、前記溝の形成された側の表面
と、前記第1の積層基板の前記第2の光導波層の表面と
を、前記溝の部分が前記活性層のうちテーパー部を形成
しようとする位置に合致するように重ね合わせ、その重
ね合わされた全体を前記エッチング液に浸漬させて、前
記活性層にテーパー部を形成した第2の積層基板を得る
第2の工程と、 前記第2の積層基板上に、第2の光導波層および第2の
クラッド層を順次積層する第3の工程と を含むことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6582287A JPH073905B2 (ja) | 1987-03-23 | 1987-03-23 | 半導体レ−ザおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6582287A JPH073905B2 (ja) | 1987-03-23 | 1987-03-23 | 半導体レ−ザおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63233584A JPS63233584A (ja) | 1988-09-29 |
JPH073905B2 true JPH073905B2 (ja) | 1995-01-18 |
Family
ID=13298104
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6582287A Expired - Lifetime JPH073905B2 (ja) | 1987-03-23 | 1987-03-23 | 半導体レ−ザおよびその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JPH073905B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100958338B1 (ko) * | 2007-12-18 | 2010-05-17 | 한국전자통신연구원 | 광 증폭기가 집적된 슈퍼루미네슨트 다이오드 및 이를이용한 외부 공진 레이저 |
-
1987
- 1987-03-23 JP JP6582287A patent/JPH073905B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPS63233584A (ja) | 1988-09-29 |
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