JPH0732311U - 流動層ボイラの空気分散ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベッド材の粒子が空気分散ノズル内へ侵入す
るのを防止して、発電効率を維持する。 【構成】 内部に空気導入室１４に連通する主孔１７を
有する円筒形状の軸部２６の上部に、内部に前記主孔１
７の上端に連通して横方向に向けて放射状に延びる複数
の分散孔２９を有し、該各分散孔２９の外側端部に連通
して下方に向かって延びる環状のエアーカーテン形成流
路３０を有し、更に前記環状のエアーカーテン形成流路
３０の下部内側に該エアーカーテン形成流路３０に連通
するベッド材侵入防止室３１を形成した頭部２７を一体
に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、流動層ボイラの空気分散ノズルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から図３に示すような流動層ボイラにより、水を蒸気に変えて発電を行う ことが考えられている。この流動層ボイラは、底部辺に給水ヘッダ１が配設され ており、該給水ヘッダ１には略垂直に上方に向かって延びる複数の配管２が配設 されており、この配管２の間をフィン２ａにて接続することにより周壁部３及び 上面壁４が形成されている。

【０００３】 前記上面壁４の中心部には上方に延びるガス排出孔５が設けられ、且つ該ガス 排出孔５の周囲には前記配管２により形成される蒸気排出部６が設けられており 、また前記周壁部３の上方には燃料供給孔７が設けられている。

【０００４】 前記給水ヘッダ１の内側にはボイラ底部８が形成されており、該底部８の中心 部には、横方向に延びる導入部９ａと垂直方向に延びる垂直部９ｂとから成る空 気供給管９の垂直部９ｂの一端が接続され、この接続部に空気供給孔１０が形成 されている。

【０００５】 更に、前記底部８に対して所要の間隔を隔てた上方位置に、略水平方向に延び る複数の配管１１と該配管１１の相互間を接続するフィン１１ａとから成る仕切 板１５が設けてあり、該仕切板１５の上方には燃焼室１３が、下方には空気導入 室１４が形成されている。なお、前記配管１１は、ボイラの外部に配設してある 給水ヘッダ１２に接続されている。

【０００６】 前記仕切板１５を構成するフィン１１ａには前記燃焼室１３と空気導入室１４ とを連通する連通孔１６が多数設けてあり、該各連通孔１６の上側には、図４及 び図５に示すように、垂直に延び前記空気導入室１４に連通する主孔１７を内部 に備えた軸部１８と、前記主孔１７の上端に連通してやや斜め下方向に向けて放 射状に延び且つ周側面に形成された噴射出口１９から空気を噴射するようにした 複数の分散孔２０（図では６個）を設けた頭部２１とから成る空気分散ノズル２ ２が配設されている。

【０００７】 そして、前記仕切板１５の上面に、空気分散ノズル２２を覆い且つ燃料供給孔 ７に上面が到達しない程度にベッド材２３（例えば、砂等）を供給して前記空気 分散ノズル２２から空気を噴出させることにより流動層２４を形成するようにし ている。

【０００８】 前述の流動層ボイラを使用して発電を行うには、図３の空気供給管９の導入部 ９ａから高温の空気２５を供給し、垂直部９ｂの空気供給孔１０から空気導入室 １４に導入する。

【０００９】 前記空気導入室１４に導入された高温の空気２５は、空気分散ノズル２２を経 てベッド材２３内に噴射され、このとき、前記高温の空気２５の噴射によりベッ ド材２３は加熱されながらバブリングにより流体のごとく流動化されることによ り流動層２４を形成する。

【００１０】 そして、燃焼室１３の流動層２４上に、燃料供給孔７からゴミや石炭等の燃料 を投入すると、前記燃焼室１３内で燃料がベッド材２３の熱により流動燃焼され 、前記燃焼室１３内が流動燃焼によって発生する熱により高温に保持される。

【００１１】 このとき、周壁部３や上面壁４を形成する配管２内や仕切板１５の配管１１内 に水を流動させておくと、前記燃焼室１３内の熱により水を蒸発させて蒸気を発 生させることができ、この蒸気を蒸気排出部６から図示していない発電装置に送 って発電することができる。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の流動層ボイラに備えられている空気分散ノズル２２にお いては、該空気分散ノズル２２の複数の分散孔２０から高温の空気２５を横方向 に噴射させてベッド材２３をバブリングにより流動化させるようにしているため 、高温の空気２５は抵抗の小さい側に向かって噴射されやすくなり、流動層２４ 内の圧力はあらゆる部分において時々刻々と変動しているために各分散孔２０の 噴射出口１９から高温の空気２５が均等に噴射されることはなく、噴射量は大き く変動する。

【００１３】 前記高温の空気２５の噴射によって流動化されているベッド材２３の粒子はあ らゆる方向に移動エネルギーをもって飛び跳ねており、従って、例えば図４の右 側の抵抗が小さく、右側の分散孔２０からの高温の空気２５の噴射量が増大して 、左側の分散孔２０からの噴射量が減少した場合に、移動エネルギーの大きな粒 子２３ａが噴出量が減少して空気の運動エネルギーが小さい左側の分散孔２０内 に飛び込み易くなり、飛び込んだ粒子２３ａは主孔１７内を落下することになる 。

【００１４】 また、前記各分散孔２０からの高温の空気２５の噴射量が極端に違った場合に は、噴射量が小さい部分の噴射出口１９をベッド材２３が覆ってベッド材２３が 空気分散ノズル２２内に雪崩込んでくることも考えられる。

【００１５】 従来、このようにして、空気分散ノズル２２内に入り込む粒子２３ａはかなり の量となり、こうした粒子２３ａは前記流動層ボイラの底部８の上面８ａに堆積 したり、空気供給孔１０から落下して該空気供給管９の湾曲部９ｃに堆積し、よ って、高温の空気２５の供給量が減少してベッド材２３の充分な流動化ができな くなり、燃焼効率が低下し延いては発電効率が低下したり、また流動層ボイラを 定期点検する際に、前記堆積したベッド材２３の粒子２３ａを取り除く作業が必 要となり、この作業が非常に大変で手間がかかるという問題を有していた。

【００１６】 また、流動層２４の層厚は一定に保持する必要があるため、減少した量だけ補 充する必要があるが、このための費用が増加し、更に層厚維持のための制御にも 多大の手数、費用等が必要になるという問題がある。

【００１７】 本考案は上述の実情に鑑み、空気分散ノズル内へのベッド材の侵入を容易且つ 確実に防止することにより燃焼効率延いては発電効率を維持し、また点検作業を 容易且つ短期間に行い得る流動層ボイラを提供することを目的として成したもの である。

【００１８】

【課題を解決するための手段】

本考案の流動層ボイラの空気分散ノズルは、流動層ボイラの内部を上側の燃焼 室と下側の空気導入室に区分する仕切板の上側に突出し且つ内部に前記空気導入 室に連通する主孔を有する軸部と、前記主孔の上端に連通し横方向に向けて放射 状に延びる分散孔及び該各分散孔の外側端部に連通し下方に向けて延びる環状の エアーカーテン形成流路並に該エアーカーテン形成流路の下部内側にエアーカー テン形成流路に連通する環状のベッド材進入防止室を有する頭部とを備えたもの である。

【００１９】

【作用】

本考案の流動層ボイラの空気分散ノズルにおいては、主孔を上昇した高温の空 気は、横方向に向かって放射状に延びる分散孔を通った後、環状のエアーカーテ ン形成流路により下方に向かって噴射されて環状のエアーカーテンを形成する。

【００２０】 このエアーカーテンの形成により、エアーカーテン形成流路の下部内側に形成 されたベッド材侵入防止室に常に一定の圧力が保持された環状の空間が確実に形 成されるようになる。

【００２１】 このように、エアーカーテン形成流路に連通されたベッド材侵入防止室に常に 環状の空間が形成されることにより、流動層内の圧力が変動しても、エアーカー テン形成流路から噴射される高温の空気は前記圧力の変動に殆ど影響されること なく周方向に略均等に高速で噴射されてエアーカーテンを形成するようになるた め、移動エネルギーを有した粒子でもエアーカーテン形成流路内に入り込むこと はできない。

【００２２】 また、エアーカーテン形成流路を下方に向けて延びるよう形成してあるので、 分散孔内にベッド材が入り込むためには、重力及び噴射力に逆行して進まなけれ ばならず、よって、前記ベッド材侵入防止室及びエアーカーテン形成流路によっ てベッド材の粒子の侵入を容易且つ確実に防止することができる。

【００２３】

【実施例】

以下図面に基いて本考案の実施例を説明する。

【００２４】 図１及び図２は本考案の空気分散ノズルの一実施例を示すもので、該空気分散 ノズル２８は仕切板１５に下端を固定した軸部２６と、該軸部２６の上部に軸部 ２６より大きな径を有して一体に形成された頭部２７とを有している。

【００２５】 前記軸部２６は、内部に下側の空気導入室１４に連通するように垂直に延びる 主孔１７を有した円筒形状をしており、また前記頭部２７は、内部に前記主孔１ ７の上端に連通してやや斜め下方に向けて放射状に延びる複数の分散孔２９（図 では６個）を有し、該各分散孔２９の外側端部に連通して下方に向かって延びる 環状のエアーカーテン形成流路３０を設けてあり、更に頭部２７の底面２７ａ部 分を切り込んで前記環状のエアーカーテン形成流路３０に連通するベッド材侵入 防止室３１を形成してある。従って、頭部２７の外周には前記エアーカーテン形 成流路３０及びベッド材侵入防止室３１を覆う円筒部３２が形成されるようにな っている。このような空気分散ノズル２８を仕切板１５に形成された多数の連通 孔１６のそれぞれに配設する。

【００２６】 次に上記実施例の作用について説明する。

【００２７】 本実施例の空気分散ノズル２８において、高温の空気２５は主孔１７を上昇し 、続いて横方向に向かって放射状に延びる複数の分散孔２９を通った後、環状の エアーカーテン形成流路３０から矢印Ａ方向（下方向）に向かって噴射すること により、図中破線で示すように、頭部２７の下方に環状のエアーカーテン３３を 形成する。

【００２８】 このエアーカーテン３３の形成により、前記頭部２７の底面２７ａ部分に形成 したエアーカーテン形成流路３０に連通する環状のベッド材侵入防止室３１には 、常に一定の圧力を保持した環状の空間が確実に形成されるようになる。

【００２９】 よって、流動層２４内の圧力が変動して前記環状のエアーカーテン形成流路３ ０の下方にベッド材２３が侵入して来ても、前記エアーカーテン形成流路３０か ら噴射される高温の空気２５は、環状のベッド材侵入防止室３１に形成される空 間を通って下方に向かって流れ続けるので、前記圧力の変動に殆ど影響されず、 周方向に略均等に高速で噴射されてエアーカーテン３３を形成し続けるようにな るため（空気の噴射量が周方向で大きく変化することがないため）、ベッド材２ ３の粒子がエアーカーテン形成流路３０内に入り込むことを防止できる。

【００３０】 またエアーカーテン形成流路３０を垂直方向に向けて延びるよう形成し高温の 空気２５を下方に向けて前記エアーカーテン形成流路３０内を流すようにしてい るので、分散孔２９内にベッド材２３が入り込むためには、重力及び噴射力に逆 行して進まなければならず、よって、前記ベッド材侵入防止室３１及びエアーカ ーテン形成流路３０によってベッド材２３の粒子の侵入を容易且つ確実に防止す ることができる。

【００３１】 従って、ベッド材２３の粒子が前記分散孔２９内に入り込んで主孔１７を落下 し空気導入室１４内に侵入することがないため、流動層ボイラの底部８上面や空 気供給管９の湾曲部９ｃにベッド材２３が堆積することがなく、高温の空気２５ の供給量が常に維持されてベッド材２３の流動化が充分に行われるので、燃焼効 率延いては発電効率を常に高く維持することができ、また流動層ボイラを定期点 検する際には、ベッド材２３の粒子を取り除く必要がなくなり、容易且つ短時間 に点検作業を行うことができる。

【００３２】 更に、流動層２４を形成するベッド材２３は減少することがないため、常に一 定量に保持することができ、設備費を軽減でき、更に層厚維持のための制御も容 易となる。

【００３３】 なお、本考案は、前記実施例のみに限定されるものではなく、エアーカーテン 形成流路及びベッド侵入防止室の形状、大きさ等は変更可能なこと、その他、本 考案の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。

【００３４】

【考案の効果】

本考案の流動層ボイラの空気分散ノズルにおいては、環状のエアーカーテン形 成流路から高温の空気を下方に噴射させて環状のエアーカーテンを形成し、前記 エアーカーテン形成流路の下部内側に形成した環状のベッド材侵入防止室に常に 一定の圧力が保持された空間を形成させるようにしているので、流動層内の圧力 が変動しても前記環状のエアーカーテン形成流路からは常に周方向に略均等に高 速で高温の空気を噴射させることができ、ベッド材の粒子がエアーカーテン形成 流路内に入り込むことを防止することができる。

【００３５】 またエアーカーテン形成流路を垂直方向に向けて下方に延びるよう形成してあ るので、エアーカーテン形成流路内にベッド材が入り込もうとしても、重力及び 噴射力に逆行して進まなければならため、ベッド材の侵入が防がれ、よって、前 記ベッド材侵入防止室及びエアーカーテン形成流路によってベッド材の粒子の侵 入を容易且つ確実に防止することができる。

【００３６】 従って、流動層ボイラの底部上面や空気供給管の湾曲部にベッド材が堆積する ことがなくなるので、高温の空気の供給量が常に維持されてベッド材の流動化が 充分に行われて燃焼効率延いては発電効率を常に高く維持することができ、また 流動層ボイラを定期点検する際、ベッド材の粒子を取り除く必要がなく、容易且 つ短時間に点検作業を行うことができると共に、流動層を形成するベッド材は減 少することなく一定量に保持されるので、設備費を軽減でき層厚維持のための制 御も容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の流動層ボイラの空気分散ノズルの一実
施例を示す縦断面図である。

【図２】図１における空気分散ノズルの平面図である。

【図３】従来の流動層ボイラの縦断面図である。

【図４】従来の空気分散ノズルの縦断面図である。

【図５】図４における空気分散ノズルの平面図である。

【符号の説明】

１３ 燃焼室 １４ 空気導入室 １５ 仕切板 １７ 主孔 ２６ 軸部 ２７ 頭部 ２８ 空気分散ノズル ２９ 分散孔 ３０ 環状のエアーカーテン形成流路 ３１ 環状のベッド材進入防止室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 流動層ボイラの内部を上側の燃焼室と下
   側の空気導入室に区分する仕切板の上側に突出し且つ内
   部に前記空気導入室に連通する主孔を有する軸部と、前
   記主孔の上端に連通し横方向に向けて放射状に延びる分
   散孔及び該各分散孔の外側端部に連通し下方に向けて延
   びる環状のエアーカーテン形成流路並に該エアーカーテ
   ン形成流路の下部内側にエアーカーテン形成流路に連通
   する環状のベッド材進入防止室を有する頭部とを備えた
   ことを特徴とする流動層ボイラの空気分散ノズル。