JPH07313536A - 結晶化ガラス人工歯用シェードガイド及びその製造方法 - Google Patents

結晶化ガラス人工歯用シェードガイド及びその製造方法

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JPH07313536A
JPH07313536A JP11692894A JP11692894A JPH07313536A JP H07313536 A JPH07313536 A JP H07313536A JP 11692894 A JP11692894 A JP 11692894A JP 11692894 A JP11692894 A JP 11692894A JP H07313536 A JPH07313536 A JP H07313536A
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crystallized glass
temperature
glass plate
heat treatment
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JP11692894A
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Naoki Mizutsuki
直樹 水月
Yoshimitsu Inoue
義光 井上
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Olympus Optical Co Ltd
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C19/00Dental auxiliary appliances
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Abstract

(57)【要約】 【目的】定格な熱処理温度を容易且つ迅速に決定できる
結晶化ガラス製人工歯用シェードガイド及びその製造方
法を提供すること。 【構成】本発明のシェードガイド1は、一個のシェード
部10、及び該シェード部を支持する支持棒11より構
成される。前記シェード部10は、歯科用人工歯に使用
されうる結晶化ガラスでできたガラス板である。該シェ
ード部10の発色は、前記一個のシェード部上で一定方
向に連続または段階的に変化している。このシェードガ
イド1は、まず温度勾配を有する加熱装置、例えば炉等
に結晶化ガラス板を置き、該ガラス板を熱処理してシェ
ード部10を得、これを支持棒11に接合することによ
って製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶化ガラス人工歯を
制作する際に、結晶化ガラス板の熱処理の適切な温度を
決めるための歯科用シェードガイド、及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科用補綴物として、古くから金属材料
が用いられているが、口腔内では金属などの光沢が目立
つため、外観的に違和感がある。近年では審美歯科補綴
への要望から、ポーセレン材料(陶材)が普及してきて
いる。ポーセレンには、天然歯に近い外観にするための
様々な発色をさせる陶材が準備されており、それらを所
望の人工歯形状に築成し、焼成することによって天然歯
に近い発色の人工歯を形成する。
【0003】ボーセレンは、様々な発色の陶材を用いる
ことにより、天然歯に近い色調の人工歯を得ることがで
きる。しかし、天然歯の色調は人によって個人差があ
り、また前歯や臼歯などの部位によっても異なるため、
人工歯の色の決定には熟練した技術を必要とする。人工
歯の色調を決定するには、例えば以下のような手順で行
われる。
【0004】まず、予め10から20種程度の異なった
発色の陶材をそれぞれ焼成し、それらを適当な大きさに
加工した陶材片(ポーセレン片)を準備しておく。これ
らのポーセレン片は、シェードガイド(色見本)といわ
れるものであり、これらの各々にA1、A2・・・のよ
うな番号が付されている。これらのシェードガイドの同
じものを歯科医師と技工士の双方が一組ずつ持ってい
る。まず、歯科医師は、患者の口腔内において患者の天
然歯とシェードガイドを見比べ、患者の天然歯と同じ
か、若しくは最も近い発色のシェードガイドを選択し、
その番号(例えばA2)を技工士に伝える。技工士は、
その番号のシェードガイドと同じ陶材を用いて人工歯の
築成及び焼成を行い、ポーセレン人工歯を作成する。歯
科医師は、作成されたポーセレン人工歯を患者の口腔内
に装着する。人工歯の色を決定するこのような一連の操
作を総称して「色あわせ」という。このように人工歯の
色の決定は、歯科領域において非常に重要な問題であ
る。
【0005】しかし、ポーセレンは作成に手間がかか
り、天然歯よりもはるかに硬いため、対合歯を傷める可
能性があり、更にインレーには使えない等の問題点も多
くあった。従って、近年では、新たな歯科補綴材料とし
て結晶化ガラスが使われるようになってきている。
【0006】結晶化ガラス人工歯は、古くから普及して
いる金属材料人工歯と同じロストワックス法によるため
比較的容易に得ることができる。また、結晶化ガラス人
工歯は天然歯に近い硬さを持ち、天然歯に近い色調を比
較的容易に得ることができる。更に、結晶化ガラス人工
歯の中には数種類の基本色調が用意されているものもあ
り、幅広い色調表現が可能である。特に、結晶化ガラス
は熱処理する温度によって透明感を変化させることがで
きるため、前歯や臼歯、又はクラウン、インレー、ラミ
ネートベニヤ等の透明感の異なる適用部位にあわせて人
工歯を作成することができる。
【0007】上記のような結晶化ガラス人工歯を用いる
場合でも、所望の色調を得るためには、色合わせが必要
である。結晶化ガラス人工歯の色合わせを行う際に、従
来では結晶化ガラス用のシェードガイドがないため、前
述のポーセレン用のシェードガイドを用いて基本色及び
熱処理温度を決定していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、結晶化ガラス
とポーセレンでは根本的に材料が異なるため、色調や透
明感が異なる。特に、材料自体の透明感を変えることが
できないポーセレン用のシェードガイドでは透明感の指
定ができないため、従来では、所望の透明感を得るため
の熱処理温度の決定は、技工士の経験的な勘に頼ること
が多かった。
【0009】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、結晶化ガラス人工歯の作成の際
に、定格な熱処理温度を容易且つ速やかに決定すること
ができる結晶化ガラス人工歯用シェードガイド及びその
製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下に示す
本発明によって達成される。 (1) 一つのシェード部と該シェード部を支持する支
持棒とを具備した結晶化ガラス製人工歯用シェードガイ
ドであって、前記シェード部が、結晶化ガラス板で形成
され、更に、前記シェード部の発色が、前記一個のシェ
ード部上で連続または段階的に変化していることを特徴
とする結晶化ガラス製人工歯用シェードガイド。
【0011】(2) 温度勾配を有する加熱装置によっ
て前記結晶化ガラス板を熱処理して前記シェード部を作
製し、該シェード部と前記支持棒を接合することを特徴
とする前記(1)に記載の結晶化ガラス製人工歯用シェ
ードガイドの作成方法。
【0012】(3) 前記結晶化ガラス板を、一定温度
に設定された加熱装置に通過させ、該通過の時に通過速
度を変化させながら前記結晶化ガラス板に熱処理を施し
て前記シェード部を作製し、該シェード部と前記支持棒
を接合することを特徴とする(1)に記載の結晶化ガラ
ス製人工歯用シェードガイドの作成方法。
【0013】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
シェードガイド1は、図1に示されるように、一個のシ
ェード部10、該シェード部を支持する支持棒11より
形成される。前記シェード部10は、歯科用人工歯に使
用されうる結晶化ガラスでできたガラス板であり、その
形状は、好ましくは立方体若しくは直方体である。該シ
ェード部10は、歯科用の色合わせのためのものである
ので、その大きさは10×5×1mmのものが好まし
い。また、支持棒11は、前記シェード部を保持するこ
とかできるものであれば特に限定されないが、アクリル
のような材質のものを使用することができる。更に、そ
の大きさについても特に限定されるものではないが、歯
科用に使用されるものであるので、30×1×1mmの
大きさのものが好ましい。
【0014】図1において、支持棒11はシェード部1
0の一端面12に接合されている。支持棒と、シェード
部の接合方法は、特に限定されるものではないが、例え
ば接着剤によって接着する方法でもよく、またネジ山を
切って螺着するものでもよい。
【0015】結晶化ガラス板で形成されたシェード部1
0には、天然歯に合わせた色調が施されている。該色調
は、シェード部10の一端面から対向する他端面に向け
て変化させる。本発明では、例えばシェード部10の支
持棒11が接合された端面12から対向する他端面13
に向けて変化させることができ、またこの逆にすること
もできる(図面では、特に示さない限り色調の変化は示
していない。)。この色調の変化は、連続的であっても
よく、また段階的に変化していてもよい。以上のように
シェード部10は適切に色調が施されており、その発色
は、結晶化ガラス板の組成にもよるが、一般には、結晶
化ガラス板の熱処理温度によって決定される。即ち、比
較的低温で熱処理されれば、結晶化ガラス板は比較的透
明な乳白濁色の発色をし、高温で熱処理されれば比較的
不透明な乳白濁色の発色をする。これは、結晶化ガラス
板の色調が、結晶化ガラスの結晶化によって変化するた
めである。従って、結晶化ガラスを熱処理することによ
って、結晶化の度合いを変化させることによって、歯科
用人工歯に見合った種々の発色を起こさせることができ
る。
【0016】本発明において、1つのシェード部に上述
のような連続的な色調の変化を施す場合は、結晶化ガラ
ス板を温度勾配を有する炉等の加熱装置で熱処理すれば
よい。前記温度勾配は、指数関数的なものでも、また直
線的なものでもよい。一方、段階的な発色をした結晶化
ガラスを得るためには前記温度勾配を段階的に変化させ
るように調節し、このような加熱装置で熱処理すればよ
い。また、段階的に色調が変化したシェード部は、結晶
化ガラス片を異なった温度で熱処理し、該ガラス片を適
宜組み合わせて接合することによっても形成することが
できる。結晶化ガラス片の接合方法は、特に限定されな
いが、接着剤で接着する方法、各結晶化ガラス片に支持
棒を貫通させ両側を止める方法等を例として挙げること
ができる。図2は、該ガラス片を接合して作製したシェ
ードガイドを表した図である。各結晶化ガラス片21、
22、23、24は異なった色調を有している。該色調
は、天然歯の色調に合わせて適宜選択することができ
る。また、種々の色を施した結晶化ガラス片を種々用意
しておけば、これらを自由に組み合わせて使用すること
ができる。歯科医師らは、上記のような種々の色調を備
えたシェードガイドを数本用意し、患者の天然歯の色合
わせをする(図3)。
【0017】前記結晶化ガラス板は、歯科用人工歯に使
用される結晶化ガラスと同じものであり、人工歯用に使
用される組成を有していれば特に限定されない。本発明
では、重量比で、8〜11%のLi2 CO3 、20〜2
8%のMgO、11〜15%のAl23 、35〜45
%のSiO2 、10〜15%のNa2 SiF6 、0〜5
%のZnO、0〜5%のZrO2 、0〜0.5%のY2
3 を主成分とし、着色材として2%以下のCeO2
TiO2 、Fe23 等の金属酸化物を含む結晶化ガラ
スを用いることが好ましい。
【0018】以上のように、本発明のシェードガイド
は、適切に色調の施された1つのシェード部と該シェー
ド部を支持する支持棒とを具備したことを特徴とする。
次に本発明のシェードガイドの製造方法を説明する。
【0019】本発明のシェードガイドのシェード部は、
上記結晶化ガラス板を熱処理することによって得ること
ができる。結晶化ガラス板の熱処理は、上記組成のガラ
ス板を適切な温度に設定された加熱装置内に置くことに
よって行われる。前記加熱装置は、結晶化ガラス板を適
切な温度で熱処理できるものであれば、特に限定されな
いが、電熱線を用いた炉や、高周波により加熱した金属
等の誘導体を発熱体とした加熱炉等を例として挙げるこ
とができる。
【0020】本発明において、上記の連続的な色調の変
化を有するシェード部を得るためには、加熱装置の内部
温度に温度勾配を設けておけばよい。該温度勾配を設け
る方法としては、例えば、加熱装置として電熱線ヒータ
ーを使用した炉を用いるような場合は、該炉の一方向に
電熱線ヒーターを偏らせる方法(図4)、電熱線ヒータ
ーを結晶化ガラス板の周囲をとりまくように配置した炉
において、該ヒーターの巻き線数を変化させる方法(図
5)、温度設定の異なる炉を複数個組み合わせる方法
(図6)等を挙げることができる。温度設定の異なる炉
を複数個組み合わせる方法は、温度勾配を段階的に変化
させることもでき、結晶化ガラス板上の色調を段階的に
変化させることも可能である。また、別の方法として、
一定の温度に設定された加熱装置に、結晶化ガラス板を
導入し、一定の割合で移動速度を変化させながら、該結
晶化ガラス板を移動させる方法がある(図7)。これら
の方法は、後述する実施例で詳細に説明する。
【0021】また、段階的に色調が変化したシェード部
は、上記の温度勾配を段階的に変化するように設定する
ことによっても製造することができるが、結晶化ガラス
片を異なった一定温度で熱処理し、該ガラス片を適宜組
み合わせて接合することによっても形成することができ
る。接合には接着剤による接着方法、各結晶化ガラス片
に支持棒を貫通させ両側を止める方法等があるが、本発
明では、これらに限定されない。
【0022】本発明のシェードガイドのシェード部を熱
処理するための温度は、天然歯の色調によってシェード
部の発色を異なるようにしなければならないので、特に
限定することはできないが、一般には、臨床でよく使用
される人工歯の色調を出すことができる750〜950
℃の範囲であることが好ましい。特に好ましくは880
から910℃の温度範囲である。
【0023】このように熱処理された結晶化ガラス板
は、必要に応じて研磨等を施し、前記支持棒を上記のよ
うに接合して本発明のシェードガイドを作製する。本発
明のシェードガイドは、歯科医師と、歯科技工士にそれ
ぞれ所持される。歯科医師は、患者の口腔内にシェード
ガイドをいれ、シェードガイドと患者の天然歯を見比べ
る(図3)。歯科医師は、患者の天然歯に最も近い色調
である部分をシェード部上で特定し、その色調に相当す
る熱処理温度を技工士に伝える。技工士は、その指定さ
れた熱処理温度で人工歯を熱処理し、人工歯を作製す
る。このようにすることによって、治療される天然歯に
最も近い色調を有する人工歯を作製することができる。
【0024】
【作用】本発明のシェードガイドは、シェード部、該シ
ェード部を支持する支持棒より形成される。シェード部
は、結晶化ガラス板でできており、該結晶化ガラス板を
加熱装置で熱処理することにより、連続的若しくは段階
的な色調の変化を該ガラス板に施す。得られたシェード
ガイドは、歯科医師と、歯科技工士にそれぞれ所持され
る。歯科医師は、患者の口腔内にシェードガイドを入
れ、シェードガイドと患者の天然歯を見比べる。歯科医
師は、患者の天然歯に最も近い色調である部分をシェー
ド部上で特定し、その色調に相当する熱処理温度を技工
士に伝える。技工士は、その指定された熱処理温度で人
工歯を熱処理し、人工歯を作製する。このようにするこ
とによって、治療される天然歯に最も近い色調を有する
人工歯を作製することができる。
【0025】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に
説明する。 実施例1 図1を参照して本発明のシェードガイドを説明する。
【0026】本実施例のシェードガイド1は、結晶化ガ
ラスに910℃から880℃までの熱処理を連続的に施
し、シェード部10の発色を連続的に変化させるように
したものである。このシェードガイド1の前記シェード
部10は支持棒11により支持されている。支持棒と、
シェード部の接合方法は、特に限定されるものではない
が、例えば接着剤によって接着する方法でもよく、また
ネジ山を切って螺着するものでもよい。シェード部10
は、重量比で9%のLi2 CO3 、27.7%のMg
O、13%のAl23 、39%のSiO2 、12%の
Na2 SiF6 、1%のZnO、1%のZrO2 、0.
1%のY23 、0.05%のCeO2 、0.05%の
TiO2 、0.1%のFe23 よりなる結晶化ガラス
を用いて作成した。シェード部10の加熱処理は後述す
るシェード部の作製方法に従って行った。本実施例で
は、熱処理の温度範囲を臨床上よく使用される条件の8
80〜910℃としたが、本発明はこの温度範囲に限ら
れない。これは、結晶化ガラスの組成など諸条件によっ
て人工歯としての適切な発色が異なるためである。本発
明では、シェード部の発色は、例えばシェード部10の
支持棒11が接合された端面12から対向する他端面1
3に向けて変化させることができ、またこの逆にするこ
ともできる(図面では、特に示さない限り色調の変化は
示していない。)。また、シェード部の発色は、上記の
ように連続的である必要はなく、図2に示されるように
異なった熱処理温度で熱処理した結晶化ガラスを順次接
合して発色が段階的に変化しているシェードガイド2を
作成してもよい。段階的に色調が変化したシェードガイ
ド2の結晶化ガラス片(21、22、23及び24)の
熱処理は後述するシェード部の作製方法に従って行っ
た。図2には、880℃、890℃、900℃及び91
0℃の温度で熱処理した結晶化ガラス片(21、22、
23及び24)を接合したシェード部25と該シェード
部25を支える支持棒26で構成されるシェードガイド
2の例を示した。このシェードガイド1及び2の大きさ
は40×5×1mmである。
【0027】上記のシェードガイド1又は2は以下のよ
うにして使用される。歯科医師は、患者の口腔内にシェ
ードガイド1又は2を入れ、図3に示したようにシェー
ド部10又は25と患者の治療する歯32を見比べ、シ
ェード部(10又は25)上で、治療する歯と最も近い
発色をしている部分を決定する。歯科医師は、その発色
の場所に相当する温度を技工士に伝え、技工士はその熱
処理条件で結晶化ガラスを熱処理し、人工歯を作製す
る。
【0028】本実施例のようなシェードガイドを用いる
ことにより、歯科医師は色合わせの際に熱処理の異なっ
たシェードガイドを持ち変えることなく最適な熱処理温
度を速やかに決定することができる。また、上記の連続
的に変化しているシェードガイド1を用いると、各温度
間の補間が容易に行えるので、更に正確な熱処理温度の
決定が可能になる。
【0029】実施例2 本実施例のシェードガイドは、図8及び9に示されるよ
うに、上記実施例1の発色が連続的に変化しているシェ
ード部10に、更に熱処理温度目盛り8を備えたシェー
ドガイドである。なお、本実施例のシェードガイド部は
実施例1のシェードガイド部と同じである。熱処理温度
目盛り8は、適切な温度で熱処理した結晶化ガラス片8
1〜87の標本を幾つかの温度について作製し、該ガラ
ス片標本の各標本の発色に対する熱処理温度を目盛板8
8に目盛ることによって作製することができる。この熱
処理温度目盛りと本実施例により得られたシェード部を
比較することにより、シェードガイドをより正確に使用
することが可能になる。
【0030】図8は、本実施例により、880℃から9
10℃の熱処理温度範囲で作製されたシェード部10、
並びに該温度範囲において5℃刻みで各々熱処理した結
晶化ガラス片81から87と、該結晶化ガラス片に対し
て目盛られた熱処理温度目盛りを図示したものである。
【0031】本実施例では、880から910℃までの
温度範囲でシェード部10を作製しているが、本発明は
これらに限られるものではない。また、上記結晶化ガラ
ス片も880℃から910℃の間で5℃刻みで熱処理さ
れているが、本発明はこれに限定されるものではなく、
本発明のシェードガイドのシェード部の温度範囲に合わ
せて適宜温度範囲と温度刻みを設定することができる。
熱処理温度目盛りは、図9に示されているようにシェー
ドガイド1と別々であってもよく、またシェード部10
と一体となっていてもよい。
【0032】シェードガイドと熱処理温度目盛りが別々
の場合、歯科医師は、シェード部上で、患者の天然歯に
最も近い発色の位置を見つけ、その後にシェード部の横
に熱処理温度目盛りをあてがい、前述の位置の発色が何
℃の熱処理に対応するかを判断する。
【0033】本実施例の熱処理温度目盛りを用いること
により、より正確な熱処理温度を決定することができ
る。 実施例3 図10を参照して本実施例を説明する。図10は本発明
のシェードガイド100を表わしたものである。各シェ
ードガイドは、結晶化ガラス片より成るシェード部11
1〜114と、該シェード部を支える支持棒115〜1
18より構成される。シェード部111〜114は、各
々重量比で、9%のLi2 CO3 、27.7%のMg
O、13%のAl23 、39%のSiO2 、12%の
Na2 SiF6 、1%のZnO、1%のZrO2 、0.
1%のY23 、0.05%のCeO2 、0.05%の
TiO2 、0.1%のFe23 よりなる結晶化ガラス
を用いて作成した。シェード部は880℃、890℃、
900℃、910℃の各温度で熱処理した。本実施例で
は、臨床上よく使用される880から910℃の温度範
囲で10℃刻みで熱処理したが、本発明はこれらの温度
に限られない。また、上記組成よりなる結晶化ガラスの
他に、着色剤であるCeO2 のみを0.1重量%とした
結晶化ガラス(その他の成分については上記組成と同
じ)も用意されている。後者はCeO2 の増量により前
者より黄色の強い発色をする結晶化ガラスで、前者を基
本色A色、後者を基本色B色として、患者の天然歯の色
によって適宜使い分ける。図10には示していないが、
基本色A、Bのそれぞれについて、上記のように各温度
毎に作製したシェードガイドが用意されている。
【0034】歯科医師は、図3に示されるように、患者
の口腔内31に上記シェードガイドを入れ、順次患者の
天然歯と比べる。更に基本色の異なるシェードガイドに
ついても同様に患者の天然歯と比べ、最も天然歯に近い
色調のシェードガイド(例えばA色の890℃)を選択
する。歯科医師は、選択したシェードガイドの基本色と
熱処理温度を技工士に伝え、技工士はその指定された条
件(A色、890℃)に合わせて人工歯を作成する。
【0035】このように、結晶化ガラス人工歯と同じ材
質から成るシェードガイドを用いることにより、ポーセ
レンシェードガイドを用いた場合よりも結晶化ガラス人
工歯の正確な色合わせが可能になる。特に、結晶化ガラ
スの熱処理温度を決める際に、実際に熱処理を施した結
晶化ガラス片を参考にするため、正確な熱処理温度を決
定することができる。
【0036】以下では本発明のシェードガイドの作製方
法について実施例をもとに説明する。 実施例4 図4に基づいて本発明のシェードガイドの作製方法を示
す。図4は、異なった熱処理温度の発色が連続的に変化
しているシェードガイド1の作製方法の一例である。本
実施例によるシェードガイド1の作製方法では、炉4を
使用する。炉4は、図4に示されるように、適切な断熱
材41によって覆われており、炉口42と反対側の炉の
奥の部分に、ヒーター43が配置されている。更に炉奥
には熱電対45が炉奥に設置されている。熱電対45は
温度制御装置(図示せず)に接続されており、熱電対4
5で測定された信号が温度制御装置に伝達されるように
なっている。本実施例では、ヒーター43が炉の奥に偏
って配置されているため、炉内の温度は図4中のグラフ
に示されるように炉の奥からの距離に対して指数関数的
に低くなる。このような炉内に結晶化ガラス板44(シ
ェード部に相当するもの)を置く。この際、結晶化ガラ
ス板の炉奥側の端が熱電対のなるべく近くに位置するよ
うに結晶化ガラス板を置き、熱電対の温度が近似的に結
晶化ガラス板の端の温度になるように結晶化ガラス板を
配置する。温度制御装置は、結晶化ガラス板上の炉奥側
(高温側)の端の温度が、910℃になるようにヒータ
43を制御する。上記のように炉内は、指数関数的な温
度勾配を有するので、一個の結晶化ガラス板上で異なっ
た熱処理温度が施されることになり、連続的に変化した
色調を有する結晶化ガラス板を得ることができる。温度
制御装置により結晶化ガラス板の炉奥側(高温側)の端
が910℃になるように熱処理したため、結晶化ガラス
板上では910℃の熱処理の発色から、それより低い温
度の発色へ連続的に変化した色調を有する結晶化ガラス
板を得ることができる。得られた結晶化ガラス板に必要
に応じて研磨等の処理を施すことにより、シェード部が
完成する。このシェード部に支持棒を取り付けることに
より、シェードガイドが得られる。支持棒と、シェード
部の接合方法は、特に限定されるものではないが、例え
ば接着剤によって接着する方法でもよく、またネジ山を
切って螺着するものでもよい。
【0037】先に述べたように、炉内は指数関数的な温
度勾配を有するので、シェード部の発色から正確な熱処
理温度が得にくい場合がある。従って、発色に対応した
熱処理温度目盛り8を作製し、これをシェードガイドに
付属させることが好ましい(図8)。この温度目盛は、
上記実施例2で示した方法によって作成することができ
る。
【0038】例えば、880℃から910℃の熱処理温
度範囲で作製されたシェード部10、並びに該温度範囲
において5℃刻みで各々熱処理した結晶化ガラス片と、
該結晶化ガラス片に対して目盛られた熱処理温度目盛り
を用いることができる。
【0039】本実施例では、880から910℃までの
温度範囲でシェード部を作製しているが、本発明はこれ
らに限られるものではない。また、上記結晶化ガラス片
も880℃から910℃の間で5℃刻みで熱処理されて
いるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発
明のシェードガイドのシェード部10の温度範囲に合わ
せて適宜温度範囲と温度刻みを設定することができる。
【0040】異なった熱処理温度のシェードガイドを作
製する場合には、各温度で熱処理を施さなければならな
いが、本実施例によれば、延べ1回の熱処理で、発色が
連続的に変化したシェードガイドを作製することができ
る。
【0041】実施例5 本実施例は、結晶化ガラス板の発色が連続的に変化して
いるシェード部を有するシェードガイドの作製方法の別
の例である。
【0042】以下に図5を参照して本実施例を説明す
る。図5において、5は炉を表し、該炉は、例えば円筒
形をしている。炉5の外周には、巻き線ヒーター51が
配置され、このヒーターによって炉5が加熱される。炉
内の一端(例えば図5のA側)には熱電対53が設けら
れている。熱電対は、温度制御装置(図示せず)に接続
されており、熱電対で測定された信号が温度制御装置に
伝達されるようになっている。炉5においては、炉内が
図5中のグラフに示されるような温度勾配となるように
ヒーターの巻き線数が調整されている。例えば、炉の一
端側(例えば図5におけるA側)のヒーターの巻き数を
多くし、反対側の一端(例えば、図5におけるB側)に
向けて相対的に巻き数を少なくしていく。このようにす
ることによって炉内の温度を、炉の一端側(例えば図5
のA側)が高温で、炉の他の一端(例えば図5のB側)
に近づくにつれ温度が低くなるような温度勾配とするこ
とができる。このヒーターの巻き方を適宜調節すること
により、炉内の温度勾配を直線的にしたり、指数関数的
にしたりすることができる。温度勾配は、図5中のグラ
フに示されるように直線的であることが好ましい。これ
は、熱処理したときの結晶化ガラスの発色が、一定の割
合で連続的に変化するようになるため、発色と熱処理温
度との対応関係を容易に見い出すことができるためであ
る。以上のようにヒーターによって適切に温度勾配が設
定された炉内に、シェードガイドのシェード部に相当す
る結晶化ガラス板52を置き、熱処理を施す。その際、
結晶化ガラス板の一端が熱電対に極力近付くように置
き、熱電対の温度が近似的に結晶化ガラス板の一端の温
度になるように結晶化ガラス板を配置する。温度制御装
置は結晶化ガラス板上のA側(高温側)の端の温度が9
10℃になるようにヒーター51を制御する。このよう
な炉で熱処理された結晶化ガラス板は、図5中に示した
温度勾配に対応した連続的な発色をする。結晶化ガラス
板のA側(高温側)の端は910℃になるように熱処理
を施しているので、結晶化ガラス板上では910℃の発
色からそれより低い温度の発色へ連続的に変化した色調
を有する結晶化ガラス板を得ることができる。本実施例
で使用したガラス板52の成分、大きさなどは、実施例
1で説明したのと同様である。
【0043】本実施例では、臨床で最もよく使用され
る、880〜910℃の温度範囲で熱処理を行うことが
好ましいが、本発明はこの温度範囲に限定されない。上
記のようにして熱処理された結晶化ガラス片は、必要に
応じて研磨などの処理を施すことにより歯科用に使用し
うるシェード部とすることができる。このシェード部に
支持棒を取り付けることにより、シェードガイドを作製
することができる。この取り付けは、上記実施例1で示
した方法をそのまま利用することができる。
【0044】本実施例による作製方法では、巻き線ヒー
ターの巻き数を調整することにより、炉内の温度勾配を
直線的にすることが可能である。このため、一個の結晶
化ガラス板上で温度が一定の割合で連続的に変化するた
め、この温度に対応して結晶化ガラス板の発色も一定の
割合で連続的に変化する。従って、この結晶化ガラスに
よるシェードガイドを用いれば熱処理温度を容易に決定
することができる。更に、熱処理温度目盛りを具備する
シェードガイドを使用することもでき、この場合には、
温度勾配が均等であるので、熱処理温度の上限と下限を
均等に分割して、等間隔に温度目盛りをつけることがで
きる。従って、より容易に且つ正確に熱処理温度を決定
することができる。
【0045】実施例6 本実施例は、シェード部の発色が連続的に変化している
シェードガイドの作製方法の別の例である。
【0046】本実施例を図6を参照して説明する。図6
において、6は本実施例に従った炉である。該炉6は4
つの炉61〜64によって構成されており、各々の炉
は、その内部にヒーターが設けられており、61、6
2、63、64の順で連結されている。前記4つの炉
(61〜64)には、各々熱電対TC1からTC4が取
り付けられており、各ヒーターで加熱された炉の温度を
測定できるようになっている。熱電対は各々温度制御装
置(図示せず)に接続されており、熱電対で測定された
信号が温度制御装置に伝達されるようになっている。温
度制御装置は、入力された熱電対からの信号をもとに各
々の炉の温度が一定に保たれるようにヒーターを制御す
る。本実施例では、各炉の温度は、880から910℃
の範囲にあり、炉61側から炉64側に向けて直線的な
温度勾配(図6中のグラフ参照)となるようにヒーター
を制御する。即ち、炉61のTC1の温度が910℃
で、炉64のTC4の温度が880℃となり、この間の
温度勾配が直線的になるように制御する。このように制
御された炉内に結晶化ガラス板65を置き熱処理を施
す。これによって、熱処理された結晶化ガラス板65
は、熱処理の温度勾配に対応した連続的な発色をする。
本実施例で使用したガラス板65の成分、大きさ等は、
実施例1で説明したのと同様である。
【0047】本実施例では、臨床で最もよく使用され
る、880〜910℃の温度範囲で熱処理を行ったが、
本発明はこの温度範囲に限定されない。また、本実施例
では、4つの炉を連結した例を示したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、更に多数の炉を用いること
もできれば、また少数の炉を用いることもできる。より
多くの炉を用いることによって、更に細かい温度勾配を
設定することが可能になる。
【0048】上記のようにして熱処理された結晶化ガラ
ス板は、必要に応じて研磨などの処理を施すことにより
歯科用に使用しうるシェード部とすることができる。こ
のシェード部に支持棒を取り付けることにより、シェー
ドガイドを作製することができる。シェード部と支持棒
の接合は、実施例1で説明した方法をそのまま使用する
ことができる。
【0049】本実施例によれば、独立のヒーターを備え
た独立の炉を複数個組み合わせて温度勾配を生じさせて
いるので、温度を所望の勾配に設定することが可能であ
る。これによって、結晶化ガラス板上での熱処理温度の
範囲を拡大又は縮小することができる。温度設定の異な
る炉を複数個組み合わせる方法は、温度勾配を段階的に
変化させることもでき、結晶化ガラス板上の色調を段階
的に変化させることも可能である。
【0050】実施例7 本実施例は、結晶化ガラス板の発色が連続的に変化して
いるシェード部を有するシェードガイドを作製する別の
例である。
【0051】本実施例に従った結晶化ガラスの熱処理
は、一定の温度に保持されたヒーターに、移動速度を適
切に変化させながら結晶化ガラス板を通過させることに
より行われる。
【0052】以下に本実施例を図7を参照して説明す
る。図7において、7は本実施例に従った熱処理装置で
ある。熱処理装置7は、試料加熱装置71及び試料移動
装置72よりなる。試料加熱装置71において、炉体7
11は内部に設けられたヒーター線712によって加熱
される。本実施例では、炉体は内径30mmの円筒型を
しており、その内周に沿ってヒーター線が巻かれ、円筒
炉内は温度勾配があまりないように(均熱帯をなすよう
に)ヒーター線が巻かれている。本実施例では、発熱体
として電熱線を用いているが、高周波により加熱した金
属などの誘導体を発熱体としてもよいし、これに限るも
のではない。また、本実施例の炉体は円筒型をしている
が、均熱帯をなすような炉の形態であればこれに限るも
のではない。炉体の中央付近には熱電対713が設けら
れており、炉内の均熱帯の温度を測定している。熱電対
713で測定された信号は温度制御装置714に伝達さ
れるようになっている。温度制御装置は入力された熱電
対713からの信号をもとに、炉内の均熱帯の温度を9
10℃に保つようにヒーターを制御する。
【0053】さらに以下のように、試料移動装置72に
より結晶化ガラス板727を速度を変えながら炉体71
1中を通過させる機構が設けられている。試料移動装置
72においては、モーター721とプーリー722の間
に張られた駆動ベルト723が、モーター721の回転
により図7上では左右方向に移動するようになってい
る。モーター721の回転はモーター制御装置724に
より制御される。本実施例では駆動ベルト723にはシ
リコンゴムを用いたが、これに限らない。また駆動伝達
ができればベルトに限らずチェーン等でもよい。さらに
駆動ベルト723上面には支持台725が結合されてお
り、駆動ベルト723の左右方向の移動に連動するよう
になっている。本実施例では、支持台725と駆動ベル
ト723は接着剤により接合されているが、ネジ等によ
って接合されていてもよいし、両者の摩擦力によってお
互いに滑らないようにするものでもよく、これに限られ
るものではない。支持台725には、支持台725が自
重で倒れないように不倒板726が設けられている。本
実施例では支持台725には耐熱衝撃性の強いアルミナ
焼結体を用いたがこれに限るものではない。そのような
支持台725の上に結晶化ガラス板727を載せる。支
持台725は、モーターにより駆動される駆動ベルト7
23に連動して図7中では左右方向に動くようになって
おり、支持体725に載せた結晶化ガラス板727が炉
体711中を通過できるようになっている。モーター7
21は、モーター制御装置724により制御され、結晶
化ガラス板727の移動速度Vを制御する。本実施例で
は、結晶化ガラス板727の移動速度Vは、均熱帯に進
入するときは20mm/秒とし、均熱帯を通過するにつ
れて速度を減少させ、通過し終わるときには5mm/秒
となるようにモーター721を制御した。
【0054】結晶化に使用されるエネルギーは、「温度
×時間」に影響されるため、一定の温度であっても熱処
理時間が長くなれば結晶化が進むことになり、一定時間
で温度勾配を施して熱処理した場合と同じ効果を得るこ
とができる。このような効果を得るためには、均熱帯を
結晶化ガラスが移動する速度を変化させればよい。結晶
化ガラスの移動速度を変化させることにより、結晶化ガ
ラス板の熱処理時間が変化したことになり、結晶化ガラ
ス板の一端(例えば、図11のaで表した部分)から他
端(例えば、図11のbで表した部分)に向けて結晶化
の度合いに差が生じることになる。例えば、均熱帯に結
晶化ガラス板を通過させるときに、本実施例のように次
第に移動速度を遅くすると、上記bの側は相対的に結晶
化が進んでおらず、aの側に近づくにつれ、相対的に結
晶化が進んだ状態となる。これは、結晶化ガラス板のb
側からa側にかけて、低温から高温の温度勾配を設けて
熱処理した場合に相当する。従って、移動速度の変化の
割合を一定にすることによって、発色が一定の割合で連
続的に変化した結晶化ガラス板を得ることが可能であ
る。更に、結晶化ガラス板の移動速度Vを段階的に変化
させることによって、結晶化ガラス板の発色を段階的に
変化させることも可能である。
【0055】上記のようにして熱処理された結晶化ガラ
ス板は、必要に応じて研磨などの処理を施すことにより
歯科用に使用しうるシェード部とすることができる。こ
のシェード部に支持棒を取り付けることにより、シェー
ドガイドを作製することができる。シェード部と支持棒
の接合は、上記実施例1で説明した方法をそのまま使用
することができる。
【0056】本実施例によれば、ヒーターの温度を一定
に保持しておくだけでよく、温度制御が簡単容易であ
る。また、温度勾配を設けるための装置や制御が不要で
あること、及び均熱帯の幅を比較的狭くすることができ
るので、炉のスペースが小さくてすむ。
【0057】以上実施例に基づいて、本発明を説明した
が、本発明は上述した実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能で
ある。ここで、本発明の要旨をまとめると以下のように
なる。
【0058】(1)実施例1(図1〜3)に対応 一つのシェード部と該シェード部を支持する支持棒とを
具備した結晶化ガラス製人工歯用シェードガイドであっ
て、前記シェード部が、結晶化ガラス板で形成され、更
に、前記シェード部の発色が、前記一個のシェード部上
で連続または段階的に変化していることを特徴とする結
晶化ガラス製人工歯用シェードガイド。
【0059】このような結晶化ガラス製人工歯用シェー
ドガイドによれば、シェード部が連続又は段階的に変化
して発色しているので、複数のシェードガイドを持ち変
えることなく、速やかに、且つより正確に、治療してい
る歯と最も近い発色をする人工歯の熱処理温度を決定す
ることが可能となる。
【0060】(2)実施例4〜6(図4〜6)に対応 温度勾配を有する加熱装置によって前記結晶化ガラス板
を熱処理して前記シェード部を作製し、該シェード部と
前記支持棒を接合することを特徴とする上記(1)に記
載の結晶化ガラス製人工歯用シェードガイドの製造方
法。
【0061】このような結晶化ガラス製人工歯用シェー
ドガイドの製造方法によれば、結晶化ガラス板の発色に
対応した熱処理温度で複数回熱処理する必要がなく、延
べ1回の熱処理で、連続又は段階的に発色が異なるシェ
ードガイドを作製することができる。
【0062】(3)実施例7(図7)に対応 前記結晶化ガラス板を、一定温度に設定された加熱装置
に通過させ、該通過の時の通過速度を変化させながら前
記結晶化ガラス板に熱処理を施して前記シェード部を作
製し、該シェード部と前記支持棒を接合することを特徴
とする上記(1)に記載の結晶化ガラス製人工歯用シェ
ードガイドの製造方法。
【0063】このような結晶化ガラス製人工歯用シェー
ドガイドの製造方法によれば、結晶化ガラス板の発色に
対応した熱処理温度で複数回熱処理する必要がなく、延
べ1回の熱処理で、連続又は段階的に発色が異なるシェ
ード部を有するシェードガイドを作製することができ
る。さらに、ヒーターの温度を一定にしておくだけでよ
いので、温度勾配の制御が不要となり、温度制御が容易
な製造方法とすることができる。
【0064】(4)実施例2(図8、9)に対応 熱処理温度目盛りをさらに具備したことを特徴とする上
記(1)記載の結晶化ガラス製人工歯用シェードガイ
ド。
【0065】このような結晶化ガラス製人工歯用シェー
ドガイドによれば、熱処理温度の目盛りを備えているの
でより正確に熱処理温度を知ることができる。 (5)実施例1〜7に対応 前記結晶化ガラス板が、重量比で8〜11%のLi2
3 、20〜28%のMgO、11〜15%のAl2
3 、35〜45%のSiO2 、10〜15%のNa2
iF6 、0〜5%のZnO、0〜5%のZrO2 、0〜
0.5%のY23 を主成分とし、着色材として2%以
下のCeO2 、TiO2 、Fe23 等の金属酸化物を
含む結晶化ガラスより成る上記(1)に記載の結晶化ガ
ラス製人工歯用シェードガイド。
【0066】このような結晶化ガラス製人工歯用シェー
ドガイドによれば、熱処理による発色、強度が天然歯に
近いシェードガイドを得ることができる。 (6)実施例3(図10)に対応 シェード部と該シェード部を支持する支持棒とを具備
し、前記シェード部が結晶化ガラス板で形成されたシェ
ードガイドであって、前記シェード部が異なる色に発色
された複数個のシェードガイドを組み合わせて構成され
たことを特徴とする結晶化ガラス製人工歯用シェードガ
イド。
【0067】このような結晶化ガラス製人工歯用シェー
ドガイドによれば、より正確に、治療している歯と最も
近い発色をする人工歯の熱処理温度を決定することが可
能となる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、結晶化ガラス板ででき
た一枚のシェード部上に連続的、又は段階的な色調の変
化を有するシェードガイドが提供される。本発明の色調
が連続的又は段階的なシェードガイドを用いることによ
り、歯科医師は色合わせの際に熱処理の異なったシェー
ドガイドを持ち変えることなく最適な熱処理温度を速や
かに決定することができる。また、連続的に変化してい
るシェードガイドを用いると、各温度間の補間が容易に
行えるので、更に正確な熱処理温度の決定が可能にな
る。更に、本発明のシェードガイドには、必要に応じて
熱処理温度目盛りを付属させることができ、これを用い
ることによってより正確に熱処理温度を決定することが
可能となる。
【0069】本発明のシェードガイドの製造方法によれ
ば、加熱装置に温度勾配を設けるため、シェードガイド
のシェード部に相当する結晶化ガラス板に容易に連続的
な色調の変化を施すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のシェードガイドの1態様を表
わす概略図である。
【図2】 図2は本発明のシェードガイドの1態様を表
わす概略図である。
【図3】 図3は本発明のシェードガイドを色合わせに
使用する場合の模式図である。
【図4】 図4は本発明のシェードガイドの製造方法の
1態様を表わす概略図である。
【図5】 図5は本発明のシェードガイドの製造方法の
1態様を表わす概略図である。
【図6】 図6は本発明のシェードガイドの製造方法の
1態様を表わす概略図である。
【図7】 図7は本発明のシェードガイドの製造方法の
1態様を表わす概略図である。
【図8】 図8は本発明の温度目盛付シェードガイドの
シェード部、温度目盛及び該温度目盛を作成するための
標準ガラス片を表わした概略図である。
【図9】 図9は本発明の温度目盛付シェードガイドの
概略図である。
【図10】 図10は本発明のシェードガイドの1態様
を表わす平面概略図である。
【符号の説明】
1、2、100…シェードガイド;7;熱処理装置;1
0、25、111、112、113、114…シェード
部;11、26、115、116、117、118…支
持棒;21、22、23、24、81、82、83、8
4、85、86、87…結晶化ガラス片;44、52、
65、727…結晶化ガラス板;12、13、a、b…
シェード部の端面;31…口腔;32…治療する歯;
4、5、6…炉;41…断熱剤;42…炉口;43、5
1、71…試料加熱装置;61、62、63、64…
炉;45、53、713、TC1、TC2、TC3、T
C4…熱電対;8…熱処理温度目盛;88…目盛板;
A、B…炉の開口部;72…試料移動装置;711…炉
体;712…ヒーター線;714…温度制御装置;72
1…モーター;722…プーリー;723…駆動ベル
ト;724…モーター駆動装置;725…支持台;72
6…不倒板。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つのシェード部と該シェード部を支持
    する支持棒とを具備した結晶化ガラス製人工歯用シェー
    ドガイドであって、前記シェード部が、結晶化ガラス板
    で形成され、更に、前記シェード部の発色が、前記一個
    のシェード部上で連続または段階的に変化していること
    を特徴とする結晶化ガラス製人工歯用シェードガイド。
  2. 【請求項2】 温度勾配を有する加熱装置によって前記
    結晶化ガラス板を熱処理して前記シェード部を作製し、
    該シェード部と前記支持棒を接合することを特徴とする
    請求項1に記載の結晶化ガラス製人工歯用シェードガイ
    ドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記結晶化ガラス板を、一定温度に設定
    された加熱装置に通過させ、該通過の時に通過速度を変
    化させながら前記結晶化ガラス板に熱処理を施して前記
    シェード部を作製し、該シェード部と前記支持棒を接合
    することを特徴とする請求項1に記載の結晶化ガラス製
    人工歯用シェードガイドの製造方法。
JP11692894A 1994-05-30 1994-05-30 結晶化ガラス人工歯用シェードガイド及びその製造方法 Withdrawn JPH07313536A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010502286A (ja) * 2006-08-28 2010-01-28 デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド 歯科用修復物の製造方法

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