JPH07306201A - 破骨細胞評価用基板の製造方法 - Google Patents
破骨細胞評価用基板の製造方法Info
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- JPH07306201A JPH07306201A JP12309294A JP12309294A JPH07306201A JP H07306201 A JPH07306201 A JP H07306201A JP 12309294 A JP12309294 A JP 12309294A JP 12309294 A JP12309294 A JP 12309294A JP H07306201 A JPH07306201 A JP H07306201A
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- apatite
- osteoclast
- osteoclasts
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 破骨細胞の活動により形成される吸収窩が確
認し易い破骨細胞評価用基板を製造する方法を提供す
る。 【構成】 まずCaOとSiO2 を主成分とするガラス
若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成分と
するガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックスから
なる基材を用意する。次いでこの基材をカルシウムイオ
ンとリン酸イオンを含む溶液中に浸漬することにより、
基材表面にアパタイト膜が形成された破骨細胞評価用基
板を得る。
認し易い破骨細胞評価用基板を製造する方法を提供す
る。 【構成】 まずCaOとSiO2 を主成分とするガラス
若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成分と
するガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックスから
なる基材を用意する。次いでこの基材をカルシウムイオ
ンとリン酸イオンを含む溶液中に浸漬することにより、
基材表面にアパタイト膜が形成された破骨細胞評価用基
板を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は破骨細胞の活性度を評価
するために用いられる破骨細胞評価用基板の製造方法に
関するものである。
するために用いられる破骨細胞評価用基板の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】骨組織は骨形成と骨吸収が絶えず行わ
れ、古い骨が吸収された後に新しい骨が形成される過程
が繰り返される。この活動のうち骨吸収は破骨細胞が担
っているが、様々な疾患により破骨細胞の働きに障害が
生じると骨代謝異常が起こることが知られている。この
ため破骨細胞の働きを評価することが重要となってい
る。例えば骨量が低下し、骨折を起こし易くなる骨粗し
ょう症では、破骨細胞の活動を抑える治療薬が開発され
ているが、このような薬の効果を評価する場合には破骨
細胞の機能評価が不可欠である。
れ、古い骨が吸収された後に新しい骨が形成される過程
が繰り返される。この活動のうち骨吸収は破骨細胞が担
っているが、様々な疾患により破骨細胞の働きに障害が
生じると骨代謝異常が起こることが知られている。この
ため破骨細胞の働きを評価することが重要となってい
る。例えば骨量が低下し、骨折を起こし易くなる骨粗し
ょう症では、破骨細胞の活動を抑える治療薬が開発され
ているが、このような薬の効果を評価する場合には破骨
細胞の機能評価が不可欠である。
【0003】ところで破骨細胞は、プロトンイオン(H
+ )を分泌することによって局所のpHを低下させ、骨
の成分であるアパタイトを溶解して吸収する。このため
その機能評価は、牛骨や鯨デンティン等の生物試料上で
破骨細胞を培養し、破骨細胞の活動による吸収窩が形成
されているか否かや破骨細胞の大きさ等を評価すること
が行われている。
+ )を分泌することによって局所のpHを低下させ、骨
の成分であるアパタイトを溶解して吸収する。このため
その機能評価は、牛骨や鯨デンティン等の生物試料上で
破骨細胞を培養し、破骨細胞の活動による吸収窩が形成
されているか否かや破骨細胞の大きさ等を評価すること
が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら牛骨には
骨細胞が存在していたり血管による穴があるため、破骨
細胞による吸収窩が評価し難い。また鯨デンティンは、
骨細胞や血管による穴がなく、スムーズな表面を有して
いるため評価には適しているが、資源保護の問題から入
手が困難になっている。
骨細胞が存在していたり血管による穴があるため、破骨
細胞による吸収窩が評価し難い。また鯨デンティンは、
骨細胞や血管による穴がなく、スムーズな表面を有して
いるため評価には適しているが、資源保護の問題から入
手が困難になっている。
【0005】そこで生物試料の代わりに人工的に評価用
基板を作製する試みがなされており、例えば水酸アパタ
イト焼結体を評価用基板として用いることがバイオマテ
リアル1993年,Vol.14,No.2において提
案されている。しかし水酸アパタイト焼結体は破骨細胞
に吸収され難く、しかも焼結時の気孔や研磨による傷や
穴により、吸収窩が確認し難いという欠点を有してい
る。
基板を作製する試みがなされており、例えば水酸アパタ
イト焼結体を評価用基板として用いることがバイオマテ
リアル1993年,Vol.14,No.2において提
案されている。しかし水酸アパタイト焼結体は破骨細胞
に吸収され難く、しかも焼結時の気孔や研磨による傷や
穴により、吸収窩が確認し難いという欠点を有してい
る。
【0006】本発明の目的は、破骨細胞の活動により形
成される吸収窩が確認し易い破骨細胞評価用基板を製造
する方法を提供することである。
成される吸収窩が確認し易い破骨細胞評価用基板を製造
する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の破骨細胞評価用
基板の製造方法は、CaOとSiO2 を主成分とするガ
ラス若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成
分とするガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックス
からなる基材を、カルシウムイオンとリン酸イオンを含
む溶液中に浸漬して、基材表面にアパタイト膜を形成す
ることを特徴とする。
基板の製造方法は、CaOとSiO2 を主成分とするガ
ラス若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成
分とするガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックス
からなる基材を、カルシウムイオンとリン酸イオンを含
む溶液中に浸漬して、基材表面にアパタイト膜を形成す
ることを特徴とする。
【0008】以下、本発明の製造方法を詳細に説明す
る。
る。
【0009】まずCaOとSiO2 を主成分とするガラ
ス若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成分
とするガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックスか
らなる基材を用意する。
ス若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成分
とするガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックスか
らなる基材を用意する。
【0010】CaOとSiO2 を主成分とするガラスと
しては、重量百分率でCaO20〜60%、SiO2 3
0〜60%、P2 O5 0〜30%、MgO0〜20%、
CaF2 0〜5%からなるものや、CaO20〜30
%、SiO2 20〜60%、Na2 O20〜60%から
なるもの等が使用できる。またCaOとSiO2 を主成
分とする結晶化ガラスとしては重量百分率でCaO20
〜60%、SiO2 30〜60%、P2 O5 0〜30
%、MgO0〜20%、CaF2 0〜5%からなり、ア
パタイトとウォラストナイト、さらに必要に応じてディ
オプサイドや第三リン酸カルシウム等を析出してなるも
の等を使用することができる。
しては、重量百分率でCaO20〜60%、SiO2 3
0〜60%、P2 O5 0〜30%、MgO0〜20%、
CaF2 0〜5%からなるものや、CaO20〜30
%、SiO2 20〜60%、Na2 O20〜60%から
なるもの等が使用できる。またCaOとSiO2 を主成
分とする結晶化ガラスとしては重量百分率でCaO20
〜60%、SiO2 30〜60%、P2 O5 0〜30
%、MgO0〜20%、CaF2 0〜5%からなり、ア
パタイトとウォラストナイト、さらに必要に応じてディ
オプサイドや第三リン酸カルシウム等を析出してなるも
の等を使用することができる。
【0011】Na2 OとSiO2 を主成分とするガラス
としては、Na2 O20〜40%、SiO2 60〜80
%、CaO0〜20%、MgO0〜10%の組成を有す
るもの等が使用できる。
としては、Na2 O20〜40%、SiO2 60〜80
%、CaO0〜20%、MgO0〜10%の組成を有す
るもの等が使用できる。
【0012】リン酸カルシウム系セラミックスとしては
水酸アパタイト焼結体、リン酸水素カルシウム焼結体等
が好ましい。
水酸アパタイト焼結体、リン酸水素カルシウム焼結体等
が好ましい。
【0013】なお基材をこれらの材料に限定した理由は
細胞培養に悪影響を与えないとともに、カルシウムイオ
ン及びリン酸イオンを含む水溶液に漬浸するだけで緻密
で平坦なアパタイト膜を基材表面に形成することができ
るためである。
細胞培養に悪影響を与えないとともに、カルシウムイオ
ン及びリン酸イオンを含む水溶液に漬浸するだけで緻密
で平坦なアパタイト膜を基材表面に形成することができ
るためである。
【0014】次に基材をカルシウムイオンとリン酸イオ
ンを含む溶液中に漬浸する。
ンを含む溶液中に漬浸する。
【0015】カルシウムイオンとリン酸イオンを含む溶
液は特に限定されるものではないが、イオン濃度が高す
ぎると溶液が不安定になって結晶が析出してしまうこと
があるため、カルシウムイオンはCa2+として10mM
以下、リン酸イオンはHPO4 2- として50mM以下で
あることが好ましい。またトリスヒドロキシメチルアミ
ノメタン50mMや塩酸45mMを加えてpHを6〜
9、好ましくは7.25に調整しておくことが望まし
い。なお溶液の好適な例は、人体液と同じ程度の無機イ
オン濃度を有し、且つ、同程度のpHを有するいわゆる
凝似体液である。表1に凝似体液を示す。これらの中で
も特に好ましいのはNo.3の溶液である。
液は特に限定されるものではないが、イオン濃度が高す
ぎると溶液が不安定になって結晶が析出してしまうこと
があるため、カルシウムイオンはCa2+として10mM
以下、リン酸イオンはHPO4 2- として50mM以下で
あることが好ましい。またトリスヒドロキシメチルアミ
ノメタン50mMや塩酸45mMを加えてpHを6〜
9、好ましくは7.25に調整しておくことが望まし
い。なお溶液の好適な例は、人体液と同じ程度の無機イ
オン濃度を有し、且つ、同程度のpHを有するいわゆる
凝似体液である。表1に凝似体液を示す。これらの中で
も特に好ましいのはNo.3の溶液である。
【0016】
【表1】
【0017】溶液の温度は形成されるアパタイト膜の膜
厚や性状に影響し、温度が高いほどアパタイト膜の成長
が早くなる傾向がある。溶液の温度としては10〜70
℃程度であれば使用可能であるが、30〜45℃、特に
36〜37℃であることが好ましい。
厚や性状に影響し、温度が高いほどアパタイト膜の成長
が早くなる傾向がある。溶液の温度としては10〜70
℃程度であれば使用可能であるが、30〜45℃、特に
36〜37℃であることが好ましい。
【0018】基材の溶液への漬浸時間は、基材の種類、
溶液の種類や温度等によって左右されるが、例えば36
〜37℃の凝似体液を使用した場合、1時間〜7日間で
ある。
溶液の種類や温度等によって左右されるが、例えば36
〜37℃の凝似体液を使用した場合、1時間〜7日間で
ある。
【0019】このようにして基材をカルシウムイオン及
びリン酸イオンを含む溶液中に漬浸することにより、基
材表面に水酸アパタイトや炭酸アパタイトからなる平坦
で緻密なアパタイト膜が形成された破骨細胞評価用基板
を得ることができる。なおアパタイト膜の膜厚は特に限
定されるものではないが、1〜10μmが観察し易く好
ましい。
びリン酸イオンを含む溶液中に漬浸することにより、基
材表面に水酸アパタイトや炭酸アパタイトからなる平坦
で緻密なアパタイト膜が形成された破骨細胞評価用基板
を得ることができる。なおアパタイト膜の膜厚は特に限
定されるものではないが、1〜10μmが観察し易く好
ましい。
【0020】
【作用】本発明の破骨細胞評価用基板の製造方法におい
て、CaOとSiO2 を主成分とするガラス若しくは結
晶化ガラスからなる基材をカルシウムイオンとリン酸イ
オンを含む溶液に漬浸すると、基材表面からカルシウム
イオンが溶出して溶液中のカルシウムイオン濃度を高
め、アパタイトを析出し易くする。また基材表面にシラ
ノール基が形成され、これがアパタイトの核の生成を著
しく誘起して基材表面にアパタイトの核を無数に生成さ
せる。そして生成した核が水溶液中のカルシウムイオン
やリン酸イオンを取り込んで成長し、基材表面にアパタ
イト膜が形成される。
て、CaOとSiO2 を主成分とするガラス若しくは結
晶化ガラスからなる基材をカルシウムイオンとリン酸イ
オンを含む溶液に漬浸すると、基材表面からカルシウム
イオンが溶出して溶液中のカルシウムイオン濃度を高
め、アパタイトを析出し易くする。また基材表面にシラ
ノール基が形成され、これがアパタイトの核の生成を著
しく誘起して基材表面にアパタイトの核を無数に生成さ
せる。そして生成した核が水溶液中のカルシウムイオン
やリン酸イオンを取り込んで成長し、基材表面にアパタ
イト膜が形成される。
【0021】Na2 OとSiO2 を主成分とするガラス
からなる基材を溶液に漬浸すると、ナトリウムイオンが
溶出して溶液中のアパタイトの成分であるOH基濃度が
高まり、アパタイトの析出が容易になる。また基材表面
に多くのシラノール基が形成され、これがアパタイトの
核の生成を著しく誘起するため、上記と同様に基材表面
にアパタイト膜が形成される。
からなる基材を溶液に漬浸すると、ナトリウムイオンが
溶出して溶液中のアパタイトの成分であるOH基濃度が
高まり、アパタイトの析出が容易になる。また基材表面
に多くのシラノール基が形成され、これがアパタイトの
核の生成を著しく誘起するため、上記と同様に基材表面
にアパタイト膜が形成される。
【0022】またリン酸カルシウム系セラミックスから
なる基材を用いた場合は、基材表面からカルシウムイオ
ンが溶出して溶液中のカルシウムイオン濃度を高め、基
材表面付近のアパタイトの過飽和度が高くなる。その結
果、基材表面にアパタイトが析出し、アパタイト膜が形
成される。
なる基材を用いた場合は、基材表面からカルシウムイオ
ンが溶出して溶液中のカルシウムイオン濃度を高め、基
材表面付近のアパタイトの過飽和度が高くなる。その結
果、基材表面にアパタイトが析出し、アパタイト膜が形
成される。
【0023】このようにして形成されたアパタイト膜は
緻密で平坦であるとともに、骨類似のアパタイトからな
るため破骨細胞に吸収され易いものである。
緻密で平坦であるとともに、骨類似のアパタイトからな
るため破骨細胞に吸収され易いものである。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0025】表2及び表3は本発明の実施例(試料N
o.1〜4)及び比較例(試料No.5及び6)を示し
ている。
o.1〜4)及び比較例(試料No.5及び6)を示し
ている。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】試料No.1〜4は次のようにして調製し
た。
た。
【0029】まず表に示した材料からなる大きさ15φ
×1tmmの基材を用意した。また基材を漬浸する溶液
として、表1のNo.3の凝似体液を使用し、これにト
リスヒドロキシメチルアミノメタン50mMや塩酸45
mMを加えて36.5℃でのpHを7.25に調節し
た。その後、ポリエチレン容器に基材と溶液30mlを
入れ、液温を37℃に保持して5日間漬浸することによ
り、基材表面に緻密で平坦な膜厚2〜3μmのアパタイ
ト膜を形成した。このアパタイト膜は、水酸アパタイト
と炭酸アパタイトが混在した骨類似のアパタイトからな
る膜であった。なおアパタイト膜が形成されたか否か、
或は形成されたアパタイト膜の状態等については、基材
を溶液から取り出し、蒸留水で洗浄乾燥させた後、走査
型顕微鏡と薄膜X線回折分析により確認した。
×1tmmの基材を用意した。また基材を漬浸する溶液
として、表1のNo.3の凝似体液を使用し、これにト
リスヒドロキシメチルアミノメタン50mMや塩酸45
mMを加えて36.5℃でのpHを7.25に調節し
た。その後、ポリエチレン容器に基材と溶液30mlを
入れ、液温を37℃に保持して5日間漬浸することによ
り、基材表面に緻密で平坦な膜厚2〜3μmのアパタイ
ト膜を形成した。このアパタイト膜は、水酸アパタイト
と炭酸アパタイトが混在した骨類似のアパタイトからな
る膜であった。なおアパタイト膜が形成されたか否か、
或は形成されたアパタイト膜の状態等については、基材
を溶液から取り出し、蒸留水で洗浄乾燥させた後、走査
型顕微鏡と薄膜X線回折分析により確認した。
【0030】試料No.5は、牛骨から作製した6φ×
0.2tmmの基材を使用し、また試料No.6は、試
料No.4で基材として用意した水酸アパタイト焼結体
を用いた。
0.2tmmの基材を使用し、また試料No.6は、試
料No.4で基材として用意した水酸アパタイト焼結体
を用いた。
【0031】次に、各試料を12穴の培養プレートに入
れて、2×107 個の破骨細胞を播種し、10%牛胎児
血清を含むα−MEM培養液1mlで培養した。その
後、培養開始10時間後及び24時間後に0.001%
プロナーゼEと0.02%EDTA液で破骨細胞以外の
細胞を取り除き、続いて走査電子顕微鏡、位相差顕微鏡
及び倒立顕微鏡を用い、破骨細胞の活動によって形成さ
れた吸収窩を観察した。なお倒立顕微鏡による観察に際
しては、酒石酸抵抗性酸フォスファターゼにて細胞を染
色した。
れて、2×107 個の破骨細胞を播種し、10%牛胎児
血清を含むα−MEM培養液1mlで培養した。その
後、培養開始10時間後及び24時間後に0.001%
プロナーゼEと0.02%EDTA液で破骨細胞以外の
細胞を取り除き、続いて走査電子顕微鏡、位相差顕微鏡
及び倒立顕微鏡を用い、破骨細胞の活動によって形成さ
れた吸収窩を観察した。なお倒立顕微鏡による観察に際
しては、酒石酸抵抗性酸フォスファターゼにて細胞を染
色した。
【0032】結果を表2及び表3に示す。アパタイト膜
が形成された試料No.1〜4の各試料では、培養開始
10時間後で破骨細胞の吸収窩が形成され、しかも明瞭
に観察できた。これに対して牛骨を用いた試料No.5
は、12時間経過後では未だ吸収窩が形成されておら
ず、24時間経過後は吸収窩が形成されていたものの、
その確認はやや困難であった。また水酸アパタイト焼結
体を用いた試料No.6は、24時間経過後でも吸収窩
が全く形成されなかった。
が形成された試料No.1〜4の各試料では、培養開始
10時間後で破骨細胞の吸収窩が形成され、しかも明瞭
に観察できた。これに対して牛骨を用いた試料No.5
は、12時間経過後では未だ吸収窩が形成されておら
ず、24時間経過後は吸収窩が形成されていたものの、
その確認はやや困難であった。また水酸アパタイト焼結
体を用いた試料No.6は、24時間経過後でも吸収窩
が全く形成されなかった。
【0033】なお基材として使用したCaO−SiO2
−MgO−P2 O5 系ガラスは、重量百分率でCaO4
4.7%、SiO2 34%、MgO4.6%、P2 O5
16.2%、CaF2 0.5%の組成を有するものであ
る。CaO−SiO2 −MgO−P2 O5 系結晶化ガラ
スは、上記組成のガラスを1050℃で2時間焼成して
アパタイトとウォラストナイトを析出させたものであ
る。Na2 O−SiO2−CaO系ガラスは、Na2 O
20%、SiO2 70%、CaO10%の組成を有する
ものを使用した。水酸アパタイト焼結体は、水酸アパタ
イト粉末を2000kgf/cm2 の静水圧プレス成形
後、1000℃で2時間焼成したものを用いた。
−MgO−P2 O5 系ガラスは、重量百分率でCaO4
4.7%、SiO2 34%、MgO4.6%、P2 O5
16.2%、CaF2 0.5%の組成を有するものであ
る。CaO−SiO2 −MgO−P2 O5 系結晶化ガラ
スは、上記組成のガラスを1050℃で2時間焼成して
アパタイトとウォラストナイトを析出させたものであ
る。Na2 O−SiO2−CaO系ガラスは、Na2 O
20%、SiO2 70%、CaO10%の組成を有する
ものを使用した。水酸アパタイト焼結体は、水酸アパタ
イト粉末を2000kgf/cm2 の静水圧プレス成形
後、1000℃で2時間焼成したものを用いた。
【0034】また破骨細胞は公知の方法で用意した。即
ち、日本白色ラビット10日齢の長官骨を切り出し、細
かく粉砕し、続いて30mlのα−MEM培養液に漬浸
して細胞抽出のため1分間振動させた後、静置して20
mlの上澄み液を採取した。さらに細胞を遠心分離し、
40mlのα−MEM培養液と10%の牛胎児血清と抗
生物質(ペニシリンG100U/mlとストレプトマイ
シン100μg/ml)に懸濁させ、破骨細胞含有分画
とした。このようにして得られた破骨細胞を使用した。
ち、日本白色ラビット10日齢の長官骨を切り出し、細
かく粉砕し、続いて30mlのα−MEM培養液に漬浸
して細胞抽出のため1分間振動させた後、静置して20
mlの上澄み液を採取した。さらに細胞を遠心分離し、
40mlのα−MEM培養液と10%の牛胎児血清と抗
生物質(ペニシリンG100U/mlとストレプトマイ
シン100μg/ml)に懸濁させ、破骨細胞含有分画
とした。このようにして得られた破骨細胞を使用した。
【0035】
【発明の効果】本発明の方法によって製造された破骨細
胞評価用基板は、形成されるアパタイト膜が骨類似のア
パタイトからなるために破骨細胞による吸収窩が形成さ
れ易く、またアパタイト膜が緻密で平坦であるため形成
された吸収窩が観察し易い。このため破骨細胞の機能評
価が容易であり、破骨細胞評価用基板の製造方法として
好適である。
胞評価用基板は、形成されるアパタイト膜が骨類似のア
パタイトからなるために破骨細胞による吸収窩が形成さ
れ易く、またアパタイト膜が緻密で平坦であるため形成
された吸収窩が観察し易い。このため破骨細胞の機能評
価が容易であり、破骨細胞評価用基板の製造方法として
好適である。
Claims (1)
- 【請求項1】 CaOとSiO2 を主成分とするガラス
若しくは結晶化ガラス、Na2 OとSiO2 を主成分と
するガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックスから
なる基材を、カルシウムイオンとリン酸イオンを含む溶
液中に浸漬して、基材表面にアパタイト膜を形成するこ
とを特徴とする破骨細胞評価用基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12309294A JPH07306201A (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 破骨細胞評価用基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12309294A JPH07306201A (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 破骨細胞評価用基板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07306201A true JPH07306201A (ja) | 1995-11-21 |
Family
ID=14852011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12309294A Pending JPH07306201A (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 破骨細胞評価用基板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07306201A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007061100A1 (ja) | 2005-11-28 | 2007-05-31 | Japan Science And Technology Agency | フロック加工された体内留置型医療機器、該体内留置型医療機器の製造方法、および該体内留置型医療機器の製造装置 |
US7473731B2 (en) | 2002-05-30 | 2009-01-06 | Japan Science & Technology Agency | Hydroxyapatite composite and manufacturing method thereof, medical material using hydroxyapatite complex |
-
1994
- 1994-05-11 JP JP12309294A patent/JPH07306201A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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