JPH07305061A - 珪酸塩系グラウト用硬化剤およびこれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents

珪酸塩系グラウト用硬化剤およびこれを用いた地盤安定化工法

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JPH07305061A
JPH07305061A JP9728494A JP9728494A JPH07305061A JP H07305061 A JPH07305061 A JP H07305061A JP 9728494 A JP9728494 A JP 9728494A JP 9728494 A JP9728494 A JP 9728494A JP H07305061 A JPH07305061 A JP H07305061A
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俊介 田沢
Katsuhiko Kurihara
勝彦 栗原
Susumu Matsuoka
進 松岡
Naoya Kanno
直也 官野
Izumi Yamamura
泉 山村
Shoichi Fujikawa
昭一 富士川
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Nisso Maruzen Chemical Co Ltd
Nitto Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】硬化時間の短縮効果ならびに固結強度の向上効
果が大きく、しかも、低温下でも凝固・固結し難く、年
間を通して液状を保って貯蔵安定性に優れた、消防法に
規定される危険物に該当しない、珪酸塩系グラウト用硬
化剤としてのアルキレンカーボネート系硬化剤組成物を
得る。 【構成】硬化剤 100重量部あたり、エチレンカーボネー
ト:47〜65重量部、プロピレンカーボネート:17〜47重
量部、溶解助剤:1〜8重量部、水:5〜10重量部の範
囲で組み合わせてなる珪酸塩系グラウト用硬化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、珪酸塩系グラウト用硬
化剤、詳しくは、アルキレンカーボネートを硬化剤成分
とする珪酸塩系グラウト用硬化剤、およびこれを用いた
地盤安定化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】軟弱地盤の強化や漏水地盤の止水などを
目的として、地盤内に注入して硬化させる、地盤安定化
工法用の種々の薬液−グラウトが知られている。特に、
珪酸ソーダ水溶液を主剤として硬化剤を組み合わせてな
る珪酸塩系グラウトは、安価であること、他のグラウト
に比べて環境汚染を起こす恐れが少ないことなどの特長
があり、広く利用されている。
【0003】珪酸塩系グラウト用の硬化剤としては、各
種の無機酸または無機塩が使用されている。しかし、こ
れら無機系硬化剤は、硬化時間(ゲルタイム)が数秒か
ら十数秒程度の瞬結型グラウトには適している反面、硬
化時間の調節が難しく、形成された固結体の強度(以
下、固結強度という)が充分でないという難点がある。
【0004】これに対して、特公昭43-25783号公報に開
示されている、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネートなどの水溶性低級アルキレンカーボネートなど
の有機系硬化剤は、無機系のものよりも、珪酸ゲルを析
出する反応が遅いため、硬化時間の調節が容易で、硬化
時間が長い緩結型のグラウトに適しており、無機系硬化
剤を用いたときに比較して、薬液の地盤内への浸透性な
らびに固結の確実性に優れ、高い固結強度が得られると
いう特長を有している。
【0005】このアルキレンカーボネート(以下、AC
と略称する)を珪酸塩系グラウト用の硬化剤として用い
る技術に関しては、エチレンカーボネート(以下、EC
と略称する)とプロピレンカーボネート(以下、PCと
略称する)とを、EC:PCの重量割合が10:90〜35:
65の範囲であるように配合した、すなわちPCリッチに
配合した混合物を用いると、固結強度が向上することが
特公昭63-32114号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特公昭63-32114号公報
記載の土質安定剤におけるB成分である珪酸塩系グラウ
ト用硬化剤としてのAC系硬化剤は、ECとPCとの量
比が、特定の重量割合の範囲内である、EC≪PCの関
係にあることを必須の要件としている。そして、同公報
(第2頁右上欄第8〜11行) には、“この範囲外では、
その固結強度はエチレンカーボネートまたはプロピレン
カーボネート単独の場合の固結強度と何ら変わるところ
がなく大幅な強度の向上は期待できない。”と記載され
ている。
【0007】しかし、施工現場では、従来のAC系硬化
剤について、硬化時間の短縮効果がより大きく、しか
も、より高い固結強度が得られるものが望まれているこ
とから、本発明者らは更に改良されたAC系硬化剤の開
発を目指した。
【0008】ところで、ECは、その融点が36℃で常温
では固体であって、市販品は通常、結晶状またはフレー
ク状で供給される。ECを珪酸塩系グラウト用の硬化剤
として用いるときには、作業現場などで水に溶解させて
用いるが、溶解速度が遅く硬化剤液を調製する際に手間
取るという難点がある。また、結晶状またはフレーク状
のECは、貯蔵中、気温が高い夏季には日中は部分的に
融解してシャーベット状となり、夜間に気温が低下する
と凝固してブロック状に固結する現象が起こって、取扱
性が悪くなるという問題がある。そのため、貯蔵安定性
に優れ、年間を通して常に液状態を保つEC系硬化剤の
供給が望まれている。
【0009】また、ACは引火性を有し、常温で液状の
AC系組成物は、消防法に規定される危険物に該当する
ので取り扱い上、各種の規制を受けることとなる難点が
ある。本発明の目的は、硬化時間の短縮効果ならびに固
結強度の向上効果が大きく、しかも、年間を通して液状
を保って貯蔵安定性に優れた、消防法に規定される危険
物に該当しない、珪酸塩系グラウト用硬化剤としてのA
C系硬化剤組成物、およびこれを用いた地盤安定化工法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を行い、ECとPCとを、その重量比EC/PCの値が
1以上である範囲内で組み合わせ、これに溶解助剤を少
量添加することによって、EC濃度を高めた条件で、意
外にも、低温下でも凝固・固結し難く、年間を通じて液
状を保つことが可能であり、しかも、硬化時間の短縮効
果が大きく、かつ、高い固結強度が得られる、珪酸塩系
グラウト用のAC系硬化剤組成物を提供することができ
ることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させ
た。
【0011】本発明の第一の発明は、アルキレンカーボ
ネートを硬化剤成分とする珪酸塩系グラウト用硬化剤に
おいて、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネー
トおよび溶解助剤ならびに水を含んでなり、重量比:エ
チレンカーボネート/プロピレンカーボネートの値が1
以上である硬化剤を要旨とする。
【0012】また、第二の発明は、珪酸ソーダ水溶液
と、その硬化剤とを組み合わせてなる薬液を地盤内に注
入して地盤を安定化させるにあたって、エチレンカーボ
ネートとプロピレンカーボネートおよび溶解助剤ならび
に水を含んでなり、重量比:エチレンカーボネート/プ
ロピレンカーボネートの値が1以上である珪酸塩系グラ
ウト用硬化剤を用いる地盤安定化工法を要旨とする。
【0013】本発明の珪酸塩系グラウト用硬化剤におい
て、その100重量部あたり、エチレンカーボネート:
47〜65重量部、プロピレンカーボネート:17〜4
7重量部、溶解助剤:1〜8重量部、水:5〜10重量
部の範囲で組み合わせることがよく、また、溶解助剤
が、グリコール類、グリコールエーテル類およびグリコ
ールジエーテル類からなる群から選ばれた少なくとも1
種であることがよい。
【0014】
【作用】以下、本発明についてさらに詳説する。本発明
の珪酸塩系グラウト用硬化剤は、ECとPCおよび溶解
助剤ならびに水を含んでなり、重量比:EC/PCの値
が1以上であるAC系組成物である。本発明のAC系硬
化剤組成物において、ECとPCは、一般に市販されて
いるものを用いることができる。EC濃度を高めたAC
系硬化剤組成物において、低温下でも凝固・固結し難
く、年間を通じて液状を保ち、貯蔵安定性が向上する条
件としては、常温で液状であり、凝固点が5℃以下、特
に0℃以下であることが望ましい。また、AC系硬化剤
組成物として高い固結強度を得ようとする本発明の目的
の達成基準として、珪酸ソーダ 140mlと水60mlとを混合
して調製したA液を主剤水溶液とし、一方、 200mlあた
り硬化剤組成物10gを含むように調製したB液を硬化剤
水溶液として、A液とB液とを等量ずつ混合して得られ
た薬液が、温度20℃において、60分以内に硬化し、形成
された砂ゲル体の水中一日養生後における一軸圧縮強度
が、5kg/cm2 以上の値であることとする。
【0015】ECとPCとを組み合わせたAC系硬化剤
組成物において、組成物 100重量部あたりのECが60重
量部を超えると、硬化剤組成物の凝固点が5℃を超え、
貯蔵安定性が悪くなる。
【0016】そこで、本発明では、AC系硬化剤組成物
の凝固点を5℃以下に降下させるために、溶解助剤を添
加した。組成物 100重量部あたり、本発明で規定する溶
解助剤を1〜8重量部の範囲で添加することにより、E
C配合比を68重量部まで高めても、硬化剤組成物の凝固
点を5℃以下に抑えることができた。溶解助剤が、AC
系硬化剤組成物の凝固点を低下させるのは、ECとPC
との相互溶解性を高めて、AC系硬化剤組成物でのEC
の結晶析出や、ECとPCとの相分離を抑えるものと考
えられる。
【0017】本発明の珪酸塩系グラウト用硬化剤として
のAC系組成物に用いることができる溶解助剤は、グリ
コール類、グリコールエーテル類およびグリコールジエ
ーテル類からなる群から選ばれた少なくとも1種であ
り、次の一般式(I)で表される。 一般式(I): R1 O (AO) m 2 ( 式(I)中、R1 , R2 は、それぞれ独立に水素また
は炭素原子1〜6のアルキル基であり、AOは炭素原子
2〜4のオキシアルキレン基で、異種のオキシアルキレ
ン基から成る場合、その結合はブロックまたはランダム
のいずれでもよい。mは、1ないし4の整数を表す。) 式(I)において、アルキル基の炭素原子数が7以上の
とき、またオキシアルキレン基の炭素原子数が5以上の
場合には、水との相溶性が悪くなる。また、mが5以上
の場合、水との相溶性が悪化すると共に凝固点が上昇す
る。
【0018】本発明のAC系硬化剤組成物において用い
ることができる溶解助剤の具体例としては、グリコール
類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ブチレングリコールなどを挙げることができる。
【0019】また、グリコールエーテル類としては、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリ
コールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエー
テル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノエチルエーテル、更に、1−メトキシ−2−(2−
ヒドロキシプロピル)エタン、1−(2−メトキシエト
キシ)−2−(2−ヒドロキシプロピル)エタン、1−
エトキシ−2−(2−ヒドロキシプロピル)エタンなど
の、アルコール類への酸化エチレンおよび酸化プロピレ
ンなど異なったアルキレンオキサイドの混合付加化合物
などが挙げられる。
【0020】また、グリコールジエーテル類としては、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメ
チルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリ
コールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチ
ルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどを
挙げることができる。
【0021】本発明の硬化剤組成物において、組成物 1
00重量部あたり、溶解助剤を1〜8重量部の範囲で添加
する。硬化剤組成物 100重量部あたり、溶解助剤の添加
量が1重量部未満であるときには、凝固点の低下効果が
小さく、ECとPCとの相溶性が高まらず、組成物中で
ECの結晶析出や、ECとPCとの相分離が起きる。一
方、8重量部を超えると、固結強度の発現の点で好まし
くなく、また、引火性が増加して消防法に規定される危
険物に該当するようになる。
【0022】本発明の硬化剤組成物におけるECの配合
量は、組成物 100重量部あたり、47〜65重量部の範囲と
する。硬化剤組成物 100重量部あたり、ECの配合量が
47重量部未満であるときは、固結強度の発現性の点で好
ましくない。一方、65重量部を超えると、組成物の凝固
点が5℃を超え、本発明が目的とする貯蔵安定性が得ら
れない。
【0023】PCは、珪酸塩系グラウトの硬化時間を短
縮させ、固結強度を発現させると共に、ECを含む硬化
剤組成物の凝固点を低下させる機能を有している。本発
明の硬化剤組成物におけるPCの配合量は、ECと溶解
助剤との相対量から、組成物 100重量部あたり、17〜47
重量部の範囲とする。硬化剤組成物 100重量部あたり、
PCの配合量が17重量部未満であるときは、組成物の凝
固点が5℃を超え、本発明が目的とする貯蔵安定性が得
られない。一方、47重量部を超えると、固結強度の発現
性の点で好ましくない。
【0024】本発明のAC系硬化剤組成物において、水
で希釈して地盤注入用薬液としての硬化剤水溶液として
調製する際に、AC系硬化剤組成物自体の水への溶解性
を向上させると共に、その引火性を低減させて消防法に
規定される危険物に該当しないようにするために、AC
系硬化剤組成物中に水を添加する。水の添加量は、硬化
剤組成物 100重量部あたり、5〜10重量部の範囲とする
ことがよい。添加量が5重量部未満であるときは、添加
の効果が小さく、一方、10重量部を超えると、固結強度
の発現の点で好ましくない。
【0025】上記配合比− 100重量部あたり、EC:47
〜65重量部、PC:17〜47重量部、溶解助剤:1〜8重
量部、水:5〜10重量部の範囲で組み合わせて調製され
たAC系硬化剤組成物は、EC濃度が高くて硬化時間の
短縮効果ならびに固結強度の向上効果がより大きく、し
かも、凝固点が5℃以下であって低温下で凝固・固結し
難く、年間を通じて液状を保ち貯蔵安定性に優れた、消
防法で規定される危険物に該当しない、珪酸塩系グラウ
ト用硬化剤として用いることができる。
【0026】本発明の硬化剤組成物の調製方法として
は、前記規定範囲の配合比で、PC−溶解助剤−水の混
合液にECを加える方法、あるいは、加温融解させたE
Cに、PC、溶解助剤、そして水を加える方法など、配
合する順序は限定されず何れの方法でもよい。後者の方
法が、相溶性の点から好ましい。
【0027】本発明のAC系硬化剤組成物を用いるにあ
たり、珪酸塩系グラウトの硬化時間の短縮効果を更に向
上させるために、硬化助剤を併用することができる。本
発明のAC系硬化剤組成物と併用することができる硬化
助剤は、アルカリ金属・アルカリ土類金属またはアルミ
ニウムなど、1〜3価の金属の炭酸水素塩、硫酸水素
塩、燐酸水素塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、燐酸塩など
の水溶性無機塩、ならびに燐酸などの無機酸、および水
溶性の有機酸ならびに有機酸塩からなる群から選ばれた
少なくとも1種の化合物である。本発明のAC系硬化剤
組成物と上記の硬化助剤を併用することにより、固結強
度を損なうことなく、珪酸塩系グラウトの硬化時間を数
秒から数十分の範囲に調節することができる。
【0028】本発明のAC系硬化剤組成物と併用するこ
とができる硬化助剤の具体例は、炭酸水素塩としては、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどを; 硫酸水
素塩としては、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム
などを; 燐酸水素塩としては、燐酸水素二ナトリウム、
燐酸水素二カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水
素カリウムなどを; 炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどを; 硫酸塩として
は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸アルミニウムなどを; 塩化物としては、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどを; ま
た、燐酸塩としては、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、
燐酸アルミニウムなどを、それぞれ挙げることができ
る。また、有機酸としては、酢酸、グリコール酸、クエ
ン酸、乳酸など; 有機酸塩としては、グリコール酸ナト
リウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどを、
それぞれ挙げることができる。前記の硬化助剤のうち、
液状の燐酸または/および水溶性有機酸を選択して併用
すると、取扱い性に優れた液状の硬化剤組成物が得られ
る。
【0029】なお、本発明のAC系硬化剤組成物は、エ
チレングリコールモノアセテート、エチレングリコール
ジアセテートなどの有機酸エステル類、グリオキザール
などのアルデヒド類とも組み合わせて用いることができ
る。
【0030】本発明の地盤安定化工法は、珪酸ソーダ水
溶液を主剤とし、硬化剤水溶液を組み合わせてなる薬液
を地盤内に注入して硬化させ、地盤を安定化させる方法
において、硬化剤としてECとPCおよび溶解助剤なら
びに水を含んでなり、重量比:EC/PCの値が1以上
である組成物を用いる。
【0031】本発明の地盤安定化工法の態様としては、
主剤の珪酸ソーダに水を加えてA液を、また、本発明の
硬化剤組成物に水を加えてB液を、それぞれ調製し、A
液とB液とを適宜の比率で混合した薬液を地盤内に注入
し硬化させて、地盤を安定化させる方法を例示すること
ができる。具体的には、単管式、二重管式、多重管式な
どの各種の注入管を用いることができ、また、A液とB
液とを予め混合して注入管に導く、A液およびB液を注
入管の基部に設けたY字管にて混合して注入管に導く方
法、A液とB液とをそれぞれ独立に注入管に導いて注入
管内で混合する方法、あるいはA液とB液とをそれぞれ
独立に注入管に導いて注入管から注入しながら地盤内に
おいて合流・混合させるなどの適宜の方法を、硬化時間
や施工性に鑑みて採用することができる。
【0032】主剤の珪酸ソーダとしては、従来から珪酸
塩系グラウトに用いられているもの−たとえば、日本工
業規格( JIS K-1408) に規定されている1〜3号珪酸ソ
ーダまたはモル比:SiO2/Na2Oが4〜100 の範囲である
シリカゾルなどを用いることができる。また、商品名
「ニトロック」(日東化学工業社製)を用いることもで
きる。この珪酸ソーダは、低粘性であり、硬化剤の使用
量が少なくても充分満足できる固結強度が得られるの
で、主剤として好適である。固結強度の発現性を得るた
めに、A液中のSiO2 濃度は3〜38重量%、好ましくは
10〜35重量%の範囲とすることがよい。固結を確実に行
うには、A液中のSiO2 100重量部あたり、本発明の硬
化剤組成物5〜850 重量部、好ましくは5〜250 重量部
の範囲で用いることがよい。また、前記のA液に対して
等量のB液を混合して用いるときには、B液 100重量部
あたり、本発明の硬化剤組成物2〜25重量部、好ましく
は3〜15重量部の範囲とすることがよい。
【0033】本発明の硬化剤は、低温下でも液状である
ので、取扱いが容易であって、調製された地盤注入用薬
液の注入プラントによる自動注入化が可能であり、施工
システムの簡略化と作業の省力化に寄与する。
【0034】
【実施例】次に、実施例および比較例によって、本発明
を具体的に説明する。本発明は、これら実施例に限定さ
れるものではない。
【0035】<実施例および比較例>表1(a) および
(b) に示す量比で各成分を配合して各種の硬化剤組成物
を調製し、各々の性状・物性を観察・測定した。また、
硬化挙動の試験にあたっては、主剤液として、珪酸ソー
ダ(商品名「ニトロック」, 日東化学工業社製) 140ml
に水60mlを加えて得られたA液を用い、また、硬化剤液
としては、表1に示す量比で各成分を配合して調製され
た各種の硬化剤組成物の各10gに、それぞれ水を加えて
200mlとして得られたB液を用いて、組み合わせた。
【0036】試験項目と試験方法ならびに評価記号の内
容は、次のとおりである。 ・貯蔵安定性… 表1に示す量比で、各成分を配合して
調製された各種の硬化剤組成物について、凝固点をJIS
K 0065記載の方法に準拠して測定し、また、それぞれ静
置状態で5℃における性状を観察した。評価基準は次記
のとおりである。 ○… 5℃において、澄明な均一液状であるもの。 ×… 凝固点が5℃を超えるもの、また、5℃におい
て、ECの結晶析出やECとPCとの相分離が認められ
るもの。
【0037】・引火性… 消防法に規定された引火点測
定装置を用いて測定した。 ○… 引火性が、認められないもの。 ×… 引火性が、認められるもの。
【0038】・グラウトの硬化挙動… 温度20℃におい
て、等量のA液とB液とを混合し、硬化時間を測定し
た。
【0039】・固結強度… 鉄製のモールド (径5cm×
18cm高) に充填した豊浦標準砂 (間隙率:40%) に、
等量のA液とB液を注入し、形成された砂ゲル体につい
て、温度20℃の水中において一日養生後、供試体 (径50
mm× 100mm高) の一軸圧縮強度をJIS A 1216記載の方法
に準拠して測定した。 ○… 圧縮強度の値が、5kg/cm2 以上であるもの。 ×… 圧縮強度の値が、5kg/cm2 未満であるもの。
【0040】・総合評価 ○… 貯蔵安定性、引火性および硬化挙動の評価が、共
に○であるもの。 ×… 評価項目の内、少なくとも一つの評価が、×であ
るもの。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】実験No. 1〜10は、主としてECとPCと
の量比の影響を示す。AC系組成物においてEC濃度が
68重量%を超えると、組成物は引火性を示し、その凝固
点が5℃を超えて本発明が目的とする貯蔵安定性が得ら
れない(実験No. 1, 2)。一方、PC濃度が47重量%
を超えたとき、また、ECとPCとの量比が、本発明で
規定する組成範囲をはずれて重量比:EC/PCの値が
1より小さい場合には、本発明が目的とする固結強度が
得られない (実験No. 7〜10)。実験No. 11〜21は、主
として溶解助剤の添加の有無と量比の影響を示す。EC
とPCとの量比が本発明で規定する範囲内であっても、
溶解助剤を用いないか、あるいは、その量比が本発明で
規定する組成範囲をはずれて少ないときには、組成物の
凝固点が5℃を超え、本発明が目的とする貯蔵安定性が
得られない(実験No. 11)。
【0044】また、凝固点が5℃以下である組成範囲で
あっても、5℃において、ECの結晶析出や、ECとP
Cとの相分離が認められ、本発明が目的とする組成物が
得られない(実験No. 16,18,20)。一方、溶解助剤の量
比が、本発明で規定する組成範囲を超えて多いときは、
引火性を示し、本発明が目的とする組成物が得られない
(実験No. 14,15)。
【0045】実験No. 22〜26は、水の添加量による影響
を示した。水の量比が本発明で規定する組成範囲をはず
れて少ないときは、組成物は引火性を示し、本発明が目
的とする組成物が得られない (実験No. 22)。一方、水
の量比が本発明で規定する組成範囲を超えて多いとき
は、本発明が目的とする固結強度が得られない (実験N
o. 26)。本発明で規定する要件を満たしている組成物
は、引火性を示さず、その凝固点が5℃未満であって、
本発明が目的とする貯蔵安定性が得られ、グラウトの硬
化挙動も満足できる結果が得られた (実験No. 3〜6,1
2,13,17,19,21,23〜25, 27〜29)。
【0046】さらに、実験No. 30〜37は、本発明の硬化
剤と硬化助剤とを併用したときの硬化挙動を示す。実験
No. 30〜32は、硬化助剤として、炭酸水素ナトリウム
を、また、実験No.33〜34は、炭酸水素ナトリウムと塩
化カリウムとの組合せを、そして実験No. 35〜37は、液
状の75%燐酸を用いた場合である。本発明の硬化剤と硬
化助剤とを組み合わせることにより、十数分から数秒ま
での広い範囲にわたって、容易に硬化時間の調節が可能
である。
【0047】
【発明の効果】本発明の珪酸塩系グラウト用硬化剤は、
低温下でも凝固・固結し難く、年間を通じて液状を保つ
ので貯蔵安定性に優れ、しかも硬化時間の短縮効果が大
きく、かつ、高い固結強度が得られる。本発明の珪酸塩
系グラウト用硬化剤は、消防法に規定される危険物に該
当しないAC系硬化剤組成物であり、これを用いること
によって、取扱い性・作業性の良い地盤安定化工法を提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 進 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 日 東化学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 官野 直也 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 日 東化学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 山村 泉 千葉県木更津市八幡台一丁目7番地の5 (72)発明者 富士川 昭一 千葉県市原市辰巳台東三丁目14番地

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキレンカーボネートを硬化剤成分とす
    る珪酸塩系グラウト用硬化剤において、エチレンカーボ
    ネートとプロピレンカーボネートおよび溶解助剤ならび
    に水を含んでなり、重量比:エチレンカーボネート/プ
    ロピレンカーボネートの値が1以上であることを特徴と
    する珪酸塩系グラウト用硬化剤。
  2. 【請求項2】珪酸塩系グラウト用硬化剤100重量部あ
    たり、エチレンカーボネート:47〜65重量部、プロ
    ピレンカーボネート:17〜47重量部、溶解助剤:1
    〜8重量部、水:5〜10重量部の範囲で組み合わせて
    なる請求項1記載の珪酸塩系グラウト用硬化剤。
  3. 【請求項3】溶解助剤が、グリコール類、グリコールエ
    ーテル類およびグリコールジエーテル類からなる群から
    選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の珪酸塩系
    グラウト用硬化剤。
  4. 【請求項4】珪酸ソーダ水溶液と、その硬化剤とを組み
    合わせてなる薬液を地盤内に注入して地盤を安定化させ
    るにあたり、硬化剤として請求項1記載の珪酸塩系グラ
    ウト用硬化剤を用いることを特徴とする地盤安定化工
    法。
  5. 【請求項5】硬化剤として、請求項1記載の珪酸塩系グ
    ラウト用硬化剤と共に、1〜3価の金属の炭酸水素塩、
    硫酸水素塩、燐酸水素塩、炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩、塩
    化物、ならびに無機酸、および水溶性の有機酸ならびに
    有機酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合
    物を併用する請求項4記載の地盤安定化工法。
JP9728494A 1994-05-11 1994-05-11 珪酸塩系グラウト用硬化剤およびこれを用いた地盤安定化工法 Pending JPH07305061A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010056539A1 (en) 2008-10-29 2010-05-20 E. I. Du Pont De Nemours And Company Treatment of tailings streams

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