JPH07302548A - マグネトロン - Google Patents

マグネトロン

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JPH07302548A
JPH07302548A JP6203898A JP20389894A JPH07302548A JP H07302548 A JPH07302548 A JP H07302548A JP 6203898 A JP6203898 A JP 6203898A JP 20389894 A JP20389894 A JP 20389894A JP H07302548 A JPH07302548 A JP H07302548A
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JP
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magnetron
anode
vane
vanes
cathode
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JP6203898A
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English (en)
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Seiji Kitakaze
清二 北風
Yuichi Ito
雄一 伊藤
Toshio Ogura
利夫 小倉
Tomokatsu Oguro
友勝 小黒
Iwao Umeki
巌 梅木
Masumi Kuga
真澄 久我
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Hitachi Ltd
Hitachi Electronic Devices Co Ltd
Hitachi Consumer Electronics Co Ltd
Japan Display Inc
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Hitachi Device Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
Hitachi Electronic Devices Co Ltd
Hitachi Consumer Electronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】陽極ベイン枚数を従来の8枚に削減し、陽極シ
リンダーを小径化したマグネトロンを得る。 【構成】所定の内径寸法を有する陽極シリンダー3の内
側に放射状に配設した複数の陽極ベイン2と、陽極シリ
ンダーの軸芯に沿って設け直熱型螺旋状陰極と、陽極シ
リンダーの外周に機械的に圧入して嵌合積層してなる複
数の板状冷却フィンとを少なくとも有した発振周波数2
400ないし2500MHz帯のマグネトロンにおい
て、陽極ベインの数を8枚とし、直熱型螺旋状陰極の外
径を2.6 mm〜3.2mmの範囲に設定すると共に、陽極
ベインの内端径を7.0 mm〜8.0 mmの範囲に設定し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマイクロ波応用機器に用
いられるマグネトロンに係り、特に、マグネトロンの陽
極構体を構成する共振空胴数を低減すると共に安定した
マイクロ波出力を得ることのできるための陽極/陰極構
造を備えたマグネトロンに関する。
【0002】
【従来の技術】マグネトロンは高周波出力を効率よく発
生できることから、レーダ装置、医療機器、電子レンジ
等の調理器、その他のマグネトロン波応用機器の分野で
広く用いられている。
【0003】この種のマグネトロンは、共振空洞と高周
波出力部を有する本体部とこの本体部に電力を供給する
給電部における漏洩電波の抑制を行うためのフィルタを
備えている。
【0004】上記共振空洞は通常12枚の陽極ベインで
形成される12個から構成されるのが一般的であるが、
最近これを10個(すなわち、10枚の陽極ベイン)と
したものも提案されている。
【0005】図12は従来のマグネトロンの構造の一例
を説明する断面図であって、1はフィラメント、2は陽
極ベイン、3は陽極シリンダー、4,4’は永久磁石、
5,5’は磁極、6,6’はヨーク、7はアンテナリー
ド、8はアンテナ、9は排気管、9aは封じ切りで形成
された凹部、10はアンテナカバー、11は円筒状絶縁
体、12は排気管サポート、21は上側エンドシール
ド、21’は下側エンドシールド、23,24は陰極リ
ード、25は入力側セラミック、26は陰極端子、27
はスペーサ、28はスリーブ、31はチョークコイル、
32は貫通コンデンサ、33はフィルタケース、34は
蓋体、35,35’はシール部品、41は上部シール部
品、42は下部シール部品、43は金属ガスケット、4
5は冷却フィンである。
【0006】同図において、陰極フィラメント1の回り
には、複数の陽極ベイン2が放射状に配置されて共振空
洞を形成している。この陽極ベイン2は、陽極シリンダ
ー3にロー付等で固着されているか、若しくは、押出し
整形等により一体形成されている。
【0007】陽極シリンダー3の上下には、軟鉄などの
強磁性体からなる磁極5,5’および円筒状の永久磁石
4,4’が設置されている。永久磁石4,4’から発生
した磁束は、磁極5を通って陰極フィラメント1と陽極
ベイン2間で形成される作用空間に入り、軸方向に必要
な直流磁界を与える。
【0008】ヨーク6,6’は永久磁石4,4’の磁束
が通る磁気回路を構成し、ヨーク6,6’と永久磁石
4,4’および磁極5,5’により磁気回路が構成され
ている。
【0009】負の高電圧となっている陰極フィラメント
1から放出された電子は、電界,及び直流磁界の影響を
受けて円運動しながら、各陽極ベイン2に、高周波電界
を形成する。
【0010】図13は図12に示した従来のマグネトロ
ンの陽極構造を説明する平面図であって、2a,2bは
陽極ベイン2(2,2’)に形成した切り欠き、61は
第1のストラップリング、62は第2のストラップリン
グ、図6と同一部分には同符号は付す。
【0011】同図において、陽極ベインは一枚おきに配
置された2組の陽極ベイン2,2’からなり、これらの
陽極ベイン2,2’は陽極シリンダー3の内壁から中心
O方向に設けられており、中心Oを通る軸線から見て、
放射状に配置される。
【0012】陽極ベイン2,2’は、径の異なる2つの
環状体である第1のストラップリング61と第2のスト
ラップリング62によって、それぞれの切り欠き2a,
2bに接合して1つおきに結ばれている。なお、このス
トラップリングは陽極ベインの下部にも同様に配置され
ている。
【0013】図14は図13に示したストラップリング
の説明図であって、(a)は径の小さい第1のストラッ
プリング、(b)は径の大きい第2のストラップリング
の斜視図を示したものである。
【0014】同図に示したように、第1のストラップリ
ング61と第2のストラップリング62は共に、断面が
矩形の環状体である。
【0015】図15は陽極ベインとストラップリングの
結合構造を説明するための1枚の陽極ベイン部分の要部
断面図であって、前記図12〜図14と同一部分は同一
符号を付してある。
【0016】この陽極ベイン2の切り欠き2aには小径
のストラップリング61が接触し、大径のストラップリ
ング62は接触しない。図6の陽極ベインのうちの1枚
には、高周波(マイクロ波)を導くためのアンテナリー
ド7が銀ろう付等により付設されている。
【0017】陽極ベイン2(2’)で形成される共振空
洞で発生した高周波電界は、アンテナリード7によっ
て、アンテナ8に導かれアンテナ8を保護しているアン
テナカバー10より外部に放出される。アンテナ8には
不要輻射を防止するためのチョーク部9が一体に形成さ
れている。
【0018】なお、電子を発生させる陰極フィラメント
は、電子放射特性および加工性等を勘案して、一般に
は、酸化トリウム(ThO2 )を微量含むタングステン
が用いられる。
【0019】上側エンドシールド21および下側エンド
シールド21’は、各々、陰極リード23および24に
よって支持されている。これらのエンドシールド,およ
び陰極リードは、耐熱性,加工性の観点から、一般的に
は、モリブデン(Mo)が採用されている。2本の陰極
リード23,24は、入力側セラミック25によって支
持されている。
【0020】陰極リード23,24は、陰極端子26と
ともに、入力側セラミック25に真空気密を保つように
銀ろう付けされている。
【0021】マグネトロンに振動,衝撃等が加わると陰
極リード23及び24が振動し、しかも、その振動の仕
方が陰極リード23と24で異なるために、陰極フィラ
メント1に機械的なストレスを生じさせ、陰極フィラメ
ント1の断線を引き起こすことがある。
【0022】これを防止するためにスペーサ27が用い
られる。このスペーサ27の効果によって、陰極リード
が振動しても、その振動による陰極リード23と24の
動きは、ほとんど同一になるため、陰極フィラメントに
は、ほとんどストレスが加わらないようにすることがで
きる。なお、スリーブ28は、スペーサ27を所定の位
置に支持するためのものである。
【0023】図16は従来のマグネトロンの構造の他の
例を説明する断面図であって、26は端子板、図12と
同一符号は同一部分に対応する。
【0024】同図において、螺旋状の陰極フィラメント
1の回りには複数の陽極ベイン2が陽極シリンダー3と
ロー付け等で固着されか、もしくは陽極ベインと共に押
出し成形により一体形成されている。
【0025】陽極シリンダー3の上下には軟鉄などの強
磁性体からなる磁極5,5’および円筒状の永久磁石
4,4’が配置されている。
【0026】永久磁石4,4’から発生した磁束は磁極
5,5’を通って陰極フィラメント1と陽極ベイン2と
の間に形成される作用空間に入り、軸芯方向に必要な直
流磁界を与える。
【0027】ヨーク6,6’は永久磁石4,4’の磁束
が通る磁気回路を構成するものであり、この磁気回路は
ヨーク6,6’、永久磁石4,4’、および磁極5,
5’により構成される。
【0028】負の高電圧となっている陰極フィラメント
1から放出された電子は電界および磁界の作用を受けて
円運動しながら各陽極ベイン2に高周波電界を形成す
る。
【0029】形成された高周波電界はアンテナリード7
を通してアンテナ8に到り、アンテナカバー10から外
部機器に出力される。
【0030】陰極フィラメント1は上エンドシールド2
1と下エンドシールド21、および陰極リード23,2
4で支持されている。陰極リード23,24は入力セラ
ミック25の上面に銀ロー等でロー付けされた端子板2
6でチョークコイル31に接続するリード23’,2
4’に接続される。
【0031】また、マグネトロンの下部にはチョークコ
イル31と貫通コンデンサ32を支持するフィルタケー
ス33とこのフィルタケースを閉じる蓋体34とからな
るフィルタ構体が取付けられている。
【0032】リード23’,24’に接続されたチョー
クコイル31は貫通コンデンサ32とでL−Cフィルタ
を構成し、陰極リードから伝播されてくる低周波成分を
抑制する。なお、高周波成分はフィルタケース33とそ
の蓋体34でシールドされる。
【0033】そして、陽極シリンダー3の外周に設置さ
れた冷却フィン45はマグネトロンの作動に伴う熱を放
散させる。
【0034】図17は図16に示した従来のマグネトロ
ンの陽極構造を説明する平面図であって、図16と同一
部分には同符号は付す。
【0035】同図において、陽極ベインは一枚おきに配
置された2組の陽極ベイン2,2’からなり、陽極ベイ
ン2,2’は陽極シリンダー3の内壁から中心方向に放
射状に設置されている。
【0036】これらの陽極ベイン2,2’は、その上方
端面すなわちアンテナリード設置側および陰極リード引
出し側のそれぞれの端面で径の異なる2つの環状体であ
る第1のストラップリング61と第2のストラップリン
グ62によって、交互に1つおきに結合れている。
【0037】図18は図17に示したストラップリング
の説明図であって、(a)は径の小さい第1のストラッ
プリング61、(b)は径の大きい第2のストラップリ
ング62の平面図と断面図を示したものである。これら
のストラップリングはそれぞれの内周まはた外周に形成
された突状部61a、または62aで陽極ベインに接続
される。
【0038】図19は図17のA−A線に沿って切断し
た断面図であって、陽極ベイン2,2’は図18に示し
たストラップリング61,62と61’,62’によ
り、接続されている。
【0039】なお、この外の構成は前記図12で説明し
たものと同様であるので、再度の説明は省略する。
【0040】この種のマグネトロンの構造を開示したも
のとしては、例えば実公昭57−56504号公報、実
公昭63−25656号公報を挙げることができる。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子レンジ用マ
グネトロンは、上記したような基本構造をもつものが採
用されている。従来の陽極ベイン枚数を12枚としたも
のでは、陽極シリンダーの直径が大きく、かつ肉厚が比
較的厚く、銅の使用量が多いことから、陽極ベインの数
を低減させることが省資源面での改善として要求され
る。
【0042】一方、実公昭63−25656号公報に
は、空胴共振器Qの低下を防ぎ、総合の電力効率を改善
し、ラインノイズの低減を図りつつ、小形,軽量化が実
現できる電子レンジ用マグネトロンとして、陽極ベイン
枚数を10枚とした小形陽極円筒マグネトロンが開示さ
れている。
【0043】このように小形化したマグネトロンにおい
ても、安定したマイクロ波出力を得るために、陰極外径
Fとベイン内径Gとの比は、F/G=0.38〜0.4
7とし、実用的なベイン内径Gを8.09〜10.0m
m ,陰極外径Fを3.62〜4.02mmとしてい
る。
【0044】これにより、電子レンジ用マグネトロンと
して要求されるマグネトトロン効率,負荷安定度等は十
分満足できる結果が得られているが、陽極ベインの数を
10個より更に減らして8個にすると、数百Wのマイク
ロ波出力を安定に得ることは困難である。
【0045】しかし、一層の省資源化構造を実現させる
ためには、陽極ベイン枚数を8枚に減らすことが有効で
ある。
【0046】一方、電子レンジ用マグネトロンに認可さ
れている割当周波数は2400〜2500MHzであ
る。これに対し、マグネトロンの基本発振周波数は24
50MHz帯で、マイクロ波出力が数百W〜1kW未満
が主であり、主に家庭用電子レンジに採用されている。
実際の発振スペクトラムは占有帯を有しているため、2
400〜2500MHzの電波漏洩規制値に対し余裕の
ない周波数スペクトラムとなっている。8枚ベイン小形
陽極マグネトロンに要求される性能は下記のとおりであ
る。したがって、発振周波数スペクトラムの占有帯を狭
小化し。電波漏洩量を低減させる必要がある。
【0047】(1)マグネトロンは、πモードで、24
50MHz帯発振する。しかし、マグネトロンの動作安
定度が低い場合、発振不安定,つまり、2450MHz
帯以外の周波数で発振する場合がある。特に家庭用電子
レンジの場合、マグネトロンとなる負荷が食品であり、
その重量,形状により、大きく負荷インピーダンスが変
化するため、動作安定度の良いマグネトロンが要求され
る。
【0048】(2)電子レンジの効率(マイクロ波出力
/入力)は、50〜55%である。この効率を得るため
のマグネトロン発振効率は約70%程度を要する。した
がって、ベイン枚数を減らしても、70%程度の効率が
要求される。
【0049】(3)電子レンジ用マグネトロンの場合、
マグネトロンから見た場合、重負荷となる食品,軽負荷
となる食品等種々有る。特に軽負荷となる食品の場合、
マイクロ波吸収量が少なく、多くのマイクロ波は、マグ
ネトロン側に戻ってくる。マグネトロンに戻ってきたマ
イクロ波は、陽極ベインで消費されることになり、ベイ
ン温度を上昇させることになる。そのため、ベインの熱
的余裕度を高めてベインの温度上昇を低減させる必要が
ある。
【0050】(4)マグネトロンの使い勝手の面から
は、マグネトロンの結合度が高い方がよい。つまり、結
合度が高いほど領域の広い範囲の負荷インピーダンスで
マイクロ波出力が得られるため、負荷となる電子レンジ
の調理室内のマイクロ波設計が容易となる。
【0051】一般的に、結合度が高いほどマグネトロン
の動作安定度(2450MHz帯の発振状態を維持でき
る尖頭陽極電流値)は低下する。従来のマグネトロンで
は、動作安定度を勘案してマグネトロンの結合度を設定
している。本発明ではマグネトロンの結合度を従来のマ
グネトロン比で130〜170%に高くし、動作安定度
を損なうことなく使い勝手の良いマグネトロンとするこ
とが要求される。
【0052】(5)家庭用の電子レンジに用いるマグネ
トロンに要求される事項の1つとして、省資源化があ
る。マグネトロンを構成する材料としては、陽極シリン
ダー,陽極ベインには無酸素銅が、陰極リードにはモリ
ブデンが使用されており、何れも効果な材料である。し
たがって、これらの使用量を低減し、小型軽量化が実現
できる電子レンジ用マグネトロンが要求される。
【0053】ベイン枚数を減らした場合、ベイン1枚当
りの陽極損失量は、当然大きくなり、過度の温度上昇を
招く。この結果、陽極ベインからのガス放出による管内
真空度の低下,ベイン先端に装着されているストラップ
の破壊等により信頼性を損うことになる。したがって、
ベイン枚数を削減した場合は、それなりの熱的余裕度を
配慮したベイン構造が必要である。
【0054】(6)電子レンジ用マグネトロンとして認
可されている発振周波数帯域は、2450±50MHz
(2400〜2500MHz)である。したがって、発
振スペクトラムがこの範囲内に収っていることが要求さ
れる。
【0055】本発明の目的は、8枚ベインの陽極構造で
安定したマイクロ波出力を得るための改善された究極構
成と電極寸法を有する電子レンジ用のマグネトロンを提
供することにある。
【0056】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の要求を
満足させた8枚ベインを特徴とした小形陽極マグネトロ
ンの最適な陽極及び陰極仕様を実験結果から求めたたも
のである。
【0057】すなわち、上記目的を達成するために、請
求項1に記載の第1の発明は、所定の内径寸法を有する
陽極シリンダーの内側に放射状に配設した複数の陽極ベ
インと、前記陽極シリンダーの軸芯に沿って設け直熱型
螺旋状陰極と、前記陽極シリンダーの外周に機械的に圧
入して嵌合積層してなる複数の板状冷却フィンと、前記
陽極ベインの軸芯方向端面側の一方に一端を配置すると
共に他端をアンテナに接続したアンテナリードとを少な
くとも有する発振周波数2450MHz帯のマグネトロ
ンにおいて、前記陽極ベインの数を8枚とし、前記直熱
型螺旋状陰極の外径を2.6mm〜3.2mmの範囲に
設定すると共に、前記陽極ベインの内端径を7.0mm
〜8.0mmの範囲に設定したことを特徴とする。
【0058】また、請求項2に記載の第2の発明は、前
記陽極ベインの軸芯方向に沿った両側の端面に、前記陽
極ベインを1つ置きに交互に結合する径の異なる第1の
環状体と第2の環状体とを配置したことを特徴とする。
【0059】さらに、請求項3に記載の第3の発明は、
前記陽極ベインの軸芯方向に沿った前記アンテナリード
側の端面にのみ、前記陽極ベインを1つ置きに交互に結
合する径の異なる第1の環状体と第2の環状体とを配置
したことを特徴とする。
【0060】さらにまた、請求項4に記載の第4の発明
は、前記陽極シリンダーの内径をベイン内端径の約3.
63〜4.6倍、また、請求項5に記載の第5の発明
は、前記陽極シリンダーの内端径の約4.5〜5.0倍
に設定したことを特徴とする。そして、請求項6に記載
の第6の発明は、前記陽極ベインの厚さを2.0〜2.
4mm、軸方向高さを6.4〜8.4mmに設定したこ
とを特徴とする。
【0061】なお、本発明は、電子レンジ用のマグネト
ロンに限るものではなく、他の高周波機器の電波発生手
段としてのマグネトロンにも同様に適用できるものであ
る。
【0062】
【作用】電子レンジ用マグネトロンの陽極は、高価な銅
から成る円筒部,及び複数枚の陽極ベインから構成され
る。この銅使用量を低減させようとした場合、円筒部の
小径化,陽極ベイン枚数の削減が有効である。
【0063】従来において、長年採用されてきた12枚
ベイン陽極方式に代えて実公昭63−25656号公報
に開示されたように、10枚ベイン陽極方式が提案さ
れ、これが電子レンジ用マグネトロンとして実用化され
ている。
【0064】今日のマグネトロンの趨勢は、究極の省資
源化を狙い、および使い勝手の良さであり、この観点か
ら、8枚ベイン陽極方式のマグネトロンを検討した結
果、ベイン端内径(以下、内端径とも言う),陰極外径
を前記したような最適値に設定することにより、ベイン
枚数削減の他、陽極円筒部の小径化によって省資源の達
成と共に、安定な発振のマグネトロンを得ることができ
る。
【0065】特に電子レンジ用のマグネトロンは発振周
波数が2450MHz帯で、そのマイクロ波出力が数百
W〜1kWが主流で、主として家庭用の電子レンジに使
用されている。
【0066】家庭用電子レンジの場合、調理する食品は
種々の重量と形状を持つため、マグネトロンからみた場
合、マイクロ波的に広範囲の負荷インピーダンスとな
る。
【0067】したがって、如何なる負荷においても安定
したマイクロ波を供給することが要求される。
【0068】一方、前記したように、マグネトロンの発
振周波数の占有帯は、電波法により2400〜2500
MHzに規制されており、この観点から発振周波数の占
有帯の狭小化が要求される。
【0069】これらは、何れも、マグネトロンを構成す
る陽極構造、陰極および陽極間の電極寸法に係わるもの
である。
【0070】また、マイクロ波の安定供給を実現するた
めには、モーディングの発生し難い、つまり動作安定度
の高いマグネトロンが要求される。
【0071】一般的には、広範囲の負荷インピーダンス
に対し、マイクロ波を安定して供給するためには、マグ
ネトロンの結合度を高めることになるが、その場合、副
作用としてモーディング発生、つまり安定度の低下を伴
う。
【0072】なお、モーディングとは、πモード(24
50MHz)発振以外の異常発振が発生することであ
る。多分割陽極構造を採用するマグネトロンの発振形態
は、ベインの枚数をnとすると、n/2個を持つ。正常
発振モードをπモードとすると、発振形態はπモード,
π−1モード,π−2モード,・・・・π−(n/2)
モードとなる。ここで、モーディング特性、つまり安定
度を改善するためにはπモードとπ−1モードの発振周
波数差を大きくすることが考えられる。これらのモード
は陽極空洞構造に関わるものである。
【0073】図11は陽極ベイン枚数(陽極空洞数)を
10枚および8枚としたマグネトロンについて、その各
モードの発振周波数比を計算した結果の説明図であっ
て、横軸に発振モードを、縦軸に発振周波数比を取って
示す。
【0074】同図に示されたように、πモードとπ−1
モードの発振周波数差は、ベイン枚数を8とした方が1
0枚より大きく、モード分離性が優れていることが分
る。
【0075】つまり、ベイン枚数を8枚とすることによ
り動作安定度を高めることができる。
【0076】この結果、動作安定度と相反するマグネト
ロンの結合度すなわち発振効率を高めることができ、マ
イクロ波の安定供給に大きく貢献できる。
【0077】一方、多分割陽極構造のため、個々の空洞
において、共振特性のバラツキがあるため、必然的に占
有帯を有する発振周波数をスペクトラムとなる。この占
有帯を狭小化は、多分割空洞の数を減らすことにより可
能である。
【0078】つまり、発振周波数占有帯の狭小化は従来
の10枚ベインの陽極より8枚ベインの陽極の方が有利
となる。
【0079】以上の説明のとおり、陽極ベイン数を10
枚から8枚にすることによりマイクロ波の安定供給の面
と発振周波数占有帯の狭小化の面で有利となる。
【0080】一方、前記実公昭63−25656号公報
に記載の従来技術では、ベイン数を10枚から8枚に減
らすと、数百Wのマイクロ波出力を安定的に供給するこ
とが困難であると述べられているが、基本的には、ベイ
ンの枚数を削減することは動作安定度の面で有利である
と考えられる。当然、8枚ベインの有利な動作安定度を
生かすためには、最適電極寸法を見出す必要がある。
【0081】前記各請求項に記載の発明によれば、8枚
ベインの陽極を有するマグネトロンにおけるマイクロ波
を安定的に供給することが可能となる。
【0082】
【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。
【0083】図1は本発明によるマグネトロンの第1実
施例を説明する陽極及び陰極付近の要部構成図、図2は
図1のA−A線に沿って切断した陽極及び陰極付近の要
部構成図であって、1は陰極フィラメント、2,2’は
陽極ベイン、3は陽極シリンダー、21は上側エンドシ
ールド、21’は下側エンドシールド、23,24は陰
極リード、61,61’は第1のストラップリング、6
2,62’は第2のストラップリングである。
【0084】同各図において、厚さtが2.0mmの銅
からなる陽極シリンダー3の内側には、厚2.0mm,
高さh=8.0mmの銅から成る8個の陽極ベイン2,
2’が放射状に配設され、直径が大小2種のストラップ
61,61’(第1のストラップリング),62,6
2’(第2のストラップリング)により当該ベイン2,
2’の両端縁において1つおきに連結されている。
【0085】更に、陽極円筒3の中心部には、陰極フィ
ラメント(直熱形螺旋状陰極)1が配設され、この陰極
の両端は、それぞれ出力側エンドシールド(上側エンド
シールド)21と入力側エンドシールド(下側エンドシ
ールド)21’に固着されている。そして、出力部/入
力部側エンドシールドは、棒状陰極支持体23,24に
支持されている。
【0086】ここで、8枚ベイン陽極を有したマグネト
ロンの各部寸法は、良好なマイクロ波安定性を得るた
め、下記のようになっている。
【0087】 F(陰極フィラメント外径)φ =2.8mm G(ベイン端内径)φ =7.2mm H(陽極円筒部内径)φ =32mm I(陽極円筒部外径)φ =36mm 上記の値は1例であるが種々の検討をした結果、電子レ
ンジ用マグネトロンとして満足される実用的な各部寸法
範囲は次の範囲である。
【0088】すなわち、陰極外径Fとベイン端内径Gと
の比は、 F/G=0.342〜0.40 の範囲である。
【0089】一方、安定な発振動作を維持するととも
に、陽極円筒の径小化を図る場合の陽極円筒部内径Hと
ベイン端内径Gとの比(H/G)は、約4.4倍が適切
である。
【0090】8枚ベインで且つ上記比(F/G)を満足
させる実用的な範囲を求める場合、検討結果から、フィ
ラメント外径Fを加工上どこまで小径化できるかで決ま
る。つまり、電子レンジ用マグネトロンでは、良好な電
子放射を得るため、トリウム・タングステンを採用した
螺旋状陰極が採用される。
【0091】この螺旋状陰極の製造方法は、フィラメン
トの巻き内径に相当する芯金棒に所定の巻きピッチでト
リウム・タングステンワイヤにテンションを加えながら
巻き付ける方式である。したがって、巻き径,つまりフ
ィラメント外径Fが小さくなる程、芯金が変形したり、
フィラメントワイヤにキレツを生じたりし、量産性を損
うこととなる。
【0092】上述の不具合は、線径が太い程顕著となる
が、500〜900W程度の電子レンジ用のフィラメン
トの線径はφ0.5mm程度が採用されており、この線
径においては、検討結果ではフィラメント外径F=2.
6〜3.0mmが限界である。
【0093】したがって、F=φ2.8mmとした場
合、G=2.8/0.39≒φ7.2mmが検討結果よ
り良好なマイクロ波発振特性が得られることがわかっ
た。つまり、発振動作安定性及びマグネトロン発振効率
は、マイクロ波出力が数百W以上1kW未満クラスの電
子レンジに十分実用化できるレベルに達すると云うこと
である。
【0094】ここで、陽極ベインの厚さについても考察
すると、隣合う陽極ベイン先端間隔は、狭くした方がこ
れら陽極ベイン先端間の高周波電界が相対的に強くする
ことができ、負荷安定度は改善されることになるが、製
造面からは、隣合う陽極ベイン先端間隔は0.5mmが
限界である。
【0095】この場合、陽極ベイン厚さは、F=φ7.
2mmとすると(π×7.2−0.5×8)/8≒2.
3mmとなる。10枚ベインの場合、陽極ベイン厚さは
1.8mmであり、陽極ベイン10個分の厚さは18m
mとなるが、8枚ベインのそれは、2.3×8=18.
4mmとなり、陽極ベインの熱的余裕度設計は10枚ベ
インと同等である。
【0096】他方、電子レンジ用マグネトロンとして、
認可されているISM帯周波数当ては2450±50M
Hzであり、この範囲内に発振スペクトラムが入ってい
なければならない。
【0097】マグネトロンの発振スペクトラムは多空胴
共振方式のため、個々の空胴共振特性バラツキのために
生じるバンド幅をもっている。基本的には、空胴数の少
ない8枚ベイン陽極マグネトロンの方が有利となること
が言えるが、実験的にも実証できている。
【0098】図3は本発明による8枚ベインマグネトロ
ンの第1実施例の基本波スペクトラムを従来の10枚ベ
インマグネトロンのそれと比較した説明図であって、
(a)は本発明による8枚ベインマグネトロンの基本波
スペクトラム、(b)は従来の10枚ベインマグネトロ
ンの基本波スペクトラムである。
【0099】なお、(a)(b)共に、発振周波数の基
本波は2450MHz、測定条件は、V.S.W.R≦
1.1、陰極電流Ib=300mAである。
【0100】両者のスペクトラムの比較から明らかなよ
うに、(a)に示した本発明の実施例のマグネトロンの
発振周波数は基本波に単一ピークを有し、極めて安定し
た発振特性をもつことが分る。
【0101】図4は本発明によるマグネトロンの第2実
施例を説明する断面図であって、前記図16と同一符号
は同一部分に対応する。
【0102】本実施例のマグネトロンは、陽極シリンダ
ー3に設置するベイン2,2’の数を8枚とすると共
に、当該ベインに取り付ける第1と第2のストラップリ
ングをアンテナリード7側の端面側にのみとした点に特
徴を有する。なお、この点を除いたたの構成は図16と
基本的に同一であるので、説明は省略する。
【0103】図5は本発明によるマグネトロンの第2実
施例における陽極シリンダー部分の構成の説明図であっ
て、(a)はアンテナリード側から見た上面図、(b)
は(a)のA−A線に沿った断面図、(c)は第1のス
トラップリングの上面図、(d)は第2のストラップリ
ングの上面図である。
【0104】また、図6は本発明によるマグネトロンの
第2実施例における陰極部分の構成を説明する部分断面
図であって、図4と同一符号は同一部分に対応する。
【0105】図5において、陽極シリンダー3の内側に
は、厚さtが2.2mm、高さhが8.0mmの銅製の
8個のベイン2,2’が45°の等間隔で放射状に配置
されている。
【0106】これらのベインは、直径が大小2種の第1
のストラップリング61と第2のストラップリング62
により1つおきに交互に連結されている。
【0107】上記直径が大小2種の第1のストラップリ
ング61と第2のストラップリング62は、アンテナリ
ード7(図4)が設置されている端面側にのみ配置され
ている。
【0108】本実施例の陽極シリンダー3の内径Hが3
5.0mm、陽極ベインの枚数を8とすることにより、
陽極ベイン2,2’間で構成される空洞のL−C、およ
びストラップリング61,62の関係から、2450M
Hzで発振させるための上記ストラップリング61,6
2の厚さは1.1mmが最適となり、上記のようなベイ
ンの片面にのみストラップリング61,62を設置する
方式を用いることを可能にしている。
【0109】なお、ストラップリング61,62の位置
は、物理的にはアンテナリード側とは反対の端面に配置
することも可能である。しかし、本発明者等の実験によ
れば、ストラップリング61,62の位置をアンテナリ
ード側とは反対の端面に配置すると、陰極の逆加熱を招
き、マグネトロンの発振効率の低下、更にはマグネトロ
ンの信頼性を損なうことが判明したため、本実施例の如
くアンテナリード側の端面に配置する構成とした。しか
し、上記の問題が解消されれば、アンテナリード側とは
反対の端面に配置することも可能である。
【0110】第1と第2のストラップリング61,62
は図5の(c)(d)に示したように、ベインとの接合
部分に突部61a,62bを形成した形状としている。
これは、本実施例の陽極がシリンダー部分とベイン部分
を押出成形で製作したもので、ストラップリングの収納
溝の形状が各ベイン共に共通であるためである。
【0111】なお、ストラップリングの収納溝の形状が
ストラップリングの1個ごとに接合可能としたベイン、
あるいは陽極シリンダー3にベイン2,2’を銀ロー等
のロー付けで固定する方式では、前記第1実施例と同様
の単純なリング状のものを使用してもよい。
【0112】また、マグネトロンの発振効率、安定度特
性の面からは陽極ベイン2,2’の内径G、図6に示し
た陰極フィラメント1の外径寸法Fが重要である。
【0113】基本的には、ベインの枚数が少ない程、上
記寸法G,Fは小さくなる。ベインを8枚とした本実施
例のマグネトロンでは、寸法Gを7.6mmφ、寸法F
を2.8mmφとしている。寸法Fを2.8mmφとし
た場合、トリウム・タングステン線を螺旋状に巻くこと
は至難である。
【0114】家庭用電子レンジに用いるマグネトロンの
マイクロ波出力は数百W〜1kW未満であり、この出力
に耐える陰極フィラメント素線の径は、寿命時間を考慮
し、0.5mmφ程度のトリウム・タングステン線が採
用される。
【0115】しかし、陰極フィラメント巻線の外径寸法
Fを2.8mmφで製作するためには、1.8mmφの
芯金に0.5mmφ程度のトリウム・タングステン線を
螺旋状に巻付けることになるが、巻付け時の芯金の変形
により、所定の巻付けピッチの螺旋状フィラメントを得
ることは困難である。
【0116】これを解決するためには、特開平4−21
5231号公報に開示されている電子管ヘリカルコイル
陰極を採用することにより、容易にF=2.8mmφの
螺旋状フィラメントを得ることができる。つまり、本実
施例では、トリウム・タングステン線の断面を楕円形と
してその長軸が軸芯方向に平行となるように巻付けて陰
極フィラメントを製作するものである。
【0117】その具体的な寸法,形状としては、トリウ
ム・タングステン線の楕円断面の長軸が0.55mm、
端軸が0.4mmで、芯金寸法の径は2.0mmφ(=
2.8mmφ−0.4mmφ×2)となる。
【0118】この仕様において、巻き外径が2.8mm
φの陰極フィラメントの製作が可能となった。
【0119】なお、10枚ベインの場合は、概略、陽極
ベインの内径Gが9.0mmφ、陰極フィラメントの外
径Fが4.0mmφであり、上記したように8枚ベイン
としたことにより、寸法G,F共に小型化される。これ
に伴い、上下のエンドシールド21,21’も小型化さ
れ、上下のエンドシールド21,21’に採用されるモ
リブデン材が節約される。
【0120】上記実施例の8枚ベインの陽極を採用した
マグネトロンの各部の寸法をまとめて示すと、 陰極フィラメント外径F=2.8mmφ ベイン端内径G=7.6mmφ 陽極シリンダー部内径H=35mmφ 陽極シリンダー部外径I=39mmφ である。
【0121】上記の各値は1例であり、電子レンジ用の
マグネトロンとして満足される実用的な各部の寸法範囲
は次の通りである。
【0122】すなわち、陰極フィラメント外径Fとベイ
ン端内径の比F/Gは、 F/G=φ2.6/φ8.0〜φ3.0/φ7.0=
0.32〜0.43 の範囲である。
【0123】一方、片側端面ストラップリング方式を採
用した場合のH/Gは約4.6が適切である。
【0124】図7はマグネトロンを整合状態で動作させ
た場合の従来のマグネトロンと本実施例のマグネトロン
の発振スペクトラムを比較する説明図であって、(a)
は8枚ベインの本実施例のマグネトロンの発振スペクト
ラム、(b)は従来の10枚ベインのマグネトロンの発
振スペクトラムを示す。
【0125】なお、(a)に示した本実施例のマグネト
ロンの発振スペクトラムは、陰極フィラメント外径寸法
F=2.8mmφ、ベイン端内径寸法G=7.6mm
φ、陽極シリンダー内径寸法H=35mmφの8枚ベイ
ンの陽極を有するマグネトロンの発振スペクトルであ
る。
【0126】(a)と(b)とを比較すると、マグネト
ロンの割当て周波数であるISM帯(2400〜250
0MHz)における発振スペクトラムは(a)の本実施
例の方が裕度があることが分る。
【0127】図8は本実施例のマグネトロントと従来の
10枚ベインのマグネトロンの発振効率に対する動作安
定度および結合度の関係の説明図である。
【0128】同図において、直線aは本実施例の8枚ベ
インのマグネトロンの安定度(STIbmA)、直線b
は従来の10枚ベインのマグネトロンの安定度、直線c
は本実施例の8枚ベインのマグネトロンの結合度(Δf
MHz)、直線dは従来の10枚ベインのマグネトロン
の結合度である。
【0129】図示されたように、同一効率での動作安定
度は本実施例のマグネトロンが従来のマグネトロンに比
べて約1.3倍高い。また、結合度も約1.4倍高いこ
とが分る。
【0130】すなわち、本実施例のマグネトロンは安定
なマイクロ波の供給が可能であり、使い勝手の優れたマ
グネトロンが得られる。
【0131】以上のように、陽極ベインの枚数を削減し
たことにより小型化が実現されると共に、高価な無酸素
銅やモリブデンの使用量を削減でき、省資源化に大きく
貢献でき、良好な発振スペクトラムと安定な動作のマグ
ネトロンを得ることができる。
【0132】図9は本発明によるマグネトロンを用いた
電子レンジの回路構成例の説明図である。
【0133】同図において、231がマグネトロンであ
り、スイッチング電源209に直流電力を供給する直流
電源201は商用交流電源203と全波整流器から構成
される。
【0134】全波整流器205の直流出力端子には、マ
グネトロン231の発振電流に含まれる高周波雑音が交
流電源側を通して漏れるのを防止するリアクタとキャパ
シタで構成されたフィルタ207が接続されている。
【0135】スイッチング電源装置209はトランジス
タ211を備え、同期パルス発生器235で生成される
同期パルスにより制御されるオン信号発生回路237の
オン信号で駆動される駆動回路241によりオン/オフ
動作される。
【0136】スイッチング電源装置209は、トランジ
スタ211に逆並列に接続されたダンパダイオード21
5および並列に接続された共振用キャパシタ213を備
えている。このスイッチング電源209は、一次巻線2
19と二次巻線221,223,224,225を持つ
昇圧トランス217に接続し、一次巻線219はスイッ
チング電源装置209を介してフィルタ207に接続
し、キャパシタ213と一次巻線219により直列共振
回路が構成される。
【0137】二次巻線221はキャパシタ227と高圧
ダイオード229よりなる倍電圧整流器を通してマグネ
トロン231に接続される。電流検出器233はマグネ
トロン231に流れる負荷電流を検出し、平均回路24
9で平均値として出力設定器251の設定値との差分を
増幅器257を介して同期パルス発生器235からの同
期パルスと加算されてオン信号発生器237に制御信号
として与えられる。
【0138】二次巻線225はマグネトロン231のフ
ィラメントを加熱するために設けられ、さらに他の二次
巻線223は出力フィードバック用の電圧を作るための
ものであり、波形成形回路243で波形成形された後に
遅延回路245で所定の時間遅延を受け、オン信号発生
回路237の制御信号として与えられる。
【0139】また、二次巻線224の電流は補助電源2
47に接続され、整流されて制御回路等の電源として用
いられる。
【0140】なお、マグネトロン213のフィラメント
と陽極間には通常数KVの高圧が印加される。
【0141】なお、図中、232は導波管、234は電
子レンジの調理室であり、マグネトロン231で発振さ
れたマイクロ波は導波管232を通して調理室234に
供給され、調理室内に置かれた被加熱物を加熱する。
【0142】図10は900Wクラスの電子レンジを用
いて負荷を変えたときの出力特性を本発明による8枚ベ
インマグネトロンと従来の10枚ベインマグネトロンの
出力特性を比較した説明図であり、図中、Pabsは電
子レンジの出力(オーブン出力)、Winは電子レンジ
入力、ηovenはPabs/Win×100(%)を
示す。
【0143】同図に示されたように、本発明によるマグ
ネトロンを用いた電子レンジでは従来のマグネトロンを
用いた電子レンジに比べてηovenが大きいことが分
る。すなわち、本発明のマグネトロンによれば、陽極ベ
インの数を低減して小型化,省資源化が図られると共
に、その動作特性も極めて良好なマグネトロンが得られ
る。
【0144】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、 (1)ベイン枚数の削減(8枚)及び陽極円筒部の小径
化により、これらを形成する銅使用量を低減できる。
【0145】(2)上記省資源化タイプの陽極構造で
も、ベイン端内径,陰極外形を最適化することにより、
家庭用の1kWクラスまでの電子レンジに対しては、実
用上全く問題とならない性能が得られる。
【0146】(3)副次効果として、陽極空胴数を従来
の10個から8個に減らすことにより、発振スペクトラ
ムのバンド幅を狭くすることができ、電子レンジ用マグ
ネトロンISM帯(2450±50MHz)に対し、十
分余裕のある発振スペクトラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマグネトロンの1実施例を説明す
る陽極及び陰極付近の要部構成図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した陽極及び陰極
付近の要部構成図である。
【図3】本発明による8枚ベインマグネトロンの1実施
例の基本波スペクトラムを従来の10枚ベインマグネト
ロンのそれと比較した説明図である。
【図4】本発明によるマグネトロンの第2実施例を説明
する断面図である。
【図5】本発明によるマグネトロンの第2実施例におけ
る陽極シリンダー部分の構成の説明図である。
【図6】本発明によるマグネトロンの第2実施例におけ
る陰極部分の構成を説明する部分断面図である。
【図7】マグネトロンを整合状態で動作させた場合の従
来のマグネトロンと第2実施例のマグネトロンの発振ス
ペクトラムを比較する説明図である。
【図8】本発明の第2実施例のマグネトロントと従来の
10枚ベインのマグネトロンの発振効率に対する動作安
定度および結合度の関係の説明図である。
【図9】本発明によるマグネトロンを用いた電子レンジ
の回路構成例の説明図である。
【図10】本発明によるマグネトロンを用いた900W
クラスの電子レンジを用いて負荷を変えたときの出力特
性を本発明による8枚ベインマグネトロンと従来の10
枚ベインマグネトロンの出力特性を比較した説明図であ
る。
【図11】陽極ベイン枚数(陽極空洞数)を10枚およ
び8枚としたマグネトロンについて、その各モードの発
振周波数比を計算した結果の説明図である。
【図12】従来のマグネトロンの構造の1例を説明する
断面図である。
【図13】図12に示した従来のマグネトロンの陽極構
造を説明する平面図である。
【図14】図13に示したスロラップリングの説明図で
ある。
【図15】図13に示した陽極ベインとストラップリン
グの結合構造を説明するための1枚の陽極ベイン部分の
要部断面図である。
【図16】従来のマグネトロンの構造の他の例を説明す
る断面図である。
【図17】従来のマグネトロンの陽極構造を説明する平
面図である。
【図18】従来のマグネトロンのストラップリングの説
明図である。
【図19】図17のA−A線に沿って切断した断面図で
ある。
【符号の説明】
1 陰極フィラメント 2 陽極ベイン 3 陽極シリンダー 21 上側エンドシールド 21’ 下側エンドシールド 23,24 陰極リード 61 第1のストラップリング 62 第2のストラップリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 雄一 千葉県茂原市早野3681番地 日立デバイス エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 小倉 利夫 千葉県茂原市早野3673番地 日立日進エレ クトロニクス株式会社内 (72)発明者 小黒 友勝 千葉県茂原市早野3673番地 日立日進エレ クトロニクス株式会社内 (72)発明者 梅木 巌 千葉県茂原市早野3673番地 日立日進エレ クトロニクス株式会社内 (72)発明者 久我 真澄 千葉県茂原市早野3673番地 日立日進エレ クトロニクス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の内径寸法を有する陽極シリンダーの
    内側に放射状に配設した複数の陽極ベインと、前記陽極
    シリンダーの軸芯に沿って設け直熱型螺旋状陰極と、前
    記陽極シリンダーの外周に機械的に圧入して嵌合積層し
    てなる複数の板状冷却フィンと、前記陽極ベインの軸芯
    方向端面側の一方に一端を配置すると共に他端をアンテ
    ナに接続したアンテナリードとを少なくとも有する発振
    周波数2450MHz帯のマグネトロンにおいて、 前記陽極ベインの数を8枚とし、前記直熱型螺旋状陰極
    の外径を2.6mm〜3.2mmの範囲に設定すると共
    に、前記陽極ベインの内端径を7.0mm〜8.0mm
    の範囲に設定したことを特徴とするマグネトロン。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記陽極ベインの軸芯
    方向に沿った両側の端面に、前記陽極ベインを1つ置き
    に交互に結合する径の異なる第1の環状体と第2の環状
    体とを配置したことを特徴とするマグネトロン。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記陽極ベインの軸芯
    方向に沿った前記アンテナリード側の端面にのみ、前記
    陽極ベインを1つ置きに交互に結合する径の異なる第1
    の環状体と第2の環状体とを配置したことを特徴とする
    マグネトロン。
  4. 【請求項4】請求項1〜2において、前記陽極シリンダ
    ーの内径をベイン内端径の約3.63〜4.6倍に設定
    したことを特徴とするマグネトロン。
  5. 【請求項5】請求項1および3において、前記陽極シリ
    ンダーの内径をベイン内端径の約4.5〜5.0倍に設
    定したことを特徴とするマグネトロン。
  6. 【請求項6】請求項1〜5において、前記陽極ベインの
    厚さを2.0〜2.4mm、軸方向高さを6.4〜8.
    4mmに設定したことを特徴とするマグネトロン。
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