JPH07295853A - 故障診断方法 - Google Patents

故障診断方法

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JPH07295853A
JPH07295853A JP6091217A JP9121794A JPH07295853A JP H07295853 A JPH07295853 A JP H07295853A JP 6091217 A JP6091217 A JP 6091217A JP 9121794 A JP9121794 A JP 9121794A JP H07295853 A JPH07295853 A JP H07295853A
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Atsushi Nakagawa
淳 中川
Tatsuo Sato
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の構成要素により構成されるシステムを
診断対象とする故障診断方法で、故障構成要素候補とそ
の故障原因候補の絞り込みが十分に行なわれ、且つその
診断処理が短時間なもの。 【構成】 診断対象のすべての構成要素を故障構成要素
候補として、定性シミュレーションにより診断対象の正
常時の動作をシュミレートし、そのシミュレーション結
果と実際の診断対象の症状とをGDEアルゴリズムを用
いて比較することにより、診断対象から故障構成要素候
補の絞り込みを行なう工程(S31,S32)と、前記
S31,S32で絞り込まれた各故障構成要素候補につ
いて、あらかじめ設定されたいくつかの故障原因につい
ての故障時の定性モデルを順次選択し、この選択された
故障時の定性モデルを用いて診断対象の定性シミュレー
ションを行ない、そのシミュレーション結果と実際の診
断対象の症状との比較一致を検出することにより故障原
因を特定する工程(S33)とを含むもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は素子、部品、ユニット又
は装置等を一つの構成要素として、この構成要素を複数
個結合して構成されるシステムを診断対象とする故障診
断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多数の構成要素により構成されるシステ
ムや、多くの処理工程を経て連続処理される複雑なプラ
ント等に故障が発生した場合、その故障箇所を特定する
のが困難な場合が多い。このような故障診断方法の従来
技術としては、あらかじめ診断専門家の持つ故障診断知
識をコンピュータ内に格納しておき、この故障診断知識
を利用して診断を自動化するシステムとして、診断型エ
キスパートシステムが一般に知られている。この場合、
専門家の持つ知識とは故障の原因と結果の因果関係を表
す知識であって、この知識をコンピュータ内に格納する
方法として、if−then形式のルールが一般に広く
用いられている。しかし、専門家からこの様な知識を獲
得するためには、知識工学者(エキスパートシステム開
発者)が専門家に対しインタビューを行なわなくてはな
らず、かなりの困難が伴う。
【0003】従来、診断対象のモデルによる動作の予測
値を利用して診断するモデルベース診断が考案されてい
る。モデルベース診断の一手法としては、例えば下記の
文献1がある。 文献1:Johan de Kleer and Br
ian C. Williams,“Diagnosi
ng Multiple Faults”,Artif
icial Intelligence Vol.3
2,p.97−130
【0004】図8は前記文献1に示されたGDEアルゴ
リズムを説明するための図であり、図のM1,M2,M
3はそれぞれ乗算器、A1,A2はそれぞれ加算器であ
る。図8のように構成された演算回路への入力信号A〜
Eの信号値として、いまA=B=E=3,C=D=2が
入力されたとすると、出力信号E,Gの信号値は共に1
2になるはずである。しかし実際に測定してみると、F
=10,G=12になっているとすると、回路のどかこ
に故障があることがわかる。このような場合に、回路内
のどの部品が故障しているかを特定する手法がGDE
(General Diagnostic Engin
e)アルゴリズムである。
【0005】GDEアルゴリズムにおいては、変数表記
として、 変数=値{計算に用いた部品の番号} という方式をとる。測定値に関しては、{}内は、空の
リストである。図8の回路におけるGDEアルゴリズム
による診断ステップの例を下記に示す。 [ステップ1]A=3{} [ステップ2]B=3{} [ステップ3]C=2{} [ステップ4]D=2{} [ステップ5]E=3{}
【0006】乗算結果であるX,Y,Zに関しては、乗
算器のモデルを使うことにより求められる。そして信号
値を求めるために使った部品の名前を、{}の中に入れ
る。 [ステップ6]X=6{M1} [ステップ7]X=6{M2} [ステップ8]X=6{M3} これは、例えばステップ6を例にとると、「M1が故障
していないとすると、X=6である。」というように読
む。
【0007】加算結果であるF,Gについては、 [ステップ9] F=12{A1,M1,M2} [ステップ10]G=12{A2,M2,M3} これは、例えば「A1,M1,M2が全て故障していな
いとすると、F=12である。」というように読む。一
方、Fの測定値が10なので、 [ステップ11]F=10{} ステップ10とステップ11の結果は矛盾している。つ
まり、A1,M1,M2の全てが正常と考えると、おか
しいということになる。アルゴリスム上は、矛盾が発見
され次第下記に示すconflictというものを生成
する。 C1=<A1,M1,M2> これは、C1の中に、最低1つは故障した部品があるこ
とを示している。
【0008】以下、あらゆる組合せにより、各点の信号
値を求める。 [ステップ12]X=4(X=F−Y){A1,M2} [ステップ13]Y=4(Y=F−X){A1,M1} [ステップ14]G=10(G=Y+Z){A1,A
2,M1,M3} Gの測定値は [ステップ15]G=12{} なので、ステップ14と矛盾し、 C2=<A1,A2,M1,M3> という次のconflictを生成する。
【0009】次の組合せのステップとしては、 [ステップ16]Z=6(Z=G−Y){A2,M2} [ステップ17]Y=6(Y=G−Z){A2,M3} [ステップ18]Z=8(Z=G−F+X){A1,A
2,M1} [ステップ19]X=4(X=F−G+Z){A1,A
2,M3} となり、これ以上は矛盾は無い。
【0010】次に求めたconflictから故障部品
の候補を決定する。得られたconflictは、 C1=<A1,M1,M2> C2=<A1,A2,M1,M3> である。GDEアルゴリズムでは複数箇所の故障に対応
しているが、同時に発生する故障は一箇所であるという
仮定をすると、両方のconflictを説明できる故
障部品は、C1,C2の積集合である、 [A1]または[M1] のみであり、この二つが故障部品の候補となる。
【0011】GDEアルゴリズムは、直観的には、変数
の値を求める際に使用した部品を記憶しておき、求めた
観測値と測定値の間に不一致が生じた場合には、その値
を求める際に使用した部品の中に故障があると考えてい
ることになる。このように、GDEアルゴリズムを用い
れば、診断対象のモデルさえ定義できれば、観測値とモ
デルによる計算値を比較することを繰り返すことによ
り、故障部品の絞り込みが可能となる。
【0012】一方、多変量、非線形の複雑なプラントの
場合には、一般に対象の定量的なモデルを構築すること
は困難なので、その代わりに対象の定性的な挙動のみを
簡易に予測する技術として定性シミュレーションという
方法が考えられている。定性シミュレーション手法の一
例としては次の文献2がある。 文献2:Johan De Kleer and Jo
hn Seely Brown,“A Qualita
tive Physics Based onConf
luences”,Artificial Intel
ligence,Vol.24,p.7−83,198
【0013】定性シミュレーションでは、定量的な数値
を扱う変わりに変数を下記のように3値化する。 x=[+];x>正常値 x=[0];x=正常値 x=[−];x<正常値 図9はバルブの定性シミュレーションモデルを説明する
図であり、図の11はバルブ、Pinは入口圧力、Pout
は出口圧力、Finは入口流量、Fout は出口流量、dP
は入出力間の差圧である。図9のバルブ11の定性シミ
ュレーションモデルは一般に次の(1)〜(3)式で示
される。 dP=Pin−Pout …(1) Fin=dP …(2) Fin=Fout …(3)
【0014】(2)式における物理的意味は、入力流量
Finは入出力間の差圧dPに比例するの意であるが、定
性シミュレーションモデルの式としては単に等号で結合
されている。図9の定性シミュレーションモデルにおい
て、入口圧力増加、出口圧力増加の場合のそれぞれの定
性シミュレーションの結果をそれぞれ下記の定性シミュ
レーション結果a、bに示す。
【0015】定性シミュレーション結果a、 Pin =[+]:入口圧力増加 dp =[+]:差圧増加 Fin =[+]:入口流量増加 Fout =[+]:出口流量増加 Pout =[+]:出口圧力増加 上記の定性シミュレーション結果aは、入口圧力が上昇
すると、差圧が上昇し、入口からはいる流量が増加し、
出口から出る流量も増加し、さらに出口の圧力が上昇す
ることを表している。
【0016】定性シミュレーション結果b、 Pout =[+]:出口圧力増加 dp =[−]:差圧減少 Fin =[−]:入口流量減少 Fout =[−]:出口流量減少 Pin =[+]:入口圧力増加 上記の定性シミュレーション結果bは、出口圧力が上昇
すると、差圧が減少し、入口からはいる流量が減少し、
出口から出る流量も減少し、さらに出口の圧力が上昇す
ることを表している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記のG
DEアルゴリズムでは、その診断結果として、ある程度
までの故障部品候補の絞り込みは行なわれるが、実際に
は故障とは考えられない部品も故障候補に含まれている
ことがあり、故障原因候補についての絞り込みが不十分
であるという問題点があった。また定性シミュレーショ
ンのアルゴリズムでは、多数の構成要素を含むシステム
や多くの処理工程が連続する複雑なプラント等を診断対
象とする場合に、すべての構成要素又は処理工程を故障
候補として故障診断を行なうと、一般にその診断処理に
長時間を要するという問題点があった。
【0018】本発明はかかる問題点を解決するためにな
されたもので、素子、部品、ユニット又は装置等を一つ
の構成要素として、該構成要素を複数個結合して構成さ
れるシステムを診断対象とする場合に、故障構成要素候
補とその故障原因候補についての絞り込みが十分に行な
われ、且つその診断処理時間も従来より短縮できる故障
診断方法を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る故障診断方
法は、素子、部品、ユニット又は装置等を一つの構成要
素とし、該構成要素を複数個結合して構成されるシステ
ムを診断対象とする故障診断方法において、定性シミュ
レーションにより診断対象の正常時の動作をシミュレー
トし、そのシミュレーション結果と実際の診断対象の症
状とをGDEアルゴリズムを用いて比較することによ
り、診断対象から故障構成要素候補の絞り込みを行なう
第1の工程と、前記第1の工程により絞り込まれた各故
障構成要素候補について、あらかじめ設定されたいくつ
かの故障原因についての故障時の定性モデルを順次選択
し、該選択された故障時の定性モデルを用いて診断対象
の定性シミュレーションを行ない、そのシミュレーショ
ン結果と実際の診断対象の症状との比較一致を検出する
ことにより故障原因を特定する第2の工程とを含むもの
である。
【0020】
【作用】本発明においては、素子、部品、ユニット又は
装置等を一つの構成要素として、該構成要素を複数個結
合して構成されるシステムを診断対象とする故障診断方
法において、第1の工程により、定性シミュレーション
により診断対象の正常時の動作をシミュレートし、その
シミュレーション結果と実際の診断対象の症状とをGD
Eアルゴリズムを用いて比較することにより、診断対象
から故障構成要素候補の絞り込みを行ない、第2の工程
により、前記第1の工程により絞り込まれた各故障構成
要素候補について、あらかじめ設定されたいくつかの故
障原因についての故障時の定性モデルを順次選択し、該
選択された故障時の定性モデルを用いて診断対象の定性
シミュレーションを行ない、そのシミュレーション結果
と実際の診断対象の症状との比較一致を検出することに
より故障原因を特定する。
【0021】
【実施例】まず本発明の故障診断方法は、素子(エレメ
ント)、部品(パーツ)、もしくはユニット、又は装置
等のいずか一つをその構成要素として、この構成要素を
複数個結合して構成されるすべてのシステムに適用する
ことができる。換言すると小規模システムから大規模シ
ステムまで適用が可能である。
【0022】図1は本発明に係る故障診断方法の概略処
理を示す流れ図である。図1の流れ図を説明する。図1
のステップS31では、診断対象に故障が発生した場合
に、診断対象のすべての構成要素を故障構成要素候補と
する。ステップS32では、定性シミュレーションによ
り診断対象の正常時の動作をシミュレートし、そのシミ
ュレーション結果と実際の診断対象の症状とをGDEア
ルゴリズムを用いて比較することにより、診断対象から
故障構成要素候補の絞り込みを行なう。即ち故障構成要
素候補の数を減少させておく。
【0023】ステップS33では、前のステップS32
で絞り込まれた各故障構成要素候補について、あらかじ
め設定されたいくつかの故障原因についての故障時の定
性モデルを順次選択し、この選択された故障時の定性モ
デルを用いて診断対象の定性シミュレーションを行な
い、そのシミュレーション結果と実際の診断対象の症状
との比較一致を検出することにより故障原因を特定す
る。なお、ステップS33のさらに詳細な処理は図5に
おいて説明する。
【0024】本発明の故障診断方法を図2の油圧回路に
適用した場合を考える。図2は本発明の故障診断対象の
一例である油圧回路を示す図であり、図の1は油圧源,
3及び5は油圧モータ、7は電磁弁,4はパイロットチ
ェック弁、2,6はそれ以外の部品、8は出力端であ
る。パイロットチェック弁4は、電磁弁7が図の状態の
時のみ高圧側から低圧側へ油がながれる。この油圧回路
の場合油圧モータ3,5と電磁弁7以外の部品は、従来
技術で述べたバルブの定性モデルによりモデル化されて
いるとする。
【0025】図2の場合に、起こり得る故障の症状とし
ては、次の(イ)と(ロ)の2つが考えられる。 (イ):油圧モータ3は動作し、油圧モータ5は動作し
ない。 (ロ):油圧モータ3,5の両方が動作しない。 (イ)の症状の場合、故障箇所を一箇所とすると、診断
専門家は、油圧モータ3及び5の間のパイロットチェッ
ク弁4で油の漏れが生じているか、油圧モータ5が故障
していると判断する。
【0026】(ロ)の症状の場合は、どこかの部品
(2,3,4,5,6)がつまっているか、あるいは2
つの油圧モータ3,5より高圧側にある部品2で油の漏
れが生じているか、または、電磁弁7が故障してパイロ
ットチェック弁4が閉じていると判断する。提案する故
障診断方法が、上記判断と同等の結論を出せば良いこと
になる。
【0027】図2の油圧源(入力端)1と出力端8の圧
力が共に正常で、各油圧モータ3,5の動作がそれぞれ
前述の(イ)と(ロ)の症状になったとき、図1のステ
ップS31,S32による処理を行ない、故障部品候補
を絞り込んだ結果を、それぞれ図3と図4に示す。図3
と図4において、破線の曲線で囲った部品が、それぞれ
絞り込まれた故障部品の候補である。この結果は、診断
専門家の判断した故障部品を含んでいる。
【0028】S32におけるGDEアルゴリズムを用い
た診断結果だけでもある程度故障部品候補の絞り込みが
できてはいるが、問題点もある。例えば(イ)の症状の
診断結果を示す図3では、電磁弁7も故障候補に入って
いる。この電磁弁7が壊れた場合には、開いているはず
のパイロットチェック弁4が閉じてまい、経路が遮断さ
れ、両油圧モータ3,5が止まることになる。これは実
際の症状と食い違っている。つまり、電磁弁7の故障
は、症状(イ)の場合の故障の候補としてふさわしくな
い。このことにより、GDEアルゴリズムでは求めた故
障候補群の中に故障部品が含まれていることは間違いな
いが、余分なものも含んでいることがあるこがわかる。
【0029】また、例えば症状(イ)の診断結果を見て
みると、パイロットチェック弁4の故障かもしれないと
いうことだけはわかっても、実際の故障の原因はわから
ない。もしパイロットチェック弁4の故障原因が「漏
れ」であれば、(イ)の様な症状になるが、もしパイロ
ットチェック弁4の故障原因が「詰まり」であれば、両
油圧モータ3,5とも止まってしまう。つまり、GDE
アルゴリズムの診断結果からは、どの部品が故障の可能
性があるかはわかるが、複数の故障原因が考え得る場合
に、実際にどのような故障原因の可能性があるかはわか
らない。
【0030】これらの問題を解決するために、図1のS
33においては、各部品に故障時の定性モデルを定義
し、故障時の定性シミュレーションを行なうことによ
り、実際に起こり得る故障原因を確定することを行な
う。故障時のシミュレーションとは、たとえば図2にお
いて両油圧モータ3,5の前にある部品2が漏洩した場
合、両油圧モータの動作がどうなるかということを推定
することである。
【0031】図5は図1のステップS33の詳細処理を
示す流れ図であり、同図は本発明に係る故障モデルによ
り起り得る故障原因を特定する順序を示している。図5
の流れ図を説明する。まずステップS41で、診断対象
内にまだ故障と仮定していない故障部品候補があるかど
うかをチェックし、もしなければ終了するが、もしある
場合には、次のステップS42で、診断対象内で新たに
故障部品候補の一つを故障と仮定する。
【0032】ステップS43では、前のステップS42
で故障と仮定した部品について、考え得るいくつかの故
障原因のうち、まだ未仮定の故障原因候補があるか否か
を判別する。具体例としては、S42でバルブが故障し
たと仮定すると、このバルブの故障原因としては、「漏
れ」と「詰まり」の2つが考え得るので、バルブが「漏
れた」と仮定した場合の定性シミュレーションと「詰ま
った」と仮定した場合の定性シミュレーションのうち、
まだ行なわれていないものはないかを判別することであ
る。判別結果がYESの場合はステップS44へ移り、
NOの場合はステップS41へ戻る。
【0033】ステップS44では、未仮定の故障原因候
補のうちの一つを故障原因と仮定し、ステップS45で
は、前記仮定した故障原因による症状を定性シミュレー
ションによりシミュレートし、ステップS46では、実
際の診断対象の症状とS45のシミュレーション結果と
が一致しているかどうかを確認する。そして実際の症状
とシミュレーション結果とが一致している場合には、ス
テップS47で、一致した故障原因候補が故障原因であ
ったものとして表示し、一致しない場合にはステップS
43へ戻り、再びS43からの各ステップを繰返して行
なう。
【0034】図5のステップS45における故障時の定
性シミュレーションを行なう場合に、仮定した故障部品
がバブルの場合、下記のような「漏れ」と「詰まり」の
2つの故障モデルがあらかじめ設定されている。 バルブ「漏れ」の故障モデル Pin =[−]:入力圧力減少 Pout =[−]:出力圧力減少 バルブ「詰まり」の故障モデル Pin =[+]:入口圧力増加 Pout =[−]:出力圧力減少
【0035】ここで故障モデルは、故障原因が「漏れ」
又は「詰まり」の場合に、部品についての変数がどうな
るかを記述したものである。上記の「漏れ」のモデル
は、バルブに漏れが生じると、バルブの入口と出力の圧
力が共に低下することを、また、「詰まり」のモデル
は、バルブに詰まりが生じると、バルブの入口は圧力が
上昇し、出口は圧力が低下することを表している。ステ
ップS45では、上記のようにあらかじめ設定されたい
くつか(この例は2つ)の故障モデルのうち、順番に選
択されたモデルについての定性シミュレーションを行な
うことになる。
【0036】また、パイロットチェック弁4につながっ
ている電磁弁7は、故障時には出口の圧力が本来高圧の
場合は低圧に、低圧の場合は高圧になるものとする故障
モデルを設定する。例えば図2の油圧回路の故障症状
(イ)の場合において、図5の診断ステップS42で、
図2のパイロッチェック弁4が故障と仮定されたとす
る。そしてステップS44で故障原因として「漏れ」を
仮定したとする。前記バルブ「漏れ」の故障モデルにあ
る変数値を起点として、ステップS45で定性シミュレ
ーションを行なうと、油圧モータ3は動作し、油圧モー
タ5は動作しないという症状をシミュレートすることが
できるので、パイロットチェック弁4の「漏れ」を故障
原因の候補としてステップS47で表示する。
【0037】次にステップS44で、故障原因として
「詰まり」を仮定したとする。前記バルブ「詰まり」の
故障モデルにある変数値を起点として定性シミュレーシ
ョンを行なうと、両油圧モータ3,5とも動作しないと
シミュレートされる。これは実際に起こっている症状と
異なるので、この故障原因の仮定は棄却される。以下全
ての故障部品候補について同様な検証を繰り返し、症状
をシミュレートできない故障原因を棄却することによ
り、起こり得る故障原因の絞り込みを行なう。
【0038】図2の油圧回路を診断対象として、まず図
1のS32において、GDEアルゴリズムで故障部品候
補を絞り込んで求め、次に図1のS33において、各故
障部品候補について故障時の定性シミュレーションを行
ない、症状(イ),(ロ)について故障原因の確定を行
なった結果をそれぞれ図6,図7に示す。図6及び図7
において、破線の曲線で示された故障部品と、その故障
原因とは、それぞれ専門家の判断と完全に一致している
ので、診断に成功したことになる。
【0039】本発明におけるGDEアルゴリズムの利用
目的は、故障時の定性シミュレーションを診断対象内の
全ての部品に適用すると演算時間がかかるので、事前に
故障部品候補を減少させておくことである。なおGDE
アルゴリズムの利点としては、故障モデルを使用しなく
とも、正常時のモデルのみである程度の故障部品候補の
絞り込みが行なえるということがある。また一般に、部
品単体のモデルが複雑なほど、GDEアルゴリズムを利
用する効果は高い。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、素子、部
品、ユニット又は装置等を一つの構成要素として、該構
成要素を複数個結合して構成されるシステムを診断対象
とする故障診断方法において、まず第1の工程により、
定性シミュレーションにより診断対象の正常時の動作を
シミュレートし、そのシミュレーション結果と実際の診
断対象の症状とをGDEアルゴリズムを用いて比較する
ことにより、診断対象から故障構成要素候補の絞り込み
を行ない、次に第2の工程により、前記絞り込まれた各
故障構成要素候補について、あらかじめ設定されたいく
つかの故障原因についての故障時の定性モデルを順次選
択し、該選択された故障時の定性モデルを用いて診断対
象の定性シミュレーションを行ない、そのシミュレーシ
ョン結果と実際の診断対象の症状との比較一致を検出す
ることにより故障原因を特定するようにしたので、故障
構成要素候補とその故障原因候補との絞り込みが十分に
行なわれ、且つ前記第1及び第2の工程の合計処理時間
も従来方法の処理時間より短縮され、故障の復旧処理を
迅速に行なうことができるようになった。また、このよ
うな故障診断方法は、専門家の知識を利用しないため、
故障診断システム作成時に専門家へのインタビュー作業
が不要となり、開発が容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る故障診断方法の概略処理を示す流
れ図である。
【図2】本発明の故障診断対象の一例である油圧回路を
示す図である。
【図3】図2の症状(イ)の場合のGDEによる診断結
果を示す図である。
【図4】図2の症状(ロ)の場合のGDEによる診断結
果を示す図である。
【図5】図1のステップS33の詳細処理を示す流れ図
である。
【図6】図2の症状(イ)の場合の本発明による故障原
因確定結果を示す図である。
【図7】図2の症状(ロ)の場合の本発明による故障原
因確定結果を示す図である。
【図8】従来のGDEアルゴリズムを説明するための図
である。
【図9】バルブの定性シミュレーションモデルを説明す
る図である。
【符号の説明】
1 油圧源 2,6 部品 3,5 油圧モータ 4 パイロットチェック弁 7 電磁弁 8 出力端 11 バルブ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素子、部品、ユニット又は装置等を一つ
    の構成要素として、該構成要素を複数個結合して構成さ
    れるシステムを診断対象とする故障診断方法において、 定性シミュレーションにより診断対象の正常時の動作を
    シミュレートし、そのシミュレーション結果と実際の診
    断対象の症状とをGDEアルゴリズムを用いて比較する
    ことにより、診断対象から故障構成要素候補の絞り込み
    を行なう第1の工程と、 前記第1の工程により絞り込まれた各故障構成要素候補
    について、あらかじめ設定されたいくつかの故障原因に
    ついての故障時の定性モデルを順次選択し、該選択され
    た故障時の定性モデルを用いて診断対象の定性シミュレ
    ーションを行ない、そのシミュレーション結果と実際の
    診断対象の症状との比較一致を検出することにより故障
    原因を特定する第2の工程とを含むことを特徴とする故
    障診断方法。
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