JPH07289628A - 生体硬組織代替部材およびその製造方法 - Google Patents

生体硬組織代替部材およびその製造方法

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JPH07289628A
JPH07289628A JP6088476A JP8847694A JPH07289628A JP H07289628 A JPH07289628 A JP H07289628A JP 6088476 A JP6088476 A JP 6088476A JP 8847694 A JP8847694 A JP 8847694A JP H07289628 A JPH07289628 A JP H07289628A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生体活性を有する材料と機械的性質に優れた材
料とをバインダーを介して結合した複合材料からなる生
体硬組織代替部材であって、生体活性材料単独の代替部
材と同等な生体活性および優れた機械的強度を有し、加
重が加わる部位にも適用可能であり、しかも使用したバ
インダーによる弊害を伴わない代替部材を提供すること 【構成】生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラス
と生分解性有機材料との複合体からなる所望形状の基体
と、該基体に埋設された生体用金属材料または生体用構
造材料からなる支持体とを具備したことを特徴とする生
体硬組織代替部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、整形外科分野等で用い
られる生体硬組織代替部材と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】整形外科分野では、骨腫瘍のような骨の
疾患または外傷によって骨に欠損を生じた場合に、骨の
機能を修復するため、該欠損部への人工骨の移植が行な
われる。生体硬組織代替部材とは、上記のような人工骨
や、或いは人工歯根のように、欠損を生じた生体硬組織
の機能を修復するために、該欠損部に移植される人工材
料の総称である。
【0003】このような生体硬組織代替部材としては従
来、アルミナ系、ジルコニア系もしくはリン酸カルシウ
ム系のセラミックス材料、またはチタン系合金等の金属
材料が用いられている。これら材料のうち、リン酸カル
シウム系材料は、骨組織中に埋設されると骨と直接的に
結合する好ましい生体活性を有しているが、機械的強度
に劣っている。これに対して、アルミナ系材料、ジルコ
ニア系材料およびチタン系金属は、機械的強度に優れて
いるものの、生体活性は有していない。そこで、生体活
性および機械的強度の両者を満足させるために、上記二
つのタイプの材料を複合化した代替部材、即ち、機械的
強度に優れた材料の上に生体活性を有する材料をコーテ
ィングした部材が考案されている。
【0004】このような複合材料からなる生体硬組織代
替部材として、チタン若しくはアルミナ基材の上に水酸
化アパタイトをコーティングしたものが提案されてい
る。例えば、特開昭61−284253号公報および特
開昭63−300754号公報には、樹脂をバインダー
に用いて水酸化アパタイトをコーティングしたインプラ
ント材および人工歯根が開示されている。特開昭61−
284253号公報に記載のインプラント材では、バイ
ンダーとして、例えばトリエチレングリコールジメタク
リレート重縮合物のような熱硬化性樹脂が用いられてい
る。また、特開昭63−300754号公報に記載の人
工歯根では、例えばフッ素樹脂のような衝撃吸収性の樹
脂が用いられている。これら公報では、上記バインダー
樹脂の作用について、樹脂の適度な弾性率および硬度に
よって、生体内に埋設した後の生体への適合感や、外力
に対する衝撃吸収をもたらすと説明されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記複
合材料からなる従来の生体硬組織代替部材では、バイン
ダーに用いた樹脂自体の生体親和性や、生体に対する影
響が問題になる。即ち、これらバインダー樹脂は永久的
に生体内に残存するので、長期的には樹脂の変質や機械
的性質の劣化を免れ得ず、従って周囲の組織に悪影響を
及ぼすおそれがある。
【0006】また、代替部材に用いる材料の種類によっ
て差はあるものの、移植後の代替部材と周囲の骨組織と
の間の結合および固着が得られるまでには、或る程度の
時間を要する。従って、例えば偽関節や骨欠損を伴う骨
折のように、修復すべき部位の骨に支持性が乏しく、移
植された代替部材の固定が困難で容易に動いてしまうよ
うな症例では、代替部材の移植を適用し難いという問題
がある。
【0007】かかる事情に鑑み、本発明の課題は、生体
活性を有する材料と機械的性質に優れた材料とをバイン
ダーを介して結合した複合材料からなる生体硬組織代替
部材であって、生体活性材料単独の代替部材と同等な生
体活性および優れた機械的強度を有し、加重が加わる部
位にも適用可能であり、しかも使用したバインダーによ
る弊害を伴わない代替部材とその製造方法を提供するこ
とである。本発明の他の課題は、移植すべき部位が支持
性に欠けるような症例に対しても適用できる、生体硬組
織代替部材を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を達
成するために、本発明では、バインダー材料として生分
解性有機材料を用いることとした。即ち、本発明による
第一の生体硬組織代替部材は、生体活性セラミックス若
しくは生体活性ガラスと生分解性有機材料との複合体か
らなる所望形状の基体と、該基体に埋設された生体用金
属材料または生体用構造材料からなる支持体とを具備し
たことを特徴とするものである。
【0009】また、本発明による第二の生体硬組織代替
部材は、生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラス
からなる所望形状の基体と、該基体に埋設された生体用
金属材料または生体用構造材料からなる支持体と、該支
持体と前記基体との間に介在された生分解性有機材料層
とを具備したことを特徴とするものである。
【0010】上記第一および第二の生体硬組織代替部材
は、バインダーとしての生分解性有機材料を他の材料と
組み合わせる態様が異なっている。即ち、第一の生体硬
組織代替部材において、生分解性有機材料は、生体活性
セラミックス若しくは生体活性ガラスと共に代替部材の
基体を構成している。これに対して、第二の生体硬組織
代替部材においては、生体活性セラミックス若しくは生
体活性ガラスで構成された基体と、生体用金属材料等で
構成された支持体との間に配置される介在層として用い
られている。
【0011】本発明による生体硬組織代替部材の製造方
法は、上記第一の代替部材を得るためのものであり、生
分解性有機材料を融解し、これに生体活性セラミックス
若しくは生体活性ガラスの粉末または顆粒を添加して混
合する工程と、こうして得られた混合物を、生体用金属
もしくは生体用構造材からなる支持体を配置したモール
ド型内に充填し、固化させる工程とを具備する。
【0012】以下、本発明の詳細を説明する。本発明に
おいて、代替部材の基体として用いられる生体活性セラ
ミックスおよび生体活性ガラスは、骨組織と直接的に結
合もしくは癒合し、骨形成または骨修復の足場として機
能するものであり、このような機能を有するものであれ
ば如何なる種類のものを用いてもよい。しかし、骨の無
機成分であるリン酸カルシウム系の物質が特に適してお
り、その例としては、水酸化アパタイト(HAP)、β
−リン酸三カルシウム(β−TCP)等のリン酸カルシ
ウム系セラミックス及びそれらの混合物、CaO−P2
5系、CaO−SiO2系、CaO−P25−SiO2
系が挙げられる。
【0013】この生体活性セラミックスおよび生体活性
ガラスの形態は、特に限定されない。しかし、第一の生
体硬組織代替部材の場合、即ち、生分解性有機材料との
複合体として代替部材の基体を構成するときは、粉末ま
たは顆粒状であるのが好ましい。また、第二の生体硬組
織代替部材の場合、即ち、単独で代替部材の基体を構成
するときは多孔質体であるのが好ましい。
【0014】生体活性セラミックスのうち、β−TCP
等の骨置換型生体吸収性セラミックスは、骨組織中で経
時的に吸収され、自家骨に置換されていく性質を有して
いる。従って、この材料を用いた代替部材では、将来的
には支持体を除く全ての部分が自家骨で置換される効果
が得られる。その結果、β−TCP等の骨置換型生体吸
収性セラミックスと、HAP等の非吸収性生体活性セラ
ミックスとは、夫々の性質に応じて区別して適用するの
が望ましい。
【0015】本発明における生分解性有機材料は、生体
親和性に優れ、生体中で分解されて吸収される有機材料
であれば特に限定されない。例えば、乳酸、グリコール
酸、ラクトン等をモノマー単位とするポリマーまたはコ
ポリマーを用いることができ、またコラーゲン、キチン
等を用いてもよい。
【0016】これら生分解性有機材料は、粉末または顆
粒状の生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスを
用い、これを代替部材の基体に構成するためのバインダ
ーとして作用する。また、代替部材の基体を、多孔質の
生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスで構成す
る場合、該基体と生体用金属等からなる支持体とを結合
するためのバインダーとして作用する。何れの場合に
も、この生分解性有機材料の作用によって、代替部材は
弾性が向上するため、加重が加わる部位にも適用するこ
とが可能となる。しかも、上記の生分解性有機材料は生
体内において分解され、吸収されるので、残存して生体
に悪影響を及ぼすことはない。また、生体活性セラミッ
クス等の骨伝導能を低下させることもない。
【0017】本発明において、代替部材の支持体として
用いられる生体用金属材料としては、生体親和性に優れ
た金属であれば特に限定されず、例えば、チタン、チタ
ン系合金、タンタル、生体用ステンレス等を用いること
ができる。なかでも、チタン、チタン系合金およびタン
タル等、骨と直接的に接触し結合することができる骨結
合性金属が好ましい。この生体用金属材料の代わりに、
アルミナやジルコニア等のセラミックスのように、別の
生体用構造材料を用いてもよい。これら生体用金属材料
または他の生体用構造材料は、本発明の代替部材の機械
的強度を向上させるための支持体として用いられる。該
支持体は、円筒状、棒状など如何なる形態であってもよ
いが、メッシュ状またはワイヤー状とすることによっ
て、生体活性を有する領域を多くすることが好ましい。
【0018】ワイヤ−状の支持体を用い、これを代替部
材の基体中に埋設する場合は、該ワイヤを基体の両端を
越えて外部に延設することにより、この延設部を周囲の
骨との連結手段に用いることができる。こうして、ワイ
ヤーの延設部を周囲の骨と連結することにより、代替部
材を固定できる。従って、移植部周囲の骨に代替部材を
支持する能力がない症例においても、代替部材を容易に
移動しないように固定して移植することができる。この
場合、支持体ワイヤーとしてチタンやチタン系合金等の
ように、介在組織なしで骨と接し得る金属(骨結合性金
属)を用いれば、骨修復後も安定に生体内に存在せしめ
ることができる。一方、骨修復後にワイヤを取り除きた
い場合は、骨組織と直接には接触することなく、介在物
を介して接する金属(例えばSUS316のようなステ
ンレス)を用いる。
【0019】以上の構成からなる本発明の生体硬組織代
替部材は、支持体およびバインダーとしての生分解性有
機材料の作用により、機械的強度および弾性が向上する
ので、加重が加わる部位での骨修復のために適用するこ
とができる。
【0020】次に、本発明の生体硬組織代替部材の製造
方法について説明する。本発明による第一の生体硬組織
代替部材を製造する際は、まず、生分解性有機材料を加
熱または冷却して融解させ、これに生体活性セラミック
ス若しくは生体活性ガラスの粉末または顆粒を加えて混
合する。一方、生体用金属材料または生体用構造材料か
らなる支持体を、骨格となるようにモールド型内に配置
する。このモールド型内に上記で得られた混合物を流し
込み、固化させることにより、本発明による第一の代替
部材が得られる。
【0021】或いは、生体活性セラミックス若しくは生
体活性ガラスの粉末または顆粒と、生分解性有機材料の
粉末または顆粒とを混合し、この混合物を上記支持体を
配置したモールド型内に充填した後、加圧および加熱処
理を施して、圧着、融着および重合により固化させても
よい。このとき、粉末または顆粒間の間隙を残留させ
て、代替部材基体を多孔質にすることにより、骨組織中
での骨形成がより速やかに達成される利点が得られる。
【0022】本発明による第二の生体硬組織代替部材を
製造する場合は、生体用金属材料または生体用構造材料
からなる支持体に、生分解性有機材料層をコーティング
する。次いで、このコーティングされた支持体を、生体
活性セラミックス若しくは生体活性ガラスの多孔質体の
内部に配置し、加熱処理して一体化させればよい。この
ような製造方法によれば、製造プロセスの影響で生体活
性セラミックス等の生体活性が損なわれることを防止す
ることができる。
【0023】
【実施例】
<第一実施例>図1は、本発明の第一実施例になる生体
硬組織代替部材を示す図である。同図Aは斜視図、同図
Bは正面図、同図Cは平面図である。これらの図におい
て、符号11は、β−TCPとポリ乳酸との混合物から
なる円柱形の基体である。該基体11は、同図Dに示し
たように、バインダーとして機能するポリ乳酸マトリッ
クス12内に、β−TCP粒子13が分散された構造を
有している。基体11の内部には、チタンワイヤからな
る支持部材141 ,142 が埋設されている。該支持部
材141 ,142 の夫々は、複数の環状チタンワインヤ
を上下に並べ、これらを線状のチタンワイヤで連結して
円筒形の網状に編んだものである。この実施例では、大
小二つの支持部材141 ,142 が用いられており、小
さい支持部材141 は、大きい支持部材142 内側に挿
入して配置されている。
【0024】上記実施例の生体硬組織代替部材では、埋
設されたチタン製支持部材141 ,142 の骨格として
の作用により、優れた機械的強度が付与される。また、
基体11には、β−TCPの生体活性に加えて、ポリ乳
酸マトリックスによる弾性が付与されている。従って、
β−TCPによる生体活性を生かすと共に、加重が加わ
る部位への適用も可能である。移植された後は、ポリ乳
酸が生体組織により経時的に分解され、吸収される。ま
た、β−TCPは生体組織に吸収されながら、自家骨に
置換されていくので、最終的には骨格として用いたチタ
ン製の支持部材141 ,142 以外の全ての部分が自家
骨で置換されることになる。残存したチタン製支持部材
141 ,142 は、介在物なしで骨組織と接することに
なる。しかし、その形態が網状であるので、バルク状の
チタン金属片が恒久的に骨組織中に残存する場合に比較
すれば、加重下での応力の分布に偏りがなくなる利点が
得られる。
【0025】上記の生体硬組織代替部材は、次のように
して製造することができる。まず、ポリ乳酸を加熱して
溶融させ、これにβ−TCP顆粒を加えて混合する。得
られた混合物を、支持部材141 ,142 を配置したモ
ールド型内に流し込み、固化させることにより、図1の
代替部材を得ることができる。
【0026】或いは、ポリ乳酸の顆粒とβ−TCPの顆
粒を混合し、続いて支持部材141,142 を配置した
モールド型内にこの混合顆粒を充填した後、加圧および
加熱処理を施すことにより、圧着、融着および重合によ
り固化させてもよい。このとき、顆粒の間に間隙が残留
するようにすれば、基体11を多孔質とすることがで
き、骨組織中でのより速やかな骨形成を行なうことがで
きる。 <第二実施例>図2は、本発明の第二実施例になる生体
硬組織代替部材を示している。同図Aは斜視図であり、
同図Bは縦断面図である。これらの図において、符号2
1は、HAPまたはβPCPの多孔質体からなる四角柱
形の基体である。該基体21は、バインダーとしてのポ
リ乳酸マトリックスを用いておらず、HAPまたはβ−
TCPのみからる多孔質体である点において、第一実施
例の基体11とは異なっている。この基体21の内部に
は、長手方向に沿って、ロッド状の複数のポリ乳酸層2
2が形成されている。また、夫々のポリ乳酸層22の内
部には、複数のチタン製ワイヤ23が埋設されている。
【0027】上記のように、この実施例の生体硬組織代
替部材では、HAPまたはβ−TCPの多孔質体からな
る基体21の内部に、ポリ乳酸層22を介してチタン製
ワイヤ23が骨格として埋設された構造を有している。
従って、チタンワイヤ23による補強作用により、向上
した機械的強度が得られる。一方、第一実施例に比較す
ると、基体21がβ−TCPまたはHAPのみからな
り、ポリ乳酸またはこれと等価な有機質を含まないの
で、弾性にやや欠ける。しかし、基体21は一体の多孔
質体であり、顆粒構造または粒子構造を含まないので、
その一部が補填部から遊離する事態を生じることはな
い。
【0028】上記実施例の代替部材を生体組織中に移植
すると、ポリ乳酸層22は経時的に分解吸収される。ま
た、生体活性の多孔質セラミックスからなる基体21
は、HAPを用いた場合は、その内部まで骨組織が侵入
して骨形成が得られ、β−TCPを用いた場合は経時的
に自家骨に置換される。チタン製支持体23の形態はワ
イヤー状であるので、バルク状のチタン金属片が恒久的
に骨組織中に存在する場合に比較して、第一実施例の場
合と同様、加重下における応力の分布に偏りがなくなる
利点を有する。 <第三実施例>図3は、本発明の第三実施例になる生体
硬組織代替部材を示している。同図において、符号31
は、生体活性セラミックス多孔質体からなる円柱形の基
体である。該基体31は、β−TCPおよびHPAの混
合物(混合比1:1)からなっている。基体31の中心
軸には、ロッド状のポリ乳酸層32が形成されている。
このポリ乳酸層32を通して、ステンレス(SUS31
6)製ワイヤ33が嵌装され、該ステンレス製ワイヤの
両端は基体31の両端を越えて延設されている。
【0029】上記のように、ステンレス製ワイヤ31の
一部に、ポリ乳酸層32を介して生体活性セラミックス
からなる多孔質の基体31を形成した構造は、次のよう
な利点を有する。即ち、移植部周囲の骨に代替部材を支
持する能力がない場合でも、基体31を補填部位に位置
させ、ステンレス製ワイヤ33の延設部分を周囲の骨に
連結することによって、代替部材を固定することができ
る。
【0030】移植された後、ポリ乳酸層32は経時的に
分解吸収される一方、β−TCP・HAP混合物の優れ
た骨伝導能により、基体31内への骨形成が促進され
る。ステンレス製ワイヤ33は、骨が修復された後に抜
去される。ステンレス製ワイヤ33と骨組織との間には
介在物が形成され、両者は直接接触しないので、ステン
レスワイヤ33は容易に取り除くことができる。
【0031】上記のように、この実施例になる生体硬組
織代替部材は、生体活性に優れると共に、移植部周囲の
骨に代替部材を支持する能力がない症例に対しても適用
することができる。 <第四実施例>図4は、本発明の第四実施例になる生体
硬組織代替部材を示している。同図において、41は円
柱形のチタン製基体である。該基体41の周面には、β
−TCPとポリ乳酸との複合体からなる生体活性層42
がコーティングされている。また、チタン製基体41の
中心軸に沿って、ロッド状のポリ乳酸層43が形成され
ている。該ポリ乳酸層43を貫通してステンレス(SU
S316)製ワイヤ44が挿通され、ステンレス製ワイ
ヤ44の両端は基体41の両端を越えて延設されてい
る。
【0032】上記構造の生体硬組織代替部材では、基体
41をチタン製としたことによって、第三実施例よりも
機会的強度が増大する利点が得られる。また、第三実施
例と同様に、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力
がない場合でも、基体41を補填部位に位置させ、ステ
ンレス製ワイヤ44の延設部分を周囲の骨に連結するこ
とによって、代替部材を固定することができる。この代
替部材を移植すると、時間の経過と共に、生体活性層4
2のβ−BCT部分が周囲から骨に置換されて骨形成が
進行し、ポリ乳酸は分解吸収される。ステンレス製ワイ
ヤ44は、第三実施例の場合と同様、修復の後に除去さ
れる。
【0033】上記のように、この実施例によれば、代替
部材自体の機械的強度を向上させ得る共に、第三実施例
と同様、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がな
い症例に対しても適用できる利点が得られる。
【0034】なお、この実施例においては、チタン製基
体41の代わりに、アルミナまたはジルコニア等の他の
生体用構造材料からなる基体を用いてもよく、この場合
にも同様の効果が得られる。 <第五実施例>図5は、本発明の第五実施例になる生体
硬組織代替部材を示している。同図において、符号51
は、生体活性セラミックスのβ−TCPと生分解性有機
物質であるポリ乳酸との複合体からなる円筒形の基体で
ある。該基体51の内部には、第一実施例で用いたのと
同様の、チタン製ワイヤを円筒形の網状に組み立てた支
持部材52が埋設されている。また、支持部材52の中
心軸に沿ってチタン製ワイヤ53が挿通され、その両端
は基体51の両端を越えて延設されている。
【0035】上記実施例の代替部材は、基体51に混合
されたポリ乳酸によって弾性が向上し、チタン製支持部
材52の骨格機能によって機械的強度の向上が達成され
る。また、第三実施例および第四実施例と同様、移植部
周囲の骨に代替部材を支持する能力がない症例において
も、基体51を補填部に配置し、チタン製ワイヤ53を
周囲の骨に連結することによって代替部材を固定するこ
とができる。
【0036】移植の後、基体51のポリ乳酸は経時的に
分解吸収され、β−TCTの部分は自家骨に置換され
る。残存するチタン製支持体52およびチタン製ワイヤ
53は、介在物なしで骨組織と直接接することになる。
これらチタン製部材は網状または線状なので、バルク状
のチタン金属片が恒久的に骨組織中に存在する場合に比
較して、加重下での応力分布に偏りがなくなるという利
点が得られる。
【0037】以上説明した本発明について、各請求項の
好ましい実施態様を要約して示せば次の通りである。 (1) 請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材にお
いて、支持体が生体用金属材料からなるもの。
【0038】(2) 実施態様1において、支持体がメッシ
ュ状またはワイヤ状の形態を有するもの。 (3) 請求項1に記載の生体硬組織代替部材において、基
体中に埋め込まれた支持体がメッシュ状またはワイヤ状
の形態を有する生体用金属材料からなり、該支持体の両
端が基体の両端を越えて延設されているもの。
【0039】(4) 請求項2に記載の生体硬組織代替部材
において、基体中に埋め込まれた支持体がメッシュ状ま
たはワイヤ状の形態を有する生体用金属材料からなり、
該支持体の両端が基体の両端を越えて延設されているも
の。
【0040】(5) 請求項1または2に記載の生体硬組織
代替部材において、基体が多孔質であるもの。 (6) 請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材にお
いて、生体活性セラミックスがリン酸カルシウムである
もの。
【0041】(7) 請求項1または2に記載の生体硬組織
代替部材において、生体活性セラミックスが水酸化アパ
タイトであるもの。 (8) 実施態様6において、リン酸カルシウムが生体吸収
性リン酸カルシウムであるもの。
【0042】(9) 実施態様8において、生体吸収性リン
酸カルシウムがβ−リン酸三カルシウムであるもの。 (10)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材にお
いて、生体活性セラミックスがβ−リン酸三カルシウム
と水酸化アパタイトとの混合物であるもの。
【0043】(11)請求項1または2に記載の生体硬組織
代替部材において、生体活性ガラスがCaO−P2
5系、CaO−SiO2系、又はCaO−P25−SiO
2系のガラスであるもの。
【0044】(12)請求項1または2に記載の生体硬組織
代替部材において、生分解性有機材料が、乳酸、グリコ
ール酸、ラクトンをモノマー単位とするポリマーまたは
コポリマー、並びにコラーゲンおよびキチンからなる群
から選ばれるもの。
【0045】(13)請求項1または2に記載の生体硬組織
代替部材において、支持体が骨結合性金属からなるも
の。 (14)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材にお
いて、支持体がチタン、チタン系合金またはタンタルか
らなるもの。
【0046】(15)実施態様3または4において、支持体
が、骨とは結合しない生体用金属からなるもの。 (16)実施態様15において、支持体が、ワイヤ状の形態
を有する生体用ステンレス鋼であるもの。
【0047】(17)請求項1に記載の生体硬組織代替部材
を製造するに際し、生体活性セラミックス若しくは生体
活性ガラスの粉末または顆粒と、生分解性有機材料の粉
末または顆粒とを混合する工程と、この混合物を、生体
用金属もしくは生体用構造材からなる支持体を配置した
モールド型内に充填し、加圧および加熱処理を施して、
圧着、融着および重合により固化させる方法。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による生体
硬組織代替部材は、生体活性材料単独の代替部材と同等
な生体活性を有し、機械的強度に優れた材料を組み合わ
せたことによって優れた機械的強度を具備し、またバイ
ンダ材料による適度な弾性を有するため、加重が加わる
部位にも適用可能である。しかも、移植後もバインダー
材料による弊害を生じない等、顕著な効果を得ることが
できる。
【0049】加えて、本発明によれば、移植すべき部位
が代替部材を支持する能力を欠いているような症例に対
しても適用できる、生体硬組織代替部材を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例になる生体硬組織代替部材
を示す図であり、同図(A)は斜視図、同図(B)は正
面図、同図(C)は平面図、同図(D)は基体の微細構
造を示す拡大図である。
【図2】本発明の第二実施例になる生体硬組織代替部材
を示す図であり、同図(A)は斜視図、同図(B)は縦
断面図である。
【図3】本発明の第三実施例になる生体硬組織代替部材
を示す説明図である。
【図4】本発明の第四実施例になる生体硬組織代替部材
を示す説明図である。
【図5】本発明の第五実施例になる生体硬組織代替部材
を示す説明図である。
【符号の説明】
11,21,31,41,51…基体、12…ポリ乳酸
マトリックス、13…β−TCP粒子、141 ,14
2 ,52…チタン製支持部材、22,32,43…ポリ
乳酸層、23,53…チタン製ワイヤ、33,44…ス
テンレス製ワイヤ、42…生体活性層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体活性セラミックス若しくは生体活性
    ガラスと生分解性有機材料との複合体からなる所望形状
    の基体と、該基体に埋設された生体用金属材料または生
    体用構造材料からなる支持体とを具備したことを特徴と
    する生体硬組織代替部材。
  2. 【請求項2】 生体活性セラミックス若しくは生体活性
    ガラスからなる所望形状の基体と、該基体に埋設された
    生体用金属材料または生体用構造材料からなる支持体
    と、該支持体と前記基体との間に介在された生分解性有
    機材料層とを具備したことを特徴とする生体硬組織代替
    部材。
  3. 【請求項3】 生分解性有機材料を融解し、これに生体
    活性セラミックス若しくは生体活性ガラスの粉末または
    顆粒を添加して混合する工程と、こうして得られた混合
    物を、生体用金属もしくは生体用構造材からなる支持体
    を配置したモールド型内に充填し、固化させる工程とを
    具備したことを特徴とする生体硬組織代替部材の製造方
    法。
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