JPH072895A - 抗体−薬物複合体 - Google Patents

抗体−薬物複合体

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JPH072895A
JPH072895A JP6082952A JP8295294A JPH072895A JP H072895 A JPH072895 A JP H072895A JP 6082952 A JP6082952 A JP 6082952A JP 8295294 A JP8295294 A JP 8295294A JP H072895 A JPH072895 A JP H072895A
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JP
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antibody
drug
reaction
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alkyl
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JP6082952A
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Russell Lavern Barton
ラッセル・レイバーン・バートン
Stephen Lyle Briggs
スティーブン・ライル・ブリッグズ
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Eli Lilly and Co
Original Assignee
Eli Lilly and Co
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Publication date
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    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/50Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
    • A61K47/51Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
    • A61K47/68Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. an Fc-fragment
    • A61K47/6835Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. an Fc-fragment the modifying agent being an antibody or an immunoglobulin bearing at least one antigen-binding site
    • A61K47/6883Polymer-drug antibody conjugates, e.g. mitomycin-dextran-Ab; DNA-polylysine-antibody complex or conjugate used for therapy

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新しい免疫複合体とその製造中間体を提供す
る。 【構成】 式(I): 【化1】 [Abは薬物の送達が望まれる細胞または組織に関連す
る抗原を認識する抗体またはその抗原結合性断片を表
す。Rは反応に利用できるカルボニル官能性を有する薬
物を表す。R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保
護基を表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレン
を表す。Yは−O−、−NH−または−N(アルキル)−
を表す。Aは 【化2】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
ンを表す)。nは1から10までの整数を表す。]で示
される生理学的に許容できる免疫複合体とその製造中間
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】薬化学の分野では疾患を治療および防止す
るためのより特異的でより強力な薬物が徐々に開発され
てきた。しかしつい最近まで薬物を必要とする身体の特
定の部分に薬物を誘導するための手段はなかった。した
がって必要な特異的効果を有し、身体に他の影響を持た
ない薬物で患者を治療できることも少なくはないが、今
なお全身性の投与を行う必要がある。他方、もし治療を
必要としている器官、組織、さらには細胞に薬物を誘導
できるとすれば、薬物はそれを必要としているところに
濃縮されるので、極めて少ない投与量でよいことが多く
なるであろう。患者にとっての安全面と薬物の経済性に
関する利点は歴然としている。この数年の間、免疫学の
分野では薬物を必要とする位置に関連する特異的な抗原
に対する抗体に薬物を結合させることによって、そのよ
うな標的治療を行おうと試みてきた。今やこのような抗
体-薬物複合体に関する特許と科学的報文は数多くあ
る。しかし現在までのところ、医療用として認可された
抗体-薬物複合体はない。
【0002】本発明は式(I):
【化7】 [Abは薬物の送達が望まれる細胞または組織に関連す
る抗原を認識する抗体またはその抗原結合性断片を表
す。Rは反応に利用できるカルボニル官能性を有する薬
物を表す。R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保
護基を表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレン
を表す。Yは−O−、−NH−または−N(アルキル)−
を表す。Aは
【化8】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
ンを表す)。nは1から10までの整数を表す。]で示
される生理学的に許容できる薬物複合体を提供する。
【0003】また本発明は式(II):
【化9】 [R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保護基を表
す。R3'はカルボン酸活性化基、−OHまたはその塩を
表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレンを表
す。Pはアミノ保護基を表す。Yは−O−、−NH−ま
たは−N(アルキル)−を表す。Aは
【化10】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
ンを表す)。]で示される中間体をも提供する。
【0004】さらに本発明は式(III):
【化11】 [Abは薬物の送達が望まれる細胞または組織に関連す
る抗原を認識する抗体またはその抗原結合性断片を表
す。R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保護基を
表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレンを表
す。Yは−O−、−NH−または−N(C1〜C6アルキ
ル)−を表す。Pはアミノ保護基を表す。Aは
【化12】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
ンを表す)。nは1から10までの整数を表す。]で示
される修飾された抗体または抗体断片をも提供する。
【0005】また本発明は本発明の複合体と非経口投与
できる媒質からなる医薬組成物と、薬物での治療を必要
とする患者に本発明の複合体を投与することからなる治
療法をも提供する。
【0006】本明細書ではすべての温度を一貫して摂氏
温度で表す。百分率や濃度などの表現はすべて特にこと
わらない限り重量単位である。薬物複合体の濃度と投与
量に関する記載はすべて複合体中に含まれる薬物の量ま
たは濃度に換算されている。
【0007】本明細書では本発明の化合物を概してマロ
ネート(マロン酸誘導体:malonate)と呼ぶ。しかしYが
アミン官能基を表す化合物の場合、正確にはこれをマロ
ナメート(malonamate)と呼ぶべきであることは理解され
るであろう。そのような化合物を特に意味する場合には
マロナメートという用語を使用する。R1がアルキルを
表す化合物を記述する際にもマロネートという用語を使
用する。
【0008】「カルボン酸保護基」という用語は、他の
場所で反応を行っている間のカルボン酸の保護に有用な
有機基を意味する。そのような基は合成化学、とりわけ
ペプチド化学では極めて広範囲に使用されており、保護
基は有機化学者には十分に知られている。この問題に関
してとりわけ便利な教科書はGreeneのProtective Group
s in Organic Synthesis(第2版,John Wiley and Sons,
ニューヨーク,1991)である。酸保護基はGreeneの著書の
第5章に議論されている。本発明との関連で最も好まし
い保護基は低級アルコキシ基(すなわちC1〜C4アルコ
キシ)、とりわけエトキシである。好ましく便利な酸保
護基にはさらにメトキシメトキシ、テトラヒドロピラニ
ルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、ベンジルオキ
シメトキシ、フェナシルオキシおよび置換フェナシルオ
キシ、2,2,2-トリクロロエトキシおよび他のハロエ
トキシなどと、アミノ、エチルアミノ、ピロリジノ、モ
ルホリノ、ピペリジノ、ジエチルアミノエチルアミノ、
モルホリノエチルアミノ、ベンジルメチルアミノエチル
アミノなどのアミド形成基が含まれる。
【0009】「カルボン酸活性化基」という用語はカル
ボン酸の反応性を増大させるために有機合成化学で使用
される基を包含する。そのような基は合成化学者らが頻
繁に使用するものであり、ベンゼンスルホニルオキシ、
メタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ、
フタルイミジルオキシ、スクシンイミジルオキシ、クロ
ロ、ベンゾトリアゾリルオキシ、ブロモ、アジドなどを
含む。本発明において好ましい活性化基はN-スクシン
イミジルオキシ、ベンゾトリアゾリルオキシおよびフタ
ルイミジルオキシである。
【0010】「カルボン酸の塩を完成させる部分」とい
う用語は、酸素原子を介して結合していてカルボン酸の
塩を形成する化学部分であって、一般に理解されている
ものを意味する。例えばアルカリ金属、アミン基および
4級アンモニウム基などの塩形成部分が望ましい。より
具体的には、ナトリウム、カリウムおよびリチウム部分
がより好ましい。さらに例えばアンモニウム、テトラメ
チルアンモニウム、ジエチルジプロピルアンモニウムな
どの4級アンモニウム基が有用であり、状況に応じて適
宜これらを選択することができる。さらにメチルアミン
やブチルアミンなどのアミン類も塩の形成に便利であ
る。
【0011】「アルキレン」という用語は、非環式飽和
炭化水素から誘導される2価の基であって、アルキレン
がメチレンである場合を除いて遊離の結合が同じ炭素原
子上にないものを意味する。本発明での使用に適したア
ルキレンにはメチレン、エチレン、トリメチレン、メチ
ルエチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、2-メ
チルトリメチレンなどが含まれる。
【0012】「アリーレン(arylene)」という用語は、
ベンゼン、メチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、
1,3-ジメチルベンゼン、1,2-ジメチルベンゼンなど
の単環式アレンから誘導される2価の基を意味する。
【0013】「アミノ保護基」という用語は、本発明の
免疫複合体を合成する間のヒドラジドの保護に有用であ
ることが当該技術分野で知られている数多くの保護基を
意味する。上述のGreeneの著書の第7章(これは参考文
献として本明細書の一部を構成する)には数多くのアミ
ノ保護基が列挙されている。ベンズアルデヒドとそのメ
トキシ誘導体は好ましいアミノ保護基である。
【0014】本発明の薬物複合体は、抗体、ある種の化
学物質である薬物および抗体と薬物を連結する有機化学
基から構成される。また本発明は、その複合体の製造に
使用される中間体マロネートと、活性型のマロネート中
間体と抗体または抗体断片との反応によって製造される
修飾された抗体をも提供する。まず抗体と薬物について
個別に議論し、次にマロネート中間体とその合成につい
て説明し、最後に複合体の例を示すことにする。
【0015】抗体 本発明の薬物複合体の機能が薬物の生物学的効力と抗体
の抗原選択性によって決定されることは理解されるであ
ろう。特定の薬物がある細胞に送達されて利益をもたら
す時、その細胞に関連する抗原を認識するであろう抗体
を選択する。例えば薬物が抗新生物剤であるとすれば、
腫瘍細胞に関連する抗原を認識する抗体を選択する。抗
新生物剤などの抗増殖剤はさらに心血管疾患の治療にも
適用される。血管形成術後にしばしば再発狭窄症が起こ
ることは現在ではよくわかっている。血管形成術によっ
てアテローム性動脈硬化斑を除去した領域に抗増殖剤を
部位特異的に送達することは、再閉塞を遅延または防止
するうえで有用であろう。薬物がセファロスポリンなど
の抗細菌剤である場合には、細菌抗原を認識する抗体を
選択する。使用する薬物の特徴に応じて、ある場合には
細胞によって内部化される抗体またはその抗原結合性断
片を選択することが好ましいであろうし、表面抗原を認
識することによって細胞表面に留まる抗体またはその抗
原結合性断片(例えばFabやF(ab')2)を使用するこ
とが好ましい場合もあろう。
【0016】抗体の供給源は本発明にとって決定的な問
題ではない。IgG、IgA、IgM、IgE、IgD
などを含む免疫グロブリンのいずれのクラスまたはサブ
クラスから選択してもよい。同様に、薬物の効果が有益
である細胞を抗体が標的にする限り、起源の種は決定的
な問題ではない。
【0017】当該技術分野の現状として薬物複合体には
モノクローナル抗体が頻繁に使用されており、本発明に
おいてもそれらの使用が好ましい。しかしポリクローナ
ル抗体を除外するわけではない。モノクローナル抗体の
エピトープ特異性を保持している遺伝子的に操作された
抗体も現在の当該技術分野では知られており、これらは
免疫原性の低い分子を提供する。そのような遺伝子的に
操作された抗体も本発明によって包含される。キメラ抗
体は1989年3月28日に発行された米国特許第48
16567号に記述されている。米国特許第48165
67号(Cabilly)の内容はすべて参考文献として本明細
書の一部を構成する。遺伝子的に操作された抗体を生産
するもう1つの方法はやはり1989年3月28日に発
行された米国特許第4816397号に記述されてい
る。米国特許第4816397号(Boss)の内容もすべて
参考文献として本明細書の一部を構成する。1987年
9月30日に公開された欧州特許公開第0 239 40
0号に教示されているように、米国特許第481639
7号の方法はさらに洗練されたものになっている。欧州
特許公開第0 239 400号(Winter)の教示は、本発
明の免疫複合体の成分として使用するモノクローナル抗
体の遺伝子操作にとって好ましい形式である。Winterの
技術は、ヒト抗体の相補的決定領域CDRをネズミモノ
クローナル抗体のCDRで置換することによって、ヒト
抗体の特異性をCDR領域の供給源であるネズミ抗体の
特異性に変換するものである。このCDR技術は、最小
限度のネズミ配列を含有し、それゆえに免疫原性の低い
分子を与える。一本鎖抗体技術も遺伝子的に操作された
抗体の1種であり、現在の当該技術分野ではよく知られ
ている。Bird,R.E.ら,1988,Science 242:423-426を参照
のこと。一本鎖抗体技術は、重鎖と軽鎖の結合領域をポ
リペプチド配列で結合することによって、それが由来す
るところの抗体の結合特異性を有する単一のポリペプチ
ドを作成するものである。上述の遺伝子操作法は、免疫
原性形式を低くする一方で親抗体の結合特性を保持して
いる分子を作成するための手段を当業者に数多く提供す
るものである。したがって遺伝子的に操作した抗体を得
て、それを本発明で使用することができる。
【0018】免疫学の進歩によって抗体の選択は今や好
みの問題になっているが、抗体と複合体を評価する方法
に関するいくつかの議論を便宜上以下に記載する。第1
に、抗体は妥当な量の抗体を製造できるほど安定なハイ
ブリドーマによって生産されるべきである。抗体そのも
のは精製しやすいものであるべきで、具体的には妥当な
濃度で化学操作ができるほどに水溶性であるべきだ。
【0019】候補抗体を用いて製造した複合体をまず抗
原結合能に関して評価する。当業者は抗原結合能の減少
を容易に決定できることを理解するであろう。競争的放
射線免疫検定法(RIA)とフローサイトメトリー(flow
cytometry)は、元の抗体と比較して複合体の結合能が減
少しているかどうかを決定するための最も便利な手段の
うちの2つである。遊離の抗体の結合能よりわずかに減
少することは予期されることであり、許容できる。次に
抗原陽性細胞に対するインビトロ効力(例えば抗癌剤の
場合には細胞毒性)を決定するための試験をする。有効
な複合体は細胞に高濃度の薬物を送達するというその能
力ゆえに、同じ検定法では遊離の薬物よりもいくらか低
い効力を持つことができる。次に、最初の2つの試験で
許容された複合体をJonsonおよびLaguzza,Cancer Resea
rch 47,3118-22(1987)が教示しているヌードマウスヒト
腫瘍異種移植モデルで評価する。ヌードマウスでは候補
複合体を遊離の薬物、遊離の薬物と遊離の抗体、非誘導
性免疫グロブリンとの複合体に対して試験すべきであ
り、候補複合体は改善された効力または総合的な安全性
を示すべきである。投与量範囲の研究は異種移植モデル
で行われるべきである。異種移植モデルで効力のあった
複合体を、ヒトに認められるものと類似する様式で目標
の抗原を発現させることがわかっている動物での試験に
付す。このような試験で複合体が抗原に対して有意な程
度の結合をもたらし、異種移植モデルで治療的であると
予測される投与量での毒性があまりない場合、その候補
複合体は治療的な潜在能力を持っているとみなすことが
できる。
【0020】適切に選択された抗体の断片が無傷の抗体
と同じ効果を持つことは理解されるであろう。免疫グロ
ブリンを切断して2価または1価の断片にするためにそ
れぞれタンパク質加水分解酵素であるパパインとペプシ
ンを使用することは当業者の知るところである。したが
って本発明を実施する場合、処置すべき細胞に関連する
抗原を認識する抗体の断片(とりわけF(ab')2断片)は
まさに無傷の抗体と同じく有用であり得る。Fab断片
も有用である。
【0021】リンカー基が抗体と反応して抗体に結合す
る正確な機構は式(I)または(III)には示されていな
いし、完全にはわかっていない。この反応はおそらく後
述するようなアシル化であり、抗体分子のいくつかの位
置がアシル化の対象になる。最も一般的にはリジン部分
の遊離のアミノ基上で抗体のアシル化が進行すると思わ
れる。しかしアシル化はヒドロキシ基、フェノール基、
イミダゾール環およびおそらくは他の部分をも攻撃する
ことができる。
【0022】式(I)と(III)は抗体1分子に1〜10
個のリンカー薬物部分が結合していることを示してい
る。当然のことながら、複合体のあるバッチは抗体に対
する薬物-リンカーの比率がある範囲にわたる分子を必
然的に含有するであろうから、抗体1分子あたりのこの
ような部分の数は平均数である。当然のことながら、各
抗体分子にいくつかの薬物分子を結合させると、高価な
抗体が最も効率よく使用されることになる。しかし過剰
な分子数の薬物-リンカー部分を結合させることは通
常、抗原を認識してそれに結合するという抗体の能力に
有害な影響を与えるので、mの値については妥協点を見
いださなくてはならない。一般にmの好ましい平均値は
3〜8である。複合比は、薬物、リンカー、ペプチド結
合などを検出するために選択された波長で免疫複合体の
吸光度を測定し、次いでその吸光度データと様々な成分
の吸光係数から1抗体あたりの薬物の平均量を導き出す
ことによって、容易に決定される。
【0023】免疫学者は本発明で使用するために数多く
の抗体を入手することができるし、関連する雑誌の各号
にはいつも有用な抗体が開示されている。本発明の実施
に応用することができる抗体を総括的に列挙することは
不可能であるし、その必要は全くない。一般的な免疫学
者や化学者はAmerican Type Culture Collection(米国
メリーランド州ロックビル)のカタログや米国94941カリ
フォルニア,ミル・バレイ,グレン・ドライブ40番のLins
cott's Directoryが発行しているLinscott'sDirectory
of Immunological and Biological Reagentsなどの供給
源から抗体を選択することができる。American Tissue
Culture Collectionを以下ATCCと呼ぶ。ATCCか
ら入手することができる特定のハイブリドーマについて
述べる時はATCCがその特定のハイブリドーマに割り
当てた受託番号に言及する。したがって、腫瘍、細菌、
カビ、ウイルス、寄生虫、マイコプラズマまたは組織適
合性抗原ならびに病原体表面抗原、毒素、酵素、アレル
ゲンおよび生理学的に重要な細胞と組織に関連する他の
種類の抗原など、基本的にいずれの決定因子に対して
も、抗体を選択することは当業者にとって単純な問題で
ある。
【0024】本発明の最も好ましい使用は、具体的には
偏平癌腫細胞、腺癌細胞、小細胞癌腫細胞、グリオーマ
(glyoma)細胞、黒色腫細胞、腎細胞癌腫細胞、遷移細胞
癌腫細胞、肉腫細胞、腫瘍脈管構造を支持する細胞およ
び白血病やリンパ腫などのリンパ様腫瘍を含む癌細胞に
細胞毒性剤を送達する際の使用である。上述のすべての
細胞を標的にする適当な抗体が利用可能であり、その供
給源はLinscottに見つけることができる。あるいは、従
来の方法によってそのような抗体を製造する際に必要な
ハイブリドーマをATCCや他の細胞系収集物から入手
することができる。
【0025】現在知られているいくつかの抗体は本発明
の抗癌的側面での使用にとってとりわけ興味深い。本発
明の目的にとって好ましい抗体はATCCから入手する
ことができ、これらには次のものが含まれる:L/1C
2,HB9682;CC83,HB9453;CC9
2,HB9454;CC11,HB9455;CC11
2(これはMaytag12としても知られている),HB94
56;CC30,HB9457;CC46,HB945
8;CC49,HB9459およびCC15,HB94
60。本発明の目的にとってCC49,HB9459は
とりわけ好ましい。
【0026】本発明の抗体-薬物複合体を上述の抗体の
いくつかを使用して製造した。これらの抗体-薬物複合
体(免疫複合体)はインビトロ検定とヌードマウス異種移
植モデルで活性を発揮した。
【0027】もう1つの興味深い抗体はKS1/4であ
り、この抗体はVarkiら,Cancer Research 44,681-86(19
84)に初めて開示された。非腫瘍抗原に対する反応性を
持つ2つの興味深い抗体はOKT3とOKT4であり、
これらはそれぞれ末梢T-細胞とヒトT-ヘルパー細胞に
結合する。これらはそれぞれATCCにCRL8001
およびCRL8002として寄託されているハイブリド
ーマによって生産される。
【0028】様々な医療用途に有用な抗体のさらなる供
給源は次のものである。免疫調節と腫瘍療法に有用な抗
ヒトリンパ球および単核細胞抗体はATCCの培養物H
B2、HB22、HB44、HB78およびHB136
によって生産される。腫瘍療法に有用な抗トランスフェ
リン受容体抗体はATCCの培養物HB84によって生
産される。ATCCの培養物HB8059は結腸直腸癌
腫モノシアロガングリオシドに対する抗体を生産し、培
養物HB8136は免疫調節とT-細胞白血病療法に有
用な成熟ヒトT-細胞表面抗原に対する抗体を生産す
る。ATCCのハイブリドーマHB9620はCEM2
31.6.7と呼ばれる抗癌胎児性抗原を生産する。小細
胞癌腫の診断と治療に有用なモノクローナル抗体はStei
n,RおよびGoldberg,D.(1991),Chest 99:1466-1476に概
説されている。
【0029】したがって免疫学者や薬物誘導分野の知識
がある人々は、一般的に知られているこの分野の刊行物
や上述の実例と説明を手助けにして、薬物で処置するこ
とを望む細胞に適当な薬物を誘導するための抗体を容易
に選択することができる。
【0030】モノクローナル抗体の製造法と精製法は免
疫学者にはよく知られている。Selected Methods in Ce
llular Immunology(Mishell,BおよびShiigi,S編,1980,
W.H.Freeman and Company,ニューヨーク州ニューヨー
ク)は、ハイブロドーマを培養し、腹水を生産し、抗体
を精製する方法を実験書のレベルで詳述している。
【0031】薬物 上述のマロネートリンカーを用いて薬物と抗体を連結す
る方法が本発明の要旨であることと、薬物と抗体がどち
らも本発明を制約しないことは理解されるであろう。式
(I)において、薬物の反応に利用できるカルボニル基の
少なくとも1つが実際にヒドラジドとの結合を形成して
いる場合に、「薬物」が反応に利用できるカルボニル官
能性を持つと定義されることは当業者の認識するところ
である。ヒドラジドとの結合に先立って反応に利用でき
るカルボニル官能性を1つだけ持っている薬物は、ヒド
ラジドに結合した後は反応に利用できるカルボニル官能
性を保持しないのであるが、それでもこれらは薬物の定
義に包含される。したがって本発明のマロネートリンカ
ーは、これを治療用または予防用の薬物に応用する場
合、マロネートと結合できる化学官能性を持つという薬
物に関する必要性と、その薬物が有益に作用する細胞を
標的にするという抗体に関する必要性によってのみ制約
され、有益に使用される。本発明が提示するヒドラジド
連結機構は薬物が反応に利用できるカルボニル(例えば
アルデヒドやケトンなど)官能性を持つことを必要とす
る。さらに当然のことながら薬物は、標的部位で免疫複
合体から薬物またはその誘導体が放出される時に、反応
に利用できるアルデヒドまたはケトンカルボニル官能基
とヒドラジドリンカーとの反応が薬物の活性を破壊しな
いような性質のものでなくてはならない。反応に利用で
きるカルボニル官能基を持つ薬物は「リンカー」のヒド
ラジド部分との反応時にシッフ塩基を形成する。「リン
カー-薬物」部分の生体内(インビボ)加水分解によって
薬物のカルボニル官能基が再生するので、もし薬物の生
物学的活性が免疫複合体への組込み時に修飾されたとす
れば、この加水分解によって薬物の活性が回復する。し
たがって本発明のリンカーは、例えば抗細菌剤、抗ウイ
ルス剤、抗カビ剤、抗ガン剤、抗マイコプラズマ剤など
を含む基本的にすべての種類の薬物と関連づけて使用す
ることができる。このようにして構築された薬物複合体
は、対応する薬物が有効であるような通常の用途に有効
であり、格別の利益を有する領域に薬物を誘導するとい
う抗体に固有の能力ゆえに、より優れた効力を持つ。
【0032】米国特許第5010176号と第4671
958号は薬物の複合化に付すことができる薬物と他の
化合物に関する情報を記載しており、これらの特許の薬
物に関する開示は参考文献として本明細書の一部を構成
する。数多くの科学的刊行物と書籍が、本発明の免疫複
合体が用途を見いだすところの無数の医療領域で使用さ
れる医薬物質を総括的に列挙している。例えばUSAN and
USP Dictionary of Drug Names(United States Pharma
copeia Convention,Inc.,20852メリーランド州ロックビ
ル,ツインブルック・パークウェイ12601番)は、薬物に
関する現在のUSPおよびNF名について構造、名称お
よび医療領域を記述している。上述のように薬物は反応
に利用できるカルボニル官能性を介して反応するので、
薬物を選択する際の唯一の制約はカルボニル基と所望の
治療活性が存在するということである。
【0033】本発明での使用にとって最も好ましい有効
な種類の薬物は細胞毒性剤の類、具体的には癌療法に使
用されるものである。そのような薬物には一般にアルキ
ル化剤、抗増殖剤、チューブリン結合性剤などが含まれ
る。好ましい種類の細胞毒性剤には例えばアントラサイ
クリン族の薬物、ビンカ薬物、ミトマイシン類などが含
まれる。とりわけ好ましい薬物にはダウノマイシンとそ
の誘導体が含まれ、ドクソルビシンはとりわけ好まし
い。概説した好ましい化合物に当業者が化学修飾を施す
ことによってカルボニル官能性を導入してもよいことは
理解されるであろう。また好ましい複合体が好ましい薬
物から製造されることも理解されるであろう。
【0034】中間体 本発明の中間体マロネートは抗体および薬物と反応させ
る中間体である。したがって中間体マロネートは抗体と
薬物を結合させるリンカーの前駆体であり、それゆえに
好ましい中間体マロネートはその構造を好ましい複合体
に付与する。この中間体はマロン酸の誘導体であり、既
知の手法か、有機化学者が容易に発想する手法に従って
製造される。
【0035】合成 本合成の多くの段階において、他の官能基で所望の反応
を行っている間に出発物質と中間体上の様々な反応性官
能基を保護する必要があることは有機化学者には理解さ
れるであろう。したがって一般に反応が終了した後でこ
れらの保護基を除去する必要がある。このような保護段
階と脱保護段階は有機化学では全くの従来技術であり、
本明細書で完全に説明する必要はないであろう。しかし
保護基に関する上述のGreeneの教科書が、ヒドロキシ
基、チオール基、アミン基などを含む一般に認められる
反応性官能基のすべてについて保護基を完全に説明して
おり、これらの保護基を導入および除去する方法を概説
していることを注記しておく。
【0036】中間体マロネートの合成
【化13】 有機化学の当業者は一般的知識と一般的な文献をもとに
あらゆる中間体マロネートを製造することができる。理
解を確実なものにするために説明を行い、反応式を示
す。説明では特定の反応(例えばS1、S2)を取り上げ
て反応式に言及する。反応式には略号に続けて例示とし
て代表的な基を記載する。
【化14】
【化15】
【化16】
【0037】R1はアルキルを表し得るが、中間体マロ
ネートの製造に好ましい出発物質はカルボン酸保護基R
1がカルボキシ基のうちの1つ上にあるマロン酸誘導体
から出発する(S1を参照のこと)。他方のカルボキシ基
は同じもので置換されていてもよいし、違うもので置換
されていてもよい。異なる場合は、R2基はR1基よりも
除去しやすいものでなければならない。この出発物質を
ハロアルカノエート(ハロアルカン酸エステル)またはア
ミノアルカノエート(アミノアルカン酸エステル)と反応
させる(S2を参照のこと)。ここではアルキル鎖の長さ
がメチレン基(Q)を与える。アミノが鎖の末端にあるア
ミノアルカノエートを使用することによってYがアミノ
である中間体を製造する。アルカノエートのエステル部
分は酸保護基である。
【0038】出発化合物のR2基を除去し、それによっ
て生成したカルボン酸をアルカノエートと反応させるこ
とによってこの反応を行う。この反応は、例えばシクロ
ヘキサジエンの存在下で水素化触媒を使用することによ
る最初の還元によって成功裏に行われた。別法として、
貴金属触媒などの適当な触媒の存在下で水素化を行うこ
ともできる。
【0039】また水性溶媒(水性アセトンなど)中で強塩
基(とりわけ水酸化リチウム)を用いてR2エステルを破
壊することによってこの反応を行うこともできる。カル
ボン酸陰イオンが形成した時にハロアルカノエートを添
加すると(とりわけ酸補集剤の存在下では)中間体マロネ
ートが極めて迅速に形成する。しかしアミノアルカノエ
ートとの反応では、マロネートを形成させるために上述
の活性化基の1つを加えることによってカルボン酸を活
性化すべきである。R1がアルキルを表す場合、R2エス
テルの分解には単純な加水分解を用いる。R1とR2が共
にエステルである場合には、水素添加か1等量の塩基に
よる加水分解を用いてR2エステルを分解する。
【0040】反応S2では酸保護基を伴う中間体マロン
アミドが生成する。この第1の中間体を、生成するアル
コールと反応させるための無水物(酢酸無水物など)およ
びルイス酸(塩化亜鉛など)の存在下で適当なオルトギ酸
アルキルと反応させることによってアルコキシメチレン
基を挿入する(S3を参照のこと)。この反応は100〜
200℃の範囲の高温で行われ、数時間で完了する。
【0041】上記の反応は後述の反応と同様に著しく過
剰な量の出発物質を必要としない。一般的な有機化学の
場合と同じく、より高価な反応物が確実に完全に消費さ
れるように比較的安価な反応物をやや過剰に使用するこ
とが望ましい。この規則は典型的には極めて高価で製造
と精製が困難な抗体自身との反応の場合にはとりわけ的
を得ている。しかし一般には、成分のコストと装置の処
理量を念頭に置いて、その工程の経済性を最大化するよ
うに過剰量の反応物を選択することができるのであっ
て、ただ単に反応を起こらせるためだけに過剰の量を使
用する必要はない。
【0042】段階S4では保護基を付加することによっ
てジヒドラジドを遮断する。数多くのアミノ保護基が当
該技術分野では知られている(上述のGreeneの著書の第
7章を参照のこと)。ベンズアルデヒドは好ましいアミ
ノ保護基であり、2,4-ジメトキシベンズアルデヒドは
とりわけ好ましい。本発明の化合物を合成する際に使用
する他のアミノ保護基の選択は充分に一般的な有機化学
者の能力の範囲内である。好ましい保護基はヒドラジド
と二重結合を形成するので、式(II)と(III)ではヒ
ドラジドと保護基の間に二重結合が書いてある。本発明
の化合物の合成に使用しやすい数多くの保護基はヒドラ
ジド部分と単結合を形成し、これらも本発明によって予
期されるところであるので本発明の範囲に包含される。
【0043】薬物との反応 S3 で得た中間体マロネートを、アルコキシ基が置換さ
れるような条件下で、S4で得た保護ジヒドラジドと反
応させる(S5)。一般にこの反応は、反応物のいずれと
も反応しない有機溶媒かそのような有機溶媒の水性混合
物中0〜50℃という温和な条件下で、通常は温和な塩
基(重炭酸アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、水酸化ア
ルカリ金属など)の存在下で行われる。この反応は一般
に定量的であり、著しく過剰な量を必要としない。しか
し通常は誘導体化した薬物をかなり注意深く精製するこ
とが重要であるから、生成物の単離には高圧下でのクロ
マトグラフィーや他の高性能な手法を必要とするであろ
う。誘導体化した薬物を抗体と反応させることによって
複合体を完成させるので、誘導体化した薬物に伴う反応
性の不純物は抗体の反応性部位を消費し、それによって
製造に費用のかかる抗体を浪費することになる。
【0044】修飾された抗体の合成 抗体を活性型の中間体マロネートと反応させる(S7
ここに中間体マロネートのR3'基は上に説明したような
カルボン酸活性化基である)。カルボジイミド(とりわけ
ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの従来の試薬を
用いてカルボン酸上に活性化基を置く。使用した保護基
に応じて酸保護基R3を適当な方法で除去した後にこの
ような反応を行う。活性化基との反応は不活性有機溶媒
(ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩素化炭化水素な
ど)中で行われ、約0〜50℃の範囲の穏やかな温度で
行うことができる。
【0045】中間体マロネートを抗体と反応させる際の
条件を選択するうえで第1の問題点は抗体の安定性を維
持するということである。この反応は抗体を傷つけない
組成の水性媒質中で行わなくてはならない。S7を参照
のこと。特に好適な水性媒質はホウ酸イオン濃度が約
0.05〜0.5Mの範囲にあるホウ酸緩衝液である。反
応媒質のpHはわずかに塩基性、すなわち約7.4〜8.
6の範囲にあるべきである。反応媒質は水性であるべき
だが、少量の有機溶媒が存在しても有害ではなく、少量
の有機溶媒の存在は極めて都合のよい場合もある。例え
ば中間体マロネートをジメチルホルムアミドやジオキサ
ンなどの少量の有機溶媒に溶解し、その有機溶液を水性
媒質中の抗体溶液に加えることは最も有利であり得る。
【0046】抗体の溶解度は一般に高くないので、一般
的には比較的低濃度でこの反応を行う必要があろう。例
えば抗体の濃度は通常は約5〜25mg/ml-水性媒
質の範囲である。
【0047】上述のように抗体1モルにつき1モルから
約10モルまでのリンカーおよび薬物を結合させる。こ
のような複合比を得るために、通常は過剰量のリンカー
中間体を使用する必要がある。アシル化条件下における
抗体と活性エステルの反応性はいくぶん変化し得るが、
一般的には抗体1モルにつき約9モルから約15モルま
でのリンカー中間体をこの工程で使用する。
【0048】0〜37℃の温度でこのアシル化反応を数
分から数時間進行させる。高温は明らかに抗体にとって
有害であり得る。特にこの反応は元来迅速であるから、
低温で操作することがより望ましい。
【0049】正しい位置にリンカー基を有する誘導体化
抗体を製造し終えたら、その反応混合物を後述の実施例
に示すゲル濾過などの従来の手法でクロマトグラフィー
に付すことによって、誘導体化された抗体を未反応のリ
ンカー中間体から分離することができる。
【0050】複合体の合成 薬物が複数の反応性部位を持っている場合、通常は使用
する意図のない薬物の反応性基を遮断する必要がある。
そのような遮断は上述のように保護基を用いて行われ、
有機化学者にとって特に困難な点はない。
【0051】修飾した薬物を製造し、複合体製造の最終
段階としてそれを抗体と反応させる場合、抗体との反応
に関する上述の注意点をそのまま適用することができ
る。抗体の量と誘導体化した薬物の量の間の比率の選択
には同じ原則があてはまる。抗体が耐え得る条件なら一
般にどのような条件でも薬物は耐え得るであろうから、
一般に反応条件は抗体の安定性を考慮して選択されなけ
ればならない。修飾した抗体を製造し、最終段階で薬物
と反応させる場合には、抗体の安定性を保証する注意を
遵守しなければならない。
【0052】したがって好ましい方法は修飾した抗体を
製造し、それを最終段階で薬物と反応させることであ
る。修飾した抗体(抗体-リンカー)の薬物との複合化に
先立ってジヒドラジドから保護基を除去する必要があ
る。脱遮断の方法は数多く利用可能であるが、溶液のp
Hを約5まで(pH約4.6がとりわけ好ましい)低下さ
せることによって保護基を除去することが好ましい。保
護基の脱離を容易にするために過剰量のヒドラジドまた
は他の1級アミンが存在することが好ましい。
【0053】修飾した抗体と薬物の反応は上述のように
比較的低温度で、抗体が耐え得る媒質中で行われなけれ
ばならない。例えばとりわけ好ましい反応媒質は酢酸ナ
トリウム緩衝液(とりわけpHが4.5〜約6の0.05
〜0.2M酢酸ナトリウム緩衝液)である。有機溶媒が抗
体を損傷する傾向を持たない限り、上述のように反応媒
質中に少量の有機溶媒が存在しても有害ではない。
【0054】最後に薬物複合体を通常はクロマトグラフ
ィー法によって単離精製する。患者への投与に適した濃
度でクロマトグラフィー媒質から複合体を溶出させるこ
とも可能であろう。しかし通常は複合体をクロマトグラ
フィーによって精製し、便利な溶媒(最も好ましくは生
理学的緩衝化食塩水)を用いて、その溶解度が許す限り
の最高濃度で溶出させる。
【0055】組成物と使用法 本発明の免疫複合体は、とりわけこれを医薬組成物(こ
れも本発明の一側面である)として非経口投与する場
合、本発明の治療法で有用である。式(I)で示される免
疫複合体と非経口投与できる媒質からなるそのような組
成物は、薬化学で一般に使用される方法によって製剤化
される。例えば本発明の免疫複合体は血清タンパク質
(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩など)、
水、電解質および生理学的食塩溶液などの生理学的に許
容できる液体(担体)にかなり溶解する。非経口投与用の
製品はしばしば製剤化され、使用直前に再構成するため
に固形(好ましくは凍結乾燥型)に分配される。そのよう
な製剤は本発明の有用な組成物である。凍結乾燥組成物
の製造は当該技術分野ではよく知られている。一般にこ
のような組成物は、等張性を付与する無機塩の混合物
と、乾燥した調製物を再構成時に迅速に溶解させる調合
剤(乳糖など)を含む。使用にあたってこのような製剤を
高度に精製した水で再構成する。
【0056】本発明の組成物における本発明の免疫複合
体の最も効果的な濃度は、複合体中に用いた薬物、薬物
と複合体の物理学的特性、組成物の最終形態によって決
まる。このような組成物を製造する分野の当業者は考慮
すべき変数と組成物成分の最適な比率を容易に認識する
であろう。同様に本発明の免疫複合体にとって最も効果
的な投与法は疾患/感染の重篤度と経過、患者の健康と
処置に対する応答、治療する医師の判断に依存する。し
たがって免疫複合体と付随するあらゆる化合物の投与量
は個々の処置に合わせて滴定されるべきである。さもな
くば、標準的な医学文献から薬物の比効力とそれらの適
当な投与量範囲に関する指針を得るべきである。
【0057】本発明は感受性の哺乳類細胞または組織を
処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺
乳動物に上記の式(I)で示される免疫複合体の有効量を
投与することからなる方法をも提供する。さらに本発明
は哺乳動物宿主内における病原体の成長を阻害する方法
であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に上記
の式(I)で示される免疫複合体の有効量を投与すること
からなる方法をも提供する。本発明の方法のもう1つの
態様には、複合化学療法で使用するための、異なる薬物
もしくは異なる抗体またはその抗原結合性断片を保持す
るいくつかの異なる免疫複合体の同時投与または逐次的
投与が含まれる。複合体に含まれる薬物での処置を必要
とする患者の治療に複合体と複合体を含む組成物を使用
する。特定の治療目的と投与すべき投与量範囲は、薬物
の種類と処置する患者の状態に依存する。標準的な医学
文献から薬物の比効力とそれらの適当な投与量範囲に関
する指針を得るべきである。
【0058】本発明の様々な中間体と複合体の合成を以
下の実施例でさらに説明する。
【0059】実施例1マロネート中間体の製造 本発明のBAMME-CHリンカーの合成では下記の反
応計画を用いた。実施例1に関する反応計画を各反応に
対応するローマ数字で分類する。実施例1の各章は(ロ
ーマ数字で示した)下記の反応式に対応する。この反応
式はただ単に実施例1の各章をたどる当業者を助けるた
めに記載するだけである。反応物、溶媒、触媒などは各
章で完全に詳述するが、反応式では省略する場合もあ
る。
【化17】
【化18】
【0060】反応I 1000ml一口丸底フラスコ中でマロン酸エチル(Ald
rich)15.9gをCH2Cl2150mlに溶解した。塩
化メチレン200ml中のカルボニルジイミダゾール1
9.5gを加えた。カルボニルジイミダゾールを添加し
ている間、激しいCO2の発生が観察された。その反応
混合物を室温で1時間撹拌した。β-アラニンベンジル
エステルトシレート塩63.3gを水200mlに懸濁
し、激しく撹拌した。酢酸エチル150mlを加えた。
1M NaOHをpH9になるまで添加した。次に酢酸
エチル層を取り出し、MgSO4で乾燥した。次にこの
物質を濾過し、上記の反応混合物にゆっくりと添加し
た。反応を室温で約72時間進行させた。過剰の溶媒を
減圧下で除去したところ、橙色のシロップ状物が残っ
た。その橙色シロップ状物を酢酸エチルに溶解し、食塩
水、10%クエン酸、食塩水、飽和Na2CO3および食
塩水で順次洗浄した。酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮したところ、橙
色のシロップ状物が残った。このシロップ状物を最少量
の酢酸エチルに溶解した。反応混合物が濁り始めるまで
ペンタンを加えた。次に反応混合物を600ml熔融ガ
ラスブフナー中のシリカゲル60に注いだ。次に生成物
を25%酢酸エチル/ペンタン1Lで洗浄した。次に生
成物を47×250mmのシリカゲルカラムでさらに精
製した。このシリカゲルフラッシュカラムは予めヘキサ
ンで平衡化しておいた。溶出にはヘキサン中の酢酸エチ
ル勾配を用いた。生成物を含有する試料を減圧下で濃縮
して淡黄色シロップ状物17.2gを得た。NMR分析
によって所望の生成物であることを確認した。
【0061】反応II 250ml一口丸底フラスコ中で上記のマロネート7.
79gを酢酸無水物16.54mlとオルトギ酸トリエ
チル(triethylorthoformate)11.494mlに溶解し
た。ZnCl2374mgを加えた。この塩化亜鉛は完
全には溶解しなかった。この反応混合物を加熱し、3時
間還流した。3時間の反応の終了時に一部を取り出して
TLCで分析した。TLC分析によって出発物質が残っ
ていないことがわかった。その反応混合物を減圧下で濃
縮して黄色の粘性の液体を得た。反応混合物の濃縮後に
残ったこの黄色い粘性の液体を塩化メチレンに溶解した
後、47×250mmのシリカゲルフラッシュカラムに
注いだ。このシリカゲルフラッシュカラムは予め塩化メ
チレンで平衡化しておいた。このカラムを塩化メチレン
1Lで溶出させた。500mlの分画を2つ集めた。第
1分画は酢酸無水物とオルトギ酸トリエチルを含有し、
第2分画は残りのオルトギ酸トリエチルと塩化亜鉛なら
びにいくらかの所望の生成物を含有した。次にこのカラ
ムを20%エタノール/ヘキサン2Lで溶出させ、50
0mlの分画を集めた。第1〜第3分画は比率が約5
0:50の2つの反応生成物の混合物を含有したが、第
4分画はRfが0.25未満の物質を極わずかな量だけ
伴う生成物を含有した。第4分画を減圧下で濃縮して淡
黄色のシロップ状物0.173gを得た。次にこのカラ
ムを40%酢酸エチル/ヘキサン1Lで溶出させ、50
0mlの分画を2つ集めた。40%酢酸エチル分画は2
0%酢酸エチルの第1〜第3分画と類似する組成であっ
たので、20%酢酸エチル溶出液の第1〜第3分画と一
緒にした。次にカラムを70%酢酸エチル/ヘキサン2
Lで溶出させ、500mlの分画を4つ集めた。第1分
画と第2分画は不純物を含有しており、このクロマトグ
ラフィー分離の間に集めた他の分画と一緒にした。70
%酢酸エチル溶出液の第3分画と第4分画は純粋(Rf
=0.25)であり、所望の生成物を含有するこれらの分
画を減圧下で濃縮して無色のシロップ状物1.66gを
得た。この2つの純粋な試料、すなわち70%酢酸エチ
ル溶出液の第3分画と第4分画のNMRは、化合物()
のE-異性体1.66gとZ-異性体0.173gが得られ
たことを示した。不純な分画を、予め塩化メチレンで平
衡化しておいたシリカゲルフラッシュカラム(24×2
10mm)での再クロマトグラフィーに付した。このカ
ラムを塩化メチレンで溶出させ、50mlの分画を8つ
集めた。第2〜第4分画は不純物を含有したが、第5〜
第8分画はRf=0.45の純粋な物質を含有した。次
にこのカラムを20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出さ
せ、50mlの分画を9つ集めた。すべての分画がRf
=0.45を含有し、これらを塩化メチレン溶出液の第
5〜第8分画と一緒にした。次にカラムを50%酢酸エ
チル/ヘキサンで溶出させ、各50mlの分画を集め
た。第18分画と第19分画は純粋なRf=0.45の
物質を含有し、これらを先のRf=0.45の分画と一
緒にした。第2〜第27分画はRf=0.45とRf=
0.25の混合物を含有しており、これらを一緒にし
た。次にカラムを酢酸エチル200mlで溶出させたと
ころ、その溶出液はRf=0.45と0.25の混合物を
含有しており、これらを上述のように一緒にした。一緒
にした第5〜第19分画を減圧下で濃縮して淡黄色のシ
ロップ状物1.83gを得た。第20分画から最終分画
までを減圧下で濃縮して無色のシロップ状物(化合物
())1.86gを得た。
【0062】反応III 500ml一口丸底フラスコ中でカルボヒドラジド5g
を水25mlに溶解した。氷酢酸5mlを加えた。次に
2,4-ジメトキシベンズアルデヒド1.0gを約10分
間かけて滴下した。ジメトキシベンズアルデヒドの添加
前に形成した白色の沈殿が完了した。その沈殿物を濾過
によって集め、水で洗浄した後、乾燥した。得られた白
色の結晶を、熱い溶液から不溶性物質を濾別した後に、
酢酸エチル/メタノールから再結晶した。その結晶を濾
過によって収集し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥すること
によって白色の結晶1.65gを得た。NMRを用いて
反応式IIIの生成物であることを確認した。
【0063】反応IV 10%Pd/C(Engelhard)0.57gの懸濁液を無水エ
タノール7ml中に調製し、その懸濁液を無水エタノー
ル8mlに溶解した化合物()1.36gを含有する1
00ml一口丸底フラスコに移した。新たに蒸留したシ
クロヘキサジエン1.1mlを加えた。そのフラスコを
ストッパーで封印し、その反応混合物を60℃で5分間
加熱した。薄層クロマトグラフィーを用いて反応混合物
中に出発物質が存在しないことを確認した。次にPd/
Cを除去するために反応混合物を濾過した。黄色い濾液
を減圧下で終夜濃縮した。淡黄色の固体物質0.967
gを得た。NMRを用いて化合物()であることを確認
した。
【0064】反応V 25ml一口丸底フラスコ中で反応IIIの生成物0.
96gを乾燥ジメチルホルムアミド2mlに溶解した。
反応IVの生成物0.88gを加え、反応温度を約65
℃に上昇させた。反応物が溶解した時に反応混合物を室
温に冷却し、撹拌した。次にその反応混合物を酢酸エチ
ルと食塩水中に抽出した。次に酢酸エチル溶液を食塩水
で2回洗浄した後、それをMgSO4で乾燥した。酢酸
エチル溶液をNaHCO3溶液中に抽出し、飽和させ
た。次にその水性塩基を酢酸エチルで2回洗浄した。次
にその水溶液を固形のクエン酸でpH5に酸性化した。
酸性化の結果、ミルク状の混合物になった。その混合物
を酢酸エチル中に抽出した後、その酢酸エチルを食塩水
で洗浄した。その酢酸エチル溶液をMgSO4で乾燥し
た後、減圧下で濃縮した。CH2Cl2でトリチュレート
すると白/淡緑色の結晶が得られ、これを濾過によって
収集した。次にその結晶をCH2Cl2で洗浄し、乾燥し
て488.5mgの固体を得た。その濾液を減圧下で濃
縮することによって淡橙色のシロップ状物275.2m
gを得た。化合物()の構造をNMRで確認した。
【0065】反応VI 10ml一口丸底フラスコ中で反応Vの生成物0.27
5gを乾燥ジメチルホルムアミド2mlに溶解した。こ
の溶液にN-ヒドロキシスクシンイミド(Aldrich)140
mgを加え、その混合物を成分が溶解するまで撹拌し
た。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(Aldrich)1
63mgを加えた。このジシクロヘキシルカルボジイミ
ドは約30秒で溶解した。室温で約10分間の後、反応
混合物が濁り始め、ジシクロヘキシル尿素が沈殿し始め
た。その反応混合物を室温で終夜撹拌した。16時間
後、ジシクロヘキシル尿素を濾過によって除去した。つ
ぎにその溶液を酢酸エチルと食塩水中に抽出した。酢酸
エチル溶液を食塩水で2回洗浄した後、その酢酸エチル
溶液をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して
橙色のシロップ状物を得た。反応混合物を一部をCH2
Cl2/メタノール=9/1の溶媒系で薄層クロマトグ
ラフィーを用いるクロマトグラフィーに付した。生成物
のRfは0.80であった。出発物質のRfは0.65で
あった。上記の残渣をCH2Cl2に溶解し、予めCH2
Cl2で平衡化しておいた20×150cmのシリカゲ
ル60フラッシュカラムに充填した。このカラムをCH
2Cl2100mlで洗浄し、そのカラムを2%メタノー
ル/CH2Cl2で溶出させた。生成物バンドがカラムの
下方に移動するのを肉眼で見ることができた。分画を集
め、生成物を含有する分画を一緒にし、減圧下で濃縮し
た。この反応をHPLCで純度について評価した。HP
LCはアミン反応性生成物が存在することを示した。こ
の物質をCH2Cl2に溶解し、CH2Cl2で平衡化した
シリカゲル60カラムに充填した。このカラムを酢酸エ
チルとCH2Cl2の勾配で溶出させた。生成物を含有す
る分画を一緒にし、減圧下で濃縮して純粋な化合物()
45.3mgを得た。
【0066】実施例2免疫複合体の組み立て 化学リンカーを介した薬物の抗体への結合は下記の反応
式に記載の3段階で進行する。
【化19】
【0067】CC49モノクローナル抗体を透析し、
0.5Mホウ酸緩衝液(pH8.6)中に20mg/mlに
なるように濃縮した。この160mgのCC49抗体か
ら反応容器に取り出した。BAMME-CH-DMB-リ
ンカー(実施例1の化合物())4.57mgとジメチル
ホルムアミド0.60mlを加えた。その反応液を約1
時間撹拌した。次に、得られた官能化抗体(化合物())
を1.6×12cmのFastFlow Q-SepharoseTM(Pharmaci
a)カラムを用いるアニオン交換クロマトグラフィーによ
って精製した。このカラムを0.5Mホウ酸緩衝液(pH
8.1)で洗浄し、0.5Mホウ酸緩衝液(pH8.1)中に
形成させた塩化ナトリウムの勾配で溶出させた。官能化
した抗体を含有する分画を集め、ほぼ最初の出発反応体
積にまで濃縮した。カルボヒドラジドの溶液を0.1M
酢酸ナトリウム中に調製して最終濃度を100mMカル
ボヒドラジド(pH8.6)とした。このカルボヒドラジ
ド溶液を最終体積が最初の体積の約4倍になるまで官能
化抗体溶液に加えた。その反応液を30分間穏やかに撹
拌した。次に、カルボヒドラジド溶液の添加によって脱
遮断され、化合物()になった官能化抗体を最初の反応
体積まで濃縮した。その官能化抗体を、0.1M酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH4.6)を用いるSephadex G25m Col
umnTMでのゲル濾過によって精製した。最初のピークを
集め、元の出発体積に濃縮した。次にジメチルホルムア
ミド中の10mMドクソルビシン溶液を加えた。その反
応混合物を室温で終夜穏やかに撹拌した。次にSephadex
G25m ColumnTMと生理学的緩衝液(pH7.4)を用いて
反応生成物()を精製した。最初のピークを集め、タン
パク質が15〜20mg/mlになるように濃縮した。
収率は45〜60%のタンパク質回収率であった。抗体
と薬物のUV吸光度の相違に基づいて1抗体分子あたり
のドクソルビシンの量を計算した。平均置換比(複合比)
は5.8であると決定された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 281/08 7188−4H C07K 16/28 8318−4H (72)発明者 スティーブン・ライル・ブリッグズ アメリカ合衆国46168インディアナ州プレ インフィールド、アイアンウッド・ドライ ブ708番

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 [Abは薬物の送達が望まれる細胞または組織に関連す
    る抗原を認識する抗体またはその抗原結合性断片を表
    す。Rは反応に利用できるカルボニル官能性を有する薬
    物を表す。R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保
    護基を表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレン
    を表す。Yは−O−、−NH−または−N(アルキル)−
    を表す。Aは 【化2】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
    ンを表す)。nは1から10までの整数を表す。]で示
    される免疫複合体。
  2. 【請求項2】 式: 【化3】 [R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保護基を表
    す。R3'はカルボン酸活性化基、−OHまたはその塩を
    表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレンを表
    す。Yは−O−、−NH−または−N(C1〜C6アルキ
    ル)−を表す。Pはアミノ保護基を表す。Aは 【化4】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
    ンを表す)。]で示される化合物。
  3. 【請求項3】 式: 【化5】 [Abは薬物の送達が望まれる細胞または組織に関連す
    る抗原を認識する抗体またはその抗原結合性断片を表
    す。R1はC1〜C4アルキルまたはカルボン酸保護基を
    表す。QはC1〜C4アルキレンまたはアリーレンを表
    す。Yは−O−、−NH−または−N(アルキル)−を表
    す。Pはアミノ保護基を表す。Aは 【化6】 を表す(ここにZはC1〜C4アルキレンまたはアリーレ
    ンを表す)。nは1から10までの整数を表す。]で示
    される化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1の免疫複合体を活性成分とする
    医薬組成物。
JP6082952A 1993-04-28 1994-04-21 抗体−薬物複合体 Withdrawn JPH072895A (ja)

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