JPH07281584A - ホログラフィ技術を利用した転写方法及び装置 - Google Patents

ホログラフィ技術を利用した転写方法及び装置

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JPH07281584A
JPH07281584A JP6097993A JP9799394A JPH07281584A JP H07281584 A JPH07281584 A JP H07281584A JP 6097993 A JP6097993 A JP 6097993A JP 9799394 A JP9799394 A JP 9799394A JP H07281584 A JPH07281584 A JP H07281584A
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JP6097993A
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Akihiro Goto
明弘 後藤
Takashi Genma
隆志 玄間
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホログラフィ技術を利用して多重パターンの
転写に適した転写方法と装置を提供すること、並びにこ
の方法並びに装置の実施に必要な部材を提供することを
目的とする。 【構成】 マスクパターンからの物体光と参照光との干
渉によりホログラム記録媒体にホログラムを記録する際
に、同一のホログラム記録媒体に複数のマスク原版から
夫々異なる記録条件で複数のホログラムを記録させ、こ
れらのホログラムに再生光を照射してマスクパターンの
像を感光基板上に再生して転写する際に、一つのホログ
ラム記録媒体に記録された複数のホログラムを夫々異な
る再生条件で個別に再生することを特徴とするホログラ
フィ技術を利用した転写方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ホログラムの記録と
再生により所定のパターンを転写するホログラフィ技術
を利用した転写方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ホログラフィ技術を応用した種々
の方法や装置が開発されているが、液晶素子や半導体素
子等の製造工程におけるリソグラフィ技術において、ホ
ログラムによる記録及び再生を応用した転写方法が利用
されている。
【0003】ここでは、所定の回路パターン等が形成さ
れたマスクから、マスクパターンに応じたホログラム
(以下、パターンホログラムという)を形成し、このホ
ログラムの再生像をウエハ等の感光基板上に形成して、
マスクパターンをウエハ上に転写するものである。
【0004】ホログラムを形成する際には、マスク上の
パターンで回折された物体光をホログラム記録媒体に導
くと共に、この物体光と干渉性のある平面波からなる参
照光を同じくホログラム記録媒体に導いて、相互の干渉
作用によりホログラムが形成される。
【0005】ホログラム記録媒体には、この干渉作用に
よる強度分布状態がホログラムとして記録されるが、一
般には記録媒体中での屈折率分布等の状態で記録され
る。なお、ホログラム記録媒体の性質により、必要に応
じて露光や加熱等のホログラムの定着作業を行う。この
ようにしてパターンホログラムが形成されたホログラム
記録媒体を、本明細書ではホログラムマスクと言う。
【0006】そして、ホログラムを再生する際には、ホ
ログラムマスクに形成されたパターンホログラムに対
し、記録時の物体光と共役な平面波である再生光を照射
することにより、原則として記録時のマスク(パター
ン)の位置と同じ位置に、マスクパターンの再生像が形
成される。
【0007】このため、記録時のマスク原版に変えて、
同じ位置にウエハ等の感光基板を配置すれば、マスクパ
ターンの像がウエハ上に形成され、その再生像の投射に
より露光されてマスクパターンがウエハに転写されるこ
ととなる。
【0008】このようなホログラフィ技術のうち、ホロ
グラム記録媒体内での全反射光を利用してホログラムの
記録再生を行ういわゆる全反射ホログラフィ技術が注目
されており、特に液晶基板等の比較的大きな投影面積を
必要とするリソグラフィ技術に応用されている。
【0009】ところで、従来の全反射ホログラフィ技術
では、ホログラム記録媒体は図8に示すような構成であ
った。まず、一般的には図8(イ)に示すように、ホロ
グラム記録層803aとなるフォトポリマを一旦ガラス
基板804上に形成し、インデックスマッチングオイル
806を介してプリズム805a上に配置していた。
(文献1、Opt.Lett.Vol 15 p869(1990))或いは、図8
(ロ)に示すように、記録層803bとなるフォトポリ
マ自体を、プリズム805b上に直接形成して作成して
いた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ホログラフ
ィ技術を利用した露光転写技術(いわゆるホログラフィ
ックリソグラフィ技術)が進歩するにつれ、従来のマス
クパターン像の直接投影型の技術を利用したリソグラフ
ィ方式で見られるように、同じウエハに対して異なるマ
スクパターンを重ねて転写露光する転写方式が応用され
て来ている。
【0011】直接投影型の転写方式の場合には、マスク
パターンが投影レンズ等を介してウエハ上に直接投影さ
れるものであるので、転写するパタ−ンによってマスク
のみを交換すればよいが、ホログラフィックリソグラフ
ィ技術の場合には、ホログラムマスクを交換する必要が
ある。
【0012】このため、新たなホログラム記録媒体に交
換して、再度新たな異なるマスクのパターンによるホロ
グラムを記録する工程が必要であり、この新たなパター
ンホログラムを記録する際と、再生する際には、ウエハ
自体もマスク原版と交換する作業を夫々必要とする。
【0013】あるいは、予めウエハに転写するパタ−ン
ごとに複数のホログラムマスクを準備しておき、ホログ
ラムマスクのみを交換して夫々を個別に再生することも
考えられる。しかし、ホログラフィ技術ではホログラム
とマスクやウエハとの相対位置関係が重要であり、特に
ホログラム形成時のマスクとホログラムとの位置関係
を、再生時のウエハとホログラムの位置関係として正確
に再現する必要があるので、ホログラムマスクを交換し
ただけでは転写作業が行えず、そのホログラム記録時の
位置関係の再現等のアライメント作業が非常に複雑とな
る。
【0014】さらに、前述したいわゆる全反射ホログラ
フィ技術では、ホログラム記録媒体(記録媒体のみでも
ホログラムマスクとしても)を交換する際には、以下の
ような作業を必要とする。
【0015】まず、ホログラムの記録時には、図9
(イ)に示すように、一つのホログラム記録媒体に、一
つのマスク原板からのマスクパターンに基づくホログラ
ムを記録し、次いで、マスクとウエハとを交換し、パタ
ーンホログラムを再生する。
【0016】この際に、図8(イ)に示したような、イ
ンデクスマッチングオイルを介してホログラム記録媒体
を支持している場合には、図9に示すように、異なるホ
ログラムを作成するたび毎に、マスク(パターン)の交
換に伴ってオイルを一部或いは全部取り除いてホログラ
ム記録媒体を取り外す必要がある。さらに、新たな記録
媒体を設置する際には、ガラス基板との間に適量のイン
デクスマッチングオイルを付加して新たなホログラム記
録媒体を設置する必要がある。
【0017】また、図8(ロ)に示したような、ホログ
ラム記録媒体をプリズム上に直接形成しているタイプの
場合には、図10に示すように、記録層を設置している
プリズム毎ホログラムマスクを交換する必要がある。
【0018】このため、一般的な直接露光型のマスク交
換のみに比較して、ホログラムマスクの交換自体に繁雑
な作業及び操作が必要となり、交換作業において時間的
ロスが大きくなるだけでなく、交換に伴うアライメント
操作も複雑になり、その作業回数も増加する。
【0019】即ち、複数パターンの重ね合わせ転写の際
に、マスクパターン(に対応したホログラムマスク)の
交換、並びに設置作業、及びこれに伴うアライメント作
業に時間がかかるので、転写露光までの一連のリソグラ
フィプロセスにおける時間的ロスが大きくなり、転写作
業におけるスル−プットが大幅に低化するという問題が
生じていた。
【0020】さらに、全反射ホログラフィ法では、プリ
ズムごと交換する場合には、ホログラム記録媒体とプリ
ズムとが一体となったものを固定支持するホログラムマ
スク用の設置及び交換用のホルダーと、ホログラムマス
クの枚数に合わせた複数のプリズムとを準備する必要が
あり、装置が大型化すると共に、制作コストが上昇する
問題も生じていた。
【0021】加えて、ホログラムマスクをパターン毎に
準備するためには、ホログラムマスクの数が膨大とな
り、特に、プリズム上に直接形成するタイプの場合に
は、ホログラムマスク自体が大きいので、ホログラムマ
スク管理が複雑化する。
【0022】本発明は上記問題を解決するためになされ
たものであり、ホログラフィ技術を利用して多重パター
ンの転写に適した転写方法と装置を提供することを主目
的とするものである。さらに、この方法並びに装置の実
施に必要な部材を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
願請求項1に記載した発明は、マスク原版に形成された
マスクパターンからの物体光と参照光との干渉によりホ
ログラム記録媒体にホログラムを記録した後、このホロ
グラムに前記物体光と共役な再生光を照射する事によ
り、前記ホログラムからマスクパターンの像を感光基板
上に再生して転写するホログラフィ技術を利用した転写
方法において、同一のホログラム記録媒体に複数のマス
ク原版から夫々異なる記録条件で複数のホログラムを記
録させるホログラム記録工程と、前記一つのホログラム
記録媒体に記録された複数のホログラムを夫々異なる再
生条件で個別に再生する再生工程と、を有することを特
徴とするホログラフィ技術を利用した転写方法を提供す
る。
【0024】本願請求項2に記載した発明では、マスク
原版に形成されたマスクパターンからの物体光と参照光
との干渉によりホログラム記録媒体にホログラムを記録
した後、このホログラムに前記物体光と共役な再生光を
照射する事により、前記ホログラムからマスクパターン
の像を感光基板上に再生して転写するホログラフィ技術
を利用した転写装置において、複数のマスク原版を交換
可能に保持するマスク保持手段と、同一のホログラム記
録媒体に対して前記マスク原版毎に異なる複数の記録条
件が設定可能な記録手段と、同一のホログラム記録媒体
に対してホログラム記録時の個々の記録条件に対応した
複数の再生条件が設定可能な再生手段と、を備えている
ことを特徴とするホログラフィ技術を利用した転写装置
を提供する。
【0025】本願請求項3に記載した発明では、請求項
2に記載したホログラフィ技術を利用した転写装置であ
って、前記複数の再生条件が前記再生光の波長と前記再
生光のホログラム記録媒体への照射角度との少なくとも
一方が夫々互いに異なるものであり、前記複数の記録条
件が前記物体光並びに物体光の波長と前記物体光のホロ
グラム記録媒体への照射角度との少なくとも一方が夫々
互いに異なるものであることを特徴とするものである。
【0026】本願請求項4に記載した発明は、請求項3
に記載したホログラフィ技術を利用した転写装置であっ
て、前記複数の再生条件が、何れか一つのホログラムの
再生条件により他のホログラムを再生させたときの再生
効率が、予め定めた設定値以下となるように夫々の再生
条件が定められており、前記複数の記録条件が、前記夫
々の再生条件での再生効率が予め定めた設定値以上とな
るホログラムを記録させるように夫々の記録条件が定め
られていることを特徴とする。
【0027】また、本願請求項5に記載した発明では、
上記の方法又は装置に使用する部材であって、複数のマ
スクパターンに基づくホログラムが夫々異なる記録条件
で記録されているホログラム記録媒体を提供する。
【0028】
【作用】本発明は上記のように構成されているため、以
下の作用を奏する。先ず、請求項1記載の転写方法で
は、記録工程で、一つのホログラム記録媒体に複数のホ
ログラムを記録させる。ホログラムマスクに記録された
個々のパターンホログラムは、夫々異なるマスク原版の
マスクパターンに基づくものであり、夫々異なる記録条
件により記録されている。
【0029】そして、再生工程では、ホログラムマスク
に記録された複数のパターンホログラムが、夫々記録条
件の相違に基づいて最適な再生条件(再生効率)も夫々
異なる。このため、複数のパターンホログラムを夫々個
別の再生条件により個別に再生する。
【0030】即ち、何れか一つのパターンホログラムに
最適な再生条件により再生動作を行えば、そのパターン
ホログラムの再生像のみが選択的に形成される。言い換
えると、第一のパターンホログラムに最適な第一の再生
条件は、それ以外の第二のパターンホログラムに対する
最適な再生条件ではないので、第一のパターンホログラ
ム以外のパターンホログラムは再生されないか、再生効
率が極めて低いものとなる。
【0031】ここで、一般にホログラムの再生(再生像
の形成)は、再生光束を所定の照射(又は入射)角度で
ホログラム(記録媒体、ホログラムマスク)に照射し、
ホログラムでの回折作用により所定位置に集光された再
生波により、マスクパターンの実像を形成するものであ
る。再生時の最適な再生条件は、そのホログラムの記録
条件により定まるものであり、原則として、再生光の波
長は記録時の物体光及び参照光の波長と同じ波長であ
り、ホログラムへの照射角度は参照光の照射角と互いに
共役な角度である。
【0032】そして、ホログラムに対して最適な再生条
件を外れると、再生光のホログラムでの再生効率が極端
に低下して殆ど再生されなくなる。言い換えると、ホロ
グラムの再生条件は、回折効率がピーク(極大)となる
部分が狭いので、何れか一つのパターンホログラムの最
適な再生条件での再生作業では、他のパターンホログラ
ムは再生されないか、再生像強度が極めて低いものとな
る。
【0033】このため、本発明では複数のパターンホロ
グラムの夫々の最適な再生条件が互いに異なることか
ら、他のパターンホログラムは同時に再生されないの
で、二つ以上のパターンホログラムを個別に分離して再
生することができる。このような夫々のホログラムの再
生条件は、転写作業前に重ね合わせるパターンの数に応
じて予め定めておくことが好ましい。
【0034】そして、ここで定めた個々の再生条件が最
適な再生条件となるホログラムが記録されるように、夫
々のパターンの記録条件が決定される。例えば、異なる
2タイプのマスクパターンを重ね合わせ転写する場合に
は、相互に影響のない二つの再生条件を定め、夫々の再
生条件が最適な再生効率となる二つの記録条件が決定さ
れる。
【0035】この場合、記録工程では、同一のホログラ
ム記録媒体に対して、先ず、第一のマスク(パターン)
から第一の記録条件で形成された第一のパターンホログ
ラムが記録される。次いで、第一のマスクを第二のマス
ク(パターン)に変更し、記録条件も第二の記録条件に
変更した状態で第二のマスクパターンのホログラムが形
成され、同じホログラム記録媒体に第二のパターンホロ
グラムが重ねて記録される。
【0036】このホログラム記録媒体は、第一のパター
ンホログラムと第二のパターンホログラムの二つが記録
されたいわゆる多重ホログラムマスクとなるが、夫々の
パターンホログラムの記録条件が異なるので夫々の最適
な再生条件も互いに異なるものとなっている。次いで、
必要に応じてホログラムの定着作業を行い、マスクをウ
エハ等の感光基板と交換する。
【0037】再生工程では、第一のパターンホログラム
に最適な再生効率を持つ第一の再生条件での再生を行
い、第一のパターンの像が感光基板上に形成される。こ
の第一の再生条件では、第二のパターンホログラムの再
生光率が極めて低いものとなるので、第二のパターンの
像は殆ど再生されず、第一のパターンの像のみが再生さ
れて転写される。
【0038】そして、再生条件を第二のパターンホログ
ラムに最適な再生効率を持つ第二の再生条件に変更して
再度の再生作業を行うと、上記同様に第二のパターンの
像のみが形成されて転写される。これにより、感光基板
上には第一のパターンの像と第二のパターンの像とが個
別に順次転写(露光)されることとなる。
【0039】また、三つ以上のパターンを重ね合わせる
際には、記録工程において第三のパターンを第三の記録
条件で記録する作業が加わり、再生工程において第三の
パターンホログラムを第三の再生条件で再生する工程が
加わることとなり、四つ以上のパターンを重ね合わせる
場合も同様である。重ね合わせるパターンがいくつあっ
ても、その数に合わせた再生条件とそれに対応した記録
条件とが定まれば、個別のパターンを同時に記録させ、
それらを個別に再生することができることとなる。
【0040】なお、記録の順番と再生の順番とは、同じ
順番でなくても夫々独自に行っても良い。一般的な多重
パターンの重ね合わせの作業では、重ね合わせるパター
ンの順序が定められているので、その順に従ってパター
ンホログラムを順次再生して転写することとなる。しか
し、パターンホログラムの記録と再生とが別工程で行わ
れるので、記録時には必ずしもこの順序に限らない。
【0041】次に、本願請求項2に記載した発明は、こ
の転写方法を実施する装置に関するものであり、概説す
れば、ホログラムの記録再生によりマスクパターンを転
写する装置に、複数の記録条件と再生条件とを個別に設
定可能に構成しているものである。
【0042】これらの記録条件(並びに再生条件)は、
上述したように夫々の相互関係を考慮して予め定めたも
のであり、マスク保持手段に保持するマスク原版を交換
すると、それに伴って記録条件を変更する。
【0043】マスク保持手段は、複数のマスク原版を交
換可能に構成されていれば良く、一般のホログラム記録
再生装置と同様に、ウエハ等の感光基板とも交換可能に
保持する構成のものとしても良い。これにより、複数の
マスク(感光基板も)を、ホログラム記録媒体に対して
同じ相対位置関係を維持して保持するものとなる。
【0044】なお、このウエハ保持手段には、載置した
マスク原版(又は感光基板)と、ホログラム(又は記録
媒体)との相対位置関係を測定する位置計測手段や、相
対位置関係の調整を行うアライメント手段等が連係して
いることは言うまでもない。これにより、マスク原版ご
とのマスクパターンと個別のパターンホログラム(又は
記録媒体)との相対位置関係が計測されると共に、マス
ク毎の相対位置関係が調整(アライメント)される。ま
た、再生時にはパターンホログラム(又は記録媒体)と
感光基板上の被転写位置との位置計測やアライメントが
行われる。
【0045】ホログラム記録時には、マスク保持手段に
第一のマスク原版を装着し、記録手段により何れか一つ
の記録条件に設定して、第一のパターンホログラムが形
成される。マスクを交換した後は、他の第二の記録条件
に設定(変更し)し、第二のパターンホログラムが形成
される。三つ以上のパターンがある場合には、同様に夫
々の独自の記録条件に設定した状態で、夫々のパターン
ホログラムが形成(記録)される。
【0046】この間に、ホログラム記録媒体は変更せ
ず、同じものを使用する。これにより複数のパターンホ
ログラムが夫々異なる条件で記録された一つのホログラ
ムマスクが形成される。なお、必要に応じて露光手段や
加熱手段等によりホログラム定着作業を行い、記録され
たパターンホログラムを安定化させる。
【0047】全てのパターンホログラムが記録された後
に、マスクをウエハ等の感光基板に交換して再生作業を
行う。この場合には、マスク保持手段にマスクに変えて
感光基板を装着するか、マスク保持手段ごと交換して感
光基板用の保持手段を用いるかは何れでも良い。何れの
場合も、感光基板とホログラム(記録媒体)との相対位
置関係の計測並びに調整が可能であることは言うまでも
ない。
【0048】ホログラム再生時には、何れか一つの再生
条件(通常は一番目の転写パターンに最適な再生条件、
例えば第一の記録条件に対応した第一の再生条件)に設
定した状態で、再生作業を行う。第一の再生条件を選択
した場合には、上記のホログラムマスクに再生光を照射
すると、そこに記録されている第一のパターンホログラ
ムで回折された再生波により、第一のマスクパターンの
像が感光基板上(の被転写位置)に形成され、これによ
り第一のマスクパターンが転写露光される。
【0049】次いで、一般的な重ね合わせ転写作業と同
様に、必要に応じて感光基板の現像等のリソグラフィ工
程を行って再度感光材料を塗布して、第一のマスクパタ
ーンの転写等が終了した感光基板を所定位置に装着す
る。そして、別の再生条件(二番目の転写パターンに最
適な第二の再生条件)に設定(変更)した状態で、第二
のパターンホログラムから再生像が上記同様に形成され
て転写される。三つ以上の転写パターンが存在する場合
には、これらを繰り返す。
【0050】これらの複数のパターンホログラムの再生
作業の間に、ホログラムマスクは変更せずに同じものを
使用する。このため、アライメント作業は、感光基板の
取付(再取付)に伴って行うだけであり、これは従来の
直接露光型のものと同様である。そして、再生手段によ
る複数のパターンホログラムの再生により、感光基板に
は複数のマスクパターンが重ね合わせ転写(露光)され
る。
【0051】次に、請求項3に記載した発明では、再生
条件の設定パラメータ(個別再生条件において変更され
るパラメータ)として、再生光の波長と、再生光のホロ
グラム(記録媒体)への照射角度(又は入射角度)とを
規定し、これらの設定パラメータの少なくとも一方を互
いに異ならしめることで、複数の互いに異なる再生条件
を決定するものとしている。
【0052】これは、ホログラムの再生特性(再生効率
特性)を利用するものであり、再生光の波長やホログラ
ムへの照射(又は入射)角度を変更することにより、ホ
ログラムでの回折効率が変化して、ここから生ずる回折
光(再生像形成光)に強弱が生じることを利用するもの
である。即ち、原則としてホログラム形成時の波長とは
異なる波長の再生光を照射すると、再生像の強度が弱く
なったり、殆ど検出できない程度(強度がゼロ)の再生
像となる現象が知られている。また、記録時の参照光と
共役な状態から照射角度をずらして再生光を照射した場
合にも、再生像の強度が弱くなる等の現象も知られてい
る。
【0053】これらは、ホログラムに対する再生光の波
長選択性、入射角選択特性等と呼ばれており、ホログラ
ムにおける再生光の回折に際し、ブラッグ条件を満たさ
ない再生条件では、像(回折光)の強度は非常に小さく
なり、ある条件では完全にゼロになることが知られてい
る。(文献2、The Bell System Technical Journal,Vo
l 48, Num 9, p2909(1969) )
【0054】このような再生光の波長選択性、入射角選
択特性等は、いわゆるボリュ−ムホログラムには、この
傾向が顕著に現れることも知られており、ボリュ−ムホ
ログラムの一種である全反射ホログラムも当然にこの性
質を持つものである。
【0055】これらの文献によれば、ホログラムの再生
特性を決定付ける要因として、再生光をホログラムに入
射させる際のブラッグ条件と、そのときの回折効率がピ
ーク或いはゼロとなる条件とは、ホログラム記録時の参
照光の偏光状態、波長、入射角、並びにホログラム記録
媒体における記録層の厚み、屈折率変調率、平均的な屈
折率等のパラメ−タによって決定されることが分かって
いる(文献3、Opt. Comm. 89(1992)5-11 )。
【0056】このため、これらのパラメータで定まる記
録条件を同一のものとして、複数の物体のホログラムを
形成すれば、個々のホログラムが一体化して識別不可能
となり、多重記録は行えない。逆に、記録時における上
記のパラメータで定まる記録条件を夫々異ならしめて、
複数の物体のホログラムを形成すれば、夫々のホログラ
ムがホログラム記録媒体に個別に形成され、同時に複数
種のホログラムを同じ記録媒体に記録させることが可能
となる。この特性を用いて物体をホログラムに多重記録
する方法が文献4に知られている(文献4、"Recording
of multipuleholograms in photopolymer films", App
lied Optics Vol. 31, No. 35, p7425(1992) )
【0057】本発明に係る転写方法及び装置は、この方
式を応用して具現化したものであり、複数のマスクパタ
ーンに対して個々の記録条件(条件パラメータが互いに
異なる)を予め定めておき、ホログラム記録時にはそれ
らの個別記録条件に従い、マスクパターン毎に別々の記
録条件でホログラムを記録させる。
【0058】そして、請求項3記載の発明では、特に再
生条件を決定する設定パラメータのうち波長と入射角と
に着目し、この二つのパラメータに限って、少なくとも
一方を互いに異ならしめることで、明確に分離された複
数のホログラムを記録させることとしている。この二つ
のパラメータに限定したのは、ホログラムの再生条件と
の関連から、記録された複数のホログラムを個別に再生
する際の再生像分離特性に優れているためである。
【0059】ホログラムからの最適な再生効率は、ホロ
グラムにおける再生光のブラッグ条件を満足するか否か
で定まるので、ホログラム記録時の記録条件に基づいて
一つの最適な再生条件(ブラッグ条件を適正に満足する
もの)が定まる。そして、このブッラグ条件を満足する
状態をピーク(回折効率最大、再生像強度最大)とし
て、この最適条件から離れれば離れる程、回折効率(再
生像強度)は減少し、ゼロになる場合もある。
【0060】これらの回折効率を決定づけるパラメータ
は、主に波長と入射角であり、波長もしくは入射角の一
方を最適状態から変化させれば、ブッラグ条件から離れ
ることとなるので、回折効率が減少し、これに伴い再生
像の強度も減少してついにはゼロになる条件が存在す
る。
【0061】これを利用して、再生条件を一つ定めると
(例えば、第一の再生条件)、この再生条件が適正なブ
ッラグ条件となる第一のホログラムが定まるので、その
ホログラムを形成するための第一の記録条件が定まる。
また、第一の再生条件から波長もしくは入射角の何れか
一方を変化させると、第一のホログラムからの再生像形
成光は極めて弱くなり、時にはゼロになる。
【0062】このように変化させた後の再生状態を第二
の再生条件とすれば、この第二の再生条件が最適な条件
(適正なブラッグ条件)となる第二のホログラムが定ま
るので、この第二のホログラムを形成するための第二の
記録条件も定まる。
【0063】この第二の記録条件は、第一のホログラム
での回折効率がゼロ(或いは第一のホログラムの再生像
が形成されない)となる条件であることが、再生像の分
離個別再生としては好ましいが、第二のホログラム再生
の際にノイズとして無視できる程度の像(第一のホログ
ラムからの再生像の)強度であれば、必ずしもゼロとな
る必要はない。
【0064】さらに、第三のパターンを記録させる場合
には、第一及び第二のホログラムでの回折効率が殆どゼ
ロとなるように、再生光の波長もしくは入射角を(第一
及び第二の再生状態から)変化させた状態のものを第三
の再生条件として決定し、この決定条件が最適となる第
三のホログラムが定まるので、同様に第三の記録条件も
決定される。
【0065】このようにして、再生光の照射の際にブラ
ッグ条件が異なる複数のホログラムを同一のホログラム
記録媒体に重ねて記録していくことによって、いわゆる
多重ホログラムマスクを作ることができる。さらに、こ
の多重ホログラムマスクに対して、何れかのホログラム
の最適なブッラグ条件を満足する再生光の照射を行え
ば、そのホログラムのみが再生され、他のホログラムは
再生されないか、再生強度がノイズ程度に低いものとな
る。
【0066】ここで、請求項4に記載した発明は、複数
の再生条件の相互の関係を定めるものであり、何れか一
つのホログラムの再生条件で再生作業を行った際に、再
生像に対する他のホログラムによる悪影響を完全に防止
するためである。
【0067】ホログラムにおける回折効率が最大となる
のは、再生光がブッラグ条件を正確に満足して照射され
る場合であり、この一点(最適波長及び入射角)がピー
ク状態となる。しかし、ピーク位置の近傍においては、
再生像の形成(転写)のために十分な回折効率を有して
おり、この範囲はある程度の許容範囲を持つ。
【0068】即ち、ホログラムに対して最適なブッラグ
条件から、波長もしくは入射角を徐々にずらしてみる
と、回折効率が低下して再生像の強度が減少するが、こ
のような再生光率の波長依存性もしくは入射角依存性
を、図6を用いて説明する。この図では、再生光の波長
を一定とした場合に、再生光の入射角θを変化させた場
合の再生効率変化に伴う再生像の強度変化の状態を示す
ものであり、横軸に入射角θ(度)、縦軸に再生像の強
度(I)を示している。
【0069】この図6からも明らかなように、ホログラ
ムに一定波長の再生光を照射した場合に、回折効率が最
高で再生像の強度が最大のImax となる入射角θa が、
このホログラムに対するブッラグ条件を正確に満足する
ものとなる。しかし、適正なブラッグ条件は、再生像に
よる転写露光が適正に行える範囲(例えば、強度In
上)であれば、この一点に限定されるものではない。
【0070】図6からも明らかなように、再生像強度が
n 以上となる再生光入射角の範囲(θa1<θ<θa2
であれば、再生像形成に基づく転写作業は行える。即
ち、ブッラグ条件にはある許容範囲があると考えて良
い。このような許容範囲を予め定めることが、実効的な
転写装置を形成するのに有効である。例えば、許容範囲
を定めておけば、再生条件の再生光入射角をθa と定め
ても、ホログラム形成時の精度等の問題で、これに完全
に整合するホログラムが形成されなかった場合であって
も、この許容範囲内に該当すれば適正な強度の再生像が
形成できることとなる。
【0071】このような傾向は、ホログラムにおける波
長選択特性においても同様であり、入射角を一定にして
再生光の波長を変化させた場合にも、ピークとなる波長
(ブッラグ条件を正確に満足する波長)が特定されると
共に、再生像に所定の強度が得られる波長範囲が、この
ピーク波長を中心として存在する。
【0072】従って、本発明ではこの再生像強度の許容
範囲(又は回折効率の許容範囲)を再生効率として捉
え、この許容範囲の下限となる値(又はこれに対応する
入射角の範囲や波長の範囲)を設定値として規定すれば
良い。なお、この設定値は、ホログラム記録媒体の厚
み、再生光自体の強度、感光基板の種類(厚みや大き
さ)や感度等により異なるので、それらに応じて適時定
めれば良い。
【0073】一例を示すと、図6に示すように、再生像
の強度がIn 以上となる再生条件は、再生光入射角θが
θa1以上でθa2以下の場合である。この場合の再生効率
(の設定値)は、再生像強度の必要最低値「In 」とし
て捉えても、最大強度の再生像(回折光)が得られるも
のとの対比の割合として考えて「In /Imax 」として
捉えても良い。
【0074】次に、このホログラムの再生効率を考慮す
ると、所謂多重ホログラムマスクから、一つのホログラ
ムの像を分離して再生するためには、再生するホログラ
ムに対するブッラグ条件の許容範囲を満足すると共に、
他のホログラムの再生効率が低いことが重要である。
【0075】図6に示すように、一つのホログラムに対
して再生光入射角を変化していくと、回折効率が極小と
なる入射角度(θb 、θc …)が幾つか存在し、これら
の角度での回折効率は殆どゼロとなるので、再生像の強
度はほぼゼロ(像が生じない)となる。
【0076】従って、例えば、このような第一のホログ
ラムの像が得られない角度(θb 、θc 等)を適正なブ
ッラグ条件とするホログラムを第二のホログラムとして
第二の再生条件を決定すれば、第二の再生条件(再生光
入射角θb )では、第一のホログラムは再生されないも
のとなる。これらの相互条件は互いに成り立つものであ
るので、第一の再生条件(再生光入射角θa )では、第
二のホログラムは再生されないこととなる。
【0077】この状態を図7を用いて説明する。この図
における縦軸及び横軸は、図6と同様であり、再生光の
波長を一定とした場合の入射角度を変化させたときの再
生像の強度変化状態を示すものであり、実線Ia が第一
のホログラムの再生像の強度変化状態を示し、点線Ib
が第二のホログラムの再生像の強度変化状態を示すもの
である。互いの再生条件では、波長は同一であるが再生
光入射角が夫々異なるものであり、一方の入射角で再生
光を照射すれば、他方のホログラムからの再生像が得ら
れないものとなる。
【0078】これらの再生光入射角の差Δθが、これよ
り小さいと、互いに一方のホログラムの再生条件により
微弱な像が形成される(各ホログラム成分のクロスト−
クが起こる)こととなるが、ある程度以上離れると回折
効率が殆どゼロとなり像は形成されない。このため、ク
ロスト−クを低減するには、多重記録される各ホログラ
ムのブラッグ条件が他のホログラムのブラッグ条件から
充分離れるように、夫々の再生条件を決定し、それに基
づいて決定される記録条件に基づいて夫々のホログラム
を記録すればよい。
【0079】このとき、特に(図7に示すように)、一
つのホログラム成分のブラッグ条件が、他のホログラム
成分の回折効率特性のゼロ点と重なるように夫々の再生
条件を設定し、これに基づいて決定される記録条件に基
づいて夫々のホログラムを記録すれば、何れかのホログ
ラム再生時におけるクロスト−クを完全に防ぐことがで
きる。
【0080】ここで、目的とするホログラム以外のホロ
グラムからの再生像の強度が、他のノイズ光成分と同程
度であれば、一般ノイズに混同されて像として感光基板
に記録されることはなく、実効的に問題のない(転写像
に実質的な影響がない)ものとなる。また、感光基板の
感度によっては一定強度以下の光によっては、像が記録
できない場合もある。
【0081】このように、ノイズと同レベルの光強度、
或いは感光基板を反応させる最低必要な強度等を、最低
強度Imin とすれば、この強度Imin 以下の再生像が生
じても再生像の転写(露光)に対して実質的な影響がな
い。従って、クロストークが生じてもこの最低強度I
min 以下となるようにしておけば、希望する再生像のみ
が得られたことと同じに考えられるので、この転写装置
に実質的な問題は生じないこととなる。
【0082】このような最低強度Imin は、例えば使用
する感光基板の大きさや厚み、種類、感度、装置におけ
る一般ノイズの強度等で定まるものであるため、装置に
応じて定めれば良い。
【0083】この条件の一例を示すと、例えば図6に示
す再生効率特性を有するホログラムの場合には、第一の
再生条件の入射角がθa である場合に、再生像の強度が
mi n 以下となる範囲は、θa より小さな入射角の場合
には、θb2〜θb1の間、さらにθc1より小さい場合であ
る。また、θa より大きな入射角の場合も同様であり、
これらの範囲内で第二の再生条件の入射角を定めれば、
クロストークが生じても実質的な問題が生じないものと
なる。
【0084】ここで最も好ましいのは、この範囲におけ
る再生像強度がゼロになる再生条件であるが、この条件
を満足する記録条件に従ってホログラムを形成しても、
ホログラム記録時における精度等の問題から、実際に形
成されたホログラムが若干ずれてしまう場合もあるが、
この範囲内に納まっていれば、実質的な問題が生じない
利点がある。
【0085】従って、個々の再生条件を設定する場合に
は、再生効率の設定値として、例えば再生像の強度I
min (又は割合Imin /Imax )等を規定し、何れか一
つの再生条件を定めた場合に、他の再生条件による再生
時にこの設定値以下となるように夫々を定めれば良い。
【0086】さらに、これらの個別の再生条件が決定さ
れれば、その再生条件で最も効率よく再生像を形成する
ホログラムが決定されるので、その記録条件も個々に定
まることとなる。この記録条件は、再生効率が前述した
設定値(In 又はIn /Ima x 等)以上となる範囲で波
長や入射(照射)角を定めれば良い。
【0087】なお、ホログラフィ技術では、理想的に
は、記録時の波長と同じ波長の再生光を、記録時の参照
光と正確に共役な関係にある入射角でホログラムに照射
することが最適な再生条件である。
【0088】しかし、ホログラム形成の工程において、
ホログラム記録媒体の変性が生じる場合がある。例え
ば、ホログラム形成時の物体光や参照光による露光や、
記録したホログラム定着時の加熱等により、ホログラム
記録媒体の厚み変化や屈折率変化等が生ずることがあ
る。このような場合には、ホログラムの最適な再生条件
(再生像の強度が最大となる条件)が理想的な再生条件
と異なる場合がある。
【0089】このため、このようなホログラム(又は記
録層)の変性を考慮して、記録条件や再生条件を定める
必要がある。例えば、記録工程において実際に形成した
ホログラムが、定着工程でホログラム記録媒体の収縮等
により変形して記録される場合がある。再生工程は、こ
の変形後の実際に記録されているホログラムにより行わ
れるので、再生条件を決定した後、この変形を考慮して
記録条件を定めることが好ましい。
【0090】これらのホログラム変性による影響は、実
験的に予め計測するか、或いは変形等の理論値を算出す
ることで求められる。例えば、再生条件における再生波
長と同じ波長でホログラムを形成しても、ホログラム変
形により、最適な再生光の入射角が記録時の参照光の入
射角の共役な角度からずれることがある。そのずれ量
は、再生時に再生光入射角を変化させて再生像の強度を
検出すれば、正確に計測できるので、このずれ量を予め
考慮して記録条件を定めれば良い。
【0091】なお、以上では記録条件や再生条件の設定
パラメータとして波長と入射角を利用しているが、この
他の設定パラメータとしては、光束の偏光状態等が考え
られる。即ち、マスク毎の変更状態を異ならしめ、記録
時の参照光の偏光状態と再生光の偏光状態を同じ状態と
する等によっても、個別ホログラムの分離記録並びに分
離再生が可能である。しかし、一方の再生時おける他方
の再生強度が必ずしもゼロにならず、一つの再生像に対
するノイズとなって生じる恐れがある。
【0092】また、前述したように本発明の記録手段に
は、複数の記録条件が設定可能であるが、これらの記録
条件は予め決定されているので、その決定条件に従って
夫々のホログラムが記録される。同様に、再生手段にも
複数の再生条件が設定可能であり、これらは予め決定さ
れている。
【0093】このため、本発明に係る転写装置に記憶手
段を設け、これらの個々の記録条件を予め記憶させてお
き、マスク毎に異なる記録条件を呼び出して、それらの
設定値を提示したり、自動的に変更する構成としても良
い。これは、再生条件においても同様であり、転写する
パターンごとに対応する再生条件を記憶手段から呼び出
して、提示された設定値に基づいて装置の設定を調整
(変更)するか、あるいは自動的に変更する構成として
も良い。
【0094】また、前述したように、個々の再生条件は
他の再生条件に影響を与えない範囲で決定されるので、
転写するパターンの数に応じて再生条件を決定する必要
があるが、これらを算出する算出手段等を備え、再生条
件とそれに対応する記録条件とを算出して、表示あるい
は記録するものとしても良い。
【0095】次に、請求項5に記載した発明では、上記
の方法及び装置の実施の際に使用するいわゆる多重ホロ
グラムマスクを提供する。即ち、複数のマスクパターン
の基づくホログラムが夫々異なる記録条件で記録されて
いるホログラム記録媒体であるので、これを用いてホロ
グラムの再生を行えば、異なるパターンのホログラム再
生像を一つのホログラムマスクから形成することができ
る。
【0096】本発明に係る多重ホログラムマスクに記録
された複数のホログラムは、夫々記録条件が異なるの
で、最適な再生条件も夫々異なるものであり、何れか一
つのホログラムの最適な再生条件での再生作業を行え
ば、そのホログラムに基づくマスクパターンの像のみが
再生される。
【0097】次いで、異なるマスクパターンの像を再生
する場合には、再生条件を他のホログラムの最適な再生
条件に設定し直して、再び再生光を照射すれば、その新
たなマスクパターンの像のみが再生されることとなる。
従って、この多重ホログラムマスクを用いれば、再生条
件を変化させるだけで(ホログラムマスクを交換せず
に)異なるパターンのホログラム再生像を得ることがで
きる。
【0098】
【実施例】以下、実施例を通じ本発明をさらに詳しく説
明する。ここでは、本発明をいわゆる全反射方式のホロ
グラフィ技術(全反射ホログラフィ)に応用したものを
説明するが、他の方式のホログラフィ技術にも応用する
ことも可能である。
【0099】先ず、図1を用いて本発明の一実施例に係
る多重ホログラム転写方法を説明する。ここでは、記録
条件の設定パラメータのうちホログラム記録媒体への参
照光入射角をホログラム毎に変更する場合を示している
が、装置の構成が比較的容易である利点を生かしたため
であり、この方式に限定されるものではない。
【0100】例えば、波長変更方式の場合には、ホログ
ラムの波長選択性が顕著である(適性波長を外れると極
端に回折効率が低下する)ことから、個別の再生像の分
離特性が向上する利点がある。さらに、双方を変更する
ものにあっては、設定のバリエーションが増えるので、
より多くのホログラムを一つのホログラム記録媒体に記
録できる利点がある。
【0101】図1(イ)では、記録波長(物体光A及び
参照光B)を一定とし、二つのマスク原版に対して参照
光入射角θB を互いに変化させて二重ホログラムマスク
を記録する方法を説明する。参照光入射角の変化幅Δθ
B は、一方のピ−クが他方のゼロ点となるように理論解
析と実験によって最適化する。
【0102】即ち、ここで作製する二重ホログラムマス
クの再生効率特性(入射角依存性)は、再生光の波長を
一定とすると、再生光入射角に対して図4の様になるよ
うに夫々の再生光入射角θC 、並びにそれらに対応する
参照光入射角θB が定められている。これより、第一マ
スクと第二マスクとから形成された夫々ホログラム(パ
ターンホログラム)に基づいて、再生光入射角によって
マスクパターン(パターンホログラム)1と2とを選択
的に再生できるものとなっている。
【0103】具体的には、予め第一の再生条件として
(図1(ロ)に示すように)再生光入射角θC1、並びに
第二の再生条件として再生光入射角θC2を、図7に示す
ような相互条件(図7中のθa とθb との相互関係)を
満足するように選択し、これらの再生光入射角θC1とθ
C2により最適な回折効率を持つホログラムの条件が決定
される。さらに、それらのホログラムを形成する際の参
照光入射角が定まるので、これを夫々第一の記録条件と
して参照光入射角θB1と第二の記録条件として参照光入
射角θB2とを決定している。
【0104】従って、第一の記録条件と第二の記録条件
とは、参照光入射角(θB1とθB2)のみが異なるものと
なっている。また、これらの条件で記憶された夫々のホ
ログラムに対しては、(夫々の記録条件に対応して)第
一の再生条件と第二の再生条件とが、再生光入射角(θ
C1とθC2)のみが異なるものとなっている。
【0105】そして、プリズム5上に直接形成された記
録層としてのフォトポリマ3等からなる記録媒体1に対
して、所定の相対位置関係を保持した状態で第一のマス
ク10aをマスク保持手段7に装着する。この状態で、
マスク10aの上方から物体光A1 が不図示の光源手段
から照射され、マスク10aに形成された第一マスクパ
ターンで透過回折されて、物体波A1'となって記録媒体
1(フォトポリマ3)上に照射される。
【0106】一方、参照光B1 は、ホログラムへの入射
角はθB1に設定されており、記録層内で全反射するよう
に、プリズム5の下方から前記透過回折光(物体波
1')の照射領域に導かれる。ここで、参照光Bと物体
光Aの波長が同じであることは言うまでもない。
【0107】なお、この実施例では全反射ホログラフィ
を応用しており、参照光Bがプリズム5を介してホログ
ラム(記録層)に照射されるものであるため、最終的な
ホログラムへの入射角がθB1となるように、プリズム入
射面での屈折等が考慮されている。実際には、このプリ
ズム5への入射角を以てホログラムへの照射角度を設定
(調整)することが現実的である。
【0108】記録媒体1内では、物体光A1 (物体波A
1')と、参照光B1 (並びに記録層内部での全反射光)
との相互干渉によりホログラムが形成され、フォトポリ
マ3の光学的変性により、記録層内に第一パターンホロ
グラムとして記録される。
【0109】次いで、マスク保持手段7により、第一の
マスク10aを取り外すと共に、第二のマスク10bを
装着してマスクの交換を行い、記録媒体1に対して先と
同じ相対位置関係に保持する。また、参照光Bの入射角
度の設定をθB1からθB2に変更する。この変更動作は、
予め設定値として記憶手段(図示せず)に記憶されてい
おり、マスクの変更に伴い設定値並びに実際の設定角度
が変更される。
【0110】この状態で、第一マスクの時と同じ波長の
参照光を照射すると、第二の参照光B2 が、ホログラム
(記録層)に対して入射角θB2で照射される。これによ
り、マスク10bに形成された第二のマスクパターンか
らの透過回折光(物体波A2")と、入射角θB2で照射さ
れる参照光(及び記録層内での全反射光)とが、先と同
じように記録層内で相互干渉して第二のホログラムを形
成する。そして、このホログラムは、第二パターンホロ
グラムとして記録媒体1内に、先の第一パターンホログ
ラムと同様に記録される。
【0111】以上のようにして、第一パターンホログラ
ムと第二パターンホログラムの二つのホログラムが記憶
された多重ホログラムマスクが形成される。なお、必要
に応じて他の波長等の露光照射や、加熱作業によりフォ
トポリマ3を安定化させ、ホログラムの定着作業を行
う。
【0112】次に、図1(ロ)を用い、ここで作製され
た多重ホログラムマスクの再生について説明する。ま
ず、マスク保持手段7からマスク10bを取り外し、感
光基板であるウエハ12に交換して装着する。
【0113】また、参照光照射手段(図示せず)を再生
光照射手段(図示せず)に切り替えると共に、再生光C
1 の照射光の入射角をθC1に設定する。なお、本実施例
では、再生光Cはプリズム5内で一度全反射された後、
記録層(フォトポリマー3)に入射するものであるが、
これらの内部反射やプリズム5への入射面による屈折等
を考慮して、最終的なホログラム(記録層)への入射角
がθC1となるように調整されていることは言うまでもな
い。
【0114】この再生光C1 は、記録媒体1に記録され
た第一と第二のパターンホログラムの双方に照射される
が、入射角θC1(例えば、図7のθa に相当)の再生光
1を照射した場合には、第一パターンホログラムにお
ける回折効率は最大であり、第二パターンホログラムに
おける回折効率はゼロである。
【0115】このため、第一パターンホログラムで回折
された光束により、感光基板であるウエハ12上に第一
マスクパターンの像が形成(再生)されるが、第二パタ
ーンホログラムからの回折光は生じない。即ち、第一パ
ターンホログラムの像のみが転写され、第二パターンホ
ログラムは転写されないこととなるので、第一マスクパ
ターンのみが個別に選択されて露光転写が行われる。
【0116】また、第二マスクパターンのみの露光転写
を行う場合には、再生光Cの入射角をθC2に設定(再生
光C2 )すれば、第一パターンホログラムでの回折効率
はゼロとなり、第二パターンホログラムでの回折効率が
最大となる。これにより、第二パターンホログラムのみ
から回折光が生じ、第二マスクパターンの像のみがウエ
ハ12上に形成され、転写(露光)されることとなる。
【0117】このように、本実施例では二つのパターン
の転写を行う場合にも、ホログラムマスクの交換を必要
とせず、再生光の入射角のみの設定変更により行えるも
のとなっている。なお、ここでは二重記録の場合につい
て説明したが、三重記録以上を行う場合には、記録時の
参照光入射角並びに再生時の再生光入射角の設定値とし
て、先の二つの設定値と互いにクロストークが生じない
範囲で新たに定めることで、三重記録以上の場合への拡
張が容易に行える。
【0118】なお、記録条件や再生条件の設定パラメー
タとして波長を変更する場合には、これらの参照光或い
は再生光の入射角を一定にして、例えば光源手段自体を
変えるか、或いは光源からの選択波長を変更する等の手
段を利用して、照射光の波長を変更するものとすれば良
い。
【0119】次に、上記の方法を実施するための転写装
置の一実施例を図2を用いて説明する。この装置では、
光源手段としてArレ−ザ(図示せず)からの波長36
4nmの光線を用いており、この光束をハーフミラー2
50で分割して物体照明光学系280と参照光学系29
0へ導いて、夫々ホログラム記録時の物体光Aと参照光
Bとに使用する。
【0120】物体照明光学系280に導かれた光束は、
ミラー282、光束径調整光学系284を介してマスク
210上に導かれて物体光Aとなる。そして、マスク2
10に形成されているマスクパターンで回折されて記録
媒体201上に(物体波として)照射される。なお、記
録媒体201は、記録層となるフォトポリマ203をプ
リズム205上に直接スピンコ−ト等によって所定の厚
み(20μm程度)に形成されてなるものであり、図1
に示す実施例とほぼ同じ構成である。
【0121】参照光学系290に導かれた光束は、光束
径調整光学系292を介して偏向調整ミラー296によ
り反射され、プリズム205に入射する。さらに、フォ
トポリマ203からなる記録媒体201の下面から、記
録層(フォトポリマ203)内部で全反射するように導
かれて参照光Bとなる。
【0122】参照光学系の偏向調整ミラー296は、所
定の移動手段295により、図中において上下方向へ平
行移動可能となっており、さらに偏向角(設置角)Δθ
M も調整可能に構成されている。この偏向調整ミラー2
96の偏向角ΔθM を変更すると共に、固定位置を平行
移動させることで、記録層への照射位置を変更せずに、
入射角度のみが変更可能に構成されている。
【0123】この装置を用いて、多重ホログラムの記録
工程を説明する。ここでは、簡単のため、フォトポリマ
203の厚み変化や平均屈折率の変化がない場合につい
て説明する。
【0124】先ず、第一のマスク210aをマスク保持
手段207に装着し、記録媒体201表面から所定のギ
ャップ間隔(100μm程度)に設定する。この時、参
照光学系290においては、偏向調整ミラー296の角
度を調節し、参照光B12の記録媒体201への入射角が
θB12 になるように、プリズム205への入射角を設定
する。
【0125】この角度状態において、図2に示すよう
に、参照光B11がプリズム205斜面の適切な位置に入
射して、記録層203の物体光(物体波)の照射位置に
適切に導かれるように、移動手段295により偏向調整
ミラー296の上下方向位置を定める(図中、実線位
置)。
【0126】このように設定した状態で、光源手段にお
けるシャッタ252を開き、第一マスク210aに物体
光を照射すると共に、記録層203の裏面側から入射角
θB1 2 で参照光B12を照射する。前述したように、記録
層203内でのこれらの干渉作用により、第一のマスク
パターンに基づくホログラムが、第一パターンホログラ
ムとして記録層203内に形成され、フォトポリマの変
性によりホログラムとして記録される。記録層203の
フォトポリマが十分に変成し、ホログラムがしっかりと
記録される程度の転写露光を行った後、シャッタ252
を閉じて、第一のホログラム記録工程を終了する。
【0127】次いで、マスク保持手段207により第一
マスク210aを交換して、第二マスク210bを同じ
位置に設置する。また、偏向調整ミラー296の角度並
びに上下位置を変化させ、プリズム3の適当な位置に入
射して、記録層203に適切に参照光が照射されるよう
に調節する(図中、点線位置)。
【0128】この状態では、参照光B22が、入射角θ
B22 でホログラム記録媒体201に入射すると共に、物
体光(第二マスク210bからの物体波)の照射位置に
導かれるように設定されている。
【0129】このように参照光入射角θB22 が設定でき
た時点で、シャッタ252を再度開き、第二マスク21
0bでのホログラム記録を行なう。これにより、同じ記
録媒体201に、第二マスク210bに形成された第二
のマスクパターンに基づくホログラムが、第二パターン
ホログラムとして記録される。
【0130】第二パターンホログラムの記録後に、シャ
ッタ252を閉じ、その後図示しない定着手段からHg
ランプのi線を、記録媒体201の記録層(フォトポリ
マ)203に照射して、ホログラムの定着を行なう。
【0131】なお、第一マスク210aからのホログラ
ム記録時の参照光入射角θB12 と、第二マスク210b
からのホログラム記録のための参照光入射角θB22
は、図4に示すように、ここで形成したホログラムから
の回折効率の一方のピークが他方のゼロとなるように相
互の角度が定められている。即ち、前述したように互い
の再生光入射角−再生強度曲線にクロスト−クが生じな
いように夫々の角度が設定されている。
【0132】ところで、再生光入射角θB12 とθB22
の適正な差ΔθB2は、ホログラム記録媒体における記録
層の厚み、ホログラム干渉縞のピッチなどの記録パラメ
−タに依存することが知られており、この実施例におい
ても、使用する記録層203の厚みやマスクパターン等
に基づいて予め理論的、実験的に見積もっておくことが
できる。
【0133】一例を示すと、本実施例のような全反射ホ
ログラム方式の場合については、物体光並びに参照光の
波長488nm、記録層203の厚み15μmの時、適
正なΔθB2は、およそ5〜6°(プリズム外の角度に換
算して)となる。また、参照光の波長364nm(Ar
レ−ザ)の場合でも、ホログラム形成時の記録媒体(ホ
ログラム自体)の収縮や屈折率変化が少ない場合は、ほ
ぼ同様にΔθB2は5〜6°の数値であるが、これらの変
化が大きい場合には、さらに大きな数値となる。
【0134】次に、図3を用いて本実施例に係る装置に
おいて、上記のようにして作製された多重ホログラムマ
スクからのホログラム再生工程(再生像のウエハへの転
写)について説明する。
【0135】光源手段は、記録時と同じくArレ−ザ
(波長364nm)を用いるので、参照光Bと再生光C
との波長は同一である(マスク毎或いはパターンホログ
ラム毎によって変化しない)。
【0136】先ず、記録時のマスクに代えてウエハ21
2を保持手段207に装着するが、記録時のマスクとホ
ログラムとの相対位置関係と同じ状態となるように、記
録媒体201の表面に対してウエハ212を記録時と等
しいギャップ間隔(100μm)で設置する。
【0137】再生光Cは、参照光照射光学系290を共
用して照射する。即ち、偏向調整ミラー296を下方に
移動することによって、プリズム205斜面に対し、記
録時の場合より下側から光束を入射させ、プリズム20
5内で一度全反射させて記録層203に導くことで、参
照光Bと共役な光束を再生光Cとしてホログラムに導く
ものとしている。なお、再生光Cの照射の際には、物体
照明光学系に設けられたシャッタ254を閉じて物体光
学系側への光束をカットしている。
【0138】記録媒体201に記録された第一パターン
ホログラムを再生させる場合には、偏向調整ミラー29
6をの偏向角度及び上下方向位置を、図中の実線位置の
ように設定し、再生光C12をホログラム(記録層20
3)に対して入射角θC12 で照射するように調整する。
【0139】また、第二パターンホログラムを再生する
場合には、図中点線で示すように偏向調整ミラー296
の偏向角度及び上下方向位置を設定し、再生光C22をホ
ログラムに対して入射角θC22 で照射するように調整す
る。
【0140】これにより、例えば前者の設定であれば、
第一パターンホログラムからの回折光のみが生じ、第一
マスク210aの第一マスクパターンの像のみがウエハ
212上に形成され、この像形成光により転写露光が行
われる。逆に、後者の設定であれば、第二マスク210
bの第二マスクパターンの像のみが再生される。
【0141】これらの再生工程において、異なるパター
ンを転写する際に変更するのは再生光の入射角(偏向調
整ミラー296の位置及び角度)のみであり、ホログラ
ムマスクである記録媒体201は交換の必要がない。
【0142】ところで、ウエハ212と、記録媒体20
1(パターンホログラム)又はこれらの再生像とのアラ
イメント方法は、特に限定されるものではないが、例え
ば、本件出願人の出願(特願平4−355424号、特
願平5−202471〜3号)等に示される方式を採用
することが好ましい。
【0143】また、参照光Bと再生光Cの入射角を変化
させる方法として、本実施例では偏向調整ミラー296
の偏向方向と平行移動を行う方式のものを採用している
が、記録層のホログラム形成位置に参照光(再生光)の
入射角を変更可能に照射する方式のものであれば、他の
方式のものを用いても良い。例えば、プリズム3自体を
偏向させるもの、平行もしくは回転移動させるもの、偏
向調整ミラーとプリズムを連動させる方式等も考えられ
ることは言うまでもない。
【0144】以上では、2種類のマスクパタ−ンによる
二重ホログラムマスクの作成並びにウエハへの個別転写
について説明したが、三つ以上のパターンを記録再生す
ることも自由に応用できることは言うまでもない。例え
ば、図4の第一ホログラム(例えば図7の入射角特性I
a )のより高角度側(図中右側)にも回折効率がゼロと
なる角度があり、さらにこれらからより大きく離れれ
ば、実質的な回折効率はゼロに等しいものとなるので、
これらを個別再生することは容易である。
【0145】このような多重ホログラムは、ホログラム
記録材料の記録容量に応じて、多重度のより高い(同時
に記録できる数量が多い)ホログラムマスクを作成する
ことも当然可能である。そこで、本発明の転写方法並び
に装置に用いられる多重ホログラムの実施例について以
下に説明する
【0146】ここで説明する多重ホログラムは、上記の
実施例に示す方法及び装置により作製したものであり、
試験的にラインアンドスペース(L/S)のみのマスク
パターンが形成されたマスクからホログラムを形成した
場合の多重ホログラムを例に取って説明する。
【0147】まず、以下の工程を想定して文献6に従い
多重ホログラムの入射角特性を算出し、それに伴う夫々
のホログラムの再生光入射角特性と、それらのホログラ
ム形成時の参照光入射角を決定する。なお、これらはL
/Sのホログラムからのパターン再生像の形成に寄与す
る光束の内、0次光のみを取り出して検討したものであ
るが、1次光以上の回折光に比べて格段に強度が大きい
ため、0次光のみを用いて近似的に見積もる事が可能で
ある。
【0148】ここでは、使用した光束は全て波長488
nmであり、ホログラム記録媒体の記録層(フォトポリ
マ)の厚み15μmのものを使用している。製造工程
は、以下に示す通りであり、ホログラム記録時に記録層
の厚み変化が1%の場合(表1)と3%の場合(表2)
を試作した際の平均屈折率、並びに厚みの変化等を夫々
を検討した。 ステップ1…第一マスクパターンにより参照光θB13
(θB14 )で記録 ステップ2…第一マスクパターンにより参照光θB23
(θB24 )で記録 ステップ3…Hgランプによる一様露光での定着
【0149】
【表1】 厚み変化1% 使用前 ステッフ゜1ノ後 ステッフ゜2ノ後 ステッフ゜3ノ後 平均屈折率 n 1.500 1.501 1.502 1.510 厚み d(μm) 15.00 14.97 14.94 14.85
【0150】
【表2】 厚み変化3% 使用前 ステッフ゜1ノ後 ステッフ゜2ノ後 ステッフ゜3ノ後 平均屈折率 n 1.500 1.501 1.502 1.510 厚み d(μm) 15.00 14.85 14.70 14.55
【0151】さらに、これらの多重ホログラムからの再
生光照射角−回折効率(再生像強度)特性を示すグラフ
を夫々図4(収縮率1%)と図5(収縮率3%)に示
す。ここでは、縦軸を回折効率(×100%)、横軸を
角度(度)で示しており、入射角度は、計測の容易性等
を考慮してプリズム面へ垂直に入射する場合を基準(0
度)とし、図2に示す方向(時計回り方向)を正として
示している。
【0152】また、表1に示す実施例に係る多重ホログ
ラムマスクでは、参照光入射角は第一マスクの入射角θ
B13 が『5度』、マスクの入射角θB23 が『0度』の状
態で記録したものであり、第一マスクに基づく第一パタ
ーンホログラムの回折効率特性を点線(右側)、第二マ
スクに基づく第二パターンホログラムの回折効率特性を
実線(左側)に示している。
【0153】なお、実際のホログラムマスクでは、再生
光の一部がホログラム記録媒体で吸収されるが、回折効
率の角度特性には何ら影響がない(強度自体が全体に弱
くなる)ので、ここでは再生像強度ではなく回折効率の
検討結果をそのままグラフに示している。
【0154】図4から明らかなように、再生光入射角が
『6度』の場合には、第一パターンホログラムの回折効
率がピークであり、第二パターンホログラムでの回折効
率は殆どゼロである。また、再生光入射角が『1度』の
場合には、第二パターンホログラムでの回折効率がピー
クであり、第一パターンホログラムでの回折効率は殆ど
ゼロとなることが判る。
【0155】このため、これらの回折効率特性から判断
すれば、この実施例に係るホログラムマスクには、再生
光を『6度』で入射(ここでは、プリズムへの入射角で
ある)させれば、第一マスクパターンの像のみが再生さ
れ、再生光を『1度』で入射させれば第二マスクパター
ンのみが再生されることが明らかである。
【0156】さらに、この条件での最適な角度差Δθは
およそ『5度』であり、三つ以上のパターンを多重記録
再生するためには、三つ目以上のものは、これらと5度
づつの差がある入射角(例えば11度、16度等)で回
折効率がピークとなるものであれば良いことが予想され
る。また、夫々のピークからのクロストークは角度差離
れれば離れる程小さくなるので、再生光入射角のピーク
角度が互いに『5度』以上の差があるものであれば、よ
り明確に分離再生できるものとなる。
【0157】なお、この実施例にかかるホログラムマス
クでは、断面が直角二等辺三角形となるプリズムと一体
となったホログラム記録媒体を利用しており、さらに全
反射ホログラフィ技術を使用している。このため、再生
光や参照光の記録層への入射角は、記録層内で全反射す
る角度でなければならず、さらにこれらをプリズムを会
して照射する必要がある。
【0158】これらの条件を満足するプリズムへの再生
光入射角は、およそ『−5度〜50度』の範囲であるた
め、この実施例に係るホログラムマスクと同等の条件下
では、約12種類の異なるマスク原盤(マスクパター
ン)を一つのホログラム記録媒体に多重記録させた多重
ホログラムマスクを形成することができる。
【0159】次に、図5に示す実施例に係るホログラム
マスクでは、ホログラム記録時の収縮率が3%の場合を
示している。この場合には、再生効率特性の形状が、収
縮が小さい場合(前述した1%の場合、図4)と異なる
ものとなる。
【0160】即ち、ホログラムマスクの形成工程(ホロ
グラム記録、定着過程等)を通じて起こるホログラム記
録層の厚み変化、平均屈折率の変化が生ずる場合に、再
生時の適正なブラッグ条件が、記録時の共役な状態から
変化することが知られている(文献5"Dupont Holograp
hic Photopolymers", 9th Miyazaki International Sym
posium, Tokyo, Japan, June 1992 、文献6 Optik 29
Heft5 1969 Seite P520-536 、文献3)。
【0161】さらに、ボリュームホログラムの一種であ
る全反射ホログラムにおいては、記録層の厚みが変化す
る場合に、ホログラム自体が透過型成分と反射型成分に
分離することに基づくことが知られている。(文献3)
【0162】これに対し、本願出願人は詳細な検討を行
った結果、このような場合であっても、ホログラム記録
時の参照光入射角、参照光及び物体光の波長、又は、再
生時の再生光入射角、再生光波長の補正を適正に行なえ
ば、適正なホログラムの再生像が形成できることが明ら
かになった。
【0163】従って、本実施例においても、再生光入射
角と参照光入射角とが厳密な共役関係ではなく、これら
が補正されたものを夫々設定値として用い、その補正さ
れた設定値に従う記録条件で記録され、もしくは補正さ
れた設定値に従う再生条件で再生されるものであれば、
本発明の効果が何ら損なわれるものではない。
【0164】例えば、本実施例のようにホログラム形成
時に、記録層の厚み変化や平均屈折率の変化が比較的大
きく現れる場合でも、記録時の参照光入射角と再生時の
再生光入射角とを適切に設定すれば、図5に示すような
互いにクロスト−クの生じない回折効率特性(再生効率
特性)が得られるものとなる。
【0165】具体的には、表2に示す実施例に係る多重
ホログラムマスクでは、参照光入射角は第一マスクの入
射角θB14 が『12度』、第二のマスクの入射角θB24
が『+2度』の状態で記録したものであり、第一マスク
に基づく第一パターンホログラムの回折効率特性を点線
(右側)、第二マスクに基づく第二パターンホログラム
の回折効率特性を実線(左側)に示している。
【0166】図5に示すように、この実施例での多重ホ
ログラムの夫々のパターンホログラムは、夫々が記録層
の変成により透過成分と反射成分とが大きく分離するた
め、回折効率がピ−クとなる位置が夫々二箇所に分離し
て現われる。このため、夫々のパターンホログラムのク
ロストークも大きくなってしまうので、相互の適正な角
度差Δθも大きくなってしまう。従って、これらの多重
ホログラムを最適に分離再生するためには、前述したよ
うな角度差(約14度)で夫々を記録する必要がある。
【0167】さらに、再生時に第一パターンホログラム
を再生する場合には、第二パターンホログラムの再生光
率が殆どゼロである条件を考慮して、再生光入射角θ
C14 が『8度』付近(反射型ホログラム成分のピーク)
か『14度』付近(透過型ホログラム成分のピーク)で
あれば、第一パターンホログラムのみからの回折光が生
じる。
【0168】逆に、第二パターンホログラムを再生する
場合には、再生光入射角θC24 を同様に、『0度』付近
(反射型ホログラム成分のピーク)か『3度』付近(透
過型ホログラム成分のピーク)に設定すれば、第二パタ
ーンホログラムからの回折光のみが生じ、第二マスクパ
ターンの像のみが形成される。
【0169】従って、ホログラムの形成条件により、各
ホログラム毎の適正な角度差が異なるので、ホログラム
マスクを形成する際の個別の記録条件(厚み変化や屈折
率変化等を含む)や定着工程の有無、多重パターン数等
を考慮して、予め適正な相互の角度差を決定しておく必
要がある。
【0170】本実施例では、記録時の角度差が『約10
度』であり、再生時にクロストークが生じないようにす
るための必要な角度差も『10度』程度である。従っ
て、前述したように、入射角の範囲がおよそ『−5度〜
50度』である場合には、約5種類のパターンを多重記
録並びに個別再生することができるものとなる。
【0171】なお、これらの実施例では記録層の厚みが
15μmの場合を説明したが、ホログラム記録媒体(記
録層)を厚くすることによって、多重度をより高くする
ことができる。即ち、図4等に示したホログラムの再生
光入射角−回折効率特性曲線の角度選択性は、ホログラ
ム記録層の厚みを増加することによって鋭く(クロスト
ークの幅が狭くなる)なるので、その分だけホログラム
毎の適正な角度差が小さくなり、多重度を増すことがで
きるものとなる。
【0172】但し、通常のホログラム記録媒体(記録
層)には、前述したように光吸収性があるので、余り厚
くしすぎると再生像の強度自体が低下してしまうことを
考慮して、回折効率特性と厚み(による強度低下)の選
択を適切に行う必要がある。
【0173】以上の実施例では、記録条件や再生条件の
設定パラメータとして、参照光入射角並びに再生光入射
角を変化させて複数の記録条件や再生条件を決定する場
合を説明したが、前述したように、設定パラメータとし
て波長を変更する方式も採用できる。
【0174】これはホログラムの波長選択特性(照射光
波長−回折効率特性)を利用するものである。ば波長を
変化させるためには、例えば光源手段を構成するレ−ザ
のエタロンの交換や、光源手段における波長選択プリズ
ムの角度を変化させる方式が考えられる。
【0175】この場合、波長変化に伴うホログラム記録
時の記録媒体(フォトポリマ等)の感度変化や、ウエハ
転写の際のレジスト感度変化等を考慮してホログラム記
録時の露光量とウエハ転写時の露光量の補正が当然必要
となる。
【0176】そして、このように記録条件或いは再生条
件において、波長を変更して記録或いは再生した夫々の
ホログラムについて、上記実施例同様に波長選択特性を
実験的に求めれば、複数のホログラムの相互の適正な波
長差が求められるので、それに従い個々の再生条件の波
長(及び波長差)を決定すると共に、それらに基づいて
個々の記録条件の波長を定めれば良い。
【0177】さらに、再生光の光源としてHgランプ等
を用い、i線やg線等のインコヒ−レント光を使用する
事も可能であり、再生光の波長変化と共に再生光入射角
による補正とを組み合わせて再生することも可能である
ことを付け加えておく。
【0178】また、これら以外の設定パラメータとし
て、マスク並びにウエハ(感光基板)と記録媒体との相
対位置関係(ギャップ間隔)の変更の方式も可能であ
る。この場合には、ホログラム記録部材における記録層
の厚み方向に多重記録する方式を採用するものである。
【0179】また、前述したように本出願人の他の出願
に係る方式による高精度のアライメントを行う場合に
は、アライメントマ−クもホログラムとして別途多重記
録する必要がある。この場合には、可能な多重度(記録
できるパターン数)は、アライメントマ−クを記録しな
い場合の1/2程度になる。
【0180】さらに、再生時にパタ−ン転写の露光量ム
ラを防止する方法として、再生光をホログラム形成面積
より狭い光束断面を持つビ−ム状のものを利用し、プリ
ズムへの入射角(ホログラムへの入射角)を一定に保っ
たまま、ホログラムの全面をスキャンするという方法が
提案されているが(公開平2−5210号)、本発明と
組み合わせて実施することも当然可能である。
【0181】以上実施した実施例では、記録層を構成す
るフォトポリマーをプリズム上に直接形成する場合につ
いて説明したが、これはインデックスマッチング液の存
在により、界面や屈折率差等のマッチング誤差による境
界反射ノイズの低減を図るためである。従来の装置で
は、記録媒体の交換にはプリズムごと行う必要性があっ
たため、採用が難しかったが、本実施例によれば記録媒
体の交換頻度が減少するため、これを容易に採用できる
利点がある。
【0182】なお、当然に従来同様のインデックスマッ
チング液を介した記録媒体の装着等の方式のものに応用
できることは言うまでもない。この場合には、ホログラ
ムマスクの交換操作自体が減少することから、全反射ホ
ログラフィ技術に特有のインデックスマッチング液を介
したホログラムマスクの交換操作の頻度も減少するの
で、作業性が時向上するものとなる。さらに、制作並び
に管理する、ホログラムマスク数が減るので、転写マス
ク管理が容易となる利点もある。
【0183】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明に係る転写方法によれば、一つのホログラム記録媒体
を利用して、複数のパターンの転写作業が行える利点が
ある。これによりパターン変更に伴う、ホログラムマス
クやそれに付随する部材の交換作業や、アライメント作
業が簡素化され、ホログラフィ技術を利用した転写作業
におけるスループットが向上した。
【0184】請求項2に記載した転写装置によれば、複
数のマスク原版から互いに異なるマスクパターンに基づ
くホログラムが一つのホログラム記録媒体に記録され
る。このため、複数のマスクパターンに基づくホログラ
ムを記録する際に、マスク原版のみを交換すれば良いの
で、作業工程が簡素化され、時間的にも短縮される。
【0185】また、再生時には、ホログラムマスクに記
録された複数のホログラムからの再生像が、一つづつ分
離されて個別に再生できるので、複数パターンの転写作
業におけるホログラムマスクの交換が不要であり、交換
作業並びにアライメント作業等が大幅に簡素化される利
点がある。
【0186】請求項3に記載した発明では、記録条件や
再生条件の設定パラメータとして、照射する光の波長
と、照射角とを選択し、これらの何れか一方もしくは双
方を変更させているので、記録された複数のホログラム
の分離特性が明確に設定できるものとなっている。
【0187】即ち、ホログラムの波長選択性や入射角選
択特性を利用して、予め複数のホログラムの分離性が予
測(算出或いは実験的に決定)されるので、それらを設
定値とすることで、再生像の個別分離再生を容易ならし
めている。
【0188】また、ホログラフィ技術において波長や入
射角は、設定の変更が比較的容易であることから、この
ような多重ホログラムの転写装置を容易に構築すること
ができる利点もある。
【0189】請求項4に記載した発明では、複数の再生
条件及び記録条件の相互関係を定めているので、何れか
一つのホログラムを再生したときに、像の強度が適正な
再生像が得られる。また、そのときに他のホログラムか
らの再生像は、感光基板に影響を与えない程度以下でし
た再生されないので、複数のホログラムから適正な個別
分離再生が行えるものとなっている。
【0190】請求項5に記載した発明によれば、例えば
複数パターンの重ね合わせ転写露光等を行うために、ホ
ログラムマスクを交換する手間や時間が省略できるの
で、スループットの向上や装置の簡略化、製作コストや
ランニングコストの低減が図れる。また、一つのホログ
ラムマスクで異なるパターンが再生できるので、異なる
パターンの転写の際にホログラムマスクを共用化するこ
とができるものとなり、転写装置の部材点数を少なくす
ることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る多重ホログラム転写方
法を説明する概念図であり、(イ)ホログラム記録方
法、(ロ)はホログラム転写方法を示す。
【図2】本発明の一実施例に係る多重ホログラム転写装
置の概略構成を示すものであり、ホログラム記録時の配
置構成を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施例に係る多重ホログラム転写装
置の概略構成を示すものであり、ホログラム再生時の配
置構成を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施例に係る多重ホログラムマスク
におけるホログラム再生時の回折効率−再生光入射角特
性を示す線図であり、ホログラム記録時における記録層
の収縮率が1%の場合のものを示す。
【図5】本発明の他の実施例に係る多重ホログラムマス
クにおけるホログラム再生時の折効率−再生光入射角特
性を示す線図であり、ホログラム記録時における記録層
の収縮率が3%の場合のものを示す。
【図6】単体のホログラムにおける再生効率特性の内、
再生光入射角選択性を示す線図であり、縦軸は再生像の
強度I(回折効率に比例)、横軸はホログラムへの再生
光の入射角を示している。
【図7】多重に記録されたホログラムにおける再生効率
特性の内、再生光入射角選択性を示す線図であり、縦軸
は再生像の強度I(回折効率に比例)、横軸はホログラ
ムへの再生光の入射角を示している。
【図8】全反射ホログラフィ技術で用いられる一般的な
ホログラム記録媒体の概略構成を示す説明図であり、
(イ)はインデックスマッチングオイルを介してプリズ
ム上に保持するタイプ、(ロ)はプリズム上に直接記録
層を形成するタイプのものを示している。
【図9】従来の全反射ホログラフィ技術で、図8(イ)
に示すタイプのホログラム記録媒体を使用した場合の異
なるパターンの記録及び再生を行う方法を示す説明図で
あり、(イ)はホログラム記録時、(ロ)はホログラム
再生(転写)時の作業工程を示すものである。
【図10】従来の全反射ホログラフィ技術で、図8
(ロ)に示すタイプのホログラム記録媒体を使用した場
合の異なるパターンの記録及び再生を行う方法を示す説
明図であり、(イ)はホログラム記録時、(ロ)はホロ
グラム再生(転写)時の作業工程を示すものである。
【符号の説明】 1,201…ホログラム記録媒体、3,203…記録層
(フォトポリマ)、5,205…プリズム、7,207
…マスク(ウエハ)保持手段、10,210…マスク、
12,212…感光基板(ウエハ)、250…ハーフミ
ラー、252,254…シャッタ、280…物体照明光
学系、290…参照光照明光学系、295…偏向調整ミ
ラーの駆動手段、296…偏向調整ミラー A…物体光、B…参照光、C…再生光 θB …参照光入射角、ΔθB …マスク毎の参照光入射角
の差、θC …再生光入射角、ΔθC …パターンホログラ
ム毎の再生光入射角の差、

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク原版に形成されたマスクパターン
    からの物体光と参照光との干渉によりホログラム記録媒
    体にホログラムを記録した後、このホログラムに前記物
    体光と共役な再生光を照射する事により、前記ホログラ
    ムからマスクパターンの像を感光基板上に再生して転写
    するホログラフィ技術を利用した転写方法において、 同一のホログラム記録媒体に複数のマスク原版から夫々
    異なる記録条件で複数のホログラムを記録させるホログ
    ラム記録工程と、 前記一つのホログラム記録媒体に記録された複数のホロ
    グラムを夫々異なる再生条件で個別に再生する再生工程
    と、を有することを特徴とするホログラフィ技術を利用
    した転写方法。
  2. 【請求項2】 マスク原版に形成されたマスクパターン
    からの物体光と参照光との干渉によりホログラム記録媒
    体にホログラムを記録した後、このホログラムに前記物
    体光と共役な再生光を照射する事により、前記ホログラ
    ムからマスクパターンの像を感光基板上に再生して転写
    するホログラフィ技術を利用した転写装置において、 複数のマスク原版を交換可能に保持するマスク保持手段
    と、 同一のホログラム記録媒体に対して前記マスク原版毎に
    異なる複数の記録条件が設定可能な記録手段と、 同一のホログラム記録媒体に対してホログラム記録時の
    個々の記録条件に対応した複数の再生条件が設定可能な
    再生手段と、を備えていることを特徴とするホログラフ
    ィ技術を利用した転写装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の再生条件は、前記再生光の波
    長と、前記再生光のホログラム記録媒体への照射角度と
    の少なくとも一方が夫々互いに異なるものであり、 前記複数の記録条件は、前記物体光並びに物体光の波長
    と、前記物体光のホログラム記録媒体への照射角度との
    少なくとも一方が夫々互いに異なるものであることを特
    徴とする請求項2に記載したホログラフィ技術を利用し
    た転写装置。
  4. 【請求項4】 前記複数の再生条件は、何れか一つのホ
    ログラムの再生条件により他のホログラムを再生させた
    ときの再生効率が、予め定めた設定値以下となるように
    夫々の再生条件が定められており、 前記複数の記録条件は、前記夫々の再生条件での再生効
    率が予め定めた設定値以上となるホログラムを記録させ
    るように夫々の記録条件が定められている、ことを特徴
    とする請求項3に記載したホログラフィ技術を利用した
    転写装置。
  5. 【請求項5】 複数のマスクパターンに基づくホログラ
    ムが夫々異なる記録条件で記録されているホログラム記
    録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006023430A (ja) * 2004-07-07 2006-01-26 Sony Corp ホログラム再生装置及びホログラム再生方法
JP2014106304A (ja) * 2012-11-26 2014-06-09 Dainippon Printing Co Ltd ホログラムの製造方法およびカラーホログラムの製造方法

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