JPH07263242A - 油入電気機器の寿命診断装置及び方法 - Google Patents

油入電気機器の寿命診断装置及び方法

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JPH07263242A
JPH07263242A JP6055968A JP5596894A JPH07263242A JP H07263242 A JPH07263242 A JP H07263242A JP 6055968 A JP6055968 A JP 6055968A JP 5596894 A JP5596894 A JP 5596894A JP H07263242 A JPH07263242 A JP H07263242A
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furfural
oil
organic liquid
detector
container
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基夫 土江
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芳弘 牧野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度で絶縁油中のフルフラール等を定量で
き、油入電気機器の寿命を精度良く診断することができ
る装置及び方法を得ることを目的とする。 【構成】 油入電気機器から採取した絶縁油を試料液体
2として試料容器1内に収容し、この試料液体2中にト
ラップ容器3からのガスを密閉系でバブリングする。バ
ブリングによって試料液体2中のフルフラール等は気化
し、メタノール等の有機液体4に溶解する。この有機液
体4中のフルフラール等を検出器12例えばガスクロマ
トグラフ、高速液体クロマトグラフにより定量し、油入
電気機器の寿命を診断する。 【効果】 簡便な装置で精度良くフルフラール等の定量
ができ、油入電気機器の寿命を正確に診断できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、油入電気機器の寿命
診断装置及び方法、特に、油入変圧器、油入リアクトル
等の油入電気機器の寿命を診断する装置及び方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】油入変圧器、油入リアクトル等の油入電
気機器の寿命は、一般に絶縁紙の劣化程度で推定され
る。絶縁紙の劣化程度は、絶縁紙自体の抗張力、重合度
などの測定により判断されている。また、絶縁紙の劣化
により生成する生成物であるフルフラール、フランカル
ボン酸などのフラン類、アセトアルデヒド、ホルムアル
デヒドなどのアルデヒド類により、絶縁紙の劣化、寿命
診断を行うことが検討されている。
【0003】しかし、抗張力や重合度から絶縁紙の寿命
診断を行うことができるのは、油入電気機器内から絶縁
紙を採取できる内部点検の機会等に限られる。この場
合、油入電気機器の構造材料として使われている絶縁紙
すなわちプレスボードの重合度を求め、油入電気機器の
寿命を推定するものである。一方、油入電気機器で使用
されている絶縁紙が劣化により分解すると、図15に示
すように、絶縁紙の構成材料であるセルロースが熱分解
して酸化することにより、フルフラール(フルアルデヒ
ドともいう)やヒドロキシメチルフルフラール等のフル
フラール誘導体が生成し、絶縁油に溶解する。従って、
絶縁油に溶解したフルフラール等の溶解量と、予め既知
である絶縁紙及び絶縁油の量とから、上記プレスボード
の重合度を推定することによって、油入電気機器の寿命
を推定することができる。但し、フルフラールは絶縁油
中に溶解すると共に絶縁紙に吸着されるが、特開平4−
241407号公報に記載されているように、フルフラ
ールの絶縁紙への吸着割合はほぼ15%と一定している
ので、フルフラール発生量は、絶縁油中のフルフラール
量の約6.7倍とすればよい。
【0004】従来、絶縁油中からフルフラールを抽出す
るには、鉱油等の絶縁油と抽出液体とを接触させる液−
液抽出法や絶縁油とシリカなどの固体を接触させる固−
液抽出法とが知られている(IEC(International Ele
ctrotechnical Commission)、1198、1993
年)。また、液−液抽出法には、メタノール、アセトニ
トリル、水/メタノール、水/アセトニトリルなどが用
いられている。抽出されたフルフラールの分離、分析方
法としては、高速液体クロマトグラフを用い、検出器と
しては紫外線光度計が使用されている。このような分
離,分析装置により、絶縁油中のフルフラールが定量さ
れ、油入電気機器の寿命の診断が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したような油入電
気機器の寿命診断装置では、未だ1つの装置として確立
しておらず、抽出液に絶縁油が混入するなどにより検出
器にノイズが入ったり、検出感度も十分なものが得られ
ないという問題点があった。この発明は、このような問
題点を解決するためになされたもので、高感度で絶縁油
中のフルフラールを定量でき、油入電気機器の寿命を正
確に診断することができる油入電気機器の寿命診断方法
及び装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項第1項
に係る油入電気機器の寿命診断装置は、油入電気機器の
絶縁油試料を収容する試料容器と、上記絶縁油試料中に
ガスをバブリングする手段と、フルフラール及びその誘
導体を溶解させる有機液体と、上記有機液体を収容する
有機液体容器と、上記バブリングにより気化した上記絶
縁油試料中のフルフラール及びその誘導体を上記有機液
体中に導入する手段と、上記有機液体中に溶解したフル
フラール及びその誘導体を検出する検出器とを備えたも
のである。
【0007】この発明の請求項第2項に係る油入電気機
器の寿命診断装置は、検出器の前段に分離装置をさらに
設けたものである。
【0008】この発明の請求項第3項に係る油入電気機
器の寿命診断装置は、絶縁油試料中にガスをバブリング
する手段は、有機液体容器からのガスを密閉系で循環さ
せるものである。
【0009】この発明の請求項第4項に係る油入電気機
器の寿命診断装置では、有機液体はフルフラール及びそ
の誘導体と反応して呈色する物質を含み、検出器は可視
光検出器とするものである。
【0010】この発明の請求項第5項に係る油入電気機
器の寿命診断装置では、有機液体は蛍光ラベル化剤を含
み、検出器は蛍光検出器とするものである。
【0011】この発明の請求項第6項に係る油入電気機
器の寿命診断装置は、有機液体を収容する石英製容器
と、この石英製容器の外周に対向して設けられた紫外線
発光装置及び紫外線検出装置と、これら石英製容器、紫
外線発光装置及び紫外線検出装置を収容する外部光遮断
箱とを備えたものである。
【0012】この発明の請求項第7項に係る油入電気機
器の寿命診断方法は、絶縁油試料を試料容器内に収容
し、上記絶縁油試料中にガスをバブリングすることによ
り上記絶縁油試料中のフルフラール及びその誘導体を気
化させ、気化したフルフラール及びその誘導体をこれら
を溶解させる有機液体に導いて溶解させ、上記有機液体
中に溶解したフルフラール及びその誘導体を検出器によ
り検出するものである。
【0013】
【作用】この発明の請求項第1項においては、バブリン
グにより絶縁油からのフルフラール等の分離性を向上さ
せ、簡便にフルフラール等の定量を行う。
【0014】この発明の請求項第2項においては、分離
装置によりフルフラール等を分離して検出し、測定精度
を向上する。
【0015】この発明の請求項第3項においては、有機
液体容器からのガスを密閉系で絶縁油試料に循環させる
ので、気化したフルフラール等を外部に逃がさず有機液
体中に濃縮する。
【0016】この発明の請求項第4項においては、フル
フラール等と反応して呈色する物質を可視光検出器で検
出することにより、吸光光度からフルフラール等を定量
する。
【0017】この発明の請求項第5項においては、蛍光
ラベル化剤と反応したフルフラール等を蛍光検出器によ
り高感度で検出する。
【0018】この発明の請求項第6項においては、有機
液体を収容した石英製容器で直接フルフラール等の定量
を行う。
【0019】この発明の請求項第7項においては、バブ
リングにより絶縁油からのフルフラール等の分離性を向
上させ、簡便にフルフラール等の定量を行う。
【0020】
【実施例】
実施例1.図1は、この発明の実施例1による油入電気
機器の寿命診断装置を示す概略図である。なお、各図
中、同一符号は同一又は相当部分を示している。図にお
いて、油入電気機器から採取した絶縁油試料を試料液体
2として試料容器1内に収容する。この試料容器1の周
囲にはヒータ9が配置されており、試料液体2を約50
℃〜60℃に加熱する。ポンプ5から流れ方向10で送
られてきた空気あるいは不活性ガス例えば窒素ガス、ヘ
リウムガスを試料液体2中にバブリングすることによっ
て、試料液体2中に溶解していたフルフラールやヒドロ
キシメチルフルフラールを気化する。気化したフルフラ
ール等は、配管8aを介して有機液体4例えばメタノー
ルやアセトニトリルが収容された有機液体容器であるト
ラップ容器3内に導かれる。なお、蒸発してくる絶縁油
の低沸点成分は、油分吸着剤7例えば商品名セップパッ
ク等を用いた油分分離装置6により予め除去しておく。
なお、バブリングは、10分〜30分程度行う。
【0021】バブリングによって気化したフルフラール
等の溶解度は、絶縁油よりもメタノール等の有機液体4
の方が大きいため、フルフラール等は有機液体4中に溶
解し、バブリングを継続して行うことにより、フルフラ
ール等は有機液体4中で濃縮される。この有機液体4を
バルブ11を開けることにより検出器12に送る。検出
器12としては、紫外線、赤外線又は可視光線等を使用
した検出器を用いることができる。以上のような方法に
よって、絶縁油からのフルフラールの分離性を向上させ
ることができ、簡便な方法で精度良くフルフラール量を
求めることができる。
【0022】さらに、次のようにして油入電気機器の寿
命診断を正確に行うことができる。すなわち、絶縁紙か
らのフルフラール等の生成量と絶縁紙の劣化度を表す絶
縁紙の重合度とは良好な相関関係がある。従って、絶縁
紙に吸着されているフルフラール量と油入電気機器の最
高温度部の絶縁紙量とから絶縁紙1g当たりのフルフラ
ール生成量を算出する。次に、フルフラール生成量と重
合度残率との関係から重合度残率を求め、絶縁紙の劣化
程度を診断することができる。なお、図1では、トラッ
プ容器3内のガスを密閉系で循環させているが、開放系
で空気又は不活性ガスを試料容器1に循環させても良
い。
【0023】実施例2.図2は、この発明の実施例2に
よる油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図である。
この図の装置の構成及び動作は、実施例1の装置におけ
るものと殆ど等しいが、検出器12の前段に分離装置1
3を設けた点が異なる。この分離装置13はフルフラー
ル等の成分を分離する装置であり、ガスクロマトグラ
フ、ガスクロマトグラフ質量分析計、高速液体クロマト
グラフ、超臨界流体クロマトグラフ等が使用できる。ガ
スクロマトグラフの検出器には、水素炎イオン型検出器
(FID)、熱伝導度型検出器(TCD)を用いる。ま
た、高速液体クロマトグラフの検出器には、273nm
あるいは220nmの紫外線を好適に用いる。
【0024】図3は、分離装置13として水素炎イオン
型検出器を使用し、出力波形に波形処理を施してフルフ
ラール量を算出する方法を説明する概略図である。図に
おいて、フルフラール等が抽出された有機液体4試料を
気化室21に導入し、窒素ボンベ20からの窒素ガスを
キャリアガスとして気化した試料を恒温槽22内に収容
されたカラム22aに導く。カラム22aからのガスを
水素炎イオン型検出器(FID)23に導入し、ガスの
分離、検出を行う。なお、水素炎を得るために水素ボン
ベ23a及び酸素ボンベ23bからの水素及び酸素を用
いる。
【0025】水素炎イオン型検出器23からの出力をI
/V変換器24及びA/D変換器25により処理した
後、CPU部26でソフトウエア処理することにより感
度を向上させることができる。なお、MMI/F27は
マンマシンインターフェース(I/F)27であり、例
えばディスプレイ、キーボードやプリンタ等である。す
なわち、水素炎イオン型検出器23からの出力は、エタ
ノール等の溶媒で抽出するため、図4に示すように、エ
タノール等の出力(図中、曲線A)はフルフラール等の
出力(図中、曲線B)に比べて非常に大きい。従って、
両曲線が重なり合ってしまい、フルフラール等の量を正
確に測定することは困難であった。しかし、以下のよう
な波形処理を行うことによって、フルフラール等の量を
正確に測定することができる。
【0026】低濃度のフルフラール等を短時間で測定す
るには、メタノール等のバックグラウンドの補正を行
い、フルフラール等の出力のみを取り出す。すなわち、
バックグラウンドとしてある程度予測される曲線を関数
化し、フルフラール等が検出される前に関数化した曲線
を差し引いてフルフラール等の出力を取り出すものであ
る。図4において、t0はメタノール成分しか存在しな
い時間であり、フルフラール等の出力開始時間t1は、
カラム温度xの時のフルフラール等の保持時間txとカ
ラム温度xに対する重み時間tdとから、t1=tx−
tdで与えられる。また、フルフラール等の出力終了時
間t2は、t2=tx+tdで与えられる。時間tにおけ
る水素炎イオン型検出器の出力をf(t)とすると、f
(t0)からf(t1)の信号をF(t)と近似すると、
フルフラール等の出力g(t)はg(t)=f(t)−
F(t)となる。
【0027】全フルフラール出力は、CPU部26でg
(t)dtをt1からt2まで積分することで、フルフラ
ール等の出力のみを取り出すことができ(図5)、フル
フラール等の濃度はこの積分値に比例する。このよう
に、メタノール等の出力をフルフラール等の出力と完全
に分離しなくても、別途なハードウエアを付加すること
なくソフトウエア処理のみでフルフラール等の出力を取
り出すことができ、フルフラール等を正確に定量するこ
とができる。以下、実施例1と同様に、フルフラール生
成量と重合度残率から絶縁紙の劣化程度を診断すること
ができる。
【0028】実施例3.図6は、この発明の実施例3に
よる油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図である。
この図の装置の構成及び動作は、実施例1の装置におけ
るものと殆ど等しいが、トラップ容器3中に収容された
メタノールやアセトニトリル等の有機液体14には、フ
ルフラール等と反応して呈色する物質例えば硝酸銀水溶
液、酢酸アニリン、又はフロログルシンが含有されてお
り、検出器12としては、可視光検出器が使用される点
が異なる。
【0029】バブリングによって抽出されたフルフラー
ルやヒドロキシメチルフルフラールは、トラップ容器3
中の有機液体14に含まれる硝酸銀水溶液、酢酸アニリ
ン、フロログルシンと反応する。次いで、反応溶液に特
有な波長の可視光線を用いてフルフラール等の定量を行
う。フルフラールやヒドロキシメチルフルフラールの硝
酸銀水溶液は、銀を還元して黒色を呈する。この黒色
は、可視光線で極めて高感度な波長はないが、400n
m付近(380nm〜500nm)の波長で好適に検出
することができる。フルフラール濃度と吸光光度との関
係を図7に示す。この図から明らかなように、吸光光度
に比例してフルフラール濃度を測定することができる。
また、フルフラールやヒドロキシメチルフルフラールの
酢酸アニリン反応溶液は、赤色を呈し、可視光線の測定
波長は480nm付近が好ましい。フルフラールやヒド
ロキシメチルフルフラールのフロログルシン反応溶液
は、暗緑色を呈する。
【0030】実施例4.図8は、この発明の実施例4に
よる油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図である。
この図の装置の構成及び動作は、実施例2の装置におけ
るものと類似するが、トラップ容器3中に収容されたメ
タノールやアセトニトリル等の有機液体15は、蛍光ラ
ベル化剤例えば2、2−ジチオビス(1−アミノナフタ
レン)(以下、DTANとする)を含む。トラップ容器
3は、その周囲に配置されたヒータ9aにより約70℃
に加熱されており、フルフラールやヒドロキシメチルフ
ルフラールを約70℃でDTANと反応させ、蛍光ラベ
ル化を行う。なお、この反応の際には、トラップ容器3
中の有機液体15の濃度が変化しないように、配管8b
には冷却装置16が設けられている。
【0031】次に、有機液体15をバルブ11を介して
アセトン、酢酸ナトリウム等蛍光物質の安定化剤17を
収容した混合容器18に導く。例えば混合容器17中で
アセトンと2モルの酢酸ナトリウム水溶液により、蛍光
反応生成物を安定化させる。次いで、安定化させた混合
溶液を分離装置13に導く。分離装置13としては、例
えば液体クロマトグラフを使用し、検出器12には蛍光
検出器を使用して、励起波長は355nm付近、発光波
長は445nm付近とする。蛍光ラベル化剤を使用する
ことによって、極微量例えば1ppb程度のフルフラー
ル等を検出することができる。
【0032】実施例5.図9は、この発明の実施例5に
よる油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図である。
この図の装置の構成及び動作は、実施例3の装置におけ
るものと殆ど等しいが、トラップ容器3中に収容された
メタノールやアセトニトリル等の有機液体19には、フ
ルフラールやヒドロキシメチルフルフラールと反応する
塩酸3−メチル2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(以
下、MTBHとする)が溶解されている。また、この反
応生成物と反応することによって反応生成物を緑色に発
色させるアセトンと塩化第2鉄水溶液との混合溶液30
が、混合容器17中に収容されている。
【0033】バブリングによって抽出されたフルフラー
ルやヒドロキシメチルフルフラールは、トラップ容器3
中の有機液体19中に含まれるMTBHと反応し、反応
生成物を生成する。この反応生成物は、バルブ11aに
より混合容器17に導かれ、混合容器17中の混合溶液
30と反応することにより緑色を呈する。この緑色に発
色した混合溶液30をバルブ11bにより検出器12例
えば可視光検出器に送る。検出器12により吸光光度に
比例してフルフラール等の濃度を定量することができ
る。
【0034】実施例6.図10は、この発明の実施例6
による油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図であ
る。この図の装置の構成及び動作は、実施例1の装置に
おけるものと殆ど等しいが、バブリングによって抽出さ
れたフルフラールやヒドロキシメチルフルフラールは、
トラップ容器3中の有機液体4に溶解し、この有機液体
4をバルブ11を介してサンプリング(採取)する。採
取された有機液体4は、別途に設けられた分離装置や検
出器を用いてフルフラール等の分析を行うことができ
る。分離装置等は別体であるので、従来の分離装置等を
使用できる。分離装置としては、フルフラール等の成分
を分離する種々の装置が使用でき、例えばガスクロマト
グラフ、ガスクロマトグラフ質量分析計、高速液体クロ
マトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ等である。ガス
クロマトグラフの検出器には、水素炎イオン型検出器
(FID)、熱伝導度型検出器(TCD)を用いる。ま
た、高速液体クロマトグラフの検出器には、273nm
あるいは220nmの波長の紫外線を好適に用いる。
【0035】実施例7.図11は、この発明の実施例7
による油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図であ
る。図において、試料液体2をバブリングすることによ
り気化したフルフラール等は、油分分離装置6を介して
石英製トラップ容器31に導かれる。この石英製トラッ
プ容器31内には、メタノール等の有機液体4が収容さ
れており、フルフラール等はこの有機液体4中に溶解す
る。石英製トラップ容器31の外周には、紫外線発光装
置32と例えば273nmの紫外線を検出する紫外線検
出装置33とが互いに対抗して設けられている。これら
の石英製トラップ容器31、紫外線発光装置32及び紫
外線検出装置33は、外部光遮断容器34内に収容され
ている。この実施例の装置によれば、他の装置でフルフ
ラール等の検出を行わずに石英製トラップ容器31で直
ちに測定を行うことができ、寿命診断装置を小型化する
ことができる。
【0036】実施例8.図12は、この発明の実施例8
による油入電気機器の寿命診断装置を示す概略図であ
る。この図の装置の構成及び動作は、実施例4の装置に
おけるものと殆ど等しく、トラップ容器3中に収容され
たメタノールやアセトニトリル等の有機液体15は、蛍
光ラベル化剤例えばDTANを含む。但し、安定化剤1
8を含む混合容器17は設けられていない。図におい
て、トラップ容器3は、その周囲に配置されたヒータ9
aにより約70℃に加熱されており、フルフラールやヒ
ドロキシメチルフルフラールを約70℃でDTANと反
応させ、蛍光ラベル化を行う。なお、この反応の際に
は、トラップ容器3中の有機液体15の濃度が変化しな
いように、配管8aには冷却装置16が設けられてい
る。
【0037】次に、有機液体15をバルブ11を介して
分離装置13例えばガスクロマトグラフに導き、さらに
検出器12例えば炎光光度型検出器に導入する。この炎
光光度型検出器は、イオウやリン化合物を選択的に検出
するもので、DTAN化合物中に含まれるイオウを検出
することにより、フルフラール等を定量することができ
る。
【0038】実施例9.図13は、この発明の実施例9
による油入電気機器の寿命診断装置を油入電気機器に接
続した状態を示す概略図である。図において、油入電気
機器35内の絶縁油を配管8aから試料液体2として試
料容器1内に導く。試料容器1におけるバブリングは、
トラップ容器3からのガスを配管8bを介して流れ方向
10で試料容器1に導くことにより行う。その際、有機
液体4中のメタノール等は、コールドトラップ36によ
り回収する。バブリング操作を終了した後、真空脱気装
置37により試料液体2を脱気して試料液体2である絶
縁油を配管8cから油入電気機器35内に戻す。従っ
て、絶縁油量の少ない油入電気機器例えばコンデンサや
ブッシングを寿命診断する場合や、採油が頻繁にできな
い場合に絶縁油を新たに補充しなくて済むという利点を
有する。
【0039】実施例10.図14は、この発明の実施例
10による油入電気機器の寿命診断装置を油入電気機器
に接続した状態を示す概略図である。この図の装置の構
成及び動作は、実施例9における場合と殆ど等しいが、
コールドトラップ36及び真空脱気装置37を試料容器
1と配管8cとの間に配置したものであり、実施例9と
同様の効果を奏する。
【0040】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の請求項
第1項は、油入電気機器の絶縁油試料を収容する試料容
器と、上記絶縁油試料中にガスをバブリングする手段
と、フルフラール及びその誘導体を溶解させる有機液体
と、上記有機液体を収容する有機液体容器と、上記バブ
リングにより気化した上記絶縁油試料中のフルフラール
及びその誘導体を上記有機液体中に導入する手段と、上
記有機液体中に溶解したフルフラール及びその誘導体を
検出する検出器とを備えたので、従来のような液−液接
触を必要とせずに絶縁油試料からのフルフラール等の分
離性を向上させ、不要成分の分離が不十分であることに
起因するノイズ成分を除去することができるという効果
を奏する。また、簡便にフルフラール等の定量を行うこ
とができ、油入電気機器の寿命を精度良く診断すること
ができるという効果も奏する。
【0041】この発明の請求項第2項は、検出器の前段
に分離装置をさらに設けたので、分離装置によりフルフ
ラール等を分離して検出し、測定精度を向上させること
ができるという効果を奏する。
【0042】この発明の請求項第3項は、絶縁油試料中
にガスをバブリングする手段により有機液体容器からの
ガスを密閉系で絶縁油試料に循環させるので、気化した
フルフラール等を外部に逃がさず測定精度を向上させる
と共に、フルフラール等を有機液体中に濃縮することが
できるという効果を奏する。
【0043】この発明の請求項第4項は、有機液体がフ
ルフラール及びその誘導体と反応して呈色する物質を含
み、検出器は可視光検出器であるので、フルフラール等
と反応して呈色する物質を可視光検出器で検出すること
により、簡便な操作で容易に分析でき、吸光光度からフ
ルフラール等を定量することができるという効果を奏す
る。
【0044】この発明の請求項第5項は、有機液体が蛍
光ラベル化剤を含み、検出器は蛍光検出器であるので、
フルフラール等を蛍光物質に変換して高精度に検出する
ことができるという効果を奏する。
【0045】この発明の請求項第6項は、油入電気機器
の寿命診断装置に、有機液体を収容する石英製容器と、
この石英製容器の外周に対向して設けられた紫外線発光
装置及び紫外線検出装置と、これら石英製容器、紫外線
発光装置及び紫外線検出装置を収容する外部光遮断容器
とを設けたので、有機液体を収容した石英製容器で直接
フルフラール等の定量を行うことができ、寿命診断装置
を小型化することができるという効果を奏する。
【0046】この発明の請求項第7項は、絶縁油試料を
試料容器内に収容し、上記絶縁油試料中にガスをバブリ
ングすることにより上記絶縁油試料中のフルフラール及
びその誘導体を気化させ、気化したフルフラール及びそ
の誘導体をこれらを溶解させる有機液体に導いて溶解さ
せ、上記有機液体中に溶解したフルフラール及びその誘
導体を検出器により定量するので、バブリングにより絶
縁油からのフルフラール等の分離性を向上させ、簡便に
フルフラール等の定量を行いことができ、油入電気機器
の寿命を精度良く診断することができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による油入電気機器の寿命
診断装置を示す概略図である。
【図2】この発明の実施例2による油入電気機器の寿命
診断装置を示す概略図である。
【図3】この発明の実施例2により、水素炎イオン検出
器の出力波形を波形処理してフルフラール量を算出する
方法を説明する概略図である。
【図4】この発明の実施例2による水素炎イオン検出器
の出力波形を示す線図である。
【図5】この発明の実施例2により波形処理を施した出
力波形を示す線図である。
【図6】この発明の実施例3による油入電気機器の寿命
診断装置を示す概略図である。
【図7】この発明の実施例3におけるフルフラール濃度
と吸光光度との関係を示す線図である。
【図8】この発明の実施例4による油入電気機器の寿命
診断装置を示す概略図である。
【図9】この発明の実施例5による油入電気機器の寿命
診断装置を示す概略図である。
【図10】この発明の実施例6におけるフルフラール濃
度と吸光光度との関係を示す線図である。
【図11】この発明の実施例7による油入電気機器の寿
命診断装置を示す概略図である。
【図12】この発明の実施例8による油入電気機器の寿
命診断装置を示す概略図である。
【図13】この発明の実施例9による油入電気機器の寿
命診断装置を示す概略図である。
【図14】この発明の実施例10による油入電気機器の
寿命診断装置を示す概略図である。
【図15】セルロースが分解してフルフラール及びヒド
ロキシメチルフルフラールを生成する状態を示す構造式
である。
【符号の説明】
1 試料容器 2 試料液体 3 トラップ容器 4 有機液体 5 ポンプ 6 油分分離装置 7 油分吸着剤 8a、8b、8c 配管 9a、9b ヒータ 10 流れ方向 11 バルブ 12 検出器 13 分離装置 14、15、19 有機液体 16 冷却装置 17 混合容器 18 安定化剤 20 窒素ボンベ 21 気化室 22 恒温槽 23 水素炎イオン型検出器 23a 水素ボンベ 23b 酸素ボンベ 24 I/V変換器 25 A/D変換器 26 CPU部 27 MMI/F 28 メモリ 29 プリンタ 30 混合溶液 31 石英製トラップ容器 32 紫外線発生装置 33 紫外線検出装置 34 外部光遮断容器 35 油入電気機器 36 コールドトラップ 37 真空脱気装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油入電気機器の絶縁油試料を収容する試
    料容器と、 上記絶縁油試料中にガスをバブリングする手段と、 フルフラール及びその誘導体を溶解させる有機液体と、 上記有機液体を収容する有機液体容器と、 上記バブリングにより気化した上記絶縁油試料中のフル
    フラール及びその誘導体を上記有機液体中に導入する手
    段と、 上記有機液体中に溶解したフルフラール及びその誘導体
    を検出する検出器とを備えたことを特徴とする油入電気
    機器の寿命診断装置。
  2. 【請求項2】 検出器の前段に分離装置をさらに備えた
    ことを特徴とする請求項第1項記載の油入電気機器の寿
    命診断装置。
  3. 【請求項3】 絶縁油試料中にガスをバブリングする手
    段は、有機液体容器からのガスを密閉系で試料容器中の
    絶縁油試料に循環させることを特徴とする請求項第1項
    記載の油入電気機器の寿命診断装置。
  4. 【請求項4】 有機液体は、フルフラール及びその誘導
    体と反応して呈色する物質を含み、検出器は可視光検出
    器であることを特徴とする請求項第1項記載の油入電気
    機器の寿命診断装置。
  5. 【請求項5】 有機液体は、蛍光ラベル化剤を含み、検
    出器は蛍光検出器であることを特徴とする請求項第1項
    記載の油入電気機器の寿命診断装置。
  6. 【請求項6】 有機液体を収容する石英製容器と、この
    石英製容器の外周に対向して設けられた紫外線発光装置
    及び紫外線検出装置と、これら石英製容器、紫外線発光
    装置及び紫外線検出装置を収容する外部光遮断容器とを
    備えたことを特徴とする請求項第1項記載の油入電気機
    器の寿命診断装置。
  7. 【請求項7】 絶縁油試料を試料容器内に収容し、 上記絶縁油試料中にガスをバブリングすることにより上
    記絶縁油試料中のフルフラール及びその誘導体を気化さ
    せ、 気化したフルフラール及びその誘導体をこれらを溶解さ
    せる有機液体に導いて溶解させ、 上記有機液体中に溶解したフルフラール及びその誘導体
    を検出器により検出することを特徴とする油入電気機器
    の寿命診断方法。
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