JPH07260587A - マイクロ波により加熱される物品の温度履歴測定方法 及びその装置 - Google Patents

マイクロ波により加熱される物品の温度履歴測定方法 及びその装置

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JPH07260587A
JPH07260587A JP7406794A JP7406794A JPH07260587A JP H07260587 A JPH07260587 A JP H07260587A JP 7406794 A JP7406794 A JP 7406794A JP 7406794 A JP7406794 A JP 7406794A JP H07260587 A JPH07260587 A JP H07260587A
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JP7406794A
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English (en)
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Ryozo Watanabe
良三 渡辺
Shigemitsu Ishikawa
茂光 石川
Kenji Kiyotaki
兼司 清瀧
Junichi Otsuji
淳一 尾辻
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マイクロ波により加熱される物品の温度履歴
を、高い精度で測定する方法及び装置を提供する。 【構成】 所定の検出記憶子に温度履歴情報を記憶さ
せ、該検出記憶子とは別体に構成される変換表示装置に
より該温度履歴情報を読み出す測定方法において、検出
記憶子を囲繞するとともに一部に開口部を備えた金属製
の遮蔽部材及び該遮蔽部材と検出記憶子との間隙に介在
して互いの接触を防止する絶縁部材を測定前の検出記憶
子に装着し、温度履歴情報を読み出す前に該装着した遮
蔽部材及び絶縁部材を取り外すことを特徴とするマイク
ロ波により加熱される物品の温度履歴測定方法及びその
測定装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波により加熱
される物品の温度履歴測定方法及びその装置に関する。
更に詳しくは、本発明は、物品の温度を検出して温度履
歴情報として記憶する検出記憶子と、該検出記憶子とは
別体に構成され該検出記憶子により記憶されている温度
履歴情報を読み出す変換表示装置とを備えた温度履歴測
定装置を用いて、マイクロ波により加熱される物品の温
度履歴を測定する方法、及び温度履歴を測定する装置に
関する。
【0002】本明細書において「物品」は、温度履歴の
測定対象となる物体であり、測定対象となる物体が固形
状物である場合は特に問題はないが、測定対象となる物
体が液体、半液体、固液混合物等である場合、何らかの
容器に充填されている物体(例えば、測定対象がレトル
ト食品、缶詰、飲料水ボトル、冷凍食品、カップ入り食
品等の内容物)も、「物品」に包含される。
【0003】本発明は、特にマイクロ波により加熱され
る食品の温度履歴を測定する方法及び装置として利用で
きる。
【0004】
【従来の技術】一般に、物品の温度を検出して測定する
手段には種々のものが知られているが、通常、温度を検
出して何らかの信号に変換するセンサ−と、センサ−が
変換した信号を受けてこれを温度の数値に変換して表示
する本体装置とを備えており、前記センサ−と前記本体
装置とはケ−ブル、電線、フレキシブルチュ−ブ、又は
光ファイバ−等によって結線されている。このように温
度を検出して測定する、温度測定手段は、測定の目的、
物品の形態、条件等によって最適の手段が選択される。
【0005】最近では、単に物品の温度だけではなく、
所定の時間内における物品の温度変化の状態(以下温度
履歴と記載することがある)を測定する必要性も多くな
っている。通常の温度測定手段を用いて温度履歴を測定
する場合は、温度を所定の時間内に連続的に検出する必
要があるが、これとは別に、温度履歴を測定する専用の
装置として、記憶式温度計が市販されている。
【0006】記憶式温度計は、殺菌、滅菌、輸送、貯蔵
中等の温度管理、熱処理炉内の温度履歴測定等に用いら
れ(西華産業株式会社の「デ−タトレ−ス」カタログを
参照)、構造上は、前記センサ−に相当するものとして
検出記憶子を備え、かつ前記本体装置に相当するものと
して変換表示装置を備えている。また、前記検出記憶子
と変換表示装置とが別体に構成されていることも大きな
特徴となっている。
【0007】前記検出記憶子は、物品と接触して物品の
温度を検出するとともに所定の時間内における温度変化
の様子を温度履歴情報として記憶する機能を有し、前記
変換表示装置は、その温度履歴情報を読み出して温度の
数値として表示する機能を有している。
【0008】公知の記憶式温度計の検出記憶子の構造と
しては、図3に示す構造を例示することができる。図3
は検出記憶子の一例の概略構造を示す正面図及び平面図
であり、図中(ア)が正面図であり、(イ)が平面図で
ある。図3において、検出記憶子Rはセンサ−部1及び
記憶部2からなっている。センサ−部1の内部には温度
センサ−が配設されており、ここで物品の温度が検出さ
れる。記憶部2の内部には集積回路が備えられており、
所定の時間内にセンサ−部で検出された温度の変動が温
度履歴情報として記憶される。
【0009】これに対して、変換表示装置(図示せず)
は、検出記憶子Rを装着してその温度履歴情報を読みと
るインタ−フェ−スモジュ−ル、このインタ−フェ−ス
モジュ−ルと接続され、前記インタ−フェ−スモジュ−
ルが読みとった温度履歴情報を所定の数値に変換する演
算装置、及び変換された数値を表示する表示装置を備え
ている。
【0010】記憶式温度計を使用して物品の温度履歴を
測定する手順は、まず、検出記憶子Rのセンサ−部1を
物品に接触させる。この際の態様は物品の種類に応じて
適時選択でき、例えばセンサ−部1のみを物品に接触又
は貫入させてもよく、検出記憶子R全体を物品に埋没さ
せてもよい。その状態で温度を検出させ、所定の時間内
の物品の温度履歴情報を記憶させる。その後、検出記憶
子Rを物品から取り外し、変換表示装置のインタ−フェ
−スモジュ−ルに装着し、所定の時間内の温度履歴情報
を読み出して表示させる。
【0011】一般に食品産業においては、物品の温度又
は温度履歴を測定することは、特に、殺菌、滅菌等の加
熱操作において重要なものとなっているが、近年はこの
ような加熱操作を行う装置として、マイクロ波を利用す
るものが散見されるようになっている。このようなマイ
クロ波加熱装置は、物品にマイクロ波を直接照射して内
部の発熱により加熱する方法をとる装置である。
【0012】前記マイクロ波加熱装置において、加熱さ
れる物品の温度履歴を測定する場合は、採用し得る測定
手段は限定される。即ち、熱電対、サ−ミスタ等の金属
製センサ−を備える測定手段を採用した場合、マイクロ
波の影響でノイズが発生しやすいばかりではなく、セン
サ−に大きな表面電流が流れて発熱し、センサ−が発
火、破壊する危険があり、更に、装置内部の電磁気的な
環境が乱れることにより、温度を測定する行為自体の意
味がなくなる危険がある。
【0013】従って、このような場合には、専ら光ファ
イバ−によってセンサ−が構成されている光ファイバ−
式温度計が採用されていた(安立計器株式会社、蛍光式
光ファイバ−温度計「エイモス」カタログを参照)。
【0014】しかし、前記光ファイバ−式温度計は、セ
ンサ−がファイバ−ケ−ブルで本体装置と結線されてい
るため、例えば家庭用電子レンジのように、物品を均等
に加熱するために加熱中の物品を移動させる場合等で
は、物品の移動にセンサ−を追随させることが難しく、
センサ−が物品から外れる危険、ファイバ−ケ−ブルが
断線する危険等があった。
【0015】このような場合には、センサ−と本体装置
とが別体に構成されている記憶式温度計を用いれば、極
めて簡便に温度履歴を測定することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
マイクロ波加熱装置に記憶式温度計を適用した場合に
は、測定結果が実際の温度よりも高い値を示す現象が生
じ、測定の精度が信頼できないという問題点があった。
この現象が発生する原因は、記憶式温度計の検出記憶子
が金属製であるためマイクロ波が表面で反射され、その
際に表面電流が発生し、この結果、検出記憶子の温度が
上昇することによると説明できる(阿部英太郎著、「マ
イクロ波」、第19〜22頁、東京大学出版会、198
3年を参照)。また、検出記憶子の記憶部にマイクロ波
が入り、その影響によってノイズが発生ことも精度低下
の一因とされている。
【0017】これらの問題点の解決策として、検出記憶
子を何らかの金属で覆うことが考えられるが、検出記憶
子を別個の部材で被覆することは温度を検出する際の応
答性を損なうと考えられており、しかも、検出記憶子を
覆った金属自体が発熱してその効果が相殺されると考え
られているため、一般には実施されていない。
【0018】従って、前記記憶式温度計をマイクロ波に
より加熱される物品に適用することは従来不適当である
とされており、記憶式温度計の利点を生かし、かつ精度
の高い温度履歴の測定方法は存在せず、また、精度の高
い温度履歴の測定装置も存在しなかった。
【0019】本発明者らは、前記問題点につき鋭意研究
を行った結果、記憶式温度計について、以下に記載する
(G1)〜(G3)の原理の一つ又は複数を参酌した測
定方法、若しくは参酌した測定装置を用いることにより
前記問題点が解決され、高精度で温度履歴の測定が可能
になることを見い出し、本発明を完成させた。 (G1)マイクロ波の照射によっても発熱し難い材料及
び構造を備える遮蔽部材で、検出記憶子を囲繞するこ
と。 (G2)たとえ遮蔽部材が発熱しても、検出記憶子がそ
の影響を受けにくい構造とすること。 (G3)検出記憶子を覆う全ての部材は、検出記憶子を
完全に密閉しない構造となし、温度検出する際の応答性
を確保すること。
【0020】本発明は、前述の問題点及び研究結果に鑑
み、下記の(O1)及び(O2)の記載事項を課題とす
る。 (O1)マイクロ波により加熱される物品の温度履歴測
定方法において、記憶式温度計を用いた高精度の測定方
法を提供すること。 (O2)マイクロ波により加熱される物品の温度履歴測
定装置において、記憶式温度計を用いた高精度の測定装
置を提供すること。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の第1の発明は、所定の検出記憶子に物品の温
度を検出させて温度履歴情報として記憶させ、該検出記
憶子とは別体に構成される変換表示装置により該温度履
歴情報を読み出すマイクロ波により加熱される物品の温
度履歴測定方法において、測定前の検出記憶子に所定の
絶縁部材を装着するとともに開口部を備える金属製の遮
蔽部材で検出記憶子を非接触状態で囲繞し、温度履歴情
報を読み出す前に該絶縁部材及び遮蔽部材を取り外すこ
とを特徴とするマイクロ波により加熱される物品の温度
履歴測定方法であり、該遮蔽部材が、少なくとも一部を
マイクロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で形成され
ている事を望ましい態様(以下第1の態様と記載する)
としてもいる。
【0022】前記課題を解決するための本発明の第2の
発明は、物品の温度を検出するセンサ−部を備えるとと
もに該センサ−部が検出した温度を温度履歴情報として
記憶する検出記憶子と、該検出記憶子とは別体に構成さ
れ該温度履歴情報を読み出す変換表示装置とを備えるマ
イクロ波により加熱される物品の温度履歴測定装置にお
いて、(Y1)検出記憶子が、開口部を備える金属製の
遮蔽部材によって囲繞されていること、及び(Y2)検
出記憶子と該遮蔽部材との間隙の少なくとも一部に絶縁
部材が介在配置され、相互の接触を防止していることを
特徴とするマイクロ波により加熱される物品の温度履歴
測定装置であり、該遮蔽部材の少なくとも一部が、マイ
クロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で形成されてい
ること(以下第2の態様と記載する)、検出記憶子が、
絶縁部材により全面被覆されるとともに検出記憶子のセ
ンサ−部と外側とを導通する欠切部が該絶縁部材に備え
られており、遮蔽部材のうち少なくとも該欠切部を覆う
部分が、マイクロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で
形成されていること(以下第3の態様と記載する)及び
遮蔽部材が、遮蔽部材のうち、少なくとも検出記憶子の
センサ−部を囲繞する部分が、マイクロ波を遮断する多
孔板で形成されていること(以下第4の態様と記載す
る)を望ましい態様としてもいる。
【0023】以下に前記課題を解決するための本発明を
説明するが、本発明の要素には後述の実施例の要素との
対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで
囲んだものを付記している。本発明を後述の実施例の符
号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易に
するためであって、本発明の範囲を実施例に限定するた
めではない。
【0024】前記本発明の第1の発明の温度履歴測定方
法は、温度履歴を測定する公知の装置、特に市販の記憶
式温度計を使用して実施することができる。これらの記
憶式温度計には、検出記憶子(R)が備えられている。
【0025】本発明の方法では、検出記憶子(R)に所
定の絶縁部材を装着する。これは、遮蔽部材で検出記憶
子(R)を囲繞した際に、検出記憶子(R)と前記遮蔽
部材とが接触しない状態にするためである。このため両
者の間隙の少なくとも一部に絶縁部材を介在配置させ
る。従って、前記絶縁部材の形状、装着する態様は、前
記遮蔽部材と検出記憶子(R)とを接触させずに固定で
きるものならばいかなるものでもよい。
【0026】前記絶縁部材の材質は、電気的な絶縁性を
有するものであればいかなるものであってもよく、この
ような材質として、ゴム類、プラスチック類を例示する
ことができる。一般的には、加工の容易な部材が望まし
く、最初から固形状である必要はない。例えば、シリコ
ン樹脂等のように、最初流動性の材料であっても、これ
を塗布した後で硬化すものであってもよい。また、前記
絶縁部材は、マイクロ波加熱に供されることから、耐熱
性の高いものが望ましく、前記ゴム類であれば、アクリ
ロニトリルブタジエンゴム(NBR)、プラスチック類
であれば、耐熱性のものが望ましい。しかし、本発明を
食品関係に適用する場合は、食品衛生に配慮したものが
望ましく、このような材料としては、ふっ素樹脂、中で
もポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)が望ま
しく、テフロン(商標名)類を例示することができる。
【0027】次いで、検出記憶子(R)を遮蔽部材で囲
繞する。遮蔽部材の材質は金属製であり、少なくとも一
部に開口部を備えている。前記遮蔽部材の一部を開口す
る理由は、検出記憶子(R)を遮蔽部材によって密閉し
ないためであり、特に、開口部の位置は検出記憶子
(R)のセンサ−部の近傍にあることが望ましい。
【0028】遮蔽部材の材質とする金属は、マイクロ波
による磁場の影響を考慮すると、透磁率が小さい非磁性
材料が望ましい。また、前記本発明の原理(G1)を考
慮すれば、表面電流が生じても発熱しにくい材質が望ま
しく、従って導電率が高い材料が最適である。このよう
な金属材料としては、銅及びその合金類、ステンレス鋼
(但し、フェライト系のものを除く)等を例示すること
ができる。
【0029】このように絶縁部材及び遮蔽部材を検出記
憶子(R)に装着囲繞した後は、前記公知の手順で温度
履歴を測定する。即ち、前記装着囲繞された検出記憶子
(R)を物品に接触させ、その状態でマイクロ波により
加熱する操作に供し、のち加熱操作が終了した物品から
検出記憶子を取り出す。次いで、変換表示装置によって
検出記憶子(R)に記憶された温度履歴情報を読み取る
が、その前に前記絶縁部材及び遮蔽部材を取り外すこと
が必要である。従って、前記絶縁部材及び遮蔽部材は、
検出記憶子(R)に自在に取り付け、取り外しが可能な
形状とすることが望ましい。
【0030】本発明の第1の発明においては、前記遮蔽
部材の少なくとも一部を、網材又は多孔板、若しくはそ
の両者によって形成することを望ましい態様としてい
る。網材又は多孔板で形成された部分は、それ自体が前
記開口部を形成するものと見なすことができる。
【0031】前記遮蔽部材の少なくとも一部を網材によ
って形成する場合は、市販の金属製の網を使用すること
ができる。また、多孔板によって形成する場合は、市販
の金属製の多孔板を使用すればよい。しかし、いずれも
マイクロ波を遮断することができる規格のものを選択す
る。具体的には、網材であれば、網目の対角線の長さが
マイクロ波の波長の2分の1以下、安全を考慮すれば4
分の1以下のものであり、丸穴の多孔板であれば、穴の
直径がマイクロ波の波長の2分の1以下、好ましくは4
分の1以下のものである。また、角穴の多孔板であれ
ば、角穴の対角線の長さがマイクロ波の波長の2分の1
以下、好ましくは4分の1以下のものを選択する。マイ
クロ波を遮断できるものであれば、多孔板の穴の形状に
は特に制約はない。入手しやすさ、加工のしやすさ、及
び安全性を考慮すれば、丸穴の多孔板であって、穴の直
径が5ミリメ−トル以下のものが推奨される。
【0032】前述した本発明の原理(G1)を考慮する
と、遮蔽部材の熱容量は小さいほど望ましく、網材は本
来熱容量が小さいため好適であり、多孔板でも通常の金
属板よりは熱容量が小さいものが好適であり、多孔板は
可及的に薄いものを使用することが望ましい。
【0033】前記本発明の第2の発明の温度履歴測定装
置は、温度履歴を測定するための公知の装置、例えば市
販の記憶式温度計を転用して用いることができる。これ
ら記憶式温度計は検出記憶子(R)を備えている。
【0034】以下の記載において、本発明の装置で用い
る検出記憶子を、本発明を適用しない市販の記憶式温度
計の検出記憶子(R)とは区別して、「本発明の検出記
憶子」と記載する。
【0035】本発明の検出記憶子は、検出記憶子(R)
が金属製の遮蔽部材によって囲繞されているものであ
る。遮蔽部材は検出記憶子(R)を密閉するものではな
く、一部に開口部を備えており、遮蔽部材の外側と検出
記憶子(R)とが導通される。
【0036】遮蔽部材の材質となる金属としては、透磁
率が小さく、導電率が高い材料が望ましく、非鉄金属材
料が好適であり、このような材料として、銅及びその合
金類、ステンレス鋼等を例示することができる。
【0037】ステンレス鋼は耐蝕性に優れており、洗浄
が容易であるため、食品分野に好適である。但し、18
クロム鋼のようなフェライト系のステンレス鋼は、透磁
率が高く、マイクロ波環境に置いた場合に周囲の電磁気
的環境を乱す危険があるため不適当である。
【0038】このような遮蔽部材の態様の一例として、
測定記憶子(R)を完全に密閉する状態に金属板を成形
し、これに円形の小穴を一つ開けた態様を例示すること
ができる。この態様では、小穴からマイクロ波が侵入す
ることを可及的に防止することが望ましく、小穴の直径
はマイクロ波の波長の2分の1以下、好ましくは4分の
1以下であることが望ましい。
【0039】検出記憶子(R)と遮蔽部材との間隙の少
なくとも一部に絶縁部材が介在配置されており、前記遮
蔽部材と検出記憶子(R)とが互いに接触しない状態で
係着されて一体のものとなっている。
【0040】前記絶縁部材が介在配置される態様は、検
出記憶子(R)と前記遮蔽部材を接触させずに係着する
ものならばいかなる態様でもよい。また、前記絶縁部材
は、絶縁性を有していることが必須の条件であり、例え
ばゴム類、プラスチック類、シリコン樹脂等を例示する
ことができる。耐熱性を考慮すれば、前記ゴム類であれ
ば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、プラ
スチック類であれば、耐熱性プラスチックが望ましい。
特に本発明を食品分野に適用する場合には、前記絶縁部
材の材質としてふっ素樹脂、中でもポリテトラフルオロ
エチレン樹脂(PTFE)を用いることが望ましい。例
えば、テフロン(商標名)類は加工が簡便であるととも
に食品衛生の面で利点がある。
【0041】前記遮蔽部材及び絶縁部材は、一体で形成
されている必要はなく、二体、又はそれ以上に分割され
る組み合わせ体であってもよい。組み合わせ体であれ
ば、測定前後の検出記憶子(R)への装着、取り外しが
簡便になり、好ましい。
【0042】本発明の温度履歴測定装置においては、前
記遮蔽部材の少なくとも一部が金属製の網材(3、4、
11、12)及び/又は多孔板(10)で形成されてい
ることを望ましい態様としている。金属製の網材(3、
4、11、12)又は多孔板(10)で形成されるてい
る部分は、それ自体で前記第3の発明における開口部を
形成するものと見なすことができる。
【0043】前記網材(3、4、11、12)は、例え
ば、市販の金属製の網を使用することができ、前記多孔
板(10)は、市販の金属製の多孔板を使用すればよ
い。しかし、いずれもマイクロ波を遮断するものである
ことが必要であり、網目の対角線の長さがマイクロ波の
波長の2分の1以下、好ましくは4分の1以下の網材、
又は、穴の直径がマイクロ波の波長の2分の1以下、好
ましくは4分の1以下の丸穴の多孔板、その他、マイク
ロ波を遮断することができる各種多孔板を選択する。多
孔板が厚いと熱容量が大きくなるため、厚さが1.5ミ
リメ−トル以下であることが望ましく、好ましくは1ミ
リメ−トル以下のものを選択する。
【0044】前記遮蔽部材のうち網材又は多孔板で形成
する部分は、前記遮蔽部材(3、4、10〜12)の全
面でもよく、一部のみでもよい。また、網材及び多孔板
を併用してもよい。
【0045】又、本発明の温度履歴測定装置において
は、後述する実施例1に例示するように、検出記憶子
(R)が、前記絶縁部材(5、6)によってほぼ全面に
わたって被覆されていることを望ましい態様としてい
る。前記絶縁部材(5)の一部は欠切されて欠切部(5
a)を有しており、前記絶縁部材(5)の外側と検出記
憶子(R)のセンサ−部(1)とが導通される。遮蔽部
材(3)のうち、少なくともその欠切部(5a)を覆う
部分は、マイクロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で
形成される。欠切部(5a)の個数は複数個であっても
よい。
【0046】更に、本発明の温度履歴測定装置において
は、例えば、後述する実施例2に例示するように、少な
くとも検出記憶子(R)のセンサ−部(1)を囲繞する
部分が多孔板(10)で形成されていることを望ましい
態様としている。
【0047】遮蔽部材を形成する材料を、網材にする
か、多孔板にするか、又はその他の材料にするか、を任
意に選択し得る。しかし、前述したように、記憶式温度
計において温度履歴を測定する際には、検出記憶子
(R)のセンサ−部(1)を物品に貫入させることが多
く、遮蔽部材のうち、少なくともセンサ−部(1)を囲
繞する部分は、強度及び耐久性が求められる。この点
で、多孔板を用いることが望ましい。この場合は、遮蔽
部材(10〜12)の全面を多孔板としてもよいが、記
憶部(2)を囲繞する部分については多孔板以外の材料
で形成してもよい。
【0048】尚、本発明において、使用する検出記憶子
(R)の形状、構造については特に制約はなく、前述し
た図3に示したもののほか、例えば、センサ−部(1)
が長尺のもの、センサ−部(1)が記憶部(2)の円柱
の周壁から突き出ているもの、センサ−部(1)が柔軟
性のある材料で構成されているもの等、如何なる形状、
構造であっても本発明に適用できる。
【0049】
【作用】次に、前述の特徴を備えた本発明の作用につい
て説明する。
【0050】前述の特徴を備えた本発明の第1の発明の
温度履歴測定方法においては、遮蔽部材及び絶縁部材を
装着した検出記憶子(R)により、常法のとおりに温度
履歴を測定する操作を行う。
【0051】本発明の検出記憶子にマイクロ波が照射さ
れると、専ら遮蔽部材がマイクロ波を受ける。遮蔽部材
はマイクロ波を遮断する金属で形成されているため、マ
イクロ波は検出記憶子(R)には到達しない。従って、
検出記憶子(R)の温度が上昇することはなく、また、
検出記憶子(R)の記憶部(2)にマイクロ波が到達す
ることもないため、記憶部(2)にノイズが入ることが
ない。
【0052】遮蔽部材はマイクロ波によって表面電流が
発生して発熱するが、前記遮蔽部材と検出記憶子(R)
とは接触していないため、たとえ遮蔽部材が発熱しても
検出記憶子(R)への伝導伝熱は軽微ですむ。また、絶
縁部材はマイクロ波を受けても発熱することはない。従
って、検出記憶子(R)へのマイクロ波の影響は最小限
にとどめることができる。以上の作用は、前述した本発
明の(G2)の原理に基づいている。
【0053】また、遮蔽部材は一部に開口部を備えてい
るため、測定記憶子(R)が密閉されることはなく、温
度変化に対する応答性が高い状態で測定することができ
る。以上の作用は、前述した本発明の(G3)の原理に
基づいている。
【0054】本発明の第1の態様においては、遮蔽部材
がマイクロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で形成さ
れているが、網材及び多孔板は熱容量が小さいため発熱
量が少なく、マイクロ波を受けても温度が上昇する度合
いは極めて小さい。以上の作用は、前述した本発明の
(G1)の原理に基づいている。
【0055】また、網材又は多孔板を用いた部分を開口
部とみなせば、開放度が極めて大きいため、温度変化に
対する応答性が極めて高い状態で測定できる。
【0056】前記本発明の第2の発明の温度履歴測定装
置において、本発明の検出記憶子は、公知の測定方法と
同様に取り扱うことができる。即ち、本発明の検出記憶
子は、常法のとおりに物品に接触させ、その状態でマイ
クロ波による加熱操作に供する。
【0057】物品にマイクロ波が照射されると、本発明
の検出記憶子はマイクロ波の照射を受けるが、遮蔽部材
によりマイクロ波は検出記憶子(R)には到達しない。
従って、検出記憶子(R)の温度が上昇することはな
く、また、検出記憶子(R)の記憶部(2)にノイズが
入ることもない。また、前記遮蔽部材と検出記憶子
(R)とは接触していないため、たとえ遮蔽部材が発熱
しても検出記憶子(R)への伝導伝熱は軽微ですむ。ま
た、絶縁部材はマイクロ波を受けても発熱することはな
い。従って、検出記憶子(R)へのマイクロ波の影響は
ほぼ無くなる。
【0058】本発明の第2の態様においては、遮蔽部材
は、少なくとも一部が網材(3、4、11、12)及び
/又は多孔板(10)で形成されており、マイクロ波に
よって表面電流が発生して発熱しても、熱容量が小さい
ので、温度上昇は少ない。
【0059】本発明の第3の態様においては、検出記憶
子が検出記憶子(R)のほぼ全面が絶縁部材(5、6)
で被覆されているために、これが断熱材となり、遮蔽部
材(3、4、10〜12)が発熱した場合に、検出記憶
子(R)への影響を効果的に抑制することができる。絶
縁部材(5、6)は、検出記憶子(R)を完全に被覆す
るものではなく、前記絶縁部材(5)に欠切部(5a)
を備え、この部分を覆う遮蔽部材は網材(3)及び/又
は多孔板で形成されている。従って、応答性が鈍化する
ことはない。特に、検出対象が液体である場合には、当
該液体が出入りするため、応答性のよい測定を行うこと
ができる。
【0060】本発明の第4の態様においては、遮蔽部材
のうちセンサ−部(1)を囲繞する部分が多孔板(1
0)で形成されているため、強度及び耐久性に優れてお
り、例えば、センサ−部(1)を物品に貫入させて使用
する場合に好適である。
【0061】次に本発明の実施例を説明するが、本発明
は以下に記載する実施例に限定されるものではない。
【0062】
【実施例】
実施例1 図1は、本発明の装置の一実施例の構成を示す一部断面
図及び平面図である。図1において、(ア)は、本発明
に係る検出記憶子の断面図であり、(イ)は、これを
(ア)の矢印Xの方向から見た平面図である。
【0063】1)構成 実施例1においては、超小型記憶式温度計(メサメディ
カル社製、デ−タトレ−ス)に付属された検出記憶子R
(センサ−部直径3.2ミリメ−トル、ステンレス31
6製)を用い、遮蔽部材としてステンレス製の篩用網
(80メッシュ)を使用し、また、絶縁部材はテフロン
(商標名)を加工して試作した。
【0064】検出記憶子Rはセンサ−部1と記憶部2か
らなっているが、テフロン部材は、前記記憶部2を覆う
テフロン部材6、及び前記センサ−部1を覆うテフロン
部材5に分かれている。前記テフロン部材5は、前記記
憶部2に嵌合する嵌合部分5bと、前記センサ−部1を
覆う筒状部分5cからなり、筒状部分5cの末端には欠
切部5aを備えている。ステンレス網3及び4は、各々
テフロン部材5及び6の外面の形状に合せて編成されて
おり、各々テフロン部材5及び6に嵌合される。
【0065】次に、検出記憶子Rに前記テフロン部材及
びステンレス網を装着する手順を詳述することにより、
これらの結合関係を説明する。
【0066】まず、検出記憶子Rの記憶部2にテフロン
部材6を嵌合させ、検出記憶子Rのセンサ−部1にテフ
ロン部材5嵌合させる。テフロン部材5及び6は、各々
を検出記憶子Rに嵌合した際に、互いに嵌合する形状と
なっており、両者は専ら摩擦によって係着される。次い
で、ステンレス網3及び4を、各々テフロン部材5及び
6に嵌合する。前記ステンレス網3はスカ−ト部3aを
有しており、ステンレス網3がテフロン部材5に嵌合さ
れた際に、スカ−ト部3aはステンレス網4の外側には
みだす。ステンレス網3及び4は、各々スカ−ト部3a
における接触摩擦により係着される。
【0067】2)作用 前記の構成を備えた実施例1の検出記憶子にマイクロ波
が照射された場合は、専らステンレス網3及び4がマイ
クロ波を受ける。ステンレス網3及び4はマイクロ波を
遮断し、検出記憶子Rがマイクロ波を受けることを防止
する。また、ステンレス網3及び4はマイクロ波を受け
て発熱するが、熱容量が小さいため、温度はさほど上昇
しない。更に、テフロン部材5及び6が、検出記憶子R
のほぼ全面にわたって配置されているため、たとえステ
ンレス網3及び4の温度が上昇しても検出記憶子Rに伝
導する熱量は少ない。
【0068】また、検出記憶子Rのセンサ−部1の末端
1aは、欠切部5aを通じて外部と導通しており、特に
測定対象が液体又は半液体等の流動物であれば、測定対
象と末端1aとが直接接触するため、温度変化に対する
応答性が良好である。
【0069】3)実施例1特有の構成と効果 以上の構成より、実施例1の装置は以下に記載する特有
の構成を備えている。 (K1)遮蔽部材及び絶縁部材が二つ又はそれ以上の部
品からなり、各部品が着脱自在の構造となっているこ
と。
【0070】従って、実施例1は、以下に記載する特有
の効果を有している。 (S1)遮蔽部材及び絶縁部材を検出記憶子に簡便に装
着し、取り外すことができ、繰り返し測定する場合でも
取り扱いが容易である。 (S2)遮蔽部材及び絶縁部材は、全ての部品を分解洗
浄することができ、特に食品分野への適用に好適であ
る。
【0071】実施例2 図2は、本発明の装置の他の実施例の構成を示す一部断
面図及び平面図である。図2において、図(ア)は、従
来の検出記憶子の部分を外見図として、本発明に係る部
分を断面図として表した一部断面図であり、図(イ)
は、これを図(ア)中の矢印Yの方向から見た平面図で
ある。図2において、実施例1と共通する要素には、実
施例1と同一の符号を付している。
【0072】1)構成 実施例2においては、実施例1と同一の超小型記憶式温
度計を用いる。実施例1と同様に絶縁部材はテフロンを
加工して自作したものを使用するが、遮蔽部材として
は、ステンレス製の篩用網(線径0.141、80メッ
シュ)の他に銅製多孔板(厚さ1ミリメ−トル、丸穴、
穴径1.5ミリメ−トル、開口比0.36)も使用す
る。
【0073】遮蔽部材は、ステンレス網11及び12、
並びに多孔板柱10からなり、多孔板柱10は同一材質
のベ−ス10aと一体に溶接成形された構造になってい
る。
【0074】検出記憶子Rはセンサ−部1と記憶部2か
らなるが、テフロン部材は、前記記憶部2に嵌合するテ
フロン部材9、前記記憶部2及びベ−ス10aの両者に
嵌合するテフロン部材8、並びにベ−ス10aに嵌合す
るテフロン部材7の三つに分かれている。ステンレス網
11及び12の形状は、各々テフロン部材7及び9の外
面の形状に合せて編成されている。尚、ステンレス網1
1及びテフロン部材7は、各々多孔板柱10を貫通させ
る穴11a及び7aを備えており、テフロン部材8は、
センサ−部1を貫通させる穴8aを備えている。
【0075】次に、検出記憶子Rに、前記テフロン部
材、多孔板柱、及びステンレス網を装着する手順を詳述
することにより、これらの結合関係を説明する。
【0076】まず、前記テフロン部材9を、検出記憶子
Rの記憶部2に嵌合する。次いで、テフロン部材8を、
検出記憶子Rのセンサ−部1を穴8aに貫通させた上
で、記憶部2に嵌合させる。前記ベ−ス10aを、検出
記憶子Rのセンサ−部1を多孔板柱10に挿入した上
で、前記テフロン部材9に嵌合させる。前記テフロン部
材7を、多孔板柱10を穴7aに貫通させた上で、ベ−
ス10aに嵌合させる。テフロン部材7及び9はねじ締
結体であって、相互にねじ部13によってねじ込み接続
され、各テフロン部材7〜9及びベ−ス10aを一体に
結合して係着する。
【0077】テフロン部材8によってベ−ス10aの位
置が固定され、センサ−部1が強制的に多孔板柱10の
中心に位置されることになり、センサ−部1と多孔板柱
10とが接触することはない。
【0078】次いで、ステンレス網12を前記テフロン
部材9に嵌合し、更に、ステンレス網11を、前記多孔
板柱10を穴11aに貫通させた上で、前記テフロン部
材7に嵌合する。前記ステンレス網11はスカ−ト部1
1bを有しており、ステンレス網11がテフロン部材7
に嵌合された際に、スカ−ト部11bはステンレス網1
2の外側にはみだす。ステンレス網11及び12は、各
々スカ−ト部11bの接触摩擦により係着される。
【0079】2)作用 前記の構成を備えた実施例2の検出記憶子にマイクロ波
が照射された場合は、専らステンレス網11及び12、
並びに多孔板柱10がマイクロ波を受ける。ステンレス
網11及び12、並びに多孔板柱10はマイクロ波を遮
断し、検出記憶子Rがマイクロ波を受けることを防止す
る。また、ステンレス網11及び12がマイクロ波を受
けて発熱しても、熱容量が小さいため、温度はさほど上
昇しない。多孔板柱10が発熱しても、多孔板柱10と
検出記憶子Rのセンサ−部1との間隙には何も介在する
ものがなく、センサ−部1への伝導伝熱が生じないた
め、影響は少ない。
【0080】実施例2の構成においては、センサ−部1
の露出度合いが極めて大きく、特に測定対象が液体又は
半液体などの流動物であれば、測定対象は多孔板柱10
の穴を通じて自由に出入りし、センサ−部1と直接接触
するため、温度変化に対する応答性が極めて良好であ
る。
【0081】3)実施例2の特有の構成と効果 以上の構成により、実施例2の装置は以下に記載する特
有の構成を備えている。 (K2)遮蔽部材及び絶縁部材が二つ又はそれ以上の部
品からなり、各部品が着脱自在の構造となっているこ
と。 (K3)遮蔽部材のうちセンサ−部1を囲繞する部分
は、センサ−部1との間隙に絶縁部材を介在配置するこ
となく係着されていること。
【0082】従って、実施例2は、以下に記載する特有
の効果を有している。 (S3)遮蔽部材及び絶縁部材を検出記憶子に簡便に装
着し、取り外すことができ、繰り返し測定する場合でも
取り扱いが容易である。 (S4)遮蔽部材及び絶縁部材は、全ての部品を分解、
洗浄することができ、特に食品への適用に好適である。 (S5)センサ−部1の露出度合いが極めて大きく、温
度変化に対する応答性が良好である。
【0083】実施例3 次に前述した本発明の温度履歴測定方法の実施例を比較
例とともに説明するが、この実施例は、本発明の効果を
証明するための試験例も兼ねている。 (1)装置 1)マイクロ波加熱装置 図4は、実施例3に使用する装置の概略を示す模式図で
ある。図4において、ステンレス製密閉室21に導波管
22が配設されており、導波管22の終端部にはマイク
ロ波発信機23(新日本無線株式会社製。出力1.2k
W型)が配設されている。導波管22には、マイクロ波
発信機23からみて順番に、アイソレ−タ−24、パワ
−モニタ−25、チュ−ナ−26が設置されている。ア
イソレ−タ−24は一方向のみにマイクロ波を通過させ
る機能があり、ステンレス製密閉室21から反響するマ
イクロ波を遮蔽してマイクロ波発信機23への影響を防
止する。パワ−モニタ−25は、マイクロ波のパワ−量
を検出する装置であり、チュ−ナ−26は、反響するマ
イクロ波の干渉度合いを調節する装置である。
【0084】2)温度履歴測定装置及び測定試料 温度履歴測定装置として、超小型記憶式温度計(メサメ
ディカル社製。デ−タトレ−ス)を使用し、実施例1の
本発明の検出記憶子20を使用した。
【0085】測定試料Sとして、サラダオイル1.5リ
ットルをガラスビ−カ−27に入れ、このガラスビ−カ
−27をステンレス製密閉室21内に静置した。
【0086】3)光ファイバ−式温度計 測定精度を評価するために、光ファイバ−式温度計(安
立計器株式会社製、アモス、FX−8000)を前記マ
イクロ波加熱装置に設置した。図4において、光ファイ
バ−式温度計の本体装置28に結線された光ファイバ−
29を、ステンレス製密閉室21に挿入し、先端のセン
サ−30を前記測定試料Sに浸漬した。
【0087】(2)試験方法 1)検出記憶子の調整とセット 前記実施例1の検出記憶子20に測定条件を入力した
後、前記ガラスビ−カ−27内の測定試料Sに検出記憶
子20を沈め、温度履歴測定を開始した。
【0088】2)マイクロ波加熱 マイクロ波発信機23を稼働し、パワ−モニタ−25及
びチュ−ナ−26によってマイクロ波の反響状態を最適
値に調節した。
【0089】3)光ファイバ−式温度計による測定 光ファイバ−式温度計の本体装置28に表示される温度
の数値を一定時間間隔で記録した。
【0090】4)温度履歴測定 マイクロ波発信機23を停止し、検出記憶子20を試料
Sから取り出し、遮蔽部材及び絶縁部材を除去し、常法
により変換表示装置(図示せず)によって温度履歴情報
を読み出した。
【0091】5)比較例の測定 本発明を適用しない状態、即ち遮蔽部材及び絶縁部材を
装着しない通常状態の検出記憶子を用いて、以上の1)
〜4)の手順を反復した。
【0092】(3)試験結果 この試験の結果は、図5及び図6に示すとおりである。
図5及び図6は、マイクロ波の照射を開始してからの経
過時間と温度測定結果との関係を示す図である。図中の
横軸及び縦軸は、各々経過時間及び試料の温度測定結果
を示し、図中の○は光ファイバ−式温度計による測定
値、図中の□は記憶式温度計による測定値である。図5
は、比較例の方法(通常の記憶式温度計を適用した場
合)の結果であり、図6は、本発明の測定方法による結
果である。
【0093】図5においては、測定値が光ファイバ−式
温度計の測定値よりも高値を示し、測定結果の信頼性が
乏しいことが明瞭である。これに対して図6において
は、測定値が光ファイバ−式温度計の測定値と完全に一
致し、信頼性が極めて高いことが確認された。以上の結
果から、本発明の測定方法によれば、極めて正確、かつ
高精度に温度履歴を測定できることが判明した。
【0094】
【発明の効果】本発明によって奏せられる効果は、次の
とおりである。 (E1)本発明の方法により、マイクロ波により加熱さ
れる物品の温度履歴を、高い精度で測定することができ
る。 (E2)本発明の装置により、マイクロ波により加熱さ
れる物品の温度履歴を、高い精度で測定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一実施例の構成を示す一部断面
図及び平面図である。
【図2】本発明の装置の他の実施例の構成を示す一部断
面図及び平面図である。
【図3】記憶式温度計の検出記憶子の一例の概略構造を
示す正面図及び平面図である。
【図4】本発明の方法の一実施例に使用する装置の概略
を示す模式図である。
【図5】比較例において、マイクロ波の照射を開始して
からの経過時間と温度測定結果との関係を示す図であ
る。
【図6】本発明の実施例において、マイクロ波の照射を
開始してからの経過時間と温度測定結果との関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 センサ−部 2 記憶部 3 ステンレス網 4 ステンレス網 5 テフロン部材 6 テフロン部材 7 テフロン部材 8 テフロン部材 9 テフロン部材 10 多孔板柱 11 ステンレス網 12 ステンレス網 13 ねじ部 20 本発明(実施例1)の検出記憶子 21 ステンレス製密閉室 22 導波管 23 マイクロ波発信機 24 アイソレ−タ− 25 パワ−モニタ− 26 チュ−ナ− 27 ガラスビ−カ− 28 光ファイバ−温度計本体装置 29 光ファイバ− 30 センサ−
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾辻 淳一 東京都東大和市立野4丁目515 森永乳業 株式会社装置開発研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の検出記憶子に物品の温度を検出さ
    せて温度履歴情報として記憶させ、該検出記憶子とは別
    体に構成される変換表示装置により該温度履歴情報を読
    み出すマイクロ波により加熱される物品の温度履歴測定
    方法において、測定前の検出記憶子に所定の絶縁部材を
    装着するとともに開口部を備える金属製の遮蔽部材で検
    出記憶子を非接触状態で囲繞し、温度履歴情報を読み出
    す前に該絶縁部材及び遮蔽部材を取り外すことを特徴と
    するマイクロ波により加熱される物品の温度履歴測定方
    法。
  2. 【請求項2】 該遮蔽部材が、少なくとも一部をマイク
    ロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で形成されている
    請求項1に記載のマイクロ波により加熱される物品の温
    度履歴測定方法。
  3. 【請求項3】 物品の温度を検出するセンサ−部を備え
    るとともに該センサ−部が検出した温度を温度履歴情報
    として記憶する検出記憶子と、該検出記憶子とは別体に
    構成され該温度履歴情報を読み出す変換表示装置とを備
    えるマイクロ波により加熱される物品の温度履歴測定装
    置において、下記の要件を備えたことを特徴とするマイ
    クロ波により加熱される物品の温度履歴測定装置、(Y
    1)検出記憶子が、開口部を備える金属製の遮蔽部材に
    よって囲繞されていること、(Y2)検出記憶子と該遮
    蔽部材との間隙の少なくとも一部に絶縁部材が介在配置
    され、相互の接触を防止していること。
  4. 【請求項4】 該遮蔽部材が下記の要件を備えている請
    求項3に記載のマイクロ波により加熱される物品の温度
    履歴測定装置、(Y3)該遮蔽部材の少なくとも一部
    が、マイクロ波を遮断する網材及び/又は多孔板で形成
    されていること。
  5. 【請求項5】 検出記憶子が下記の要件を備えている請
    求項4に記載のマイクロ波により加熱される物品の温度
    履歴測定装置、(Y4)検出記憶子が絶縁部材により全
    面被覆されるとともに検出記憶子のセンサ−部と外側と
    を導通する欠切部が該絶縁部材に備えられており、遮蔽
    部材のうち少なくとも該欠切部を覆う部分が、マイクロ
    波を遮断する網材及び/又は多孔板で形成されているこ
    と。
  6. 【請求項6】 遮蔽部材が下記の要件を備えている請求
    項4に記載のマイクロ波により加熱される物品の温度履
    歴測定装置、(Y5)遮蔽部材のうち、少なくとも検出
    記憶子のセンサ−部を囲繞する部分が、マイクロ波を遮
    断する多孔板で形成されていること。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3115756A1 (de) * 2015-07-08 2017-01-11 BSH Hausgeräte GmbH Kochsensor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3115756A1 (de) * 2015-07-08 2017-01-11 BSH Hausgeräte GmbH Kochsensor

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