JPH0724913B2 - 斜板式圧縮機用シューの冷間鍛造方法 - Google Patents

斜板式圧縮機用シューの冷間鍛造方法

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JPH0724913B2
JPH0724913B2 JP62322509A JP32250987A JPH0724913B2 JP H0724913 B2 JPH0724913 B2 JP H0724913B2 JP 62322509 A JP62322509 A JP 62322509A JP 32250987 A JP32250987 A JP 32250987A JP H0724913 B2 JPH0724913 B2 JP H0724913B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は斜板式圧縮機用シューの冷間鍛造方法に関す
る。
(従来技術と問題点) 斜板式圧縮機は一般に第5図に示すように、シリンダブ
ロック1内に配置されるシュー4、及び斜板3をまたい
でシュー4によって係留されるピストン5とからなる。
回転軸とともに回転する斜板の回転運動はシューによっ
てピストンの往復運動に変換される。このような構造に
よって冷凍回路を循環してきた冷媒ガス等の被圧縮媒体
は、ピストン5にてシリンダボア6内で高圧に圧縮され
再び冷凍サイクル回路へと送り出される。
このような斜板式圧縮機におけるシューを拡大して第6
図に示す。図中4aはピストンと摺接する半球形状の部分
であり、4bは斜板との摺接面である。このような半球部
を有するシューの製造方法としては、冷間鍛造によって
製造することが公知であり、特開昭56−136249号公報、
特開昭56−139248号公報に示されている。前者では、第
7図にその製造工程順を示すように、円柱状鍛造用素材
4′でシューの半球部とすべき側の端面4cの周囲に所定
寸法の円錐部4dを設け、次に所定半球部形状の内壁面10
を有する上型9と所定形状の下型11とを用いて鍛造する
方法である。又後者では第8図にその鍛造工程順を示す
ように、円柱状鍛造用素材4′でシューの半球部とすべ
き側の端面4cに穴12を形成し、しかる後所定半球部形状
の内壁面10を有する上型9と所定形状の下型11とを用い
てその穴12の開口側4cと円柱状鍛造用素材4′の外周部
分を縮径させて半球部4aを形成する鍛造方法である。
前者の方法では密閉鍛造となるため大きな鍛造荷重を必
要とし、金型寿命が短いため実用的な方法ではない。
後者の方法では端面に形成した穴12により完全な密閉鍛
造とはならず、鍛造荷重も前者の方法に比べれば低くて
済む利点がある。
しかし、前者、後者の方法とも半球部の形成は鍛造用素
材の上端部が縮径される方向で変形が進行するため鍛造
用素材とダイの半球部内壁との間ですべりを発生する。
このため、鍛造面では次のような欠点を有している。
ダイと鍛造用素材との間で焼付が発生しやすい。
大きい鍛造荷重が必要である。
ダイの寿命が上記、の理由により短い。
鍛造用素材とダイ間の焼付を防ぎ、鍛造荷重低下のため
には鍛造用素材に潤滑処理を施すことが必要となる。し
かし潤滑処理は新たに次のような問題を内在する。
潤滑皮膜の存在によりダイ内壁形状に鍛造用素材が倣
いにくく、寸法精度がばらつく。
ダイ内壁面に次第に蓄積されて行くため、金型の寸法
精度や面粗さが悪くなる。又ダイの一定時間毎の清掃が
必要となる。
潤滑処理のばらつきにより寸法精度がばらつく。
後工程での熱処理により潤滑皮膜と基地との冶金的反
応により表面が荒れる。これを防ぐために鍛造後潤滑皮
膜を除去する工程が必要となる。
このような方法で得られるシューは半球部の寸法精度や
表面粗さが悪いため圧縮機に組み込まれて使用される場
合次の不具合を引き起こし易い。
半球部の寸法精度が悪いと、摺接するピストンポケッ
トとの当たりが悪く局部的に面圧が高くなりシューの動
きが円滑でなくなり圧縮機の動力ロスとなる。又ピスト
ンポケットを摩耗させ、シューと斜板面のクリアランス
が増加し圧縮機の騒音が増加する。
半球部の表面粗さが悪いと、摺接するアルミニウム合
金製ピストンのポケット部を摩耗させ圧縮機の騒音が増
加する。
このような不具合を軽減する目的で、半球部に化成処理
皮膜を施し、その上に固体潤滑剤を分散含有する樹脂径
コーティングを施して使用している例(例えば特開昭57
−146070号公報)が多いが、完全な対策とはなっておら
ず、かえって工程増となりコストも高いものとなってい
る。このようなことから、シューの半球部を高精度で表
面粗さも良好となるような製造方法が求められていた。
(発明の目的) 本発明は上記した従来の鍛造方法によるシューの問題点
を克服する目的でなされたものである。更に詳細には、
冷間鍛造で製造するにも拘らず、優れた寸法精度と表面
粗さを具備するシューを1回の鍛造で得る斜板式圧縮機
用シューの冷間鍛造方法を提供することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は以下の構成からなる。
シューの曲率半径以下の半径を有する球形の鍛造用素材
を準備する第1工程、シューの球面部に対応した略半球
状の凹部を有し、その底中央部にノックアウトパンチを
備えた下側ダイの該凹部に前記鍛造用素材を装填する第
2工程、前記下側ダイに対向して設けられていてシュー
の斜板との摺接面側を形成する上側ダイにより前記凹部
に装填された鍛造用素材を加圧圧縮し、塑性変形させて
成形体とする第3工程、および前記ノックアウトパンチ
により前記成形体を押し出す第4工程からなる。そして
下側ダイの凹部の底中央部のノックアウトパンチの先端
部を該凹部の底面より後退させた状態で前記鍛造用素材
が充填され、該鍛造用素材の加圧圧縮の過程で該ノック
アウトパンチの先端が該凹部の底面より僅かに突出して
ゆくようにして鍛造されることが好ましい。又前記上側
ダイ及び前記下側ダイの端面に近接する部分の型面が加
圧圧縮の最終過程で鍛造用素材に接触せずに、その間に
僅かな間隙を残した状態で鍛造処理が終了するようにさ
れていることが好ましい。
更に詳細に以下に説明する。
鍛造工程の第1では、鍛造用素材をダイの半球部の径よ
りも小さい径のボールとする。ボールは鍛造性を良好と
する目的から焼鈍されていることが必要である。
鍛造工程の第2では、下記の特徴を有するダイセットを
用いる。
ダイセットの構成は、中央部にノックアウトパンチ用の
穴を設けた下側ダイが弾性的に浮上されており、且つノ
ックアウトパンチ上面が下側ダイ底面よりも低位に位置
し、下側ダイ上部においてはシュー球部の中心点を通り
且つ下側ダイ上面と平行な位置より上側のダイ内壁に逃
げ部を設けている。上側ダイにはシューの斜板と摺接す
る面及び斜板と摺接する面を起点とする傾斜面を設け、
更に最終圧縮工程においても鍛造シューと上側ダイが接
触しないように逃げ部を設けている。
上記のようなダイセットの構成で下記のような鍛造工程
になる。中央部にノックアウトパンチ用の穴を設けたダ
イを弾性的に浮上させておき、且つノックアウトパンチ
上面が下側ダイ下部よりも低位に位置させた状態の下側
ダイ内に鍛造素材のボールを移送し、ボールを求心的に
下側ダイ底面中央に位置させる。
鍛造工程の第3では、弾性的に浮上されている下側ダイ
が上側ダイの下降により鍛造用素材を介して所定位置ま
で下降しつつ、ノックアウトパンチと上側ダイとの間に
ボールを挟む。
ボールを、ダイ内にあってはノックアウトパンチから順
次下側ダイの半球状内壁の下部へ次ぎに上部に向けて押
し付けつつ変形を進行させ、且つダイ外にあっては、ボ
ールを上側ダイの中央部から径方向に広がる方向に押し
付けつつ変形を進行させる。
鍛造シューと下側ダイ間にあっては、シュー球部の中心
点を通り且つ下側ダイ上面と平行な位置より上部のダイ
内壁に設けた逃げ部に間隙を残し、更に鍛造シューと上
側ダイ間にあっては、上側ダイのシューが斜板と摺接す
る平面を起点とする傾斜面と上側ダイ端面の間に設けら
れた逃げ部に間隙を残した状態で鍛造を終了させる。
鍛造工程の第4では、ノックアウトパンチにより前記鍛
造シューを押し出す。
尚、シューの形状として、斜板との摺動面の中央部に有
底の凹部を設けると中央部の接触面圧が緩和される。油
溜りの目的とするには凹部の体積が大きいことが必要で
ある。いずれの目的の場合でも凹部の直径の2乗が斜板
と摺接する面の外径の2乗の10〜40%が適当な範囲であ
る。又この凹部は鍛造後機械加工により設けても良く、
更にドリルによる貫通穴としても良い。
(作用) 鍛造工程の第1では、鍛造用素材をダイの半球部の径よ
りも小さい径のボールとする理由は、鍛造時にボール状
鍛造用素材が下側ダイ底面より順次半球状内壁に押し付
けられて変形が進行するため、鍛造用素材と下側ダイの
半球部内壁との間ですべりを殆ど生じることなく鍛造で
きるため、鍛造用素材に潤滑皮膜を施すことが必要とな
り、従来の鍛造方法で問題となっていた潤滑皮膜による
寸法精度や表面粗さへの悪影響がなくなる。即ち、潤滑
皮膜を鍛造用素材に施さずにすむため、高い寸法精度と
良好な表面粗さを有するシューが容易に得られる。又従
来の方法のようにすべりをともなった縮径的な鍛造方法
ではないため、鍛造に要する荷重も小さくて済むためプ
レスも小さいもので済み経済的である。さらに低い鍛造
荷重とすべりの無い変形のためダイの寿命も長くなる。
この他、ダイへの潤滑剤の付着がなくなるため製造時の
ダイの管理が容易である。
鍛造用素材としてのボールは、ボールベアリング用のボ
ールの製造工程によって外径寸法が均一で表面粗さの極
めて良い状態のものが容易に入手できる。ボールベアリ
ングの場合は焼き入れ焼き戻しをした後、更に仕上げ加
工が施されるが、本発明の使用目的では焼き入れ焼き戻
し前の状態のもので良く、又焼き入れ焼き戻しをした後
更に仕上げ加工が施されたボールを焼鈍して用いても良
い。良好なシューの表面粗さとするためには、鍛造用素
材としてのボールの表面粗さはRmax0.4μm程度のもの
が良く、最も好ましいのはRmax0.15μm以下である。
鍛造工程の第2では、中央部にノックアウトパンチ用の
穴を設けた下側ダイが弾性的に浮上させておき、且つノ
ックアウトパンチ上面が下側ダイ下部よりも低位に位置
させておくことで、鍛造用素材のボールを下側ダイ内に
移送した時、ボールは求心的に下側ダイ底面中央に位置
させられる。この為に変形が均一的に行われることが可
能となる。
弾性的に浮上されていた下側ダイが上側ダイの下降によ
り鍛造用素材を介して所定位置まで下降させられノック
アウトパンチと及び上側ダイとにボールが挟さまれた状
態を作りだす。このためボールの位置が下側ダイの中央
部から外れることはない。
ボール状鍛造用素材は下側ダイ内にあっては、ボール径
が下側ダイの半球部の径より小さいことにより、ボール
はノックアウトパンチから順次下側ダイの半球状内壁の
下部から上部に向けて押し付けられて変形が進行する。
このため、下側ダイの半球部内壁とボール間ですべりを
発生することなく変形が進行できるので、ボールに潤滑
処理を施す必要がない。又、ボール状鍛造用素材はダイ
外にあっては、上側ダイの中央部から径方向に広がる形
ですべりを殆ど生じることなく押し付けられる形で変形
が進行するのでこの面においても潤滑処理は不要であ
る。
鍛造用素材が、下側ダイ上部においてはシュー球部の中
心点を通り且つダイ上面と平行な位置より上側のダイ内
壁に設けた逃げ部に間隙を有し、更に上側ダイのシュー
が斜板と摺接する平面を起点とする傾斜面と上側ダイ端
面の間に設けられた逃げ部とに間隙を有した状態で鍛造
が終了する最終圧縮工程とするため、密閉鍛造状態とは
ならず低い鍛造荷重で所定形状のシューを容易に成形す
ることが可能となる。また、逃げ部を設けることで下側
ダイ、上側ダイとも端部にRを付与でき、それぞれの寿
命を長くすることができる。
鍛造工程の第4では、圧縮を完了したシューをノックア
ウトパンチを用いてダイより離す工程のため、ボールは
容易にダイから離れ圧縮空気等でダイセット外に高速で
搬送でき生産性の高いものとすることができる。
以上の鍛造方法及びそれにより得られたシューは従来の
鍛造による半球シューの製造における問題点、及び使用
時に生じる半球部の問題点を解消することができる。
尚、このような工程で製造されたシューは、焼き入れ焼
き戻しの処理後、斜板との摺動面を仕上げ加工する。更
にシューの斜板との摺動面にイオンプレーティング法に
よってクロムやチタンの窒化物もしくは夫々の窒化物を
含む2〜10μmの厚さの硬質皮膜を設けたり、ニッケル
ベースの基地中にセラミックス粒子が分散した2〜10μ
mの厚さのめっき皮膜を設けることで優れた耐焼付性や
耐久性を持ったシューとすることができる。又これらの
処理を先行した後、ガス窒化処理や焼き入れ焼き戻し処
理を施すことで夫々の皮膜の密着性を高めたシューとす
ることができる。
シューの材質は鉄系の材料に限定されることはなく、摺
動相手の斜板が鉄系の材料である場合には、アルミニウ
ム合金としなくともシューの半球部に前述のような薄い
めっき層やイオンプレーティング皮膜を設けることが最
適である。
(実施例) 以下に本発明の実施例について説明する。
第1図は本発明の鍛造工程で使用するダイセット構造を
示すものである。下側ダイ13は弾性体(ウレタンゴム)
14によって所定位置に浮上した状態であり、下側ダイ13
の中央部にはシューの半球部形状となる内壁面15が設け
られており、その下部の中央にはノックアウトパンチ16
の先端17が内壁面の底面18より下になるよう位置してい
る。又下側ダイ13はガイドピン19によって位置決めされ
ている。上側ダイ20はガイドポスト21及びダイホルダ2
1′によって下側ダイ13と同軸上になるようダイプレー
ト22に固定されている。
第2図(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は鍛造
工程の順を(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の
順に図示したものである。図中23は下側ダイの半球部の
径よりも小さい径のボール状の鍛造素材である。ボール
としては高炭素軸受鋼(SUJ−2)材の直径14.2875mm、
表面粗さがRmax0.05〜0.15μmのものを用いた。
第2図(a)について先ず説明する。下側ダイ13には鍛
造後シューを熱処理することによる変形や金型の弾性変
形分を見込んで所定の半球部分の寸法となるようにした
半球形状内壁面15があり、その上の部分には最終圧縮工
程において密閉鍛造となることを防ぐ目的で逃げ部24が
設けられている。又下側ダイ13の底中央部にはノックア
ウトパンチ16用の穴部25が設けられその中にノックアウ
トパンチ16の先端17が半球形状内壁面15の下部面18より
も低位となるよう下側ダイ13を弾性体14で浮上させた状
態となっている。その状態において下側ダイ13内に、鍛
造素材のボール23を移送する。ボール23は求心作用によ
り必然的に下側ダイ下部中央に位置決めされる。第2図
(b)は圧縮工程の初期の状態を示すものであり、図示
しない鍛造プレスの上ラムの下降により上側ダイ20が下
降するが、その際弾性的に浮上されていた下側ダイ13は
上側ダイ20がボール23を押すことにより所定位置まで下
降し、ノックアウトパンチ16の先端17及び下側ダイと上
側ダイ20との間で強くボール23を挟んだ状態となる。第
2図(c)はボール23が下側ダイ13内にあってはノック
アウトパンチ先端17から順次下側ダイ13の半球状内壁15
の下部面18から上部に向けて順次押し付けられる状態で
変形を進行させ、且つ下側ダイ13外にあっては、ボール
23を上側ダイ20の斜板との摺接面26の中央部から径方向
に広がる方向に押し付けつつ変形を進行させる。
第2図(d)は最終圧縮工程での状態を示し、第2図
(d′)はA部の拡大図で、ボールから鍛造されたシュ
ー29と下側ダイ13間にあっては、シュー球部の中心点30
を通り且つ下側ダイ上面31と平行な位置より上部の下側
ダイ内壁に設けた逃げ部24に間隙32を残し、更に鍛造シ
ュー29と上側ダイ20間にあっては、シューが斜板と摺接
する平面26を起点とする傾斜面27と上側ダイ端面33の間
に設けられた逃げ部28に間隙34を残した状態で鍛造を終
了させる。第3図(a)に示すように、ノックアウトパ
ンチによるシューの凹部35はピストンポケットとの互い
の摩耗を緩和するためのものである。
第2図(e)は最終圧縮工程完了に鍛造されたシュー29
をノックアウトする状態を示すもので、ノックアウトパ
ンチ16を用いてノックアウトピン16′の上昇によりシュ
ー29は下側ダイ13より抜き離され圧縮空気によりダイセ
ットの外に搬送する。
試料−A 前記のダイセットを用いてボールを2000個連続して鍛造
し、その後焼き入れ焼き戻し処理を施し振動バレル研磨
機で仕上げ用の平滑な砥粒とともに5分間処理し、更に
斜板との摺動面を砥石ラップした後、斜板との摺動面に
ニッケル−燐の基地中に窒化珪素を分散させためっき層
を設けた後、斜板との摺動面の表面をバフ研磨で仕上げ
た分散めっき層の厚さは7μmであった。このようにし
て得たシューを第3図(a)及びB部の拡大図である第
3図(b)に示す。図中29′はSUJ−2からなる鍛造シ
ュー本体であり、頂部の凹部35はノックアウトパンチの
先端17によって型出しされ、それにつながる部分36は鍛
造に用いた下側ダイ13の半球状内壁15の下部面18によっ
て型出しされ、ピストンポケットと摺接する半球部37の
半径rは図中φD(10.6mm)とφd(6.2mm)との間で
球半径7.9300〜7.9325mmの範囲であった。これは設計で
狙った通りの寸法であった。又この半球部分37及びダイ
に設けた逃げ部24の部分で下側ダイと接することなく形
成された自由局面38更に36部との表面粗さはRmax0.3μ
m以下であった。また図中41は斜板との摺接面であり、
めっき層41′は斜板との摺動面41の他傾斜部40にも設け
られておりその皮膜の硬度はHmV800〜900であった。図
中39の部分は上側ダイ20に設けた逃げ部28の部分で上側
ダイ20に接触することなく形成された自由局面である。
試料−B 同じボールを同様に2000個鍛造して得たシューの斜板と
の摺動面を砥石ラップ後バフ研磨し、フロン液中で超音
波洗浄しアークイオンプレーティング装置を用いて斜板
との摺動面にクロムとCr2Nとからなる厚さ4μmの硬質
皮膜を設けたシューを焼き入れ焼き戻しの処理を行い振
動バレル研磨機で仕上げ用の平滑な砥粒とともに5分間
処理し、更に摺動面をバフ研磨したシューを製造した。
その完成したシューの断面の状態を第4図及びC部の拡
大図である第4図(b)に示した。このシューは斜板と
の摺接面42の直径は12mmであり、その中央部に開口部の
直径が6mm、深さ0.2mmの凹部43を設けてある。この凹部
43は上側ダイの中央部を凸形状とすることにより型出し
されたものである。図中42′はイオンプレーティング皮
膜を示し、焼き入れ前の加熱保持にSUJ−2の基地と拡
散結合している。その皮膜の硬度はHmV1100〜1200であ
った。図中φD(10.6mm)とφd(6.2mm)との間で球
半径7.9300〜7.9325mmの範囲であった。又この半球部分
37及びダイに設けた逃げ部24の部分でダイと接すること
なく形成された自由局面38更に36部とも表面粗さはRmax
0.2μm以下であった。
比較のため同一のダイセットを用いて、ボンデ処理を施
したボールを鍛造した結果下側ダイに潤滑材が付着し、
シューの半球部表面は目視で確認されるほどの凹凸を生
じた。又、ボールを二硫化モリブデンの粉の中で振動さ
せてボール表面に極めて薄い(1μm以下)塗布層を設
けこれを鍛造した結果初期は極めて良好な寸法精度と面
粗さを持ったシューが得られたが、連続して多量に鍛造
した後ではやはりダイに潤滑材が付着しシューの面が荒
れる傾向にあった。しかし、ボンデ処理したものに比べ
れば非常に良好であった。また鍛造後熱処理した後の半
球部表面は、無潤滑で製造したものに比べて面が荒れる
傾向が強い。これは、二硫化モリブデンと基地との間の
化学的な反応によるものであり、鍛造後バレル工程を通
して熱処理することでかなり軽減される。
特開昭56−139248号公報と特開昭56−136249号公報とを
参考として、本発明で使用したボールと同一体積とした
種々の円柱状鍛造用素材について比較試験を行った結
果、鍛造素材を無潤滑として鍛造するとダイとの間です
べるため焼付を発生した。又円柱状鍛造素材を二硫化モ
ルブデンの粉の中で振動させて表面に極めて薄い(1μ
m以下)塗布層を設けこれを鍛造した結果無潤滑のもの
よりは良好であったがやはり焼付を生じた。
上記の試料−A、試料−Bのシューをボア径が36mmで6
気筒の斜板式圧縮機に組込み、低速高負荷耐久試験、高
速高負荷耐久試験、過少冷媒での耐久試験、液圧縮状態
の繰返し起動試験等を繰り返したが、いずれの場合でも
シューの半球部とアルミニウム合金製ピストンのポケッ
ト部との間での摩耗は問題の無いレベルであった。又、
過共晶Siのアルミニウム合金材の斜板とシューの摺動部
との間においても焼付や摩耗を生じることはなかった。
(発明の効果) 以上のように本発明によれば、安価に入手若しくは製造
できるボールを鍛造用素材とし、下側ダイや上側ダイと
前記素材ボールがすべることなく変形を進行させること
ができるような構成としたために、ボールに潤滑処理を
必要とせず、従って高い寸法精度と優れた表面粗さを持
ったシューを低い鍛造荷重で冷間で製造することがで
き、下側ダイの寿命も長くできるという製造上の効果が
得られる。又本発明で得られるシューは圧縮機に組み込
み使用する場合、半球部の寸法精度が高く表面粗さも良
好な為、相手ピストンのポケット部との当たりが良好な
ものとなるため、動力ロスが少なく、またピストンポケ
ットを摩耗させることもない。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図(a)、(b)は本発明の一実施例を示
す図であり、第5図〜第8図は従来例を示す図である。 第1図はダイセットを示す断面図、第2図(a)、第2
図(b)、第2図(c)、第2図(d)、第2図(e)
は鍛造工程順を示す要部断面図であり、第2図(f)は
第2図(d)のA部の拡大断面図である。第3図(a)
はめっき層を設けたシューを示す断面図であり、第3図
(b)は第3図(a)のB部の拡大断面図である。第4
図(a)はイオンプレーティング皮膜層を設けたシュー
を示す断面図であり、第4図(b)は第4図(a)のC
部の拡大断面図である。第5図は斜板式圧縮機の断面
図、第6図は従来例のシューの断面図、第7図及び第8
図は従来例のシューの鍛造工程順を示す要部断面図であ
る。 図中;13……下側ダイ、15……半球状内壁、16……ノッ
クアウトパンチ、20……上側ダイ、23……鍛造用素材、
24……下側ダイの端面近接部の逃げ部、26……斜板との
摺接面、28……上側ダイの端面近接部の逃げ部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シューの曲率半径以下の半径を有する球形
    の鍛造用素材を準備する第1工程、 シューの球面部に対応した略半球状の凹部を有し、その
    底中央部にノックアウトパンチを備えた下側ダイの該凹
    部に前記鍛造用素材を装填する第2工程、前記下側ダイ
    に対向して設けられていてシューの斜板との摺接面側を
    形成する上側ダイにより前記凹部に装填された鍛造用素
    材を加圧圧縮し、塑性変形させて成形体とする第3工
    程、および前記ノックアウトパンチにより前記成形体を
    押し出す第4工程 を有することを特徴とする斜板式圧縮機用シューの冷間
    鍛造方法。
  2. 【請求項2】下側ダイの凹部の底中央部のノックアウト
    パンチの先端部を該凹部の底面より後退させた状態で前
    記鍛造用素材が充填され、該鍛造用素材の加圧圧縮の過
    程で該ノックアウトパンチの先端が該凹部の底面より僅
    かに突出してゆくようにして鍛造される前記第1項記載
    の斜板式圧縮機用シューの冷間鍛造方法。
  3. 【請求項3】前記上側ダイおよび前記下側ダイの端面に
    近接する部分の型面が加圧圧縮の最終過程で鍛造用素材
    に接触せずに、その間に僅かな間隙を残した状態で鍛造
    処理が終了するようにされている前記第1項または第2
    項記載の斜板式圧縮機用シューの冷間鍛造方法。
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