JPH07218475A - 超音波探傷方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、超音波の発信方向に対して傾
きを持った欠陥の表面波超音波探傷または被検体内部の
探傷を同時に実施し、探傷精度向上，探傷設備費用低減
することにある。 【構成】複数で異なる方向に表面波超音波を発信し、か
つ縦波あるいは横波を発信する超音波探触子を用い、超
音波の発信方向に対して傾きを持った欠陥及び被検体内
部の探傷をする。 【効果】本発明によれば、超音波の発信方向に対して傾
きを持った欠陥の表面波超音波探傷または被検体内部の
探傷を同時に実施し、探傷精度向上，探傷設備費用低減
が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数で異なる方向に表
面波超音波を発信する表面波超音波探触子，前記表面波
超音波探触子を用いた表面波超音波探傷方法及び装置，
前記表面波超音波探傷装置付き加工装置の提供により、
超音波の発信方向に対して傾きを持った欠陥の表面波超
音波探傷の探傷精度向上，探傷設備費用低減に係り、特
に圧延用ロール等の金属円柱体の表面，表層部の表面波
超音波探傷に係る。

【０００２】また、本発明は、複数で異なる方向に表面
波超音波を発信し、かつ縦波あるいは横波を発信する超
音波探触子，前記超音波探触子を用いた超音波探傷方法
及び装置，前記超音波探傷装置付き加工装置の提供によ
り、超音波の発信方向に対して傾きを持った欠陥の表面
波超音波探傷の探傷精度向上，探傷設備費用低減に係
り、特に圧延用ロール等の金属円柱体の表面，表層部，
内部の超音波探傷に係る。

【０００３】

【従来の技術】表面波超音波探傷においては、表面波超
音波の発信方向に対し垂直方向の欠陥からは表面波超音
波の反射効率が良好のため該欠陥は検出されやすい。し
かし、表面波超音波の発信方向の垂直方向に対し傾きを
有する欠陥からは、表面波超音波の反射効率が悪いため
検出されにくい。従来の技術には、以下のものがある。 (1） 手動操作表面波探傷法 圧延用ロールに表面波超音波探触子を接触させ、超音波
を発信することにより手動法で探傷する方法であるが、
検査技術者の技量に左右されやすく、人為的過誤が生じ
やすい。

【０００４】(2） タイヤ探触子による自動探傷法（特
開昭62−80553号公報） タイヤ型探触子により超音波を発信し、表層部を自動探
傷する方法であるが超音波の発信方向に対し傾きを有す
る欠陥の検出精度に問題がある。

【０００５】(3） 一振動子型表面波超音波探触子によ
る自動探傷法 水ギャップ法等で探触子を接触させ超音波を発信し、表
層部を自動探傷する方法で、欠陥の検出精度は優れてい
るが、超音波の発信方向に対し傾きを有する欠陥の検出
精度に問題がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来技術では自動化は
行われているが、超音波の発信方向に対し傾きを有する
欠陥の検出精度に問題が見られ、自動化装置の設備費用
はかなり高かった。又、傾きのある欠陥でも高精度で検
出可能な手動操作法は、検査技術者の技量に検出精度が
左右される欠点がある。

【０００７】本発明の目的は、複数で異なる方向に表面
波超音波を発信する表面波超音波探触子，前記表面波超
音波探触子を用いた表面波超音波探傷方法及び装置，前
記表面波超音波探傷装置付き加工装置を提供し、超音波
の発信方向に対して傾きを持った欠陥の表面波超音波探
傷の探傷精度向上，探傷設備費用低減することにある。

【０００８】また、複数で異なる方向に表面波超音波を
発信し、かつ縦波あるいは横波を発信する超音波探触
子，前記超音波探触子を用いた超音波探傷方法及び装
置，前記超音波探傷装置付き加工装置を提供し、超音波
の発信方向に対して傾きを持った欠陥の表面波超音波探
傷の探傷精度を向上し、さらに被検体内部の探傷を同時
に実施でき、また探傷設備費用低減することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明は、表面波超音波探傷においては、表面波超
音波の発信方向に対し垂直方向の欠陥からは表面波超音
波の反射効率が良好のため該欠陥は検出されやすい。し
かし、表面波超音波の発信方向の垂直方向に対し傾きを
有する欠陥からは、表面波超音波の反射効率が悪いため
検出されにくい。さまざまな傾きを有する欠陥を精度良
く検出するために、表面波超音波を複数方向に発信，受
信できるようにした。

【００１０】本発明の表面波超音波探触子は、電気振動
と超音波とを相互変換する振動子と、近距離分解能を高
める遅延材と振動を制動するダンパと接栓を有する表面
波超音波探触子において、少なくとも２個の振動子を有
し、該振動子はそれぞれ表面波超音波を送波及び受波
し、任意の振動子より送波された表面波超音波による反
射波は送波した振動子に受波され、かつそれぞれの該振
動子から発する表面波超音波の発信方向がそれぞれ異な
ることを特徴とする。

【００１１】本発明の超音波探触子は、電気振動と超音
波とを相互変換する振動子と、近距離分解能を高める遅
延材と振動を制動するダンパと接栓を有する超音波探触
子において、少なくとも３個の振動子を有し、そのうち
少なくとも２個の振動子は、表面波を発信する表面波用
振動子であり、該表面波用振動子はそれぞれ表面波超音
波を送波及び受波し、任意の振動子より送波された表面
波超音波による反射波は送波した表面波用振動子に受波
され、かつそれぞれの該表面波用振動子から発する表面
波超音波の発信方向がそれぞれ異なり、少なくとも１個
の振動子は縦波または横波を発信する縦波用または横波
用振動子であることを特徴とする。

【００１２】本発明の表面波超音波探傷方法は、円柱体
表面の少なくとも３方向に表面波超音波を送受信できる
少なくとも３個の表面波用振動子を有する表面波超音波
探触子を、前記円柱体の表面に接触媒質を介して接触さ
せ、表面波超音波が伝播する領域において、前記円柱体
の傾きを持った表面及び表層部のクラックや傷等の欠陥
を同時に検出することを特徴とする。

【００１３】本発明の超音波探傷方法は、円柱体表面の
少なくとも３方向に表面波超音波を送受信でき、かつ円
柱体内部に縦波または横波の超音波を送受信でき、少な
くとも３個の表面波用振動子と少なくとも１個の縦波用
または横波用の振動子を有する超音波探触子を前記円柱
体の表面に接触媒質を介して接触させ、超音波が伝播す
る領域における前記円柱体の傾きを持った表面及び表層
部のクラックや傷等の欠陥と円柱体内部のクラックや傷
等の欠陥を同時に検出することを特徴とする。本発明の
自動表面波超音波探傷装置は、少なくとも３つの表面波
超音波の送受信を行う表面波超音波送受信部と，前記表
面波超音波送受信部から送信パルスにより被検体表面及
び表層部に表面波を送出及び受波する表面波超音波探触
子と，探触子の保持，設置及び移動を行う探触子駆動設
置部と，被検体である円柱体を回転させる回転駆動部
と，探傷結果を表示する検出データ表示部と，探傷結果
を記録する検出データ記録部と，探傷結果を記憶する検
出データ記憶部を有することを特徴とする。

【００１４】本発明の自動超音波探傷装置は、少なくと
も３つの表面波及び少なくとも１つの縦波または横波の
超音波の送受信を行う超音波送受信部と，前記超音波送
受信部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に表
面波を送出及び受波しかつ前記超音波送受信部から送信
パルスにより被検体内部に縦波あるいは横波のいずれか
を送出及び受波する超音波探触子と，探触子の保持，設
置及び移動を行う探触子駆動設置部と，被検体である円
柱体を回転させる回転駆動部と，探傷結果を表示する検
出データ表示部と，探傷結果を記録する検出データ記録
部と，探傷結果を記憶する検出データ記憶部を有するこ
とを特徴とする。

【００１５】本発明の自動表面波超音波探傷方法は、少
なくとも３個の表面波用振動子を有する表面波超音波探
触子を回転する円柱体の表面に接触媒質を介して接触さ
せ、少なくとも３方向に表面波を送出し、前記円柱体の
回転方向，軸方向，斜め方向等、複数方向の表面及び表
層部のクラックや傷等の欠陥を同時に検出し、前記表面
波超音波探触子を円柱体の軸方向に自動的に移動させ、
円柱体の表面及び表層部を自動的に探傷することを特徴
とする。

【００１６】本発明の自動超音波探傷方法は、少なくと
も３個の表面波用振動子と少なくとも１個の縦波用ある
いは横波用のいずれかの振動子を有する超音波探触子を
回転する円柱体の表面に接触媒質を介して接触させ、少
なくとも３方向に表面波を送出し、少なくとも１方向に
縦波または横波の超音波を送出し、前記円柱体の回転方
向，軸方向，斜め方向等、複数方向の表面及び表層部の
クラックや傷等の欠陥を同時に検出し、かつ円柱体内部
のクラックや傷等の欠陥を検出し、前記超音波探触子を
円柱体の軸方向に自動的に移動させ、円柱体の表面，表
層部及び内部を自動的に探傷することを特徴とする。

【００１７】本発明の表面波超音波探傷装置は、少なく
とも３つの表面波超音波の送受信を行う表面波超音波送
受信部と，前記表面波超音波送受信部から送信パルスに
より被検体表面及び表層部に少なくとも３方向に表面波
を送出及び受波する前記表面波超音波探触子と，探触子
の保持，設置及び移動を行う探触子駆動設置部と，探傷
結果を表示する検出データ表示部と，探傷結果を記録す
る検出データ記録部と，探傷結果を記憶する検出データ
記憶部とを具備し、被検体である円柱体を回転させる機
能を有する加工装置に取付け及び取外しが可能であるこ
とを特徴とする。

【００１８】本発明の加工装置は、円柱体を回転させる
機能を有する加工装置において、前記表面波超音波探傷
装置を取付け、加工作業の前後または加工作業中に表面
波超音波探傷作業が可能であることを特徴とする。

【００１９】本発明の表面波超音波探傷装置は、少なく
とも３つの表面波超音波の送受信を行う表面波超音波送
受信部と，前記表面波超音波送受信部から送信パルスに
より被検体表面及び表層部に少なくとも３方向に表面波
を送出及び受波する前記表面波超音波探触子と，探触子
の保持及び設置を行う探触子設置部と，探傷結果を表示
する検出データ表示部と，探傷結果を記録する検出デー
タ記録部と，探傷結果を記憶する検出データ記憶部とを
具備し、被検体である円柱体を回転させる機能と円柱体
の軸方向に自動で移動可能な軸方向送り機能とを有する
加工装置に取付け及び取外しが可能であることを特徴と
する。

【００２０】本発明の加工装置は、円柱体を回転させる
機能と円柱体の軸方向に自動で移動可能な軸方向送り機
能とを有する加工装置において、前記表面波超音波探傷
装置を前記軸方向送りに取付け、加工作業の前後または
加工作業中に表面波超音波探傷作業が可能であることを
特徴とする。

【００２１】本発明の超音波探傷装置は、少なくとも３
つの表面波及び少なくとも１つの縦波または横波の超音
波の送受信を行う超音波送受信部と、前記超音波送受信
部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に少なく
とも３方向に表面波を送出及び受波しかつ前記超音波送
受信部から送信パルスにより被検体内部に少なくとも１
方向に縦波あるいは横波のいずれかを送出及び受波する
前記超音波探触子と，探触子の保持，設置及び移動を行
う探触子駆動設置部と，探傷結果を表示する検出データ
表示部と，探傷結果を記録する検出データ記録部と，探
傷結果を記憶する検出データ記憶部とを具備し、被検体
である円柱体を回転させる機能を有する加工装置に取付
け及び取外しが可能であることを特徴とする。

【００２２】本発明の加工装置は、円柱体を回転させる
機能を有する加工装置において、前記超音波探傷装置を
取付け、加工作業の前後または加工作業中に超音波探傷
作業が可能であることを特徴とする。

【００２３】本発明の超音波探傷装置は、少なくとも３
つの表面波及び少なくとも１つの縦波または横波の超音
波の送受信を行う超音波送受信部と，前記超音波送受信
部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に少なく
とも３方向に表面波を送出及び受波しかつ前記超音波送
受信部から送信パルスにより被検体内部に少なくとも１
方向に縦波または横波の超音波を送出及び受波する前記
超音波探触子と，探触子の保持及び設置を行う探触子設
置部と，探傷結果を表示する検出データ表示部と，探傷
結果を記録する検出データ記録部と，探傷結果を記憶す
る検出データ記憶部とを具備し、被検体である円柱体を
回転させる機能と円柱体の軸方向に自動で移動可能な軸
方向送り機能とを有する加工装置の前記軸方向送りに取
付け及び取外しが可能であることを特徴とする。

【００２４】本発明の加工装置は、円柱体を回転させる
機能と円柱体の軸方向に自動で移動可能な軸方向送り機
能とを有する加工装置において、前記超音波探傷装置を
前記軸方向送りに取付け、加工作業の前後または加工作
業中に超音波探傷作業が可能であることを特徴とする。

【００２５】本発明の研磨機は、円柱体を回転させる主
軸台と円柱体の軸方向に自動で移動可能な往復台とを有
する研磨機において、前記往復台に前記表面波超音波探
傷装置を取付け、研磨作業の前後及び研磨作業中に表面
波超音波探傷作業が可能であることを特徴とする。

【００２６】本発明の研磨機は、円柱体を回転させる主
軸台と円柱体の軸方向に自動で移動可能な往復台とを有
する研磨機において、前記往復台に前記超音波探傷装置
を取付け、研磨作業の前後及び研磨作業中に超音波探傷
作業が可能であることを特徴とする。

【００２７】

【作用】本発明によると、電気振動と超音波とを相互変
換する振動子と、近距離分解能を高める遅延材と振動を
制動するダンパと接栓を有する表面波超音波探触子にお
いて、少なくとも２個の振動子を有し、振動子はそれぞ
れ表面波超音波を送波及び受波し、任意の振動子より送
波された表面波超音波による反射波は送波した振動子に
受波されることにより、それぞれの振動子から発する表
面波超音波の発信方向がそれぞれ異なる。そのため、同
時に少なくとも２方向の表面波超音波を発信及び受信が
可能となる。

【００２８】本発明によると、円柱体表面の少なくとも
３方向に表面波超音波を送受信できる少なくとも３個の
表面波用振動子を有する前記表面波超音波探触子を、前
記円柱体の表面に接触媒質を介して接触させ、表面波超
音波が伝播する領域において、前記円柱体の表面波超音
波の発信方向に対して傾きを持った表面及び表層部のク
ラックや傷等の欠陥を同時に検出することができる。こ
れにより、円柱体表面の少なくとも３方向の表面波超音
波探傷が可能となる。

【００２９】表面波用振動子数は、探傷速度，探傷感
度，円柱体材料等によりことなるが、多ければ多い程さ
まざまな傾きの欠陥に対して有効であるが、多過ぎると
探触子のコストが高くなり、また、それぞれの発信超音
波の干渉の問題が生じる。少な過ぎても（２方向以
下）、効果が少ない。そのため、表面波用振動子数は３
〜６方向で等角度間隔設置が望ましい。さらに、図１に
示すように、４個の表面波用振動子を設置することがよ
り望ましい。また、表面波超音波の発信方向は、図２の
Ｄ方向を基準に０°，４５°，９０°及び１３５°が望
ましく、それぞれの発信方向に従い４個の表面波用振動
子を設置するのが好ましい。図１において、入射位置精
度向上のためには発信方向は、探触子の中心に向かって
進行し中心からそれぞれの方向に発信することが望まし
く、超音波干渉及び感度低下防止のためには反中心方向
に発信することが望ましい。発信方向が多方向のため、
探触子形状は円状もしくは楕円状が好ましい。

【００３０】本発明によると、表面波超音波の送受信を
行う表面波超音波送受信部と，前記表面波超音波送受信
部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に表面波
を送出及び受波する少なくとも３個の表面波用振動子を
有する表面波超音波探触子と，探触子の保持，設置及び
移動を行う探触子駆動設置部と，被検体である円柱体を
回転させる回転駆動部と，探傷結果を表示する検出デー
タ表示部と，探傷結果を記録する検出データ記録部と，
探傷結果を記憶する検出データ記憶部を有し、前記表面
波超音波探触子を回転する円柱体の表面に接触媒質を介
して接触させ、超音波が伝播する領域における全方向の
前記円柱体の回転方向，軸方向，斜め方向等、複数方向
の表面及び表層部のクラックや傷等の欠陥を同時に検出
し、前記表面波超音波探触子を円柱体の軸方向に自動的
に移動させ、円柱体の表面及び表層部を自動的に探傷す
ることができる。

【００３１】図３に示すように、Ａ，Ｂ，Ｃ及びＤ方向
の４方向に表面波超音波を発信することにより、発信方
向Ｂに対して垂直方向の欠陥６と発信方向Ｂに対して傾
きを持っているが発信方向Ａ，Ｃ及びＤ方向に対してそ
れぞれ垂直方向である欠陥５，欠陥７及び欠陥８とは、
検出されやすくなる。

【００３２】発信方向数は、探傷速度，探傷感度，円柱
体材料等によりことなるが、多ければ多い程さまざまな
傾きの欠陥に対して有効であるが、多過ぎると探触子の
コストが高くなり、また、それぞれの発信超音波の干渉
の問題が生じる。少な過ぎても（２方向以下）、効果が
少ない。そのため、発信方向数は３〜６方向で等角度間
隔設置が望ましい。さらに、図３に示すように、４方向
で等角度間隔設置することがより望ましい。

【００３３】探傷範囲は、探触子の不感帯と超音波の減
衰によって決まる。本発明の探触子の不感帯は、４０〜
５０mmであり、また、減衰を考慮した場合、入射点から
300mm以上の探傷は困難であるため、探傷範囲は、５０
〜３００mmが適切である。前記探傷範囲において、音波
が分散しないようほぼ一定の幅で直進する。

【００３４】前記一定の幅は、探傷効率の面からは広い
ことが望ましいが、広過ぎると超音波エネルギーが分散
し欠陥検出能力が低下するため、４０〜６０mmが適して
おり、約５０mm幅がより望ましい。

【００３５】本発明によると、表面波超音波の送受信を
行う表面波超音波送受信部と，前記表面波超音波送受信
部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に表面波
を送出及び受波する前記表面波超音波探触子と，探触子
の保持，設置及び移動を行う探触子駆動設置部と，被検
体である円柱体を回転させる回転駆動部と，探傷結果を
表示する検出データ表示部と，探傷結果を記録する検出
データ記録部と，探傷結果を記憶する検出データ記憶部
を有し、自動化される。

【００３６】本発明の探傷装置によると、加工装置に探
傷装置を取付け及び取外しが可能であり、その際、被検
体である円柱体を回転させる回転駆動部や円柱体の軸方
向に自動で移動可能な軸方向送り部とを加工作業及び探
傷作業に共有でき、探傷装置の設備費削減ができる。

【００３７】本発明の研磨機によると、研磨機の往復台
に探傷装置を取付け及び取外しが可能であり、その際、
被検体である円柱体を回転させる回転駆動部や円柱体の
軸方向に自動で移動可能な軸方向送り部とを加工作業及
び探傷作業に共有でき、探傷装置の設備費削減ができ
る。

【００３８】このような表面波超音波探触子，探傷方法
及び装置において、探触子にさらに縦波用または横波用
の振動子が少なくとも一個有することにより、上記の表
面波探傷に加えて垂直探傷または斜角探傷が同時に可能
となる。縦波用または横波用の振動子は、表面波の妨げ
にならないように表面波用の振動子から発信する表面波
発信側とは、逆側に取り付けるのが望ましい。また、探
傷する材料の欠陥発生の原因及び状況から、縦波用ある
いは横波用振動子を選択する。圧延用ロールのメンテナ
ンス時には、圧延用ロールの半径方向から傾いた進展中
の欠陥の検出が目的であるため、縦波用振動子が望まし
い。また、欠陥進展深さが予測できる場合には、予測深
さ近辺に焦点を絞った集束型にすることが望ましい。

【００３９】

【実施例】 （実施例１）図８及び図９に、本発明による実施例の表
面波超音波探触子の平面図及び縦断面図を示す。２２は
接触媒質供給口、２３は接栓、２４はハウジング、２５
は探触子固定用突起、２６は遅延材、２７は超音波入射
点である。本実施例では、表面波用振動子を４個設置し
た。表面波超音波の発信方向は、図８のＤ方向を基準に
０°，４５°，９０°及び１３５°とし、入射位置精度
向上のためには発信方向は、探触子の中心に向かって進
行し、中心の超音波入射点２７からそれぞれの方向に発
信するようにした。接触媒質は、水を用い接触媒質供給
口２２から流し、探触子と被検体との接触部に円滑に流
れるようにした。この際、接触媒質は、一般的な油等を
用いても良い。超音波送受信部と探触子とを接続するた
めの端子である接栓２３は、振動子２の数と同じ４個所
設置した。また、探触子形状は円状で外周のハウジング
２４は、ＳＵＳ材とした。振動子材料として水晶，硫酸
リチウム，チタン酸バリウム系磁器，ジルコン・チタン
酸鉛系磁器及び圧電磁機があげられるが、本実施例で
は、チタン酸鉛系磁器を用いた。周波数は、被検体材料
や探傷感度等の探傷条件によって選択するのが望まし
く、本実施例では３MHz狭帯域で実施した。探傷範囲
は、入射点から５０〜３００mmであり、探傷範囲におけ
る探傷ビーム幅は、約５０mmであった。以上の条件で、
Ａ，Ｂ，Ｃ及びＤ方向の４方向に表面波超音波を発信す
ることにより、発信方向Ｂに対して傾きを持っているが
発信方向Ａ，Ｃ及びＤ方向に対してそれぞれ垂直方向で
ある欠陥を精度良く、検出することができる。

【００４０】図５，図６及び図７に、本発明による表面
波超音波探傷装置をとりつけた圧延用ロールの研磨装置
の平面図，正面図及び側面図を示す。

【００４１】研磨装置の主要部はベッド１８，砥石１９
を搭載した往復台１０，円柱体に回転を与える主軸台１
７，円柱体の芯を保持する心押し台２０，制御盤２１，
ケーブル室２８，ステップ台２９，砥石側ベッド３１，
砥石側ベッド３１をカバーするスライドカバー３０など
からなる。

【００４２】本実施例では、被検体である圧延用ロール
４を研削盤９上で回転し、探触子１は、探触子保持具１
５により研削盤９上の往復台１０にセットされ、前記圧
延用ロール４の表面に接触媒質を介して接触させる。前
記圧延用ロール４の表面及び表層に表面波が伝播し、圧
延用ロールを回転させるとともに、探触子１を圧延用ロ
ールの軸方向に移動させながら、螺旋上に探傷した。

【００４３】探触子１には接触媒質供給用パイプ１６が
接続されており、水等の接触媒質が供給される。超音波
送受信部１２と探触子１は高周波ケーブル１１により接
続されており、探傷結果は検出データ表示部１３に表示
されると共に検出データ記録部１４等に自動記録した。

【００４４】このようにして、圧延用ロールのほぼ全方
向に対し傾きのある欠陥でも精度良く検出することがで
きる様になった。また、この様にして検出した欠陥から
の反射ビームは検出データ表示部１３に表示されると共
に検出データ記録部１４等に自動記録することにより、
欠陥の検出洩れを防止することができる様になった。 （実施例２）図２に本発明の超音波探触子を示す。本実
施例では、表面波用振動子を４個と縦波用振動子を１個
とを設置した。表面波超音波の発信方向は、実施例１と
同様に図３のＤ方向を基準に０°，４５°，９０°及び
１３５°とし、それぞれの発信方向に従い４個の表面波
用振動子を設置し、発信方向と逆サイドに縦波用振動子
を１個設置した。そして、実施例１と同様な超音波探傷
を実施した。

【００４５】本実施例によると、圧延用ロールの軸方向
に対し傾きのある欠陥でも精度良く検出することができ
る様になり、さらに進展した欠陥についても同時に検出
することができる様になった。また、この様にして検出
した欠陥からの反射ビームは検出データ表示部１３に表
示されると共に検出データ記録部１４等に自動記録する
ことにより、欠陥の検出洩れを防止することができる様
になった。

【００４６】

【発明の効果】複数で異なる方向に表面波超音波を発信
する表面波超音波探触子，前記表面波超音波探触子を用
いた表面波超音波探傷方法及び装置，前記表面波超音波
探傷装置付き加工装置が提供でき、超音波の発信方向に
対して傾きを持った欠陥の表面波超音波探傷の探傷精度
向上，探傷設備費用低減することができた。

【００４７】また、複数で異なる方向に表面波超音波を
発信し、かつ縦波あるいは横波を発信する超音波探触
子，前記超音波探触子を用いた超音波探傷方法及び装
置，前記超音波探傷装置付き加工装置が提供でき、超音
波の発信方向に対して傾きを持った欠陥の表面波超音波
探傷の探傷精度を向上し、さらに被検体内部の探傷を同
時に実施でき、また探傷設備費用低減することができ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による表面波超音波探触子の構成図。

【図２】本発明による超音波探触子の構成図。

【図３】本発明による表面波超音波探傷方法及び装置の
構成図。

【図４】本発明による超音波探傷方法及び装置の構成
図。

【図５】本発明による超音波探傷装置を取付けた研磨装
置の平面図。

【図６】本発明による超音波探傷装置を取付けた研磨装
置の正面図。

【図７】本発明による超音波探傷装置を取付けた研磨装
置の側面図。

【図８】本発明による実施例の表面波超音波探触子の平
面図。

【図９】本発明による実施例の表面波超音波探触子の縦
断面図。

【符号の説明】

１…探触子、２…表面波用振動子、３…縦波用振動子、
４…圧延用ロール、５〜８…欠陥、９…研削盤、１０…
往復台、１１…高周波ケーブル、１２…超音波送受信
部、１３…検出データ表示部、１４…検出データ記録
部、１５…探触子保持具、１６…接触媒質供給用パイ
プ、１７…主軸台、１８…ベッド、１９…砥石、２０…
心押し台、２１…制御盤、２２…接触媒質供給口、２３
…接栓、２４…ハウジング、２５…探触子固定用突起、
２６…遅延材、２７…超音波入射点、２８…ケーブル
室、２９…ステップ台、３０…スライドカバー、３１…
砥石側ベッド。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 義夫 茨城県ひたちなか市堀口832番地の２ 株 式会社日立製作所素形材事業部内

Claims (18)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電気振動と超音波とを相互変換する振動子
   と，近距離分解能を高める遅延材と，振動を制動するダ
   ンパと，接栓とを有する表面波超音波探触子において、
   少なくとも２個の振動子を有し、該振動子はそれぞれ表
   面波超音波を送波及び受波し、任意の振動子より送波さ
   れた表面波超音波による反射波は送波した振動子に受波
   され、かつそれぞれの該振動子から発する表面波超音波
   の発信方向がそれぞれ異なることを特徴とする表面波超
   音波探触子。
2. 【請求項２】電気振動と超音波とを相互変換する振動子
   と，近距離分解能を高める遅延材と，振動を制動するダ
   ンパと，接栓とを有する超音波探触子において、少なく
   とも３個の振動子を有し、そのうち少なくとも２個の振
   動子は、表面波を発信する表面波用振動子であり、該表
   面波用振動子はそれぞれ表面波超音波を送波及び受波
   し、任意の振動子より送波された表面波超音波による反
   射波は送波した表面波用振動子に受波され、かつそれぞ
   れの該表面波用振動子から発する表面波超音波の発信方
   向がそれぞれ異なり、少なくとも１個の振動子は縦波ま
   たは横波を発信する縦波用または横波用振動子であるこ
   とを特徴とする超音波探触子。
3. 【請求項３】円柱体表面の少なくとも３方向に表面波超
   音波を送受信できる少なくとも３個の表面波用振動子を
   有する表面波超音波探触子を、前記円柱体の表面に接触
   媒質を介して接触させ、表面波超音波が伝播する領域に
   おいて、前記円柱体の傾きを持った表面及び表層部のク
   ラックや傷等の欠陥を同時に検出することを特徴とする
   表面波超音波探傷方法。
4. 【請求項４】円柱体表面の少なくとも３方向に表面波超
   音波を送受信でき、かつ円柱体内部に縦波または横波の
   超音波を送受信でき、少なくとも３個の表面波用振動子
   と少なくとも１個の縦波用または横波用の振動子を有す
   る超音波探触子を前記円柱体の表面に接触媒質を介して
   接触させ、超音波が伝播する領域における前記円柱体の
   傾きを持った表面及び表層部のクラックや傷等の欠陥と
   円柱体内部のクラックや傷等の欠陥を同時に検出するこ
   とを特徴とする超音波探傷方法。
5. 【請求項５】少なくとも３つの表面波超音波の送受信を
   行う表面波超音波送受信部と，前記表面波超音波送受信
   部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に表面波
   を送出及び受波する表面波超音波探触子と，探触子の保
   持，設置及び移動を行う探触子駆動設置部と，被検体で
   ある円柱体を回転させる回転駆動部と，探傷結果を表示
   する検出データ表示部と，探傷結果を記録する検出デー
   タ記録部と，探傷結果を記憶する検出データ記憶部を有
   することを特徴とする自動表面波超音波探傷装置。
6. 【請求項６】少なくとも３つの表面波及び少なくとも１
   つの縦波または横波の超音波の送受信を行う超音波送受
   信部と，前記超音波送受信部から送信パルスにより被検
   体表面及び表層部に表面波を送出及び受波しかつ前記超
   音波送受信部から送信パルスにより被検体内部に縦波あ
   るいは横波のいずれかを送出及び受波する超音波探触子
   と，探触子の保持，設置及び移動を行う探触子駆動設置
   部と，被検体である円柱体を回転させる回転駆動部と，
   探傷結果を表示する検出データ表示部と，探傷結果を記
   録する検出データ記録部と，探傷結果を記憶する検出デ
   ータ記憶部を有することを特徴とする自動超音波探傷装
   置。
7. 【請求項７】少なくとも３個の表面波用振動子を有する
   表面波超音波探触子を回転する円柱体の表面に接触媒質
   を介して接触させ、少なくとも３方向に表面波を送出
   し、前記円柱体の回転方向，軸方向，斜め方向等、複数
   方向の表面及び表層部のクラックや傷等の欠陥を同時に
   検出し、前記表面波超音波探触子を円柱体の軸方向に自
   動的に移動させ、円柱体の表面及び表層部を自動的に探
   傷することを特徴とする自動表面波超音波探傷方法。
8. 【請求項８】少なくとも３個の表面波用振動子と少なく
   とも１個の縦波用あるいは横波用のいずれかの振動子を
   有する超音波探触子を回転する円柱体の表面に接触媒質
   を介して接触させ、少なくとも３方向に表面波を送出
   し、少なくとも１方向に縦波または横波の超音波を送出
   し、前記円柱体の回転方向，軸方向，斜め方向等、複数
   方向の表面及び表層部のクラックや傷等の欠陥を同時に
   検出し、かつ円柱体内部のクラックや傷等の欠陥を検出
   し、前記超音波探触子を円柱体の軸方向に自動的に移動
   させ、円柱体の表面，表層部及び内部を自動的に探傷す
   ることを特徴とする自動超音波探傷方法。
9. 【請求項９】少なくとも３つの表面波超音波の送受信を
   行う表面波超音波送受信部と，前記表面波超音波送受信
   部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に少なく
   とも３方向に表面波を送出及び受波する表面波超音波探
   触子と，探触子の保持，設置及び移動を行う探触子駆動
   設置部と，探傷結果を表示する検出データ表示部と，探
   傷結果を記録する検出データ記録部と，探傷結果を記憶
   する検出データ記憶部とを具備する表面波超音波探傷装
   置が、被検体である円柱体の加工装置に取付け及び取外
   し可能に設けられ、前記円柱体を回転させる駆動手段を
   有することを特徴とする加工装置。
10. 【請求項１０】円柱体を回転させる駆動手段を有する加
    工装置において、請求項９に記載の表面波超音波探傷装
    置を取付け、加工作業の前後または加工作業中に表面波
    超音波探傷作業が可能であることを特徴とする加工装
    置。
11. 【請求項１１】少なくとも３つの表面波超音波の送受信
    を行う表面波超音波送受信部と，前記表面波超音波送受
    信部から送信パルスにより被検体表面及び表層部に少な
    くとも３方向に表面波を送出及び受波する請求項１に記
    載の表面波超音波探触子と，探触子の保持及び設置を行
    う探触子設置部と，探傷結果を表示する検出データ表示
    部と，探傷結果を記録する検出データ記録部と，探傷結
    果を記憶する検出データ記憶部とを具備する表面波超音
    波探傷装置が、被検体である円柱体の加工装置に取付け
    及び取外し可能に設けられ、前記円柱体を回転させる駆
    動手段と円柱体を軸方向に自動で移動可能な軸方向送り
    手段とを有することを特徴とする加工装置。
12. 【請求項１２】円柱体を回転させる駆動手段と円柱体を
    軸方向に自動で移動可能な軸方向送り手段とを有する加
    工装置において、表面波超音波探傷装置を前記軸方向送
    り機構に取付け、加工作業の前後または加工作業中に表
    面波超音波探傷作業が可能であることを特徴とする加工
    装置。
13. 【請求項１３】少なくとも３つの表面波及び少なくとも
    １つの縦波または横波の超音波の送受信を行う超音波送
    受信部と，前記超音波送受信部から送信パルスにより被
    検体表面及び表層部に少なくとも３方向に表面波を送出
    及び受波しかつ前記超音波送受信部から送信パルスによ
    り被検体内部に少なくとも１方向に縦波あるいは横波の
    いずれかを送出及び受波する超音波探触子と、探触子の
    保持，設置及び移動を行う探触子駆動設置部と，探傷結
    果を表示する検出データ表示部と，探傷結果を記録する
    検出データ記録部と，探傷結果を記憶する検出データ記
    憶部とを具備する超音波探傷装置が、被検体である円柱
    体の加工装置に取付け及び取外し可能に設けられ、前記
    円柱体を回転させる駆動手段を有することを特徴とする
    加工装置。
14. 【請求項１４】円柱体を回転させる手段を有する加工装
    置において、請求項１３に記載の超音波探傷装置を取付
    け、加工作業の前後または加工作業中に超音波探傷作業
    が可能であることを特徴とする加工装置。
15. 【請求項１５】少なくとも３つの表面波及び少なくとも
    １つの縦波または横波の超音波の送受信を行う超音波送
    受信部と，前記超音波送受信部から送信パルスにより被
    検体表面及び表層部に少なくとも３方向に表面波を送出
    及び受波しかつ前記超音波送受信部から送信パルスによ
    り被検体内部に少なくとも１方向に縦波または横波の超
    音波を送出及び受波する超音波探触子と，探触子の保持
    及び設置を行う探触子設置部と，探傷結果を表示する検
    出データ表示部と，探傷結果を記録する検出データ記録
    部と，探傷結果を記憶する検出データ記憶部とを具備す
    る超音波探傷装置が、被検体である円柱体の加工装置の
    軸方向送りに取付け及び取外し可能に設けられ、回転さ
    せる駆動手段と円柱体の軸方向に自動で移動可能な軸方
    向送り手段とを有することを特徴とする加工装置。
16. 【請求項１６】円柱体を回転させる駆動手段と円柱体の
    軸方向に自動で移動可能な軸方向送り手段とを有する加
    工装置において、超音波探傷装置を前記軸方向送り機構
    に取付け、加工作業の前後または加工作業中に超音波探
    傷作業が可能であることを特徴とする加工装置。
17. 【請求項１７】円柱体を回転させる主軸台と円柱体の軸
    方向に自動で移動可能な往復台とを有する研磨機におい
    て、前記往復台に請求項１１に記載の表面波超音波探傷
    装置を取付け、研磨作業の前後または研磨作業中に表面
    波超音波探傷作業が可能であることを特徴とする研磨装
    置。
18. 【請求項１８】円柱体を回転させる主軸台と円柱体の軸
    方向に自動で移動可能な往復台とを有する研磨機におい
    て、前記往復台に請求項１５に記載の超音波探傷装置を
    取付け、研磨作業の前後または研磨作業中に超音波探傷
    作業が可能であることを特徴とする研磨装置。