JPH0720906A - 負帰還制御装置及びそれを用いたシステム - Google Patents

負帰還制御装置及びそれを用いたシステム

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JPH0720906A
JPH0720906A JP16665893A JP16665893A JPH0720906A JP H0720906 A JPH0720906 A JP H0720906A JP 16665893 A JP16665893 A JP 16665893A JP 16665893 A JP16665893 A JP 16665893A JP H0720906 A JPH0720906 A JP H0720906A
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JP
Japan
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transfer function
negative feedback
control device
feedback control
equation
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JP16665893A
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Inventor
Yoshinao Iwaji
善尚 岩路
Toshiaki Okuyama
俊昭 奥山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】任意の繰返し波形指令に定常偏差なしに追従
し、安定なシステムの実現が容易な負帰還制御装置を提
供する。 【構成】負帰還制御装置の伝達関数器に、特定の角周波
数に対しゲインが無限大となり、かつ、負帰還制御装置
を漸近安定とする伝達関数(例えば、下記式数1で表さ
れる伝達関数)を含ませることにより達成される。 【数22】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、交流電動機の電流制
御,無停電電源装置の電圧制御,交流−直流変換装置の
力率制御等、正弦波指令への追従性が要求されるシステ
ム、ならびに、電力用アクティブフィルターや、繰返し
動作を伴うサーボ,ロボット等、繰返し波形指令への追
従性が要求されるシステム、ならびに、特定の周波数成
分を含む外乱の抑制が要求されるシステムに用いる負帰
還制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】システム制御における一般的な負帰還制
御装置としては、比例積分制御装置が広く用いられてい
る。その中には、交流電動機の電流制御のように、繰返
し波形信号を指令値とする場合がある。比例積分制御
は、ステップ状の指令値変化に対する制御性能は優れて
いるものの、正弦波等の繰返し波形指令に対しては、定
常偏差が残るという欠点がある。そこで、交流電流ある
いは交流電圧制御では、交流量を直流量に変換する座標
変換(d−q変換)や、定常偏差を補償するフィードフ
ォワード補償、あるいは、繰返し制御等が提案されてい
る(例えば、特公昭57−52392号公報)。
【0003】また、繰返し動作を伴うサーボやロボット
の位置制御等では、主として、フィードフォワード補償
や、繰返し制御が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来方式の座標変換を
用いた電流(電圧)制御装置は、正弦波指令値への追従
性との引替えに、ステップ状外乱の抑制効果が得られな
くなる。これを防止するには、直流側の制御装置(座標
変換を用いた制御装置、以下DC−ACRと略記)と、
交流側の制御装置(座標変換を用いない制御装置、以下
AC−ACRと略記)の2つの制御装置が必要であり、
装置の構成が複雑になる。また、この場合、2つの制御
装置のゲイン設定が難しく、条件によってはシステムが
不安定になることがある。さらに、座標変換は三相交流
にしか適用できないという大きな欠点がある。
【0005】フィードフォワード補償は、定常偏差を減
少させる補償法であり、未知外乱や制御対象のパラメー
タ変動に対して、定常偏差を原理的に零にできる制御方
式ではない。
【0006】繰返し制御は、繰返し周期を制御周期とし
た制御法であるため、過渡時の応答が遅い。さらに、指
令値や外乱の繰返し周期と、制御装置内部の繰返し周期
にずれが生じた場合、制御特性を悪化させる場合があ
る。
【0007】本発明の目的は、正弦波等の繰返し波形の
指令値や外乱に、定常偏差なしに追従し、安定で、シス
テムの実現が容易な負帰還制御装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、指令、ある
いは外乱に含まれる周波数成分を検出し、それら各々の
角周波数に対してゲインが無限大、または極大となり、
かつ、システムを安定とする伝達関数(以下、これを正
弦波伝達関数という)を、制御装置に導入することによ
って達成される。角周波数ω0 の正弦波伝達関数の代表
例として、下記式が挙げられる。
【0009】
【数5】
【0010】さらに、正弦波伝達関数を他の伝達関数
(例えば比例積分伝達関数等)と併用して用いる制御装
置において、それらのゲインを正弦波伝達関数の角周波
数の関数として変化させることにより、安定性の高いシ
ステムが得られる。
【0011】
【作用】数5に示す正弦波伝達関数を負帰還制御装置に
導入し、ω0 を指令値に含まれる角周波数と一致させる
ことにより、その成分の定常偏差を零にすることができ
る。指令値が正弦波の場合は、正弦波伝達関数を1個用
いるだけで、定常偏差を零にできる。複数の周波数成分
を含む繰返し波形指令の場合には、含まれる成分の数だ
け正弦波伝達関数を用意すればよい。
【0012】また、指令値に含まれる角周波数と正弦波
伝達関数のω0 が多少ずれた場合には、ゲインが有限と
なるため、定常偏差がわずかに生じる。しかし、制御性
能を大きく悪化させることはない。従来技術の繰返し制
御とは根本的に異なる。
【0013】この負帰還制御装置を用いて、交流電流制
御を行う場合、座標変換の必要がないため、1つの制御
装置(AC−ACRのみ)で正弦波指令値への追従とス
テップ状外乱の抑制が達成でき、装置の構成は著しく簡
単になる。さらに、単相交流のシステムにも適用が可能
である。
【0014】また、正弦波伝達関数を他の伝達関数と併
用して用いた場合でも、座標変換のような非線形要素が
ないため、安定性問題の議論を容易に行うことができ
る。その結果、各伝達関数ゲインを正弦波指令値の角周
波数の関数として変化させることで、指令値の周波数変
化に対しても、システムの応答を常に安定に保つことが
できるようになる。
【0015】以上のことから、この負帰還制御装置を交
流電動機の電流制御,無停電電源装置の電圧制御,交流
−直流変換装置の力率制御等に用いることで、簡単な制
御装置で高精度な制御が実現できる。
【0016】また、電力用アクティブフィルターや、繰
返し動作を基本とするロボットや工作機械においても、
その指令値、あるいは外乱に含まれる周波数成分を分
析、あるいは予測し、正弦波伝達関数の角周波数、なら
びにゲインを設定することで、定常偏差を零とするシス
テムを実現することができる。
【0017】さらに、オートチューニングや適応制御の
ように、制御対象の内部状態、あるいは制御対象の定数
を同定(あるいは推定,測定)する制御システムにおい
ても、本発明は有効である。同定信号として、指令値と
の周波数が異なる信号を指令値に重畳させる時に、その
指令値全体を繰返し波形とみなすことができるため、提
案する負帰還制御装置が利用できる。
【0018】
【実施例】図1に、本発明の一実施例である負帰還制御
装置の構成図を示す。制御対象1は抵抗Rとインダクタ
ンスLの直列負荷であり、正弦波の電流指令値iaref
出力電流iaの偏差を制御装置2に入力し、出力電流ia
を制御する。ここで、制御装置は、正弦波伝達関数器2
1ならびに積分伝達関数器22、比例伝達関数器23か
ら構成され、それらを並列に接続して用いている。ま
た、正弦波伝達関数器のω0 は、正弦波電流指令値の角
周波数に一致させている。
【0019】次に、図1の制御原理について説明する。
正弦波指令値に対して定常偏差を零とするには、その正
弦波指令値の角周波数における伝達関数のゲインが、無
限大である必要がある。正弦波指令値の角周波数をω0
とすると、数5、ならびに下記に示す数6の伝達関数
は、どちらもs=jω0 において無限大となる。
【0020】
【数6】
【0021】しかし、数5,数6は、その位相特性に大
きな違いがある。図2は、数5のボード線図である。ω
0 の前後で、位相変位が90°から−90°へと変化し
ている。これに対して数6の位相特性は、ω0 より小さ
い角周波数で0°、ω0 より大きな角周波数で−180
°となる。
【0022】負帰還制御を行う場合、システムの安定性
問題は、システム全体の一巡伝達関数で判別することが
できる。一巡伝達関数のゲインが1より大きく、かつ、
位相変位が−180°である時、システムは不安定とな
る。数6の場合、それ自体の伝達関数に不安定領域があ
り、システム全体の安定化が難しくなる。
【0023】よって、ω0 でのゲインが無限大であるこ
と、安定なシステム設計が容易であることを考慮し、汎
用的な伝達関数として数5を負帰還制御装置の伝達関数
に用いることを提案する。
【0024】また、制御装置の適用範囲を広げる意味
で、次式に示す伝達関数を提案する。
【0025】
【数7】
【0026】数7は、位相特性,ゲイン特性をある程度
任意に設定できるようにした正弦波伝達関数である。K
sc1,Ksc2,Ts の大きさ、ならびに符号を適切に設定
することで、この伝達関数に自由度を持たせることがで
きる。これによって、本発明の適用範囲が広がり、さら
にシステムの安定領域も拡大する。
【0027】ところで、数5あるいは数7は、内部モデ
ル原理の条件も満たしている。内部モデル原理は、シス
テムが指令値に対して定常偏差を持たずに追従するため
の条件を述べたものであり、そのためには、 (イ)負帰還制御系が、指令値信号の極(指令値をラプ
ラス変換した時の極)と同じ極を持つこと (ロ)負帰還制御系が、漸近安定であること の二つの条件が満たされてなければならない。数6は、
(ロ)の条件を満たしていない。ところで、内部モデル
原理に従ってシステムを設計すれば、どのような指令値
に対しても定常偏差を零とできることは知られており、
正弦波に追従させるためのシステムの条件もすでに述べ
られている(例えば、中野道雄、美多勉著:制御基礎理
論、昭晃堂(1982)第11章参照)。しかし、それ
らはシステムの極に関する一般的な理論展開に留まって
おり、具体的で実用的な伝達関数を発明し、実施した例
はない。
【0028】従って、本発明の実施例では、数5の正弦
波伝達関数を用いて、これと比例積分伝達関数を並列に
接続して負帰還制御を行っている。この制御装置の伝達
関数は、次式となる。
【0029】
【数8】
【0030】R,L負荷の伝達関数は次式であるから、
【0031】
【数9】
【0032】図1の一巡伝達関数は、
【0033】
【数10】
【0034】となり、ゲイン特性ならびに位相特性は、
図3のようになる。このように、ω=ω0 と、ω=0に
おいてゲインは無限大となり、正弦波指令値への追従と
ステップ状外乱の抑制が、同時に達成できる。
【0035】本発明の一実施例における効果を、シミュ
レーションを用いて示す。図1の構成(単相交流回路)
において、正弦波指令値の周波数f0(=ω0/2π)を
20Hzから50Hzに変化させた時の応答波形を図4に示
す。図4aは従来の比例積分制御装置を、図4bは本発
明の制御装置(比例積分伝達関数との併用)を用いた時
のシミュレーション結果である。従来方式では、ある程
度は追従するものの、位相遅れが存在し、定常偏差が残
る。本発明方式では、位相遅れがなく、完全に偏差を零
とすることができる。また、シミュレーション結果は省
略するが、正弦波指令値の振幅変化や位相角変化に対し
ても、定常偏差を零とすることができる。
【0036】次に、直流外乱に対するシミュレーション
結果を示す。負荷を三相RL負荷とし、座標変換(d−
q変換)を用いた制御装置(DC−ACR)との比較を
行った。図5a,図5bは、それぞれDC−ACRと本
発明(正弦波伝達関数と比例積分伝達関数の併用)によ
るシミュレーション結果である。指令値を一定とし、直
流電圧(ステップ状電圧)を制御対象の入力に外乱とし
て加え、その応答をd−q座標上で表した。直流外乱
は、座標変換により交流外乱へと変換されるため、DC
−ACRの比例積分伝達関数では十分に抑制することが
できない。この結果、図5aのように、d−q座標上に
おいて交流波形状の偏差が残る(交流側から見れば、直
流成分が残留していることになる)。一方、本発明方式
では、図3に示したように、直流成分(ω=0)と正弦
波指令値の角周波数(ω=ω0 )においてゲインが無限
大となるため、直流外乱の抑制と正弦波指令値への追従
が両立し、図5bのように偏差を零とすることができ
る。
【0037】三相交流電動機の電流制御を行う場合、従
来の制御装置で正弦波指令値への追従性と、ステップ状
外乱の抑制効果を得ようとすると、例えば図6aのよう
な構成になる(DC−ACRとAC−ACRの併用)。
しかし、本発明を用いれば、座標変換の必要がないた
め、図6bのように、AC−ACRのみの極めて簡単な
構成になる。
【0038】次に本発明の他の実施例について説明す
る。その負帰還制御装置の構成図は、図7のようにな
る。図1と異なるところは、正弦波電流指令値の角周波
数の関数として、積分伝達関数ゲインと正弦波伝達関数
ゲインの一方、もしくは双方を変化させている点であ
る。
【0039】正弦波指令値の周波数が変化する場合、常
に定常偏差を零とするためには、図1に示したように正
弦波伝達関数内部のω0 を指令値の角周波数に常に一致
させる必要がある。このため、正弦波指令値の角周波数
に依存して、システムのゲイン特性や位相特性が変化す
ることになる。例えば、一巡伝達関数のカットオフ角周
波数ωc 等、応答特性に寄与する要素が変化すると、オ
ーバーシュート等の問題が生じてくる。
【0040】そこで図7のように、ω0 (=正弦波指令
値の角周波数)に応じて、伝達関数ゲインを変化させ、
システムの応答特性を一定に保つ方法を提案する。
【0041】数10において、Ks =0とすると、従来
の比例積分制御装置を用いたシステムとなり、その一巡
伝達関数は次式となる。
【0042】
【数11】
【0043】ここで、
【0044】
【数12】
【0045】という関係を持たせることで、
【0046】
【数13】
【0047】とすることができる(例えば、杉本英彦編
著:ACサーボシステムの理論と設計の実際、総合電子
出版社(1990)第4章、第5章参照)。ここで、カ
ットオフ角周波数をωc として与えると、各ゲインは、
【0048】
【数14】
【0049】のように定まる。ここで、数8において
も、常にカットオフ角周波数を一定の値(ωc )にする
ことを考える。それには、数14で得られた比例積分伝
達関数と数8の伝達関数の各成分をω=ωc において一
致させれば良い。
【0050】
【数15】
【0051】上式より、
【0052】
【数16】
【0053】
【数17】
【0054】となる。Kp は常に一定でよい。Ki とK
s の間に、数17の関係が成立していれば、ω0 が変化
してもωc を一定に保つことができる。
【0055】また、図3に示したように、本発明の制御
装置を用いたシステムの一巡伝達関数は、ω0 より小さ
な角周波数ωd で、ゲインの極小値を持つという特徴が
ある。これは、積分伝達関数と正弦波伝達関数との虚数
成分のゲインが互いに打ち消し合うために生じる。ωd
は、Ki ,Ks とω0 に対して、
【0056】
【数18】
【0057】という関係にある。ωd がω0 に近い場
合、指令値に対する応答が遅くなり、逆にωd が0に近
い場合には、直流外乱に対する応答が遅くなる。そこ
で、ωd が常にω0 /2になるように各ゲインを変化さ
せることを考える。
【0058】
【数19】
【0059】さらにωc を一定に保つことも考えて、数
17〜数19を解くと、次式の関係が得られる。
【0060】
【数20】
【0061】上式に従って、KiとKsを変化させること
により、ωd=ω0 /2と、ωc一定が常に保たれる。
【0062】図8は、図7のシステムの一巡伝達関数に
おけるカットオフ角周波数付近のゲイン特性を示したも
のである。図8aは、Kp ,Ki ,Ks をそれぞれ一定
としたものであり、図8bは、Kp ,Ks を一定、Ki
を数17に従って変化させ、ゲイン特性を計算したもの
である。図8aでは、カットオフ角周波数が、正弦波指
令値の周波数f0(=ω0/2π)に依存して変化してい
る。このため、正弦波指令値の角周波数変化に伴って、
オーバーシュートが増減する等、応答特性に影響を与え
る。一方、Ki を数17に従って変化させると、図8b
のように、カットオフ角周波数が常に一定に保たれる。
これにより、オーバーシュート等の応答特性を、常に一
定に保つことができる。また、数20に従って、Ki
sを変化させた場合にも、同様の結果が得られる。
【0063】次に本発明の別の実施例について説明す
る。その負帰還制御装置の構成図は、図9のようにな
る。図1,図7と異なるところは、制御装置内部に、複
数個(n個)の正弦波伝達関数を備えている点である。
各正弦波伝達関数のゲイン(Ks0〜Ksn)、並びに角周
波数(ω0〜ωn)は、周波数検出器/ゲイン設定器によ
って、適切な値に調整される。周波数検出器/ゲイン設
定器は、指令値、ならびに出力に含まれるすべての周波
数成分、あるいは主要な周波数成分を抽出し、それぞれ
を複数個の正弦波伝達関数の角周波数に割り当てる。こ
れによって、指令値が繰返し波形である場合、あるい
は、外乱に複数個の高調波が含まれる場合でも、定常偏
差を零とできる負帰還制御装置が実現できる。
【0064】周波数/ゲイン設定器は、指令値、あるい
は外乱に含まれる成分が既知であれば特に必要はなく、
s0〜Ksn,ω0〜ωnを固定して使用してもよい。ま
た、図7の実施例のように、指令、あるいは外乱に含ま
れる成分に応じて、積分ゲインも可変とすることも可能
である。
【0065】図9の負帰還制御装置を応用したシステム
の実施例を示す。まず初めに、指令値を繰返し波形(三
角波)として、前述の電流制御システムに適用し、シミ
ュレーションを行った。制御対象は、前述の実施例と同
様に、RL直列負荷を用いた。図10aは、従来の比例
積分制御を用いた場合、図10bは、図9の実施例によ
るシミュレーション結果である。両者を比べると、本発
明の方が位相遅れが減少しており、追従性が大きく改善
されていることがわかる。
【0066】次に、図9の負帰還制御装置を経路制御に
適用した時のシミュレーション結果を示す。制御対象
を、工作機械等に代表されるサーボシステムとし、図9
の負帰還制御装置を、X軸,Y軸用に2組用意し、XY
平面上に、特定の軌跡を描く位置指令を繰返し与えた。
図11aは、従来の比例積分制御を用いた場合、図11
bは、図9の実施例を用いた場合のシミュレーション結
果である。両者の間には、経路指令(点線)に対する追
従性に大きな差があり、本発明の方が優れていることが
わかる。
【0067】以上、任意の繰返し波形指令に追従可能な
負帰還制御装置について示した。本発明は、電力用アク
ティブフィルター、工作機械やロボット等のシステムに
応用できる。また、オートチューニングや適応制御等に
見られるように、同定信号(測定信号)を指令値に重畳
させる制御システムにおいても、その指令値を繰返し波
形とみなせるため、本発明が有効に利用できる。
【0068】次に、数5の伝達関数を、実際に制御装置
として実現する場合の具体例を示す。数5の伝達関数
を、入力をu、出力をyとして、ブロック図で表すと図
12のようになる。また、図12を、演算周期が十分短
いものとして、ソフトウェアで実現すると図13のよう
なアルゴリズムになる。この他、z変換や離散値系で表
すことも可能である。
【0069】最後に、本発明を、状態フィードバック制
御等の現代制御理論に適用したときの実施例を示す。状
態フィードバック制御は、応答特性を広範囲に自由に設
定でき、かつ、極めて高いロバスト性を備えている制御
法である。しかし、従来から提案されている積分要素1
つを持つ制御装置の構成では、ステップ状の指令値変
化、あるいは外乱に対する追従性しか得られず、正弦波
指令、あるいは外乱に対しては定常偏差が残る。本発明
のシステム構成を図14に示す。この図は、数21の状
態方程式(開ループ系数式モデル)で表すことのできる
制御対象を、全状態量フィードバック制御を用いて制御
することを目的としたシステムである。
【0070】
【数21】
【0071】この時、ステップ状の指令値変化、あるい
は外乱入力に対して、定常偏差を零にするためには、図
のように積分要素を制御装置内部に設け、指令値と出力
との差を積分し、新たな状態量として操作量に加えてや
ればよい(例えば、中野道雄、美多勉著:制御基礎理
論、昭晃堂(1982)第10章参照)。
【0072】本発明では、さらに、正弦波要素を制御装
置内部に設けている。正弦波要素に含まれる2つの積分
器の出力を新たな状態量として、K01,K02のゲインを
かけて操作量に加えている。これによって、指令値、あ
るいは外乱に角周波数ω0 の成分が含まれる場合でも、
定常偏差を零にできるシステムが得られる。この場合の
各ゲインK0 ,K01,K02は、フィードバックゲインの
行列Fを求める時に、極配置法、最適レギュレータ法
(全状態量を読み込めない場合には、オブザーバ等を併
用する)等の現代制御による手法によって同時に求める
ことができる。
【0073】図14は、制御目標,操作量が1個ずつの
1入力1出力システムであるが、多入力多出力のシステ
ムに対しても、問題なく適用できる。また、角周波数ω
0 の異なる正弦波要素を複数個備えることにより、前述
の実施例のように、繰返し指令に追従(あるいは繰返し
外乱を抑制)するシステムが得られる。また、指令、あ
るいは外乱の角周波数により、それぞれのフィードバッ
クゲインを可変にし、より安定なシステムを得ることも
できる。
【0074】また、図14および数21では、連続時間
系のモデル,制御装置で表したが、離散値系のモデル、
制御装置でも同様に実施できる。
【0075】以上、本発明のいくつかの実施例を示し
た。比例積分伝達関数(積分要素)を併用した制御装置
について述べたが、繰返し波形指令に対して定常偏差を
零とすることのみが目的であれば、比例積分伝達関数
(積分要素)は特に必要なく、正弦波伝達関数(正弦波
要素)のみでも目的は達成できる。
【0076】また、積分伝達関数を用いずに、比例伝達
関数と正弦波伝達関数で制御装置を構成しても、直流成
分の外乱抑制効果が得られなくなるだけで、繰返し波形
への追従と外乱抑制は達成できる。この場合、制御パラ
メータが少なくなり、さらに、図3のようなωd におけ
るゲインの極小値も存在しなくなるため、制御系の設計
は容易になる。
【0077】また、実施例の正弦波伝達関数は、すべて
数5を用いたが、システムの安定が保たれるのであれ
ば、数6や数7でも問題はなく、これらは制御対象の伝
達関数に強く関わっている。数5を用いたのは、一次遅
れ等の遅れ要素の制御対象に対して比較的安定領域が広
いこと、パラメータが一つ(Ks )で設計が容易である
こと、等の理由による。制御系設計をさらに緻密に行う
必要があれば、数7を用いるか、あるいは位相補償器と
して微分伝達関数を併用する等して、制御装置を構成す
ればよい。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、指令値、あるいは外乱
に含まれる周波数成分を検出し、その成分に対するゲイ
ンを無限大、あるいは極大とし、かつ、システム全体を
安定とする伝達関数を制御装置に導入することにより、
任意の繰返し波形指令、あるいは外乱に対して定常偏差
を零とできる負帰還制御装置を実現することができる。
また、伝達関数ゲインを指令値の角周波数の関数とする
ことで、安定な制御システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の負帰還制御装置の構成図で
ある。
【図2】本発明における正弦波伝達関数のボード線図で
ある。
【図3】図1の実施例の一巡伝達関数のボード線図であ
る。
【図4】図1の実施例と従来方式における正弦波指令へ
の追従性を比較したシミュレーション結果である。
【図5】図1の実施例と従来方式における外乱抑制効果
を比較したシミュレーション結果である。
【図6】交流電動機の電流制御装置における従来方式と
本発明の構成を比較した図である。
【図7】本発明の他の実施例の負帰還制御装置の構成図
である。
【図8】図7の実施例の効果を示すゲイン特性図であ
る。
【図9】本発明の他の実施例の負帰還制御装置の構成図
である。
【図10】図9の実施例と従来方式における繰返し波形
指令への追従性を比較したシミュレーション結果であ
る。
【図11】図9の実施例と従来方式における経路追従性
を比較したシミュレーション結果である。
【図12】本発明における正弦波伝達関数の構成図であ
る。
【図13】本発明における正弦波伝達関数のアルゴリズ
ムである。
【図14】本発明を状態フィードバック制御へ適用した
実施例である。
【符号の説明】
1…制御対象、2…制御装置、3…周波数検出部、21
…正弦波伝達関数器、22…積分伝達関数器、23…比
例伝達関数器。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象に対して指令値を発生する手段
    と、前記指令値と前記制御対象の出力との偏差を求める
    手段と、前記偏差を伝達関数器に入力し、その伝達関数
    器の出力をもって前記制御対象を制御する負帰還制御装
    置において、前記伝達関数器に、前記負帰還制御装置を
    漸近安定とし、かつ、前記指令値に含まれる周波数成分
    に対して、ゲインが無限大、または極大となる伝達関数
    器を含めることを特徴とする負帰還制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1の負帰還制御装置において、前記
    伝達関数器に、前記負帰還制御装置を漸近安定とし、か
    つ、前記制御対象出力に含まれる外乱の周波数成分に対
    して、ゲインが無限大、または極大となる伝達関数器を
    含めることを特徴とする負帰還制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記伝達関数
    器として、下記式に示す正弦波伝達関数を用いることを
    特徴とする負帰還制御装置。 【数1】
  4. 【請求項4】請求項1または2において、前記伝達関数
    器として、下記式に示す正弦波伝達関数を用いることを
    特徴とする負帰還制御装置。 【数2】
  5. 【請求項5】請求項1または2において、前記伝達関数
    を構成する伝達関数器が、前記伝達関数器の入力に比例
    した値を計算する比例演算器と、特定の角周波数を入力
    とし、その角周波数を二乗する乗算器1と、前記伝達関
    数器の出力の帰還値と前記乗算器1の出力を乗算する乗
    算器2と、その乗算器2の出力を積分する積分器1と、
    前記比例演算器の出力から前記積分器1の出力を減算す
    る減算器と、その減算器の出力を積分する積分器2から
    構成され、その積分器2の出力を持って、前記伝達関数
    器の出力とすることを特徴とする負帰還制御装置。
  6. 【請求項6】請求項1から5において、前記伝達関数器
    内に比例伝達関数を前記伝達関数と併用して用いること
    を特徴とする負帰還制御装置。
  7. 【請求項7】請求項1から5において、前記伝達関数器
    内に比例積分伝達関数を前記伝達関数と併用して用いる
    ことを特徴とする負帰還制御装置。
  8. 【請求項8】請求項1から5において、比例積分微分伝
    達関数を前記伝達関数と併用して用いることを特徴とす
    る負帰還制御装置。
  9. 【請求項9】請求項3または請求項4において、前記正
    弦波伝達関数ゲインを、数1または数2における角周波
    数ω0 の関数として変化させることを特徴とする負帰還
    制御装置。
  10. 【請求項10】請求項7において、前記比例積分伝達関
    数における積分伝達関数ゲインと、数1における正弦波
    伝達関数ゲインを、数1における角周波数ω0 の関数と
    して、下記式に従って変化させることを特徴とする負帰
    還制御装置。ただし下記式は、角周波数ω0 に対するK
    s,Kiの比率のみを表す。 【数3】
  11. 【請求項11】請求項7において、前記比例積分伝達関
    数における積分伝達関数ゲインと、数1における正弦波
    伝達関数ゲインを、数1における角周波数ω0 の関数と
    して、下記式に従って変化させることを特徴とする負帰
    還制御装置。 【数4】
  12. 【請求項12】指令値と出力の誤差信号を入力として、
    ある角周波数に対してゲインが無限大、あるいは極大と
    なる要素を制御装置内部に持ち、その要素を構成するす
    べて、あるいは一部の積分器の出力を新たな状態量とし
    て、状態フィードバック制御を行うことを特徴とする負
    帰還制御装置。
  13. 【請求項13】請求項1から請求項12の少なくとも1
    つの負帰還制御装置を用いて、電流、あるいは電圧制御
    を行うことを特徴とするシステム。
  14. 【請求項14】請求項1から請求項12の少なくとも1
    つの負帰還制御装置を用いて、速度,トルク、あるいは
    位置制御を行うことを特徴とするシステム。
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