JPH071945Y2 - 台木切断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は台木切断装置に関し、詳細には、接木の際に使
用する台木を、人手によらずに自動的に切断することが
できる台木切断装置に関する。

〔従来の技術〕

植物の接木は、台木と穂木との接木面（切断面）を密着
させることで行なわれる。

接木の際に使用する台木は、台木茎葉を途中で切断して
上の部分を切り取り、下の部分を台木として用いてい
る。

従来、このような切断作業は、主に、手作業によって行
なわれていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、人手による台木の切断作業は、熟練を要
するため、容易ではなく、一人の作業員が１本ずつ処理
しなければならないので、時間がかかり作業を迅速に行
なうことができない。

また、斜め接ぎ等のために傾斜した切断面の台木を多数
生産する場合に、個々の台木の切断面の傾斜角度を一定
にすることは容易でない。

従って、台木の切断作業を、容易に、かつ、短時間で迅
速に行なうことができ、また、傾斜した切断面の台木を
生産する場合でも、一定の傾斜角度を得ることができる
手段が望まれていた。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の上記課題を解決するための手段は、下記の通り
である。

第１に、複数個の台木茎葉を、一度に取り込む取込部
と、取込部に取り込んだ台木茎葉を、所定の高さで切断
する回転刃を複数個有する切断部と、切り取られた茎葉
を収納する茎葉収納部とを、自走手段を備えた台車に配
置した、台木切断装置である。

第２に、第１の台木切断装置について、回転刃を、傾斜
角度調節可能にしたものである。

〔作用〕

本考案の台木切断装置によれば、台車が自走することに
より、複数個の鉢に植えられた台木茎葉が、取込部によ
って取り込まれて切断部へと誘導される。

そして、切断部の回転刃によって、所定の高さで複数個
同時に切断される。

切り取られた茎葉は、茎葉収納部に収納され、鉢に植え
られた残りの部分が台木となる。

また、斜め接ぎ等のために切断面を傾斜面にする場合
は、回転刃の傾斜角度を調節して切断を行う。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら本考案の一実施例を説明す
る。

第１図は、本考案に係る台木切断装置の一実施例の斜視
図、第２図は一部を省略した切断部を示す斜視図、第３
図は切断部の一部を示す斜視図である。

全体の構成 該実施例の台木切断装置は、自走可能な台車１に、複数
個の台木茎葉を一度に取り込む取込部２と、取込部２に
取り込んだ台木茎葉を所定の高さで切断する回転刃を複
数個有する切断部３と、切り取られた茎葉を収納する茎
葉収納部４とを、台車１の進行方向側から順に備えてい
る。

台車 台車１は、レール（図示せず）と組み合う車輪11を四隅
に有する。

進行方向側の車輪11は、駆動モータ12によって動き、台
車１を自走させる。

該車輪11は中央が凹状であり、レールから外れないよう
になっている。

車輪11と組み合わせるレールは、鉢植えの植物を育苗す
るベンチ側端の鋼材を利用することができる他、地面上
に敷設したものも利用できる。

なお、第１図中、13は、反対側の車輪11へ駆動力を伝達
する駆動伝達軸である。

取込部 取込部２は、鉢植えされた複数個の台木茎葉の位置に対
応して配置されたハ字状のガイド21を複数組備えてい
る。

また、ガイド21群の上方には、円筒状の籠車輪22を備え
ている。

籠車輪22は、台木茎葉を切断部３側へ誘導すると共に、
切断された茎葉を茎葉収納部４側へ導くものであり、ブ
ラシ等も利用できる。

該籠車輪22は、駆動モータ12を動力源とする。

切断部 切断部３は、進行方向に対して直角に配置された回転刃
31を、複数個備えている。

該回転刃31は、取込部２のガイド21によって取り込まれ
た台木茎葉を所定の高さで切断する。

それぞれの回転刃31は、ガイド21と共に、高さ調節可能
に取り付けられている。

各回転刃31は、第２図に示すように、傘歯車31aと一体
になっている。

該傘歯車31aは、駆動伝達軸32の先端側に取り付けられ
た傘歯車32aと組み合い、駆動伝達軸32の回転が、傘歯
車32a、傘歯車31aを介して回転刃31に伝えられる。

駆動伝達軸32の他端側には、軸33に取り付けられた傘歯
車33aと組み合う傘歯車32bが取り付けられ、軸33の回転
が傘歯車33a、傘歯車32bを介して駆動伝達軸32に伝えら
れる。

なお、傘歯車31aは、回転刃31の傾斜角度を調節するこ
とで傘歯車32aと組み合う位置が異なってくるが、両者
がどのような位置関係になっても、駆動伝達軸32の回転
により回転刃31は回転する。

また、駆動伝達軸32は、第３図に示すように、回転刃31
を支持する回転刃カバー34aが先端側に取り付けられた
取付管34の中に収められている。

取付管34の基端側は、取付板35に取り付けられた筒体36
に回転自在に挿入され、筒体36のボルト37により取付管
34が固定されるようになっている。

即ち、回転刃31は、ボルト37を緩めた状態で取付管34を
回転調整した後、ボルト37を固定することで、傾斜角度
の調節をすることができる。

なお、取付管34には、ガイド21が取り付けられている。

また、第１図中、38は回転刃31の動力源となる切断モー
タである。

茎葉収納部 茎葉収納部４は、台車１の進行方向に対して後部に設け
られ、上下および前後に位置調節可能な回転ブラシ41を
備えている。

該茎葉収納部４は、鋼材からなり、後部は一定の高さで
台車１に固定され、前部は切断部３につながっており、
高さが変わるようになっている。

なお、切り取られた茎葉は、最も効率的に移送出来るよ
うに、上下および前後に位置調節可能な回転ブラシ41に
よって、茎葉収納部４へ切断部３から移送される。

該回転ブラシ41は、駆動モータ12を動力源とする。

作用 次に、本実施例の台木切断装置の作用について説明す
る。

トレイに収容された鉢植えの台木茎葉は、ベンチ上で育
苗されている。

該ベンチの両サイドは、レールとして台木切断装置の台
車１の車輪11と組み合うようになっている。

駆動モータ12による回転力が、車輪11に伝えられ、台車
１が前進する。

この際、駆動モータ12の駆動力は、駆動伝達軸13を経て
反対側の車輪11にも伝えられる。

台車１の走行速度は、2m/minまでの範囲で可変とする。

台車１が前進すると、台木茎葉がガイド21によって取り
込まれ、切断部３へと誘導される。

ここで、台木茎葉の茎葉の誘導は、茎葉の最上部から5c
m程度下までの範囲を送るようにすると最も誘導しやす
いので、ガイド21の高さも台木の高さに応じて調節して
おく。

一方、籠車輪22へは、駆動モータ12の駆動力が、プーリ
を経て伝えられる。

ここで、籠車輪22の周速度は、台車１の走行速度に比例
するが、この際の比例係数は、２となるようにする。

他方、回転刃31へは、切断モータ38からの動力源が、プ
ーリと駆動伝達軸32を経て伝えられる。

ガイド21によって導かれた台木茎葉が回転刃31に接触す
ると、回転刃31の設置状態に応じた傾斜角度を有する切
断面となって切断される。

例えば、回転刃31が傾斜した状態（即ち、傾斜角度を有
する状態）の場合は、台木茎葉の切断面は、第4a図に示
すような、傾斜した楕円状切断面ａとなる。

また、回転刃31を水平状態に保つ場合は、切断面は、第
4b図に示すような、水平な円形状切断面ｂとなる。

回転刃31により切りとられた茎葉は、駆動モータ12を動
力源とする回転ブラシ41によって、茎葉収納部４へ移送
され、鉢に植えられた残りの部分が台木となる。

ここで、回転ブラシ41の周速度は、台車１の走行速度に
比例するが、この際の比例係数は、３である。

茎葉が茎葉収納部４にある程度たまったら、側方に取り
寄せ、籠等に回収する。

上記した台木切断装置について、回転刃の傾斜角度を調
節して楕円状切断面となるようにした場合には、熱収縮
チューブを利用した接木（特願平１−190671号）にも利
用することができる。

また、回転刃31をヤスリ加工することにより、活着率を
更に向上させることができる。

該回転刃31は、交換が容易であり、楽に保守を行なうこ
とができる。

〔考案の効果〕

本考案の台木切断装置によれば、台木の切断作業を人手
によらずに自動的に行なうことができる。

従って、切断作業は、熟練を要せず、簡単に行なうこと
ができる。

また、複数の台木茎葉を同時に処理することができるの
で、時間がかからず作業を迅速に行なうことができる。

また、傾斜した切断面の台木を多数生産する場合には、
個々の台木の切断面の傾斜角度を、一定に保つことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案に係る台木切断装置の一実施例の斜視図 第２図：一部を省略した切断部を示す斜視図 第３図：切断部の一部を示す斜視図 第4a図，第4b図：本考案の装置により切断した台木の斜
視図 １…台車、２…取込部 ３…切断部、４…茎葉収納部 21…ガイド、31…回転刃

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数個の台木茎葉を、一度に取り込む取込
   部と、 取込部に取り込んだ台木茎葉を、所定の高さで切断する
   回転刃を複数個有する切断部と、 切り取られた茎葉を収納する茎葉収納部とを、 自走手段を備えた台車に配置したことを特徴とする台木
   切断装置。
2. 【請求項２】回転刃を、傾斜角度調節可能にした、請求
   項１記載の台木切断装置。