JPH07182427A - マーケティング広告自動化支援システム - Google Patents

マーケティング広告自動化支援システム

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JPH07182427A
JPH07182427A JP29904094A JP29904094A JPH07182427A JP H07182427 A JPH07182427 A JP H07182427A JP 29904094 A JP29904094 A JP 29904094A JP 29904094 A JP29904094 A JP 29904094A JP H07182427 A JPH07182427 A JP H07182427A
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JP
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life
support system
scene
marketing
automation support
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JP29904094A
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Koichi Motoyama
光一 本山
Takashi Ogata
孝 小方
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    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q10/00Administration; Management
    • G06Q10/10Office automation; Time management

Abstract

(57)【要約】 本発明は、マーケティング及び広告業務における定量デ
ータと定性知識と定性データとを統合し相乗作用をもた
らすことにより、マーケティング及び広告の立案や作成
を自動化し支援するマーケティング広告自動化支援シス
テムである。本システムは、統計や因果関係から生起可
能と判断される生活シーン(有効生活シーン)の組み合
わせ作成を行うマーケティング自動化支援システム1
と、この有効生活シーンを脚色・拡張して消費者に提案
できる提案生活シーンや広告原案たる創作シーンを作成
する広告自動化支援システム2と、これらの自動化支援
システムで利用される諸々のデータ知識を有機的に構造
化したデータ知識ベース3とから構成される。本システ
ムは、人間では不可能な膨大な情報と知識を組み合わ
せ、マーケティングと広告業務に共通する中心概念であ
る生活シーンを一貫して処理し、人間では原理的に不可
能な業務統合と効率向上及び質的向上を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【001】
【産業上の利用分野】
【002】本発明は、企業のマーケティング及び広告の
立案又は作成を、人間による従来の業務方法を越えたメ
カニズムで自動化し支援し、人間では不可能な効率向上
及び質的向上を実現するマーケティング広告自動化支援
システムに関するものである。
【003】
【従来の技術】
【004】民間の自由な創意工夫により、新たな商品・
サービスが開発され、また既存の商品・サービスの使用
者や使用法や使用理由が新たに開発され新たな価値が実
現される。そして、そのような創意工夫による開発が、
国民生活に新たな福利をもたらし、幸福を増進させ、国
民経済を発展させていく。
【005】そのような開発には、技術開発・市場開発
(マーケティング)そしてその国民への伝達(広告)と
いった様々な側面が存在する。その中でも、国民経済の
成熟した現在の開発では、国民生活に新たな福利をもた
らすにマーケティングと広告が従来以上に重要となって
いる。新たな商品・サービスの技術開発においても、マ
ーケティングと広告によりその方向付けを明確にされ
る。市場が飽和した既存の商品・サービスにおいても、
マーケティングと広告により新たな価値(新しい使用者
や使用法や使用理由)が開発される。ところが、従来よ
りマーケティング及び広告の産業分野では、コンピュー
タなどの導入も計算・統計処理とその表示や文書作成や
画像作成といった作業に利用されていたに過ぎず、マー
ケティング及び広告の立案又は作成のための知的業務そ
のものは人間が対応していた。つまり、マーケター(マ
ーケティング担当者)及びクリエイター(デザイナーや
コピーライターのような広告作品制作担当者つまりクリ
エイティブ業務担当者)が、その業務を分担しながら、
人手で作業をこなしその頭で考えるという具合に対応し
ていたのである。従って、マーケティング及び広告の立
案又は作成の中核というべき知的業務を自動化し支援す
る技術又は装置又はシステムは、従来は存在しなかっ
た。
【006】それに対して、本発明はその知的業務そのも
のをシステムにより自動化し支援するものであり、単な
る自動化ではない人間の従来の業務プロセスを越えたメ
カニズムにより、人間では原理的に不可能な膨大なマー
ケティング情報の探索と組み合わせを行い、人間では原
理的に不可能な一貫したマーケティング及び広告の立案
又は作成の統合を行うものであり、人間では原理的に不
可能な効率向上及び質的向上を実現する。
【007】マーケティングと広告の業務統合のために
は、両者で共通に扱う事物概念を一貫して扱うシステム
が有効である。本発明では、マーケティングと広告で共
通に扱う事物概念の中心として、対象事物である「商
品」と商品を使用する「セグメント」(人間つまりは生
活者全体をいくつかの類型に分類したもの、以下では生
活者セグメントとした場合も同じ)と商品を使用する具
体的な生活行為の動詞的概念である「生活動詞」の組み
合わせである『生活シーン』(生活の場面)を考える。
このような生活シーンの組み合わせは、ライフスタイル
という概念とかかわりが深い。
【008】実際、近年、消費者を生活者ととらえ、ライ
フスタイル研究の進展の成果を生かしつつ、生活者のラ
イススタイルに合ったマーケティング及び広告を行うと
いうアプローチが、広く採られるようになった。本発明
では、そのようなマーケティングアプローチをライフス
タイルマーケティングと呼ぶことにする。ライフスタイ
ルマーケティングとは、マーケティングにおける特別な
一部門と考えるより、マーケティングで当然に行われる
べき生活シーンの「生活動詞×セグメント×商品」とい
う組み合わせの検討をライフスタイルないしセグメント
という観点から強調したアプローチと考える事が自然で
あり、そのような生活シーンの組み合わせの検討自体は
全てのマーケティングに必須の要件である。
【009】そこで先ず、従来の人間によるマーケティン
グ及び広告の業務のありかたを、典型例としてのライフ
スタイルマーケティングという観点から検討する。但
し、以下ではライフスタイルマーケティングはマーケテ
ィング及び広告の業務のありかたの典型例として説明に
供するのみであり、当然ながら本発明のシステムの方法
はマーケティング及び広告の業務一般を広く支援し、人
間では原理的に不可能な効率向上及び質的向上を実現す
るものである。
【010】ライフスタイルマーケティングの趣旨又は理
念は、次のように整理できよう。
【011】(1) 多様化への対応 生活者のニーズやライフスタイルが多様化し、市場が多
様な生活者のセグメント(生活者セグメント、以下略し
てセグメントと呼ぶ)に分化するようになった。そこ
で、商品又はマーケティングミックス(商品・価格・チ
ャネル・プロモーションというマーケティング政策の組
み合わせ)を各々のセグメントに焦点を合わせて用意す
ることで、多様化した各々のセグメントの市場を獲得し
ようとする試みが行われる
【012】(2) ターゲット戦略 多様化した全てのセグメントに対応することが得策でな
い場合もある。分化した多数のセグメントがすべて自社
(又は自事業部や自SBU)に対応可能で魅力的な市場
であるとは限らないからである。そこで、多数のセグメ
ントの内から、特定のセグメントを、自社のターゲット
セグメントとして選択することを、ターゲット戦略と呼
ぶ。経営資源の制約や市場としての魅力を考慮すると、
分化した多数のセグメント全てに対応することは少ない
と考えられるので、一般には、ライフスタイルマーケテ
ィングとはターゲット戦略と同義としてさしつかえな
い。
【013】(3) 飽和の中での新市場の創造と拡大 消費が飽和し生活者自身にも何が欲しいか分からないと
いう状況では、先進的なターゲットセグメントに企業が
新しいライフスタイルを提案し新しい市場を創造する必
要がある。しかも、ターゲットセグメントが、他のセグ
メントにも影響力を持つか、又は他のターゲットの将来
的な動向を先取りしている場合には、新たな市場が他の
セグメントへと波及し拡大することを狙う事もできる。
又、ライフスタイルの提案は具体的なものからイメージ
的なものまで様々な幅があるが、この内でイメージ的な
ライスフタイルの提案は、飽和によって生活者の商品へ
の関与が概して低下し、従来のような商品ベネフィット
を説得するようなプロモーションよりも、イメージ的広
告のほうが有効であるという状況にも、対応できる。
【014】(4) 商品のコンセプトとポジショニング
(位置付け) 上述3点はセグメントの分化やターゲットセグメントを
所与とした場合のライフスタイルマーケティングである
が、これとは逆に、商品を与所としたライフスタイルマ
ーケティングが行われる場合も多い。新たな商品(技
術、シーズともいう)が存在する場合、その新市場を創
造したり、その市場に新規参入するためには、どのよう
なセグメントをターゲットするべきか、彼等のどのよう
なニーズにどのような商品ベネフィットをコンセプト
(ベネフィットの内でユニークな強調点で検討の出発点
となるもの、その商品を利用する理由)として訴求する
べきか、それを受けて商品のポジショニング(位置付
け)をどう選択するか、決定が必要である。
【015】
【発明が解決しようとする課題】
【016】しかし、上述のライフスタイルマーケティン
グの理念を現実の企業のマーケティングにおいて実現す
るには、つまりマーケティングと広告の業務統合には、
原理的な困難があリ、その実現は事実上不可能であっ
た。以下、次の目次により、1章で従来のライフスタイ
ルマーケティングがどのような手順を踏んで行われるか
を説明し、2章で従来のマーケティングと広告の業務統
合を阻む原理的な困難について知識工学を援用して考察
し、3章でライフスタイルマーケティングの実施手順に
おける原理的な困難の顕在化の例について述べ、4章で
現状の課題の整理を行い、5章で現状の課題の原因を整
理して述べ、6章で本発明の目的を整理して述べる。
【017】尚、既に述べたように、ライフスタイルマー
ケティングにおけるライフスタイルの組み合わせは広告
とマーケティングの両者で共通に扱う事物概念であり、
その検討自体は全てのマーケティングに必須の要件であ
る。従って、下記の課題は全てのマーケティングや広告
の形態に共通するものであり、原理的な困難と人間の能
力による限界は経営学等のマーケティングや広告に関す
る学問でも真剣に議論されているところであるが、現状
ではその課題を解決するには至っていなかった。
【018】目次 1章 ライフスタイルマーケティングの実施手順 1章1節 生活者セグメントの分類とターゲットの選択 1章2節 提案生活シーンの作成 1章3節 広告クリエィティブの創作 2章 マーケティングと広告の統合に係わる原理的な困
難 2章1節 異なる種類の能力の融合 2章2節 組み合わせ空間の膨大さ 2章3節 定量データと定性知識や定性データとの乖離 2章4節 分割しての相互参照を統合できない 3章 ライフスタイルマーケティングの実施手順におけ
る原理的な困難の顕在化の例 3章1節 提案生活シーンの作成 3章2節 広告クリエィティブの創作 4章 原理的困難への対応 5章 現状の課題の整理 6章 現状の課題の原因 7章 本発明の目的
【019】1章 ライフスタイルマーケティングの実施
手順
【020】1章1節 生活者セグメントの分類とターゲ
ットの選択
【021】生活者全体をいくつかのセグメントに分類
し、それらの中から自社が目標とすべきターゲットセグ
メントを選択する必要がある。しかし、ライフスタイル
分類によるセグメント分類やその中からのターゲットセ
グメント選択のための定量調査(定量市場調査や定量生
活調査のようなマーケティングのための多数のサンプル
を用いた定量的な調査)の設計とその解析のための統計
手法は、アカデミックには存在するが、実企業でそれを
実行することは現実的にも原理的にも難しい。
【022】そのため現状では、特定の事業領域でのセグ
メント分類・ターゲットセグメント選択の妥当性を検討
する客観的手段が存在しないし、分類・選択が主観的で
独断的で妥当性が保証されない。そのため、セグメント
の分類やターゲットセグメントの選択及びそのニーズや
プロフィールの記述は、客観的な定量調査結果(定量デ
ータ)とマーケターの持つ事業領域に固有な定性知識や
定性データに基づく主観を、無原則に統一のとれていな
い状態で交えたものであり、独断的なものになりがちで
ある。因子分析とクラスター分析といった統計手法によ
りセグメントを分類した場合も、ターゲットセグメント
選択のための調査の設計や解析を、人間が(後述する定
性知識や定性データに基づいて)行う一貫した方法論が
存在しないため、やはり最終的にはマーケターが主観的
に決定する場合が多く、独断的なものになりがちであ
る。
【023】定量的な市場調査手法を実企業で実行するこ
とは困難であることから、マーケティングの分野では、
広範な生活者サンプルについて定量的なアンケートを実
施し因子分析とクラスター分析といった統計手法により
セグメントを分類する一般的ライフスタイル分類のプロ
ジェクトが存在する。そしてしばしば、そのような一般
的ライフスタイル分類という一般的セグメント分類が、
特定の事業領域におけるセグメント分類に流用される。
一般的ライフスタイル分類としては米国スタンフォード
調査研究所(STANFORD RESEARCH I
NSUTITUTE、略称SRI)のVALUE AN
D LIFESTYLE(略称VALS)が有名であ
る。
【024】しかし、このような一般的ライフスタイル分
類が、特定の事業領域におけるセグメントとして妥当で
ある可能性は必ずしも高くない。特定の事業領域におい
て一般的ライフスタイル分類をそのままセグメント分類
に流用する場合は、あるセグメントをターゲットとして
選択することの妥当性は稀薄なものとなりがちである。
【025】1章2節 提案生活シーンの作成
【026】次に、ターゲットセグメントのニーズやプロ
フィールを勘案して、彼等に提案すべきライフスタイル
のコンセプトを定め、その具体的な生活シーン(本発明
では提案生活シーンと呼ぶ)を作成する必要がある。こ
のプロセスは、多様化対応のためにも必要であるが、特
に新市場創造・拡大のためには不可欠である。提案生活
シーンは、定量データの統計的裏付けにより、又は商品
/セグメントの特性や生活文化からの因果的必然性によ
り、実際に生じる可能性(生起可能性)があり、現実妥
当(現実にある又は有り得るという意味でマーケティン
グ目的に妥当する)で、しかも共感を生むように魅力的
でなけらばならない。
【027】しかし、作成された提案生活シーンはしばし
ば、現実妥当性はあるが魅力が無かったり、魅力はある
が現実妥当性がなかったりすることになる。あるいは、
提案すべき新しさが無く、セグメントのニーズやプロフ
ィールの同義反復に過ぎない提案生活シーンとなること
が、実際しばしばある。この様な事情により、極言する
ならば、ライフスタイルマーケティングのための作業は
現状はでライフスタイルの「分類のための分類」に終わ
る場合が多い。
【028】1章3節 広告クリエィティブの創作
【029】次に、ターゲットセグメントを含む提案生活
シーンに合致し、しかも競争環境等の外部経営環境と自
社技術シーズ等の内部経営環境(企業保有資源)に合致
したマーケティングミックスを作成する必要がある。広
告とはマーケティングミックスの一部のプロモーション
の更に一部であるが、その広告作品(広告クリエイティ
ブともいう)の創作には、大きな困難が存在する。提案
生活シーンを受けてマーケティング目的と合致した広告
作品を創作することは、現実にはきわめて難しい。実
際、当初の提案生活シーンを逸脱し、クリエイティブと
しては洒落ているが、マーケティングとしての現実妥当
性が無いものとなってしまう場合が多い。
【030】一例を挙げると、ある上場企業で自由な発想
で作った小型ファックスの広告は、若者がダンス仲間と
の連絡に使うというものであったが、家庭や中小事務所
をターゲットセグメントとしていたマーケティング目的
と乖離し、マーケティングとしての現実妥当性が無いも
のとなってしまった。この他にも、小型パソコンの広告
において、クリエイターが自信をもって作成した広告は
大学生の卒業式で卒業生が歓喜の声を挙げているという
ものであったが、マーケターの観点からはそれがなぜパ
ソコンの広告になるのか疑問となったという例がある。
【031】このようなマーケティングと広告の乖離は、
オリエンテーション(広告主による趣旨 説明)とプレゼンテーション(制作された広告作品の説
明)の乖離として、日常業務に頻発する問題である。こ
のように、マーケターの求める現実妥当性とクリエイタ
ーの本性である自由な芸術的創造性とを一致させること
は極めて難しい。極言すれば、一致は幸運な偶然によ
る。広告は、当たるも当たらないもクリエーターの能力
やセンスやひらめきに大きく依存し、合理的な経済的行
為の中ではリスクが極めて大きな部類に入るといえよ
う。
【032】以上により、多くの企業やマーケティングコ
ンサルタントがライフスタイルマーケティングやターゲ
ット戦略を目指しているにもかかわらず、成果を挙げた
客観的な例を見出だすことは難しい。
【033】2章 マーケティングと広告の統合に係わる
原理的な困難
【034】マーケティングと広告の各々の業務とそれら
の統合には、『異なる種類の能力の融合』『組み合わせ
空間の膨大さ』『定量データと定性知識や定性データと
の乖離』『分割しての相互参照を統合できない』という
4つの本質的な原理的困難が存在する。この4つの本質
的な原理的困難は、相互に関連しつつ、後述するように
マーケティングと広告の全ての側面に多かれ少なくなか
れ影を落とすのである。
【035】2章1節 異なる種類の能力の融合
【036】提案生活シーン作成や広告作品創作には、現
実妥当性を裏付けるマーケティング的論理能力と、生活
者への感情移入によって生活者の欲求を身を以て看取す
る生活感覚と、そして魅力的な提案生活シーンや広告作
品を作成創作するクリエイティブな発想能力や芸術的創
造性という、異なる種類の能力の融合が要求される。し
かし、その融合による業務の実現は、現実には極めて難
しい(関連議論としては[Barabba199
1])。これは、論理と感性という異なる能力の両立の
難しさと言っても良い。
【037】提案生活シーン作成には、主として、現実妥
当性を裏付けるマーケティング的論理能力と、生活者へ
の感情移入によって生活者の欲求を身を以て看取する生
活感覚という、異なる種類の能力の融合が要求される。
提案生活シーンの作成をそのような融合により行う業務
は、マーケターのみで行うにせよ、クリエイターと共同
で行うにせよ、現実には極めて難しく、事実上不可能で
ある。調査手法に詳しい几帳面タイプの人材が、同時に
洒落た生活感覚を有するということ自体既に難しいこと
は、すぐに想像できる。ために、作成された提案生活シ
ーンはしばしば、現実妥当性はあるが魅力が無かった
り、魅力はあるが現実妥当性がなかったりすることにな
る。
【038】広告作品の創作では、現実妥当性を裏付ける
マーケティング的論理能力と、魅力的な広告作品を創作
するクリエイティブな発想能力や芸術的創造性というよ
うに、融合が要求される異なる種類の能力の対比はより
鮮明となる。創作に際してクリエイターは、当初の提案
生活シーンを踏まえた上で(制約として)クリエイティ
ブな発想をするよう強いられ、自分の本性である自由な
発想(ここでは一種の芸術的創造性)を制限されるから
である。その結果、当初の提案生活シーンという制約を
逸脱し、クリエイティブとしては洒落ているが、マーケ
ティングとしての現実妥当性が無いものとなってしまう
場合が多く、広告作品の創作をマーケティング目的に整
合させることは困難である。これは、『分割しての相互
参照を統合できない』という本質にも係わる。
【039】2章2節 組み合わせ空間の膨大さ
【040】形式的には、提案生活シーンとは、そこで商
品を使用する主人公であるセグメントとそこでの目的事
物である商品とそこでなされる生活行為の動詞的概念
(通常の言語文法でいえば純粋な動詞のみならず副詞・
副詞句や補語や目的語・目的句の用法をも含む)である
生活動詞と時間と場所の組み合わせであり、またその
「生活動詞×セグメント×商品×時間×場所」の組み合
わせを必要に応じて時系列などで繋げたものである。ま
た、その中心は、生活シーン(「生活動詞×セグメント
×商品」の組み合わせ)の内で生起可能なもの(有効生
活シーンという)である。
【041】例えば、生活シーンの「生活動詞×セグメン
ト×商品」を「20×10×50」としても、それだけ
で1万の組み合わせ空間となる。次に、提案生活シーン
は、その組合せに時間と場所を加え必要に応じて時系列
などで繋げたものであり、組合せ空間は一層膨大とな
る。まして、これを広告に展開する業務の全体の組み合
わせ空間は、更に膨大である。問題点の本質の1つは、
このような組み合わせ空間の膨大さが人間の堅実な処理
の能力を越えていることである。
【042】2章3節 定量データと定性知識や定性デー
タとの乖離
【043】定量データ(定量調査の結果やデータベー
ス)と事業領域の定性知識(経験に基づく意見やノウハ
ウや勘)や定性データ(記事やグループインタビューの
結果)とが泣き別れの状態となり、その結び付けは個々
人の主観的な作業に依存し、一貫した方法論で統合する
ことができないため、マーケティングの知識やデータの
普遍的な再利用が進まない。そのため、知識やデータの
管理と運用が、主観的かつ属人的なものとなる。結果と
して、マーケティングの様々な検討の過程と結論が、主
観的なものとなり、健全で完全であるというような普遍
的な妥当性も保証されない。広告作成のための知識(技
法)についても同様である。
【044】以下では、定量データと事業領域の定性知識
や定性データについて、その定義と詳細な問題点を述べ
る。
【045】(1)知識とは、事実と信念(仮説)とルー
ルからなる。事実と信念(仮説)は、システムでは、フ
レーム/オブジェクト/述語/リスト等の形式をとる。
ルールは、前提と結論という形式をとり、システムで
は、ファジィルールや定性微分方程式系又はニューラル
ネットワークとして表すこともできる。ルールは、事実
と信念(仮説)を操作し、結論として新たな事実と信念
(仮説)を導く。
【046】(2)データとは、事実やルールの作成に利
用される現実に係る資料である。
【047】(3)マーケティングにおける知識やデータ
の内容は、事業領域の商品のベネフィット、生活におけ
る様々な事物や欲求(ニーズ)や傾向、及び事業の経営
環境(競争環境等のその他外部経営環境とシーズ等の内
部経営環境つまり企業保有資源など)その他に関するも
のである。
【048】(4)ニーズに関する知識やデータは、マー
ケターが生活者への感情移入によって得る場合も多い。
つまり、生活者の欲求を身を以て看取する生活感覚が必
要な知識やデータである。
【049】(5)ニーズに関する知識やデータは、後述
する一般的ライフスタイル分類のプロジェクト調査の様
な定量調査や一般的なマーケティングデータベースに
は、含まれていない内容も多い。しかし、特定の事業領
域に特下した定量調査の実行は難しい。
【050】(6)定量データとは、定量調査の調査項目
の結果又は各種データベースのオリジナルの測定データ
や、クロス表の検定のような規範的統計量や因子分析の
ベクトルのような記述的統計量である。
【051】(7)定性データとは、雑誌記事や文献や取
材によって、又はグループインタビュー等の定性市場調
査によって得られるデータであり、定量調査の結果のよ
うな統計的な裏付けは無い。形式的にはテキストの場合
が多いが、テキストにさえ整理されていない場合も多
く、明確に整理されている訳ではない。つまり、そのデ
ータベースがモヤモヤしているということができる。
【052】(8)定性知識とは、その事業領域における
定性データや経験に基づいて蓄積された意見や勘やノウ
ハウといった職人的な知識である。従って定量的あるい
は客観的な裏付けは少なく、マーケターの主観に依存す
る部分が大きい。その事実や信念は、フレーム/オブジ
ェクト/述語/リストとしてメタファーでき、またそれ
らは真偽を断定できない多値的なものであるので確信度
付きものやファジィ変数とメタファーできるが、そのよ
うに明確な形式に整理されている訳ではなく、事実と信
念の区分も曖昧である。それを操作するルールも、真偽
を断定できない多値的なものであるので、ファジィルー
ルや定性微分方程式系又はニューラルネットワーク、及
びそれら様々な形式の知識を管理するメタ知識としてメ
タファーできるが、そのように明確な形式に整理されて
いる訳ではない。実際の定性知識の形式は、個人のメモ
や企業の資料といったテキストの場合もあるが、テキス
トにさえ整理されていない記憶のような場合が多く、そ
の知識ベースがモヤモヤしているということができる。
その運用もルールによる操作のような明確なものではな
く、一種の直感や発想という形をとる場合が多い。しか
も、定性知識の根拠となった定量データや定性データと
の関係も記憶やメモといったモヤモヤした形でしか管理
されておらず、その根拠や操作変数である定性データ自
体がモヤモヤしている部分が大きい。以上により、定性
知識はきわめて主観的かつ属人的で、普遍的な共有は難
しく、健全で完全であるというような普遍的な妥当性も
保証されない。
【053】(9)先に、ライフスタイル分類によるセグ
メント分類やその中からのターゲットセグメント選択の
ための定量調査の設計とその解析のための統計手法は、
アカデミックには存在するが、実企業でそれを実行する
ことは現実的にも原理的にも難しいことを指摘したが、
その理由は次のような事情による。 定量調査の設計とその解析のためには、マーケターの
持つ経験に基づく意見や勘やノウハウ等の定性知識(事
実や信念やルールとして表現可能なもの)やグループイ
ンタビュー結果等の定性データ(テキスト等)と、本質
的にその形式を異にしている定量データ(オリジナルの
測定データや、クロス表の検定のような規範的統計量や
因子分析のベクトルのような記述的統計量)とを、相互
に変換しなければならない。 だが、その変換には一貫した普遍的な方法論があるわ
けではなく、その変換自体は、アカデミックな修練によ
る属人的な技量に基づいた、主観的な作業というべきも
のである。 特に、時々刻々入手される事業領域の定性データや定
性知識を、実企業でその定量調査の漏れのない設計と十
分なサンプルサイズでの実査と解析を実行することは、
時間的・資金的・人材的に不可能であり、定性データや
定性知識を定量調査で裏付けることは難しい。 大まかに述べても、定性知識や定性データと定量データ
の間には次のような相互作用が存在する。 定性データから定性知識の事実やルールを形成する。 定量データから定性知識の事実やルールを形成する。 定性データにより定性知識の事実やルールを検証する。 定量データにより定性知識の事実やルールを検証する。 定量データの蓄積から定性データを形成する。 定量データにより定性データを検証する。 定性知識から得られた結論を定量データで検証する。 しかし、人間にはそのようなダイナミックな相互作用を
統合的に管理し運用することは、事実上不可能である。
【054】(10)マーケティングや経営学の分野では
様々な研究や調査プロジェクトが様々な事実やルールに
係る定性的又は定量的なデータを明らかにしている。
又、マーケティングや経営学の分野では、様々な理論的
研究や実証的研究が種々の事実や因果関係等のルールの
知識を明らかにしている。しかし、個別におこなわれ研
究の成果たる事実やルールの管理と運用は、関係する個
々人の属人的な注意と努力に依存し、結局マーケターは
その研究成果を組織的網羅的に再利用することはできな
い。事実をルールに当てはめることで得ることができる
はずの様々な結論(新たな事実)をついても同様であ
る。
【055】以上の様な事情により、次のような問題が生
じる。 <1>定量データと事業領域の定性知識や定性データと
が泣き別れの状態となり、その結び付けは個々人の主観
的な作業に依存し、一貫した方法論で統合することがで
きない。 <2>マーケティングの知識やデータの普遍的な再利用
が進まない。 <3>そのため、知識やデータの管理と運用が、主観的
かつ属人的なものとなる。 <4>結果として、マーケティングの様々な検討の過程
と結論が、主観的なものとなり、健全で完全であるとい
うような普遍的な妥当性も保証されない。
【056】2章4節 分割しての相互参照を統合できな
【057】組み合わせの原理を考えれば、マーケティン
グ及び広告の業務において、セグメントの分類やターゲ
ットセグメントの選択のプロセスと、提案生活シーンを
作成するプロセスと、更にマーケティングミックス作成
や広告創作のプロセスとは、本来は整合する全体の組み
合わせ(広告作品をもその一部として含むマーケティン
グ全体の計画)を作成するための独立した順番ごとのプ
ロセスである。しかし、個々の組み合わせ空間だけでも
膨大であるので、全体の組み合わせ空間は余りにも膨大
である。例えば、可能なセグメント分類全てについて生
起可能な有効生活シーンの組み合わせを考え、その各々
の有効生活シーンの組み合わせ全てについて提案生活シ
−ンを考える、というような網羅的な方法で全体の組み
合わせを作成することは、組み合わせ空間が更に膨大と
なることから、人間の堅実な処理の能力を越え、しかも
それぞれに異なる種類の能力が能力が必要であり、原理
的に困難であり現実的には不可能である。
【058】そこで実務では、各々のマーケティング及び
広告の業務のプロセスは、本来は整合する全体の組み合
わせを作成するための独立した順番ごとのプロセスであ
るにもかかわらず、マーケターとクリエーターの別々の
職能組織や職能担当者に分割され、分割されたマーケタ
ーとクリエーターの別々の職能組織や職能担当者が会議
等で調整し合うという形で相互参照的に行われる。つま
り実務では、独立した順番ごとのプロセスで全体の組み
合わせを作成するようなことはせず、まちまちの順番で
行いつつ相互参照で調整するのである。又、個々の組み
合わせ空間が余りにも膨大であるので、このような分割
と相互参照的は、同一の職能組織や職能担当者の中でも
行われる。
【059】例えば、セグメント分類と提案生活シーンの
組み合わせは、同時に検討し組み合わせが成り立つセグ
メントのみ考えるというように相互参照的に行わなけれ
ば、全体の組み合わせ空間が余りにも膨大であるので、
人間には検討仕切れなくなってしまう。このような経緯
で、実際の業務では、セグメントの分類自体をこの提案
生活シーンの組み合わせを想定して相互参照的に行い、
組み合わせ生成を効率的に行おうとする。しかし、これ
が裏目となって、作成された提案生活シーンはしばし
ば、現実妥当性はあるが魅力が無かったり、魅力はある
が現実妥当性がなかったりすることになる。あるいは、
組み合わせ要素たるセグメントのニーズやプロフィール
の同義反復に過ぎない提案生活シーンとなることが実際
しばしばあり、極言するならば、ライフスタイルマーケ
ティングのための作業は現状はでライフスタイルの「分
類のための分類」に終わる場合が多い。
【060】このように分割して相互参照的に行なう理由
は、先に挙げた『異なる種類の能力の融合』『組み合わ
せ空間の膨大さ』という本質が、一体となって生じたも
のである。しかし、そのように全体の組み合わせ生成を
分離して相互参照的に行なっても、マーケターとクリエ
ーターの調整は『異なる種類の能力の融合』ゆえに困難
であり、個々の『組み合わせ空間の膨大さ』はやはり人
間の堅実な処理の能力を越えている。むしろ、分割され
たプロセスを相互参照によって統合する一貫した方法が
存在しないため、全体の整合性がとれなくなってしま
う。
【061】3章 ライフスタイルマーケティングの実施
手順における原理的な困難の顕在化の例
【062】3章1節 提案生活シーンの作成
【063】定性知識や定性データから有効生活シーンや
その候補である生活シーンを作成するのにも、その作成
のための一貫した普遍的な方法論があるわけではない。
又、ここでも『組み合わせ空間の膨大さ』が人間の堅実
な処理の能力を越えている。
【064】定性知識や定性データと定量データとのダイ
ナミックな相互作用を通じて有効生活シーンを作成する
ための一貫した普遍的な方法論も、存在しない。例え
ば、定量データから明らかになった事実を定性知識のル
ールに当てはめ、新たな事実をアイディアとして得たと
しよう。しかし、定性知識や定性データを頭の中に描き
定量データを人手で操作しながらアイディアを検討する
こと自体が、大変複雑で時間のかかる作業である。定性
知識や定性データから作成された有効生活シーンのアイ
ディア(候補)を定量データで裏付けるには、「セグメ
ント×商品」と「生活動詞×セグメント」と「商品×生
活動詞」というそれぞれの調査結果のクロス表のページ
をめくって見比べながら、3つの組み合わせ比率を頭の
中で整理する必要がある。双対尺度法のような多変量統
計解析を利用しても2つの組み合わせを視覚化できるに
過ぎない。もし、商品と生活動詞を1つに纏めてセグメ
ントと双対尺度法を行うと、商品と生活動詞が混在し、
分析が曖昧になる。
【065】コンピュータで「生活動詞×セグメント×商
品」のクロス集計をすればページをめくって見比べる手
間は省けるが、その事実をさらに定性知識のルールに当
てはめ、新たな事実をアイディアとして得るというサイ
クルは、人間で対応するには限界がある。定量データの
クロス計算から「生活動詞×セグメント×商品」の組み
合わせを計算するだけでは、定性知識や定性データが反
映されず意味の希薄な表装的な組み合わせも乱造され、
そのままでは人間に管理できない。膨大な組み合わせの
中から望ましい組み合わせを選ぶことは、人間には不可
能である。
【066】結局、マーケターは定量データのクロス表を
新しい発見のために使うのではなく、自分のアイディア
を確認するために利用している場合がほとんどであり、
定量調査からはマーケターの当初のアイディア以上のも
のを得ることは原理的にも現実的にも不可能である。ま
して有効生活シーンに時間と場所を追加して「生活動詞
×セグメント×商品×時間×場所」の組み合わせを完成
し、必要に応じてその組み合わせを繋げて、共感を生む
ように魅力的な提案生活シーンにまとめることは、人間
の堅実な処理の能力を越えている。実際、生起可能なも
のとして発見した有効生活シーンの組み合わせ全てにつ
いて、共感を生むように魅力的な提案生活シーンの組み
合わせや広告作品やその他マーケティングミックスを考
えることはできない。これは、『異なる種類の能力の融
合』『組み合わせ空間の膨大さ』という双方の本質にか
かわる問題である。
【067】3章2節 広告クリエィティブの創作
【068】クリエーターのクリエイティブな発想や芸術
的創造性は、創作のための定性的知識の運用によるもの
であるが、これはマーケティングの知識以上に *知識の普遍的な再利用が進まない。 *知識の管理と運用が、主観的かつ属人的なものとな
る。 *創作の過程が、主観的なものとなり、ターゲットの共
感を得る保証がない。 という問題が深刻なものとなる。広告は、当たるも当た
らないもクリエーターの能力やセンスやひらめき次第と
いうリスクが大きなものとなり、経済的行為としての合
理的を確保することが困難となる。
【069】4章 原理的困難への対応
【070】『異なる種類の能力の融合』に解決するため
には、マーケティング業務と広告作成業務の夫々に該当
する知識ベースを同一のシステムにより一貫したメカニ
ズムに統合し、、現実妥当性を裏付けるマーケティング
的論理能力と魅力的な提案生活シーンや広告作品を作成
創作するクリエイティブな発想能力の間で、人間による
対応では原理的に不可能な融合を実現するべきである。
【071】『組み合わせ空間の膨大さ』を解決するため
には、知識ベースの運用により可能な組みを自動的・網
羅的に検討すると共に、人間に無意味な羅列と受け止め
られることなく、人間が意味を感じ取れるようにするた
めに、人間の発想を反映できるシステムとするべきであ
る。
【072】『定量データと定性知識や定性データとの乖
離』を解決するためには、定量調査の定量データとマー
ケター等の持つ定性知識及び定性データをシステムによ
り一貫したメカニズムの知識とデータに統合し、そのセ
グメントの分類・選択もその一貫したメカニズムに包含
するべきである。また、従来の知識ベースを用いたシス
テムでは、事前に知識を獲得したり事後的に知識を追加
修正する事に大きな障害が存在したが、定量データと定
性データと定性知識が相乗作用をもたらすような形で事
後的に柔軟に知識を追加修正でき、人間の持つ定性デー
タと定性知識をシステムが取り込み再利用し、人間が定
性知識を再構築しそれを再び知識ベースに反映できるよ
うにするべきである。
【073】『分割しての相互参照を統合できない』を解
決するためには、マーケティングと広告で共通に用いら
れる中心的概念である有効生活シーンを用いて、システ
ムの探索過程を整合する全体の組み合わせを作成するた
めの独立した順番ごとのプロセスとして、統合するべき
である。
【074】本発明は、上述のようにして、原理的困難へ
対応しそれを解決する。
【075】5章 現状の課題の整理
【076】従来よりマーケティング及び広告の産業分野
では、コンピュータなどの導入も計算・統計処理とその
表示や文書作成や画像作成といった作業に利用されてい
たに過ぎず、マーケティング及び広告の立案又は作成の
ための知的業務そのものは人間が対応していた。つま
り、マーケター及びクリエイターが、その業務を分担し
ながら、人手で作業をこなしその頭で考えるという具合
に対応していたのである。従って、マーケティング及び
広告の立案又は作成の中核というべき知的業務を自動化
し支援する技術又は装置又はシステムは、従来は存在し
なかった。
【077】先ず、従来の人間によるマーケティング及び
広告の業務の手順と課題を、ライフスタイルマーケティ
ングを典型例として検討すると、次のようになる。
【078】まず、生活者全体をいくつかのセグメント
に分類し、それらの中から自社が目標とすべきターゲッ
トセグメントを選択する必要がある。ライフスタイル分
類によるセグメント分類やその中からのターゲットセグ
メント選択のための定量調査の設計とその解析のための
統計手法は、アカデミックには存在するが、実企業でそ
れを実行することは現実的にも原理的にも難しい。その
ため、セグメントの分類やターゲットセグメントの選択
及びそのニーズやプロフィールの記述はしばしば、客観
的な定量調査結果(定量データ)とマーケターの持つ主
観を、無原則に統一のとれていない状態で交えた、独断
的なものになりがちである。
【079】次に、ターゲットセグメントのニーズやプ
ロフィールを勘案して、彼等に提案すべきライフスタイ
ルのコンセプトを定め、その具体的な生活シーン(本発
明では提案生活シーンと呼ぶ)を作成する必要がある。
しかし、作成された提案生活シーンはしばしば、現実妥
当性はあるが魅力が無かったり、魅力はあるが現実妥当
性がなかったりすることになる。あるいは、組み合わせ
要素たるセグメントのニーズやプロフィールの同義反復
に過ぎない提案生活シーンとなることが実際しばしばあ
り、極言するならば、ライフスタイルマーケティングの
ための作業は、現状ではライフスタイルの「分類のため
の分類」に終わる場合が多い。
【080】更に、提案生活シーンを受けてマーケティ
ング目的と合致した広告作品を創作することも、現実に
はきわめて難しい。実際、当初の提案生活シーンを逸脱
し、クリエイティブとしては洒落ているが、マーケティ
ングとしての現実妥当性が無いものとなってしまう場合
が多い。このようなマーケティングと広告の乖離は、オ
リエンテーションとプレゼンテーションの乖離として、
日常業務に頻発する問題である。広告は、当たるも当た
らないもクリエーターの能力やセンスやひらめきに大き
く依存し、合理的な経済的行為の中ではリスクが極めて
大きな部類に入るといえよう。
【081】ライフスタイルマーケティングにおけるライ
フスタイルの組み合わせは広告とマーケティングの両者
で共通に扱う事物概念であり、その検討自体は全てのマ
ーケティングに必須の要件である。従って、上述の課題
は全てのマーケティングや広告の形態に共通するもので
あり、かかる原理的な困難と人間の能力による限界は経
営学等のマーケティングや広告に関する学問でも真剣に
議論されているところであるが、現状ではその課題を解
決するには至っていなかった。
【082】6章 現状の課題の原因の整理
【083】以下に挙げる4つの本質的な相互に関連する
原理的な困難が、上記課題の原因である。 『異なる種類の能力の融合』; 提案生活シーン作成や
広告作品創作には、現実妥当性を裏付けるマーケティン
グ的論理能力と、生活者への感情移入によって生活者の
欲求を身を以て看取する生活感覚と、そして魅力的な提
案生活シーンや広告作品を作成創作するクリエイティブ
な発想能力や芸術的創造性という、異なる種類の能力の
融合が要求される。しかし、その融合による業務の実現
は、現実には極めて難しい。
【084】『組み合わせ空間の膨大さ』;例えば、生活
シーンの「生活動詞×セグメント×商品」を「20×1
0×50」としても、それだけで1万の組み合わせ空間
となる。次に、提案生活シーンは、そこで商品を使用す
る主人公であるセグメントとそこでの対象事物である商
品とそこでなされる生活行為の動詞的概念である生活動
詞と時間と場所の組み合わせであり、またその「生活動
詞×セグメント×商品×時間×場所」の組み合わせを必
要に応じて繋げたものであり、一層膨大となる。まし
て、広告とマーケティングの業務の全体の組み合わせ空
間は、更に膨大である。このような組み合わせ空間の膨
大さが人間の堅実な処理の能力を越えている。
【085】『定量データと定性知識や定性データとの乖
離』;定量データ(定量調査の結果やデータベース)と
事業領域の定性知識(経験に基づく意見やノウハウや
勘)や定性データ(記事やグループインタビューの結
果)とが泣き別れの状態となり、その結び付けは個々人
の主観的な作業に依存し、一貫した方法論で統合するこ
とができないため、マーケティングの知識やデータの普
遍的な再利用が進まない。そのため、知識やデータの管
理と運用が、主観的かつ属人的なものとなる。結果とし
て、マーケティングの様々な検討の過程と結論が、主観
的なものとなり、健全で完全であるというような普遍的
な妥当性も保証されない。広告作成のための知識(技
法)についても同様である。
【086】『分割しての相互参照を統合できない』;各
々のマーケティング及び広告の業務のプロセスは、本来
は整合する全体の組み合わせ(広告作品をもその一部と
して含むマーケティング全体の計画)を作成するための
独立した順番ごとのプロセスであるにもかかわらず、マ
ーケターとクリエーターの別々の職能組織や職能担当者
に分割され、職能組織や職能担当者が会議等で調整し合
うという形で相互参照的に行われる。つまり実務では、
独立した順番ごとのプロセスで全体の組み合わせを作成
するようなことはせず、まちまちの順番で行いつつ相互
参照で調整するのである。しかし、分割されたプロセス
を相互参照によって統合する一貫した方法が存在しない
ため、全体の整合性がとれなくなってしまう)。
【087】7章 本発明の目的
【088】以上の課題を受け、本発明の目的は次の通り
である。
【089】マーケティングにおいて、定量調査の定量
データとマーケター等の持つ定性知識及び定性データを
システムにより一貫したメカニズムの知識とデータに統
合し、そのセグメントの分類・選択もその一貫したメカ
ニズムに包含する。また、知識獲得や事後的に知識を追
加修正する上で従来の知識ベースを用いたシステムに存
在した障害を解決するため、定量データと定性データと
定性知識が相乗作用をもたらすような形で事後的に柔軟
に知識を追加修正でき、人間の持つ定性データと定性知
識をシステムが取り込み再利用し、人間が定性知識を再
構築しそれを再び知識ベースに反映できるようにする。
それにより、『定量データと定性知識や定性データとの
乖離』を克服し、マーケティングの知識やデータの普遍
的な再利用をもたらし、知識やデータの管理と運用の主
観性や属人性を解決し、マーケティングの様々な検討の
過程と結論に普遍的な妥当性を与える。また、『組み合
わせ空間の膨大さ』を克服して、人間の理解と発想を生
かしつつ、人間では処理できないようなセグメントと商
品と生活動詞の膨大な組み合わせ空間を検討し、生起す
る可能性が客観的に有効な有効生活シーン、つまりシス
テムで統合されたマーケティング的論理に裏付けられた
現実妥当性のある有効生活シーンを作成する。このよう
に、マーケティング業務を、人間による従来の業務方法
を越えたメカニズムで自動化し支援し、人間では原理的
に不可能な効率向上及び質的向上を実現する。
【090】魅力的な提案生活シーンや広告作品を創作
するクリエイティブな発想能力のための様々な知識を、
システムにより一貫したメカニズムの知識に統合する。
それにより、クリエイティブな創作の知識の普遍的な再
利用をもたらし、知識の管理と運用の主観性や属人性を
解決し、クリエイティブの様々な創作の過程と作品に、
ターゲットの共感を得る普遍的な裏付けを与える。ま
た、『組み合わせ空間の膨大さ』を克服して、人間では
処理できないような複数の提案生活シーンの膨大な組み
合わせ空間を検討し、ターゲットが共感する可能性が客
観的に予想できる提案生活シーンや広告作品、つまりシ
ステムで統合されたクリエイティブな発想能力に裏付け
られた提案生活シーンや広告作品を作成創作する。この
ように、マーケティングと広告作成の業務を、人間によ
る従来の業務方法を越えたメカニズムで自動化し支援
し、人間では原理的に不可能な効率向上及び質的向上を
実現する。
【091】マーケティング業務と広告作成業務を同一
のシステムにより一貫したメカニズムに統合する。これ
によって、現実妥当性を裏付けるマーケティング的論理
能力と魅力的な提案生活シーンや広告作品を作成創作す
るクリエイティブな発想能力の間で、人間による対応で
は原理的に不可能であった『異なる種類の能力の融合』
が実現される。また、『分割しての相互参照を統合でき
ない』という問題を克服し、整合する全体の組み合わせ
を作成するための、独立した順番ごとのプロセスを踏ま
え、生活者の間に生起が客観的に予想できるマーケティ
ング計画と彼等が感動する可能性が客観的に予想できる
広告作成を、統合的に実現できる。
【092】
【課題を解決するための手段】
【093】上記目的を達成するための、本発明によるマ
ーケティング広告自動化支援システムの全体構成を図1
に示す。図1において、1は、セグメント、生活動詞、
商品、場所及び時間のうち少なくとも3つを含む組み合
わせで、定量データの統計的裏付けにより、又は商品/
セグメントの特性 や生活文化からの因果的必然性によ
り、実際に生じる可能性(生起可能性)が有効な生活シ
ーン(有効生活シーン)を作成するマーケティング自動
化支援システム、2は、生活シーンの構成要素に具体的
データを入れある登場人物(セグメント)がある場所・
時間の設定においてある商品を使用している状況を時間
的に推移する登場人物(セグメント)の行為の連鎖の形
式に展開した提案生活シーンを作成し、これを語彙の脚
色や他の提案生活シーンとの合成・結合等によって拡張
して、必ずしも現実的には生起可能性を持つとは言えな
いが広告原案としての魅力を持つ創作シーンを作成する
広告自動化支援システム、3は、生活知識ベース、マー
ケティングデータ知識ベース(定量調査データベース、
因果関係知識ベース等)、物語作成知識ベース(物語関
係知識ベース、物語構造知識ベース、語彙関係知識ベー
ス、提案生活シーン知識ベース等)等を内蔵したデータ
知識ベースである。
【094】ここで、本発明のマーケティング広告自動化
支援システムは、たとえばワークステーションネットワ
ーク等の一般のコンピュータシステムの任意のハードウ
ェア上に構築させることもでき、また専用装置として実
現させることもできる。
【095】
【作用】
【096】図1に示されるように、マーケティング広告
自動化支援システムは、マーケティング自動化支援シス
テム1、広告自動化支援システム2及びデータ知識ベー
ス3から構成される。
【097】マーケティング自動化支援システム1は、上
記目的を達成するためのもので、マーケティングの定
量的市場調査の定量データとマーケターの持つ定性的知
識及び定性的データを一貫したメカニズムにおいて統合
し、セグメントの分類・選択もその一貫したメカニズム
に包含する。図2はマーケティング自動化支援システム
の構成図であり、これは、生活動詞、生活者セグメン
ト、商品、場所及び時間のうち少なくとも3つを含む組
み合わせで定量データの統計的裏付けにより、又は商品
/セグメントの特性 や生活文化からの因果的必然性に
より、実際に生じる可能性(生起可能性)が有効な生活
シーン(有効生活シーン)を作成するメインモジュール
たる生活シーン作成モジュールと、メインモジュールに
呼び出されて統計的処理や因果的処理等を行ないまたデ
ータ・知識ベースを管理するユーティリティモジュール
と、上記モジュールにおいて必要となる生活動詞、生活
者セグメント、商品、場所、時間等の分類と属性を記述
したデータ知識ベースとの3つの部分から構成される。
【098】広告自動化支援システム2は上記目的を達
成するためのものであり、この構成を図3に示す。広告
自動化支援システムは、マーケティング自動化支援シス
テムによって作成された生活者セグメント、生活動詞、
商品、場所及び時間の組み合わせとして構成される生活
シーンを入力として、これらの構成要素を具体化してあ
る登場人物(セグメント)がある場所と時間の状況設定
においてある商品を使用している生起可能性を持った出
来事を、時間的に推移する登場人物(セグメント)の行
為の連鎖の形式として記述して消費者に提案するシーン
に具体的イメージを付与した提案生活シーンを作成する
提案生活シーン作成モジュールと、この提案生活シーン
を入力として、その中の語彙を置換したりそれを別の提
案生活シーンと合成・結合したりすることによって広告
原案に利用できる創作シーンを作成する創作シーン作成
モジュールとの二つのモジュールと、提案生活シーン作
成モジュール及び創作シーン作成モジュールにおいて使
用し生活シーンの各構成要素の具体例を内蔵した知識ベ
ースと、創作シーン作成モジュールにおいて使用し提案
生活シーン、語彙知識、複数の提案生活シーンを結合す
るための知識を内蔵した知識ベースから構成される。
【099】マーケティング広告自動化支援システムは、
マーケティング自動化支援システムと広告自動化支援シ
ステムで生活知識ベースを共有しマーケティングと広告
で共通に扱う事物概念である生活シーンを受け渡しさ
せ、マーケティング自動化支援システムと広告自動化支
援システムの両者を統合し、上記目的を達成するもの
である。これによって、現実妥当性を裏付けるマーケテ
ィング的論理能力と魅力的な提案生活シーンを作成する
クリエイティブな発想能力との人間による対応では原理
的に不可能であった融合が現され、生活者の間に生起し
しかも彼等が感動する可能性が客観的に有効なマーケテ
ィング計画と広告作成を統合的に実現できる。
【100】図4はデータ知識ベース3の構成図である。
このうち、生活知識ベースはマーケティング自動化支援
システムと広告自動化支援システムとにおいて共有さ
れ、本発明をマーケティング広告自動化支援システムと
して統合する効果をもたらす。図28のように生活知識
ベースは、生活項目の知識を整理分類した生活項目知識
ベース、生活動詞の知識を整理分類した生活動詞知識ベ
ース、生活者の知識を整理分類したセグメント知識ベー
ス、商品を初めとした目的事物の知識を整理分類した目
的事物知識ベース、時間の知識を整理分類した時間知識
ベース、場所の知識を整理分類した場所知識ベース、既
知の生活シーンの知識を整理分類した既知生活シーン知
識ベース,及びクラス生活の属性や生活項目や生活シー
ンの間の制約を整理分類した生活制約知識ベースのうち
少なくとも1つを部分知識ベースとして含み、必要によ
り部分知識ベース間の関係の知識を持つ。
【101】
【実施例】
【102】上記のように構成されたマーケティング広告
自動化支援システムの作用を、4章にわたって説明す
る。第1章ではその入出力のための基本的形式につい
て、第2章では出力の流れについて、第3章ではマーケ
ティング自動化支援システムの具体的なモジュール構成
と作用について、第4章では広告自動化支援システムの
具体的なモジュール構成と作用について説明する。5章
では、物語型CFの構造分析と広告の物語生成過程につ
いて説明する。6章では生活知識ベースの具体的な部分
知識ベース構成と作用について説明する。
【103】それらの目次は次のとおりである。 第1章 入出力のための基本的形式 1章1節 クラス生活 1章2節 生活動詞 1章3節 生活者セグメント 1章4節 生活項目 1章5節 生活シーン 1章6節 有効生活シーン 1章7節 提案生活シーン 1章8節 創作シーン 1章9節 述語データによる表現 2章 全体の流れ 3章 マーケティング自動化支援システム 3章1節 マーケティング自動化支援システムのモジュ
ール構成 3章2節 定量データの統計処理による有効生活シーン
の組み合わせ作成 3章3節 因果関係知識ベースによる有効生活シーンの
組み合わせ作成 3章3節.1 前向き推論による方法 3章3節.2 後向き推論による方法 3章4節 生活シーン候補作成の制御 3章5節 因果関係知識ベースの構成方法 3章5節.1 人間に入力させることによる構成方法 3章5節.2 定量データの統計処理による事実の作成
方法 3章5節.3 定量データの統計処理による因果ルール
の作成方法 3章5節.4 失敗に基づく因果関係知識ベースの構成
方法 4章 広告自動化支援システム 4章1節 広告自動化支援システムの全体構成 4章2節 提案生活シーン作成モジュールと生活シナリ
オ知識ベース 4章3節 創作シーン作成モジュール 4章4節 ジャンル別創作シーン作成モジュール、物語
作成モジュール及び物語作成知識ベース 4章5節 シンボル置換形式創作シーン作成モジュー
ル、シンボル置換モジール 4章6節 実生活形式創作シーン作成モジュール、物語
合成モジュール及び物語関係適用モジュール 4章6節.1 物語合成モジュール 4章6節.2 物語関係適用モジュール 4章6節.2.1 並列関係による実生活形式創作シー
ンの作成 4章6節.2.2 原因−結果関係による実生活形式創
作シーンの作成 4章6節.2.3 対照関係による実生活形式創作シー
ンの作成 4章6節.2.4 欠如−充足関係による実生活形式創
作シーンの作成 4章7節 ドキュメンタリー形式創作シーン作成モジュ
ール 5章 物語型CFの構造分析と広告の物語生成過程 5章1節 はじめに 5章2節 物語の基本的方法 5章3節 CFの構造分析 5章4節 広告の物語生成過程に関る諸知識 6章 生活知識べース
【104】説明に際して、本明細書では、いわゆるオブ
ジェクト指向プログラミングに倣って、幾つかの手続き
と属性を持つ事物概念をオブジェクトと呼び、抽象的な
オブジェクトの類型をクラスと呼び、オブジェクトの概
念階層構造の内で、上位概念をスーパークラスと呼び、
下位概念をサブクラス、事物概念たるオブジェクトの具
体例をインスタンスと呼ぶこととする。勿論、幾つかの
手続きと属性を持つ事物概念の階層的表現であれば、別
の呼称であってもかまわない。
【105】第1章 入出力のための基本的形式
【106】1章1節 クラス生活
【107】生活とは、次のような属性を有するオブジェ
クトのクラスである。 尚、必要により目的事物の属性は次のように表現しても
よい。 目的事物たる商品(使用する物財又はサービス財)の数
n 目的事物たる商品(使用する物財又はサービス財)i
(1ton)の格「で」又は「を」 目的事物たる商品(使用する物財又はサービス財)i
(1ton)
【108】クラス生活の各属性も、クラス・インスタン
スの階層構造を持つオブジェクトである。従って、生活
知識ベースの部分知識ベースである生活動詞知識ベース
とセグメント知識ベースと目的事物知識ベースと時間知
識ベース及び場所知識ベースのそれぞれが、当該属性の
オブジェクトの階層構造を現わしている。
【109】1章2節 生活動詞
【110】クラス生活の属性である生活動詞は、生活行
為の動詞的概念の知識を整理分類したオブジェクトであ
る。その知識ベースである生活動詞知識ベースは、生活
行為の動詞的概念の通俗的な概念による分類の階層的な
知識ベースであり、そのクラス生活への代入を通じて後
述する生活領域に反映される。
【111】ここで、生活行為の動詞的概念である生活動
詞は、人工知能の手法を用いて述語は述語論理の形式で
表現すると効率的である。そこで、行為たる述語に生活
動詞を当て、述語の引数に主語と目的事物と時間と場所
を持たせた形式の述語論理を用意し、述語データと呼
ぶ。行為たる述語にdoという変数を、述語データの引
数の主語と目的事物と時間と場所に夫々who,wha
t,when,whereという変数を当てると、述語
データは次のような一般的な形式を取る。 do(who,what,when,where) このような述語データは、クラス生活の表現形式の1つ
であり、後述するように他の表現を用いてもよい。
【112】述語データとクラス生活の各属性は次のよう
に対応する。 do 生活動詞 who 生活者セグメント what 目的事物たる商品 when 時間 where 場所 述語データの形式を拡張すれば、必要により目的事物の
次のような属性を表現することもできる。 目的事物たる商品(使用する物財又はサービス財)の数
n 目的事物たる商品(使用する物財又はサービス財)i
(1ton)の格「で」又は「を」 目的事物たる商品(使用する物財又はサービス財)i
(1ton)
【113】尚、述語論理の述語の用法は、通常の言語文
法でいえば純粋な動詞のみならず副詞・副詞句や補語や
目的語・目的句の用法をも含む。例えば 「太郎は元気にテニスを行なう」 という通常の言語表現は、述語論理の用法では 元気にテニスを行なう(太郎) テニスを行なう(太郎、元気に) 行なう(太郎、テニス、元気に) のいずれとしても表現可能である。本発明の生活動詞も
生活行為の動詞的概念であり、通常の言語文法でいえば
純粋な動詞のみならず副詞・副詞句や補語や目的語・目
的句の用法をも含む。
【114】但し、既述のように、従来は商品と生活動詞
を1つに纏めてセグメントと双対尺度法を行うと、商品
と生活動詞が混在し、分析が曖昧になるというきらいが
あった。この改善のため、本発明では、商品のような目
的事物は生活動詞に含めない。
【115】1章3節 生活者セグメント
【116】クラス生活の属性である生活者セグメント
は、生活する人間たる生活者の整理分類したオブジェク
トであり、略してセグメントと呼ばれる。本発明ではセ
グメントの分類(セグメンテーション)を、属性分類と
して行なう。各属性も、階層を持つオブジェクトであ
り、セグメントの知識ベースであるセグメント知識ベー
スに整理分類される。属性分類は、例えば次の6つの属
性の組み合わせにより生成される。 年齢; 2才まで、6才まで、小学生、中学生、高校
生、18−22才、29才まで、30代、40代、65
才まで、65才以上 性別; 男、女 職業/役職; 勤労者(アルバイト、平、管理職)、自
営業、農業、経営者、自由業 収入; 高、中、低 学歴; 高、中、低 家族形態; 単身、夫婦子供なし、核家族、3世代家族 価値観; オピニオンリーダー性(他への影響力)(高
い、低い)、トレンドリーダー性(流行・新規事項の採
用)(高い、低い)
【117】尚、セグメントクラスは必要に応じて特記事
項の属性を持つこともできる。従って、セグメントクラ
スは例えば次のような形式となる。 セグメントx 性別 x1 職業 x2 役職 x3 収入 x4 学歴 x5 家族形態 x6 価値観 オピニオンリーダー性 x7 トレンドリーダー性 x8 特記事項
【118】ここでセグメントのインスタンスの例を挙げ
ると次のようになる。 例1 セグメント;ギャル1(OL等の働くキャリア女
性) 年齢 平均27才 性別 女 職業 会社員(OL) 役職 最多値ヒラ 収入 平均270万円 学歴 4年生大学卒 家族形態 最多値親元 価値観 オピニオンリーダー性 平均高い トレンドリーダー性 平均高い 特記事項 ストレス多い 例2 セグメント;オヤジ 年齢 平均42才 性別 男 職業 会社員 役職 課長 収入 平均750万円 学歴 4年生大学卒 家族形態 夫婦子供あり 価値観 オピニオンリーダー性 平均低い トレンドリーダー性 平均低い特記事項 ストレス
多い
【119】ここで、職業/役職と収入と学歴は多分に従
属であり、また特記事項に記載する調査項目に由来する
多くの属性には当然に多変量間の従属があるので、この
ような従属する属性については、必要に応じて主成分分
析や因子分析や数量化3類や数量化4類や多次元尺度構
成法やクラスター分析といった分類のための統計処理に
より整理する。
【120】セグメントを決定する属性は、定量生活者調
査や定量市場調査等の定量調査の次のような属性調査項
目により測定される。 例1 あなたの年齢を応えてください。 例2 あなたの性別を応えてください。
【121】1章4節 生活項目
【122】クラス生活の変数の少なくとも1つが定数に
具体化したクラスを、生活項目という。述語データの形
式で特定の調査項目を生活項目に変換すると次の例のよ
うになる。 例1 調査項目;貴方は焼き鳥屋に行きますか? より 述語データ;食(who,焼き鳥,when,焼き鳥
屋) 例2 調査項目;貴方は居酒屋に行きますか? より 述語データ;飲食(who,what,when,居酒
屋) 例3 調査項目;貴方はお酒を飲みますか? より 述語データ;飲(who,酒,when,where)
【123】その知識ベースである生活項目知識ベース
は、生活領域とライフスタイルという2つのサブクラス
を統合した、階層的な知識ベースである。生活領域とラ
イフスタイルの定義は次のとおりである。
【124】生活領域;「衣(装)」「食」、「住」のよ
うな、通俗的で生活動詞に基づく分類である。生活行為
の動詞的概念の通俗的な概念による分類である生活動詞
知識ベースをクラス生活への代入を通じて反映したサブ
クラスである。
【125】ライフスタイル; 「お洒落な都会風」伝統
和風」のような、生活動詞には基づかない分類である。
生活行為の定量調査データの統計解析による分類で得ら
れるサブクラスである。
【126】従って、個々の生活項目のサブクラスは、生
活領域というスーパークラスとライフスタイルというス
ーパークラスから多重継承したサブクラスである。多重
継承の例は図5の通りである。個々の生活項目のサブク
ラスは、次のように用意される。
【127】(1)定量生活者調査や定量市場調査等の定
量調査に含まれる調査項目を、又は定性生活者調査や定
性市場調査等の定性調査に含まれる調査項目を、システ
ム開発者又は使用者がオブジェクトの階層構造へ変換す
ることで、用意される。
【128】(2)使用者が、自らの知る生活の具体的な
姿を、オブジェクトの階層構造へ変換することで、用意
される。
【129】生活領域は、多くの定量調査に見られる「衣
(装)」「食」、「住」、「働(職業、家事)」「遊
(レジャー、交際、学、芸術創造、趣味)」「移動」
「情報活動」「育(育児、教育)」「健康管理」という
ような相互には排反しない分類を用いる。従って、生活
項目のサブクラスは、多くの生活領域のスーパークラス
として持ち、多重継承することがある。多重継承の具体
例は、図5の通りである。
【130】ライフスタイルは、定量調査の調査項目を、
主成分分析や因子分析や数量化3類や数量化4類や多次
元尺度構成法やクラスター分析といった分類のための統
計処理を行なう事によって得られる。ここでは、例とし
て定量調査の調査項目を因子分析し一定の調査項目を含
む上位の因子が得られ、かつ上位の因子空間でのクラス
ター分析によってその他の調査項目を含むクラスターが
形勢されたとしよう。それぞれの調査項目は、生活項目
知識ベースに含まれる生活項目のサブクラスに該当する
ものとして変換される。従って、一定の調査項目を含む
因子又はクラスターは、該当する生活項目をサブクラス
として持つライフスタイルである。上位の因子空間での
クラスター分析によってその他の調査項目を含むクラス
ターを用意する理由は、寄与率の低い因子よりも寄与率
の高い空間でのクラスターのほうが人間に理解しやすい
ためである。
【131】例えば、定量調査の調査項目の統計処理によ
り「ワインを飲む」「銀食器で食事する」「タキシード
を着る「ゴールドカードで支払らう」を含む因子は又は
クラスター「お洒落な都会風」が形勢されたとすると、
夫々の調査項目に対応する生活項目をサブクラスとして
持つライフスタイル「お洒落な都会風」が形勢される。
同様に、調査項目の統計処理により「日本酒を飲む」
「漆食器で食事する」「茶道を趣味とする」「俳句を趣
味とする」を含む因子は又はクラスター「お洒落な都会
風」が形勢されたとすると、夫々の調査項目に対応する
生活項目をサブクラスとして持つライフスタイル「伝統
和風」が形勢される。
【132】このようなサブクラスたるライフスタイル
へ、事後的に人間が、属性や当初の調査項目に無かった
サブクラスやデフォルトの属性値を付与することも出来
る。例えば、サブクラス「伝統和風」の属性場所にデフ
ォルトの「和室」を追加したり、サブクラス「伝統和
風」のサブクラスに当初の調査項目には無かった「書
道」を追加したりすることができる。
【133】尚、このような生活項目知識ベースの構築の
手法は、定量調査の調査項目の作成支援にも利用可能で
ある。
【134】従来は、ライフスタイル分類とは、サンプル
(人間)の因子得点空間でのクラスター分析の結果であ
り、分類が生活項目の分類なのかセグメント(人間)の
分類なのか判然としない嫌いがあった。つまり、従来の
ライフスタイルマーケティングでのライフスタイル分類
は、生活項目とセグメントの媒介変数だった。
【135】そのため従来は、「ライフスタイル分類と属
性」や「属性と生活項目(又は因子得点表)」のクロス
表をマーケターが参照して見直すという、繁雑なことを
行なう必要があった。例えば、焼き鳥屋と競馬協会にと
っての新市場創造としてオヤジギャルを考えてみよう。
因子分析によって焼き鳥と競馬を含むオヤジ的因子なる
ものがあると分かり、クラスター分析によってその因子
得点が高く競馬や焼き鳥を好んで行なうオヤジのような
ライフスタイルのセグメントが存在することが分かり、
そのセグメントをオヤジ的ライフスタイルと名付けたと
しよう。次に、オヤジ的ライフスタイルというセグメン
トを構成するのは当然にオヤジであろうと考えつつ「ラ
イフスタイル分類と属性」のクロス表を見てみると、以
外にもオヤジ的ライフスタイルというセグメントには属
性(年齢)がオヤジのサンプルのみならずヤングのサン
プルが少なからず含まれていることを見付け、青年なの
にオヤジのような(オヤジ的な)ライフスタイルの人々
をオヤジヤングと呼ぶと決めたとしよう。注意して欲し
い事は、このオヤジヤングというセグメントは当初のク
ラスター分析ではオヤジ的ライフスタイルのセグメント
に埋没しており、「ライフスタイル分類と属性」のクロ
ス表を見て初めて発見されたということである。この発
見を裏付けるために、マーケターは、次にページをめく
って「属性と生活項目(又は因子得点表)」のクロス表
で、確かにヤングには焼き鳥と競馬を行うサンプル(オ
ヤジ的因子の因子得点が高いサンプル)が少なからずい
ることを確認する必要がある。
【136】それに対して本発明では、ライフスタイルと
セグメントの関わりは、組み合わせ生成によって検討さ
れるので、従来のライフスタイル研究よりシンプルでか
つ網羅的な組み合わせのメカニズムを提供する。
【137】既述のように、現状のマーケティングと広告
の業務では、本来は独立した順番ごとのプロセスである
組み合わせ生成を分割してかつ相互参照的に行うため、
提案生活シーンはしばしば、組み合わせ要素たるセグメ
ントのニーズやプロフィールの同義反復に過ぎないもの
となる。本発明の方法ではそのような混乱を避けること
ができる。
【138】オヤジヤングの様な特殊なセグメントは、セ
グメント知識ベースのサブクラスであるヤングのサブク
ラスとして、又はセグメント知識ベースのサブクラスで
ある特殊セグメントのサブクラスとして用意される。こ
こでは、オヤジヤングは、ヤングと特殊セグメントンと
いう2つのスーパークラスから多重継承する。
【139】1章5節 生活シーン
【140】クラス生活の属性の内、生活動詞とセグメン
ト及び生活に使用される目的事物たる商品とが具体的に
組み合わされたものを、生活シーンと呼ぶ。従って、生
活シーンはクラス生活のサブクラスである。生活シーン
とは、生活動詞とその主人公(セグメント)と使用され
る物財・サービス財(商品)という3つの属性が、定数
として代入され、具体化されるたものである。
【141】クラス生活のサブクラスである生活シーン
は、次のような形式の特定の述語データとして表現でき
る。 特定の生活動詞(特定のセグメント、特定の商品,wh
en,where)
【142】クラス生活の属性生活動詞を先ず代入して生
活シーンの作成を行なうとすると、特定の生活動詞の代
入を行なった時点では、生活シーンの主人公(セグメン
ト)と使用物サービス(商品)は具体的に代入されては
おらず変数の扱いとなる。しかし、定量調査の調査項目
によっては、次の例のように生活シーンに特定の生活動
詞を代入する時点で、生活シーンの商品をデフォルトの
定数として持つ場合がある。 例1 調査項目;貴方は高級レストランで食事する事が
ありますか? 商品 高級料理 例2 調査項目;貴方は銀食器を使う事がありますか? 商品 銀食器 例3 調査項目;貴方はJリーグの試合を見に行く事が
ありますか? 商品 Jリーグチケット
【143】特定の生活動詞の代入を行なった時点では、
生活シーンの場所と時間は原則として変数の扱いとす
る。しかし、定量調査の調査項目によっては、次の例の
ように生活シーンに特定の生活動詞を代入する時点で、
生活シーンの時間や場所をデフォルトの定数として持つ
場合がある。 例4 調査項目;貴方はキャンプファイアーをしますか
? 時間 夜 場所 観光地 例5 調査項目;貴方は高級レストランで食事する事が
ありますか? 場所 高級レストラン
【144】又、生活動詞とセグメントと商品との組み合
わせを行ない、生活シーンのサブクラスを生成する過程
で、場所と時間をデフォルトの定数として持つ場合があ
る。 例6 OL(セグメント)は栄養ドリンク(商品)を 仕事で疲れているので(後述する因果的推論) 仕事が終わった夜(時間)、家で(場所)飲む(生活動
詞)
【145】1章6節 有効生活シーン
【146】生活動詞とセグメントと商品の組み合わであ
る生活シーンの内、統計や因果関係等から現実に生起す
る可能性が有効であり、現実妥当な生活シーンを、マー
ケティングにおいて有効な生活シーンという意味で、有
効生活シーンと呼ぶ。有効生活シーンは事実の一種であ
る。
【147】ある生活シーンが有効生活シーンであるか否
かが決定していない状態では、その生活シーンは有効生
活シーンの候補と見ることができるので生活シーン候補
と呼ぶ。また、生活シーン候補が有効生活シーンでない
ことが決定すると、それはもはや生活シーン候補ではな
いが有効生活シーンでもないことから、非有効生活シー
ンと呼ぶ。
【148】1章7節 提案生活シーン
【149】一般に企業又はそのマーケターは、単に現実
に起こり得る組み合わせである有効生活シーンを、消費
者たる生活者に提案できるように、より具体的で説得力
があり共感を呼ぶシーンへと肉付けする必要がある。そ
こでは、有効生活シーンの時間や場所等を具体化した
り、例えばドライブという有効生活シーンを自宅を出る
イベント(出来事)と湖を通るイベントへと展開するよ
うに有効生活シーンを複数のイベントへ展開することが
行われる。
【150】その際個々のイベントもそれぞれが有効生活
シーンであれば、矛盾(制約違反)が生じない。但し、
梅干しの後に鰻を食べないと言うような固有の制約は、
後述するように別途生活知識ベースにて管理する。ま
た、有効生活シーンの粒度によりどれだけのイベントに
展開すべきかが変わるので、生活動詞と生活シーンの粒
度を、これも後述するように別途生活知識ベースにて管
理する。
【151】このような有効生活シーンから生活者に提案
できるように肉付けられたシーンを、提案生活シーンと
呼ぶ。提案生活シーン作成をシステムで自動的に行なえ
ば、企業のマーケティング活動やマーケターを支援し人
間では不可能な効率向上及び質的向上を実現することが
できる。又、雑誌・新聞広告で提案生活シーンをそのま
ま広告クリエイティブに利用する場合は、提案生活シー
ンが十分に広告クリエイティブとしての魅力を有するな
ら、企業の広告活動やクリエイターの支援も実現でき
る。提案生活シーンが、そのままでは広告クリエイティ
ブとしての魅力を有しさない場合は、次に挙げる創作シ
ーンを利用する。
【152】クラス生活のサブクラスである提案生活シー
ンやイベントは、次のような形式の特定の述語データで
ある。 特定の生活動詞(特定のセグメント、特定の商品、特定
の時間、特定の場所)
【153】1章8節 創作シーン
【154】提案生活シーンが、そのままでは広告クリエ
イティブとしての魅力を有しさない場合は、広告クリエ
イティブとして感動を呼び起こすシーンを創作する必要
がある。これを、創作シーンと呼ぶ。創作シーン作成を
システムで自動的に行なえば、企業の広告活動やクリエ
イターを支援し人間では不可能な効率向上及び質的向上
を実現することができる。
【155】創作シーンは感動を呼び起こすためのもので
あるから、必ずしも現実性を持つ必要はなく。感動を呼
び起こすために「月でリキュールを飲む」というような
非現実的なシーンでも良い。従って、創作シーンには、
現実的な創作シーンと非現実的な創作シーンが有り得
る。
【156】テレビCFの場合は、提案生活シーンや創作
シーンを複数つなげてストーリーとして展開する必要が
ある。この際も、提案生活シーンをそのまま広告クリエ
イティブとしてストーリー化する場合や、創作シーン
(現実的な創作シーンや非現実的な創作シーン)をスト
ーリー化する場合の、2通りが考えられる。
【157】1章9節 述語データによる表現
【158】既述のように、一般に知識は事実と信念(仮
説)とルールからなり、一般に事実と信念(仮説)はシ
ステムではフレーム/オブジェクト/述語/リスト等の
形式をとる。本実施例のマーケティング自動化支援シス
テムでは、システム製作の便宜上から、クラス生活と及
びそのサブクラスの階層構造である生活項目やライフス
タイルや生活領域や生活シーン候補や有効生活シーン及
び各種の事実や仮説やそれらを含む因果ルールの表現に
は、述語データの形式を用い、後述するように生活シー
ン候補や有効生活シーン及び各種の事実や仮説の管理に
述語データ管理モジュールを設ける。但し、述語データ
は、あくまでも生活シーンや事実や仮説やそれらを含む
因果ルールの表現のための1つの形式に過ぎないのであ
って、それをフレーム/オブジェクト/述語/リスト等
のいかなる形式で表現しても内容は同様であり等しく本
発明の主旨に含まれる。
【159】2章 全体の流れ
【160】マーケティング自動化支援システムが、生
起可能でマーケティングにおいて有効な生活シーンであ
る有効生活シーンを決定する。マーケティング自動化支
援システムは、まず生活シーン候補を用意しその中から
有効生活シーンを決定するという作用だけではなく、有
効生活シーンを直接作成するという作用も持つ。
【161】広告自動化支援システムが、有効生活シー
ンを、生活者に提案できるより具体的で共感を呼ぶシー
ンへ肉付け、その有効生活シーンの時間と場所を具体化
し、必要により複数のイベントへと展開することで、提
案生活シーンを作成する。
【162】広告自動化支援システムが、提案生活シー
ンを、広告クリエイティブとして感動を呼び起こす創作
シーンへと展開し、テレビCFの場合は更に創作シーン
を展開してストーリー化する。
【163】3章 マーケティング自動化支援システム
【164】3章1節 マーケティング自動化支援システ
ムのモジュール構成マーケティング自動化支援システム
は、メインモジュールたる生活シーン作成モジュール、
ユーティリティモジュール、データ知識ベースという、
既に述べた図2の3つの部分より構成される。各モジュ
ールはより詳細な階層部分により構成され、その一覧は
図6の通りである。又、作用の全体的な流れの概略は図
7の通りである。以下では、図6(便宜のため以下にも
同じものを記載する)の一覧に付した包含関係を表す番
号に従って順に、箇条書き的に説明する。
【165】1 メインモジュール 1 生活シーン作成モジュール 1−1 生活シーン候補作成モジュール 1−1−1 生活シーン候補組み合わせモジュール 1−1−2 生活シーン組み合わせ置換モジュール 1−1−2−1 置換要素指定モジュール 1−1−3 生活シーン候補入力モジュール 1−2 統計処理生活シーン作成モジュール 1−2−1 統計検定結果生活シ−ン変換モジュール 1−2−1−1 生活シーン確信度計算モジュール 1−3 因果関係生活シーン作成モジュール 1−3−1 推論エンジン 1−3−1−1 前向き推論エンジン 1−3−1−2 後ろ向き推論エンジン 1−3−2 既知有効生活シーン類似検索モジュール 1−3−3 推論過程表示モジュール 1−3−4 生活シーン確信度計算モジュール 2 ユーティリティモジュール 2−1 統計処理モジュール 2−1−1 統計計算検定モジュール 2−1−2 セグメント属性整理モジュール 2−2 述語データ管理モジュール 2−2−1 述語データ候補作成モジュール 2−2−2 統計検定結果述語データ変換モジュール 2−2−2−1 統計量述語データ確信度変換モジュー
ル 2−2−3 述語データ入力モジュール 2−2−3−1 述語データ確信度入力モジュール 2−2−3−2 述語データ候補入力モジュール 2−2−3−3 述語データ候補選択モジュール 2−2−4 述語データ整合性維持モジュール 2−3 因果ルール管理モジュール 2−3−1 ルール候補作成モジュール 2−3−2 統計検定結果ルール変換モジュール 2−3−2−1 統計量ルール確信度変換モジュール 2−3−3 因果ルール入力モジュール 2−3−3−1 ルール確信度入力モジュール 2−3−3−2 ルール候補入力モジュール 2−3−3−3 ルール候補選択モジュール 2−3−4 因果ルール整合性維持モジュール 3 データ知識ベース 3−1 定量調査データべース 3−2 生活知識べース 3−3 因果関係知識ベース
【166】これら複数のモジュールが協調して特定の基
本的作用を行うことから、各モジュールの具体的な作用
の詳細は、2節以降で基本的作用を分類して説明する。
尚、以下で説明するマーケティング自動化支援システム
の部分モジュールの相互の作用を整理すると図16と図
17のようになるので、参照されたい。
【167】1 生活シーン作成モジュール; (1)生活動詞、生活者セグメント、商品、時間又は場
所の少なくとも3つを含む組み合わせで、定量データの
統計的裏付けにより、又は商品/セグメントの特性 や
生活文化からの因果的必然性により、実際に生じる可能
性(生起可能性)が有効な組み合わせとして、有効生活
シーンを作成する。 (2)その部分モジュールを含む構成は図8の通りであ
る。
【168】1−1 生活シーン候補作成モジュール;生
活シーン候補を作成する。
【169】1−1−1 生活シーン候補組み合わせモジ
ュール; (1)生活シーンの組み合わせ要素である生活動詞、生
活者セグメント、商品、時間又は場所を生活知識ベース
から参照し、必要により制約知識ベースから制約を参照
し、それら要素を組み合わせることで生活シーン候補を
自動的・網羅的に作成する。 (2)全体の作用の中での位置付けは、2節及び3節.
2で説明する。
【170】1−1−2 生活シーン組み合わせ置換モジ
ュール; (1)既知の有効生活シーン又は任意の生活シーン候補
の組み合わせ要素の一部を置換することで、又は生活シ
ーン候補入力モジュールを通じて使用者に入力させた任
意の生活シーン候補の組み合わせ要素の一部を置換する
ことで、新たな組み合わせを生活シーン候補として作成
する。 (2)その部分モジュールを含む構成は図9の通りであ
る。 (3)全体の作用の中での位置付けは、4節で説明す
る。
【171】1−1−2−1 置換要素指定モジュール;
既知の有効生活シーンの組み合わせ要素の一部を置換す
る場合に、どの要素を置換するかの指定を、使用者が入
力するためのものである。
【172】1−1−3 生活シーン候補入力モジュー
ル; (1)使用者に任意の生活シーン候補の組み合わせを入
力させることで、生活シーン候補を作成する。 (2)必要に応じて、使用者に入力させた任意の生活シ
ーン候補を、生活シーン組み合わせ置換モジュールに送
る (3)全体の作用の中での位置付けは、4節で説明す
る。
【173】1−2 統計処理生活シーン作成モジュー
ル; (1)生活シーン候補作成モジュールから生活シーン候
補を受取り、生活シーン候補の組み合わせ要素を統計処
理モジュールの統計計算検定モジュールに送り、統計処
理モジュールからその生活シーン候補の組合わせの有意
性の統計検定結果とクロス比率や検定量のような統計量
を受取り、統計検定結果から定量調査データにおける統
計的に有意な組み合わせを有効生活シーンとして選び、
有効生活シーンを作成する。 (2)必要によりクロス比率や検定量のような統計量を
基にした計算により、作成した有効生活シーンに確信度
を付与する。 (3)因果関係生活シーン作成モジュールの後ろ向き推
論エンジンが証明に失敗した生活シーン候補を受け取
り、上述同様の統計処理により、有効生活シーンを作成
する。 (4)統計的に有意でなく有効生活シーンとして作成に
失敗した生活シーン候補については、必要により、因果
関係生活シーン作成モジュールの後ろ向き推論エンジン
にその生活シーン候補を送りその証明を求める。 (5)定量調査データベースのデータ構造等により、統
計処理モジュールが組み合わせ集計を予め行なっている
場合は、それを受取りその組み合わせについて上述同様
の統計処理により、有効生活シーンを作成する。 (6)全体の作用の中での位置付けは、2節、3節及び
5節で説明する。
【174】1−2−1 統計検定結果生活シ−ン変換モ
ジュール; (1)統計処理モジュールの統計計算検定モジュールか
ら、生活シーン候補の組合わせの有意性の統計検定結果
とクロス比率や検定量のような統計量を受取り、統計検
定結果から定量調査データにおける統計的に有意な組み
合わせを有効生活シーンとして選び、有効生活シーンを
作成する。 (2)必要によりクロス比率や検定量のような統計量を
基にした計算により、作成した有効生活シーンに確信度
を付与する。 (3)その部分モジュールを含む構成は図10の通りで
ある。
【175】1−2−1−1 生活シーン確信度計算モジ
ュール;統計処理モジュールの統計計算検定モジュール
から、生活シーン候補のクロス比率や組合わせの有意性
の検定量のような統計量を受取り、そのような統計量を
基にした計算により、作成した有効生活シーンに確信度
を付与する。
【176】1−3 因果関係生活シーン作成モジュー
ル;商品/セグメントの特性 や生活文化からの因果的
必然性(因果関係)からみて生起可能性が有効な有効生
活シーンを作成し、必要により有効生活シーンに確信度
を付与する。
【177】1−3−1 推論エンジン; (1)因果関係知識ベースから因果ルールと事実たる述
語データを受け取り、その因果ルールにより推論を行な
うことで、因果関係からみて生起可能性が有効な有効生
活シーンを作成する。 (2)全体の作用の中での位置付けは、3節で説明す
る。 (3)その部分モジュールを含む構成は図11の通りで
ある。
【178】1−3−1−1 前向き推論エンジン; (1)前向き推論(因果ルールを成立させる前提から因
果ルールに導かれる結論を求める推論)を行なう。ここ
では、因果関係知識ベースから因果ルールと前提たる事
実の述語データを受け取り、前提たる述語データをその
前提を持つ因果ルールに当てはめ、結論として有効生活
シーンを推論し作成する。 (2)必要により、述語データ入力モジュールより前提
たる述語データ又はその候補を受け取り、前提たる述語
データ又はその候補をその前提を持つ因果ルールに当て
はめ、結論として有効生活シーン又はその候補(仮説)
を推論し作成する (3)全体の作用の中での位置付けは、3節.1で説明
する。
【179】1−3−1−2 後ろ向き推論エンジン; (1)後ろ向き推論(ある結論を導く因果ルールの前提
が成り立っているかを後ろ向きに調べ、成り立っている
ことが証明できるものを結論として求める推論)を行な
う。ここでは、因果関係知識ベースから因果ルールと前
提たる述語データの知識を受け取り、生活シーン候補作
成モジュールから生活シーン候補を受取り、その生活シ
ーン候補を結論として導く因果ルールを求め、その因果
ルールの前提が成り立つかを調べることで、有効生活シ
ーンを推論し作成する。 (2)統計処理生活シーン作成モジュールが有効生活シ
ーンとして作成に失敗した生活シーン候補を受け取り、
上述同様の推論により、有効生活シーンを作成する。 (3)証明に失敗した生活シーン候補については、必要
により、統計処理生活シーン作成モジュールにその生活
シーン候補を送りその検証を求めるか、述語データ管理
モジュールに証明に必要な述語データ候補を送りその述
語データの真偽と必要によりその確信度を受け取るか、
因果ルール管理モジュールに証明に必要な因果ルール候
補を送り因果ルールの真偽と必要によりその確信度を受
け取り、さらに推論を行なう。 (4)証明に失敗した生活シーン候補については、必要
により、既知有効生活シーン類似検索モジュールに類似
の既知の有効生活シーンを検索させ、その既知の有効生
活シーンを生じる因果ルール又は因果ルールを満たす事
実又はそれらの変形を、当初の組み合わせを有効生活シ
ーンとして生じる因果ルール又は因果ルールを満たす事
実又はそれらの候補として、因果ルール入力モジュール
から使用者に入力又は選択させることで、因果関係の知
識ベースの因果ルール又は事実の追加や変更を行ない、
それらを受け取り、さらに推論を行なう。 (5)全体の作用の中での位置付けは、3節.2で説明
する。
【180】1−3−2 既知有効生活シーン類似検索モ
ジュール; (1)統計処理や後ろ向き推論で有効生活シーンとして
作成することに失敗した生活シーン候補に類似の有効生
活シーンを既知有効生活シーン知識ベースから類推し検
索する。 (2)全体の作用の中での位置付けは、5節.4で説明
する。
【181】1−3−3 推論過程表示モジュール;推論
過程を表示する。
【182】1−3−4 生活シーン確信度計算モジュー
ル;因果ルールと述語データの確信度から、有効生活シ
ーンの確信度を計算する。
【183】2 ユーティリティモジュール;
【184】2−1統計処理モジュール; (1)生活シーン作成モジュールの統計処理生活シーン
作成モジュールから生活シーン候補の組み合わせ要素
を、述語データ管理モジュールの統計検定結果述語デー
タ管理モジュールから述語データの組み合わせ要素を、
因果ルール管理モジュールの統計検定結果因果ルール管
理モジュールから因果ルールの組み合わせ要素を受け取
り、それぞれの組み合わせの有意性の検定とクロス比率
や検定量のような統計量の計算とを行ないそれぞれのモ
ジュールに返す。 (2)セグメント知識ベースの属性間に従属関係がある
場合に、それら属性を定量調査データの多変量統計解析
によって整理する。 (3)その部分モジュールを含む構成は図12の通りで
ある。
【185】2−1−1 統計計算検定モジュール; (1)それぞれの組み合わせのクロス比率や組み合わせ
の有意性の統計検定の検定量のような統計量を計算し、
組み合わせの有意性の統計検定を行なう。 (2)全体の作用の中での位置付けは、2節と5節.2
と5節.3で説明する。
【186】2−1−2 セグメント属性整理モジュー
ル;セグメント知識ベースの属性間に従属関係がある場
合に、定量調査データに主成分分析や因子分析や数量化
3類や数量化4類や多次元尺度構成法のような多変量統
計解析を行ない、それら属性を整理する。
【187】2−2 述語データ管理モジュール;既述の
ように、一般に知識は事実と信念(仮説)とルールから
なり、一般に事実と信念(仮説)はシステムではフレー
ム/オブジェクト/述語/リスト等の形式をとる。本実
施例のマーケティング自動化支援システムでは、システ
ム製作の便宜上から、クラス生活と及びそのサブクラス
の階層構造である生活項目やライフスタイルや生活領域
や生活シーン候補や有効生活シーン及び各種の事実や仮
説やそれらを含む因果ルールの表現には、述語データの
形式を用い、生活シーン候補や有効生活シーン及び各種
の事実や仮説の管理に述語データ管理モジュールを設け
る。但し、述語データは、あくまでも生活シーンや事実
や仮説やそれらを含む因果ルールの表現のための1つの
形式に過ぎないのであって、それをフレーム/オブジェ
クト/述語/リスト等のいかなる形式で表現しても内容
は同様であり等しく本発明の主旨に含まれる。述語デー
タ管理モジュールの主な作用は、次のとおりである。 (1)述語データ候補作成モジュールが作成した述語デ
ータ候補、又は後ろ向き推論エンジンが証明に失敗した
生活シーン候補を証明するために因果関係生活シーン作
成モジュールが送ってくる述語データ候補、又は述語デ
ータ入力モジュールを通じて使用者に入力又は選択させ
た述語データ候補について、その組み合わせ要素を統計
検定結果述語データ変換モジュールを通じて統計処理モ
ジュールに送り、組合わせの有意性の統計検定結果とク
ロス比率や検定量のような統計量を受け取り、事実とし
て成り立つ述語データと必要に応じて統計量から変換し
たその確信度を求め、因果関係知識ベースや後ろ向き推
論エンジンに送る。 (2)また、述語データ候補作成モジュールが作成した
述語データ候補、又は後ろ向き推論エンジンが証明に失
敗した生活シーン候補を証明するために因果関係生活シ
ーン作成モジュールが送ってくる述語データ候補につい
て、述語データ入力モジュールを通じて使用者にその真
偽と必要に応じてその確信度を入力又は選択させ、因果
関係知識ベースや後ろ向き推論エンジンに送る。 (3)述語データ入力モジュールを通じて、使用者に任
意の新たな述語データの真偽と必要に応じてその確信度
を入力又は選択させ、因果関係知識ベースに送る。 (4)その部分モジュールを含む構成は図13の通りで
ある。
【188】従来の知識ベースを用いたシステムでは、事
前に知識を獲得したり事後的に知識を追加修正する事に
大きな障害が存在し、「定量データと定性データと定性
知識の乖離」が大きな障壁となっていた。本発明では
(1)のように定量データと定性データと定性知識が相
乗作用をもたらすような形で、事後的に柔軟に知識を追
加修正する事が可能である。(2)は、人間の持つ定性
データと定性知識をシステムが取り込み再利用し、人間
が定性知識を再構築しそれを再び知識ベースに反映する
ことにもつながる。
【189】2−2−1 述語データ候補作成モジュー
ル;述語データの組み合わせ要素である生活動詞、生活
者セグメント、商品、時間又は場所を生活知識ベースか
ら参照し、それら要素を組み合わせることで述語データ
候補を作成する。
【190】2−2−2 統計検定結果述語データ変換モ
ジュール;述語データ候補の組み合わせ要素を統計検定
結果述語データ変換モジュールを通じて統計処理モジュ
ールに送り、その組合わせの有意性の統計検定結果とク
ロス比率や検定量のような統計量を受け取り、事実とし
て成り立つ述語データを求め、必要に応じてその統計量
から変換して確信度を求める。
【191】2−2−2−1 統計量述語データ確信度変
換モジュール;統計処理モジュールから受け取るクロス
比率や検定量のような統計量から変換して述語データの
確信度を求める。
【192】2−2−3 述語データ入力モジュール; (1)使用者に、新たな事実としての述語データと必要
によりその確信度を入力させる。 (2)使用者に、成り立つか調べたい述語データ候補を
入力させる。 (3)使用者に、述語データ候補を提示し、その真偽と
必要に応じて確信度を入力させる。
【193】2−3−3−1 述語データ確信度入力モジ
ュール;使用者に述語データの確信度を入力させる。
【194】2−3−3−2 述語データ候補入力モジュ
ール;使用者に述語データの候補を入力させる。
【195】2−3−3−3 述語データ候補選択モジュ
ール;使用者に述語データの候補から選択を入力させ
る。
【196】2−2−4 述語データ整合性維持モジュー
ル;因果関係知識ベースに既にある述語データと使用者
が新たにに入力した述語データと述語データ候補とを含
む述語データ全体の整合性を、維持する。その原理とし
ては、 (1)因果関係知識ベースに既にある述語データと、使
用者が新たにに入力した述語データと述語データ候補と
を、比較し整合性を維持する。 (2)因果関係知識ベースに既にある述語データと、使
用者が新たにに入力した述語データと述語データ候補と
を知識ベースに当てはめた推論の結論を、比較し整合性
を維持する。 がある。 (3)全体の管理には、ATMS(assumptio
n−based truth maintenance
system)などの真理値維持システムなどの方法
を用いる。
【197】2−3 因果ルール管理モジュール; (1)因果ルール候補作成モジュールが作成した因果ル
ール候補、又は後ろ向き推論エンジンが証明に失敗した
生活シーン候補を証明するために因果関係生活シーン作
成モジュールから送られてくる因果ルール候補、又は因
果ルール入力モジュールを通じて使用者に入力又は選択
させた因果ルール候補について、その組み合わせ要素を
統計検定結果因果ルール変換モジュールを通じて統計処
理モジュールに送り組合わせの有意性の統計検定結果と
クロス比率や検定量のような統計量を受け取り成り立つ
因果ルールと必要に応じてその統計量から変換して確信
度を求め、因果関係知識ベースや後ろ向き推論エンジン
に送る。 (2)因果ルール候補作成モジュールが作成した因果ル
ール候補、又は後ろ向き推論エンジンが証明に失敗した
生活シーン候補を証明するために因果関係生活シーン作
成モジュールから送られてくる因果ルール候補につい
て、因果ルール入力モジュールを通じて使用者にその真
偽と必要に応じてその確信度を入力又は選択させ、因果
関係知識ベースや後ろ向き推論エンジンに送る。 (3)因果ルール入力モジュールを通じて使用者に新た
な因果ルールの真偽と必要に応じてその確信度を入力又
は選択させ、因果関係知識ベースに送る。 (4)その部分モジュールを含む構成は図14の通りで
ある。
【198】従来の知識ベースを用いたシステムでは、事
前に知識を獲得したり事後的に知識を追加修正する事に
大きな障害が存在し、「定量データと定性データと定性
知識の乖離」が大きな障壁となっていた。本発明では
(1)のように定量データと定性データと定性知識が相
乗作用をもたらすような形で、事後的に柔軟に知識を追
加修正する事が可能である。(2)は、人間の持つ定性
データと定性知識をシステムが取り込み再利用し、人間
が定性知識を再構築しそれを再び知識ベースに反映する
ことにもつながる。
【199】2−3−1 因果ルール候補作成モジュー
ル;因果ルールは、述語データを前提と結論として繋い
だ形式で構成される。その述語データの組み合わせ要素
である生活動詞、生活者セグメント、商品、時間又は場
所を生活知識ベースから参照し、それら要素を組み合わ
せることで因果ルール候補を作成する。
【200】2−3−2 統計検定結果因果ルール変換モ
ジュール;統計処理モジュールから、因果ルール候補の
組み合わせ要素の組合わせの有意性の統計検定結果とク
ロス比率や検定量のような統計量を受け取り、成り立つ
因果ルールと必要に応じてその統計量から変換して確信
度を求める。
【201】2−3−2−1 統計量因果ルール確信度変
換モジュール;統計処理モジュールから受け取るクロス
比率や検定量のような統計量から変換して因果ルールの
確信度を求める。
【202】2−3−3 因果ルール入力モジュール; (1)使用者に、新たな因果ルールと必要によりその確
信度を入力させる。 (2)使用者に、成り立つか調べたい因果ルール候補を
入力させる。 (3)使用者に、因果ルール候補を提示し、その真偽と
必要に応じて確信度を入力させる。
【203】2−3−3−1 ルール確信度入力モジュー
ル;使用者に因果ルールの確信度を入力させる。
【204】2−3−3−2 ルール候補入力モジュー
ル;使用者に因果ルールの候補を入力させる。
【205】2−3−3−3 ルール候補選択モジュー
ル;使用者に因果ルールの候補から選択を入力させる。
【206】2−3−4 因果ルール整合性維持モジュー
ル; (1)因果関係知識ベースの既にある因果ルールと使用
者が新たにに入力した因果ルール又は因果ルール候補と
を比較し、因果ルール全体の整合性を維持する。 (2)その作用の原理は図15に引用する非単調推論を
利用する。
【207】3 データ知識ベース;
【208】3−1 定量調査データべース;定量調査の
調査項目を述語データに変換した形で定量調査の結果を
持つデータべース。
【209】3−2 生活知識べース;広告自動化支援シ
ステムと共有される。詳細は6章にて説明する。
【210】3−3 因果関係知識ベース;因果関係生活
シーン作成モジュールが有効生活シーンを因果関係から
推論するための、因果ルールと事実たる述語データ又は
必要によりそれらの確信度を持つ知識ベース。因果関係
知識ベースは、生活知識べースが持つ生活シーン等の全
ての事実とその確信度と同じものを持つ。尚、因果関係
知識ベースが、生活知識べースが持つと同じ内容を呼び
出しや転送により利用できるようにしてもよい。
【211】3章2節 定量データの統計処理による有効
生活シーンの組み合わせ作成
【212】先ず、生活シーン候補作成モジュールが、生
活動詞、生活者セグメント、商品、時間又は場所の少な
くとも3つを含む組み合わせ要素を、生活知識ベースか
ら参照して組み合わせ、生活シーン候補として作成す
る。次に、統計処理生活シーン作成モジュールが、組み
合わせ比率(クロス比率とも呼ぶ)が統計的に有意に高
い組み合わせを選ぶ統計処理により、クロス比率が統計
的に有意に高い組み合せをそのまま有効生活シーンとし
て検出し、有効生活シーンを作成する。このようにして
得られた有効生活シーンは、定量調査の調査結果たる定
量データから現に生起していると分かる「現にある有効
生活シーン」である。
【213】以下に、具体例を交えた作用手順により説明
する。生活シーン候補作成モジュールが、生活動詞、生
活者セグメント、商品、時間又は場所の少なくとも3つ
を含む組み合わせとして、述語データの形式で表現する
と 飲食(オヤジ,焼き鳥and酒,,when,焼き鳥屋) となる生活シーン候補を作成する。統計処理生活シーン
作成モジュールは、この組み合せの組み合せ要素を受け
取り、1節に記載した方法で次のように処理する。定量
調査ではこの組み合せ要素に対応する調査項目として、 貴方は焼き鳥屋に行きますか? 貴方はお酒を飲みますか? という2つの質問をしている。セグメント・オヤジ(総
数250人)の内で、この2つの調査項目全てにYES
と応えたのは150人(クロス比率60%)であった。
これを述語データの形式で表現すると 飲食(オヤジ,焼き鳥and酒,,when,焼き鳥屋) はクロス比率60%ということである。全サンプル(1
000人)では、この2つの調査項目全てにYESと応
えたのは300人(クロス比率30%)、オヤジ以外
(750人)ではこの3つの調査項目全てにYESと応
えたのは150人(クロス比率20%)であった。この
クロス票についてχ2乗検定の統計処理を行なうと、 オヤジ オヤジ以外 全サンプル YES 150 150 300 NO 100 600 700 合計 250 750 1000 でχ2値は有意となり、統計的に有意に 飲食(オヤジ,焼き鳥and酒,,when,焼き鳥屋) という述語データで表わされる生活シーン候補が成り立
つことから、この有効生活シーンが作成される。
【214】必要により、統計処理生活シーン作成モジュ
ールは、有効生活シーンの根拠として、統計処理のモジ
ュールを用いて定量データにおいて統計的に有意な組み
合わせを選ぶ過程を提示する。これにより使用者は、そ
の根拠に関連する事項を考慮し、根拠となった要素につ
いて考察し、定性的な知識を見直し、関連する定性的な
知識(因果ルールや事実)や有効生活シーンを発想する
ことができる。
【215】従来の知識ベースを用いたシステムでは、事
前に知識を獲得したり事後的に知識を追加修正する事に
大きな障害が存在し、「定量データと定性データと定性
知識の乖離」が大きな障壁となっていた。本発明ではこ
のよう定量データと定性データと定性知識が相乗作用を
もたらすような形で、事後的に柔軟に知識を追加修正す
る事が可能である。これは、人間が定性的知識を再構築
することにもつながる。
【216】また、このクロス比率やχ2乗値等の検定量
のような統計量を基にした計算により、生活シーン確信
度計算モジュールが、作成した有効生活シーンに生起可
能性の確信度を付与することができる。
【217】3章3節 因果関係知識ベースによる有効生
活シーンの組み合わせ作成
【218】因果関係の知識ベース(因果関係知識ベー
ス)から生起可能性を証明できる組み合わせとして有効
生活シーンを作成することができる。これは、現状の定
量データからそのままでは起こり得ると分からない、定
量調査の盲点となっている「気付かれざる組み合わせ」
「気付かれざる有効生活シーン」や、現状の定量データ
では未だ有意ではないが「将来において期待できる組み
合わせ」「将来において期待できる有効生活シーン」で
ある。これには、様々な場合が該当する。例えば、調査
項目から抜けている生活シーンの場合や、調査項目に強
い限定があり対応する生活項目や生活シーンの組合せ要
素が限定されている場合等がある。既に述べたように定
量調査の設計自体が主観的な作業であり、その実施には
物理的限界がある以上は、定量調査の結果である定量調
査からは起こり得ると分からない有効生活シーンが多々
存在することは、当然である。
【219】以下具体例を上げて説明すると、定量調査が
「女性は競馬や焼き鳥とは縁が無いであろう」という先
入観のもとに、 貴方は焼き鳥屋に行きますか? という調査項目を女性に尋ねなかったとすると、統計処
理だけでは 飲食(ギャル,焼き鳥and酒,when,焼き鳥屋) という一頃話題となったオヤジギャルに関する有効生活
シーンを「気付かれざる組み合わせ」として看過するで
あろう。又、そのように尋ねていてもある時点ではオヤ
ジギャルは未だ有意に多くないかも知れないが、女性が
社会進出し長く労働するという因果関係の原因の進行に
つれ「将来において期待できる有効生活シーン」として
オヤジギャルを検討する必要もあるだろう。このような
場合に、因果関係の知識ベースから生起可能性が証明で
きる組み合わせを作成することによって「新市場の拡
大」というライフスタイルマーケティングの趣旨を実現
できる。
【220】因果関係知識ベースは因果ルールと事実又は
仮説よりなる。既述のように、因果関係知識ベースは、
生活知識べースが持つ生活シーン等の全ての事実とその
確信度と同じものを持つ。因果ルールは、 前提→結論 又は 結論←前提 という形式で表現される。
【221】因果ルールで前提又は結論として操作される
単位としての命題(事実又は仮説)に、本明細書では述
語データの形式を当てる。既に述べたように、本発明の
マーケティング自動化支援システムでは、クラス生活と
及びそのサブクラスの階層構造である生活項目やライフ
スタイルや生活領域や生活シーン候補や有効生活シーン
及び各種の事実や仮説やそれらを含む因果ルールの表現
に述語データの形式を用いる。しかし、これも既に述べ
たように、述語データは、あくまでも表現のための1つ
の形式に過ぎないのであって、それをフレーム/オブジ
ェクト/述語/リスト等のいかなる形式で表現しても内
容は同様であり等しく本発明の主旨に含まれる。
【222】推論の最終的な結論は有効生活シーンであ
り、本明細書では有効生活シーンとは述語たる生活動詞
と主語たるセグメントと目的事物たる商品が組み合わさ
れた述語データとして表現される事実である。因果ルー
ルただ一つの推論で最終的な結論たる有効生活シーンを
作成できる場合もあるが、後述の例のように通常は、あ
る因果ルールの結論が次の因果ルールの前提となるとい
う具合に複数の因果ルールを積み重ねた推論で結論たる
有効生活シーンを作成する。
【223】述語データのdo(who,what,wh
en,where)という形式は、いわゆる5W1Hに
相当する。本実施例では5W1Hの内で、 howは述
語たる生活動詞doそのもの又は使用事物たる商品wh
atとして表現されるが、whyは因果ルールによる推
論過程として表現される。
【224】既に述べたように、ライフスタイルマーケテ
ィングは、どのようなセグメントをターゲットとするべ
きか、彼等のどのようなニーズにどのような商品ベネフ
ィットをコンセプト(ベネフィットの内でユニークな強
調点で検討の出発点となるもの、その商品を利用する理
由)として訴求するべきか、それを受けて商品のポジシ
ョニング(位置付け)をどう選択するかを、決定するた
めの方法でもある。
【225】本発明では、ポジショニングは有効生活シー
ンとして、またコンセプトは 因果ルールと前提たる事
実によるその有効生活シーンの推論過程として表現さ
れ、推論過程表示モジュールより人間に提示される。こ
れにより使用者は、有効生活シーンの根拠に関連する事
項を考慮し、根拠となった要素について考察し、定性的
な知識を見直し、関連する定性的な知識(因果ルールや
事実)や有効生活シーンを発想することができる。又、
マーケティング業務においては商品のコンセプトが所与
の方針となっている場合も多々あるが、その場合もコン
セプトたる因果ルールや事実(述語データ)を使用者が
該当する入力モジュールから入力し、それらを用いて推
論することが出来る。
【226】次に、因果関係知識ベースによる有効生活シ
ーンの組み合わせ作成の方法を、具体例を交えた作用手
順により説明する。
【227】3章3節.1 前向き推論による方法
【228】前向き推論(因果ルールを成立させる前提か
ら因果ルールに導かれる結論を求める推論)により、結
論たる述語データ形式の有効生活シーンを作成する。以
下、具体例を交えた作用手順により説明する。 因果関係知識ベースに次のような因果ルールが存在す
る。 長く労働(who,what,when,where) →ストレス溜まる(who,what,when,wh
ere) →飲食(who,焼き鳥,when,where) or休暇(who,競馬,when,where) 前向き推論エンジンが、上記因果ルールの前提たる述
語データ 長く労働(who,what,when,where) が成り立つ定数 who:=ギャル1(OL等の働くキャリア女性) を代入しパターンマッチする。 前向き推論エンジンが、次のように前向き推論の実行 長く労働(ギャル1,what,when,wher
e) →ストレス溜まる(ギャル1,what,when,w
here) →飲食(ギャル1,焼き鳥,when,where) or休暇(ギャル1,競馬,when,where) 類推によるネーミング who:=オヤジからギャル1へと同一の因果ルールが
もともと成り立っていたことから、2つの定数を融合し
てオヤジギャルとネーミングする。 尚、長い労働(ギャル1)やストレス溜まる(ギャル
1)はセグメントの属性の内の特記事項に由来してい
る。
【229】因果ルールや述語データには確信度を付与す
ることができるので、生活シーン確信度計算モジュール
が、因果ルールや述語データたる事実の確信度を基にし
た計算により、作成した有効生活シーンに生起可能性の
確信度を付与することができる。
【230】3章3節.2 後向き推論による方法
【231】後ろ向き推論(ある結論を導く因果ルールの
前提が成り立っているかを後ろ向きに調べ、成り立って
いることが証明できるものを結論として求める推論)に
より、結論である有効生活シーンを作成する。つまり、
生活シーン候補を結論として導く因果ルールの前提が成
り立っているかを後ろ向きに調べ、成り立っていること
が証明できる生活シーン候補を有効生活シーンとして求
めるのである。
【232】以下、具体例を交えた作用手順により説明す
る。 生活シーン候補の作成 先ず、生活シーン候補作成モジュールが、生活動詞、生
活者セグメント、商品、時間又は場所の少なくとも3つ
を含む組み合わせ要素を、生活知識ベースから参照して
組み合わせ、生活シーン候補として作成する。ここでは
例として 飲食(ギャル1,焼き鳥,when,where) or休暇(ギャル1,競馬,when,where) を作成したとする。 その生活シーン候補を、後ろ向き推論エンジンが、因
果関係知識ベースの因果ルールと事実を利用して、証明
し後ろ向き推論を行う。 飲食(ギャル1,焼き鳥,when,where) or休暇(ギャル1,競馬,when,where) ←ストレス溜まる(ギャル1,what,when,w
here) ←長く労働(ギャル1,what,when,wher
e)
【233】因果ルールや述語データには確信度を付与す
ることができるので、生活シーン確信度計算モジュール
が、因果ルールや述語データたる事実の確信度を基にし
た計算により、前向き推論の場合と同じく、作成した有
効生活シーンに生起可能性の確信度を付与することがで
きる。
【234】上述の例では、他にも、 飲食(ギャル1,飲食物,when,where) ←好き(ギャル1,飲食物,when,where) と 好き(ギャル1,飲食物,when,where) ←新しく感じる(ギャル1,飲食物,when,whe
re) という因果ルールと 新しく感じる(ギャル1,焼き鳥,when,wher
e) という事実による証明も可能である。必要により、生活
シーン確信度計算モジュールが、このように証明がたく
さん存在すると確信度を高める処理を行なう。
【235】ここで、後ろ向き推論エンジンが因果関係か
ら任意の生活シーン候補を後向き推論により証明し有効
生活シーンとして作成できなかった場合に、なお人間が
それに興味を持ち有効生活シーンとして作成を希望する
場合は、統計処理生活シーン作成モジュールがその組み
合わせを検証する統計処理により有効生活シーンを作成
するよう試みることもできる。逆に、統計処理生活シー
ン作成モジュールが統計処理から任意の生活シーン候補
を有意であるとして有効生活シーンとして作成できなか
った場合に、なお人間がそれに興味を持ち有効生活シー
ンとして作成を希望する場合は、後ろ向き推論エンジン
がその組み合わせを証明する後ろ向き推論により、有効
生活シーンを作成するよう試みることもできる。
【236】3章4節 生活シーン候補及び有効生活シー
ンの作成の制御
【237】本発明では、マーケティング自動化支援シス
テムが有効生活シーンを自動的・網羅的に作成すること
ができ、また夫々の有効生活シーンについて広告自動化
支援システムが広告案たる提案生活シーンや創作シーン
を自動的・網羅的に作成することができる。 【】場合によっては、夫々の生活シーン候補や有効生活
シーンについて人間(使用者たるマーケターやクリエイ
ター)が個別に検討を行ないたいこともあるだろう。し
かし、システムが自動的・網羅的に作成する生活シーン
候補の組み合わせから、システムが自動的・網羅的に作
成する有効生活シーンの全てを受けて人間が検討しよう
とすると、組み合わせが多すぎて考えが纏まらず、人間
に無意味な羅列と受け止められる可能性もある。つま
り、人間がその後の検討や処理をする際に、人間にとっ
て新たな組み合わせ爆発が起こる恐れもある。
【239】そのような場合、人間が意味を感じ取れるよ
うにするために、生活シーン候補の組み合わせをある程
度制限し、人間の発想を反映して有効生活シーンを作成
することも、有用である。そこで、生活シーン候補入力
モジュールから、人間に意味があると思う任意の組み合
わせを生活シーン候補として自発的に提示入力させた
り、場合によっては、人間の発想による組み合せで人間
がどうしてもその後の検討を行いたいと希望するものを
(必要に応じて確信度とともに)そのまま有効生活シー
ンとして入力させ、その後の処理を広告自動化支援シス
テムに委ねても良い。これは、人間の持つ定性データと
定性知識を、システムが柔軟に取り込み再利用すること
につながる。また、人間の発想を反映する作用により
「新市場の拡大」というライフスタイルマーケティング
の趣旨をよりよく実現できる。
【240】しかし、人間の発想には限界があり、人間の
発想のみでは従来からの課題である単なる諮意や独断の
域を出ない。人間の発想と理解を生かしつつ、システム
により人間の不完全な発想を越えることが新たな価値を
生む。そのためには、人間の発想の原理を、システム上
に実現し、システム上で自動的・網羅的に作用させるこ
とが効果的である。
【241】そこで、人間に既知の有効生活シーンから重
要と考えるものを選択させ、生活シーン組み合わせ置換
モジュールがその組み合せ要素の一部を置換することで
組み合わせを拡張し、新たな生活シーン候補を作成す
る。例えば、既知の有効生活シーン 飲食(オヤジ,焼き鳥and酒,when,焼き鳥屋) or休暇(オヤジ,競馬,when,where) でセグメントを置換して 飲食(ヤング,焼き鳥and酒,when,焼き鳥屋) or休暇(ヤング,競馬,when,where) や 飲食(ギャル1,焼き鳥and酒,when,焼き鳥
屋) or休暇(ギャル1,競馬,when,where) という生活シーン候補を作成する。置換は、システムが
置換を自動的に実行しても良いし、置換要素を置換要素
指定モジュールから人間に指定入力させても良い。置換
には、生活知識ベースのオブジェクトの階層構造を利用
することができる。たとえば現在のオブジェクトのスー
パークラスの他のサブクラス(現在のオブジェクトにと
っては兄弟/親類に当たる)に置換する等である。これ
は類推を利用した置換である。
【242】尚、人間での組み合わせ爆発という問題が無
くても、人間の自由な発想による生活シーン候補を入力
することは、システムに用意された組み合わせ要素を越
えた組み合わせを追加できる等の理由により重要であ
る。同様に、人間が意味があると自発的に提示入力した
生活シーン候補について、その組み合せ要素の一部を置
換することで組み合わせを拡張し、新たな生活シーン候
補を作成することも有用である。
【243】又、人間での組み合わせ爆発という問題に対
しては、上述のように入り口である生活シーン候補を制
限するのとは逆に出口を制限し、商品単価と対象セグメ
ント人口を掛けた市場サイズ算定などを有効生活シーン
の選定基準として組み合わせを制限することができる。
【244】3章5節 因果関係知識ベースの構成方法
【245】因果関係の知識は因果関係知識ベースに格納
されており、因果ルールと述語データよりなる。以下に
その構築方法を、具体例を交えた作用手順により説明す
る。
【246】3章5節.1 人間に入力させることによる
構成方法
【247】人間に、自由に、又は因果関係の知識ベース
では証明/保存されていないが人間には既知の有効な生
活シーンごとに、因果ルールや述語データを入力させ、
因果関係知識ベースとして集大成する。
【248】以下に、具体例を交えた作用手順により説明
する。 人間には既知の有効な生活シーン 飲食(オヤジ,焼き鳥,when,where) or休暇(オヤジ,競馬,when,where) その因果ルールを入力させる ←ストレス溜まる(オヤジ,what,when,wh
ere) ←長く労働(オヤジ,what,when,wher
e) その一般化による因果ルール作成 定数オヤジを変数whoに一般化することで、因果ルー
ルを作成。 飲食(who,焼き鳥,when,where) or休暇(who,競馬,when,where) ←ストレス溜まる(who,what,when,wh
ere) ←長く労働(who,what,when,wher
e)
【249】因果ルールや述語データには確信度を付与す
ることができ、因果ルールや述語データの確信度を基に
した計算により、作成した有効生活シーンに生起可能性
の確信度を付与することができる。また、統計処理によ
り入力された因果ルールや述語データの真偽を検証した
り、それに確信度を与えることができる。
【250】3章5節.2 定量データの統計処理による
事実の作成方法
【251】以下に、具体例を交えた作用手順により説明
する。セグメントギャル1(総数250人)に対して、 貴方は長く働きますか? という質問をしたところ、この3つの調査項目全てにY
ESと応えたのは150人(クロス比率60%)であっ
た。つまり、述語データ 長く働く(ギャル1,what,when,wher
e) はクロス比率60%であった。一方、全サンプル(10
00人)ではこの調査項目全てにYESと応えたのは3
00人(クロス比率30%)、ギャル1以外(750
人)ではこの3つの調査項目全てにYESと応えたのは
150人(クロス比率20%)であった。このクロス票
についてχ2乗検定を行なうと、 ギャル1 ギャル1以外 全サンプル YES 150 150 300 NO 100 600 700 合計 250 750 1000 でχ2乗値は有意となり、統計的に有意に 長く働く(ギャル1,what,when,wher
e) という述語データが成り立つことから、この述語データ
が事実として作成される。
【252】尚、 貴方は焼き鳥を食べますか? 貴方は居酒屋に行きますか? 貴方はお酒を飲みますか? というような調査項目の内の1つから3つの従属関係を
人間が仮定してデフォルトで 飲食(特定セグメント,焼き鳥and酒,when,焼き鳥屋) いう述語データの事実を用意する場合もあるだろう。こ
れは、人間の持つ定性データと定性知識を取り込みシス
テムが再利用することにもつながる。だたし、このよう
な従属関係は実際の統計処理によって得たり、後述する
因果ルールとして表現して利用することが望ましい。
【253】また、このクロス比率やχ2乗値等の検定量
のような統計量を基にした計算により、作成した事実
に、生起可能性の確信度を付与することができる。
【254】3章5節.3 定量データの統計処理による
因果ルールの作成方法
【255】以下に、具体例を交えた作用手順により説明
する。全サンプル(総数100人)に対して、 貴方は居酒屋に行きますか? 貴方はお酒を飲みますか? という2つの質問をしたところ、この2つの調査項目全
てにYESと応えたのは400人(クロス比率40%)
であった。つまり、2つの述語データ、 飲食(who,what,when,居酒屋) と 飲(who,酒,when,where) のクロス比率は40%であった。逆に、この2つの調査
項目全てにNOと応えたのは500人(クロス比率50
%)であった。このクロス票についてχ2乗検定を行な
うと、 お酒を飲みますか YES NO 全サンプル 居酒屋に行きますか YES 400 0 400 NO 100 500 600 全サンプル 500 500 1000 でχ2乗値は有意となり、統計的に有意に 飲食(who,what,when,居酒屋) →飲(who,酒,when,where) というルールが成り立つことから、このルールが作成さ
れる。また、このクロス比率やχ2乗値等の検定量のよ
うな統計量を基にした計算により、作成した因果ルール
に確信度を付与することができる。
【256】尚、 飲(who,酒,when,where) →飲食(who,what,when,居酒屋) というルールが成り立たない理由は、自宅やお洒落な所
での酒を飲むサンプルが存在するためである。これを、
人間に判断させてルールの必要条件と十分条件を指定入
力させることもできる。
【257】3章5節.4 失敗に基づく因果関係知識ベ
ースの構成方法
【258】1節で既述したように、従来の知識ベースを
用いたシステムでは、事前に知識を獲得したり事後的に
知識を追加修正する事に大きな障害が存在し、「定量デ
ータと定性データと定性知識の乖離」が大きな障壁とな
っていた。本発明では、定量データと定性データと定性
知識が相乗作用をもたらすような形で、事後的に柔軟に
知識を追加修正する事が可能である。又、本発明では、
人間の持つ定性データと定性知識をシステムが取り込み
再利用し、人間が定性知識を再構築しそれを再び知識ベ
ースに反映することにもつながる。そのための機会とし
て、本発明では失敗を積極的かつ有機的に活用すること
が、従来にない大きな特徴である。
【259】そのため本発明では、統計処理で有意でなか
ったり後ろ向き推論が失敗した生活シーン候補でなお人
間が興味を持ち有効生活シーンとして作成したいと考え
る組み合わせについて、証明に必要な因果ルールや述語
データを入力又は選択させ、またはシステムが自動的に
設定して、有効生活シーンを作成するとともに、それを
通じて因果関係知識ベースを集大成する。
【260】その手順としては、例えば次のような手順が
ある。
【261】(1)ある生活シーン候補の組み合わせを、
定量データにおいて統計的に有意な組み合わせとして選
べなかった場合に、又は因果関係の知識ベースを用いて
後向き推論により証明できなかった場合に、その組み合
わせを有効生活シーンとして生じる因果ルール又は因果
ルールを満たす事実又はそれらの候補を、使用者に入力
又は選択させ又は自動的に設定することで、因果関係の
知識ベースの因果ルール又は事実の追加や変更を行な
い、有効生活シーンを作成する。
【262】(2)ある生活シーン候補の組み合わせを、
定量データにおいて統計的に有意な組み合わせとして選
べなかった場合に、又は因果関係の知識ベースを用いて
後向き推論により証明できなかった場合に、その組み合
わせに類似の既知の有効生活シーンを検索して、その既
知の有効生活シーンを生じる因果ルール又は因果ルール
を満たす事実又はそれらの変形を、当初の組み合わせを
有効生活シーンとして生じる因果ルール又は因果ルール
を満たす事実又はそれらの候補として、使用者に入力又
は選択させ又は自動的に設定することで、因果関係の知
識ベースの因果ルール又は事実の追加や変更を行ない、
有効生活シーンを作成する。
【263】ここでは、(2)を例に、低カロリービール
を素材に説明する。低カロリービールは、新商品であ
り、既存の定量調査には調査項目として含まれていな
い。従って、生活調査結果のクロス表から「現にある組
み合わせ」としては検出できない。又、後ろ向き推論し
ても、新商品なので因果ルールが含まれていないので証
明に失敗する。そこで、 低カロリービールをビールに置換し、既知のビールを
含む有効生活シーン 飲食(オヤジ,ビール,when,where) を検索する。 その有効生活シーンを証明する因果ルールや述語デー
タを検索する。 喉が乾く(オヤジ,when,where)→ 飲食(オヤジ,ビール,when,where) そこに、健康や喉の渇きといった低カロリービールを
証明する因果ルールや事実の述語データを、人間が追加
するか、システムが自動的に設定する。 ルール;健康に気を使う(who) →スポーツする(who) ルール;スポーツする(who)→喉が乾く(who,
スポーツの後,where) ルール;低カロリー(what)→健康に良い(wha
t) ルール;健康に気を使う(who)and健康に良い
(what) →飲食(who、what,when,where ) 事実;低カロリー(低カロリービール) 以上を推論すると 結論;飲食(オヤジ1,ビール,スポーツの後,whe
re) を得る。ここでは、オヤジ1は健康に気を使うオヤジで
あり、システムが自動的に 事実;健康に気を使う(オヤジ1) を設定した。
【264】4章 広告自動化支援システム
【265】4章1節 広告自動化支援システムの全体構
【266】図3は広告作成支援システム全体の構成図で
ある。このシステムは大きく物語作成システムと知識ベ
ースの2つの部分から構成される。物語作成システムは
さらに提案生活シーン作成モジュールと創作シーン作成
モジュールの2つの部分から構成される。知識ベースは
さらに生活知識ベースと物語作成知識ベースの2つの部
分から構成される。但し知識ベースのうち生活知識ベー
スは、マーケティング作成システムと共有される。図2
9に示すように、物語作成知識ベースは生活シナリオ知
識ベース、提案生活シーン知識ベース、語彙関係知識ベ
ース、物語関係知識ベース、物語構造知識ベースの5つ
の部分知識ベースから構成される。
【267】以上の構成において、マーケティング作成支
援システムによって作成された生活シーンをもとに、提
案生活シーン作成モジュールが生活知識ベース及び物語
作成知識ベースを用いて生活シーンに具体的データを入
れこれを特定の登場人物が特定の場所及び時間からなる
設定において特定の商品を使用している状況を時間的に
推移する行為の連鎖によって展開した提案生活シーンを
作成し、さらにこの提案生活シーンをもとに、創作シー
ン作成モジュールが生活知識ベース及び物語作成知識ベ
ースを用いて提案生活シーン中に出現する特定の語彙の
置換やその他の提案生活シーン等との合成・結合等によ
って創作シーンを作成する。システムの使用者は、シス
テムの表示画面を通じてこれらの生活シーン、提案生活
シーン及び創作シーンを見ることができる。
【268】以下、広告自動化支援システムの詳細な機構
を各モジュールごとに説明する。尚この説明中で用いる
例は理解を容易にするための特定ケースの例示であり、
多くの可能性の中の1つを示すものである。
【269】4章2節 提案生活シーン作成モジュールと
生活シナリオ知識ベース
【270】図18は提案生活シーン作成モジュールの構
成図である。このモジュールは、生活知識ベース及び物
語作成知識ベース中の生活シナリオ知識ベースを用いて
生活シーンを提案生活シーンに変換する。これは次の3
つの処理によって行われる。
【271】生活知識ベースからの具体的データの検索 生活シナリオ知識ベースからの特定の生活シナリオの
検索 生活シナリオへの具体的データの埋め込み
【272】まずにおいては、まだ具体化されていない
生活シーンの各構成要素を具体的データに変える。生活
シーンは、セグメント、商品、生活領域、場所、時間と
いう5つの要素から構成されており、これらの構成要素
のうち必要なもの、すなわちある生活シーンにとってど
うしても具体化されていることが必要なものしか具体化
されていない。そこでまず生活シーンの構成要素のうち
具体化されていない要素について、生活知識ベースを参
照してこれを具体化する。例えば、 ((セグメント <OL>)(商品 焼き鳥)(生活領
域 飲酒)(場所<居酒屋>)(時間 平日の夜)) という生活シーンがあった場合、セグメントの<OL>
及び場所の<居酒屋>について具体化しなければならな
い。
【273】尚、上記のように本実施例の広告自動化支援
システムでは、システム製作の便宜上から、生活シーン
及び各種の事実や物語の表現には、 リスト形式を用い
る。リストと述語データとは相互に変換可能であり、表
現形式変換モジュールにて変換される。但し、リストも
述語データも、あくまでも生活シーンや事実や物語の表
現のための1つの形式に過ぎないのであって、それをフ
レーム/オブジェクト/述語/リスト等のいかなる形式
で表現しても内容は同様であり等しく本発明の主旨に含
まれる。
【274】これを行うに当たって、提案生活シーン作成
モジュールは生活知識ベースを用いる。図29に示すよ
うに、生活知識ベースは生活項目知識ベース、セグメン
ト知識ベース、商品知識ベース、場所知識ベース及び時
間知識ベースという部分知識ベースを含み、それぞれが
生活シーンの各項目と対応している。各知識ベースは抽
象的知識から具体的知識に至る階層構造によって構成さ
れており、この階層の最も下のレベルの項目が最も具体
的な知識を表す。例えば、セグメント知識ベースにおけ
る「OL」というセグメントの下にはこのセグメントの
特性を備えた人物に関するデータが従属しており、場所
知識ベースにおける「居酒屋」という場所の下には具体
的な居酒屋のデータが従属している。そこで上の生活シ
ーンの場合、セグメント知識ベースからOLの具体的デ
ータである「花子」を検索し、場所知識ベースから居酒
屋の具体的データである「あいうえお」を検索すること
によって、生活シーンの具体化である ((セグメント 花子)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 あいうえお)(時間 平日の夜)) という情報が作られる。これは、「花子が平日の夜、あ
いうえおという居酒屋で焼き鳥を食べながら酒を飲
む。」ということを意味している。
【275】次ににおいて、提案生活シーン作成モジュ
ールは、生活シナリオ知識ベースから上記の更新された
生活シーンを提案生活シーンに展開するための知識であ
る生活シナリオを検索する。生活シナリオを検索するた
めのキーは場所、生活領域あるいは両者の組み合わせで
ある。例えば、「旅行」、「忘年会」、「レストランで
の食事」、「居酒屋での飲酒」等であり、上記の例にお
いては「居酒屋での飲酒」が検索される。
【276】最後ににおいて、提案生活シーン作成モジ
ュールは、検索された生活シナリオ中に上記の具体化さ
れた生活シーンの情報を利用してデータを埋め込むこと
によって提案生活シーンを完成させる。生活シナリオは
状況設定とシナリオの2つの部分から構成される。状況
設定はシナリオが展開する場所と時間を設定しシナリオ
に現れる登場人物を紹介する部分である。場所の設定に
おいては、具体化された生活シーンにおける場所情報を
利用する。この場所情報は「所在地」、「客層」、「値
段」のようないくつかの属性情報を持っている。例えば
上の例の居酒屋「あいうえお」なら、 ((所在地 渋谷)(客層 サラリーマン OL 学
生)(値段 安価)) という形で属性情報が記述される。時間の設定において
は、生活シーンの時間情報すなわち上の例では「平日の
夜」である。登場人物の紹介においては、セグメント情
報に属する属性情報を利用する。属性情報には年齢、性
別、職業、収入、学歴、家族形態、住居、趣味、その他
がある。例えば上の例のセグメントOLの「花子」な
ら、 ((年齢 25)(性別 女)(職業 OL)(収入
350万)(学歴 短大卒)(家族形態 単身/家族と
同居)(住居 横浜)(趣味 旅行)) という形で属性情報が記述される。さらに「居酒屋での
飲酒」のシナリオはその他の登場人物を必要とする。い
ずれの登場人物もセグメント知識ベースから検索され
る。まず生活シーンに現れるOLと一緒に居酒屋に来た
同行者達であり、これについてはセグメント知識ベース
中のOLもしくはそれと近接するセグメントとしてヤン
グサラリーマン及び中年サラリーマンが検索の対象とな
り、人数も状況にふさわしく10人以内に限られること
が生活シナリオによって指定される。次にウェイター、
ウェイトレス、料理人及び会計係がセグメント知識ベー
スから検索される。このシナリオにおいては、ウェイタ
ー、ウェイトレス、料理人及び会計係は具体化される必
要はない。このような処理によって、次に示す状況設定
が作成される。
【277】時間:平日の夜。 場所:居酒屋あいうえお。渋谷にあり、サラリーマン、
OL、学生の客が多い。値段は安価である。 登場人物:主人公−花子。25歳のOLで、年収は35
0万、短大卒、現在は独身で横浜に家族と同居してい
る。趣味は旅行である。花子の同行者−太郎、三郎、松
子、竹子、梅子。 その他−ウェイター、ウェイトレス、会計係。
【278】生活シナリオにおけるシナリオは人間の日常
生活における特定の生活場面の典型的な展開様式を登場
人物の時間軸に沿った行為の連鎖によって記述したもの
である。例えば、生活シナリオ「居酒屋での飲酒」のシ
ナリオは次のように記述される。
【279】シーン1:居酒屋に入る <主人公>及び主人公の<同行者>が<居酒屋>に入
る。 <ウェイター>もしくは<ウェイトレス>が <主人公>及び主人公の<同行者>をテーブルに案内す
る。 <主人公>及び主人公の<同行者>が椅子に座る。 シーン2:注文する <ウェイター>もしくは<ウェイトレス>が メニューを<主人公>及び主人公の<同行者>に渡す。 <主人公>と<主人公の同行者>は注文の相談をする。 <主人公>は<酒>を飲みたいと思う。 <主人公の同行者>のそれぞれは<酒>を飲みたいと思
う。 <主人公>及び<主人公の同行者>は焼き鳥を食べたい
と思う。 <主人公>は<食べ物(複数)>を食べたいと思う。 <主人公の同行者>は<料理(複数)>を食べたいと思
う。 <主人公>は<酒>と焼き鳥と<料理>を <ウェイター>もしくは<ウェイトレス>に注文する。 シーン3:飲食する <ウェイター>もしくは<ウェイトレス>が<酒>と焼
き鳥と <料理>を<主人公>及び<主人公の同行者>に運んで
来る。 <主人公>及び<主人公の同行者>は乾杯する。 <主人公>及び<主人公の同行者>のそれぞれは<酒>
を飲む。 <主人公>及び<主人公の同行者>のそれぞれは焼き鳥
を食べる。 <主人公>及び<主人公の同行者>のそれぞれは<料理
>を食べる。 シーン4:居酒屋から出る <主人公>及び<主人公の同行者>はレジに行く。 <主人公>は<会計係>に勘定書を渡す。 <会計係>は勘定を計算する。 <会計係>は<主人公>に金額を言う。 <主人公>は<主人公の同行者>に金額を言う。 <主人公>及び<主人公の同行者>はお金を払う。 <主人公>及び<主人公の同行者>は<居酒屋>から出
る。
【280】ここで<>に囲まれた部分は特定の値が設定
されていない変数であり、ここに具体化された値が埋め
込まれる。その結果、例えば上記の具体的データをそこ
に埋め込むことによって次のシナリオが作成される。
【281】シーン1:居酒屋に入る 花子及び太郎があいうえおに入る。 ウェイトレスが花子及び太郎達をテーブルに案内する。 花子及び太郎達が椅子に座る。 シーン2:注文する ウェイターがメニューを花子及び太郎達に渡す。 花子と太郎達は注文の相談をする。 花子は生ビールを飲みたいと思う。 太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを飲みたい
と思う。 花子及び太郎達は焼き鳥を食べたいと思う。 花子はおでんを食べたいと思う。 太郎達は鍋を食べたいと思う。 花子は生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、おでん、鍋を
ウェイターに注文する。 シーン3:飲食する ウェイトレスが生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、おで
ん、鍋を 花子及び太郎達に運んで来る。 花子及び太郎達は乾杯する。 花子及び太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを
飲む。 花子及び太郎達のそれぞれは焼き鳥を食べる。 花子及び太郎達のそれぞれはおでん、鍋を食べる。 シーン4:居酒屋から出る 花子及び太郎達はレジに行く。 花子は会計係に勘定書を渡す。 会計係は勘定を計算する。 会計係は花子に金額を言う。 花子は太郎達に金額を言う。 花子及び太郎達はお金を払う。 花子及び太郎達はあいうえおから出る。
【282】上に例を示した状況設定とシナリオの2つを
結合した記述が提案生活シーンである。尚、生活シナリ
オに具体的データを埋め込んだ記述のことを一般に創作
シナリオと呼ぶ。これは、創作シナリオは提案生活シー
ンのみならず創作シーンとしても利用される場合がある
ためである。
【283】4章3節 創作シーン作成モジュール
【284】図19は創作シーン作成モジュールの構成図
である。これは生活知識ベースと物語作成知識ベースの
部分知識ベースである物語関係知識ベース及び物語構造
知識ベースを用いて、次の5つの方法によって提案生活
シーンを創作シーンに変換する。
【285】提案生活シーンの中の1つあるいはそれ以
上の商品、登場人物あるいはその他のオブジェクトを、
それらの綴りの等しさや意味の類似性/対照性から連想
される別のシンボルに置換する。(シンボル置換)
【286】提案生活シーンに対して物語関係を適用す
る。物語関係とは複数の創作シナリオや生活シーンを結
合するための結合規則であり、「対照」、「詳細化」、
「並列」、「原因−結果」、「欠如−充足」、「加害−
解消」、「禁止−違反」、「命令−遵守」、「難題−解
決」等がある。(物語関係の適用)
【287】登場人物、商品、生活領域、場所のいずれ
か1つを共有する別の提案生活シーンを検索し、これを
もとの提案生活シーンと合成する。(物語の合成)
【288】登場人物、商品、生活領域、場所のいずれ
かを軸とし、その軸を共有する複数の提案生活シーンを
結合する。(物語の結合)
【289】提案生活シーンに対して物語構造を適用す
る。物語構造とは創作シナリオや生活シナリオをより大
きな物語の1部分として位置付けるための構造規則であ
り、「欠如−充足−禁止−違反−欠如」等がある。(物
語構造の適用)
【290】4章4節 ジャンル別創作シーン作成モジュ
ール、物語作成モジュール及び物語作成知識ベース
【291】図20に示すように、創作シーン作成モジュ
ールはジャンル別創作シーン作成モジュールと物語作成
モジュールの2つの大きなモジュールから構成される。
【292】ジャンル別創作シーン作成モジュールは、創
作シーンの異なるジャンルごとにそれぞれにふさわしい
方法を適用して提案生活シーンを創作シーンに変換する
ためのモジュールである。ジャンルはシンボル置換形
式、実生活形式、ドキュメンタリー形式、フィクション
形式の4つである。シンボル置換形式創作シーンとは提
案生活シーン中の登場人物、商品、場所及びその他の物
を必ずしも現実性を持たないかも知れないその他のシン
ボルで置換した創作シーンであり、実生活形式創作シー
ンとは実生活における現実的な生起可能性を保ったまま
提案生活シーンを拡張した創作シーンであり、ドキュメ
ンタリー形式創作シーンとは提案生活シーンを複数連ね
た創作シーンであり、フィクション形式創作シーンとは
現実的な生起可能性には関わらず提案生活シーンを物語
的に展開した創作シーンである。これらに対応してジャ
ンル別創作シーン作成モジュールはシンボル置換形式創
作シーン作成モジュール、実生活形式創作シーン作成モ
ジュール、ドキュメンタリー形式創作シーン作成モジュ
ール及びフィクション形式創作シーン作成モジュールと
いう図21に示す下位モジュールに分類される。以下、
シンボル置換形式創作シーンの作成、実生活形式創作シ
ーンの作成、ドキュメンタリー形式創作シーンの作成に
ついて詳しく説明する。
【293】これらのジャンル別創作シーン作成モジュー
ルは、入力をそれぞれのジャンルに応じた創作シーンを
実際に作成するモジュールすなわち物語作成モジュール
の対応するモジュールに振り分ける働きをする。図22
に示すように、物語作成モジュールはシンボル置換モジ
ュール、物語関係適用モジュール、物語合成モジュー
ル、物語結合モジュール及び物語構造適用モジュールと
いう5つの下位モジュールから構成されるが、シンボル
置換形式創作シーンはシンボル置換モジュールによっ
て、実生活形式創作シーンは物語関係適用モジュール及
び物語合成モジュールによって、ドキュメンタリー形式
創作シーンは物語結合モジュールによって、フィクショ
ン形式創作シーンは物語構造適用モジュール及びシンボ
ル置換モジュールによって作成される。これらの処理は
一回で終了する必要はない。例えば、フィクション形式
創作シーンの作成の場合一旦物語構造適用モジュールに
よって作成された創作シーンをさらにシンボル置換モジ
ュールによって脚色したり、その逆にシンボル置換モジ
ュールによって脚色した後に物語構造適用モジュールに
よって拡張することが可能であり、実生活形式創作シー
ンの作成の場合物語関係の適用と物語の合成のそれぞれ
を一回以上繰り返すことや両者を交互に繰り返し行うこ
とが可能である。従って、ジャンル別創作シーン作成モ
ジュールにおける5つの下位モジュールのそれぞれは物
語作成モジュールの呼び出しを制御する役割をする。
【294】物語作成モジュールにおけるシンボル置換モ
ジュール、物語関係適用モジュール及び物語構造適用モ
ジュールが創作シーンを作成する際には、それぞれ物語
作成知識ベースにおける語彙関係知識ベース、物語関係
知識ベース、物語構造知識ベースを利用する。物語関係
知識ベースには前節のに記述したものを初めとする諸
関係の定義が含まれ、物語構造知識ベースには同じく
に記述したものを初めとする諸構造の定義が含まれる。
【295】4章5節 シンボル置換形式創作シーン作成
モジュール、シンボル置換モジュール
【296】図23に示すように、シンボル置換形式創作
シーン作成モジュールは2つの下位モジュールすなわち
表層的シンボル置換形式創作シーン作成モジュール及び
意味的シンボル置換形式創作シーン作成モジュールから
構成されている。これらはともに、提案生活シーンに含
まれる商品、人物及びオブジェクトのうちのいずれか1
つあるいは複数を別のシンボルに変換するが、変換の方
式が異なる。すなわち、表層的シンボル置換形式創作シ
ーンはこれらを綴りの等しさに基づいて別のシンボルに
置換するが、これに対して意味的シンボル置換形式創作
シーンは意味の類似性/対照性に基づいて変換を行う。
このような方式の違いに対応して、物語作成モジュール
におけるシンボル置換モジュールも、綴りの等しさに基
づいてシンボルを置換する表層的シンボル置換モジュー
ルと意味の類似性/対照性に基づいてシンボルを置換す
る意味的シンボル置換モジュールの2つに分かれる。こ
こではこのうち表層的シンボル置換形式作成モジュール
について説明する。尚語彙どうしの発音の等しさ、意味
の類似性、意味の対照性等語彙どうしの諸関係の知識は
語彙関係知識ベースに記述される。
【297】表層的シンボル形式創作シーン作成モジュー
ルは、まず提案生活シーンの中に現れるそれぞれの商
品、登場人物及びオブジェクトについて、それ自身及び
上位概念を対象としてそれらと等しい綴りの別の単語を
綴り辞書を用いて検索する。次に、検索された単語が生
物概念であればこれを一人以上の登場人物と置換し、オ
ブジェクト概念であればこれを1つ以上のオブジェクト
と置換することによって、提案生活シーンを創作シーン
に変換する。
【298】例えば、前記「居酒屋での飲酒」の提案生活
シーンにおいては、商品の「焼き鳥」、登場人物の「花
子」、「太郎」、「三郎」、「松子」、「竹子」、「梅
子」、「ウェイター」、「ウェイトレス」、「会計
係」、オブジェクトの「生ビール」、「冷酒」、「酎ハ
イ」、「おでん」、「なべ」が処理の対象となる。この
場合、例えば「生ビール」、「冷酒」、「酎ハイ」の上
位概念である「酒」から魚の「鮭」が検索されたとすれ
ば、これは生物概念なのですべての登場人物と置換する
ことが可能になる。と同時に鮭は料理というオブジェク
トでもあるので、提案生活シーンの中のオブジェクトと
も置換可能である。その結果例えば次のような創作シー
ンが作成される。
【299】時間:平日の夜。 場所:居酒屋あいうえお。渋谷にあり、鮭のサラリーマ
ン、鮭のOL、鮭の学生の客が多い。値段は安価であ
る。 登場人物: 主人公−鮭の花子。25歳のOLで、年収は350万、
短大卒、現在は独身で横浜に家族と同居している。趣味
は旅行である。 鮭の花子の同行者−鮭の太郎、鮭の三郎、鮭の松子、鮭
の竹子、鮭の梅子。その他−鮭のウェイター、ウェイト
レス、会計係。 シーン1:居酒屋に入る 鮭の花子及び鮭の太郎があいうえおに入る。 鮭のウェイトレスが鮭の花子及び鮭の太郎達をテーブル
に案内する。 鮭の花子及び鮭の太郎達が椅子に座る。 シーン2:注文する 鮭のウェイターがメニューを鮭の花子及び鮭の太郎達に
渡す。 鮭の花子と鮭の太郎達は注文の相談をする。 鮭の花子は生ビールを飲みたいと思う。 鮭の太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを飲み
たいと思う。 鮭の花子及び鮭の太郎達は焼き鳥を食べたいと思う。 鮭の花子はおでんを食べたいと思う。 鮭の太郎達は鮭を食べたいと思う。 鮭の花子は生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、鮭、鍋を 鮭のウェイトレスに注文する。 シーン3:飲食する 鮭のウェイターが生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、
鮭、鍋を 鮭の花子及び鮭の太郎達に運んで来る。 鮭の花子及び鮭の太郎達は乾杯する。 鮭の花子及び鮭の太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、
酎ハイを飲む。 鮭の花子及び鮭の太郎達のそれぞれは焼き鳥を食べる。 鮭の花子及び鮭の太郎達のそれぞれは鮭、鍋を食べる。 シーン4:居酒屋から出る 鮭の花子及び鮭の太郎達はレジに行く。 鮭の花子は鮭の会計係に勘定書を渡す。 鮭の会計係は勘定を計算する。 鮭の会計係は鮭の花子に金額を言う。 鮭の花子は鮭の太郎達に金額を言う。 鮭の花子及び鮭の太郎達はお金を払う。 鮭の花子及び鮭の太郎達はあいうえおから出る。
【300】4章6節 実生活形式創作シーン作成モジュ
ール、物語合成モジュール及び物語関係適用モジュール
【301】図24に示すように、実生活形式創作シーン
作成モジュールは物語合成モジュール及び物語関係適用
モジュールと連動して、提案生活シーンを実生活形式創
作シーンに変換する。実生活形式創作シーンとは提案生
活シーンの組み合わせや合成によって作成される創作シ
ーンであり、提案生活シーンが現実的可能性を保証され
た生活シーンである以上、それも現実的に可能な範囲内
にある。但し組み合わせや合成の仕方によっては現実性
から直感的に逸脱した創作シーンが作成される可能性も
あるが、広告作成の支援という目的から言ってそれはむ
しろ効果がある。しかしシンボル形式創作シーンやフィ
クション形式創作シーンのような現実的に完全にあり得
ない状況や設定、展開の創作シーンが作成されることは
ない。
【302】この変換処理は次の2つの方法によって行わ
れる。1つは登場人物、商品、場所のいずれか1つを共
有する別の提案生活シーンを検索し、これをもとの提案
生活シーンと合成するという方法(物語の合成)であ
り、もう1つは提案生活シーンに対して物語関係すなわ
ち「対照」、「詳細化」、「並列」、「原因−結果」、
「欠如−充足」、「加害−解消」、「禁止−違反」、
「命令−遵守」、「難題−解決」のような諸関係を適用
するという方法(物語関係の適用)である。このうち物
語の合成処理は物語合成モジュールによって担当され、
物語関係の適用処理は物語関係適用モジュールによって
担当される。
【303】物語の合成処理及び物語関係の適用処理はそ
れぞれ繰り返し行うことが許され、また一旦物語の合成
処理を行った後に物語関係の適用処理を行うこと、ある
いは一旦物語関係の適用処理を行った後に物語の合成処
理を行うことも許される。実生活形式創作シーン作成モ
ジュールは、このような処理の種類と繰り返しの回数に
応じて物語合成モジュールあるいは物語関係適用モジュ
ールのうちの対応するモジュールを適宜呼び出すという
制御を行う。
【304】4章6節.1 物語合成モジュール
【305】物語の合成は次のようにして行われる。例え
ば、これまで用いて来た例すなわち ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) に対して合成処理を施したいとしよう。この時、提案生
活シーンデータベースの中に次のような3種類の提案生
活シーンが既に存在していたとしよう。
【306】((セグメント OL)(商品 和服)(生
活領域 結婚式)(場所 結婚式場)) ((セグメント オヤジ)(商品 焼き鳥)(生活領域
家)(場所 夕食)) ((セグメント 学生)(商品 酎ハイ)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋))
【307】この場合、セグメントを軸にすると、 ((セグメント OL)(商品 和服)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
結婚式)(場所 結婚式場)) の2つの新たな組み合わせができる。
【308】また、商品を軸にすると ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
夕食)(場所 家)) ((セグメント オヤジ)(商品 焼き鳥)(生活領
域 飲酒)(場所 居酒屋)) の2つの新たな組み合わせができる。
【309】さらに、場所を軸にすると ((セグメント OL)(商品 酎ハイ)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント 学生)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) の2つの新たな組み合わせができる。
【310】こうして結局、もとの提案生活シーンと既存
の提案生活シーンの合成によって6種類の新しい提案生
活シーンの組み合わせが出来上がった。
【311】次にこれらの新しく作られた組み合わせにお
ける要素を提案生活シーンの状況設定と生活シナリオの
部分に組み込む。例えば、「居酒屋での飲酒」という生
活シナリオに合致する組み合わせは上の、、、
であるが、の場合なら登場人物の一人以上が和服を着
ている設定にし、の場合なら主人公をオヤジとし、
の場合なら主要な商品である焼き鳥を酎ハイに変更し、
の場合なら主人公を学生に変える。は「結婚式」と
いう生活シナリオに合致するが、この場合結婚式におけ
る料理として焼き鳥が登場するようにシナリオを変更す
る。は「家での夕食」という生活シナリオであるが、
この場合は夕食の主要な料理として焼き鳥が現れるよう
にする。上のの組み合わせによって提案生活シーンを
変更した一例を次に示す。
【312】時間:平日の夜。 場所:居酒屋あいうえお。渋谷にあり、サラリーマン、
OL、学生の客が多い。値段は安価である。 登場人物: 主人公−和服の花子。25歳のOLで、年収は350
万、短大卒、現在は独身で横浜に家族と同居している。
趣味は旅行である。 和服の花子の同行者−和服の太郎、和服の三郎、和服の
松子、和服の竹子、和服の梅子。その他−和服のウェイ
ター、和服のウェイトレス、和服の会計係。 シーン1:居酒屋に入る 和服の花子及び和服の太郎があいうえおに入る。 和服のウェイトレスが和服の花子及び和服の太郎達をテ
ーブルに案内する。 和服の花子及び和服の太郎達が椅子に座る。 シーン2:注文する 和服のウェイターがメニューを和服の花子及び和服の太
郎達に渡す。 和服の花子と和服の太郎達は注文の相談をする。 和服の花子は生ビールを飲みたいと思う。 和服の太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを飲
みたいと思う。 和服の花子及び和服の太郎達は焼き鳥を食べたいと思
う。 和服の花子はおでんを食べたいと思う。 和服の太郎達は鍋を食べたいと思う。 和服の花子は生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、おで
ん、鍋を 和服のウェイトレスに注文する。 シーン3:飲食する 和服のウェイターが生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、
おでん、鍋を 和服の花子及び和服の太郎達に運んで来る。 和服の花子及び和服の太郎達は乾杯する。 和服の花子及び和服の太郎達のそれぞれは生ビール、冷
酒、酎ハイを飲む。 和服の花子及び和服の太郎達のそれぞれは焼き鳥を食べ
る。 和服の花子及び和服の太郎達のそれぞれはおでん、鍋を
食べる。 シーン4:居酒屋から出る 和服の花子及び和服の太郎達はレジに行く。 和服の花子は和服の会計係に勘定書を渡す。 和服の会計係は勘定を計算する。 和服の会計係は和服の花子に金額を言う。 和服の花子は和服の太郎達に金額を言う。 和服の花子及び和服の太郎達はお金を払う。 和服の花子及び和服の太郎達はあいうえおから出る。
【313】4章6節.2 物語関係適用モジュール
【314】次に、物語関係の適用による実生活形式創作
シーンの作成について述べる。物語関係とはある物語の
断片に対して適用することによってそれを拡張・展開す
るために定義された関係であり、「詳細化」、「並
列」、「原因−結果」、「対照」、「欠如−充足」、
「加害−解消」、「禁止−違反」、「命令−遵守」、
「難題−解決」等の物語関係が用意される。提案生活シ
ーンもしくは複数の提案生活シーンから合成された創作
シーンに対していずれかの物語関係が適用されると、拡
張された創作シーンが新たに作成される。以下、これら
の物語関係のうち「並列」、「原因−結果」、「対
照」、「欠如−充足」を例に説明を行う。次に示すのは
これらの物語関係の定義である。
【315】並列:入力シーンの生活領域と同一の生活
領域による別のシーンを入力シーンの前あるいは後ろに
結合して新たな創作シーンを作成する。セグメント、商
品、場所は入力シーンのそれらと同じでも別でも構わな
い。 原因−結果:入力シーンの結果もたらされる効果を獲
得するための行為の前提条件を成す効果をもたらす別の
シーンを入力シーンの前に結合するか、入力シーンの結
果もたらされる効果によって起動される別のシーンを入
力シーンの後ろに結合することによって、原因−結果の
関係から構成される創作シーンを作成する。 対照:入力の生活シナリオのセグメント、商品、生活
領域あるいは場所と対照的なセグメント、商品、生活領
域あるいは場所による別の生活シナリオを入力の生活シ
ナリオの前あるいは後ろに結合することによって新たな
創作シーンを作成する。 欠如−充足:入力シーンに現れる商品がないすなわち
欠如した状態で展開される別のシーンを入力シーンの前
に結合する。また、入力シーンの結果もたらされる効果
が心理状態の満足をもたらすなら逆に心理状態の不満足
をもたらす生活シナリオをその前に置き、これとは逆に
入力シーンの結果もたらされる効果が心理的な不満足を
もたらすなら心理状態の満足をもたらす生活シナリオを
その後ろに置くことによって、心理的な欠如−>充足と
いう推移を表現する創作シーンを作成する。
【316】以下、それぞれの物語関係に関し、次の例に
基づいて創作シーン作成方法を説明する。
【317】((セグメント OL)(商品 焼き鳥)
(生活領域 飲酒)(場所 居酒屋))
【318】4章6節.2.1 並列関係による実生活形
式創作シーンの作成
【319】生活領域「飲酒」を共有する別の生活シナリ
オを上例の提案生活シーンの前あるいは後ろに結合す
る。この提案生活シーンの場合、セグメントOLを具体
化した花子、場所居酒屋を具体化したあいうえお及び商
品焼き鳥のうちの1つもしくは2つの要素を共有する別
のシナリオを結合すれば良い。共有しない要素について
は、同じセグメント、商品、場所の別の具体化もしくは
異なるセグメント、商品、場所の特定の具体化を使用す
る。その他の登場人物、オブジェクトの使用は自由であ
る。例えば、OLというセグメントのみを共有する生活
シナリオ「居酒屋での飲酒」の別の展開形式を後ろに結
合して次のような並列関係による創作シーンを作成する
ことができる。
【320】<生活シナリオ1> 時間:平日の夜。 場所:居酒屋あいうえお。渋谷にあり、サラリーマン、
OL、学生の客が多い。値段は安価である。 登場人物: 主人公−花子。25歳のOLで、年収は350万、短大
卒、現在は独身で横浜に家族と同居している。趣味は旅
行である。 花子の同行者−太郎、三郎、松子、竹子、梅子。 その他−ウェイター、ウェイトレス、会計係。 シーン1:居酒屋に入る 花子及び太郎があいうえおに入る。 ウェイトレスが花子及び太郎達をテーブルに案内する。 花子及び太郎達が椅子に座る。 シーン2:注文する ウェイターがメニューを花子及び太郎達に渡す。 花子と太郎達は注文の相談をする。 花子は生ビールを飲みたいと思う。 太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを飲みたい
と思う。 花子及び太郎達は焼き鳥を食べたいと思う。 花子はおでんを食べたいと思う。 太郎達は鍋を食べたいと思う。 花子は生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、おでん、鍋を ウェイトレスに注文する。 シーン3:飲食する ウェイターが生ビール、冷酒、酎ハイ、焼き鳥、おで
ん、鍋を 花子及び太郎達に運んで来る。 花子及び太郎達は乾杯する。 花子及び太郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを
飲む。 花子及び太郎達のそれぞれは焼き鳥を食べる。 花子及び太郎達のそれぞれはおでん、鍋を食べる。 シーン4:居酒屋から出る 花子及び太郎達はレジに行く。 花子は会計係に勘定書を渡す。 会計係は勘定を計算する。 会計係は花子に金額を言う。 花子は太郎達に金額を言う。 花子及び太郎達はお金を払う。 花子及び太郎達はあいうえおから出る。
【321】<生活シナリオ2> 時間:平日の夜。 場所:居酒屋かきくけこ。池袋にあり、サラリーマン、
OL、オヤジの客が多い。値段は安価である。 登場人物: 主人公−洋子。26歳のOLで、年収は400万、四大
卒、結婚2年目で文京区のマンションに夫と2人暮し。
趣味はドライブである。 洋子の同行者−一郎、二郎、葉子、陽子。その他−ウェ
イター、ウェイトレス、会計係。 シーン1:居酒屋に入る 洋子及び一郎があいうえおに入る。 ウェイトレスが洋子及び一郎達をテーブルに案内する。 洋子及び一郎達が椅子に座る。 シーン2:注文する ウェイターがメニューを洋子及び一郎達に渡す。 洋子と一郎達は注文の相談をする。 洋子は生ビールを飲みたいと思う。 一郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを飲みたい
と思う。 洋子及び一郎達は刺身を食べたいと思う。 洋子は蛸焼きを食べたいと思う。 一郎達は鍋を食べたいと思う。 洋子は生ビール、冷酒、酎ハイ、蛸焼き、おでん、鍋を ウェイトレスに注文する。 シーン3:飲食する ウェイターが生ビール、冷酒、酎ハイ、蛸焼き、おで
ん、鍋を 洋子及び一郎達に運んで来る。 洋子及び一郎達は乾杯する。 洋子及び一郎達のそれぞれは生ビール、冷酒、酎ハイを
飲む。 洋子及び一郎達のそれぞれは蛸焼きを食べる。 洋子及び一郎達のそれぞれはおでん、鍋を食べる。 シーン4:居酒屋から出る 洋子及び一郎達はレジに行く。 洋子は会計係に勘定書を渡す。 会計係は勘定を計算する。 会計係は洋子に金額を言う。 洋子は一郎達に金額を言う。 洋子及び一郎達はお金を払う。 洋子及び一郎達はあいうえおから出る。
【322】4章6節.2.2 原因−結果関係による実
生活形式創作シーンの作成
【323】生活シナリオ「居酒屋での飲酒」によって
「満腹」及び「酒酔いによるストレス解消」という効果
がもたらされるが、これらの効果は「空腹」もしくは
「ストレス増大」という効果をもたらす別の生活シナリ
オを原因として、その効果を解消するために起動される
生活シナリオすなわち「居酒屋での飲酒」によるものと
して位置付けることができる。すなわち、「空腹」であ
るからもしくは「ストレスが増大した」から「居酒屋で
の飲酒」を行ったわけである。従って、「空腹」もしく
は「ストレス増大」を効果としてもたらす生活シナリオ
を検索し、それを「居酒屋での飲酒」の前に置けば良
い。この時、2つの生活シナリオの主人公は「居酒屋で
の飲酒」の主人公である「花子」に統一し、その他必要
な登場人物も可能な限り「居酒屋での飲酒」の登場人物
と統一することが必要である。例えば、「ストレス増
大」という効果をもたらす生活シナリオとして「OLの
会社での仕事」があれば、「OLの会社での仕事」−
「居酒屋での飲酒」という原因−結果の物語関係によっ
て結合された創作シーンを作成することができ、「空
腹」という効果をもたらす生活シナリオとして「エアロ
ビクス」があれば、「エアロビクス」−「居酒屋での飲
酒」という原因−結果の物語関係によって結合された創
作シーンを作成することができる。
【324】4章6節.2.3 対照関係による実生活形
式創作シーンの作成
【325】生活シナリオ「居酒屋での飲酒」に現れるセ
グメント、商品、生活領域、場所及び時間のいずれかに
ついて対照性を成す概念を各生活知識ベース中のリンク
情報によって検索して別の生活シナリオを展開し、それ
を「居酒屋での飲酒」の前あるいは後ろに結合すること
によって新たな創作シーンを作成する。例えば、セグメ
ントOLと対照を成すセグメントは年齢の点で老人、性
別の点でヤングサラリーマン、収入の点で中・高年管理
者層などであり、商品焼き鳥と対照を成す商品は焼き鳥
が安価で庶民的であるのに対して高価で貴族的である諸
料理(フカヒレなど)であり、生活領域飲酒と対照を成
す生活領域は飲酒が「満腹」や「ストレス解消」をもた
らすのに対して「空腹」や「ストレス増大」をもたらす
生活領域(「スポーツ」や「OLの会社での仕事」な
ど)であり、場所居酒屋と対照を成す場所は居酒屋が安
価で日常的であるのに対して高価で非日常的な高級クラ
ブ、高級ホテルのバーなどであり、時間平日の夜と対照
的な時間は平日の朝、休日の夜、休日の朝である。
【326】その結果、生活シナリオとしては「居酒屋で
の飲酒」の他に「スポーツ」、「OLの会社での仕
事」、「高級クラブ/バーでの飲酒」が使用可能にな
り、「居酒屋での飲酒」とその構成要素を対照概念によ
って置換したものを前あるいは後ろに結合した創作シー
ンの他に、「居酒屋での飲酒」を他の3種類の生活シナ
リオと結合した創作シーンが可能になる。
【327】4章6節.2.4 欠如−充足関係による実
生活形式創作シーンの作成
【328】1つは、生活シナリオ「居酒屋での飲酒」に
おいて、花子やその他の登場人物が焼き鳥を食べたいと
思いながらそれがなくて食べることができない「居酒屋
での飲酒」の別バーションを作り、それを前に置くこと
によって新たな創作シーンを作成するという方法であ
る。この場合、場所は異なっていても良い。もう1つ
は、「居酒屋での飲酒」の結果もたらされる心理状態は
「満腹=満足」であるため、これとは逆に心理的な不満
足をもたらす生活シナリオ、例えば「OLの会社での仕
事」や「恋人との別れ」などの生活シナリオを「居酒屋
での飲酒」の前に置くことによって新たな創作シーンを
作成する。この場合、2つの生活シナリオにおける登場
人物は同一でなければならない。
【329】4章7節 ドキュメンタリー形式創作シーン
作成モジュール
【330】図25に示すように、ドキュメンタリー形式
創作シーン作成モジュールは物語結合モジュールと連動
してドキュメンタリー形式創作シーン作成モジュールを
作成する。ドキュメンタリー形式創作シーンとは、現実
的可能性を持った提案生活シーンを複数結合した形式を
言う。しかしこの結合において意図したフィクション性
が導入されることはなく、この点がフィクション形式創
作シーンとの違いである。
【331】複数の提案生活シーンの結合は物語結合モジ
ュールによって行われる。物語結合モジュールは提案生
活シーンにおけるセグメント、商品、場所(生活領域と
して表現されている場合もある)の3つのうちのいずれ
かを軸として提案生活データベースから提案生活シーン
を検索し、複数の提案生活シーンを結合してドキュメン
タリー形式創作シーンを作成する。例えば、これまで使
用して来た次の提案生活シーンの組み合わせがあるとし
よう。
【332】((セグメント OL)(商品 焼き鳥)
(生活領域 飲酒)(場所 居酒屋))
【333】この時提案生活シーンデータベースの中には
次のような複数の提案生活シーンが存在するとしよう。
【334】((セグメント OL)(商品 和服)(生
活領域 結婚式)(場所 結婚式場)) ((セグメント OL)(商品 和服)(生活領域 飲
酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント オヤジ)(商品 焼き鳥)(生活領域
家)(場所 夕食)) ((セグメント 学生)(商品 酎ハイ)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
夕食)(場所 家)) ((セグメント オヤジ)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント OL)(商品 車)(生活領域 旅
行)(場所 温泉)) ((セグメント OL)(商品 パソコン)(生活領域
パソコン通信)(場所 家))
【335】この場合、セグメントOLを軸にすると ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント OL)(商品 和服)(生活領域 結
婚式)(場所 結婚式場)) ((セグメント OL)(商品 和服)(生活領域 飲
酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
夕食)(場所 家)) ((セグメント OL)(商品 車)(生活領域 旅
行)(場所 温泉)) ((セグメント OL)(商品 パソコン)(生活領域
パソコン通信)(場所 家)) という組み合わせができる。
【336】また商品焼き鳥を軸にすると ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント オヤジ)(商品 焼き鳥)(生活領域
家)(場所 夕食)) ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
夕食)(場所 家)) ((セグメント 学生)(商品 焼き鳥)(生活領域
コンパ)(場所 居酒屋)) という組み合わせができる。
【337】さらに場所(生活領域として表現されている
場合もある)居酒屋を軸にすると、 ((セグメント OL)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント OL)(商品 和服)(生活領域 飲
酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント 学生)(商品 酎ハイ)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) ((セグメント オヤジ)(商品 焼き鳥)(生活領域
飲酒)(場所 居酒屋)) という組み合わせができる。
【338】ここで、セグメントを軸とした組み合わせは
ある特定セグメントの生活の諸相のドキュメントであ
り、商品を軸とした組み合わせはある特定商品の様々な
利用のされ方のドキュメントであり、場所(生活領域と
して表現されている場合もある)を軸とした組み合わせ
はある特定の場所(生活領域)において展開される生活
の諸相のドキュメントである。
【339】物語結合モジュールは、これらの提案生活シ
ーンを結合することによって長大な創作シーンを作成す
る。この時、セグメントの場合はある特定の具体化例え
ばセグメントOLなら「花子」に統一することによって
花子という一人のOLのドキュメントを作成でき、また
場所の場合もある特定の具体化例えば場所居酒屋なら渋
谷の「あいうえお」に統一することによってより統合的
なイメージのドキュメンタリー形式創作シーンを作成で
きるようになる。
【340】5章 物語型CFの構造分析と広告の物語生
成過程
【341】5章1節 はじめに
【342】広告の社会的機能の一つとして、物(商品)
と人々との生き生きとした交流を表現することを通じ
て、人々に多様なライフスタイルを提案して行くことが
ある。その際、広告は商品をそれにふさわしい生活上の
コンテクストに埋め込んで描出する必要がある。これは
一種の物語生成であると言うことができる。既に述べた
ように、本発明は導出された商品−セグメント(人物)
−人物の行為(生活上の動詞的概念で、生活動詞と呼
ぶ)の組み合わせをさらに物語的な事象の連鎖である生
活シーンとして展開することによって広告作成に携わる
クリエイターを支援する。本章では、特に改めて、広告
の物語構造に関する分析について説明し、それに基づく
広告の物語生成過程について説明する。
【343】5章2節 物語の基本的方法
【344】発明者は物語における文以上のレベルの構造
モデルとして、次のような四層から成る物語構造のモデ
ルを設定する。第一レベルは文を構成要素としてその連
鎖から成る(テクスト)。第二レベルは文の連鎖である
シーンを構成要素としてその連鎖から成る(コンストラ
クション)。シーンとは場所の同一性と時間の連続性か
ら定義される。第三レベル及び第四レベルはシーンの連
鎖であるエピソードを構成要素としてその連鎖から成る
(プロット及びストーリーレベル)。プロットは物語の
語りの順序(諸事件の必ずしも時間順ではない配列)に
従い、一方ストーリーは物語世界の時間の順序に従う。
【345】物語の構造分析にとって必要なのは、1)これ
ら様々なレベルにおける物語の構成要素のタイプと2)構
成要素間の連接性のための諸関係を定義する知識であ
り、一方物語生成過程にとって必要なのは、3)構成要素
に対して関係を適用して物語構造を構築するための諸知
識である。1)としては、登場人物の行為や外的/内的状
態、登場人物やその他のオブジェクトに関する説明や描
写等があり、2)としては、因果関係、継起関係、反復関
係、対照関係、スクリプト関係、目標−計画関係、主題
関係等がある。CFの構造分析は、最も下位レベルの概
念的な構成要素どうしをこれらの関係によって結合し、
こうして結合された構成要素のまとまりどうしをさらに
関係で結合して行くことを繰り返して、一つの頂点を持
つ木構造を構築することによって行うことができる。逆
に、物語生成過程はこのような木構造を漸進的に詳細化
して行く過程と見なすことができる。
【346】次節では、こうした命題と関係に基づくアプ
ローチによるCFの構造分析の実例を示し、さらに4節
ではその逆過程としての物語生成の方法を説明する。
【347】5章3節 CFの構造分析
【348】上述のような方法に基づいて、百数十本のC
Fの構造分析を行った。図30に示すのは、タケダ食品
のアリナミンV&VのCFの構造である。これに基づいて
CFの物語構造のパターンを分類することもできるが、
本発明での発明者の主要な目的はそうしたタイポロジー
の作成ではなく、多様な物語を柔軟に生成できるシステ
ムの開発にある。
【349】5章4節 広告の物語生成過程に関る諸知識
【350】広告自動化支援システムの入力は登場人物、
商品、生活動詞の組み合わせ(有効生活シーン)であ
り、システムはまずその三者を時系列に沿って適切に配
置した生活シーン(提案生活シーン)を生成する。生活
シーンとは生活上の一シーンであり、これは2節に述べ
た物語型知識表現のうちスクリプトを利用する。スクリ
プトとは複数の事象の時間順の系列である。次に、この
生活シーンを核としてこれを種々の方法で展開すること
によって、物語の全体枠組みを生成する。生活シーンと
してのスクリプトの展開方法としては、その中の要素を
より下位レベルの要素によって詳細化する方法や、その
スクリプトを包含する上位レベルの要素をかぶせる方法
がある。これらは共に要素に対する関係の適用を通して
行う。このような物語生成過程の概略的手順を図31に
示す。
【351】本発明では、生成途中の物語における特定の
構成要素に対して特定の関係を適用する手続きを”物語
技法”と呼び、いつ・どの要素に対してどの関係を適用
すべきかを決定するルールを”物語戦略”と呼ぶ。物語
技法は2節に挙げたような諸種の関係を適用する手続き
のライブラリとして整理されており、物語戦略は特定の
目標の関数として物語技法の使用を制御するためのルー
ル型知識ベースとして整理されている。
【352】6章 生活知識べース
【353】生活項目の知識を整理分類した生活項目知識
ベース、生活動詞の知識を整理分類した生活動詞知識ベ
ース、生活者の知識を整理分類したセグメント知識ベー
ス、商品を初めとした目的事物の知識を整理分類した目
的事物知識ベース、時間の知識を整理分類した時間知識
ベース、場所の知識を整理分類した場所知識ベース、既
知の生活シーンの知識を整理分類した既知生活シーン知
識ベース,及びクラス生活の属性や生活項目や生活シー
ンの間の制約を整理分類した生活制約知識ベースのうち
少なくとも1つを部分知識ベースとして含み、必要によ
り部分知識ベース間の関係の知識を持つ知識ベースであ
る。本実施例ではその一覧は図27の通りであり、その
構成図は図28の通りである。以下では、図27の一覧
に付した包含関係を表す番号に従って順に、箇条書き的
に説明する。各知識の作用と構成方法については、第1
章及び3章を参照されたい。
【354】1 生活項目知識ベース;生活行為の動詞的
概念の通俗的な概念による分類である生活動詞知識ベー
スをクラス生活への代入を通じて反映したサブクラスで
ある生活領域と、生活行為の定量調査データの統計解析
による分類で得られるサブクラスであるライフスタイル
とを、統合した階層的な知識ベースである。従って、個
々の生活項目のサブクラスは、生活領域というスーパー
クラスとライフスタイルというスーパークラスから多重
継承したサブクラスである。
【355】1−1 生活領域知識ベース;生活行為の動
詞的概念の通俗的な概念による分類である生活動詞知識
ベースをクラス生活への代入を通じて反映したサブクラ
スである生活領域の階層的な知識ベース。生活行為の通
俗的な概念による分類である。
【356】1−2 ライフスタイル知識ベース;生活行
為の定量調査データの統計解析による分類であるライフ
スタイルの階層的な知識ベース。
【357】2 生活動詞知識ベース;生活行為の動詞的
概念である生活動詞の通俗的な概念による分類の階層的
な知識ベース。
【358】3 セグメント知識ベース;生活者の知識を
整理分類した階層的な知識ベース。
【359】4 目的事物知識ベース;商品を初めとした
目的事物の知識を整理分類した階層的な知識ベース。
【360】5 時間知識ベース;時間の知識を整理分類
した階層的な知識ベース。
【361】6 場所知識ベース;場所の知識を整理分類
した階層的な知識ベース。
【362】7 既知生活シーン知識ベース既知の有効生
活シーンと非有効生活シーンの階層的な知識ベース。
【363】7−1 既知有効生活シーン知識ベース既知
の有効生活シーンの階層的な知識ベース。
【364】7−2 既知非有効生活シーン知識ベース既
知の非有効生活シーンの階層的な知識ベース。
【365】8 生活制約知識ベースクラス生活の属性や
生活項目や生活シーンの間の制約を整理分類した知識ベ
ース。その作成は、3章5節の因果関係の知識ベースの
構成方法に準じ、主として人間に入力させることによる
方法と定量データの統計処理による方法を用いる。
【366】8−1 生活属性制約知識ベースクラス生活
の属性の間の制約を整理分類した知識ベース。例えば、
属性使用事物を例にすれば、鰻と梅干しは矛盾する組み
合わせであり、同時に存在することを許されない矛盾制
約であるというような知識である。また、高級レストラ
ンでは高級料理を食べると言うような随伴制約であると
いうような知識である。
【367】8−2 生活項目制約知識ベース生活項目の
間の制約を整理分類した知識ベース。例えば、厳格な儀
式に出席する前には酒を飲むことは許されない矛盾制約
であるというような知識である。随伴制約の知識でもあ
る。
【368】8−3 生活シーン制約知識ベース生活シー
ンのまたはそれらの間の制約を整理分類した知識ベー
ス。例えば、子供が酒を飲むことは許されない矛盾制約
であるというような知識である。随伴制約の知識でもあ
る。
【369】
【本発明の効果】
【370】本発明は以上説明したように構成されている
ので、次に説明するような効果を持つ。
【371】マーケティングにおいて、定量調査の定量
データとマーケター等の持つ定性知識及び定性データを
システムにより一貫したメカニズムの知識とデータに統
合し、そのセグメントの分類・選択もその一貫したメカ
ニズムに包含する。また、知識獲得や事後的に知識を追
加修正する上で従来の知識ベースを用いたシステムに存
在した障害を解決するため、定量データと定性データと
定性知識が相乗作用をもたらすような形で事後的に柔軟
に知識を追加修正でき、人間の持つ定性データと定性知
識をシステムが取り込み再利用し、人間が定性知識を再
構築しそれを再び知識ベースに反映できるようにする。
それにより、『定量データと定性知識や定性データとの
乖離』を克服し、マーケティングの知識やデータの普遍
的な再利用をもたらし、知識やデータの管理と運用の主
観性や属人性を解決し、マーケティングの様々な検討の
過程と結論に普遍的な妥当性を与える。また、『組み合
わせ空間の膨大さ』を克服して、人間の理解と発想を生
かしつつ、人間では処理できないようなセグメントと商
品と生活動詞の膨大な組み合わせ空間を検討し、生起す
る可能性が客観的に有効な有効生活シーン、つまりシス
テムで統合されたマーケティング的論理に裏付けられた
現実妥当性のある有効生活シーンを作成する。このよう
に、マーケティング業務を、人間による従来の業務方法
を越えたメカニズムで自動化し支援し、人間では原理的
に不可能な効率向上及び質的向上を実現する。
【372】魅力的な提案生活シーンや広告作品を創作
するクリエイティブな発想能力のための様々な知識を、
システムにより一貫したメカニズムの知識に統合する。
それにより、クリエイティブな創作の知識の普遍的な再
利用をもたらし、知識の管理と運用の主観性や属人性を
解決し、クリエイティブの様々な創作の過程と作品に、
ターゲットの共感を得る普遍的な裏付けを与える。ま
た、『組み合わせ空間の膨大さ』を克服して、人間では
処理できないような複数の提案生活シーンの膨大な組み
合わせ空間を検討し、ターゲットが共感する可能性が客
観的に予想できる提案生活シーンや広告作品、つまりシ
ステムで統合されたクリエイティブな発想能力に裏付け
られた提案生活シーンや広告作品を作成創作する。この
ように、マーケティングと広告作成の業務を、人間によ
る従来の業務方法を越えたメカニズムで自動化し支援
し、人間では原理的に不可能な効率向上及び質的向上を
実現する。
【373】マーケティング業務と広告作成業務を同一
のシステムにより一貫したメカニズムに統合する。これ
によって、現実妥当性を裏付けるマーケティング的論理
能力と魅力的な提案生活シーンや広告作品を作成創作す
るクリエイティブな発想能力の間で、人間による対応で
は原理的に不可能であった『異なる種類の能力の融合』
が実現される。また、『分割しての相互参照を統合でき
ない』という問題を克服し、整合する全体の組み合わせ
を作成するための、独立した順番ごとのプロセスを踏ま
え、生活者の間に生起が客観的に予想できるマーケティ
ング計画と彼等が感動する可能性が客観的に予想できる
広告作成を、統合的に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マーケティング広告自動化支援システムの全体
構成図である。
【図2】マーケティング自動化支援システムの全体構成
図である。
【図3】広告自動化支援システムの全体構成図である。
【図4】知識ベースの全体構成図である。
【図5】生活項目の多重継承の例の説明図である。
【図6】マーケティング自動化支援システムのモジュー
ル一覧の説明図である。
【図7】マーケティング自動化支援システムのモジュー
ルの全体的な作用概略図である。
【図8】生活シーン作成モジュールの構成図である。
【図9】生活シーン組み合わせ置換モジュールの構成図
である。
【図10】統計検定結果生活シーン変換モジュールの構
成図である。
【図11】推論エンジンの構成図である。
【図12】統計処理モジュールの構成図である。
【図13】述語データ管理モジュールの構成図である。
【図14】因果ルール管理モジュールの構成図である。
【図15】非単調推論の原理の説明図である。
【図16】マーケティング自動化支援システムのモジュ
ール相互の作用の整理図である。
【図17】マーケティング自動化支援システムのモジュ
ール相互の作用の整理図の続きである。
【図18】広告自動化支援システムにおける提案生活シ
ーン作成モジュールの構成と使用する知識ベースの構成
図である。
【図19】広告自動化支援システムにおける創作シーン
作成モジュールの構成と使用する知識ベースの構成図で
ある。
【図20】創作シーン作成モジュールを構成するジャン
ル別創作シーン作成モジュールと物語作成モジュール及
び使用する知識ベースの構成図である。
【図21】ジャンル別創作シーン作成モジュールを構成
するシンボル置換形式創作シーン作成モジュール、実生
活形式創作シーン作成モジュール、ドキュメンタリー形
式創作シーン作成モジュール及びフィクション形式創作
シーン作成モジュール、物語作成モジュール及び使用す
る知識ベースとこれらの関係を示す構成図である。
【図22】物語作成モジュールを構成するシンボル置換
モジュール、物語合成モジュール、物語結合モジュー
ル、物語関係適用モジュール及び物語構造適用モジュー
ル、ジャンル別創作シーン作成モジュール及び使用する
知識ベースとこれらの関係を示す構成図である。
【図23】シンボル置換形式創作シーン作成モジュール
を構成する表層的シンボル置換形式創作シーン作成モジ
ュール及び意味的シンボル置換形式創作シーン作成モジ
ュール、物語作成モジュールにおける表層的シンボル置
換モジュール及び意味的シンボル置換モジュール、生活
知識ベース及び物語作成知識ベースにおける語彙関係知
識ベースとこれらの関係を示す構成図である。
【図24】実生活形式創作シーン作成モジュール、物語
作成モジュールにおける物語合成モジュール及び物語関
係適用モジュール、生活知識ベース及び物語作成知識ベ
ースにおける物語関係知識ベースとこれらの関係を示す
構成図である。
【図25】ドキュメンタリー形式創作シーン作成モジュ
ール、物語作成モジュールにおける物語結合モジュール
及び生活知識ベースとこれらの関係を示す構成図であ
る。
【図26】フィクション形式創作シーン作成モジュー
ル、物語作成モジュールにおける物語構造適用モジュー
ル、生活知識ベース及び物語作成知識ベースにおける物
語構造知識ベースとこれらの関係を示す構成図である。
【図27】生活知識ベースの部分知識ベースの一覧の説
明図である。
【図28】生活知識ベースの構成図である。
【図29】物語作成知識ベースを構成する生活シナリオ
知識ベース、提案生活シーン知識ベース、語彙関係知識
ベース、物語関係知識ベース及び物語構造知識ベースの
構成図である。
【図30】CFの構造の例の説明図である。
【図31】物語生成の概略的手順の説明図である。
【符号の説明】
1;マーケティング自動化支援システム 2;広告自動化支援システム 3;データ知識ベース ALL4BN8.DOC 126 94/11/08 20:22

Claims (50)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動詞的概念の分類である生活動詞、人間
    の分類であるセグメント、目的事物である商品、時間又
    は場所の内の少なくとも3つを含む組み合わせで、統計
    や因果関係等から生起可能性が有効な組み合わせとし
    て、有効生活シーンを作成するマーケティング自動化支
    援システムを備えたマーケティング広告自動化支援シス
    テム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、マーケティング自動
    化支援システムは、任意の組み合わせから統計処理のモ
    ジュールを用いて定量データにおいて統計的に有意な組
    み合わせを選ぶことで有効生活シーンを作成する、マー
    ケティング広告自動化支援システム。
  3. 【請求項3】 請求項1において、マーケティング自動
    化支援システムは、因果関係の知識ベースを用いて有効
    生活シーンを作成する、マーケティング広告自動化支援
    システム。
  4. 【請求項4】 請求項3において、マーケティング自動
    化支援システムは、因果関係の知識ベースを用いて前向
    き推論することで有効生活シーンを作成する、マーケテ
    ィング広告自動化支援システム。
  5. 【請求項5】 請求項3において、マーケティング自動
    化支援システムは、因果関係の知識ベースを用いて任意
    の組み合わせを後向き推論により証明することで有効生
    活シーンを作成する、マーケティング広告自動化支援シ
    ステム。
  6. 【請求項6】 請求項2及び請求項5において、マーケ
    ティング自動化支援システムは、任意の組み合わせを定
    量データにおいて統計的に有意な組み合わせとして選べ
    なかった場合にその組み合わせを因果関係の知識ベース
    を用いて後向き推論により証明することで、又は因果関
    係の知識ベースを用いて任意の組み合わせを後向き推論
    により証明できなかった場合にその組み合わせを定量デ
    ータで検証する統計処理のモジュールを用いて、有効生
    活シーンを作成する、マーケティング広告自動化支援シ
    ステム。
  7. 【請求項7】 請求項3において、マーケティング自動
    化支援システムは、既知の有効生活シーンの生じる因果
    ルール又は事実又はそれらの候補を使用者に入力させる
    もので、又はそうすることで因果関係の知識ベースの因
    果ルール又は事実の少なくとも一部を作成するものであ
    る、マーケティング広告自動化支援システム。
  8. 【請求項8】 請求項2及び請求項5において、マーケ
    ティング自動化支援システムは、任意の組み合わせを定
    量データにおいて統計的に有意な組み合わせとして選べ
    なかった場合に、又は因果関係の知識ベースを用いて任
    意の組み合わせを後向き推論により証明できなかった場
    合に、又は必要により、任意の組み合わせを有効生活シ
    ーンとして生じる因果ルール又は因果ルールを満たす事
    実又はそれらの候補を、使用者に入力又は選択させ又は
    自動的に設定するもので、又はそうすることで因果関係
    の知識ベースの因果ルール又は事実の追加や変更を行な
    いその少なくとも一部を作成するものである、マーケテ
    ィング広告自動化支援システム。
  9. 【請求項9】 請求項2及び請求項5において、マーケ
    ティング自動化支援システムは、任意の組み合わせを定
    量データにおいて統計的に有意な組み合わせとして選べ
    なかった場合に、又は因果関係の知識ベースを用いて任
    意の組み合わせを後向き推論により証明できなかった場
    合に、又は必要により、任意の組み合わせに類似の既知
    の有効生活シーンを検索して、その既知の有効生活シー
    ンを生じる因果ルール又は因果ルールを満たす事実又は
    それらの変形を、当初の組み合わせを有効生活シーンと
    して生じる因果ルール又は因果ルールを満たす事実又は
    それらの候補として、使用者に入力又は選択させ又は自
    動的に設定するもので、又はそうすることで因果関係の
    知識ベースの因果ルール又は事実の追加や変更を行ない
    その少なくとも一部を作成するものである、マーケティ
    ング広告自動化支援システム。
  10. 【請求項10】 請求項2及び請求項3において、マー
    ケティング自動化支援システムは、定量データの統計処
    理により因果関係の知識ベースの因果ルール又は事実の
    少なくとも一部を作成する、マーケティング広告自動化
    支援システム。
  11. 【請求項11】 請求項2及び請求項3において、マー
    ケティング自動化支援システムは、使用者に入力させ又
    は自動的に設定した因果ルール又は事実又はそれらの候
    補を、定量データで検証する統計処理により、因果関係
    の知識ベースの因果ルール又は事実の少なくとも一部を
    作成する、マーケティング広告自動化支援システム。
  12. 【請求項12】 請求項2及び請求項3において、マー
    ケティング自動化支援システムは、定量データの統計量
    を因果ルール又は事実の確信度に変換することにより、
    又は使用者に因果ルール又は事実の確信度を入力又は選
    択させることより、因果関係の知識ベースの因果ルール
    又は事実に確信度を与え必要により確信度を変更する、
    マーケティング広告自動化支援システム。
  13. 【請求項13】 請求項2及び請求項5において、マー
    ケティング自動化支援システムは、既知の有効生活シー
    ンの組み合わせ要素の一部を置換することで、任意の組
    み合わせを作成する、マーケティング広告自動化支援シ
    ステム。
  14. 【請求項14】 請求項2及び請求項5において、マー
    ケティング自動化支援システムは、使用者に任意の組み
    合わせの入力又は選択を求め、使用者に入力又は選択さ
    せた任意の組み合わせをそのまま用いることで、又は使
    用者に入力又は選択させた任意の組み合わせの組み合わ
    せ要素の一部を置換することで、任意の組み合わせを作
    成する、マーケティング広告自動化支援システム。
  15. 【請求項15】 請求項13及び請求項14において、
    マーケティング自動化支援システムは、置換する組み合
    わせ要素を使用者に指定させる、マーケティング広告自
    動化支援システム。
  16. 【請求項16】 請求項1において、マーケティング自
    動化支援システムは、確信度を付与して有効生活シーン
    を作成する、マーケティング広告自動化支援システム。
  17. 【請求項17】 請求項2において、マーケティング自
    動化支援システムは、有効生活シーンの根拠として、統
    計処理のモジュールを用いて定量データにおいて統計的
    に有意な組み合わせを選ぶ過程を提示する、マーケティ
    ング広告自動化支援システム。
  18. 【請求項18】 請求項3において、マーケティング自
    動化支援システムは、有効生活シーンの根拠として、因
    果関係の知識ベースを用いて有効生活シーンを作成する
    過程を提示する、マーケティング広告自動化支援システ
    ム。
  19. 【請求項19】 生活動詞、セグメント、商品、場所及
    び時間のうち少なくとも3つを含む組み合わせである生
    活シーンについて、その組み合わせ要素を具体化し時間
    的に展開した提案生活シーンを作成し、又はこの提案生
    活シーンを組み合わせ要素の脚色や別の生活シーンとの
    結合等によって広告原案等に利用できる創作シーンに変
    換する広告自動化支援システムを備えた、マーケティン
    グ広告自動化支援システム。
  20. 【請求項20】 請求項19において、広告自動化支援
    システムは、生活シーンの組み合わせ要素たるセグメン
    ト、商品、場所及び時間について、これらの要素の具体
    例を検索し、具体化された登場人物、商品、場所及び時
    間を時間的に推移する登場人物の行為の連鎖の形に展開
    するための生活シナリオを検索し、この生活シナリオに
    上記の具体例を埋め込むことによって、特定の登場人物
    が特定の商品を特定の場所と時間設定において実際に使
    用している状況を時間的に推移する登場人物の行為の連
    鎖すなわち一種の物語として展開した提案生活シーンを
    作成する、マーケティング広告自動化支援システム。
  21. 【請求項21】 請求項19において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンを、組み合わせ要素の置換
    か、又は別の生活シナリオとの合成・結合のいずれかの
    方法で脚色・拡張して広告原案等に利用できる創作シー
    ンを作成する、マーケティング広告自動化支援システ
    ム。
  22. 【請求項22】 請求項21において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンにおける組み合わせ要素の
    うち少なくとも1つを別のシンボルに置換して創作シー
    ンを作成するか、又は提案生活シーンにおける組み合わ
    せ要素のうち少なくとも1つを別の提案生活シーンと合
    成して創作シーンを作成するか、又は提案生活シーンに
    おける組み合わせ要素のうち少なくとも1つを軸として
    複数の提案生活シーンと結合して創作シーンを作成する
    か、又は複数の提案生活シーンや創作シーンを結合する
    ための規則を用いて提案生活シーンを別の提案生活シー
    ンと結合して創作シーンを作成するか、又は提案生活シ
    ーンをより大きな物語の中の一部分として位置付けるた
    めの構造規則を用いて創作シーンを作成する、マーケテ
    ィング広告自動化支援システム。
  23. 【請求項23】 請求項22において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンにおける登場人物、商品、
    場所その他の物のうち少なくとも1つを綴りの等しさに
    基づいて別のシンボルに置換してシンボル置換形式創作
    シーンを作成するか、又は、提案生活シーンにおける登
    場人物、商品、場所その他の物のうち少なくとも1つを
    意味的な類似性や対照性に基づいて別のシンボルに置換
    してシンボル置換形式創作シーンを作成する、マーケテ
    ィング広告自動化支援システム。
  24. 【請求項24】 請求項23において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンにおける登場人物、商品、
    場所その他の物のうち少なくとも1つを綴りの等しさに
    基づいて別のシンボルに置換して表層的シンボル置換形
    式創作シーンを作成する、マーケティング広告自動化支
    援システム。
  25. 【請求項25】 請求項23において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンにおける登場人物、商品、
    場所その他の物のうち少なくとも1つを意味的な類似性
    や対照性に基づいて別のシンボルに置換することにより
    意味的シンボル置換形式創作シーンを作成する、マーケ
    ティング広告自動化支援システム。
  26. 【請求項26】 請求項22において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンにおける登場人物、商品、
    場所のうち少なくとも1つを共有する別の提案生活シー
    ンをもとの提案生活シーンと結合するか、又は複数の提
    案生活シーンや生活シナリオや創作シーンを結合するた
    めの結合規則である物語関係を用いて、提案生活シーン
    を他の提案生活シーンや生活シナリオと結合することに
    より拡張して実生活形式創作シーンを作成する、マーケ
    ティング広告自動化支援システム。
  27. 【請求項27】 請求項22において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンにおける登場人物、商品、
    場所のうち少なくとも1つを軸としてそれを共有する別
    の提案生活シーンをもとのそれと結合することによっ
    て、ドキュメンタリー形式創作シーンを作成する、マー
    ケティング広告自動化支援システム。
  28. 【請求項28】 請求項22において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンや生活シナリオや創作シー
    ンをより大きな物語の中の一部分として位置付けるため
    の構造規則を用いて提案生活シーンを拡張するか、又は
    この処理とシンボルの置換との組み合わせによって、又
    はシンボルの置換と物語関係の適用の組み合わせによっ
    て、又はこれらのすべての処理を組み合わせることによ
    って、フィクション形式創作シーンを作成する、マーケ
    ティング広告自動化支援システム。
  29. 【請求項29】 請求項21において、広告自動化支援
    システムは、提案生活シーンもしくは創作シーン(両者
    を含めて創作シナリオと呼ぶ)をシンボルの置換によっ
    て脚色し新しい創作シナリオを作成するか、又は創作シ
    ナリオを別の提案生活シーンと合成することによって新
    しい創作シナリオを作成するか、又は創作シナリオを別
    の提案生活シーンと結合することによって新しい創作シ
    ナリオを作成するか、又は複数の創作シナリオや生活シ
    ナリオを結合するための結合規則を用いて新しい創作シ
    ナリオを作成するか、又は創作シナリオや生活シナリオ
    をより大きな物語の中の一部分として位置付けるための
    構造規則を用いて新しい創作シナリオを作成する、マー
    ケティング広告自動化支援システム。
  30. 【請求項30】 請求項29において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオにおける登場人物、商品、場
    所及びその他の物のうち少なくとも1つと等しい綴りを
    持つその他の語彙をもとの創作シナリオにおける語彙と
    置換することによって脚色し新しい創作シナリオを作成
    するか、又は創作シナリオにおける登場人物、商品、場
    所及びその他の物のうち少なくとも1つを意味的な類似
    性や対照性を持つその他の語彙と置換することによって
    脚色し新しい創作シナリオを作成する、マーケティング
    広告自動化支援システム。
  31. 【請求項31】 請求項30において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオにおける登場人物、商品、場
    所及びその他の物のうち少なくとも1つと等しい綴りの
    語彙をし、検索された語彙が生物概念であればそれを創
    作シナリオにおける登場人物と置換し、検索された語彙
    が物概念であればそれを創作シナリオにおける商品、場
    所又はその他の物概念と置換することによって、新しい
    創作シナリオを作成する、マーケティング広告自動化支
    援システム。
  32. 【請求項32】 請求項30において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオにおける登場人物、商品、場
    所及びその他の物のうち少なくとも1つと意味的な類似
    性又は対照性を持った語彙を検索し、検索された語彙が
    生物概念であればそれを創作シナリオにおける登場人物
    と置換し、検索された語彙が物概念であればそれを創作
    シナリオにおける商品、場所又はその他の物概念と置換
    することによって、新しい創作シナリオを作成する、マ
    ーケティング広告自動化支援システム。
  33. 【請求項33】 請求項29において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオにおける登場人物、商品、場
    所のうち少なくとも1つを共有する提案生活シーンを検
    索し、両者の間で登場人物、商品、場所を入れ換えるこ
    とによって新しい創作シナリオを合成・作成する、マー
    ケティング広告自動化支援システム。
  34. 【請求項34】 請求項29において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオにおける登場人物、商品、場
    所のうち少なくとも1つを共有するすべての提案生活シ
    ーンを検索し、この要素を軸として創作シナリオと提案
    生活シーンを複数結合することによって新しい創作シナ
    リオを作成する、マーケティング広告自動化支援システ
    ム。
  35. 【請求項35】 請求項29において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオに対して「並列」、「原因−
    結果」、「対照」、「欠如−充足」等の物語関係を適用
    して新しい創作シナリオを作成する、マーケティング広
    告自動化支援システム。
  36. 【請求項36】 請求項29において、広告自動化支援
    システムは、創作シナリオに対して「欠如−充足−禁止
    −違反−欠如」等の物語構造を適用して新しい創作シナ
    リオを作成する、マーケティング広告自動化支援システ
    ム。
  37. 【請求項37】 請求項19において、さらに、生活シ
    ナリオ知識ベース、提案生活シーン知識ベース、語彙知
    識ベース、物語関係知識ベース、物語構造知識ベースの
    うち少なくとも1つを部分知識ベースとして備えてい
    る、マーケティング広告自動化支援システム。
  38. 【請求項38】 請求項37において、知識ベースは、
    人間の日常生活の諸場面における典型的行動様式に関す
    る知識を、登場人物、場所及び時間の設定、この登場人
    物がこれらの場所と時間においてある商品を使用してい
    る状況を人間が通常行う典型的な行為の連鎖の形で表現
    したものである、マーケティング広告自動化支援システ
    ム。
  39. 【請求項39】 請求項37において、知識ベースは、
    既に作成済みのすべての提案生活シーンを内蔵してい
    る、マーケティング広告自動化支援システム。
  40. 【請求項40】 請求項37において、知識ベースは、
    ある語彙とその類義語、対義語等語彙どうしの関係を定
    義したマーケティング広告自動化支援システム。
  41. 【請求項41】 請求項37において、知識ベースは、
    複数の創作シナリオや生活シナリオを結合するための結
    合規則である「並列」、「原因−結果」、「対照」、
    「欠如−充足」等の物語関係の定義を複数内蔵したマー
    ケティング広告自動化支援システム。
  42. 【請求項42】 請求項37において、知識ベースは、
    創作シナリオや生活シナリオをより大きな物語の中の一
    部分として位置付けるための構造規則である「欠如−充
    足−禁止−違反−欠如」等の物語構造の定義を複数内蔵
    したマーケティング広告自動化支援システム。
  43. 【請求項43】 生活項目の知識を整理分類した生活項
    目知識ベース、生活動詞の知識を整理分類した生活動詞
    知識ベース、生活者の知識を整理分類したセグメント知
    識ベース、商品を初めとした目的事物の知識を整理分類
    した目的事物知識ベース、時間の知識を整理分類した時
    間知識ベース、場所の知識を整理分類した場所知識ベー
    ス、既知の生活シーンの知識を整理分類した既知生活シ
    ーン知識ベース、及びクラス生活の属性や生活項目や生
    活シーンの間の制約を整理分類した生活制約知識ベース
    のうち少なくとも1つを部分知識ベースとして含み必要
    によりそれら部分知識ベース間の関係の知識を持つ生活
    知識ベースを備えた、マーケティング広告自動化支援シ
    ステム。
  44. 【請求項44】 請求項43において、生活項目知識ベ
    ースは、生活行為の通俗的な概念による分類である生活
    領域と生活行為の定量データの統計解析によって得られ
    る分類であるライフスタイルとを統合した階層的な知識
    ベースである、マーケティング広告自動化支援システ
    ム。
  45. 【請求項45】 請求項43において、セグメント知識
    ベースは、年齢、性別、職業、役職、収入、学歴、家族
    形態、価値観、特記事項の内少なくとも2つを含む、マ
    ーケティング広告自動化支援システム。
  46. 【請求項46】 請求項43において、属性間に従属関
    係がある場合に、セグメント知識ベースはそれら属性を
    定量データの統計解析によって整理したものであり、必
    要によりそれら属性を定量データの統計解析によって整
    理する統計処理のモジュールを備えた、マーケティング
    広告自動化支援システム。
  47. 【請求項47】 請求項1乃至請求項18におけるマー
    ケティング自動化支援システムと請求項19乃至請求項
    42における広告自動化支援システムとを、共に備える
    マーケティング広告自動化支援システム。
  48. 【請求項48】 請求項1乃至請求項18におけるマー
    ケティング自動化支援システムと請求項43乃至請求項
    46における生活知識ベースとを、共に備えるマーケテ
    ィング広告自動化支援システム。
  49. 【請求項49】 請求項19乃至請求項42における広
    告自動化支援システムと請求項43乃至請求項46にお
    ける生活知識ベースとを、共に備えるマーケティング広
    告自動化支援システム。
  50. 【請求項50】 請求項1乃至請求項18におけるマー
    ケティング自動化支援システムと請求項19乃至請求項
    42における広告自動化支援システムと請求項43乃至
    請求項46における生活知識ベースとを、共に備えるマ
    ーケティング広告自動化支援システム。
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