JPH0718000A - 新規ペプチド - Google Patents

新規ペプチド

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JPH0718000A
JPH0718000A JP5147952A JP14795293A JPH0718000A JP H0718000 A JPH0718000 A JP H0718000A JP 5147952 A JP5147952 A JP 5147952A JP 14795293 A JP14795293 A JP 14795293A JP H0718000 A JPH0718000 A JP H0718000A
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JP
Japan
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group
resin
peptide
reaction
dcm
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Withdrawn
Application number
JP5147952A
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English (en)
Inventor
Satoshi Iinuma
智 飯沼
Shigeo Yanai
薫雄 柳井
Hiroaki Okada
弘晃 岡田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0718000A publication Critical patent/JPH0718000A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】脳血液関門を透過して記憶改善作用を示し、な
おかつ、昇圧,抗利尿作用等の副作用のない新規ペプチ
ドの提供。 【構成】一般式 【化1】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
示す)で表されるペプチドまたはその塩。 【効果】本発明のペプチドまたはその塩は、脳血液関門
を透過して記憶改善作用を示し、なおかつ、昇圧,抗利
尿作用等の副作用が見られない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は脳血液関門を透過して記
憶改善作用を示し、なおかつ、昇圧,抗利尿作用等の副
作用のない新規ペプチドに関する。
【従来の技術】脳下垂体後葉ホルモンであるバソプレッ
シンは、式
【化5】 で表される構造を有し、抗利尿および末梢血管収縮作用
を示す。また、近年、バソプレッシンが、中枢神経系に
おいて能動的回避反応消去遅延,受動的回避反応獲得促
進,実質的健忘回復など、記憶,学習に関係した作用を
示すことが明らかにされている。また、ブルバッヒ(Bu
rbach)等は、アルギニンバソプレッシン(以下、AV
Pと略することもある)の脳内代謝物の一部が記憶の固
定過程を促進することを報告している〔サイエンス(S
CIENCE),221巻,1310頁,1983
年〕。この代謝物は、アルギニンバソプレッシンの9個
のアミノ酸のうち、第2位および第3位のチロシンとフ
ェニルアラニンが酵素的分解により外れたもので、〔pG
lu4,Cyt6〕AVP(4−9)(以下、AVP−M1と略
する)すなわち、式
【化6】 で表される構造を有している。さらに、特開平2−53
734および特開平2−53800には、上記したAV
P−M1のプロリンまたはアルギニン残基がD体である
ペプチドが向知能作用を有することが記載されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】バソプレッシンを中枢
神経系作動薬として用いる場合、抗利尿,血圧上昇作用
は副作用となり不都合を生じる。さらに、皮下投与にお
いては、上記したAVP−M1では十分な記憶改善作用
(健忘回復効果)が得られない。したがって、抗利尿,
血圧上昇作用等の副作用がなく、脳血液関門透過性の改
善されたペプチドが求められている。
【0003】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは、脳血液関門を透過し得るバソプレッシン
アナログを開発するために検討を重ね、AVP−M1の
主鎖部分のN末端側とシステインのC末端側とを炭素鎖
で結合させることによりAVP−M1に比して、はるか
に脳血液関門の透過性が向上することを見いだした。さ
らに、これらのアナログは、抗利尿,血圧上昇作用等の
副作用が極めて弱いことを見いだした。すなわち、本発
明は(1)一般式
【化7】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
示す)で表されるペプチドまたはその塩,(2)アミノ
酸残基がL体である請求項1記載のペプチドまたはその
塩,(3)炭化水素残基が、炭素数1〜15の炭化水素
残基である第1項記載のペプチドまたはその塩,(4)
炭化水素残基が、炭素数1〜15のアルキレン基である
第1項記載のペプチドまたはその塩,(5)アルキレン
基が、ペンタメチレン基である第4項記載のペプチドま
たはその塩,(6)一般式
【化8】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
示す)で表されるペプチドまたはその塩を閉環反応に付
すことを特徴とする一般式
【化9】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
示す)で表されるペプチドまたはその塩の製造法,
(7)一般式
【化10】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
示す)で表されるペプチドまたはその塩を含有してなる
記憶障害改善剤に関する。
【0004】一般式〔I〕および〔II〕において、Rで
示される置換されていてもよい二価の炭化水素残基にお
ける二価の炭化水素残基は、好ましくは炭素数1〜15
の二価の炭化水素残基である。該炭化水素残基として
は、例えば二価の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基,二
価の環状炭化水素残基等が挙げられる。また、二価の直
鎖もしくは分枝状炭化水素残基と二価の環状炭化水素残
基とが2〜3個結合して二価の炭化水素残基を形成して
いてもよい。二価の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基
は、飽和または不飽和のいずれであってもよい。該炭化
水素残基は、好ましくは炭素数1〜15のアルキレン
基,炭素数2〜15のアルケニレン基等である。ここに
おいて、炭素数1〜15のアルキレン基としては、例え
ばメチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレン,テ
トラメチレン,エチルエチレン,ペンタメチレン,ヘキ
サメチレン,ヘプタメチレン,3,3−ジメチルペンタ
メチレン,オクタメチレン,ノナメチレン,デカメチレ
ン,ウンデカメチレン,4−エチル−5−メチルオクタ
メチレン,ドデカメチレン,トリデカメチレン,テトラ
デカメチレン,4−イソプロピル−5−プロピルオクタ
メチレン,ペンタデカメチレン等が挙げられる。アルキ
レン基は、特に好ましくはペンタメチレンである。炭素
数2〜15のアルケニレン基としては、例えばビニレ
ン,プロペニレン,メチルプロペニレン,ジメチルプロ
ペニレン,エチルプロペニレン,ブテニレン,ペンテニ
レン,ヘキセニレン,ヘプテニレン,オクテニレン,ジ
メチルヘキセニレン,4−プロピル−2−ペンテニレ
ン,ノネニレン,デセニレン,ウンデセニレン,ドデセ
ニレン,トリデセニレン,2−ノニル−2−ブテニレ
ン,テトラデセニレン,ペンタデセニレン等が挙げられ
る。
【0005】二価の環状炭化水素残基は、飽和または不
飽和のいずれであってもよい。該炭化水素残基は、好ま
しくは炭素数3〜10の脂環式基,炭素数6〜14の芳
香環基等が挙げられる。二価の環状炭化水素残基は、さ
らに好ましくは炭素数6〜10の芳香環基である。炭素
数3〜10の脂環式基としては、例えばシクロプロピレ
ン,1,3−シクロペンチレン,3−シクロヘキセン−
1,2−イレン,2,5−シクロヘキサジエン−1,4
−イレン等が挙げられる。炭素数6〜10の芳香環基と
しては、例えばフェニレン,ナフチレン等が挙げられ
る。
【0006】上記した二価の直鎖もしくは分枝状炭化水
素残基と二価の環状炭化水素残基とが2〜3個結合して
二価の炭化水素残基を形成する場合、二価の直鎖もしく
は分枝状炭化水素残基としては、例えば炭素数1〜4の
アルキレン基,炭素数2〜4のアルケニレン基等が挙げ
られる。また、二価の環状炭化水素残基としては、例え
ば炭素数3〜10の脂環式基,炭素数6〜10の芳香環
基等が挙げられる。ここにおいて、炭素数1〜4のアル
キレン基としては、例えばメチレン,エチレン,トリメ
チレン,プロピレン,テトラメチレン,エチルエチレン
等が挙げられる。炭素数2〜4のアルケニレン基として
は、例えばビニレン,プロペニレン,メチルプロペニレ
ン,ブテニレン等が挙げられる。炭素数3〜10の脂環
式基としては、例えばシクロプロピレン,1,3−シク
ロペンチレン,3−シクロヘキセン−1,2−イレン,
2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン等が挙げ
られる。炭素数6〜10の芳香環基としては、例えばフ
ェニレン,ナフチレン等が挙げられる。
【0007】二価の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基と
二価の環状炭化水素残基とが2〜3個結合して形成され
る二価の炭化水素残基としては、例えばC1-4アルキレ
ン基とC3-10脂環式基との組み合わせからなる基,C
1-4アルキレン基とC6-10芳香環基との組み合わせから
なる基,C2-4アルケニレン基とC3-10脂環式基との組
み合わせからなる基,C2-4アルケニレン基とC6-10
香環基との組み合わせからなる基,C1-4アルキレン基
とC3-10脂環式基とC1-4アルキレン基との組み合わせ
からなる基,C1-4アルキレン基とC6-10芳香環基とC
1-4アルキレン基との組み合わせからなる基,C1-4アル
キレン基とC3-10脂環式基とC2-4アルケニレン基との
組み合わせからなる基,C1-4アルキレン基とC6-10
香環基とC2-4アルケニレン基との組み合わせからなる
基等が挙げられる。
【0008】二価の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基と
二価の環状炭化水素残基とが2〜3個結合して形成され
る二価の炭化水素残基は、好ましくは二価の直鎖もしく
は分枝状炭化水素残基と二価の環状炭化水素残基とが2
個結合して形成される二価の炭化水素残基である。この
ような炭化水素残基としては、例えばC1-4アルキレン
基とC3-10脂環式基との組み合わせからなる基,C1-4
アルキレン基とC6-10芳香環基との組み合わせからなる
基,C2-4アルケニレン基とC3-10脂環式基との組み合
わせからなる基,C2-4アルケニレン基とC6-10芳香環
基との組み合わせからなる基等が挙げられる。二価の直
鎖もしくは分枝状炭化水素残基と二価の環状炭化水素残
基とが2〜3個結合して形成される二価の炭化水素残基
は、さらに好ましくはC1-4アルキレン基とC6-10芳香
環基との組み合わせからなる基,C2-4アルケニレン基
とC6-10芳香環基との組み合わせからなる基である。二
価の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基と二価の環状炭化
水素残基とが2〜3個結合して形成される二価の炭化水
素残基は、特に好ましくはC1-4アルキレン基とフェニ
レンとの組み合わせからなる基,C2-4アルケニレン基
とフェニレンとの組み合わせからなる基である。
【0009】Rで示される置換されていてもよい二価の
炭化水素残基における炭化水素残基は、さらに好ましく
は炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基で
ある。ここにおいて、炭素数1〜10のアルキレン基と
しては、例えばメチレン,エチレン,トリメチレン,プ
ロピレン,テトラメチレン,エチルエチレン,ペンタメ
チレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,3,3−ジ
メチルペンタメチレン,オクタメチレン,ノナメチレ
ン,デカメチレン等が挙げられる。Rで示される置換さ
れていてもよい二価の炭化水素残基における炭化水素残
基は、特に好ましくは炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝
状炭化水素残基である。ここにおいて、炭素数3〜8の
アルキレン基としては、例えばトリメチレン,プロピレ
ン,テトラメチレン,エチルエチレン,ペンタメチレ
ン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,3,3−ジメチ
ルペンタメチレン,オクタメチレン等が挙げられる。ア
ルキレン基は、特に好ましくはペンタメチレンである。
【0010】置換されていてもよい二価の炭化水素残基
における置換基としては、例えば水酸基,カルボキシル
基,アミノ基,ハロゲン,アリール基,アルコキシ基,
シクロアルキルオキシ基,アリールオキシ基,アラルキ
ルオキシ基などが挙げられる。ここにおいて、ハロゲン
としては、例えばフッ素,塩素,臭素,ヨウ素などが挙
げられる。アリール基およびアリールオキシ基における
アリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基
(例、フェニル,ナフチル,ビフェニリル,アントリル
など)である。アリール基は、特に好ましくは炭素数6
〜10のアリール基(例、フェニル,ナフチルなど)で
ある。アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜6のアル
コキシ基(例、メトキシ,エトキシ,n−プロポキシ,
イソプロポキシ,ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブト
キシ,tert−ブトキシ,ペントキシ,イソペントキシな
ど)である。アルコキシ基は、特に好ましくは炭素数1
〜4のアルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プロポ
キシ,ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブトキシ,tert
−ブトキシなど)である。シクロアルキルオキシ基にお
けるシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜10の
シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチ
ル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチ
ル,シクロオクチル,シクロノニル,シクロデシルな
ど)である。シクロアルキル基は、特に好ましくは炭素
数3〜6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル,シ
クロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)で
ある。アラルキルオキシ基におけるアラルキル基は、好
ましくは炭素数7〜19のアラルキル基(例、ベンジ
ル,フェネチル,ベンズヒドリル,(1−ナフチル)メ
チル,(2−ナフチル)メチルなど)である。アラルキ
ル基は、特に好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基
(例、ベンジル,フェネチルなど)である。
【0011】Rは、望ましくは炭素数1〜10の二価の
直鎖もしくは分枝状炭化水素残基である。ここにおい
て、炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えばメ
チレン,エチレン,トリメチレン,プロピレン,テトラ
メチレン,エチルエチレン,ペンタメチレン,ヘキサメ
チレン,ヘプタメチレン,3,3−ジメチルペンタメチ
レン,オクタメチレン,ノナメチレン,デカメチレン等
が挙げられる。Rは、さらに望ましくは炭素数3〜8の
二価の直鎖もしくは分枝状炭化水素残基である。ここに
おいて、炭素数3〜8のアルキレン基としては、例えば
トリメチレン,プロピレン,テトラメチレン,エチルエ
チレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチ
レン,3,3−ジメチルペンタメチレン,オクタメチレ
ン等が挙げられる。アルキレン基は、特に好ましくはペ
ンタメチレンである。
【0012】本発明において、例えばアミノ酸,ペプチ
ド,化合物の残基,保護基,溶媒等をIUPAC−IUBコミッ
ション・オン・バイオロジカル・ノーメンクラチャー
(Commission on Biological Nomenclature)による略
号あるいは当該分野における慣用略号で示す場合があ
る。その例を次に掲げる。 pGlu:5−オキソ−プロリン Gln:グルタミン Asn:アスパラギン Cys:システイン Pro:プロリン Arg:アルギニン Lys:リシン Gly:グリシン Z:ベンジルオキシカルボニル Z(OMe):p−メトキシベンジルオキシカルボニル Boc:tert−ブトキシカルボニル MeBzl:p−メチルベンジル Mts:メシチレン−2−スルフォニル Bom:ベンジルオキシメチル Acm:アセタミドメチル Tacm:トリメチルアセタミドメチル Bam:ベンズアミドメチル Pym:(2−オキソ−1−ピロリジニル)メチル Npys:3−ニトロ−2−ピリジルスルフェニル Scm:カルボメトキシスルフェニル Snm:メチルフェニルカルバモイルスルフェニル
【0013】BOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オ
キシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサ
フルオロホスフェイト HOBt:1−ハイドロキシスクシミド DIEA:N−N’−ジイソプロピルエチルアミン DMF:N−N’−ジメチルホルムアミド DCM:ジクロロメタン NMP:N−メチルピロリドン THF:テトラヒドロフラン BHA 樹脂:ベンズヒドリルアミン樹脂(ポリスチレン−
1%−ジビニルベンゼンコポリマー) MBHA 樹脂:p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂(ポ
リスチレン−1%−ジビニルベンゼンコポリマー) TMSOTf:トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネ
ート TMBS:トリメチルブロモシラン TFMSAAg:トリフルオロメタンスルホン酸銀 AgBF4:テトラフルオロホウ酸銀 上記記号はそれに相当する化合物のペプチド結合を形成
する残基,またはアシル結合を形成する残基等を示す場
合もある。本発明において、ペプチド〔Ι〕を構成する
アミノ酸残基の各々(例、プロリン,アルギニン,リシ
ン残基等)は、L体,D体またはラセミ体のいずれであ
ってもよい。本発明において、一般式〔I〕または〔I
I〕中、N末端部分の“Cys”で表されるシステインのア
ミノ基は水素原子であってもよい。
【0014】本発明のペプチド〔Ι〕は自体公知のペプ
チド合成方法により製造される。該製造方法としては、
例えば液相法,固相法が挙げられる。ペプチド合成の
際、必要に応じてアシル化,ジスルフィド形成,保護基
の導入,保護基の脱離等の操作を任意に使用してもよ
い。該操作に用いる手段はいずれも自体公知のものであ
る。上記したペプチド合成方法としては、例えば「ザ・
ペプチド(The Peptide)」,第1巻,1966年,シ
ュロダー(Schroder)およびルブク(Lubke),アカデ
ミック・プレス,ニューヨーク,米国:「アミノ酸・ペ
プチド・アンド・プロテインズ(Amino Acids,Peptide
s and Proteins)」,1−5巻,ジー・ティー・ヤング
(G.T.Young)編集,ザ・ケミカル・ソサエティー(The
Chemical Society)出版,ロンドン:泉屋信夫等著
「ペプチド合成」(丸善):矢島治明等著「続医薬品の
開発 第14巻 ペプチド合成」(廣川書店)等に記載
された活性エステル法,カルボジイミダゾール法等が挙
げられる。
【0015】本発明のペプチド〔Ι〕またはその塩は、
例えばペプチド〔II〕またはその塩を閉環反応に付すこ
とにより製造される。該閉環反応は、2個のシステイン
(Cys)残基の−SH(チオール基)が酸化反応より
(−S−S−)結合(ジスルフィド結合)を形成する反
応である。酸化反応は、例えば酸素類(例、空気等),
酸化剤(例、ヨウ素,フェリシアン化カリウム,硝酸,
塩化鉄,N−クロル−p−トルエンスルホンアミド,N
−クロル−p−ベンゼンスルホンアミド等)を用いるこ
とにより行われる。酸化反応は、好ましくは空気,ヨウ
素,フェリシアン化カリウム等を用いることにより行わ
れる。酸化剤を用いる場合、原料ペプチド〔II〕または
その塩に対して少なくとも当量が用いられる。酸化剤
は、好ましくは原料ペプチド〔II〕またはその塩に対し
て約5〜約40倍当量が用いられる。酸化反応は、通
常、反応を阻害しない溶媒下で行われる。該溶媒は、酸
化剤の種類によって適宜選ばれるが、好ましくは、低級
アルコール類(例、メタノール,エタノール等),低級
脂肪酸類(例、酢酸,酪酸等),ハロゲン化炭化水素類
(例、クロロホルム,ジクロロメタン等)などである。
これらの溶媒は、適宜混合して用いてもよい。溶媒は、
好ましくは原料ペプチド〔II〕またはその塩の溶媒中の
濃度が約1〜約1000mMとなる量が用いられる。溶
媒は、さらに好ましくは原料ペプチド〔II〕またはその
塩の溶媒中の濃度が約1〜約100mMとなる量が用い
られる。反応温度は好ましくは約0〜約40℃である。
反応温度は、さらに好ましくは約4〜約25℃である。
反応時間は例えば約30分〜約48時間であるる。
【0016】また、原料であるペプチド〔II〕は、シス
テイン(Cys)残基のチオール基の部分に保護基を有
していてもよい。この場合、チオール基からの保護基の
除去と閉環反応が同時に行われる。このような反応は、
チオール基から保護基を除去し、かつジスルフィド結合
を形成させる能力を有する試薬を用いることにより行わ
れる。このような試薬としては、例えばタリウムトリフ
ルオロ酢酸,シリルクロリド/スルホキシド等が挙げら
れる。この際、反応温度は好ましくは約0〜約40℃で
ある。特にタリウムトリフルオロ酢酸を用いる場合、反
応温度は、さらに好ましくは約0〜約10℃である。反
応時間は好ましくは約10分〜約2時間である。例えば
タリウムトリフルオロ酢酸を用いる場合、反応時間は、
さらに好ましくは約1〜約2時間である。また、シリル
クロリド/スルホキシドを用いる場合、反応時間は、さ
らに好ましくは約10〜約20分である。このようにし
て得られた本発明のペプチド〔I〕またはその塩は、自
体公知の方法(例、転溶,抽出,クロマトグラフィー,
結晶化,再沈殿,凍結乾燥等)により単離もしくは精製
することができる。単離もしくは精製方法としては、ク
ロマトグラフィーを用いる方法が特に好ましい。該方法
としては、例えばゲル瀘過,陽イオンもしくは陰イオン
交換樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフィー,疎水
クロマトグラフィー,分配吸着クロマトグラフィー,逆
相クロマトグラフィー,種々の原理によるカラムクロマ
トグラフィー,高速液体クロマトグラフィー等が挙げら
れる。
【0017】本発明の原料であるペプチド〔II〕または
その塩は、自体公知の方法にしたがって製造することが
できる。このような方法としては、例えば液相法,固相
法が挙げられる。例えば固相法において、ペプチド〔I
I〕は、樹脂担体(例、BHA樹脂,MBHA樹脂,ア
ミノメチル樹脂等)に、α−アミノ基が保護されたC末
端アミノ酸(例、グリシン,リシン,アルギニン等)を
結合させ、α−アミノ基の保護基の除去,保護アミノ酸
の縮合を順次繰り返し、アミノ末端に向けて目的のアミ
ノ酸配列を有する保護ペプチド樹脂を得る。次いで、得
られる保護ペプチド樹脂を酸(例、フッ化水素,トリフ
ルオロ酢酸,メタンスルホン酸,トリフルオロメタンス
ルホン酸,テトラフルオロほう酸等)と反応させて、ペ
プチドの樹脂からの脱離と全保護基の除去を一段階で行
う。この方法はペプチド合成機にも適用できる。
【0018】ペプチド〔II〕またはその塩に関し、R部
分の合成については、Rがアルキレンである場合、例え
ば炭素数2では、Boc−β−アラニンのように末端にア
ミノ基を持つ化合物のアミノ基保護誘導体を原料化合物
として用いればよい。同様にして、炭素数3ではBoc−
γ−アミノ酪酸,炭素数4ではBoc−アミノ吉草酸,炭
素数5ではBoc−アミノカプロン酸,炭素数6ではBoc−
アミノヘプタン酸,炭素数7ではBoc−アミノカプリル
酸,炭素数8ではBoc−アミノノナ酸,炭素数9ではBoc
−アミノデカン酸,炭素数10ではBoc−アミノウンデ
カン酸をそれぞれ原料化合物として用いればよい。ま
た,Rが環状炭化水素残基または鎖状と環状との組み合
わせによる炭化水素残基である場合、p−アミノ安息香
酸,p−アミノケイ皮酸等のアミノ基保護誘導体を原料
化合物として用いればよい。このようにして得られたペ
プチド〔II〕またはその塩は、自体公知の方法(例、転
溶,抽出,クロマトグラフィー,結晶化,再沈殿,凍結
乾燥等)により単離もしくは精製することができる。単
離もしくは精製方法は、上記したペプチド〔I〕の場合
と同様である。
【0019】ペプチド〔II〕またはその塩の製造に際
し、保護アミノ酸の縮合反応に先立って反応に関与しな
いアミノ酸,グアニジノ基,チオール基等の官能基を公
知手段および保護基で保護してもよい。また、該縮合反
応に関与するアミノ基,グアニジノ基,チオール基,カ
ルボキシル基等は公知手段で活性化してもよい。反応に
関与しないアミノ基(例、グリシンのα−アミノ基等)
の保護基としては、例えば Z 基,Z(OMe) 基,Boc 基,
tert−アミルオキシカルボニル基,イソボルニルオキシ
カルボニル基,フタロイル基,トリフルオロアセチル
基,ホルミル基等が挙げられる。反応に関与しないグア
ニジノ基の保護基としては、例えばニトロ基,p−トル
エンスルフォニル(Tos)基,4−メトキシ−2,3,6−ト
リメチルベンゼンスルフォニル(Mtr)基,メシチレン
−2−スルフォニル(Mts)基,トリチル(Trt)基,2,
4,6−トリメトキシベンゼンスルフォニル(Mtb)基,2,
2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルフォニル(Pm
c)基等が挙げられる。反応に関与しないチオール基の
保護基としては、例えばトリチル(Trt)基,ベンジル
(Bzl)基,p-メトキシベンジル(MBzl)基,メチルベ
ンジル(MeBzl)基,トリメチルベンジル(Tmb)基,ア
セタミドメチル(Acm)基,トリメチルアセタミドメチ
ル(Tacm)基,3−ニトロ−2−ピリジルスルフェニル
(Npys)基,カルボキシスルフェニル(Scm)基,メチ
ルフェニルカルバモイルスルフェニル(Snm)基,ベン
ズアミドメチル(Bam)基,(2−オキソ−1−ピロリジ
ニル)メチル(Pym)基等が挙げられる。縮合反応の
際、カルボキシル基の活性化を行ってもよい。該活性化
は、自体公知の方法により行えばよい。このような方法
としては、例えば活性エステル〔置換フェノール類
(例、ペンタクロロフェノール,2,4,5−トリクロロフ
ェノール,2,4−ジニトロフェノール,p−ニトロフェノ
ール等),N−置換イミド類(例、N−ハイドロキシ−5
−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド,N−ハイド
ロキシスクシンイミド,N−ハイドロキシ−1,2,3−ベン
ゾトリアゾール等)等とのエステル〕,原料のカルボン
酸に対するカルボン酸無水物,アジド等を形成させる方
法,酸クロライド法,酸化還元法(向山法),混合酸無
水物法,N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
法,N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド−アデ
ィティブ法,ウッドワード試薬Kを用いる方法,BOP
試薬を用いる方法等が挙げられる。
【0020】縮合反応は、通常、反応を阻害しない溶媒
中で行われる。このような溶媒としては、ジメチルホル
ムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン,ジオキサ
ン等のエーテル類、ジクロロメタン,クロロホルム等の
ハロゲン化炭化水素類、エタノール,メタノール等のア
ルコール類、水、ジメチルスルホキシド等のスルホキシ
ド類、酢酸エチル等のエステル類、N−メチルピロリド
ン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。溶媒は、好
ましくはジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒ
ドロフラン,ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタ
ン,クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、N−メチ
ルピロリドン、N−メチルモルホリン等である。反応温
度は好ましくは約−30〜約50℃である。反応温度は
さらに好ましくは約0〜約40℃である。反応時間は、
例えば約10分〜約24時間である。上記縮合反応で得
られたペプチドが保護基を有する場合、該保護基は自体
公知の方法により脱離できる。このような方法として
は、ペプチド結合に影響を与えずに保護基を除去するこ
とが可能な方法であればよいが、具体的には、例えば酸
化,還元,酸処理等の方法が挙げられる。ここにおい
て、酸化方法としては、例えばヨウ素,重金属(例、水
銀塩,銀塩,タリウム塩等)等による酸化が挙げられ
る。還元方法としては、例えば触媒(例、パラジウム炭
素,パラジウム黒,酸化白金等)を用いる接触還元,液
体アンモニア中でのナトリウムによる還元,ジチオスレ
イトールによる還元等が挙げられる。酸処理方法として
は、例えば無機酸(例、フッ化水素,臭化水素,塩化水
素等)あるいは有機酸(例、トリフルオロ酢酸,メタン
スルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸等)または
これらの混合物等による酸処理が挙げられる。酸処理の
際、カチオン・スカベンジャー(例、アニソール,フェ
ノール,チオアニソール等)を適宜添加することが好ま
しい。
【0021】本発明のペプチド〔I〕は塩として用いて
もよく、好ましくは薬理学的に許容し得る塩が用いられ
る。このような塩としては、該ペプチドが、アミノ基な
どの塩基性基を有する場合、無機酸(例、塩酸,硫酸,
リン酸等),有機酸(例、酢酸,酒石酸,クエン酸,フ
マル酸,マレイン酸等)などとの塩が挙げられる。ペプ
チドが、カルボキシル基などの酸性基を有する場合、無
機塩基(例、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属、
カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属など)
との塩が挙げられる。
【0022】本発明のペプチド〔I〕またはその塩は、
例えば哺乳動物(例、ヒト,ウシ,ブタ,イヌ,ネコ,
マウス,ラット,ウサギ等)に対し、記憶障害改善剤と
して用いられる。本発明の記憶障害改善剤は、例えばア
ルツハイマー病,ピック病,ハンチントン舞踏病,クロ
イツフェルト・ヤコブ病,パーキンソン病,小脳脊髄変
性症等に基づく痴呆、老年痴呆(アルツハイマー型痴
呆)、脳血管性痴呆等の予防または治療に用いられる。
ペプチド〔I〕またはその塩を含有してなる記憶障害改
善剤の投与方法としては経口,非経口投与のいずれでも
よい。経口投与のための製剤としては,固体または液体
の剤形が挙げられる。固体製剤としては、例えば錠剤
(糖衣錠,フィルムコーティング錠を含む),丸剤,顆
粒剤,散剤,カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)な
どが挙げられる。液体製剤としては、例えばシロップ
剤,乳剤,懸濁剤などが挙げられる。このような製剤は
自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通
常用いられる担体もしくは賦形剤を含有するものであ
る。例えば錠剤用の担体もしくは賦形剤としては乳糖,
でんぷん,蔗糖,ステリン酸マグネシウムなどが挙げら
れる。
【0023】非経口投与のための製剤としては,例えば
注射剤(例、血管内,筋肉内,皮下注射剤など)、粘膜
投与製剤(例、鼻,口腔,直腸,膣,子宮粘膜投与製剤
など)あるいは放出制御剤(例、埋め込み剤など)など
の剤形が挙げられる。注射剤は、例えば本発明のペプチ
ド〔I〕またはその塩を、注射用蒸留水,水性溶剤
(例、生理食塩水,リンゲル液等),油性溶剤(例、ゴ
マ油,オリーブ油等)などの溶剤に溶解,懸濁または乳
化させることにより製造される。この際、所望により通
常注射剤に用いられる添加剤を用いてもよい。このよう
な添加剤としては、例えば溶解補助剤(例、Tween-80,
アルギニン等),緩衝剤(例、リン酸ナトリウム,クエ
ン酸ナトリウム,酢酸ナトリウム等),等張化剤(例、
ブドウ糖,グリセリン,ソルビトール等),安定化剤
(例、ヒト血清アルブミン,ポリエチレングリコール
等),保存剤(例、ベンジルアルコール,フェノール
等),無痛化剤(例、塩化ベンザルコニウム,塩酸プロ
カイン等)などが挙げられる。
【0024】また,例えば用時溶解あるいは分散型の固
形状注射剤は、例えば溶解液または分散媒(例、蒸留
水,生理食塩水,ブドウ糖液等),賦形剤(例、カルボ
キシメチルセルロース〔CMC〕,マンニトール,アル
ギン酸ナトリウム等),保存剤(例、ベンジルアルコー
ル,塩化ベンザルコニウム,フェノール等),無痛化剤
(例、ブドウ糖,グルコン酸カルシウム,塩酸プロカイ
ン等)などを適宜混合することにより製造される。粘膜
投与製剤(例、鼻,口腔,直腸,膣,子宮粘膜投与製剤
など)あるいは放出制御剤(例、埋め込み剤など)は、
例えば上記した等張化剤,安定化剤,緩衝剤(pH調整
剤),無痛化剤,保存剤(防腐剤),吸収促進剤(例:
クエン酸,α−シクロデキストリン,マンデル酸,サリ
チル酸ナトリウム,胆汁酸,ポリオキシエチレン
〔9〕
ラウリルエーテル,タウロジヒドロフシジール酸)など
を用いることにより製造される。
【0025】ペプチド〔I〕またはその塩を含有してな
る記憶障害改善剤を人に投与する場合、ペプチド〔I〕
またはその塩の投与量は必要とする薬理効果を発現する
量でよいが,例えば成人には、通常約10μg〜約50
0mg,より好ましくは約20μg〜約200mgを1日1
〜3回に分けて投与される。静脈内,皮下などの注射剤
では、ペプチド〔I〕またはその塩の投与量は、成人1
日あたり約10μg〜約50mg,より好ましくは約20
μg〜約20mgである。直腸,膣などの粘膜投与製剤で
は、ペプチド〔I〕またはその塩の投与量は、成人1日
あたり約1mg〜約500mg,より好ましくは約2mg〜約
200mgである。本発明のペプチド〔I〕またはその塩
は、比較的毒性も低く、記憶障害改善剤として安全に用
いられる。
【0026】
【実施例】以下に実施例および実験例を挙げて,本発明
をさらに具体的に説明するが,本発明はその要旨を超え
ない限り以下の実施例および実験例に限定されるもので
はない。なお、次に掲げるアミノ酸,ペプチドおよびそ
の他の化合物に関し,光学異性体が存在し得る場合に,
特に断わらない限り全てL体を示すものとする。また、
実施例中のパーセント(%)は、特記しないかぎり容量
(V/V)パーセント(%)を表す。 実施例1
【化11】 以下、上記したペプチドをCMA−3と称することもあ
る。 (a)Boc-Gly-MBHA樹脂の製造 MBHA の塩酸塩樹脂(250mg、0.29mmol)をポリ
プロピレン製反応容器中でDCM(5ml)中に分散し、DIE
A(100μl)を加え、室温で30分間混合(voltex m
ixing)を行う。溶媒を吸引ろ過し、さらに同量のDCMで
3回混合(voltex mixing)による樹脂の洗浄を行う。
この際、樹脂の一部を採取しておく。次に、得られた樹
脂にBoc-Gly-OH(124mg),BOP 試薬(314mg),
HOBt(109mg)を加え、DCM/NMP(1:1)(5ml)
で溶解し、DIEA(223μl)を添加して、室温で60
分間混合(voltex mixing)する。反応液をろ去したの
ち、得られた樹脂をDCM/DMF(1:1)(5ml),DCM
(5ml)でそれぞれ3回洗浄する。樹脂の一部を採取
し、反応前の樹脂と共にカイザーテストにより反応が完
了していることを確認する。未反応の樹脂がある場合は
上記した一連の反応操作を反応が完了するまで行う。
【0027】(b)Boc-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂の製造 Boc-Gly-MBHA樹脂に0.5Mメタンスルホン酸,5%ア
ニソール含有のDCM/ジオキサン(9:1)溶液(5m
l)を添加して、室温で30分間混合(voltex mixing)
し、Boc 基を除去する。反応液をろ去したのち、得られ
る樹脂をDCM/ジオキサン(1:1)(5ml),DCM/DM
F(1:1)(5ml),DCM(5ml)でそれぞれ3回洗浄
する。ついで、2%ピリジン(5ml)で3回洗浄して樹
脂に付着しているメタンスルホン酸を除去する。得られ
る樹脂を、さらにDCM(5ml),DCM/DMF(1:1)
(5ml)でそれぞれ3回洗浄し、樹脂の一部を採取して
おく。得られた樹脂に、Boc-Arg(Mts)-OH(324m
g),BOP 試薬(314mg),HOBt(109mg)を加
え、DCM/NMP(1:1)(5ml)で溶解し、DIEA(22
3μl)を添加して、室温で60分間混合(voltex mixi
ng)する。反応液をろ去したのち、得られた樹脂をDCM
/DMF(1:1)(5ml),DCM(5ml)でそれぞれ3回
洗浄する。樹脂の一部を採取し、反応前の樹脂と共にカ
イザーテストにより反応が完了していることを確認す
る。未反応の樹脂がある場合は上記した一連の反応操作
を反応が完了するまで行う。
【0028】(c)Boc-Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂の
製造 Boc-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂に0.5Mメタンスルホン
酸,5%アニソール含有のDCM/ジオキサン(9:1)
溶液(5ml)を添加して、室温で30分間混合(voltex
mixing)し、Boc 基を除去する。反応液をろ去したの
ち、得られる樹脂をDCM/ジオキサン(1:1)(5m
l),DCM/DMF(1:1)(5ml),DCM(5ml)でそれ
ぞれ3回洗浄する。ついで、2%ピリジン(5ml)で3
回洗浄して樹脂に付着しているメタンスルホン酸を除去
する。さらにDCM(5ml),DCM/DMF(1:1)(5m
l)でそれぞれ3回洗浄し、樹脂の一部を採取してお
く。得られた樹脂に、Boc-Pro-OH(153mg),BOP 試
薬(314mg),HOBt(109mg)を加え、DCM/NMP
(1:1)(5ml)で溶解し、DIEA(223μl)を添
加して、室温で60分間混合(voltex mixing)する。
反応液をろ去したのち、得られた樹脂をDCM/DMF(1:
1)(5ml),DCM(5ml)でそれぞれ3回洗浄する。
樹脂の一部を採取し、反応前の樹脂と共にカイザーテス
トにより反応が完了していることを確認する。未反応の
樹脂がある場合は上記した一連の反応操作を反応が完了
するまで行う。
【0029】(d)Boc-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-MB
HA樹脂の製造 Boc-Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂に0.5Mメタンスル
ホン酸,5%アニソール含有のDCM/ジオキサン(9:
1)溶液(5ml)を添加して、室温で30分間混合(vo
ltex mixing)し、Boc 基を除去する。反応液をろ去し
たのち、得られる樹脂をDCM/ジオキサン(1:1)
(5ml),DCM/DMF(1:1)(5ml),DCM(5ml)
でそれぞれ3回洗浄する。ついで、2%ピリジン(5m
l)で3回洗浄して樹脂に付着しているメタンスルホン
酸を除去する。得られる樹脂を、さらにDCM(5ml),D
CM/DMF(1:1)(5ml)でそれぞれ3回洗浄し、樹
脂の一部を採取しておく。得られた樹脂にBoc-Cys(Acm)
-OH(208mg),BOP 試薬(314mg),HOBt(10
9mg)を加え、DCM/NMP(1:1)(5ml)で溶解し、
DIEA(223μl)を添加して、室温で60分間混合(v
oltex mixing)する。反応液をろ去したのち、得られた
樹脂をDCM/DMF(1:1)(5ml),DCM(5ml)でそ
れぞれ3回洗浄する。樹脂の一部を採取し、反応前の樹
脂と共にカイザーテストにより反応が完了していること
を確認する。未反応の樹脂がある場合は上記した一連の
反応操作を反応が完了するまで行う。
【0030】(e)Boc-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gl
y-MBHA樹脂の製造 Boc-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂に0.5Mメ
タンスルホン酸,5%アニソール含有のDCM/ジオキサ
ン(9:1)溶液(5ml)を添加して、室温で30分間
混合(voltex mixing)し、Boc 基を除去する。反応液
をろ去したのち、得られる樹脂をDCM/ジオキサン
(1:1)(5ml),DCM/DMF(1:1)(5ml),DC
M(5ml)でそれぞれ3回洗浄する。ついで、2%ピリ
ジン(5ml)で3回洗浄して、樹脂に付着しているメタ
ンスルホン酸を除去する。得られる樹脂を、さらにDCM
(5ml),DCM/DMF(1:1)(5ml)でそれぞれ3回
洗浄し、樹脂の一部を採取しておく。得られた樹脂に、
Boc-Asn-OH (165mg),BOP試薬(314mg),HOBt
(109mg)を加え、DCM/NMP(1:1)(5ml)で溶
解し、DIEA(223μl)を添加して、室温で60分間
混合(voltex mixing)する。反応液をろ去したのち、
得られた樹脂をDCM/DMF(1:1)(5ml),DCM(5m
l)でそれぞれ3回洗浄する。樹脂の一部を採取し、反
応前の樹脂と共にカイザーテストにより反応が完了して
いることを確認する。未反応の樹脂がある場合は上記し
た一連の反応操作を反応が完了するまで行う。
【0031】(f)Boc-Gln-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mt
s)-Gly-MBHA樹脂の製造 Boc-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂に0.5
Mメタンスルホン酸,5%アニソール含有のDCM/ジオ
キサン(9:1)溶液(5ml)を添加して、室温で30
分間混合(voltex mixing)し、Boc 基を除去する。反
応液をろ去したのち、得られる樹脂をDCM/ジオキサン
(1:1)(5ml),DCM/DMF(1:1)(5ml),DC
M(5ml)でそれぞれ3回洗浄する。ついで、2%ピリ
ジン(5ml)で3回洗浄して、樹脂に付着しているメタ
ンスルホン酸を除去する。得られる樹脂を、さらにDCM
(5ml),DCM/DMF(1:1)(5ml)でそれぞれ3回
洗浄し、樹脂の一部を採取しておく。得られた樹脂に、
Boc-Gln-OH (175mg),BOP 試薬(314mg),HOB
t(109mg)を加え、DCM/NMP(1:1)(5ml)で
溶解し、DIEA(223μl)を添加して室温で60分間
混合(voltex mixing)する。反応液をろ去したのち、
得られた樹脂をDCM/DMF(1:1)(5ml),DCM(5m
l)でそれぞれ3回洗浄を行う。樹脂の一部を採取し、
反応前の樹脂と共にカイザーテストにより反応が完了し
ていることを確認する。未反応の樹脂がある場合は上記
した一連の反応操作を反応が完了するまで行う。
【0032】(g)Boc-NH(CH2)5CO-Gln-Asn-Cys(Acm)-
Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂の製造 Boc-Gln-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂に
0.5Mメタンスルホン酸,5%アニソール含有のDCM
/ジオキサン(9:1)溶液(5ml)を添加して、室温
で30分間混合(voltex mixing)し、Boc 基を除去す
る。反応液をろ去したのち、得られる樹脂をDCM/ジオ
キサン(1:1)(5ml),DCM/DMF(1:1)(5m
l),DCM(5ml)でそれぞれ3回洗浄する。ついで、2
%ピリジン(5ml)で3回洗浄して樹脂に付着している
メタンスルホン酸を除去する。得られる樹脂を、さらに
DCM(5ml),DCM/DMF(1:1)(5ml)でそれぞれ
3回洗浄し、樹脂の一部を採取しておく。得られた樹脂
に、Boc−6−アミノ−カプロン酸(Boc-6-amino-capro
nic acid)(166mg),BOP 試薬(314mg),HOBt
(109mg)を加え、DCM/NMP(1:1)(5ml)で溶
解し、DIEA(223μl)を添加して、室温で60分間
混合(voltex mixing)する。反応液をろ去したのち、
得られた樹脂をDCM/DMF(1:1)(5ml),DCM(5m
l)でそれぞれ3回洗浄する。樹脂の一部を採取し、反
応前の樹脂と共にカイザーテストにより反応が完了して
いることを確認する。未反応の樹脂がある場合は上記し
た一連の反応操作を反応が完了するまで行う。
【0033】(h)Boc-Cys(Acm)-NH(CH2)5CO-Gln-Asn-
Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-MBHA樹脂の製造 Boc-NH(CH2)5CO-Gln-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-M
BHA樹脂に0.5Mメタンスルホン酸,5%アニソール
含有のDCM/ジオキサン(9:1)溶液(5ml)を添加
して、室温で30分間混合(voltex mixing)し、Boc
基を除去する。反応液をろ去したのち、得られる樹脂を
DCM/ジオキサン(1:1)(5ml),DCM/DMF(1:
1)(5ml),DCM(5ml)でそれぞれ3回洗浄する。
ついで、2%ピリジン(5ml)で3回洗浄して、樹脂に
付着しているメタンスルホン酸を除去する。得られる樹
脂を、さらにDCM(5ml),DCM/DMF(1:1)(5m
l)でそれぞれ3回洗浄し、樹脂の一部を採取してお
く。得られた樹脂に、Boc-Cys(Acm)-OH(210mg),B
OP 試薬(314mg),HOBt(109mg)を加え、DCM/
NMP(1:1)(5ml)で溶解し、DIEA(223μl)を
添加して、室温で60分間混合(voltex mixing)す
る。反応液をろ去したのち、得られた樹脂をDCM/DMF
(1:1)(5ml),DCM(5ml)でそれぞれ3回洗浄
する。樹脂の一部を採取し、反応前の樹脂と共にカイザ
ーテストにより反応が完了していることを確認する。未
反応の樹脂がある場合は上記した一連の反応操作を反応
が完了するまで行う。
【0034】(i)H-Cys(Acm)-NH(CH2)5CO-Gln-Asn-Cy
s(Acm)-Pro-Arg-Gly-NH2 の製造 Boc-NH(CH2)5CO-Gln-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg(Mts)-Gly-M
BHA樹脂(247mg)をテフロン製容器に入れ、ジメチ
ルスルフィド(250μl),m−クレゾール(250
μl)を添加してしばらく浸透させた後、氷冷下、フッ
化水素(10ml)を加えてそのまま60分間攪拌する。
反応液を室温に戻し、減圧下でフッ化水素を留去する。
残査にエーテルを加えて粉末とし、エーテルで3回固体
洗浄したものを1規定酢酸に溶解して以下の条件による
ゲルろ過精製を行う。 ・カラム:Sephadex G-15 (25 mm id X 400 mm) ・溶出液:1規定酢酸 ・検出波長:254 nm(UV 法) ・目的物の分取:最初に溶出するピークの分画を集め、
凍結乾燥して H-Cys(Acm)-NH-(CH2)5-CO-Gln-Asn-Cys(A
cm)-Pro-Arg-Gly-NH2の粗製品を得る。続いて以下の条
件による逆相分取高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)精製を行う。 ・カラム:TSK gel ODS-120T (2.15 cm id X 30 cm) ・溶媒系:0.1%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル(4
00分を要してアセトニトリル濃度を10%から60%まで直
線的に上昇させる) ・波長検出:230 nm(UV 法) ・流速:3 ml/min ・目的物の分取:保持時間40分に溶出するピークを集
め、凍結乾燥してH-Cys-(Acm)-NH-(CH2)5-CO-Gln-Asn-C
ys(Acm)-Pro-Arg-Gly-NH2の精製品を得る。
【0035】(j)
【化12】 H-Cys(Acm)-NH-(CH2)5-CO-Gln-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg-G
ly-NH2(20mg)をトリフルオロ酢酸(4ml)に溶解
し、アニソール(8μl)の存在下、AgBF4(148mg)
を加えて60分間反応させる。反応液を室温に戻し、減
圧下でトリフルオロ酢酸を留去する。残査にエーテルを
加えて粉末とし、エーテルで3回固体洗浄したものを1
規定酢酸に溶解して、ジチオスレイトール(170mg)
を加え、150分間攪拌する。その後、以下の条件によ
るゲルろ過精製を行う。 ・カラム:Sephadex G-15 (25 mm id X 400 mm) ・溶出液:1規定酢酸 ・検出波長:254 nm(UV 法) ・目的物の分取:最初に溶出するピークの分画を集め
た。続いて精製水(100 ml)で希釈後、5%アンモニア
でpH7.6に調製し、室温下で空気酸化をする。空気酸
化反応の進行は逆相分析高速液体クロマトグラフィーで
モニターし、18時間後に凍結乾燥する。H-Cys(Acm)-N
H-(CH2)5-CO-Gln-Asn-Cys(Acm)-Pro-Arg-Gly-NH2(27
mg)を用いて同様の操作を行って得られた粗製品と合わ
せて以下の条件による逆相分取HPLC精製を行う。 ・カラム:TSK gel ODS-120T (2.15 cm id X 30 cm) ・溶媒系:0.1%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル(4
00 分を要してアセトニトリル濃度を10%から60%まで
直線的に上昇させる) ・波長検出:230 nm(UV 法) ・流速:3 ml/min ・目的物の分取:保持時間45.7分に溶出するピーク
を集め、凍結乾燥して、精製品を粉末状物質として1
9.5mgを得た。
【0036】精製したCMA−3の分析結果は以下の通
りである。 (1)高速液体クロマトグラフィー ・カラム:Shodex ODS pak F-411A (4.6 mm id X 150 m
m) ・溶媒系:0.1%TFA−アセトニトリル(30 分を要して
アセトニトリル濃度を5%から40%まで直線的に上昇
させる。) ・流速:0.7 ml/min ・検出波長:230 nm(UV 法) ・保持時間:13.7 分に単一ピークを検出 (2)アミノ酸分析 6N塩酸で110℃,20時間加水分解後、常法により
アミノ酸分析をおこなった。結果は以下の通りである。
(括弧内は理論整数値を示す) アスパラギン 1.00 (1) グルタミン 1.07 (1) グリシン 1.00 (1) アルギニン 0.97 (1) プロリン 1.01 (1)
【0037】実施例2 実施例1と同様の方法によって以下のペプチドを製造し
た。
【化13】
【化14】
【化15】
【0038】実施例3
【化16】 実施例1で得られたH-Cys(Acm)-NH-(CH2)5-CO-Gln-Asn-
Cys(Acm)-Pro-Arg-Gly-NH2(50mg,1等量)を、氷冷
下(0〜4℃)、トリフルオロ酢酸(4ml)に溶解し、
アニソール(50μl)の存在下、タリウムトリフルオ
ロ酢酸(54mg、2等量)を加えて60分間反応させ
る。反応液を室温に戻し、減圧下でトリフルオロ酢酸を
留去する。残査にエーテルを加えて粉末とし、エーテル
で3回固体洗浄したものを1規定酢酸に溶解して以下の
条件によるゲルろ過精製を行う。 ・カラム:Sephadex G−15 (25 m
m id X 400 mm) ・溶出液:1規定酢酸 ・検出波長:254 nm(UV 法) ・目的物の分取:最初に溶出するピークの分画を集め
た。続いて以下の条件による逆相分取HPLC精製を行
う。 ・カラム:TSK gel ODS-120T (2.15 cm id X 30 cm) ・溶媒系:0.1%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル(4
00 分を要してアセトニトリル濃度を10%から60%
まで直線的に上昇させる) ・波長検出:230 nm(UV 法) ・流速:3 ml/min ・目的物の分取:保持時間45.7分に溶出するピーク
を集め、凍結乾燥して、精製品を粉末状物質として1
9.5mgを得た。
【0039】精製したCMA−3の分析結果は以下の通
りであった。 (1)高速液体クロマトグラフィー ・カラム:Shodex ODS pak F-411A (4.6 mm id X 150 m
m) ・溶媒系:0.1%TFA−アセトニトリル(30 分を要して
アセトニトリル濃度を5%から40%まで直線的に上昇
させる。) ・流速:0.7 ml/min ・検出波長:230 nm(UV 法) ・保持時間:13.7 分に単一ピークを検出 (2)アミノ酸分析 6N塩酸で110℃,20時間加水分解後、常法により
アミノ酸分析をおこなった。結果は以下の通りである。
(括弧内は理論整数値を示す) アスパラギン 1.00 (1) グルタミン 1.07 (1)グリシン 1.00 (1) アルギニン 0.97 (1) プロリン 1.01 (1)
【0040】実施例4 実施例3と同様の方法によって以下のペプチドを製造し
た。
【化17】
【化18】
【化19】
【0041】実施例5 実施例1で得られたペプチド(CMA−3)1gを10m
lの生理食塩水に溶解し、噴霧容器に入れ、1回にその
50〜200μlを鼻腔内に投与できる製剤とした。 実施例6 実施例1で得られたペプチド(CMA−3)1gを10m
lの生理食塩水に溶解し、メチルセルロース100mgを
加えて粘調な液とし、1回にその50〜200μlを鼻
腔内に投与できる製剤とした。 実施例7 実施例1で得られたペプチド(CMA−3)10mgを1
〜5mlの生理食塩水に溶解し、常法に従い静脈内,皮下
及び筋肉内投与用の注射用液剤を調製した。
【0042】実験例1 脳血液関門透過性の評価実験 たかさと(Takasato)らによって開発された in situ
脳灌流法〔(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオ
ロジー(American Journal of Physiology),277
巻,484頁,1984年)に記載された方法〕により
脳血液関門透過性の評価を行った。ラット(SD系雄
性,8週令)を用いて、ラット実質脳部に関係しない分
枝動脈を結紮後、右外頚動脈から薬液(灌流液)を注入
し、5分後にラットの断頭を行った。摘出した脳より抽
出した薬物量を、抗AVP抗体を用いるラジオイムノア
ッセイにより測定し、薬物の取り込み量を算出した。そ
の結果、AVP−M1が脳血液関門をほとんど透過しな
いのに対して、CMA−3の取り込みは有意に上昇し
た。結果を図1に示す。なお、脳内対血中薬物濃度比
は、脳内薬物濃度(mol/g brain)/血中薬物濃度(mol
/ml)として算出した。 実験例2 炭酸ガス誘発性記憶障害からの回復効果の評価 実験マウス(ICR系雄性,5週令)を、受動的回避反
応を獲得させた直後に、炭酸ガスを暴露して仮死状態と
し、人口呼吸により蘇生させて炭酸ガス誘発性記憶障害
モデルを作成した。その翌日に、AVP−M1およびC
MA−3、対照群には生理食塩水を皮下投与して、一定
時間後に記憶保持テストをおこない、潜時を測定した。
その結果、CMA−3の潜時は対照群よりも有意に延長
し、健忘からの回復が認められた。なおかつAVPに比
べて持効性の傾向がみられた。結果を図2に示す。
【0043】実験例3 抗利尿作用の分離の確認 体重160〜200gのSD系雄性ラットに、体重10
0gあたり2.5mlの水を経口負荷した後、0.00
5,0.5,50μg/kgの薬物を静脈内投与し、3時
間までの尿量,尿浸透圧を測定して、薬物の抗利尿作用
を評価した(各n=5)。その結果、AVP50μg/k
g投与群では有意に尿量が減少、尿浸透圧が上昇し、強
い抗利尿効果が認められたのに対し、CMA−3では、
尿量,浸透圧とも対照とした生食投与群と比較して変化
せず、抗利尿作用は認められなかった。さらに、1mg/
kgの投与ではAVP投与群は全例死亡したのに対し、C
MA−3投与群では尿量が6.1ml(対照群6.7m
l)、尿浸透圧が246mOsm(対照群284mOsm)、A
VP−M1投与群では尿量が6.1ml、尿浸透圧が20
6mOsmで、抗利尿作用も認められなかった。結果を図3
および4に示す。 実験例4 血圧上昇作用の分離の確認 体重約300gのSD系雄性ラットをペントバルビター
ルで麻酔下、頚動脈にカニューレを施し、血圧トランス
デューサーを接続して、1mg/kg薬物投与後の血圧
変化を測定した。その結果、AVP投与では、投与直後
に血圧が上昇(105→144mmHg)した後、不安
定な血圧変化を示し、10分後に死亡したのに対し、C
MA−3およびAVP−M1投与では血圧変化は全く観
察されなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明のペプチド〔I〕またはその塩
は、優れた記憶障害改善効果を有し、しかも抗利尿,血
圧上昇作用等の副作用が見られないため、低毒性で安全
に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AVP−M1およびCMA−3(実施例1のペ
プチド)のラット脳灌流5分後の脳取り込み量の結果で
ある。
【図2】皮下投与後(3mg/kg)の各時間での対照群に
対するAVPおよびCMA−3(実施例1のペプチド)
の炭酸ガス誘発性健忘マウスに対する潜時延長効果であ
る。ただし、生理食塩水投与群(対照群)(被検体数
6)の潜時を100%とする。図中、nは被検体数を示
す。
【図3】AVPおよびCMA−3(実施例1のペプチ
ド)のラット静脈内投与後3時間内に排泄された尿量の
結果である。
【図4】AVPおよびCMA−3(実施例1のペプチ
ド)のラット静脈内投与後3時間内に排泄された尿の浸
透圧である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
    を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
    示す)で表されるペプチドまたはその塩。
  2. 【請求項2】アミノ酸残基がL体である請求項1記載の
    ペプチドまたはその塩。
  3. 【請求項3】炭化水素残基が、炭素数1〜15の炭化水
    素残基である請求項1記載のペプチドまたはその塩。
  4. 【請求項4】炭化水素残基が、炭素数1〜15のアルキ
    レン基である請求項1記載のペプチドまたはその塩。
  5. 【請求項5】アルキレン基が、ペンタメチレン基である
    請求項4記載のペプチドまたはその塩。
  6. 【請求項6】一般式 【化2】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
    を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
    示す)で表されるペプチドまたはその塩を閉環反応に付
    すことを特徴とする一般式 【化3】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
    を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
    示す)で表されるペプチドまたはその塩の製造法。
  7. 【請求項7】一般式 【化4】 (式中、Rは置換されていてもよい二価の炭化水素残基
    を、XはArgまたはLysを、Yは水酸基またはGly-NH2
    示す)で表されるペプチドまたはその塩を含有してなる
    記憶障害改善剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021505537A (ja) * 2017-12-01 2021-02-18 ウルトラジェニクス ファーマシューティカル インク.Ultragenyx Pharmaceutical Inc. クレアチンプロドラッグ、組成物及びその使用方法

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JP2021505537A (ja) * 2017-12-01 2021-02-18 ウルトラジェニクス ファーマシューティカル インク.Ultragenyx Pharmaceutical Inc. クレアチンプロドラッグ、組成物及びその使用方法

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