JPH07116184A

JPH07116184A - 人工関節

Info

Publication number: JPH07116184A
Application number: JP5285598A
Authority: JP
Inventors: Takaaki Osawa; 孝明大澤; Hitoshi Akiyama; 仁史秋山; Yoshihisa Ueda; 善久上田
Original assignee: Terumo Corp
Current assignee: Terumo Corp
Priority date: 1993-10-21
Filing date: 1993-10-21
Publication date: 1995-05-09

Abstract

(57)【要約】【構成】置換されるべき患部を取り除いた後の骨面に
接し人工関節を骨へ固定する為の多孔性の骨結合部分
と、人工関節の本体部分とからなり、前記骨結合部分と
本体部分の間に少なくとも一部が開放している空間部を
有する中間部分が設けた人工関節。【効果】多孔性の骨結合部分と空間部に十分に組織が
侵入し、生体骨との間に強固な結合が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、生体の骨の関節部を代
替する人工関節に関する。

【０００２】

【従来の技術】人体の関節に変形、欠損、壊死等が生じ
た場合に関節を補綴して関節機能を再建する人工関節が
整形外科においてよく使用されている。人工関節にはそ
の使用部位により人工股関節、人工膝関節、人工肩関
節、人工肘関節、人工足関節、人工指関節などがある。
特に人工股関節と人工膝関節の使用量は他の関節に比べ
たいへん多くなっている。人工股関節はさらに、大腿骨
へ固定され骨頭の機能を果たす大腿骨部品と寛骨へ固定
され臼蓋の機能を果たす臼蓋部品とにより構成されてい
る。大腿骨部品は切り取られた大腿骨頚の断端より挿入
され大腿骨骨幹部により支持固定されるものが多い。人
工股関節の骨幹部へ挿入され、支持固定される部分は通
例ステムと呼ばれ、大腿骨に埋入されないで大腿骨から
飛び出し、股関節では通常球面となっている関節運動を
行う部分は骨頭部と呼ばれ、ステム部と骨頭部の間はネ
ック部と呼ばれている。

【０００３】材質は普通ステンレスＳＵＳ３１６Ｌ、Ｃ
ｏ−Ｃｒ合金、Ｔｉ合金などにより造られている。臼蓋
部品の多くは骨頭部と組み合わされ関節運動を行うすべ
り部と、そのすべり部を包んで形態の保持と骨への固定
を行う臼蓋固定部よりなる。すべり部は超高分子量ポリ
エチレンが使われており、臼蓋固定部はすべり部のポリ
エチレン自身か前記金属材料のカップより造られてい
る。さらに、人工関節は、骨との結合力を高めるため
に、骨と接する面に微小な凹凸や多孔層を設けている。
また、ハイドロキシアパタイトなどの生体骨に近い無機
材料のコーティングが施されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この様な人工
関節にも多くの問題がある。例えば、人工関節と骨との
結合力を高めるために設けた人工関節表面の凹凸や多孔
層に対し、骨の侵入が少なく十分な固定性が得られない
ことである。多孔層に侵入した骨組織に対する栄養供給
は周囲からの毛細血管の侵入がなくただ１面の骨面から
のみに限られてしまう。そのため多孔層への骨組織の侵
入が少なくなり、また、一旦形成された骨組織も栄養供
給の面から健全な生育は阻害されてしまうと考えられ
る。生体側はこのような状況にたいし、線維性の被包組
織を形成し、人工関節材料から健全な組織まで距離を置
くように対応しているために緩みがおこる。

【０００５】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み
て、骨結合部分に形成される骨組織の栄養環境を改善し
た人工関節を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この様な目的は、下記の
本発明により達成される。生体の骨の関節部を代替する
人工関節において、置換されるべき患部を取り除いた後
の骨面に接し人工関節を骨へ固定する為の多孔性の骨結
合部分と、人工関節の本体部分とからなり、前記骨結合
部分と本体部分の間に少なくとも一部が開放されてなる
空間部を有する中間部分が設けられていることを特徴と
する人工関節。また、本願の人工関節は、実質的に生体
骨と置換される部位が含まれるので、人工骨もその範囲
に含まれる。

【０００７】以下、本発明の人工関節を添付図面に示す
好適実施例に基づいて詳細に説明する。図１は、本発明
の人工関節を人大腿骨骨頭に用いたときのモデル断面図
であり、生体骨１１と本発明の人工関節１２を有する。
図２は、図１に用いた人工股関節の断面図である。この
人工股関節は本体部分２１（骨頭摺動部分）と、骨結合
部分２４と、本体部分と同じ材料よりなる柱状部分２２
と空間部分２３とからなる中間部分より構成されてい
る。なお、柱状部分は図２においては本体部分と同じ材
料で一体成形されてなるが、特に限定する必要はなく、
別の材料で別部材として設けても何ら差し支えない。

【０００８】本体部分２１は、ほぼ球状の表面を有して
おり、図示しないが寛骨臼蓋や臼蓋カップと嵌合し回転
自在に連結される。構成材料としては生体為害性が少な
く安定であるという理由から、ステンレス鋼（例えば、
ＳＵＳ３１６Ｌ、ＳＵＳ３１７）、Ｃｏ−Ｃｒ合金、チ
タン、チタン合金などの耐食性に優れる金属、合金、ま
たは、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックスを用い
ることができる。さらに、ポリエーテルケトン、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、ポ
リフェニレンサルフィド、ポリサルフォン、ポリエチレ
ンなどの生体用樹脂材料を用いることができる。

【０００９】骨結合部分２４は、骨組織の侵入による結
合強度の向上を考慮し、金属繊維や金属顆粒の集合体
（織物、編み物、不織布、溶射、圧縮接合体など）や、
金属平板メッシュなどを用いることができる。中間部分
は、本体部分２１あるいは骨結合部分２４に使用される
生体内における安定性に優れた材料より構成される柱状
部分２２と、空間部分２３とからなり、空間部分２３は
開放部２５とともに骨結合部分に侵入してきた骨組織周
辺の栄養環境を改善することを可能にするものである。

【００１０】人工股関節カップへの置換は、股関節骨頭
の変形部分をカップ形状に合わせて切削し、露出した海
綿骨に人工股関節カップを密着させて行われる。必要に
応じネジ固定、釘固定が行われる。この時、人工股関節
の骨結合部分は直下の海綿骨骨髄よりの出血などにより
血腫となる。その後血腫の処理とあわせ、線維芽細胞や
血管内皮細胞などにより肉芽が形成され、しだいに骨形
成が行われる。肉芽が骨組織に変わって行くとき、毛細
血管の侵入状態により骨形成領域が限定される。

【００１１】血腫から肉芽、肉芽から骨組織への進んで
行くためにはそれを処理するための好中球やマクロファ
ージなどの炎症系の細胞、線維芽細胞や骨芽細胞などの
間葉系細胞などを必要に応じて動員しなければならな
い。通常のインプラントは直接周辺の組織に面してお
り、周辺組織から伸びてきた毛細血管はインプラント近
傍まで来るが、インプラントとの間には数十〜数百μm
の間隙ができてしまう。また、体液流通が緩慢なことか
ら、創部出血による血腫などの除去が遅れてしまう。

【００１２】しかし、本発明の構造を有するインプラン
トでは骨結合部分の奥に中間部分の空間があるので、毛
細血管は骨結合部分を貫通して中間部分に至り、この結
果、骨結合部分へ十分な量の骨組織を侵入させることが
できるのである。さらに骨結合面以外にも開口部分を有
しているため、骨髄以外からの体液や血管の侵入があ
り、骨結合部分へ侵入した骨組織への栄養供給を増加さ
せることが可能となり、骨組織の健全な育成が図れるの
である。

【００１３】図３は、人工股関節大腿骨部品のステム部
分を本体部分３１としたときの断面図である。本体部分
３１は大腿骨骨髄腔に挿入され大腿骨皮質骨および近位
部の海綿骨に嵌合し固定されるので、骨結合部分３４は
ステムの周囲に向かって形成される。骨結合部分３４は
ステムの全長、全周にわたって施されても良い。図２と
同様に柱状部分３２と空間部分３３とからなる中間部分
と開放部３５が設けられる。

【００１４】図４は、人工股関節臼蓋部品を本体部分４
１としたときの断面図である。本体部分４１は寛骨臼蓋
４５を、所定の形状にリーミングした後にはめ合わされ
る。骨結合部分は球状カップの外側に形成される。図２
と同様に、骨結合部分４４、及び柱状部分４２と空間部
分４３とからなる中間部分と開放部４６が設けられてい
る。

【００１５】以上、本発明の人工関節を図示の構成例に
基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるもの
ではなく、また、他の固定方法との併用を妨げるもので
はない。なお、本発明の人工関節は、上記人工股関節に
限らず、例えば、人工膝関節、人工肩関節、人工肘関
節、人工足関節、人工指関節などに適用することができ
る。

【００１６】

【実施例】

（実施例１）図５に示す断面図のように、奥にチタン板
（厚さ０.５mm）５１、中程にチタンメッシュ（厚さ０.
４mm、空隙率６０％）５４、前記チタン板５１とチタン
メッシュ５４の間に奥側面に外部との連通孔５３とポリ
カーボネートからなる柱状部分５５を配置し、ケース５
２に覆われた５×６mmの開口部５６を有する６×７×３
mmの試料５０を、日本白色家兎（体重２.５〜３.２kg、
雄）の大腿骨膝顆部内顆の海綿骨を露出させた表面に、
開口部を海綿骨に向け縫合糸により骨と固定した。４週
間後に屠殺し、腹部大動脈より遠位にむかって生理食塩
水潅流後、５０％硫酸バリウム生理食塩水を注入した。
膝顆部を試料とともに切り出し固定、ポリメタクリル酸
メチル樹脂包埋し研磨標本を作製した。

【００１７】（比較例）図６に示すように、奥にチタン
板（厚さ０.５mm）６１、中程にチタンメッシュ（厚さ
０.４mm、空隙率６０％）６４、前記チタン板６１とチ
タンメッシュ６４の間にポリカーボネートからなり連通
孔を設けない中間部分６５を配置し、ケース６２に覆わ
れた５×６mmの開口部６６を有する６×７×３mmの試料
６０を比較例として用い、実施例１と同様の実験を行っ
た。

【００１８】（結果）図７（図面代用写真）に実施例の
結果、図８（図面代用写真）に比較例の結果を示す。比
較例では試料の奥に血腫が残存し、実験例に比べ処理の
遅れを示したが、実施例では血腫は見られず優れた組織
侵入性を示した。。

【００１９】（製造例）図９に示すように本発明に係わ
る人工股関節骨頭カップを作製した。本骨頭カップの本
体部分及び中間部分の柱状部分の一体成形物を半球状の
Ｔｉより機械加工にて成形した（部品Ａ、外径５０mm、
内径４７mm、凸部高さ２mm）。骨結合部は、半球状（外
径４３mm）に加工した打ち抜き金網（厚さ１mm、空隙率
６０％）の凹面に、線径０.３mmのＴｉ線編み物の積層
体（厚さ２mm，空隙率６０％）をスポット溶接により接
合した（部品Ｂ）。得られた部品Ａと部品Ｂを拡散接合
により接合し、本発明に係わる人工股関節骨頭カップを
作製した。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の人工股関
節は、置換されるべき患部を取り除いた後の生体骨面に
接し人工関節を骨へ固定する為の多孔性の骨結合部分
と、人工関節の本体部分と、前記本体部分と骨結合部分
を接続し、かつ、この２つの部分の間に液体の流路を形
成して骨結合部以外の開放部有する中間部分を有し、毛
細血管は骨結合部分を貫通して中間部分に至り、この結
果、骨結合部分へ十分な量の骨組織を侵入させることが
可能になり、生体骨との間に強固な結合が得られる。さ
らに骨結合面以外にも開口部分を有しているため、骨髄
以外からの体液や血管の侵入があり、骨結合部分へ侵入
した骨組織への栄養供給を増加させることが可能とな
り、骨組織の健全な育成が図れるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の人工関節を人大腿骨骨頭に用いたと
きのモデル断面図。

【図２】図１に用いた人工股関節の断面図。

【図３】人工股関節大腿骨部品のステム部分を本体部
分としたときの断面図。

【図４】人工股関節臼蓋部品を本体部分としたときの
断面図。

【図５】実施例における本発明のモデル。

【図６】実施例に対する比較例のモデル。

【図７】実施例を日本白色家兎の大腿骨膝顆部内顆の
海綿骨を露出させた表面に、４週間固定さてた後の断面
写真。

【図８】比較例を日本白色家兎の大腿骨膝顆部内顆の
海綿骨を露出させた表面に、４週間固定さてた後の断面
写真。

【図９】本発明の製造方法の一例を示す。符号の簡単な説明１１・・・生体骨、１２・・・本発明の人工関節、２１・・・本
体部分、２２・・・柱状部分、２３・・・空間部分２３、２４
・・・骨結合部分、２５・・・開放部、３１・・・本体部分、３
２・・・柱状部分、３３・・・空間部分、３４・・・骨結合部
分、３５・・・開放部、４１・・・本体部分、４２・・・柱状部
分、４３・・・空間部分、４４・・・骨結合部分、４．５・・・
寛骨臼蓋、４６・・・開放部、５０・・・実施例試料、５１・・
・チタン板、５２・・・ケース、５３・・・連通孔、５４・・・チ
タンメッシュ、５５・・・柱状部分、６０・・・比較例試料、
６１・・・チタン板、６２・・・ケース、６４・・・チタンメッ
シュ、６５・・・柱状部分

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】生体の骨の関節部を代替する人工関節に
おいて、置換されるべき患部を取り除いた後の骨面に接
し人工関節を骨へ固定する為の多孔性の骨結合部分と、
人工関節の本体部分とからなり、前記骨結合部分と本体
部分の間に少なくとも一部が開放されてなる空間部を有
する中間部分が設けられていることを特徴とする人工関
節。