JPH07100040B2 - キトサンおよび/またはその部分分解物の分子量分布測定方法 - Google Patents
キトサンおよび/またはその部分分解物の分子量分布測定方法Info
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- JPH07100040B2 JPH07100040B2 JP4313187A JP31318792A JPH07100040B2 JP H07100040 B2 JPH07100040 B2 JP H07100040B2 JP 4313187 A JP4313187 A JP 4313187A JP 31318792 A JP31318792 A JP 31318792A JP H07100040 B2 JPH07100040 B2 JP H07100040B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、キトサンおよび/ま
たはその部分分解物の分子量、とくに分子量分布状態を
精度よく測定するための新規かつ改良された方法に関す
るものである。
たはその部分分解物の分子量、とくに分子量分布状態を
精度よく測定するための新規かつ改良された方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】キトサンは、2−アミノ−2−デオキシ
−D−グルコース(以下“グルコサミン”と略称する)
が直鎖状にβ−(1→4)結合したホモ多糖類である。
このキトサンは、天然にはムコール属やファイコミセス
属などの一部のカビ類の細胞壁に存在するが、通常はN
−アセチル−D−グルコサミン(以下“N−アセチルグ
ルコサミン”と略称する)が直鎖状にβ−(1→4)結
合した多糖類であるキチンを脱アセチル化して製造され
る。
−D−グルコース(以下“グルコサミン”と略称する)
が直鎖状にβ−(1→4)結合したホモ多糖類である。
このキトサンは、天然にはムコール属やファイコミセス
属などの一部のカビ類の細胞壁に存在するが、通常はN
−アセチル−D−グルコサミン(以下“N−アセチルグ
ルコサミン”と略称する)が直鎖状にβ−(1→4)結
合した多糖類であるキチンを脱アセチル化して製造され
る。
【0003】なお、キトサンはキチンを100%脱アセ
チル化して得られるものであるが、脱アセチル化度が低
くなるに伴いその構成単糖中のN−アセチルグルコサミ
ンの含量が多くなる。本願明細書中では、脱アセチル化
度が100%より低いキトサンも含めて“キトサン”と
総称する。
チル化して得られるものであるが、脱アセチル化度が低
くなるに伴いその構成単糖中のN−アセチルグルコサミ
ンの含量が多くなる。本願明細書中では、脱アセチル化
度が100%より低いキトサンも含めて“キトサン”と
総称する。
【0004】従来からキトサンの用途としては、例えば
天然高分子凝集剤、ウランなどの放射性元素や重金属カ
チオンの水中からの回収・除去剤、イオン交換クロマト
グラフィー用担体、アフィニティクロマトグラフィー用
担体、酵素固定用担体、保湿剤、抗菌剤、コレステロー
ル降下剤、免疫増強剤、止血剤等の広範囲の用途が知ら
れている。
天然高分子凝集剤、ウランなどの放射性元素や重金属カ
チオンの水中からの回収・除去剤、イオン交換クロマト
グラフィー用担体、アフィニティクロマトグラフィー用
担体、酵素固定用担体、保湿剤、抗菌剤、コレステロー
ル降下剤、免疫増強剤、止血剤等の広範囲の用途が知ら
れている。
【0005】さらに近年、キトサンを食品、医療品、化
粧品等のより付加価値の高いものへ応用するための用途
開発が研究されている。例えばキトサン分解酵素(キト
サナーゼ)によって低分子化したキトサンが大腸菌に対
して未処理のキトサンより強い抗菌性を示すという報告
があり(内田泰:“キチン、キトサンの抗菌性”、フー
ドケミカル,2, 22-29 (1988) )、分子量10,000
〜50,000のキトサン酸分解物を有効成分とする食
品用保存剤(特開平1−128775号公報)も提案さ
れている。
粧品等のより付加価値の高いものへ応用するための用途
開発が研究されている。例えばキトサン分解酵素(キト
サナーゼ)によって低分子化したキトサンが大腸菌に対
して未処理のキトサンより強い抗菌性を示すという報告
があり(内田泰:“キチン、キトサンの抗菌性”、フー
ドケミカル,2, 22-29 (1988) )、分子量10,000
〜50,000のキトサン酸分解物を有効成分とする食
品用保存剤(特開平1−128775号公報)も提案さ
れている。
【0006】かような用途においては、キトサンの有す
る高粘性、蛋白凝集性、アルカリ性および中性領域での
非溶解性、さらには渋味等が障害となる場合が多く、こ
れらの障害は使用されるキトサンの分子量と深く係わっ
ていると考えられている。キトサンの分子量は一般にそ
の粘度から推定する粘度法が採用される場合が多い。ま
た最近は、高速液体クロマトグラフィーによる分析も試
みられている。
る高粘性、蛋白凝集性、アルカリ性および中性領域での
非溶解性、さらには渋味等が障害となる場合が多く、こ
れらの障害は使用されるキトサンの分子量と深く係わっ
ていると考えられている。キトサンの分子量は一般にそ
の粘度から推定する粘度法が採用される場合が多い。ま
た最近は、高速液体クロマトグラフィーによる分析も試
みられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した粘度法は、測
定条件による影響を受けやすく測定値のばらつきが大き
いだけでなく、キトサン自体の固有粘度も一定していな
い。また粘度法では平均の分子量が推定されるに過ぎ
ず、種々の異なる分子量のキトサンが混在している場合
には、分子量の分布状態が明らかにされない限り平均分
子量だけでは有効な情報を提供したことにならない。さ
らに粘度法は、ある粘度以下のもの(分子量の小さいも
の)は測定できないか、測定できたとしても誤差が大き
くなるという欠点もある。
定条件による影響を受けやすく測定値のばらつきが大き
いだけでなく、キトサン自体の固有粘度も一定していな
い。また粘度法では平均の分子量が推定されるに過ぎ
ず、種々の異なる分子量のキトサンが混在している場合
には、分子量の分布状態が明らかにされない限り平均分
子量だけでは有効な情報を提供したことにならない。さ
らに粘度法は、ある粘度以下のもの(分子量の小さいも
の)は測定できないか、測定できたとしても誤差が大き
くなるという欠点もある。
【0008】また高速液体クロマトグラフィーによって
キトサンの分子量を分析する場合、検出器として示差屈
折計が用いられていることが多いが、本発明者らが試み
た限り、示差屈折計の感度はキトサンの分子量によって
異なっており、特に広い分子量分布を示すキトサンの部
分分解物の場合は、分析パターンが真の分子量分布を示
していない危険性が認められた。さらに、示差屈折計は
様々な物質を検知するため、キトサン試料中に不純物が
存在する場合には分析結果を誤らせる可能性がある。
キトサンの分子量を分析する場合、検出器として示差屈
折計が用いられていることが多いが、本発明者らが試み
た限り、示差屈折計の感度はキトサンの分子量によって
異なっており、特に広い分子量分布を示すキトサンの部
分分解物の場合は、分析パターンが真の分子量分布を示
していない危険性が認められた。さらに、示差屈折計は
様々な物質を検知するため、キトサン試料中に不純物が
存在する場合には分析結果を誤らせる可能性がある。
【0009】また、多糖の分子量の分析にはゲル濾過法
がしばしば用いられ、検出には最も一般的な糖分析法で
あるフェノール硫酸法等が用いられているが、キトサン
はアミノ糖であるためフェノール硫酸法等の分析法を用
いることができず、キトサンを重合体のまま簡便に定量
する方法は知られていない。
がしばしば用いられ、検出には最も一般的な糖分析法で
あるフェノール硫酸法等が用いられているが、キトサン
はアミノ糖であるためフェノール硫酸法等の分析法を用
いることができず、キトサンを重合体のまま簡便に定量
する方法は知られていない。
【0010】そこでこの発明は、ゲル濾過によって分画
したキトサンを定量する方法を明らかにし、キトサンお
よびその分解物の分子量、特にその分子量分布の状態を
精度よく測定できる方法を提供することを目的としてな
されたものである。
したキトサンを定量する方法を明らかにし、キトサンお
よびその分解物の分子量、特にその分子量分布の状態を
精度よく測定できる方法を提供することを目的としてな
されたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明による
キトサンおよび/またはその部分分解物(以下これらを
総称して“キトサン”と略記する)の分子量分布測定方
法は、キトサンをゲル濾過により分子量の異なる複数画
分に分画した後、各画分毎にキトサン分解酵素を作用さ
せてキトサンをその構成単糖に分解し、生成した構成単
糖であるグルコサミン、またはグルコサミンとN−アセ
チルグルコサミンとを定量することによって各画分中の
キトサンの溶出量の分布を求め、分子量既知の複数の標
準分子量マーカーを用いてゲル濾過により予め求めた各
標準分子量マーカーの溶出画分と対比することによって
キトサンの分子量分布を解析することを特徴とするもの
である。
キトサンおよび/またはその部分分解物(以下これらを
総称して“キトサン”と略記する)の分子量分布測定方
法は、キトサンをゲル濾過により分子量の異なる複数画
分に分画した後、各画分毎にキトサン分解酵素を作用さ
せてキトサンをその構成単糖に分解し、生成した構成単
糖であるグルコサミン、またはグルコサミンとN−アセ
チルグルコサミンとを定量することによって各画分中の
キトサンの溶出量の分布を求め、分子量既知の複数の標
準分子量マーカーを用いてゲル濾過により予め求めた各
標準分子量マーカーの溶出画分と対比することによって
キトサンの分子量分布を解析することを特徴とするもの
である。
【0012】ゲル瀘過によって分子量の異なる画分に分
画する技術は従来から慣用されており、それ自体問題は
ない。しかしながら、ゲル瀘過によって分画された各画
分中のキトサンの濃度を精度よく測定する方法が未だ十
分に確立していないために、分子量分布の状態を明確に
できないのが現状である。
画する技術は従来から慣用されており、それ自体問題は
ない。しかしながら、ゲル瀘過によって分画された各画
分中のキトサンの濃度を精度よく測定する方法が未だ十
分に確立していないために、分子量分布の状態を明確に
できないのが現状である。
【0013】この発明においては、ゲル瀘過により得ら
れた各画分にキトサン分解酵素を作用させてキトサンを
その構成単糖にまで完全分解し、生成したグルコサミ
ン、またはグルコサミンとN−アセチルグルコサミンを
定量するのである。
れた各画分にキトサン分解酵素を作用させてキトサンを
その構成単糖にまで完全分解し、生成したグルコサミ
ン、またはグルコサミンとN−アセチルグルコサミンを
定量するのである。
【0014】酵素でなく酸を用いてキトサンを完全分解
することも考えられる。しかしながら、キトサンのごと
きヘキソサミン重合体の有するヘキソサミニド結合は酸
加水分解を受けにくく、しかもヘキソサミンは酸に対し
てかなり不安定であるため、キトサンを酸によって完全
分解することは操作も繁雑となり定量性にも問題があ
る。従ってこの発明においては、ゲル瀘過により得られ
たキトサンの各画分を完全分解するためにキトサン分解
酵素を使用することが必要となる。
することも考えられる。しかしながら、キトサンのごと
きヘキソサミン重合体の有するヘキソサミニド結合は酸
加水分解を受けにくく、しかもヘキソサミンは酸に対し
てかなり不安定であるため、キトサンを酸によって完全
分解することは操作も繁雑となり定量性にも問題があ
る。従ってこの発明においては、ゲル瀘過により得られ
たキトサンの各画分を完全分解するためにキトサン分解
酵素を使用することが必要となる。
【0015】この発明において使用できる酵素は、キト
サンをその構成単糖に分解する活性を有するものであれ
ばいかなるキトサン分解酵素(キトサナーゼ)でも使用
することができるが、特に、完全に単糖にまで分解する
能力の高いキトサナーゼが好ましく使用できる。また、
脱アセチル化度の比較的低いキトサンの場合には、キト
サナーゼとともにキチン分解酵素(キチナーゼ)を併用
することが好ましく、これによってキトサンの分解を完
全なものとすることができる。
サンをその構成単糖に分解する活性を有するものであれ
ばいかなるキトサン分解酵素(キトサナーゼ)でも使用
することができるが、特に、完全に単糖にまで分解する
能力の高いキトサナーゼが好ましく使用できる。また、
脱アセチル化度の比較的低いキトサンの場合には、キト
サナーゼとともにキチン分解酵素(キチナーゼ)を併用
することが好ましく、これによってキトサンの分解を完
全なものとすることができる。
【0016】この発明において好ましく使用できるキト
サナーゼとしては、例えばペニシリウム属に属する糸状
菌ペニシリウムAF9−P−112(微工研菌寄第11
374号)、ペニシリウムAF9−P−115(微工研
菌寄第11375号)またはペニシリウムAF9−P−
128(微工研菌寄第11376号)が生産する糖化型
キトサナーゼ、さらにはバーティシリウム属に属する糸
状菌バーティシリウムAF9−V−156(微工研菌寄
第11377号)が生産するキトサナーゼが挙げられ
る。ペニシリウム属の糸状菌の生産する糖化型キトサナ
ーゼの製造方法については特願平2−81530号、バ
ーティシリウム属の糸状菌の生産するキトサナーゼの製
造方法については特願平2−81531号によりそれぞ
れ本願と同じ出願人から既に特許出願されている。上記
したペニシリウム属の糸状菌の生産する糖化型キトサナ
ーゼは、キトサンをグルコサミンに完全分解する酵素作
用を有し、バーティシリウム属の糸状菌の生産するキト
サナーゼは、キトサンをグルコサミンに完全分解する糖
化型活性とキトサンオリゴ糖に分解する液化型活性の両
活性を有している。
サナーゼとしては、例えばペニシリウム属に属する糸状
菌ペニシリウムAF9−P−112(微工研菌寄第11
374号)、ペニシリウムAF9−P−115(微工研
菌寄第11375号)またはペニシリウムAF9−P−
128(微工研菌寄第11376号)が生産する糖化型
キトサナーゼ、さらにはバーティシリウム属に属する糸
状菌バーティシリウムAF9−V−156(微工研菌寄
第11377号)が生産するキトサナーゼが挙げられ
る。ペニシリウム属の糸状菌の生産する糖化型キトサナ
ーゼの製造方法については特願平2−81530号、バ
ーティシリウム属の糸状菌の生産するキトサナーゼの製
造方法については特願平2−81531号によりそれぞ
れ本願と同じ出願人から既に特許出願されている。上記
したペニシリウム属の糸状菌の生産する糖化型キトサナ
ーゼは、キトサンをグルコサミンに完全分解する酵素作
用を有し、バーティシリウム属の糸状菌の生産するキト
サナーゼは、キトサンをグルコサミンに完全分解する糖
化型活性とキトサンオリゴ糖に分解する液化型活性の両
活性を有している。
【0017】この発明によりその分子量分布を測定でき
るキトサンは、脱アセチル化度、粘度、夾雑物の有無に
関係なく、あらゆる種類のキトサンおよびその部分分解
物が対象となる。溶液状のものはそのまま、固体状のも
のは希塩酸や有機酸水溶液等に溶解した後、ゲル瀘過に
供する。また、キトサンを酸または酵素により部分分解
処理したものは、処理済溶液をそのまま、またはpH等
を調整した後、ゲル瀘過に供することができる。
るキトサンは、脱アセチル化度、粘度、夾雑物の有無に
関係なく、あらゆる種類のキトサンおよびその部分分解
物が対象となる。溶液状のものはそのまま、固体状のも
のは希塩酸や有機酸水溶液等に溶解した後、ゲル瀘過に
供する。また、キトサンを酸または酵素により部分分解
処理したものは、処理済溶液をそのまま、またはpH等
を調整した後、ゲル瀘過に供することができる。
【0018】この発明を実施するに際しては、分子量分
布を測定しようとするキトサンの溶液を、ゲル瀘過によ
り分子量の異なる複数画分に分画する。ゲル瀘過用のゲ
ルとしては、一般に蛋白質および多糖類の分離に用いら
れるゲルがこの発明においても使用でき、架橋デキスト
ラン(例えば Pharmacia Fine Chemicals 社製「セファ
デックス」、「セファクリル」)、アガロース(例えば
Pharmacia Fine Chemicals 社製「セファロース」)、
アクリルアミド(例えばバイオラッド社製「バイオゲ
ル」)等のゲルを使用することができる。使用するゲル
の種類の選定は、分子量既知の標準分子量マーカーを用
いて予めゲルの分離効果を測定し、キトサン試料に合っ
た適当なゲルを選べばよい。
布を測定しようとするキトサンの溶液を、ゲル瀘過によ
り分子量の異なる複数画分に分画する。ゲル瀘過用のゲ
ルとしては、一般に蛋白質および多糖類の分離に用いら
れるゲルがこの発明においても使用でき、架橋デキスト
ラン(例えば Pharmacia Fine Chemicals 社製「セファ
デックス」、「セファクリル」)、アガロース(例えば
Pharmacia Fine Chemicals 社製「セファロース」)、
アクリルアミド(例えばバイオラッド社製「バイオゲ
ル」)等のゲルを使用することができる。使用するゲル
の種類の選定は、分子量既知の標準分子量マーカーを用
いて予めゲルの分離効果を測定し、キトサン試料に合っ
た適当なゲルを選べばよい。
【0019】ゲル瀘過によって得られた各画分の一定量
にキトサナーゼ、またはキトサナーゼとキチナーゼの混
合酵素の十分量を加え、室温〜60℃、好ましくは30
〜50℃で1〜24時間反応させ、生成したグルコサミ
ンを各画分毎にエルソン−モルガン法(アミノ基をもつ
ヘキソサミンの周知の定量法、Gardell, S., Acta Che
m. Scand., 7, 207 (1953) )またはその他のヘキソサ
ミン糖の定量法により定量する。また必要に応じて、生
成したN−アセチルグルコサミンをモルガン−エルソン
法(N−アセチルヘキソサミンの周知の定量法、Reissi
g, J.L. et al.,J. Biol, Chem., 217, 959 (1955) )
またはその他のN−アセチルヘキソサミン糖の定量法に
より定量する。グルコサミンおよびN−アセチルグルコ
サミンの量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
等の機器分析により定量することもできる。
にキトサナーゼ、またはキトサナーゼとキチナーゼの混
合酵素の十分量を加え、室温〜60℃、好ましくは30
〜50℃で1〜24時間反応させ、生成したグルコサミ
ンを各画分毎にエルソン−モルガン法(アミノ基をもつ
ヘキソサミンの周知の定量法、Gardell, S., Acta Che
m. Scand., 7, 207 (1953) )またはその他のヘキソサ
ミン糖の定量法により定量する。また必要に応じて、生
成したN−アセチルグルコサミンをモルガン−エルソン
法(N−アセチルヘキソサミンの周知の定量法、Reissi
g, J.L. et al.,J. Biol, Chem., 217, 959 (1955) )
またはその他のN−アセチルヘキソサミン糖の定量法に
より定量する。グルコサミンおよびN−アセチルグルコ
サミンの量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
等の機器分析により定量することもできる。
【0020】かくして得られたグルコサミンの測定値
は、各画分中のキトサン溶出量を相対的に表しているの
で、グルコサミンを定量するだけでどの画分中にどの位
の量のキトサンが溶出しているか、すなわち各画分中の
キトサン溶出量の分布を求めることができる。そしてこ
の分布状態を、分子量既知の複数の標準分子量マーカー
を用いて同様なゲル濾過により予め求めた各マーカーの
溶出画分と対比することによって、供試キトサンの分子
量分布を十分に解析することができる。酵素分解により
得られたグルコサミンの測定値からだけでなく、得られ
たグルコサミンとN−アセチルグルコサミンの測定値か
ら各画分中のキトサン溶出量を定量することもできる。
N−アセチルグルコサミンを定量しない場合には、グル
コサミンの測定値と供試キトサンの脱アセチル化度とか
ら、各画分中のキトサン溶出量を算出することができ
る。
は、各画分中のキトサン溶出量を相対的に表しているの
で、グルコサミンを定量するだけでどの画分中にどの位
の量のキトサンが溶出しているか、すなわち各画分中の
キトサン溶出量の分布を求めることができる。そしてこ
の分布状態を、分子量既知の複数の標準分子量マーカー
を用いて同様なゲル濾過により予め求めた各マーカーの
溶出画分と対比することによって、供試キトサンの分子
量分布を十分に解析することができる。酵素分解により
得られたグルコサミンの測定値からだけでなく、得られ
たグルコサミンとN−アセチルグルコサミンの測定値か
ら各画分中のキトサン溶出量を定量することもできる。
N−アセチルグルコサミンを定量しない場合には、グル
コサミンの測定値と供試キトサンの脱アセチル化度とか
ら、各画分中のキトサン溶出量を算出することができ
る。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げてこの発明を詳述する
が、これらの実施例によってこの発明が何ら限定される
ものではない。
が、これらの実施例によってこの発明が何ら限定される
ものではない。
【0022】以下の実施例におけるキトサナーゼおよび
キチナーゼの活性測定法と活性単位表示法は、それぞれ
次の通りである。 <キトサナーゼ活性測定法および活性単位表示法>2m
g/mlとなるように0.1M酢酸緩衝液(pH5.
0)に溶解したキトサン100L(和光純薬(株)製)
の0.15mlに、適当に希釈した酵素液0.1mlを
加え、37℃で30分間反応させた後、生成した還元末
端のグルコサミンをエルソン−モルガン法により定量す
る。活性は1分間に1μMのグルコサミンを生成させる
酵素量を1Uとして表示する。
キチナーゼの活性測定法と活性単位表示法は、それぞれ
次の通りである。 <キトサナーゼ活性測定法および活性単位表示法>2m
g/mlとなるように0.1M酢酸緩衝液(pH5.
0)に溶解したキトサン100L(和光純薬(株)製)
の0.15mlに、適当に希釈した酵素液0.1mlを
加え、37℃で30分間反応させた後、生成した還元末
端のグルコサミンをエルソン−モルガン法により定量す
る。活性は1分間に1μMのグルコサミンを生成させる
酵素量を1Uとして表示する。
【0023】<キチナーゼ活性測定法および活性単位表
示法>2mg/mlとなるように0.2M MacIlvaine
緩衝液(pH5.0)に溶解したグリコールキチンの
0.5mlに、適当に希釈した酵素液0.5mlを加
え、37℃で30分間反応させた後、生成した還元糖を
N−アセチルグルコサミンを標準物質としてp−HBA
H法(M. Lever, Anal. Biochem., 47, 273 (1972))に
より定量する。活性は1分間に1μMのN−アセチルグ
ルコサミンを生成させる酵素量を1Uとして表示する。
示法>2mg/mlとなるように0.2M MacIlvaine
緩衝液(pH5.0)に溶解したグリコールキチンの
0.5mlに、適当に希釈した酵素液0.5mlを加
え、37℃で30分間反応させた後、生成した還元糖を
N−アセチルグルコサミンを標準物質としてp−HBA
H法(M. Lever, Anal. Biochem., 47, 273 (1972))に
より定量する。活性は1分間に1μMのN−アセチルグ
ルコサミンを生成させる酵素量を1Uとして表示する。
【0024】実施例1:低粘度キトサンの分子量分布測
定 <酵素溶液の調製>500ml容三角フラスコに、キト
サン0.5%、酵母エキス0.05%、ペプトン0.2
%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.
03%を含む液体培地(pH6.5)100mlを入
れ、オートクレーブ殺菌後、予め斜面培養した糸状菌A
F9−V−156株(微工研菌寄第11377号)の一
菌塊を接種し、25℃で2日間振盪培養し、種培養液と
した。5lジャーファーメンターに上記と同一組成の液
体培地3lを入れ、オートクレーブ殺菌後、上記で得ら
れた種培養液80mlを接種し、25℃で4日間通気撹
拌培養した。得られた培養液約2.5lを瀘過して菌体
を除去した後、中空糸型限外瀘過濃縮装置(旭化成
(株)製)を用いて約10倍に濃縮し、粗酵素液を得
た。これを酵素液Aとする。酵素液Aのキトサナーゼ活
性は約2.9U/ml、キチナーゼ活性は約0.11U
/mlであった。次に、市販のキチナーゼ製剤からキチ
ナーゼ溶液を調製した。すなわち、キチナーゼT−1
(朝日工業(株)製、宝酒造(株)販売)を0.5mg
/mlとなるように0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)
に溶解し、0.45μmのフィルターを通して酵素液B
を得た。酵素液Aを0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)
で10倍に希釈した液と酵素液Bとを1:1で混合し、
酵素液Cを得た。
定 <酵素溶液の調製>500ml容三角フラスコに、キト
サン0.5%、酵母エキス0.05%、ペプトン0.2
%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.
03%を含む液体培地(pH6.5)100mlを入
れ、オートクレーブ殺菌後、予め斜面培養した糸状菌A
F9−V−156株(微工研菌寄第11377号)の一
菌塊を接種し、25℃で2日間振盪培養し、種培養液と
した。5lジャーファーメンターに上記と同一組成の液
体培地3lを入れ、オートクレーブ殺菌後、上記で得ら
れた種培養液80mlを接種し、25℃で4日間通気撹
拌培養した。得られた培養液約2.5lを瀘過して菌体
を除去した後、中空糸型限外瀘過濃縮装置(旭化成
(株)製)を用いて約10倍に濃縮し、粗酵素液を得
た。これを酵素液Aとする。酵素液Aのキトサナーゼ活
性は約2.9U/ml、キチナーゼ活性は約0.11U
/mlであった。次に、市販のキチナーゼ製剤からキチ
ナーゼ溶液を調製した。すなわち、キチナーゼT−1
(朝日工業(株)製、宝酒造(株)販売)を0.5mg
/mlとなるように0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)
に溶解し、0.45μmのフィルターを通して酵素液B
を得た。酵素液Aを0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)
で10倍に希釈した液と酵素液Bとを1:1で混合し、
酵素液Cを得た。
【0025】この酵素液Cと、2mg/mlとなるよう
に0.1M酢酸緩衝液に溶解したキトサン100Lとを
1:1に混合し、37℃で30分間から4時間反応させ
たところ、反応時間が1時間以上で反応生成物が単糖の
みとなった。他のキトサン(「キトサン−90M,−8
0H,−70M」和光純薬(株)製、「キトサンLLW
P」君津化学(株)製など)も酵素液Cによって完全に
単糖にまで分解されることを確認した。
に0.1M酢酸緩衝液に溶解したキトサン100Lとを
1:1に混合し、37℃で30分間から4時間反応させ
たところ、反応時間が1時間以上で反応生成物が単糖の
みとなった。他のキトサン(「キトサン−90M,−8
0H,−70M」和光純薬(株)製、「キトサンLLW
P」君津化学(株)製など)も酵素液Cによって完全に
単糖にまで分解されることを確認した。
【0026】完全分解の確認は薄層クロマトグラフィー
および高速液体クロマトグラフィーによって行った。薄
層クロマトグラフィーはKieselgel 60F (Merck 社製)
を用い、展開溶媒としてn−ブタノール:酢酸:水
(2:1:2)を用いた。高速液体クロマトグラフィー
はTSK-Gel NH2 -60 カラム(東ソー(株)製)を用い、
アセトニトリル:水(55:45)で溶出し、示差屈折
計で検出した。ともに標準物質としてN−アセチルキト
オリゴ糖およびキトサンオリゴ糖を用いた。
および高速液体クロマトグラフィーによって行った。薄
層クロマトグラフィーはKieselgel 60F (Merck 社製)
を用い、展開溶媒としてn−ブタノール:酢酸:水
(2:1:2)を用いた。高速液体クロマトグラフィー
はTSK-Gel NH2 -60 カラム(東ソー(株)製)を用い、
アセトニトリル:水(55:45)で溶出し、示差屈折
計で検出した。ともに標準物質としてN−アセチルキト
オリゴ糖およびキトサンオリゴ糖を用いた。
【0027】さらに、分解物を分析して得られたグルコ
サミンとN−アセチルグルコサミンの値が、分解前のキ
トサンの乾燥重量と脱アセチル化度(コロイド滴定法に
よる)から推定されるそれらの構成糖の値とはほぼ完全
に一致するものであったことも完全分解を証明するもの
であった。
サミンとN−アセチルグルコサミンの値が、分解前のキ
トサンの乾燥重量と脱アセチル化度(コロイド滴定法に
よる)から推定されるそれらの構成糖の値とはほぼ完全
に一致するものであったことも完全分解を証明するもの
であった。
【0028】〈ゲル濾過〉 キトサンLLWPを2mg/mlとなるように0.1M
酢酸緩衝液(pH5.0)に溶解し、供試キトサンとし
た。ゲル濾過用充填剤「セファクリルS−200」(Ph
armacia Fine Chemical 社製)を15mm×440mm
のガラスカラムに充填し、上記供試キトサン溶液1ml
を常法に従って0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)で展
開し、溶出液を2mlずつ分取して35個の画分に分画
した。これとは別に、上記と同様なゲル濾過用充填剤を
充填したガラスカラムを用い上記と同様にして複数の標
準分子量マーカーを展開し、どの画分にどの標準分子量
マーカーが溶出されるかを調べた。標準分子量マーカー
としては、「デキストラン」平均分子量51万、7.1
万、3.9万、9400(いずれもSigma 社製)、キト
ヘキサオース塩酸塩(分子量約1200;生化学工業
(株)製)、グルコサミン塩酸塩を用いた。各標準分子
量マーカーが最も多量に溶出された画分を図1のグラフ
に示す。このグラフから、例えば平均分子量7.1万の
デキストランのマーカーは画分番号17番の画分に、平
均分子量9400のデキストランのマーカーは画分番号
25番の画分に、それぞれ最も多量に溶出されているこ
とがわかる。従って、上記供試キトサンの各画分におい
ても、例えば17番の画分には平均分子量7.1万のキ
トサンが、25番の画分には平均分子量9400のキト
サンが、それぞれ最も多量に分画されていることにな
る。 なお標準分子量マーカーであるデキストランはフェ
ノール硫酸法により検出し、キトヘキサオース塩酸塩お
よびグルコサミン塩酸塩はエルソン−モルガン法により
検出した。
酢酸緩衝液(pH5.0)に溶解し、供試キトサンとし
た。ゲル濾過用充填剤「セファクリルS−200」(Ph
armacia Fine Chemical 社製)を15mm×440mm
のガラスカラムに充填し、上記供試キトサン溶液1ml
を常法に従って0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)で展
開し、溶出液を2mlずつ分取して35個の画分に分画
した。これとは別に、上記と同様なゲル濾過用充填剤を
充填したガラスカラムを用い上記と同様にして複数の標
準分子量マーカーを展開し、どの画分にどの標準分子量
マーカーが溶出されるかを調べた。標準分子量マーカー
としては、「デキストラン」平均分子量51万、7.1
万、3.9万、9400(いずれもSigma 社製)、キト
ヘキサオース塩酸塩(分子量約1200;生化学工業
(株)製)、グルコサミン塩酸塩を用いた。各標準分子
量マーカーが最も多量に溶出された画分を図1のグラフ
に示す。このグラフから、例えば平均分子量7.1万の
デキストランのマーカーは画分番号17番の画分に、平
均分子量9400のデキストランのマーカーは画分番号
25番の画分に、それぞれ最も多量に溶出されているこ
とがわかる。従って、上記供試キトサンの各画分におい
ても、例えば17番の画分には平均分子量7.1万のキ
トサンが、25番の画分には平均分子量9400のキト
サンが、それぞれ最も多量に分画されていることにな
る。 なお標準分子量マーカーであるデキストランはフェ
ノール硫酸法により検出し、キトヘキサオース塩酸塩お
よびグルコサミン塩酸塩はエルソン−モルガン法により
検出した。
【0029】〈ゲル濾過画分の酵素分解と生成単糖の定
量〉 ゲル濾過により得られた上記供試キトサンの各画分の
0.5mlを試験管に取り、上記酵素液Cを0.5ml
加え、37℃で4時間反応させることにより各画分に含
まれるキトサンをその構成単糖にまで完全分解した。次
いで、各画分毎に分解生成物のグルコサミンをエルソン
−モルガン法により定量した。画分番号と各画分中のグ
ルコサミン量との関係をプロットした結果を図1に示
す。図1のグラフでは、17番の画分にグルコサミン量
の比較的狭いピークがあり、従ってこの画分中に供試キ
トサンが最も多量に溶出されていることになる。この1
7番の画分は標準分子量マーカーである平均分子量7.
1万のデキストリンが最も多量に溶出している画分であ
るから、供試キトサンは分子量7万付近にピークを有す
る比較的狭い分子量分布をもつキトサンであることがわ
かる。
量〉 ゲル濾過により得られた上記供試キトサンの各画分の
0.5mlを試験管に取り、上記酵素液Cを0.5ml
加え、37℃で4時間反応させることにより各画分に含
まれるキトサンをその構成単糖にまで完全分解した。次
いで、各画分毎に分解生成物のグルコサミンをエルソン
−モルガン法により定量した。画分番号と各画分中のグ
ルコサミン量との関係をプロットした結果を図1に示
す。図1のグラフでは、17番の画分にグルコサミン量
の比較的狭いピークがあり、従ってこの画分中に供試キ
トサンが最も多量に溶出されていることになる。この1
7番の画分は標準分子量マーカーである平均分子量7.
1万のデキストリンが最も多量に溶出している画分であ
るから、供試キトサンは分子量7万付近にピークを有す
る比較的狭い分子量分布をもつキトサンであることがわ
かる。
【0030】実施例2:キトサン部分分解物の分子量分
布測定 実施例1で用いたキトサンLLWPを酵素で部分分解
し、その分子量分布の変化を調べた。 <キトサン部分分解物の調製> キトサンLLWPを、10mg/mlとなるように0.
1M酢酸溶液に溶解し、その200mlに酵素液Aを4
ml加え、37℃で2時間反応させた。反応後、沸騰湯
浴中で10分間加熱し酵素を失活させた。
布測定 実施例1で用いたキトサンLLWPを酵素で部分分解
し、その分子量分布の変化を調べた。 <キトサン部分分解物の調製> キトサンLLWPを、10mg/mlとなるように0.
1M酢酸溶液に溶解し、その200mlに酵素液Aを4
ml加え、37℃で2時間反応させた。反応後、沸騰湯
浴中で10分間加熱し酵素を失活させた。
【0031】<ゲル瀘過と各画分の定量>上記キトサン
部分分解物2mlを、実施例1と同様の方法でゲル瀘過
し、溶出液を2mlずつ分取した。各画分の0.5ml
に酵素液C0.5mlを加え、37℃で2時間反応させ
て各画分に含まれるキトサン部分分解物を完全分解し
た。次いで各画分毎に分解生成物のグルコサミンをエル
ソン−モルガン法により、N−アセチルグルコサミンを
モルガン−エルソン法によりそれぞれ定量した。結果を
図2に示す。
部分分解物2mlを、実施例1と同様の方法でゲル瀘過
し、溶出液を2mlずつ分取した。各画分の0.5ml
に酵素液C0.5mlを加え、37℃で2時間反応させ
て各画分に含まれるキトサン部分分解物を完全分解し
た。次いで各画分毎に分解生成物のグルコサミンをエル
ソン−モルガン法により、N−アセチルグルコサミンを
モルガン−エルソン法によりそれぞれ定量した。結果を
図2に示す。
【0032】図2のグラフから、キトサンが酵素によっ
て部分分解されて分子量2万付近にピークをもつように
低分子化されたことがわかる。また各画分毎のグルコサ
ミンとN−アセチルグルコサミンの量比がほぼ一定して
いることが観察される。このことは、ここで用いた供試
キトサンの分子内では両構成糖がほぼ規則的に分布して
いることを示唆している。しかしながら、供試キトサン
の種類や用いるキトサン分解酵素の種類によっては、各
画分での両構成糖の量比が必ずしも一定であるとは限ら
ない。
て部分分解されて分子量2万付近にピークをもつように
低分子化されたことがわかる。また各画分毎のグルコサ
ミンとN−アセチルグルコサミンの量比がほぼ一定して
いることが観察される。このことは、ここで用いた供試
キトサンの分子内では両構成糖がほぼ規則的に分布して
いることを示唆している。しかしながら、供試キトサン
の種類や用いるキトサン分解酵素の種類によっては、各
画分での両構成糖の量比が必ずしも一定であるとは限ら
ない。
【0033】上記で得られた両構成糖の測定値から、各
画分毎のキトサン量を下記式により算出した。 c=a×(161/179)+b×(203/221) 式中、c:求めるキトサン量(μg/ml) a:得られたグルコサミン量(μg/ml) b:得られたN−アセチルグルコサミン量(μg/ml) 179:グルコサミンの分子量 161:グルコサミンの分子量から水の分子量18を引いた値 221:N−アセチルグルコサミンの分子量 203:N−アセチルグルコサミンの分子量から水の分子量18を引いた値。 この式より算出した各画分のキトサン量と画分番号との
関係をプロットした結果を図3に示す。 図3からわかる
ように、本実施例では各画分毎の両構成糖の量比がほぼ
一定していたため、グルコサミン量で表した図2の分子
量分布パターンと、キトサン量で表した図3の分子量分
布パターンとでは変化は見られなかった。
画分毎のキトサン量を下記式により算出した。 c=a×(161/179)+b×(203/221) 式中、c:求めるキトサン量(μg/ml) a:得られたグルコサミン量(μg/ml) b:得られたN−アセチルグルコサミン量(μg/ml) 179:グルコサミンの分子量 161:グルコサミンの分子量から水の分子量18を引いた値 221:N−アセチルグルコサミンの分子量 203:N−アセチルグルコサミンの分子量から水の分子量18を引いた値。 この式より算出した各画分のキトサン量と画分番号との
関係をプロットした結果を図3に示す。 図3からわかる
ように、本実施例では各画分毎の両構成糖の量比がほぼ
一定していたため、グルコサミン量で表した図2の分子
量分布パターンと、キトサン量で表した図3の分子量分
布パターンとでは変化は見られなかった。
【0034】実施例3:キトサン部分分解物の分子量分
布測定 <キトサン部分分解物の調製> キトサンLLWPを、20mg/mlとなるように0.
4M酢酸溶液に溶解し、その200mlに酵素液Aを1
0ml加え、37℃で2時間反応させた。反応後、沸騰
湯浴中で10分間加熱し酵素を失活させた。
布測定 <キトサン部分分解物の調製> キトサンLLWPを、20mg/mlとなるように0.
4M酢酸溶液に溶解し、その200mlに酵素液Aを1
0ml加え、37℃で2時間反応させた。反応後、沸騰
湯浴中で10分間加熱し酵素を失活させた。
【0035】<ゲル瀘過と各画分の定量>上記キトサン
部分分解物を0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)で10
倍に希釈した後、その1mlを実施例1と同様の方法で
ゲル瀘過し、溶出液を2mlずつ分取した。各画分の
0.5mlに酵素液C0.5mlを加え、37℃で2時
間反応させて各画分に含まれるキトサン部分分解物を完
全分解した。次いで各画分毎に分解生成物のグルコサミ
ンをエルソン−モルガン法により定量した。結果を図4
に示す。図4のグラフから、キトサンが分子量1,00
0から2,000程度のオリゴ糖まで分解されたことが
わかる。
部分分解物を0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)で10
倍に希釈した後、その1mlを実施例1と同様の方法で
ゲル瀘過し、溶出液を2mlずつ分取した。各画分の
0.5mlに酵素液C0.5mlを加え、37℃で2時
間反応させて各画分に含まれるキトサン部分分解物を完
全分解した。次いで各画分毎に分解生成物のグルコサミ
ンをエルソン−モルガン法により定量した。結果を図4
に示す。図4のグラフから、キトサンが分子量1,00
0から2,000程度のオリゴ糖まで分解されたことが
わかる。
【0036】
【発明の効果】以上の説明からわかるようにこの発明に
よれば、キトサンおよびその部分分解物の分子量分布状
態を簡便にかつ精度よく把握することができる。その結
果、キトサンの分子量と関連の深い種々の性質、すなわ
ち溶解性、粘度、抗菌性、蛋白凝集性、渋味などを明ら
かにするうえで、極めて有用な情報を提供できるもので
ある。
よれば、キトサンおよびその部分分解物の分子量分布状
態を簡便にかつ精度よく把握することができる。その結
果、キトサンの分子量と関連の深い種々の性質、すなわ
ち溶解性、粘度、抗菌性、蛋白凝集性、渋味などを明ら
かにするうえで、極めて有用な情報を提供できるもので
ある。
【図1】 低粘度キトサンの分子量分布状態を、ゲル瀘
過分画により得られた各画分のグルコサミン量で表した
グラフ。
過分画により得られた各画分のグルコサミン量で表した
グラフ。
【図2】 キトサン部分分解物の分子量分布状態を、ゲ
ル瀘過分画により得られた各画分のグルコサミン量およ
びN−アセチルグルコサミン量で表したグラフ。
ル瀘過分画により得られた各画分のグルコサミン量およ
びN−アセチルグルコサミン量で表したグラフ。
【図3】 図2の各画分毎のグルコサミンおよびN−ア
セチルグルコサミン量から算出したキトサン量で表し
た、図2と同じキトサン部分分解物の分子量分布状態を
示すグラフ。
セチルグルコサミン量から算出したキトサン量で表し
た、図2と同じキトサン部分分解物の分子量分布状態を
示すグラフ。
【図4】 キトサン部分分解物の分子量分布状態を、ゲ
ル瀘過分画により得られた各画分のグルコサミン量で表
したグラフ。
ル瀘過分画により得られた各画分のグルコサミン量で表
したグラフ。
Claims (1)
- 【請求項1】 キトサンおよび/またはその部分分解物
をゲル濾過により分子量の異なる複数画分に分画した
後、各画分毎にキトサン分解酵素を作用させてキトサン
および/またはその部分分解物をその構成単糖に分解
し、生成した構成単糖であるグルコサミン、またはグル
コサミンとN−アセチルグルコサミンとを定量すること
によって各画分中のキトサンおよび/またはその部分分
解物の溶出量の分布を求め、分子量既知の複数の標準分
子量マーカーを用いてゲル濾過により予め求めた各標準
分子量マーカーの溶出画分と対比することによってキト
サンおよび/またはその部分分解物の分子量分布を解析
することを特徴とするキトサンおよび/またはその部分
分解物の分子量分布測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4313187A JPH07100040B2 (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | キトサンおよび/またはその部分分解物の分子量分布測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4313187A JPH07100040B2 (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | キトサンおよび/またはその部分分解物の分子量分布測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06205698A JPH06205698A (ja) | 1994-07-26 |
JPH07100040B2 true JPH07100040B2 (ja) | 1995-11-01 |
Family
ID=18038152
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4313187A Expired - Lifetime JPH07100040B2 (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | キトサンおよび/またはその部分分解物の分子量分布測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07100040B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FI982291A (fi) * | 1998-10-23 | 2000-04-24 | Novasso Oy | Aine kolesterolin sekä lipidien pitoisuuden alentamiseksi |
-
1992
- 1992-11-24 JP JP4313187A patent/JPH07100040B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06205698A (ja) | 1994-07-26 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |